JP6511915B2 - 微粒子膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微粒子膜に関し、より詳細には有彩色の染料及び/又は顔料等で着色されて
いない微粒子膜であって、太陽光もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感される
垂直反射光が、乳白色の淡い構造色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、緑(G
)及び黄(Y)等の色みの構造色を明確に視感させる微粒子膜の製造方法に関する。
構造色とは、光の波長あるいはそれ以下の微細構造による発色現象を指し、身近な構造色
の例にはコンパクトディスクやシャボン玉、モルフォ蝶、玉虫などが挙げられる。上記例
では、それ自身には色がついていないが、その微細な構造によって光が干渉するため、色
づいて見える。
そこで、近年、構造色を有するような規則正しい周期的な構造を人工的に作成する開発
が進められている。例えば、球状単分散微細粒子が媒体中に分散してなる分散液を用いて
、流し込み、噴射、塗布、流動等で粒子を配列・整合・乾燥・固定させて、平坦な下地部
材上に分散質の球状微細粒子が、平面方向に規則的に配列する粒子状積層体の製造方法が
種々提案されている。このように微細球状粒子を規則的に配列させることで、その粒子状
積層体は、その構成粒子が有する諸特性等に係わって発揮される各種の表面特性が期待さ
れている。特にその構成粒子サイズがサブミクロン、ナノのような極微細領域になれば、
それだけ微細表面に係わって発揮される表面特性より明確になり、また、新しい表面機能
を発揮させる機能素材として期待されるからである。特に、近年ではこのような球状単分
散微粒子を規則配列したコロイド結晶が知られており、このようなコロイド結晶はBra
gg反射し構造発色することが知られている。また、これを色材や赤外線反射膜に応用す
る研究開発がされてきている。
近年、色材として色を視感させるには、染料又は顔料からなる染顔料物質による物体色
又はカラーテレビのような光源色の他に、例えば、「特許文献1」に提案されているよう
に、顔料等の着色剤を用いない単分散酸化チタン粒子を基板上に堆積させた薄膜において
、その粒子の粒子径に、その外観色調が、赤色系から青色系の干渉色調になる単分散及び
多層薄膜が提案されている。また、その単分散酸化チタンの粒子径を制御することでその
大きさに応じて、その外観干渉光色調が赤系から青系に自在に調整できる単分散酸化チタ
ンの薄膜であるとも記載されている。
一方、近年ではコロイド結晶を利用した色材において、Bragg回折に起因して発色
することから、入射光の入射角と観察角の変化によって、その発色が変化してしまう問題
があった。この現象は、オパールの遊色効果として知られているコロイド結晶の特性では
あるが、特定の色を表示するための色材とする場合には問題になってしまう。このような
粒子が整然と配列する「長距離秩序型構造色」と呼ばれ、Bragg反射により見る角度
により虹色に色が変わって見える。そこで、「特許文献2」では、媒体中に分散してなる
単分散微粒子の配列構造を、アモルファス構造にすることで局所的にはある程度秩序があ
るが全体的には構造が不安定な「短距離秩序型構造色」では、角度に依存しない単色構造
色が得られ視野角の広い反射型デバイス開発への応用が期待される。
また、媒体中にシリカ粒子やポリスチレン粒子などの微粒子を利用する系では、その構
造により、レイリー散乱やミー散乱などの光の散乱で全体的に乳白色の淡い構造色となる
ため、「非特許文献1」では、カーボンブラック添加による彩度の向上が行われてきた。
しかしながら、シリカ粒子などの粒子間の相互作用の弱い球状粒子では添加剤を加えるこ
とで、粒子の規則構造が崩れ、充分な着色力向上には繋がらなかった。
更に、「非特許文献1」のカーボンブラック添加による彩度の向上を行う為、粒子の規
則構造が崩れにくい粒子間の相互作用の強い有機系ポリマー微粒子を使用する例が考えら
れる。例えば、カルボキシル基等の静電反発等の相互作用を利用し、着色力の飛躍的な向
上に繋がることも考えられる。しかしながら、粒子相互作用の強い有機ポリマー微粒子は
、ガラス転移温度が低い樹脂が汎用的には多く、安価な条件で構造色を呈する微粒子膜を
提供する為には、上記ガラス転移温度の低い樹脂を塗工乾燥後も微粒子膜状態を維持させ
た微粒子膜を提供する必要がある。
以上のような状況下にあって、従来から染料や顔料を用いない粒径が一様な透明材料から
なる微粒子すなわち単分散微粒子を規則的に配列させることで、その微粒子配列による光
の干渉が起き、このような積層構造体に係わる特有の干渉色調(反射光色)を呈する光色
部材が多く報告されている。また、粒子サイズの揃った粒子間相互作用の比較的強い有機
ポリマー微粒子などの単分散球状微粒子分散体に、カーボンブラックを添加する方法等で
彩度の向上が行われてきた。しかしながら、汎用的な有機ポリマー球状微粒子分散体(エ
マルジョン)のガラス転移温度は低く、分散体の状態では有彩色を呈していても、乾燥さ
せると粒子が溶融し、有彩色を有する微粒子膜を作成することは非常に困難であった。
特開2001−206719号公報 特許第5274164号
Y.Takeoka:J.Mater.Chem.C,1,6059(2013).
