JP2017160371A - 有彩色微粒子カプセル - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、簡便な方法で作成可能な有彩色微粒子カプセルを提供することを目的とする。
【解決手段】壁材と、包含物と含んでなる、有彩色微粒子カプセルであって、
前記壁材が、水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネートとの反応物であり、
前記包含物が、構造色を呈する微粒子を含むことを特徴とする有彩色微粒子カプセル。
水溶性多官能アミン(c1)が、2官能のアミンを、水溶性多官能アミン(c1)全体の50重量%以上の含むことを特徴とする、上記有彩色微粒子カプセル。
非水溶性多官能イソシアネートが、3官能以上のイソシアネートを、非水溶性多官能イソシアネート全体の50重量%以上含むことを特徴とする、上記有彩色微粒子カプセル。
微粒子が、アクリル系ポリマー微粒子を含み、アクリル系ポリマー微粒子の酸価が10〜70mgKOH/gであることを特徴とする上記有彩色微粒子カプセル。
【選択図】なし

Description

本発明は、構造色として明確な有彩色を呈する有彩色微粒子カプセルに関する。
構造色とは、光の波長あるいはそれ以下の微細構造による発色現象を指し、身近な例にはコンパクトディスクやシャボン玉、モルフォ蝶、玉虫などから観察される。
近年、構造色を発するような規則的な周期構造を人工的に作成する開発が進められている。中でもシリカ微粒子やポリマー微粒子を規則的に構造化させたコロイド結晶による構造色は微粒子合成の簡便さから注目されている。
微粒子を規則的に構造化させる方法として、微粒子分散体の乾燥過程での自己集積化を利用した方法と、分散液状態での微粒子間の反発を利用した方法の代表的な二つの方法が知られている。乾燥過程での自己集積化を利用した方法は、簡便ではあるものの、得られる構造が媒体の乾燥条件や微粒子の均一性に依存するため、制御が難しいという欠点がある。(特許文献1)また、分散液状態での微粒子間の反発を利用した方法は、反発の強度を微粒子の媒体中での濃度や分散液の電気伝導度を制御することで微粒子の規則的な配列を達成することができるが、分散液の流動性を有するため、微細なセルに注入して使用しなければならないなど、実用面に課題がある。(特許文献2、非特許文献1)
特許文献3には、多層構造を有する樹脂微粒子の水分散体の液滴表面を、マイクロ流路を用いてUV硬化性のモノマーで被覆し、これを硬化させることで有彩色微粒子分散体カプセルが得られることが報告されている。しかし、この方法では、使用したUVモノマーによって微粒子の分散構造を破壊してしまう可能性やマイクロ流路を用いる必要があるため、生産性が悪いという課題がある。
以上のように、微粒子を規則的に構造化させることで有彩色を発現させる方法が様々検討されているが、制御の難しさや、実用性、生産性に課題が残されている。
特開2009−229945号公報 特開2005−060653号公報 国際公開番号 WO2013/082597
「美しいコロイドと界面の世界」まつお出版刊 2001年
本発明は、簡便な方法で作成可能な有彩色微粒子カプセルを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、壁材と、包含物と含んでなる、有彩色微粒子カプセルであって、
前記壁材が、水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネートとの反応物であり、
前記包含物が、構造色を呈する微粒子を含むことを特徴とする有彩色微粒子カプセルに関する。
また本発明は、水溶性多官能アミン(c1)が、2官能のアミンを、水溶性多官能アミン(c1)全体の50重量%以上含むことを特徴とする、上記有彩色微粒子カプセルに関する。
また本発明は、非水溶性多官能イソシアネートが、3官能以上のイソシアネートを、非水溶性多官能イソシアネート全体の50重量%以上含むことを特徴とする、上記有彩色微粒子カプセルに関する。
また本発明は、微粒子が、アクリル系ポリマー微粒子を含み、アクリル系ポリマー微粒子の酸価が10〜70mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の有彩色微粒子カプセルに関する。
また本発明は、さらに、包含物が、黒色系無彩物を、微粒子の内部および/または外部に含むことを特徴とする、上記の有彩色微粒子カプセルに関する。
本発明の有彩色微粒子カプセルは、簡便な方法で作成可能であり、優れた有彩色を得ることができる。
以下に、本発明の有彩色微粒子カプセルの特徴について更に説明する。
<有彩色微粒子カプセル(A)>
