JP2012107083A - 活性エネルギー線硬化性組成物、及びそれを硬化させてなる塗膜 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物、及びそれを硬化させてなる塗膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた外観、及び優れた機械的特性の塗膜を得ることができる活性エネルギー線硬化性塗料組成物を提供することである。
【解決手段】 本発明の活性エネルギー線硬化性塗料組成物は、ビニルモノマー(A)100重量部、及び体積平均粒子径が1〜50μmであり、弾性コア層、及びその最も外側に存在するシェル層の少なくとも2層を含むコア/シェルグラフト共重合体であるポリマー微粒子(B)1〜200重量部を含む活性エネルギー線硬化性塗料組成物であって、 該ビニルモノマー(A)が、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、ウレタン変性(メタ)アクリレートと、からなる群から選ばれる1種以上のモノマーを主成分とする。
【選択図】なし

Description

本発明はポリマー微粒子で改質された活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
1〜50μm程度の粒子径を有するポリマー微粒子は樹脂改質剤、塗料分野、光拡散剤あるいは艶消し剤、化粧品の分野での滑り性付与剤、電子複写機の分野でのトナー用材料として使用されている。
このような1〜50μm程度のポリマー微粒子とアクリルモノマー等との配合物は光拡散性を有する活性エネルギー線硬化性の塗料として利用されている。特許文献1には平均粒子径1〜30μmのアクリル粒子、スチレン粒子を光拡散剤として用いた組成物が開示されている。また、特許文献2には平均粒子径0.5〜20μmのシリコーン系ポリマー微粒子を光拡散剤として用いた組成物が開示されている。ここで用いられているのはいずれも粉体状のものである。
このような粉体状粒子とアクリルモノマーのような液状媒体との混合においては、攪拌等による剪断力が伝わり難いため、見かけ上は分散したような状態にできるものの、実際には、1次粒子までは分散できずに、殆どの1次粒子が凝集したままでビニルモノマー中に存在している。このような状態のまま使用すると、外観不良等の問題が起こりやすい。
また、これらのポリマー微粒子は粉体としての取り扱いやすさが求められるため、その組成に制約がある。例えばゴム状の軟質な組成では、粒子同士の熱融着が起こりやすいため、粉体状にはならず、大きな塊状になってしまうことから粉体として回収するためには比較的硬質な組成にしなければならない。その一方では、硬質な組成にした場合、粉体特有の発塵やそれに伴う粉塵爆発等の危険があった。
ところで、一般に塗料(コーティング)においては、形成された塗膜の物性や外観が重要であり、活性エネルギー線硬化性塗料においても、その物性の中の一つとして、優れた伸び(靭性)を有する塗膜を得ることが望まれている。
コアシェル型ポリマー微粒子は、一般に、熱可塑性樹脂に耐衝撃性改良剤として添加され、成形加工時に高剪断を付与することにより、熱可塑性樹脂中に一次粒子の状態で分散させることで、その靭性改良効果が効果的に発現することが知られている。熱可塑性樹脂においては、コアシェル型ポリマーの添加混合を高せん断下で実施することが容易なため、粉体状のコアシェル型ポリマーを一次粒子で分散させることができ、コアシェル型ポリマーが高い靭性改良効果を示すこと、及び一次粒子でコアシェル型ポリマーが分散することが重要であることはよく知られている。特許文献3には、一次粒径1〜50μm程度のコアシェル型ポリマーを用いて、靭性が改良された熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
特許文献1、2等にはコアシェル状でかつ1〜50μm程度の微粒子を用いている例はなく、このようなコアシェル型の微粒子を用いた活性エネルギー線硬化性組成物はこれまで知られていなかった。
特開2009−114302号公報 特開2010−39124号公報 国際公開特許2007−069493号公報
このような技術背景から判るように、塗膜の(機械的)物性を改良するための構成成分として1〜50μm程度のコア/シェルポリマー微粒子を含む活性エネルギー線硬化性塗料組成物は従来想定されてこなかった。
これは、粉体のコアシェル型ポリマー微粒子を用いて活性エネルギー線硬化性塗料組成物を作成しても、一次粒子まで分散するのは困難であるため、コアシェル構造を持たない粒子と比べても塗膜の(機械的)物性を改良する十分な効果を得がたいなどの問題があったためである。
このような状況において、本発明のポリマー微粒子を用いることで上述のように、外観の問題なく、優れた特性の塗膜を得ることができる、これまでにない活性エネルギー線硬化性塗料組成物を提供することを目的として、本発明は為された。
鋭意検討の結果、驚くべきことに、ポリマー微粒子とビニルモノマーからなる本発明の活性エネルギー線硬化性塗料組成物は、従来技術では困難であった、外観や塗膜の(機械的)特性に優れる塗膜を提供することが可能であることを見出した。
即ち、本発明は、ビニルモノマー(A)100重量部、及び体積平均粒子径が1〜50μmのポリマー微粒子(B)1〜200重量部を含む活性エネルギー線硬化性塗料組成物であって、
前記ビニルモノマー(A)が(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、ウレタン変性(メタ)アクリレートと、からなる群から選ばれる1種以上のモノマーを主成分とする活性エネルギー線硬化性塗料組成物に関する。
言い換えれば、ビニルモノマー(A)の主成分としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、又は、ウレタン変性(メタ)アクリレートとすることが好ましく、これらを併用しても良い。