本発明の目的は、微粒子膜に関し、より詳細には有彩色の染料及び/又は顔料等で着色
されていない微粒子膜であって、太陽光もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感
される垂直反射光が、乳白色の淡い構造色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、
緑(G)及び黄(Y)等の色みの構造色を明確に視感させる微粒子膜の製造方法を提供す
ることを目的とする。
また本発明の他の目的は、ガラス温度が低い汎用的な有機ポリマー球状微粒子分散体を
塗工し、乾燥させた後も球状微粒子形状を維持した微粒子膜の製造方法を提供することで
ある。
すなわち本発明は、ガラス転移温度が20℃以下の有機ポリマー球状微粒子分散体と、
ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂と、水系溶剤とを含む樹脂組成物を、基材に塗工し、
乾燥させることを特徴とする微粒子膜の製造方法に関する。
また本発明は、微粒子膜が構造色を呈する着色膜であることを特徴とする上記微粒子膜
の製造方法に関する。
また本発明は、樹脂組成物におけるハイドロゲル能を有する水溶性樹脂の含有量が、樹
脂組成物中の固形分に対し1.0質量%以上であることを特徴とする上記微粒子膜の製造
方法に関する。
また本発明は、前記有機ポリマー球状微粒子分散体が、アクリル系有機ポリマー球状微
粒子分散体であることを特徴とする上記微粒子膜の製造方法に関する。
また本発明は、前記有機ポリマー球状微粒子の平均粒子径が100nm〜600nmの
範囲にあり且つ粒子径の変動係数Cv値が30%以下のアクリル系有機ポリマー球状微粒
子であることを特徴とする上記微粒子膜の製造方法に関する
また本発明は、前記有機ポリマー球状微粒子分散体が、球状微粒子に対して黒色系無彩
物を0.001質量%以上含有する球状微粒子分散体であることを特徴とする上記微粒子
膜の製造方法に関する。
また本発明は、前記有機ポリマー球状微粒子分散体が、黒色系無彩色で着色させた球状
微粒子であることを特徴とする上記微粒子膜の製造方法に関する。
また本発明は、上記微粒子膜の製造方法により得られる微粒子膜に関する。
本発明の微粒子膜、より詳細には有彩色の染料及び/又は顔料等で着色されていない微
粒子膜によって、太陽光もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射
光が、乳白色の淡い構造色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、緑(G)及び黄
(Y)等の色みの構造色を明確に視感させる微粒子膜の製造方法を提供することができた
また、ガラス転移温度が20度以下の汎用的な有機ポリマー球状微粒子分散体を塗工し
、乾燥させた後も球状微粒子形状を維持した微粒子膜の製造方法を提供することができた
以下に、本発明の構造色を呈する微粒子膜の製造方法について更に説明する。
既に上述した如く、本発明による微粒子膜の製造方法では、有彩色の染料及び/又は顔
料等で着色されていないガラス転移温度が20℃以下の有機ポリマー球状微粒子分散体と
、ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂と、水系溶剤とを含む樹脂組成物を、基材に塗工し
、乾燥させた微粒子膜を製造することで、乾燥後も粒子が溶融することなく、球形形状を
維持し、更にその微粒子膜の太陽光もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感され
る垂直反射光が、乳白色の淡い構造色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、緑(
G)及び黄(Y)等の色みの構造色を明確に視感させる微粒子膜の製造方法を構築するこ
とができるものである。
また、このような特徴を有する本発明の構造色を呈する微粒子膜が発色する有彩光色種が
、この有機ポリマー球状微粒子の明確な所定の粒子径との係わりを有し、しかも、恰も光
源色のように発色する構造色であることが顕著な特徴である。
そこで、本発明において用いても良い黒色系無彩物は、この反射光色の色みをより鮮明に
させることから、好ましくは、マンセル色標におけるこの明度が5以下、更に好ましくは
3以下の色みの無い黒色系無彩物である。
本発明において、黒色系無彩物とは、具体的に、カーボンブラック(アセチレンブラック
、ケッチェンブラック、ファーネスブラック)、油煙、黒鉛、黒染料(ニグロシン、アジ
ン他)、イカ墨、墨汁、インスタントコーヒー粉末などが挙げられ、また、黒色系無彩色
の有機ポリマー又は無機ポリマーの粒子なども含む。ただし、本発明で使用する黒色系無
彩物は上記例のこれらに限定されるものではない。
また、このような特徴を有する本発明による有機ポリマー球状微粒子は、体積基準で表さ
れる平均粒子径が100〜600nmの範囲にある特定の粒子径を有している。その有彩
光色をより鮮明に発色させる観点から、好ましくは、この平均粒子径が150〜350n
mの範囲にあることが好適である。
また、既に上述する如く、このような特徴を有する本発明による粒子状分散体もしくは積
層物として微粒子膜は、恰も規則的整合した粒子によって、結晶格子面を形成しているよ
うに観察される。従って、その表面に照射される可視光が、この粒子状格子面(粒子状積
層物面)に係わって回折干渉して反射される反射効率が、光発色部材の発色する色みに及
ぼすことから、好ましくは、この有機ポリマー球状微粒子が単分散粒子であることが好適
である。
そこで、本発明においては、その単分散性を表す粒子径の均斉度であるCv値が、30%
以下であって、反射光色の色みの濃さ、鮮明さから、より好ましくは20%以下の単分散
粒子であることが好適である。
また、本発明で用いる黒色無彩色で着色させた有機ポリマー球状微粒子は、体積基準で
表される平均粒子径が100〜600nmの範囲にある有機ポリマー球状微粒子に、予め
黒色染料や顔料等の黒色系無彩物で着色された有機ポリマー球状微粒子であっても良い。
ここで挙げる黒色系無彩物とは、既に上述した如く、マンセル色標におけるこの明度が
5以下、更に好ましくは3以下の色みの無い黒色系無彩物である。ただし、本発明で使用
する黒色系無彩色はこれらに限定されるものだけではない。
また、本発明においては、この粒子状分散体もしくは積層物は、好ましくは厚さ方向の規