本発明の有彩色微粒子カプセル(A)は、壁材(C)が、水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネート(c2)をモノマー成分として付加重合反応させた樹脂を含んでなり、構造色を呈する構造を形成している微粒子(b1)を包含することを特徴とする。微粒子(b1)を包含することでカプセルに有彩色を持たせることができる。壁材(C)として水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネート(c2)との付加重合反応物である樹脂を用いることで、構造色を呈する構造を形成している微粒子による発色を維持したまま、簡便にカプセル化を行うことができる。
有彩色微粒子カプセル(A)は特に限定はされないが、例えば、界面重合法を用いることで有彩色微粒子カプセル(A)が容易に作成できる。有彩色微粒子分散体(B)の媒体が水である場合、まず、水溶性多官能アミン(c1)を有彩色微粒子分散体に加え、さらに、水に溶解しないカプセル媒体に非水溶性多官能イソシアネート(c2)を加えたものを、有彩色微粒子分散体(B)に滴下すると、水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネート(c2)が重合して壁材(C)となり、有彩色微粒子分散体カプセル(A)を得ることができる。
有彩色微粒子カプセル(A)は、必ずしも、コアシェルタイプでなくてもよい。カプセル内部に1つ以上の隔壁が存在し、カプセル内の分散体が一体となっていなくてもよい。
<有彩色微粒子分散体(B)>
本発明の有彩色微粒子分散体(B)は、微粒子(b1)と媒体(b2)を有し、媒体(b2)中で微粒子(b1)が規則的な構造をとることで構造色による有彩色を示しているものを示す。多くの場合、有彩色微粒子カプセル(A)中は、構造色を呈する構造を形成している多数の微粒子(b1)からなる分散体を包含する。しかし、カプセル(A)が、1個の微粒子(b1)を含む場合を排除するものではない。カプセル(A)は、構造色を呈するが、いわゆる分散体といわれる状態の微粒子を含んでいない場合がある。
<微粒子(b1)>
本発明において微粒子(b1)は、媒体(b2)に溶解せず、分散して存在している、平均粒子径が100〜400nmの粉体を示す。微粒子(b1)の平均粒子径が上記の範囲内であることで、可視領域での有彩色を得ることができる。
有彩色は微粒子(b1)の取る規則的な構造により得られることから、微粒子(b1)の粒子径はなるべく均一であることが望ましい。本発明において、微粒子(b1)の粒子径のばらつきの指標である変動係数Cv値が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。変動係数Cv値が30%より大きい場合、微粒子(b1)の取る構造の規則性を十分に得ることができず、有彩色を得ることができない可能性がある。
なお、本発明における平均粒子径とは、粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたときの、累積カーブが50%となる累積中位径のことを指し、動的光散乱法により測定できる。
動的光散乱法による平均粒子径の測定は、以下のようにして行うことができる。微粒子(b1)は、重量が500〜2000倍となるように水に分散しておく。該分散液約5mlを測定装置[(株)日機装製マイクロトラック]のセルに注入し、サンプルに応じた溶剤(本発明では水)およびポリマーの屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた累積中位径の値を平均粒子径とする。
また、本発明においては、粒子径の均斉度を表す変動係数Cv値は下記式で定義される値のことを指し、平均粒子径と同様、動的光散乱法によって測定できる。

[Cv値]=([粒子径の標準偏差]/[平均粒子径])
微粒子(b1)としては、例えば、アクリル樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエステル微粒子、ポリオレフィン微粒子、ポリエーテル微粒子、ナイロン樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、ポリアミド微粒子、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、これらの共重合体や複合体を用いることができる。
本発明では、微粒子(b1)として、分子内に(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーをモノマー成分として有するアクリル系樹脂微粒子を用いることが好ましい。アクリル酸系モノマーをモノマー成分として有することにより、太陽光等の自然光又は白色光の照射下において、光劣化変色を起こしにくい、耐候性に優れた有彩色を得ることができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」から選ばれる少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキル、
(メタ)アクリル酸フェニル等の芳香族(メタ)アクリル酸エステル、