好ましい実施態様は、前記ポリマー微粒子(B)を、その内側に存在する弾性コア層、及びその最も外側に存在するシェル層の少なくとも2層を含むコア/シェルグラフト共重合体であって、かつ、前記弾性コア層が、ガラス転移温度が0℃未満のゴム状重合体からなるポリマー微粒子(B)とすることである。
好ましい実施態様は、前記ポリマー微粒子(B)が前記ビニルモノマー(A)中で一次分散していることを特徴とするポリマー微粒子含有ビニルモノマー組成物を含む活性エネルギー線硬化性塗料組成物とすることである。このようにビニルモノマー(A)中に、コアシェル型ポリマー微粒子が一次粒子の状態で安定に分散しているので、コアシェル型ポリマーが有する本来の、機械的強度改善効果が発揮でき、その硬化物は機械的特性、光学特性や外観に優れる。またこのようなポリマー微粒子含有ビニルモノマー組成物を原料として用いることで、コアシェル型ポリマー微粒子を、本発明の組成物中に一次粒子で分散させる為に、高せん断の付与を全く必要としないという効果が奏され、さらに、外観に優れた塗膜が得られるという効果もある。
また、本発明は、このような本発明の活性エネルギー線硬化性塗料組成物を硬化させてなる塗膜に関する。
本発明の活性エネルギー線硬化性塗料組成物は、従来技術では困難であった、ポリマー微粒子、特にコアシェル型ポリマー微粒子を含んでなる、外観や塗膜の(機械的、光学的)特性に優れる塗膜を提供することが可能である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<活性エネルギー線硬化性塗料組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化性塗料組成物は、ビニルモノマー(A)100重量部、及び体積平均粒子径が1〜50μmのポリマー微粒子(B)1〜200重量部を含んでなる活性エネルギー線硬化性組成物であり、外観、及び機械的強度に優れた塗膜とする観点から、
前記ビニルモノマー(A)が、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、ウレタン変性(メタ)アクリレートと、からなる群から選ばれる1種以上のモノマーを主成分とすることを要する。
本発明の活性エネルギー線硬化性塗料組成物は、上述したように前記ビニルモノマー(A)100重量部に対して、前記ポリマー微粒子(B)を1〜200重量部含むことを要するが、ポリマー微粒子(B)の含有量が、1重量部未満だと本発明の効果が見られず、200重量部を超えると、取り扱いに支障をきたす場合がある。好ましくはポリマー微粒子(B)の含量を5〜100重量部とすることである。
本発明における、ポリマー微粒子(B)の1次粒子径は、体積平均粒子径が、1〜50μm、好ましくは1〜20μmの範囲にある。さらに本発明の組成物は、ポリマー微粒子(B)がビニルモノマー(A)の連続層中に、一次粒子で分散してなるポリマー微粒子含有ビニルモノマー組成物と、その他の本発明の組成物と、を混合することで作製されたものであることが好ましい。即ち、(B)は(A)中で1〜50μmの粒子径で分散しており、このような組成物を前記本発明のその他の組成物と混合することで、本発明の組成物や、その硬化物中でもポリマー微粒子(B)は一次粒子の状態で分散している。このような一次粒子の状態で分散しているポリマー微粒子(B)を含ませることで、本発明の組成物は各一次粒子の機械的強度向上効果が十分に発揮された更に優れた品質を有する、ポリマー微粒子により改質されたより好ましい活性エネルギー線硬化性塗料組成物となる。即ち、従来技術では、実際にビニルモノマー中へポリマー微粒子を混合し、一次粒子で安定に分散している状態を実現し、更にこれを保持することは極めて困難であったが、本発明の組成物は、好ましくはポリマー微粒子(B)がビニルモノマー(A)の連続層中に、一次粒子で分散してなるポリマー微粒子含有ビニルモノマー組成物を原料として用いることで、改良された伸びに代表されるより好ましい活性エネルギー線硬化性塗料組成物となる。
また、ポリマー微粒子(B)は、ビニルモノマー(A)成分に膨潤することはあっても溶解しない。さらに、ポリマー微粒子(B)は、その良溶剤とされる溶媒に対しても膨潤することはあっても溶解して微粒子の形態を失うことはないように、架橋構造を有するポリマーとすることが好ましい。前記ポリマー微粒子(B)が、前記ビニルモノマー(A)の連続層中に、一次粒子の状態で分散している(以下、一次分散とも呼ぶ。)ことは、その分散粒子径を測定することにより、例えば、光散乱を利用した粒子径測定装置を利用して本発明の組成物中のポリマー微粒子(B)の粒子径を測定することにより確認できる。
また、ポリマー微粒子(B)の「安定な分散」とは、ポリマー微粒子(B)が、ビニルモノマー(A)中で凝集したり、分離したり、沈殿したりすることなく、定常的に通常の条件下にて、長期間に渡って、分散している状態を意味し、また、ポリマー微粒子(B)のビニルモノマー(A)中での分布も実質的に変化せず、また、本発明の組成物を危険がない範囲で加熱することで粘度を下げて攪拌したりしても、「安定な分散」を保持できることが好ましい。
本発明に係る前記ビニルモノマー(A)100重量%は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、ウレタン変性(メタ)アクリレートと、からなる群から選ばれる1種以上のモノマーを主成分、即ち、50重量%以上含むことを要する。