則配列が、少なくとも2配列以上であることが、垂直反射光色をより鮮明に、より深みの
ある色みの構造色を呈するのに有効である。
そこで、本発明による構造色を呈する微粒子膜の原料である粒子状分散液もしくは積層物
を形成する、例えば、有機ポリマー球状微粒子に係わる表面に、可視光線が照射されて視
感されるその垂直反射光色は、例えば、紫色系、青色系、緑色系、黄色系及び赤色系等の
色みの垂直反射光色である。
<Cv値:変動係数>
また、本発明においては、その単分散性を表す粒子径の均斉度であるCv値が、30%以
下(より好ましくは10%以下、更に詳しくは1〜5%)である必要がある。このような
粒子径のCv値が30%を超える微粒子は、粒径のばらつきが大きいため、アモルファス
構造を形成した際の短距離秩序構造を形成することが困難となる傾向にある。また、ここ
にいう「粒子径のCv値」は、下記式で定義される値(単位:%)をいう。

[Cv値]=([粒子径の標準偏差]/[平均粒子径])×100
このような単分散微粒子の平均粒子径及び粒子径の標準偏差は、日機装株式会社の粒度分
布測定器Microtrac(ナノトラックWave)を用いて、粒径分布をヒストグラムで表し、
粒径分布をCv値で算出して求めることが出来る。Cv値とは粒子径の均一さを表す値で
、平均粒径dで標準偏差σを割った値、すなわち、変動係数である。
<平均粒子径>
また、本発明における有機ポリマー球状微粒子の粒子径は、日機装株式会社の粒度分布測
定器Microtrac (ナノトラックWave)を用いて、算出した値である。
具体的には、粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カ
ーブが50%となる点の粒子径を50%径(μm)とし、その50%径は累積中位径(M
edian径)として一般的に粒子径分布を評価するパラメータであり、その値を平均粒
子径として用いた。
<有機ポリマー球状微粒子 設計Tg算出方法>
調整された有機ポリマー球状微粒子(エマルション)のTg(以下、粒子Tgと表記する
)は個々の樹脂Tgを用い、Foxの式(式1)で算出した。

1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2・・・・(式1)

Tg1,Tg2:成分1,2のTg(K)
w1、w2 :成分1,2の重量分率
例えば、モノマー組成として、アクリル酸−2−エチルヘキシル(50%、218K)、
スチレン(45%、373K)、アクリル酸(5%、379K)での有機ポリマーの場合
は、Tg(K)=275K=3℃
本発明で用いる有機ポリマー球状微粒子は、液状の媒体が水である場合、静電斥力の強い
アクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体が好ましく、また同様の斥力の強いポリスチレ
ンも好ましい。特に、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基等を有するアクリル系有機
ポリマー球状微粒子等、表面電荷を持った帯電性のアクリル系有機ポリマー球状微粒子が
好ましい。
以上のような特徴を発揮する本発明の構造色を呈する微粒子膜の原料である粒子状分散媒
もしくは積層物に係わって、この有機ポリマー球状微粒子として、必ずしも以下に記載す
るポリマー種に特定されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリ
ル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、テトラフルオロエチレンン
、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリベンジルメタアクリレート、ポリフェニレンメタ
クリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリス
チレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。本発明においては、既
に上述した如く太陽光等の自然光又は白色光の照射下に、その可視光波長領域光に係わる
光発色部材の反射光色を視感することから、そのポリマー樹脂は、特に耐候性に優れて樹
脂自体が、光劣化変色を起こし難い耐候性に優れていることも重要である。このような観
点から、好ましくは、従来から周知の事実である耐候性に優れる(メタ)アクリル系、(
メタ)アクリル−スチレン系、フッ素置換(メタ)アクリル系及びフッ素置換(メタ)ア
クリル−スチレン系から選ばれる有機ポリマー微粒子が適宜好適に使用される。
そこで、モノマー種で表す樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリ
ル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリ
ル酸イソプロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸イソブチル,(メタ
)アクリル酸ペンチル,(メタ)アクリル酸ヘキシル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘ
キシル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル
酸ノニル,(メタ)アクリル酸デシル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル
酸フェニル,(メタ)アクリル酸メトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシエチル,
(メタ)アクリル酸プロポキシエチル,(メタ)アクリル酸ブトキシエチル,(メタ)ア
クリル酸エトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ
)アクリルアミド,N-メチロール(メタ)アクリルアミド及びジアセトンアクリルアミド
等の(メタ)アクリルアミド類並びにグリシジル(メタ)アクリレート;エチレングリコ
ールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ジエチルグリコールのジ(メタ)アクリル酸エス
テル,トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ポリエチレングリコー
