JP2010078932A - 表示部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い可撓性が得られると共に構造色について十分な反射強度が得られて高い色濃度の表示色が得られる表示部材、および、外部からの刺激を受けることにより繰り返し表示色を変化させた場合にも表示色の劣化が抑制される表示部材の提供。
【解決手段】 表示部材は、球体およびマトリックスよりなり構造色を発現する表示層を有するものであって、マトリックスが、分子中に少なくとも2つ以上のビニルシラン基を有し、主鎖にパーフルオロエーテル構造を有する化合物と、環状シロキサン化合物とを反応させることにより得られるフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂よりなるものである。この表示部材は、表示層が外部からの刺激を受けることにより可逆的な構造色変化を生じる構成であり、外部からの刺激が、引っ張り応力または圧縮応力であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、センサー、ディスプレイ、パネル、シート、ラベルなどとして利用できる、構造色を発現する表示部材に関する。
近年、色素などの光の吸収によらない色表示の方法として、構造色を用いる方法が注目されている。構造色は、光の反射を利用するために高反射率で高い彩度が得られることや、褪色しにくいなどの特性を有し、特に、センサーやディスプレイなどの表示部材としての利用が注目されている。
このような構造色の特性を利用した表示部材として、固体の球体により形成された周期構造体の球体間に弾性体ゲルを充填させたものであって、外部からの刺激を受けたときに構造色が可逆的に変化するものが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
しかしながら、この表示部材は、外部からの刺激を受けることにより繰り返し構造色を変化させた場合に、弾性体ゲルが劣化し、その結果、構造色による表示色が劣化してしまう、という問題がある。
特開2006−28202号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、高い可撓性が得られると共に、構造色について十分な反射強度が得られて高い色濃度の表示色が得られる表示部材を提供することにある。
また、本発明の別の目的としては、外部からの刺激を受けることにより繰り返し表示色を変化させた場合にも表示色の劣化が抑制される表示部材を提供することにある。
本発明の表示部材は、球体およびマトリックスよりなり構造色を発現する表示層を有する表示部材であって、
前記マトリックスが、分子中に少なくとも2つ以上のビニルシラン基を有し、主鎖にパーフルオロエーテル構造を有する化合物と、環状シロキサン化合物とを反応させることにより得られるフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂よりなるものであることを特徴とする。
本発明の表示部材においては、前記表示層が、外部からの刺激を受けることにより可逆的な構造色変化を生じる構成であることが好ましい。
また、前記外部からの刺激が、引っ張り応力または圧縮応力であることが好ましい。
さらに、本発明の表示部材においては、前記球体の屈折率とマトリックスの屈折率との差が、0.15〜0.40であることが好ましい。
本発明の表示部材によれば、マトリックスが特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂によるものであり、当該特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂が高い可撓性を有し、かつ、フルオロ基を含有するために屈折率が低いものであるために、当該表示部材を構成する球体の屈折率との差を大きなものとすることができ、従って構造色について十分な反射強度が得られて高い色濃度の表示色が得られる。
特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂が高い可撓性を有するものとなる理由は、フルオロ基は界面張力が小さいものであるために分子間の相互作用を小さくすることができるため、分子レベルで動きやすい構造となる。また、当該特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂が主鎖にパーフルオロエーテル構造を有するために、主鎖に存在するエーテル構造によって、動きやすいフルオロ基を主鎖線上において動かすことができる。その結果、特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂に十分な可撓性を付与させることができたものと推定される。なお、側鎖にフルオロ基が導入された側鎖型フルオロシリコーン樹脂をマトリックスとして用いた表示部材によれば、構造色について十分な反射強度が得られるが、当該樹脂が脆いものであるために高い可撓性は得られない。