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等の置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパ−フルオロメチルメチル、フルオロエチレン、ビニリデンフルオリド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールの(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素置換系モノマー;
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル類等の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等のカルボン酸基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーや、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等の無水カルボン酸基を有するモノマーや、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基を有するモノマーや、1,1,1−トリヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーなどの、官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
本発明では、アクリル系ポリマー微粒子はカプセル化時の規則構造の安定性、重合時の安定性、微粒子の規則構造の誘導の観点から、酸価が10〜70mgKOH/gであることが好ましく、20〜50mgKOH/gであることが更に好ましい。酸価が70mgKOH/gより大きい場合、壁材(C)として用いる水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネート(c2)の共重合体やその単量体である水溶性多官能アミン(c1)と相互作用を持つことにより、安定したカプセル構造が得られない可能性がある。
滴定による酸価の測定は、以下のようにして行うことができる。共栓三角フラスコ中に微粒子約1gを精密に量り採り、体積でトルエン/エタノール=2/1となるように調整した混合液100mlを加えてよく撹拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。乾燥状態の微粒子の値として、酸価(単位:mgKOH/g)を次式により求めた。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
本発明では、アクリル系樹脂微粒子の屈折率調整の観点から、全モノマー成分として屈折率が1.50以上のモノマーを10.0重量%以上有することが好ましく、10.0重量%以上かつ80重量%以下有することがさらに好ましい。本発明では、モノマーの屈折率として、POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION (J.Brandrup, E.H.Immergut, E.A.Grulke)に記載の値を使用した。
屈折率が1.50以上のモノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン、メトキシスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、クロルメチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ペンタブロモフェニル、(メタ)アクリル酸ペンタブロモベンジル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
<媒体(b2)>
本発明では、媒体(b2)は、微粒子(b1)を分散する液状の物質のことを示す。例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの極性溶剤や、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、ノルマルヘキサンなどの非極性溶媒が挙げられる。
<黒色系無彩物(b3)>
本発明では、黒色系無彩物(b3)は色味がなく低明度の物質のことを指し、微粒子(b1)の規則的な構造による発色をより鮮明にさせるために使用する。黒色系無彩物(b3)の明度は5以下であることが好ましく、3以下であることが更に好ましい。黒色系無彩物(b3)としては特に限定はされないが、例えば、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック)、油煙、黒鉛、黒染料(ニグロシン、アジン他)、イカ墨、墨汁などが挙げられる。