ルのジ(メタ)アクリル酸エステル,ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エ
ステル,トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル等の(ポリ)アルキ
レングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。また、上述
する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他のモノマーとしては、例えば、スチレン,
メチルスチレン,ジメチルスチレン,トリメチルスチレン,エチルスチレン,ジエチルス
チレン,トリエチルスチレン,プロピルスチレン,ブチルスチレン,ヘキシルスチレン,
ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン,クロル
スチレン,ブロモスチレン,ジブロモスチレン,クロルメチルスチレン等のハロゲン化ス
チレン;ニトロスチレン,アセチルスチレン,メトキシスチレン等のスチレン系モノマー
を挙げることができる。更に、スチレン系モノマー以外の他のモノマーとして、例えば、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー
;酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,n−酪酸ビニル,イソ酪酸ビニル,ピバリン酸ビニ
ル,カプロン酸ビニル,パーサティック酸ビニル,ラウリル酸ビニル,ステアリン酸ビニ
ル,安息香酸ビニル,p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル等のビニルエス
テル類;塩化ビニリデン、クロロヘキサンカルボン酸ビニル等が挙げられる。更にはまた
、必要に応じて、官能基を有するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸、テトラ
ヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネ
ンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の
不飽和カルボン酸が挙げられ、また、これらの誘導体として、無水マレイン酸、無水イタ
コン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、また、例えば、水酸基(OH;ヒドロキシル
基)を有するモノマーとしては、1,1,1−トリヒドロキシメチルエタントリ(メタ)
アクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルメチルエタントリ(メタ)アクリレ
ート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート,ヒドロ
キシビニルエーテル,ヒドロキシプロピルビニルエーテル,ヒドロキシブチルビニルエー
テル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,ジエチレングリコールモノ(メタ)
アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの単独
又は2種以上の複合モノマーを適宜好適に使用することができる。更にはまた、(メタ)
アクリル酸の部分又は完全フッ素置換系モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸ト
リフルオロメチルメチル,(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル,(メタ
)アクリル酸−2−パ−フルオロメチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロ
エチル−2−パ−フルオロブチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル
,(メタ)アクリル酸パ−フルオロメチル,(メタ)アクリル酸ジパ−フルオロメチルメ
チル等のフッ素置換(メタ)アクリル酸モノマー(又はフルオロ(メタ)アルキルアクリ
レート)が挙げられ、また、フルオロエチレン、ビニリデンフルオリド、テトラフルオロ
エチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ-2,2-ジ
メチル-1,3-ジオキソール等のフロオロオレフィンが挙げられる。本発明においては、こ
れらの単独重合体、又は他の重合性モノマーとの共重合体であってもよい。
また、本発明に用いる有機ポリマー球状微粒子は、上述する如く、黒色系無彩物を有機ポ
リマー球状微粒子に対して、0.001質量%以上添加する以外に、必要に応じて予め他
の添加剤として、例えば、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、帯電付与剤、
界面活性剤、分散安定剤、消泡剤、安定剤、等を目的用途等に応じて適宜添加させること
ができる。
そこで、これらの重合性モノマーを用いて本発明による微粒子膜を調製させる平均粒子径
(d)が100〜600nmの範囲にある有機ポリマーの球状微粒子は、通常、一般的に
用いられているソープフリー乳化重合、乳化重合、懸濁重合等で適宜調製することができ
る。
例えば、ソープフリー乳化重合では、通常、用いる重合開始剤として、過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩が重合時に水性媒体に可溶であればよい。通常、重合単
量体100質量部に対して、重合開始剤を0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜2質
量部の範囲で添加すればよい。また、乳化重合法の場合では、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリエチレングリコールノニルフェニ
ルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル等の乳化剤を重合単量体100
質量部に対して、通常、0.01〜5質量部、好ましくは0.1〜2質量部で水性媒体に
混合させて乳化状態にし、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩の重合開始