また、本発明の引っ張り応力または圧縮応力による外部からの刺激によって可逆的に構造色が変化される表示部材によれば、マトリックスが高い可撓性を有する特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂によるものであるために、十分な反射強度が得られて高い色濃度の表示色が得られ、かつ、繰り返し構造色を変化させた場合にも表示色の劣化が抑制され、その結果、多数回にわたって高い色濃度の構造色の発現が得られる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の表示部材は、例えば、図1に示されるように、構造色を発現する、球体12およびマトリックスMよりなる表示層10を有し、マトリックスMが、分子中に少なくとも2つ以上のビニルシラン基を有し、主鎖にパーフルオロエーテル構造を有する化合物と、環状シロキサン化合物とを反応させることにより得られるフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂よりなるものであるとされている。
〔表示層〕
本発明の表示部材の表示層10は、具体的には、マトリックスM中に固体の粒子よりなる球体12による周期構造体16が形成されてなるものであり、より詳細には、マトリックスM中に球体12同士が面方向に接触して規則的に形成される球体層15が、厚み方向においても球体12同士が接触する状態で規則的に配された構成を有するものである。
また例えば、図2に示されるように、マトリックスM中に球体12同士が面方向に非接触状態で規則的に配されて形成される球体層15が、厚み方向においても球体12同士が非接触状態で規則的に配された構成を有していてもよい。
この球体層15は、光が入射する方向に対して一方向に規則的に球体12が配列された構成を有しており、特に、周期構造体が面心立方構造などの立方最密構造や、六方最密構造などの最密充填構造を呈するよう球体12が配列された構成を有することが好ましい。
表示層10は、当該表示層10によって光を反射することのできる構造を有しており、観察角に基づいて規定される波長の光が選択的に反射されることにより、構造色の発現が視認される。
表示層10においては、球体12の屈折率とマトリックスMの屈折率との差の絶対値(以下、「屈折率差」という。)が、0.15〜0.40であることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.30である。
この屈折率差が0.15未満である場合は、構造色が発色しにくくなり、この屈折率差が0.40より大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色が白濁化してしまうおそれがある。
〔構造色〕
本発明の表示部材において得られる構造色とは、色素などの光の吸収による色ではなく、周期構造などによる選択的な光の反射により発現される色のことである。
表示層10において選択的に反射される光は、ブラッグの法則、スネルの法則より、下記式(1)で表される波長の光とされる。
なお、下記式(1)および下記式(2)は近似式であり、実際上はこれらの計算値に完全には合致しない場合もある。
式(1):λ=2nD(cosθ)
この式(1)において、λは構造色のピーク波長、nは下記式(2)で表される表示層10の屈折率、Dは球体層15の層間隔(球体12の表示部材の垂線方向における間隔)、θは表示部材の垂線との観察角である。
式(2):n={na・c}+{nb・(1−c)}
この式(2)において、naは球体12の屈折率、nbはマトリックスMの屈折率、cは表示層10における球体12の体積率である。
ここに、構造色のピーク波長λは、ファイバーを用いて反射光源と観察角度との関係を確認できる「MCPD−3700」(大塚電子社製)を用いて測定されるものとすることができる。
表示層10の厚みは、用途によって異なるが、例えば0.1〜100μmとすることができる。
表示層10における球体層15の周期数は、少なくとも1以上である必要があり、好ましくは5〜500である。
周期数が1未満である場合は、表示層が構造色を発現するものとすることができない。
表示層10における層間隔Dは、50〜500nmであることが好ましい。
層間隔Dが上記の範囲にあることにより、得られる表示層10によって発現される構造色が明確に視認できるものとなる。一方、層間隔Dが500nmよりも大きい場合は、得られる表示層が構造色を発現するものとならないおそれがある。
本発明の表示部材において、構造色による表示色は、可視域にピーク波長を有する色に限らず、紫外域または赤外域にピーク波長を有する色であってもよい。
〔球体〕