本発明の塗料組成物は、前記ビニルモノマー(A)100重量部に対して、光重合開始剤を0〜12重量部含んでなることが好ましい。この光重合開始剤は、紫外線、可視光線、電子線などの活性エネルギー線の照射を受けることで、ラジカルを発生させることができる化合物であって、光ラジカル開始剤とも呼ばれる。このラジカル重合開始剤によってフリーラジカルが発生することにより、本発明の組成物中の炭素―炭素不飽和二重結合の重合反応(架橋反応含む)が起こり、その組成物が硬化することで塗膜として機能する。電子線(EB)によって本発明の塗料組成物を硬化させる際には、この光重合開始剤がなくとも本発明の塗料組成物を硬化させることが可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化性塗料組成物は、上述したように光重合開始剤を含み、このような光重合開始剤とともに、必要に応じて、光増感剤を含むことが好ましい。
<ビニルモノマー(A)>
本発明に係るビニルモノマー(A)は、上述したように、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、ウレタン変性(メタ)アクリレートと、その他のビニルモノマーとからなる群から選ばれるモノマーである。
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル、及び/又は、メタクリル酸エステル、を意味する。
((メタ)アクリル酸エステル系モノマー)
前記(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に1個有する(メタ)アクリレートモノマー(AA1)、及び(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に2個以上有する(メタ)アクリレートモノマー(AA2)が例示できるが、空気中での活性エネルギー線硬化性が大きいAA2が、AA1より多いことが好ましい。即ち、上述したAA1、及びAA2からなる(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを主成分とする場合には、その主成分はAA2であることが好ましい。
前記(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に1個有する(メタ)アクリレートモノマー(AA1)としては、メチル(メタ)アクリレートやエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシルアクリレート、などの鎖状アルキル(メタ)アクリレートの他、シクロへキシル(メタ)アクリレートやイソボルニル(メタ)アクリレートのような脂環式アルキル(メタ)アクリレートも含まれ、また、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートや2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートのようなアルキルオキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのようなエポキシ基含有(メタ)アクリレートの他、アリル(メタ)アクリレートのようなエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレートなどが例示される。
前記(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に2個以上有する(メタ)アクリレートモノマー(AA2)の内、2個有するものとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレートの他、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類として、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート等が例示される。
また、前記AA2の内、3つの(メタ)アクリレート基を有する(A)として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレートのようなアルコキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類、グリセロールプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどが例示される。
これらの前記(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの内、工業的な利用頻度の観点から、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、テトラヒドルフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート(HDODA)、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート(TRPGDA)、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート(TMPTETA)、グリセロールプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートがより好ましい。
(ウレタン変性(メタ)アクリレート)
本発明に係るウレタン変性(メタ)アクリレートは、嫌気性が弱く、酸素存在雰囲気下であってもラジカル重合阻害を受けにくい性質を有しており、本発明の活性エネルギー線硬化性塗料組成物において、この特性を活用することができる。ビニルモノマー(A)100重量%のうち、本発明に係るウレタン変性(メタ)アクリレートを0〜90重量%含みうる。
本発明に係るウレタン変性(メタ)アクリレートは、(1)ポリイソシアネートと、(2)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、更に必要に応じて(3)水酸基を有するポリエステル、水酸基を有するポリエーテル、アクリルポリオール、ポリビニルアルコール等の分子内に水酸基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