剤を、重合単量体100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜2質
量部で添加すればよい。また、懸濁重合を含め、上記する乳化剤も特に特定する必要がな
く、通常に使用されているアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤又は必要に応じ
てノニオン系界面活性剤等から選んで、その単独又は組合わせて使用することができる。
例えば、アニオン系界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルホネート、ウンデシルベン
ゼンスルホネート、トリデシルベンゼンスルホネート、ノニルベンゼンスルホネート、こ
れらのナトリウム、カリウム塩等が挙げられ、また、カチオン系界面活性剤としてはセチ
ルトリメチルアンモニウムプロミド、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシル
トリメチルアンモニウム等が挙げられ、また、ノニオン系界面活性剤としては、リピリジ
ニウム等が挙げられる。また、反応性乳化剤(例えば、アクリロイル基、メタクロイル基
等の重合性基を有する乳化剤)としては、例えば、アニオン性、カチオン性又はノニオン
性の反応性乳化剤が挙げられ、特に限定することなく使用される。また、乳化剤に係わっ
て従来から、分散性や、着色粒子の粒子径が大きくなる傾向からアニオン性の反応性乳化
剤が好適に使用され、例えば、スルホン酸(塩)型、カルボン酸(塩)型、リン酸エステ
ル型等が挙げられ、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフ
ェニルエーテルの硫酸塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルエーテルの硫酸エステル
塩等が挙げられる。
本発明で使用する黒色系無彩物は、反射光色の色みをより鮮明にさせることから、好まし
くは、この明度が5以下、更に好ましくは3以下の色みの無い黒色系無彩物である。具体
的には、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラ
ック)、油煙、黒鉛、黒染料(ニグロシン、アジン他)、イカ墨、墨汁、インスタントコ
ーヒー粉末などが挙げられ、また、黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機ポリマーの粒子
なども含む。ただし、本発明で使用する黒色系無彩物は上記例のこれらに限定されるもの
ではない。
本発明で使用する樹脂の有するハイドロゲル能とは、水を内部に含んだゲルとなりうるという意味である。
ゲルとは「あらゆる液体に不溶な三次元構造をもつ高分子物質およびその膨潤体」であり
、 液体が水(水を意味する接頭語"ハイドロ")の場合をハイドロゲルと呼ぶものとする。
ハイドロゲルは、具体的には、コンニャク、寒天、ゼリーのようなものであり、水溶性の
多糖類(糖が結合してできた水溶性の高分子物質)やゼラチンなどのタンパク質が異なる分
子の間で橋かけ(架橋)され、三次元構造を持ったものである。
このようにハイドロゲル能は水溶性樹脂のうち特定の構造を持つ場合に発現するものであ
り、一般的な水性ポリウレタンや水性ポリエステルなどはハイドロゲル能を持たない。
本発明におけるハイドロゲル能を有する水溶性樹脂としては、例えば、合成系ではポリビ
ニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナ
トリウム塩等があり、天然由来では、デンプンやセルロース、キチン・キトサンなどが挙
げられる。ただし、本発明で使用するハイドロゲル能を有する水溶性樹脂は上記例のこれ
らに限定されるものではない。
本発明においてはハイドロゲル能を有する水溶性樹脂を高希釈条件で希釈し、溶解させて
用いる。ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂の固形分濃度としては、全固形分中の20質
量%以下、また好ましくは10質量%以下、更により好ましくは5質量%以下であること
が最適である。
以上から、本発明によって製造される微粒子膜は、構造色を呈する微粒子膜に関し、よ
り詳細には有彩色の染料及び/又は顔料等で着色されていない微粒子膜であって、太陽光
もしくは通常の可視光領域の光が照射されて視感される垂直反射光が、乳白色の淡い構造
色のようなものではなく、赤(R)、青(B)、緑(G)及び黄(Y)等の色みの構造色
を明確に視感させる微粒子膜の製造方法を提供することと、ガラス温度が低い汎用的な有
機ポリマー球状微粒子分散体を塗工し、乾燥させた後も球状微粒子形状を維持した微粒子
膜の製造方法を提供することを目的とし、その構造色を呈する微粒子膜は、各種の用途に
着色材もしくは赤外反射等の光学材料として好適に用いられる。従って、この光発色部材
を単独又は二次加工材として、例えば、電着カラー板、カラーシート、カラーフィルター
、偏光フィルム、インクジェット記録用インク、グラビア印刷用インク、ホログラム部材
、顔料として用いることができる。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例にいささかも限定され
るものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」とは「質量部」を意味する。
<S−1(分散液);光学発色体の分散体の調整(有機ポリマー球状微粒子分散体)>
容量2リットルの四つ口フラスコに、純水300部、乳化剤としてドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム0.55部仕込み、撹拌しながら80℃に加温した。次いで、開始剤
として過硫酸カリウム1.2部を用い、モノマーとしてスチレン45.8部、アクリル酸
2-エチルヘキシル142.6部、アクリル酸8.6部、アクリル酸アミド3.0部の混
合液を、微粒子を形成する重合性モノマー混合物として100分間かけて滴下した。滴下
終了後、さらに2時間重合反応を行った。この乳化重合で得られた分散液(S−1)中に
は、体積基準で表す平均粒子径212.5nmの均一な粒子径を有する球状の白色重合体
粒子を得た。また、重合終了時の水分散媒のpHは3.8であった。その後、28%アン
モニア水溶液(関東化学社製)を約0.13ml添加し、pH=9.5の分散体に調整を