本発明において、球体とは、3次元において球体形状を有する固体の物質のことであり、真球に限定されるものではなく、おおよそ球体形状を有すればよい。
表示層10を構成する球体12を形成すべき材料としては、その屈折率がマトリックスMの屈折率と異なるものであること、およびマトリックスMを形成する充填剤と非相溶性であるものを、適宜に選択することができる。
また、表示層10を構成する球体12は、マトリックスMを形成すべき充填剤との親和性の高い材料よりなることが好ましい。
表示層10を構成する球体12としては、種々のものを挙げることができる。
具体的には例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸(イソ)プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸単量体などの重合性単量体のうちの1種を重合した粒子、または2種以上を共重合した有機粒子を挙げることができる。
また、重合性単量体に架橋性単量体を加えて重合した有機粒子であってもよく、架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを挙げることができる。
また例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、硫酸バリウム、酸化第二鉄などの無機酸化物および複合酸化物などや、ガラス、セラミックスなどにより形成された無機粒子を挙げることができる。
また例えば、上記の有機粒子または無機粒子をコア粒子として、これの表面に当該コア粒子を構成する材料と異なる材料のシェル層が形成されてなるコア−シェル型粒子を挙げることができる。シェル層は、金属微粒子、チタニアなどよりなる金属酸化物微粒子、チタニアなどよりなる金属酸化物ナノシートなどを用いて形成することができる。
さらに例えば、上記のコア−シェル型粒子から、焼成、抽出などの方法によってコア粒子を除去することにより得られる中空型粒子を挙げることができる。
球体12の平均粒径は、数平均粒子径で100〜400nmとされることが好ましい。この球体12の平均粒径は、前記範囲において当該球体12の屈折率およびマトリックスMの屈折率との関係において設定する必要があり、さらに少なくともその分散液が安定したコロイド溶液となる大きさであることが好ましい。
球体12の平均粒径が上記の範囲にあることにより、その分散液を安定したコロイド溶液とすることができ、また、得られる表示部材において発現する構造色が近紫外〜可視〜近赤外域にピーク波長を有する色となる。
一方、球体の平均粒径が100nm未満である場合は、視認される構造色の色が薄いものとなるおそれがあり、球体の平均粒径が400nmよりも大きい場合は、光散乱が大きく生じることによって構造色の発現の程度が小さく、その結果、白濁化して構造色の認識をしにくいものとなることがある。
また、粒径分布を表すCV値は10以下とされることが好ましく、より好ましくは8以下、特に好ましくは5以下である。
CV値が10より大きい場合は、規則的に配列されるべき球体層が大きな乱れが生じたものとなって得られる表示部材が構造色の発現の程度が小さく、その結果、白濁化して構造色の認識をしにくいものとなることがある。
平均粒径は、球体12について走査型電子顕微鏡「JSM−7410」(日本電子社製)を用いて50,000倍の写真を2枚撮影し、この2枚の写真画像における球体12の100個ずつについて、それぞれ最大長を測定し、その個数平均値を算出することにより、得られるものである。ここに、「最大長」とは、球体12の周上の任意の2点による2点間距離のうち、最大のものをいう。
なお、球体12が凝集体として撮影される場合には、凝集体を形成する一次粒子(球体)の最大長を測定するものとする。
CV値は、個数基準の粒度分布における標準偏差および上記の平均粒径の値を用いて下記式(CV)より算出されるものである。
式(CV):CV値=((標準偏差)/(平均粒径))×100
球体12の屈折率は公知の種々の方法で測定することができるところ、本発明における球体12の屈折率は、液浸法によって測定した値とする。
球体12の屈折率の具体的な例としては、例えばポリスチレンが1.59、ポリメタクリル酸メチルが1.49、ポリエステルが1.60、フッ素変性ポリメタクリル酸メチルが1.40、ポリスチレン・ブタジエン共重合が1.56、ポリアクリル酸メチルが1.48、ポリアクリル酸ブチルが1.47、シリカが1.45、酸化チタン(アナターゼ型)が2.52、酸化チタン(ルチル型)が2.76、酸化銅が2.71、酸化アルミニウムが1.76、硫酸バリウムが1.64、酸化第二鉄が3.08である。
これらのうち、球体12としては、屈折率が1.40〜1.60であるものを使用することが好ましい。