上記のポリイソシアネートは、分子中に少なくとも2個以上のイソシアネート基を持つ化合物ならば使用可能であるが、トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の2価のイソシアネート類およびそれらの2量体または3量体が好ましい。
上記の水酸基を有するポリエステルとは、1種以上の多価アルコールと1種以上の多塩基酸とのエステル化合物である。ここで多価アルコールは、アルキレンオキシドの付加物や、環状エステル(例えばカプロラクトンなど)の付加物であってよい。多価アルコールとしては、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトールなどが例示できる。また、上記多塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸などが例示できる。
上記水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイド、及び/または環状エステル(例えばカプロラクトンなど)を付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであってもよく、多価アルコールとしては、前記水酸基含有ポリエステルに使用できるものと同じものが例示できる。
上記の水酸基含有(メタ)アクリレートとして好ましいものは、多価アルコールと、(メタ)アクリル酸またはメタクリル酸よりなるエステル化合物であり、その分子内に1以上の水酸基を有している。ここでいう多価アルコールは、アルキレンオキシドの付加物や、環状エステル(例えばカプロラクトンなど)の付加物であってよく、上記水酸基含有ポリエステルの場合と同じものを使用できる。
好ましい水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加グリセリンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリンジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジメタアクリレートトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノメタアクリレートテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタアクリレートモノアクリレートが例示できる。
本発明に係るウレタン変性(メタ)アクリレートとして好ましくは、前述の(1)ポリイソシアネートと、(2)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、更に必要に応じて(3)水酸基を有するポリエステル、水酸基を有するポリエーテル、ポリビニルアルコール等の分子内に水酸基を有する化合物とを、イソシアネート(NCO)基/水酸(OH)基の等量比が、約0.7〜1.20、好ましくは0.8〜1.05となる範囲で反応させて得られるものである。更にその分子量は、好ましくは500〜20,000、より好ましくは600〜12,000更に好ましくは、600〜6,000である。分子量を600〜3,000の範囲として、分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン変性(メタ)アクリレートとすると、特に硬さに優れる塗膜を得ることができる。
(芳香族ビニル系モノマー)
前記芳香族ビニル系モノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、炭素数1〜12までのアルキル基を有するアルキルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、フェニルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらの芳香族ビニル系モノマーの内、工業的な利用頻度の観点から、スチレンがより好ましい。
(その他のビニルモノマー)
前記その他のビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、ウレタン変性(メタ)アクリレートと、からなる群に属さないこれら以外のビニルモノマーであって、例えば、芳香族ビニル系モノマーや、ビニルシアン系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、N−ビニルアミド系モノマー、アリルエステルモノマー等が挙げられる。
このような芳香族ビニル系モノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、炭素数1〜12までのアルキル基を有するアルキルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、フェニルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
同様にこのようなビニルシアン系モノマーとしては、(メタ)アクリロニトリルなどが例示できる。
更に(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが、N−ビニルアミド系モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムが、アリルエステルモノマーとしては、フタル酸ジアリルなどが例示できる。
<ポリマー微粒子(B)>