行った。その後、黒色系無彩物(CB:BONJETBLACKCW−1 オリエント化
学工業社製)を上記pH調整後のpH=9.5のアクリル系有機ポリマー球状微粒子及び
黒色系無彩物をアクリル系有機ポリマー球状微粒子に対して、1.0重量%添加した後、
10回手振り分散を行うことで構造色を呈する着色膜を製造するための原料となる有機ポ
リマー球状微粒子分散体を得た。また分散体の固形分濃度は34.5質量%であった。
<A−1;ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂の調整>
容量500ミリリットルビーカーに、純水291.0部、カルボキシメチルセルロース
ナトリウムの白色固体(ダイセルファインケム社、品番:1240)9.0部を仕込み、
300rpmの条件下で5時間撹拌、溶解させた。完全に白色固体が純水に溶解している
ことを確認した後、ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂を得た。
<A−2;ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂の調整>
容量500ミリリットルビーカーに、純水194.0部、ポリエチレングリコールの白
色固体(キシダ化学社、品名:ポリエチレングリコール2000化学用)6.0部を仕込
み、300rpmの条件下で2時間撹拌、溶解させた。完全に白色固体が純水に溶解して
いることを確認した後、ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂を得た。
<A−3;ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂の調整>
容量500ミリリットルビーカーに、純水291.0部、ポリビニルアルコールの白色
固体(クラレ社、品名:PVA117)9.0部を仕込み、300rpmの条件下で2時
間撹拌、溶解させた。完全に白色固体が純水に溶解していることを確認した後、ハイドロ
ゲル能を有する水溶性樹脂を得た。
<A−4;水性ポリウレタン樹脂の調整>
撹拌機及び加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL(登録商標)UH200
(宇部興産製;数平均分子量2000;水酸基価57mgKOH/g;1,6−ヘキサン
ジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、300部)
と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(16.3部)と、イソホロンジイソシアネート
(85.6部)とを、N−エチルピロリドン(135部)中、ジブチル錫ジラウリレート
(0.6部)存在下、窒素雰囲気下で、80〜90℃で5時間加熱した。反応混合物を8
0℃まで冷却し、これにトリエチルアミン(12.3部)を添加・混合し、強撹拌のもと
水(816部)の中に加えた。ついで、35質量%の2−メチル−1,5−ペンタンジア
ミン水溶液(34.7部)を加えて、固形分30質量%の水性ポリウレタン樹脂溶液を得
た。
<A−5;水性ポリエステル樹脂の調整 >
[ポリエステル樹脂B−1]
酸成分として、テレフタル酸24.7部、イソフタル酸10.6部、アジピン酸5.5部
、エチレングリコール7.8部、ネオペンチルグリコール22.1部をオートクレーブ中に
仕込んで、260℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。ついで、触媒として
三酸化アンチモン0.02部を添加した後、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐
々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系
を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、250℃になったところで無水トリメリット酸
1.2部を添加し、250℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒
素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャー
で粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂B−1
を得た。
次に、ジャケット付きの、密閉が可能なガラス容器(内容量500mL)と、攪拌機(
東京理科器械社製、MAZELA NZ−1200)を用いて、ポリエステル樹脂B−1
を30.0部、イソプロピルアルコールを18.0部、トリエチルアミンを1.0部、蒸留
水を51.0部それぞれガラス容器内に仕込み、攪拌翼(3枚プロペラ)の回転速度を3
00rpmに保って攪拌しながら、ジャケット内に熱水を通して加熱した。つづいて、系
内温度を71〜75℃に保ってさらに1時間分散工程をおこなった。その後、ジャケット
内に冷水を通し、回転速度を200rpmに下げて攪拌しつつ、25℃まで冷却した。得
られた水性分散体を、1000メッシュのステンレス製フィルターで濾過し、固形分濃度
30.6質量%の水性ポリエステル樹脂溶液を99.0部得た。
<実施例1>
容量500mlビーカーに得られた有機ポリマー球状微粒子分散体(S−1)の球状微
粒子分散体80.0部、ハイドロゲル分散体(A−1)20.0部を加え、140rpm
の条件下で30分撹拌分散させた。(ハイドロゲルの原料となる固形粉末は前記有機ポリ
マー球状微粒子に対して、2.2質量%である。)その後、調整した分散液をフィルムア
プリケーター装置(DKSHジャパン株式会社製)を用いて、IJ紙(KA5100AP
/エプソン社製)基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように着色組成物をバーコータ
ーNo.12(第一理化社製)で塗布し、真空乾燥器(ヤマト科学社製、DP410)を
用いて、40℃で12時間真空減圧乾燥を行った。乾燥終了後、青色を呈する塗工膜を得
た。
<実施例2>
容量500mlビーカーに得られた有機ポリマー球状微粒子分散体(S−1)の球状微
粒子分散体80.0部、ハイドロゲル分散体(A−1)9.2部を加え、140rpmの
条件下で30分撹拌分散させた。(ハイドロゲルの固形粉末は前記有機ポリマー球状微粒