球体層15を構成する球体12は、単一組成の単一物であっても複合物であってもよいが、球体の表面に球体同士を接着させる物質が付着されたものとしてもよく、あるいは、球体の内部に球体同士を接着させる物質が導入されたものとしてもよい。このような接着物質を用いることによって、球体層15を形成する際に自己配列などを生じにくい物質による球体であっても、球体同士を接着させることができる。また、屈折率が高い材料によって球体を形成する場合は低屈折率物質を内添するなどしてもよい。
表示層10を構成する球体12は、表示層10を形成させる際に規則配列させやすいことから、単分散性の高いものであることが好ましい。
単分散性の高い球体を得るために、球体12が有機物による粒子である場合は、球体12は、通常一般的に用いられるソープフリー乳化重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの重合法によって得ることが好ましい。
粒子12は、マトリックスMとの親和性を高いものとするために、各種の表面処理を行ってもよい。
〔表示層の製造方法〕
このような表示層10は、例えば、球体12の水分散液を調製し、基板などの表面に塗布して自己配列させて球体12が規則的に配列された周期構造体16を形成させた後乾燥させ、この周期構造体16に液体状に調製したマトリックスMを形成すべき充填剤を塗布して球体12間に隙間なく充填させた後固形化させ、これを基板から剥離する方法などによって製造することができる。
球体12の水分散液の塗布方法としては、スクリーン塗布法、ディップ塗布法、スピンコート塗布法、カーテン塗布法、LB(Langmuir−Blodgett)膜作成法などを利用することができる。
〔マトリックス〕
表示層10を構成するマトリックスMは、分子中に少なくとも2つ以上のビニルシラン基を有し、主鎖にパーフルオロエーテル構造を有する化合物(以下、「パーフルオロエーテル構造含有化合物」ともいう。)と、環状シロキサン化合物とを反応させるヒドロシリル化反応を行うことにより得られるフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂よりなる固体状のものである。
上記ヒドロシリル化反応には、マトリックスMを形成するための充填剤としてのパーフルオロエーテル構造含有化合物および環状シロキサン化合物に加えて、触媒として白金ビニルシロキサン錯体などを用いることが好ましく、さらに、50℃以上の加熱による熱硬化反応であることが好ましい。この充填剤は、製造過程における周期構造体16に添加する工程において液体状であり、加熱処理されることにより固化される。
〔パーフルオロエーテル構造含有化合物〕
パーフルオロエーテル構造含有化合物としては、例えば下記一般式(A1)〜下記一般式(A3)で表される化合物を挙げることができる。
〔上記一般式(A1)中、j,kは、各々、j+kが2〜200となる整数を示し、上記一般式(A2)中、m,nは、各々、m+nが2〜200となる整数を示し、上記一般式(A3)中、s,tは、各々、s+tが2〜200となる整数を示す。〕
化合物Bを構成する環状シロキサン化合物としては、例えば下記一般式(B)で表される化合物を挙げることができる。
〔上記一般式(B)中、R1 〜R8 は、各々、炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕
基R1 〜基R8 としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。
このような環状シロキサン化合物としては、具体的には、下記式(B−i)〜下記式(B−v)で表される化合物を例示することができる。
〔触媒〕
このマトリックスMを形成するためのパーフルオロエーテル構造含有化合物と環状シロキサン化合物との反応には、付加反応触媒を用いることが好ましく、付加反応触媒としては、白金族金属化合物が好ましく挙げられる。
ここで、白金族金属化合物は、一般に貴金属の化合物であり、高価格であることから、比較的入手しやすい白金化合物が通常用いられる。
白金化合物としては、例えば塩化白金酸または塩化白金酸とエチレンなどのオレフィンとの錯体、アルコールやビニルシロキサンとの錯体、白金と、シリカ、アルミナまたはカーボンとの錯体などを例示することができるが、中でも白金ビニルシロキサン錯体が好ましい。
白金ビニルシロキサン錯体は、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯体である。
塩化白金酸としては、塩化白金(IV)酸、六塩化白金酸などを例示することができる。
白金化合物以外の白金族金属化合物としては、例えばロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム系化合物が挙げられ、具体的には、RhCl(PPh3 3 、RhCl(CO)(PPh3 2 、RhCl(C2 4 2 、Ru3 (CO)12、IrCl(CO)(PPh3 2 、Pd(PPh3 4 などを例示することができる。