本発明に係るポリマー微粒子(B)は、その内側に存在する弾性コア層、及びその最も外側に存在するシェル層の少なくとも2層を含むコアシェル型構造のポリマー微粒子であって、好ましくは、その弾性コア層が、ガラス転移温度が0℃未満のゴム状重合体からなる。より好ましくは、本発明に係るポリマー微粒子(B)は、このようなゴム状重合体からなる弾性コア層の存在下に、グラフト共重合可能なモノマー成分をグラフト重合してシェル層を形成したポリマー微粒子であり、この場合、その内部に存在する弾性コア層と、その表面にグラフト重合してこの弾性コア層の周囲、又は一部を覆っている、少なくとも1つのシェル層を有する構造となる。
本発明のシェル層は、弾性コア層に対して、弾性コア層/シェル層比率(各々の重合体を形成する単量体の質量比)で、30/70〜99/1の範囲であることが好ましく、50/50〜90/10であることがより好ましく、55/45〜88/12であることが更に好ましい。弾性コア層/シェル層比率が30/70をはずれて弾性コア層の比率が低下すると、本発明の組成物の粘度が高くなり、取扱いのし難い組成物になる場合がある。また、99/1をはずれシェル層の比率が低下すると、ポリマー微粒子の取扱い時に凝集をきたし易く、操作性に問題が生じる場合がある。また、本発明の組成物の硬化物に期待する物性が得られない可能性がある。
このようなコアシェル型構造のポリマー微粒子を形成するための重合法としては、公知の乳化重合法、または懸濁重合法により、後述する重合性単量体を重合することが好ましい。また、前記ポリマー微粒子(B)が後述するポリシロキサンゴムを弾性コアとする場合には、溶液重合した後に強制乳化する方法でも得ることができる。
(弾性コア層)
本発明に係る弾性コア層は、本発明に係る硬化物に、靭性を付与し得るゴムとしての性質を有するゴム状重合体であることが好ましい。また、弾性コア層は単層構造であることが多いが、多層構造であってもよい。また、弾性コア層が多層構造の場合は、各層のポリマー組成が各々相違していてもよい。
このような本発明に係るゴム状重合体は、架橋構造を有していることが好ましく、このような架橋ゴム重合体とした場合には、このゴム状重合体は、本発明に係るビニルモノマー(A)成分に溶解せず、また、その良溶剤とされる溶媒に対しても膨潤することはあっても溶解はしない。
前記ゴム状重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃未満であるが、靱性付与効果を大きくする観点から、より好ましくは−20℃以下、より好ましくは−45℃以下である。
前記弾性コア層は、通常球形の形状を有するが、この場合のポリマー微粒子(B)中の弾性コア層であるコア部分の体積平均粒子径は、ポリマー微粒子(B)の体積平均粒子径が1〜50μmの範囲となる限りにおいて、好ましくは1〜50μmであり、より好ましくは1〜20μmである。上述したようにコア部分は前記ビニルモノマー(A)に好ましくは不溶なので、その場合、本発明の組成物の硬化物を、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を使って観察すれば、容易にコア部分の粒子径を確認できる。
このようなゴム状重合体は、ゴム状重合体形成用単量体を重合したものであるが、その内で主となる単量体、即ち、第1単量体となる単量体の種類に応じて、主に共役ジエン系単量体を重合することにより得られるジエン系ゴム、主に(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合することにより得られるアクリルゴム、及びポリシロキサンゴムが挙げられ、これらを併用したもの、又は、複合化したものが用いられ得る。ゴム状重合体形成用単量体には前記第1単量体以外に、更に芳香族ビニルモノマー、ビニルシアン系モノマーを含んでもよい。
アクリル系ゴムとする場合に好ましい第1単量体は、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシルであり、ジエン系ゴムとする場合に好ましい第1単量体は、ブタジエン、イソプレン等である。
(弾性コア層の架橋)
本発明に係る弾性コア層は、上記単量体を重合してなるポリマー成分に架橋構造が導入されていることが好ましい。架橋構造の導入方法としては、特に限定されるものではなく、一般的に用いられる手法を採用することができる。例えば、上記モノマーを重合してなるポリマー成分に架橋構造を導入する方法としては、ポリマー成分に後述する多官能性単量体等の架橋性単量体を添加し、次いで重合する方法等が挙げられる。具体的には、前記弾性コア層は、ゲル含量が60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。なお、本明細書でいうゲル含量とは、凝固、乾燥により得られたクラム約1.2gをトルエン100gに浸漬し、23℃で24時間静置した後に不溶分と可溶分を分別したときの、不溶分と可溶分の合計量に対する不溶分の比率を意味する。
(多官能性単量体)
前記多官能性単量体としては、ブタジエンは含まれず、アリル(メタ)アクリレート、アリルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のアリル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。特に好ましくはアリルメタアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタアクリレート、トリアリルイソシアヌレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、及びジビニルベンゼンである。
<シェル層>
本発明に係るシェル層は、前記ポリマー微粒子(B)と前記ビニルモノマー(A)との相溶性を向上させ、本発明に係る硬化性組成物、又はその硬化物中においてポリマー微粒子(B)が一次粒子の状態で分散することを可能にする役割を担うシェル重合体からなる。