本発明では、黒色系無彩物(b3)は微粒子(b1)に対して0.001重量%以上含まれることが好ましい。0.001重量%より少ない場合、黒色系無彩物(b3)による効果が不十分になり、明確な有彩色が得られなくなる可能性がある。また、黒色系無彩物(b3)は微粒子(b1)に対して0.001重量%以上、10重量%以下含まれることが好ましい。黒色系無彩物は微粒子に対して10重量%より多く含まれると、微粒子の取る構造による干渉光も吸収されてしまい、十分な発色が得られない可能性がある。
<その他(b4)>
また本発明の有彩色微粒子分散体(B)には、上記の微粒子(b1)、媒体(b2)、黒色系無彩物(b3)のほかに、必要に応じて、例えば、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、帯電付与剤、界面活性剤、分散安定剤、消泡剤、安定剤等の添加剤を加えることもできる。
<壁材(C)>
有彩色微粒子分散体カプセル(A)の壁材(C)として、水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネート(c2)をモノマー成分として重量で80%以上含有する樹脂が好ましい。このような樹脂を使用することで、カプセル中の有彩色微粒子分散体(B)の規則的な構造を維持したままカプセルを得ることができる。
本発明で、水溶性とは、25℃のイオン交換水に重量で1%の割合で加え、よく撹拌した際に、完全に溶解することを指す。また、非水溶性とは25℃のイオン交換水に重量で1%の割合で加え、よく撹拌したた際に、水と分離し、完全に溶解しないものを指す。
<水溶性多官能アミン(c1)>
本発明で水溶性多官能アミン(c1)とは、分子内に一級及び二級アミノ基を2つ以上有し、水溶性の化合物のことを示す。本発明では、水溶性多官能アミン(c1)のうち80重量%以上が水溶性2官能アミンであることが好ましい。3官能以上の水溶性多官能アミンが20重量%以上である場合、有彩色微粒子分散体(B)の規則的な構造を乱し、有彩色を維持したままのカプセルを得ることができなくなる可能性がある。
水溶性2官能アミンとしては例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ピペラジン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N,2−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−イソプロピル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノシクロヘキサンなどが挙げられる。また、上記したものの二種以上を併用することもできる。
水溶性2官能アミン以外の水溶性多官能アミン(c1)としては例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどが挙げられる。また、上記したものの二種以上を併用することもできる。
<非水溶性多官能イソシアネート(c2)>
本発明で非水溶性多官能イソシアネート(c2)とは、分子内にイソシアネート基を2つ以上有し、非水溶性の化合物のことを示す。本発明では、非水溶性多官能イソシアネート(c2)のうち50%以上が3官能以上の非水溶性多官能イソシアネートであることが好ましい。3官能以上の水溶性多官能アミンが50%より少ない場合、壁材の架橋構造が脆弱になり、カプセル構造が得られなくなる可能性がある。
3官能以上の非水溶性多官能イソシアネートとしては例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジイソシアナートなどの2官能イソシアネートのヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット体などが挙げられる。また、非水溶性多官能イソシアネートとして、プレポリマー化した化合物も用いることができる。また、上記したものの二種以上を併用することもできる。
非水溶性2官能イソシアネートとしては例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジイソシアナートなどが挙げられる。また、上記したものの二種以上を併用することもできる。
有彩色微粒子分散体カプセルの壁材として水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネート(c2)と共重合可能な化合物(c3)をモノマー成分として併用することができる。
水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネート(c2)と共重合可能な化合物(c3)としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールや、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールとジイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオール、多価アルコールのポリエーテル付加物など多官能アルコールポリマーなどが挙げられる。