充填剤における触媒の含有量は、特に制限されず所望の硬化速度が得られる量とすることができ、例えばパーフルオロエーテル構造含有化合物および環状シロキサン化合物の全量に対して白金換算で0.1〜1,000ppmとされることが好ましく、より好ましくは0.1〜500ppmである。
充填剤の加熱処理においては、加熱温度は例えば50〜200℃とされ、加熱時間は例えば1〜4時間とされる。
このようなマトリックスMの屈折率は1.32〜1.36であることが好ましい。
マトリックスMの屈折率は、公知の種々の方法で測定することができるところ、本発明におけるマトリックスMの屈折率は、別個にマトリックスMのみよりなる薄膜を作成し、この薄膜をアッベ屈折率計にて測定した値とされる。
〔表示部材〕
本発明の表示部材は、色表示の効果をより得るために、以上のような表示層10が黒色、灰色など所望に応じた光を吸収する色の層や基板上に積層された構成とされていることが好ましい。具体的には、例えば、図1に示されるように、基板13上に表示層10が積層されたシート状のものとして構成することができる。この基板13は、例えば表示層10の製造方法に係る球体分散液による層を塗布により形成する場合は、塗布層を形成させる基板をそのまま表示部材における基板として用いてもよい。
基板13としては、例えばガラス、セラミックスやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のフィルムやシートなどを使用することができる。
また、表示層10は球体12の球体分散液を用いて作製するために、基板13としては、表面の水に対する接触角はある程度低いものが好ましい。また、表面平滑性は高いものが好ましいことから、基板13について適宜の表面処理を行ってもよい。また、ブラスト処理などを行って球体が付着し易い状態にして使用することもできる。
また、表示部材は、基板13上に表示層10が形成され、この表示層10上に粘着層を介して表面被覆層が設けられたものとして構成することもできる。
このような表示部材において、基板13、粘着層および表面被覆層は、用途などに応じて必要に応じて設けられるものであり、また、基板13の裏面に、ラベル用粘着層を設けた構成としてもよい。
表面被覆層を設ける場合は、当該表面被覆層として、透明性が高く、表示層10において発現される構造色の視認を阻害しないポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などよりなるフィルム、UV硬化樹脂よりなるフィルムなどを用いることができる。
また、ラベルとして使用する場合は、ラベル用粘着層として、例えばアクリル系粘着剤、アクリル・オレフィン共重合粘着剤などの接着性の粘着材を用いることができる。
以上のような表示部材によれば、マトリックスMが特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂によるものであり、当該特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂が高い可撓性を有し、かつ、フルオロ基を含有するために屈折率が低いものであるために、当該表示部材を構成する球体12の屈折率との差を大きなものとすることができ、従って構造色について十分な反射強度が得られて高い色濃度の表示色が得られる。
特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂が高い可撓性を有するものとなる理由は、フッ素は界面張力が小さいものであるために分子間の相互作用を小さくすることができるところ、前記特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂は主鎖にパーフルオロエーテル構造を有するために、フルオロ基をエーテル構造によって主鎖を中心に線上で動かすことができるためである。なお、側鎖にフルオロ基が導入された側鎖型フルオロシリコーン樹脂をマトリックスとして用いた表示部材によれば、構造色について十分な反射強度が得られるが、当該樹脂が脆いものであるために高い可撓性は得られない。
以上の表示部材は、上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、表示部材は、外部からの刺激(以下、「外部刺激」ともいう。)を受けることにより可逆的な構造色変化を生じる(以下、「構造色変化能を有する」ともいう。)ものとして構成することができる。
構造色変化能を有する表示層においては、当該表示層が外部刺激を受けることによりマトリックスが変容し、これによりマトリックス中における球体層の位置が厚み方向に可逆的に変位して層間隔が変化し、その結果、構造色変化を生ずる。ここに、マトリックスの変容による層間隔の変化とは、マトリックスの変容に伴って球体が変形した結果の変化も含むものである。この球体の変形の影響は微細であると考えられる。