このようなシェル重合体は、好ましくは弾性コア層にグラフトしている。より正確には、シェル層の形成に用いる単量体成分が、弾性コア層を形成するコアポリマーにグラフト重合して、実質的にシェル層と弾性コア層とが化学結合していることが好ましい。即ち、好ましくは、シェル重合体は、コアポリマーの存在下にシェル重合体の構成成分であるモノマー(混合物)をグラフト重合させることで形成され、このようにすることで、このコアポリマーにグラフト重合されており、コアポリマーの一部又は全体を覆っている。この重合操作は、水性のポリマーラテックス状態で調製され存在するコアポリマーに対して、シェル重合体の構成成分であるモノマーを加えて重合させることで実施する。このようにして得られる(B)の一次粒子径は1〜50μmである。また、シェル層を構成するポリマーのTgには特に制限はなく、0℃未満であってよい。
このようなシェル重合体は、シェル重合体形成用単量体(BS)を重合したものであるが、上述の一次分散性を効果的に確保する観点からは、
アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びグリシジル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上のモノマー(BS−1)2〜90重量%と、
アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、及びα−メチルスチレン、及び(メタ)アクリロニトリルからなる群から選ばれる1種以上のモノマー(BS−2)2〜98重量%と、
多官能性ビニルモノマー(BS−3)0〜10重量%と、これらのモノマーと共重合可能なその他のビニルモノマー(BS−4)0〜10重量%と、の合計100重量%のシェル重合体形成用単量体(BS)の共重合体であることが好ましい。
このようなシェル重合体形成用単量体(BS)の組み合わせとしては、例えば、(1)モノマー(BS−1)である炭素数2〜10でかつ酸素原子によるエーテル結合を1つ含むアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、及びモノマー(BS−2)である炭素数2〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの組み合わせ、(2)モノマー(BS−1)である炭素数2〜10でヒドロキシル基を1つ含むヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びモノマー(BS−2)である炭素数2〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの組み合わせ、(3)モノマー(BS−1)である炭素数2〜10でかつ酸素原子によるエーテル結合を1つ含むアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレート(m−1)、及びモノマー(BS−2)である(メタ)アクリロニトリルとの組み合わせ、等が好ましく例示できる。
前記シェル重合体形成用単量体(BS)中の、モノマー(BS−1)、モノマー(BS−2)、多官能性ビニルモノマー(BS−3)、及びこれらのモノマーと共重合可能なその他のビニルモノマー(BS−4)の比率について、より安定な硬化性組成物を得る観点から、モノマー(BS−1)2〜90重量%、モノマー(BS−2)2〜98重量%、多官能性ビニルモノマー(BS−3)0〜10重量%、及びこれらのモノマーと共重合可能なその他のビニルモノマー(BS−4)0〜10重量%とすることが好ましく、シェル層に架橋構造を導入して上述した膨潤を十分に防止する観点からは、多官能性ビニルモノマー(BS−3)0.1〜5重量%を必須成分として含むシェル重合体形成用単量体(BS)とすることがより好ましい。
前記モノマー(BS−1)中のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、及び(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチルが好ましく例示できる。
前記モノマー(BS−1)中のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましく例示できる。
前記モノマー(BS−2)中の炭素数2〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸第三ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが好ましく例示できる。
前記多官能性ビニルモノマー(BS−3)としては、(メタ)アクリル酸アリル、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジアリル、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(トリ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートが好ましく例示できる。
前記これらのモノマーと共重合可能なその他のビニルモノマー(BS−4)としては、(メタ)アクリルアミド系モノマー、アリルエステルモノマー、N−ビニルピロリドン系モノマー、(メタ)アクリル酸系モノマーなどが挙げられる。(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが、アリルエステルモノマーとしては、フタル酸ジアリルが、N−ビニルピロリドン系モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムが、メタ)アクリル酸系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、無水マレイン酸、ブテントリカルボン酸などが例示できる。
(ポリマー微粒子(B)の水性媒体からの回収)