以上から、水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネートをモノマー成分として有する樹脂を壁材として用い、有彩色微粒子分散体を包含することで、容易に優れた有彩色を示す有彩色微粒子分散体カプセルが得られることがわかる。本発明の有彩色微粒子分散体カプセルは、通常の顔料やエフェクト顔料のように使用することができ、塗料、インクジェット用インキ、カラーフィルター、着色用マスターバッチ、センサー用色材として用いることができる。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例にいささかも限定されるものではない。説明中、特に断らない限り、部は重量部を、%は重量%を表す。
<S−1;有彩色微粒子分散体(B)の調整>
容量2リットルの四つ口フラスコに、純水300重量部、乳化剤としてアデカリアソープSR―10を2.0重量部仕込み、撹拌しながら80℃に加温した。次いで、開始剤として過硫酸カリウム1.2重量部を加え、モノマーとしてアクリル酸6部、スチレン89重量部、メタクリル酸メチル60重量部、アクリル酸ブチル45重量部の混合液を100分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間撹拌しながら80℃に保持した。この乳化重合で得られた微粒子分散体には、微粒子(b−1)が含まれ、その平均粒子径は205nmであった。続いて、この微粒子分散体に黒色系無彩物としてケッチェンブラック(ライオン社製/ライオンペーストW−310A)を、微粒子に対して重量で0.1%となるように加え、目的の有彩色微粒子分散体(S−1)を得た。
<S−2〜5;有彩色微粒子分散体(B)の調整>
容量2リットルの四つ口フラスコに、純水300重量部、乳化剤としてアデカリアソープSR―10を表1に従って加え、撹拌しながら80℃に加温した。次いで、開始剤として過硫酸カリウム1.2重量部を加え、モノマーを表1に従って各種割合で加えた混合液を100分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間撹拌しながら80℃に保持した。この乳化重合で得られた微粒子分散体には、微粒子(b−1)が含まれ、その平均粒子径は100nm〜600nmであった。続いて、この微粒子分散体に黒色系無彩物としてケッチェンブラック(ライオン社製/ライオンペーストW−310A)を、表1に従って加えて、目的の有彩色微粒子分散体(S−2〜5)を得た。
<S−6;有彩色微粒子分散体(B)の調整>
シリカ微粒子分散体(MP-2040 日産化学社製)に黒色系無彩物としてケッチェンブラック(ライオン社製/ライオンペーストW−310A)を、表1に従って加えて、目的の有彩色微粒子分散体(S−6)を得た。
上述のアクリル系ポリマー微粒子(A)のモノマー組成と性状を表1に示す。

Figure 2017160371
AA:アクリル酸(屈折率1.4202)
MAA:メタクリル酸(屈折率1.432)
St:スチレン(屈折率1.5470)
BzMA:メタクリル酸ベンジル(屈折率1.5120)
MMA:メタクリル酸メチル(屈折率1.4140)
BA:アクリル酸ブチル(屈折率1.4180)
2EHA:アクリル酸-2エチルヘキシル(屈折率1.4360)
上記屈折率は、POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION (J.Brandrup, E.H.Immergut, E.A.Grulke)に記載の値を使用した。
<実施例1:有彩色微粒子分散体カプセル(A)の調整>
有彩色微粒子分散体(S−1)95重量部に、イソホロンジアミンを5重量部加え、よく撹拌した。トルエン950重量部にへキサメチレンジイソシアネートビウレット50重量部を加えたものに、これをシリンジを用いて一滴ずつゆっくりと滴下した。滴下終了後、ゆっくりと撹拌しながら室温で6時間保持した。これをメッシュで濾過し、目的の有彩色微粒子分散体カプセル(A)を得た。
<実施例2〜11、比較例1〜2>
有彩色微粒子分散体(S−1〜6)95重量部に表2記載の水溶性多官能アミンおよび/または水溶性ポリオールを、表2記載の割合で、5重量部加え、よく撹拌した。トルエン950重量部に、表2記載の非水溶性多官能イソシアネートを表2記載の割合で、50重量部を加えたものに、これをシリンジを用いて一滴ずつゆっくりと滴下した。滴下終了後、ゆっくりと撹拌しながら室温で6時間保持した。これを、メッシュで濾過し、目的の有彩色微粒子分散体カプセル(A)を得た。この時、比較例1〜2の有彩色微粒子分散体カプセル(A)はカプセルが壊れ、有彩色微粒子分散体(B)が流れ出してしまい、取り出すことができなかった。また、実施例7の有彩色微粒子分散体カプセル(A)は一部カプセルの破裂が見られた。
上述の壁材調整に用いた、モノマーを表2に示す。

表2
Figure 2017160371
<有彩色微粒子分散体(B)の発色評価試験>