子に対して、1.0質量%である。)その後、調整した分散液をフィルムアプリケーター
装置(DKSHジャパン株式会社製)を用いて、IJ紙(KA5100AP/エプソン社
製)基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように着色組成物をバーコーターNo.12
(第一理化社製)で塗布し、真空乾燥器(ヤマト科学社製、DP410)を用いて、40
℃で12時間真空減圧乾燥を行った。乾燥終了後、青色を呈する塗工膜を得た。
<実施例3>
容量500mlビーカーに得られた有機ポリマー球状微粒子分散体(S−1)の球状微
粒子分散体80.0部、ハイドロゲル分散体(A−1)4.6部を加え、140rpmの
条件下で30分撹拌分散させた。(ハイドロゲルの固形粉末は前記有機ポリマー球状微粒
子に対して、0.5質量%である。)その後、調整した分散液をフィルムアプリケーター
装置(DKSHジャパン株式会社製)を用いて、IJ紙(KA5100AP/エプソン社
製)基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように着色組成物をバーコーターNo.12
(第一理化社製)で塗布し、真空乾燥器(ヤマト科学社製、DP410)を用いて、40
℃で12時間真空減圧乾燥を行った。乾燥終了後、青色を呈する塗工膜を得た。
<実施例4>
容量500mlビーカーに得られた有機ポリマー球状微粒子分散体(S−1)の球状微
粒子分散体80.0部、ハイドロゲル分散体(A−2)20.0部を加え、140rpm
の条件下で30分撹拌分散させた。(ハイドロゲルの固形粉末は前記有機ポリマー球状微
粒子に対して、2.2質量%である。)その後、調整した分散液をフィルムアプリケータ
ー装置(DKSHジャパン株式会社製)を用いて、IJ紙(KA5100AP/エプソン
社製)基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように着色組成物をバーコーターNo.1
2(第一理化社製)で塗布し、真空乾燥器(ヤマト科学社製、DP410)を用いて、4
0℃で12時間真空減圧乾燥を行った。乾燥終了後、青色を呈する塗工膜を得た。
<実施例5>
容量500mlビーカーに得られた有機ポリマー球状微粒子分散体(S−1)の球状微
粒子分散体80.0部、ハイドロゲル分散体(A−3)20.0部を加え、140rpm
の条件下で30分撹拌分散させた。(ハイドロゲルの固形粉末は前記有機ポリマー球状微
粒子に対して、2.2質量%である。)その後、調整した分散液をフィルムアプリケータ
ー装置(DKSHジャパン株式会社製)を用いて、IJ紙(KA5100AP/エプソン
社製)基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように着色組成物をバーコーターNo.1
2(第一理化社製)で塗布し、真空乾燥器(ヤマト科学社製、DP410)を用いて、4
0℃で12時間真空減圧乾燥を行った。乾燥終了後、青色を呈する塗工膜を得た
<比較例1>
有機ポリマー球状微粒子分散体(S−1)20.0部をフィルムアプリケーター装置(
DKSHジャパン株式会社製)を用いて、IJ紙(KA5100AP/エプソン社製)基
板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように着色組成物をバーコーターNo.12(第一
理化社製)で塗布し、真空乾燥器(ヤマト科学社製、DP410)を用いて、40℃で1
2時間真空減圧乾燥を行った。乾燥終了後、黒色を呈する樹脂塗工膜を得た。
<比較例2>
容量500mlビーカーに得られた有機ポリマー球状微粒子分散体(S−1)の球状微
粒子分散体80.0部、水性ポリウレタン樹脂(A−4)2.0部を加え、140rpm
の条件下で30分撹拌分散させた。(ハイドロゲルの固形粉末は前記有機ポリマー球状微
粒子に対して、2.2質量%である。)その後、調整した分散液をフィルムアプリケータ
ー装置(DKSHジャパン株式会社製)を用いて、IJ紙(KA5100AP/エプソン
社製)基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように着色組成物をバーコーターNo.1
2(第一理化社製)で塗布し、真空乾燥器(ヤマト科学社製、DP410)を用いて、4
0℃で12時間真空減圧乾燥を行った。乾燥終了後、黒色を呈する樹脂塗工膜を得た。
<比較例3>
容量500mlビーカーに得られた有機ポリマー球状微粒子分散体(S−1)の球状微
粒子分散体80.0部、水性ポリウレタン樹脂(A−5)2.0部を加え、140rpm
の条件下で30分撹拌分散させた。(ハイドロゲルの固形粉末は前記有機ポリマー球状微
粒子に対して、2.2質量%である。)その後、調整した分散液をフィルムアプリケータ
ー装置(DKSHジャパン株式会社製)を用いて、IJ紙(KA5100AP/エプソン
社製)基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように着色組成物をバーコーターNo.1
2(第一理化社製)で塗布し、真空乾燥器(ヤマト科学社製、DP410)を用いて、4
0℃で12時間真空減圧乾燥を行った。乾燥終了後、黒色を呈する樹脂塗工膜を得た。
<微粒子膜の評価>
ガラス転移温度が20℃以下の有機ポリマー球状微粒子分散体(S−1)中の球状微粒
子と、各実施例、比較例の条件下で塗工した微粒子膜を、40℃12時間真空減圧下乾燥
させた後、粒子形状(球状微粒子)を維持しているかどうかの確認を走査型電子顕微鏡(
SEM)で評価した。
40℃12時間真空減圧乾燥後の樹脂粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観測を
行った。測定部位は異なる3回をランダムに測定し、その平均値を評価結果とした。
評価方法としては、走査型顕微鏡(SEM)30,000倍で観測したときの粒子形状(
球状微粒子)を維持した塗工膜の割合が全体の70%以上◎、20%以上70%未満を○
、5%以上20%未満を△、5%未満を×として評価した。
<塗工膜の発色評価試験>
評価は、上記で調整した実施例1〜5、比較例1〜3の分散液における発色性を分光反射
率(%R)スペクトルで評価した。具体的には、各種、調整した分散媒を石英セル(S2
0曲底標準セル/ジーエルサイエンス社製)に6.0ml加え、所定の分光光度計(日立
分光光度計/U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて反射率(%R)スペク