前記ポリマー微粒子(B)は、水性媒体に分散した状態で得られるため、これを回収する操作を必要とする。この操作に関しては、一次粒子への分散を妨げない限りは特に限定されないが、ビニルモノマー(A)にポリマー微粒子(B)を一次粒子のまま含ませた、いわゆるマスターバッチ(T)の形態にすることが好ましい。
このようなマスターバッチ(T)をそのまま用いて活性エネルギー線硬化性組成物としてもよいし、必要に応じてビニルモノマー(A)をさらに添加することもできる。
マスターバッチ(T)は、例えばポリマー微粒子(B)の水性分散液から、ポリマー微粒子(B)を有機溶媒に抽出したのち、ビニルモノマー(A)と混合して、有機溶媒や水分を揮発させることにより得られる。回収操作の前後で、粒子径の測定を行うことにより、ポリマー微粒子(B)が一次粒子で分散していることを確認できる。
<光重合開始剤>
本発明に係る光重合開始剤は、紫外線、電子線、可視光等の活性エネルギー線の照射を受けて、ビニルモノマー(A)をラジカル重合させるものの中から選択できる。
このような光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(N,N‘−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンゾインやベンゾインアルキルエーテル(アルキル=メチル、エチル、イソプロピル)等のベンゾイン類、2,2−ジメトキシアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンジルジメチルケタール(Irgacure651、チバスペシャルティケミカル製)等のベンジルケタール類、2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類、フェニルジ(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure819、チバスペシャルティケミカル製)等のビスアシルホスフィンオキシド類、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド等のベンゾイルホスフィンオキシド類、トリフェニルホスフィンの他、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えばIrgacure184、チバスペシャルティケミカル製など)、2−ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−1−プロパノン等のα−ヒドロキシフェニルケトン類、チオキサントンや2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類、カンファーキノン等が例示できる他、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、キノキサリン誘導体なども使用可能である。
このような光重合開始剤は、電子線で本発明の組成物を硬化させる際には必ずしも必要でない一方、紫外線や可視光線で硬化させる場合には必要である。好ましい光重合開始剤の配合量は、ビニルモノマー(A)100重量部に対して、0.1〜12重量部である。本発明の用件を満たす接着剤組成物が、光透過性良好で特に紫外線や可視光線を遮ったり、散乱したりすることがなければ、より好ましくは0.3〜8重量部である。これら複数の光重合開始剤を組み合わせて使用することもできる。
<光増感剤>
更にこれら光重合開始剤とともに、慣用的に組み合わせて使用される光増感剤を併用してもよい。光増感剤とは、それ自身単独では紫外線等の照射によって活性化しないが、光重合開始剤と一緒に使用すると、光重合開始剤単独の場合よりも、ラジカル重合を進行しやすくさせる機能を有する。そのような光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、ピペリジン、N,N−ジメチルアニリン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミン類、O−トリルチオウレアのような尿素系化合物、s−ベンジル−イソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート等の硫黄化合物、N,N−ジメチル−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル類、ナトリウムジエチルチオフォスフェート等のリン化合物等が例示され、0〜6重量部を本発明の組成物に添加することが好ましい。
<硬化>
本発明の塗料組成物の硬化には、活性エネルギー線を利用することができる。活性エネルギー線とは、可視光、紫外線、マイクロ波、高周波や、電子線、X線、α線、β線、γ線のような電離放射線等をいうが、重合を開始させる物質を放出させることが可能ならばいかなるエネルギー種でも良い。例えば紫外〜可視光の場合には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプやレーザー光、LED光、太陽光などが利用できる。典型的には1〜9,000mJ/cm2の積算光量を照射することにより、硬化可能である。硬化に際しては空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、或いはそれらの混合ガス雰囲気下でも、硬化可能であるが、酸素濃度が少ない雰囲気下での硬化は、架橋構造の形成促進や硬化阻害の少なさなどの観点から、品質の優れた塗膜を与える傾向がある。
光電子線(EB)による硬化の場合には、光重合開始剤は必ずしも必要でない。典型的には、100〜500kVの加速電圧を有する電子線発生装置を用いることが例示できる。硬化に際しては空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、或いはそれらの混合ガス雰囲気下でも、硬化可能であるが、電子線によるオゾンと窒素酸化物発生の可能性の観点や、低酸素濃度ほど重合阻害が少ない等の観点から、酸素濃度は低い方が好ましい傾向にある。