そして、層間隔が変化することにより、構造色のピーク波長が変化、すなわち外部刺激を受けた後の構造色が変化する。
ここに、外部刺激とは、マトリックスMを変容させて上記式(1)における層間隔を変化させる力をいい、具体的には、例えば引っ張り応力および圧縮応力などの外力である。
この表示層においては、外部刺激の大きさに基づいて、変化後の構造色が決定される。
外部刺激とは、その大きさに具体的な規定はないが、表示層が示す上記式(1)における構造色のピーク波長λを30nm以上変化させうるものをいうことが好ましい。
本発明の表示部材において、その構造色および/または外部刺激を受けた後の構造色は、可視域にピーク波長を有する色に限らず、紫外域または赤外域にピーク波長を有する色であってもよい。
このような紫外域または赤外域にピーク波長を有する色の表示部材は、例えば、紫外線または赤外線を認識できる検出装置などに組み込んだ状態センサーとして使用することができる。
表示層が構造色変化能を有するものである場合、当該表示層における層間隔は、外部刺激を受ける前後にかかわらず、50〜500nmであることが好ましい。
層間隔が50nm未満である場合は、明確に視認できるほどの構造色変化が得られないおそれがあり、一方、層間隔が500nmよりも大きい場合は、得られる表示層が構造色を発現するものとならないおそれがある。
以上のような引っ張り応力または圧縮応力による構造色変化能を有する表示部材によれば、マトリックスが高い可撓性を有する特定のフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂によるものであるために、十分な反射強度が得られて高い色濃度の表示色が得られ、かつ、繰り返し構造色を変化させた場合にも表示色の劣化の程度が抑制され、その結果、多数回にわたって高い色濃度の構造色の発現が得られる。
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明の実施の形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、平均粒径、CV値および屈折率の測定は、上述の方法と同様の方法によって行った。
〔充填剤の調製例1〕
上記式(A1)で表され、j=50,k=44であるパーフルオロエーテル構造含有化合物〔a1〕および上記式(B−i)で表される環状シロキサン化合物〔b1〕を100質量部ずつ(1:1の割合)、並びに反応触媒の白金ビニルシロキサン錯体として、下記式(X)で表される化合物を0.2質量部加え、これらを混合することにより、充填剤組成物〔1〕を調製した。これと同様にして別途調製した充填剤組成物〔1〕を80℃で4時間加熱静置して架橋反応させて形成させたマトリックスの屈折率は1.32であった。
〔充填剤の調製例2,3〕
充填剤の調製例1において、環状シロキサン化合物〔b1〕の代わりに、それぞれ、上記式(B−ii)で表される環状シロキサン化合物〔b2〕および上記式(B−iii )で表される環状シロキサン化合物〔b3〕を用いたことの他は同様にして、充填剤組成物〔2〕,〔3〕を調製した。それぞれによるマトリックスの屈折率を表1に示す。
〔充填剤の調製例4〕
充填剤の調製例1において、パーフルオロエーテル構造含有化合物〔a1〕の代わりに、上記式(A1)で表され、j=36,k=58であるパーフルオロエーテル構造含有化合物〔a2〕を用いると共に、環状シロキサン化合物〔b1〕の代わりに、上記式(B−iv)で表される環状シロキサン化合物〔b4〕を用いたことの他は同様にして、充填剤組成物〔4〕を調製した。この充填剤組成物〔4〕によるマトリックスの屈折率を表1に示す。
〔充填剤の調製例5〕
充填剤の調製例4において、環状シロキサン化合物〔b4〕の代わりに、上記式(B−v)で表される環状シロキサン化合物〔b5〕を用いたことの他は同様にして、充填剤組成物〔5〕を調製した。この充填剤組成物〔5〕によるマトリックスの屈折率を表1に示す。
〔充填剤の調製例6〕
充填剤の調製例1において、パーフルオロエーテル構造含有化合物〔a1〕の代わりに、上記式(A3)で表され、s=20,t=12であるパーフルオロエーテル構造含有化合物〔a3〕を用いたことの他は同様にして、充填剤組成物〔6〕を調製した。この充填剤組成物〔6〕によるマトリックスの屈折率を表1に示す。
〔球体合成例1〕
スチレン(St)71質量部、n−ブチルアクリレート(BA)20質量部およびメタクリル酸(MAA)9質量部を80℃に加温して単量体混合液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.4質量部をイオン交換水263質量部に溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加熱し、この界面活性剤溶液と上記の単量体混合液とを混合した後、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行うことにより、乳化分散液を調製した。