トル測定を行った。評価結果においては、粒子径に応じた目的の最大反射スペクトルの反
射率/分光反射率のベースラインの反射率コントラストが25以上を◎、5〜14を○、
2〜4を△、1以下を×とした。
分光反射率のベースラインの反射率は、検出器が設置された球の内面に直径30mmの円
状、厚さ10mmの硫酸バリウムの白色盤を用いてベースライン補正を行い、粒子径に応
じた目的の最大反射スペクトルの反射率をそれとした。
以上の微粒子膜の評価と塗工膜の発色評価試験結果を表1に示した。(実施例1〜5、比
較例1〜3)
Figure 0006511915
[実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた微粒子膜の評価]
表1の微粒子膜の評価結果より、実施例1〜5では、ガラス転移温度が−25℃の有機
ポリマー球状微粒子分散体に対して、ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂(カルボキシメ
チルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール)と水系溶
剤を含む樹脂組成物を基材に塗工し、所定の条件下(12時間真空減圧乾燥)で乾燥させ
た微粒子膜は、乾燥後も球状微粒子を維持した微粒子膜がSEMより確認できた。
これは、ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂を、上記ガラス転移温度の低い有機ポリマ
ー球状微粒子分散体に対して、所定量以上添加することで、上述する乾燥条件下で乾燥さ
せた後も、ごく僅かな水が樹脂微粒子膜中の高分子鎖の橋かけされた3次元網目構造内に
取り込まれたことが主要な原因であると考えられる。
その為、ガラス転移温度の低い有機ポリマー球状微粒子であっても残水する僅かな水が
存在する事で、球状微粒子状態を維持し、融着しなかったと考えられる。
[実施例1〜5及び比較例1〜3で得られ塗工膜の発色評価]
上述するが如く、コロイド結晶(球形微粒子)を用いた微粒子膜で構造色を有する為に
は、縦・横方向に規則的に配列する球状微粒子の形成が重要である。
上記観点において、実施例1〜5では球形微粒子が乾燥後も融着せずに、そのままの形
状を維持していた為、所定の乾燥条件下で塗工した微粒子膜がBragg反射の原理より
、構造発色を発現させたと推測される。
以上から、本発明の微粒子膜の製造方法では、ガラス転移温度が20℃以下の有機ポリ
マー球状微粒子とハイドロゲル能を有する水溶性樹脂と、水系溶剤とを含む樹脂組成物を
、基材に塗工し、乾燥させた後も微粒子形状を維持できることが確認できる。また、上記
のことから、ガラス転移温度の低い有機ポリマー球状微粒子であっても構造色を呈する着
色膜を提供できるという利点がある。
以上から、本発明によって製造された微粒子膜は、ガラス転移温度が20℃以下の有機
ポリマー球状微粒子とハイドロゲル能を有する水溶性樹脂と、水系溶剤とを含む樹脂組成
物を、基材に塗工し、乾燥させた後も微粒子が溶融することなく、球形状態を維持した微
粒子膜を提供することができる。その為、ガラス転移温度の低い有機ポリマー球状微粒子
であっても、通常の太陽光もしくは可視光の照射下によって反射される垂直反射光色が構
造色として明確な有彩色を有する微粒子膜を提供することができる。
また、その有彩色を呈する微粒子膜は、各種の用途に着色材もしくは赤外反射等の光学
材料として好適に用いられる。従って、この光発色部材を単独又は二次加工材として、例
えば、反射型ディスプレイ、変色センサー、偽造防止剤、電着カラー板、カラーシート、
カラーフィルター、偏光フィルム、インクジェット記録用インク、グラビア印刷用インク
、ホログラム部材、顔料として用いることができる
また、特に、本発明の製造方法によって得られる微粒子膜は、紫外線又は赤外線照射に
対する特性反射スペクトルに基づく紫外線又は赤外線反射を発揮させることから、各種の
形状の新規な紫外線又は赤外線遮熱材料を提供することができる。

Claims (7)

  1. ガラス転移温度が20℃以下の有機ポリマー球状微粒子分散体と、ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂と、水系溶剤とを含む樹脂組成物、基材に塗工された微粒子膜であって、
    前記有機ポリマー球状微粒子分散体が、球状微粒子に対して黒色系無彩物を0.001質量%以上含有する球状微粒子分散体であり、
    前記水溶性樹脂が、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む
    ことを特徴とする微粒子膜
  2. 微粒子膜が構造色を呈する着色膜であることを特徴とする請求項1記載の微粒子膜
  3. 樹脂組成物におけるハイドロゲル能を有する水溶性樹脂の含有量が、樹脂組成物中の固形分に対し1.0質量%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の微粒子膜
  4. 前記有機ポリマー球状微粒子分散体が、アクリル系有機ポリマー球状微粒子分散体であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の微粒子膜
  5. 前記有機ポリマー球状微粒子の平均粒子径が100nm〜600nmの範囲にあり且つ粒子径の変動係数Cv値が30%以下のアクリル系有機ポリマー球状微粒子であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の微粒子膜
  6. 前記有機ポリマー球状微粒子分散体が、黒色系無彩色で着色させた球状微粒子であることを特徴とする請求項1〜いずれか記載の微粒子膜
  7. ガラス転移温度が20℃以下の有機ポリマー球状微粒子分散体と、ハイドロゲル能を有する水溶性樹脂と、水系溶剤とを含む樹脂組成物を、基材に塗工し、乾燥させる微粒子膜の製造方法であって、
    前記有機ポリマー球状微粒子分散体が、球状微粒子に対して黒色系無彩物を0.001質量%以上含有する球状微粒子分散体であり、
    前記水溶性樹脂が、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む
    ことを特徴とする微粒子膜の製造方法
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