上記で調整したS1〜6の有彩色微粒子分散体(B)における発色性を反射スペクトルから評価した。各種調整した分散体を石英セル(S20曲底標準セル/ジーエルサイエンス社製)に6.0ml加え、この反射スペクトルを所定の分光光度計(日立分光光度計/U−4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。各波長における反射率は、検出器が設置された球の内面に直径30mmの円状、厚さ20mmの酸化アルミニウムの白色盤のものを100%として計算した。評価結果においては、構造色による反射率の最大値と構造色によらないベースラインの反射率の差分を反射率のコントラストとしたとき、そのコントラストが30%以上の場合を◎、20%以上かつ30%より小さい場合を○、10%以上かつ20%より小さい場合を○△、5%以上かつ10%より小さい場合を△、5%より小さい場合を×と評価した。
<有彩色微粒子分散体カプセル(A)の発色評価試験>
上記で調整した実施例1〜11の有彩色微粒子分散体カプセル(A)における発色性について、目視での評価を行った。カプセル前の有彩色微粒子分散体(B)の発色が維持されている場合を○、発色が低下している場合を△、発色がなくなっている場合を×と評価した。
上述の実施例、比較例の発色評価試験結果を表3に示す。
表3
Figure 2017160371
表3の実施例1〜11の結果より、水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネートをモノマー成分として有する樹脂を壁材として有し、有彩色微粒子分散体を包含することで、有彩色微粒子分散体カプセルは安定して生産可能で、有彩色を示すことが分かった。
それに対して、モノマー成分として水溶性多官能アミンを有さない比較例1〜2では、安定な有彩色微粒子分散体を作成することはできなかった。これは、水溶性多官能アミンを有さないために、壁材の十分な強度が得られなかったためであると考えられる。
水溶性多官能アミンのうち、重量で50%以上の二官能アミンをモノマーとして有する壁材を使用した実施例1〜5は、重量で50%以上の3官能以上の多官能アミンをモノマーとして有する壁税を使用した実施例6と比較して、良好な発色が得られた。これは、重量で50%以上の二官能アミンをモノマーとして有する壁材を使用したため、有彩色微粒子分散体(B)の規則的な構造を乱すことなく、有彩色を維持したままのカプセルを得ることができたからであると考えられる。
非水溶性多官能イソシアネートのうち、重量で50%以上の3官能以上の多官能イソシアネートをモノマーとして有する壁材を使用した実施例1〜5は、重量で50%以上の2官能イソシアネートをモノマーとして有する壁税を使用した実施例7と比較して、良好なカプセルが得られた。これは、重量で50%以上の3官能以上の多官能イソシアネートをモノマーとして有する壁材を使用したため、強固な架橋構造を有する壁材となったためであると考えられる。
微粒子として酸価が10〜70mgKOH/gであるアクリル系ポリマー微粒子を使用した実施例1〜5は、そうでない実施例8〜10と比較して、良好な発色が得られた。これは、酸価が10〜70mgKOH/gであるアクリル系ポリマー微粒子を使用したため、微粒子の規則構造の誘導が適切に得られ、壁材(C)として用いる水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネート(c2)の共重合体やその単量体である水溶性多官能アミン(c1)と相互作用が小さかったため、その構造を維持できたためであると考えられる。

発明の有彩色微粒子分散体カプセルは、通常の顔料やエフェクト顔料のように使用することができ、塗料、インクジェット用インキ、カラーフィルター、着色用マスターバッチ、センサー用色材として用いることができる。

Claims (5)

  1. 壁材と、包含物と含んでなる、有彩色微粒子カプセルであって、
    前記壁材が、水溶性多官能アミン(c1)と非水溶性多官能イソシアネートとの反応物であり、
    前記包含物が、構造色を呈する微粒子を含むことを特徴とする有彩色微粒子カプセル。
  2. 水溶性多官能アミン(c1)が、2官能のアミンを、水溶性多官能アミン(c1)全体の50重量%以上含むことを特徴とする、請求項1記載の有彩色微粒子カプセル。
  3. 非水溶性多官能イソシアネートが、3官能以上のイソシアネートを、非水溶性多官能イソシアネート全体の50重量%以上含むことを特徴とする、請求項1または2記載の有彩色微粒子カプセル。
  4. 微粒子が、アクリル系ポリマー微粒子を含み、アクリル系ポリマー微粒子の酸価が10〜70mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の有彩色微粒子カプセル。
  5. さらに、包含物が、黒色系無彩物を、微粒子の内部および/または外部に含むことを特徴とする請求項4記載の有彩色微粒子カプセル。
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