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、上記の乳化分散液とドデシルスルホン酸ナトリウム0.1質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に過硫酸カリウム1.4質量部、水54質量部を投入し、3時間重合処理を行うことによって微粒子の分散液を得、これを遠心分離機により大径粒子/小径粒子を分離し、単分散性の高い微粒子の分散液(以下、「球体分散液〔1〕」という。)を得た。この球体分散液〔1〕中の球体〔1〕の平均粒径は70nm、CV値は5、屈折率が1.55であった。
〔球体合成例2〜5〕
球体合成例1において、ドデシルスルホン酸ナトリウム量を変更することの他は同様にして、表2に示される平均粒径およびCV値を有する微粒子による球体分散液〔2〕〜〔5〕を得た。これらの球体分散液〔2〕〜〔5〕中の球体〔2〕〜〔5〕の平均粒径、CV値および屈折率を表2に示す。
〔球体合成例6〕
球体合成例1において、単量体混合液の代わりにメタクリル酸メチル(MMA)100質量部を用いたことの他は同様にして、球体分散液〔6〕を得た。この球体分散液〔6〕中の球体〔6〕の平均粒径、CV値および屈折率を表2に示す。
〔球体合成例7〕
球体合成例1において、単量体混合液の代わりにスチレン100質量部を用いたことの他は同様にして、球体分散液〔7〕を得た。この球体分散液〔7〕中の球体〔7〕の平均粒径、CV値および屈折率を表2に示す。
<実施例1>
親水処理した厚さ190μmの黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、球体分散液〔2〕をバーコート法によって塗布・乾燥させて厚み15μmの球体含有層を形成させた。
次いで、充填剤組成物〔1〕を、スリーワンモーターを用いて150rpmで撹拌して粘度を下げた状態で球体含有層の上から塗布し、球体間に塗布液を浸透させ、80℃で4時間加熱静置して架橋反応を促進させることによりマトリックスを形成させ、これにより、表示部材〔1〕を得た。
この表示部材〔1〕を用いて、反射強度を、分光測色計「CM−3600d」(コニカミノルタセンシング社製)により観察角θ=8度の条件で測定すると共に、以下のように可撓性を評価した。結果を表3に示す。
なお、反射強度は、30%以上である場合が合格と判断される。
〔可撓性試験〕
10mmφの鉄棒に、表示部材をあてがい、90°に折り曲げる試験を繰り返し行い、表示色に変化の生じた回数を測定した。
なお、1,000回の試験後に、座屈、破壊がなく、表示色に変化のないものが合格と判断される。
<実施例2〜8,比較例1,参照例1〜2>
実施例1において、表3の処方に従った球体および充填剤を用いたことの他は同様にして、表示部材〔2〕〜〔12〕,比較用の表示部材〔1〕を得た。ただし、比較用の表示部材〔1〕に用いる充填剤「シリコーン樹脂」は、「SE1891H」(東レ・ダウコーニング社製)である。これらを用いて上記と同様にして反射強度を測定すると共に可撓性を評価した。
本発明の表示部材は、センサー、ディスプレイ、パネル、シート、ラベルなどとして利用することができる。
本発明の表示部材を構成する表示層の構成の一例を模式的に示す説明用断面図である。 本発明の表示部材を構成する表示層の構成の他の一例を模式的に示す説明用断面図である。
符号の説明
10 表示層
12 球体
13 基板
15 球体層
16 周期構造体
D 層間隔
M マトリックス

Claims (4)

  1. 球体およびマトリックスよりなり構造色を発現する表示層を有する表示部材であって、
    前記マトリックスが、分子中に少なくとも2つ以上のビニルシラン基を有し、主鎖にパーフルオロエーテル構造を有する化合物と、環状シロキサン化合物とを反応させることにより得られるフッ素化ポリエーテル架橋シリコーン樹脂よりなるものであることを特徴とする表示部材。
  2. 前記表示層が、外部からの刺激を受けることにより可逆的な構造色変化を生じることを特徴とする請求項1に記載の表示部材。
  3. 前記外部からの刺激が、引っ張り応力または圧縮応力であることを特徴とする請求項2に記載の表示部材。
  4. 前記球体の屈折率とマトリックスの屈折率との差が、0.15〜0.40であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表示部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014062236A (ja) * 2012-08-29 2014-04-10 Tokyo Univ Of Science 構造色発色基材及びその作製方法

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