<その他>
本発明の塗料組成物の塗布方法については特に限定されるものではなく、バーコート法、マイクロバーコート法、スプレー法、ディップ(ドブ浸け)法、ロールコータ法、ロールナイフコート法、スピンコート法、スライドコート法、カーテンコート法、メニスカスコーター法、ビードコーター法、グラビアコート法、ダイコート法、ロッドコート法、スクリーン印刷法、フレクソ印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、等の各種方法を用いることができる。
また、本発明の組成物は適宜、有機溶剤で希釈して使用することもできる。ビニルモノマー(A)と混合可能な溶媒であって、本発明の塗料組成物の取扱い性を著しく損なわない限り、使用可能な有機溶媒に制限はない。好ましくは、ビニルモノマー(A)と混合可能であり、かつ、ポリマー微粒子(B)が本発明の塗料組成物から分離せず、沈殿もしくは浮上等の発生しない範囲で、有機溶媒を用いることが好ましい。より好ましくは、ビニルモノマー(A)と混合可能であり、かつ、ポリマー微粒子(B)が一次粒子で分散している状態を損なわない範囲で、有機溶媒を使用することが好ましい。上記のような要件を満たす範囲において、有機溶媒の使用量には特に制限はない。有機溶媒の具体例としては、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類や、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メチルグリコール、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類が例示される他、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類、塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素や、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等なども使用可能である。これらを適宜混合して使用してもよい。
本発明の塗料組成物は、種々の基材に塗布して利用することが可能であり、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、セルロースアシレートなどの樹脂材料の他、種々の熱硬化樹脂のみならず、木材、金属等の表面に塗布して利用できる。
以下、実施例および比較例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(評価方法)
(1)体積平均粒子径
ポリマー微粒子(B)の体積平均粒子径は、粒子径測定装置(日機装(株)製Microtrac(登録商標) UPA)で測定した。
(2)全光線透過率、ヘイズ
硬化塗膜つきのフィルムを試料として、日本電色工業(株)製 NDH−300Aにて測定した。ヘイズ値が大きいほど、光拡散性が高いといえる。
(3)光沢度
硬化塗膜つきのフィルムを試料として、日本電色工業(株)製 VG−2000にて入射角60度における光沢度を測定した。光沢度が低いほど、艶消し性が高いといえる。
(4)耐屈曲性試験(円筒形マンドレル法)
硬化塗膜つきのフィルムを試料として、JISK5600に準拠し、23℃で実施した。直径(Φ)10mmの丸棒を用い、折り曲げた後の塗膜表面の割れの有無を観察した。
(5)鉛筆硬度
硬化塗膜つきのフィルムを試料として、塗膜面の硬度をJIS K5600に準拠し、荷重500g、23℃にて評価した。評価結果…2B、B、HB、F、H、2H、…の順により表面が硬く傷つけにくい結果であることを示す。
(6)外観
目視にて塗膜表面を観察し、粒状物の有無を確認した。粒状物が見られないものは○、粒状物が見られるものは×とした。
(7)粒子沈降性
実施例、比較例で用いた組成物を24時間放置した後の粒子の沈降の有無を目視で観察した。
[アクリル系コアシェルポリマー微粒子(B1)の作成]
アクリル酸ブチル6.75重量部、メタクリル酸アリル0.14重量部、ジメタクリル
酸1,3−ブチレングリコール0.04重量部、メタクリル酸ステアリル0.07重量部
、及びラウロイルパーオキサイド0.2重量部を均一に溶解した混合物を調整した。この
混合物に、水10重量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.02重量部か
らなる溶液を加えて混合し、その混合液にT.K.ロボミックス(特殊機化工業(株)製
)により7,000rpmの回転数で10分間機械的剪断を与え、O/W型エマルション
を調製した。
水210重量部、亜硝酸ナトリウム0.01重量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム0.05重量部が仕込まれているガラス製反応器に、この調製したエマルショ
ンを含む分散液を加え、窒素気流中で撹拌しながら65℃まで昇温し、系の温度を65℃
に保って30分間撹拌した。
次いで、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部を系に加えた後、アクリ
ル酸ブチル61.4重量部、メタクリル酸アリル1.3重量部、ジメタクリル酸1,3−
ブチレングリコール0.3重量部を3時間にわたって連続添加した。その後、系の温度を
65℃に保って1時間攪拌した。
さらに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部を系に加えた後、アクリル酸ブチル7.5重量部、アクリル酸エチル15重量部、アクリル酸2−メトキシエチル7.5重量部、メタクリル酸アリル0.7重量部を1.5時間にわたって連続添加した。その後、系の温度を65℃に保って1時間攪拌し、水性ラテックスを得た。固形分濃度は31%、重合転化率は99%であった。この水性ラテックス状態のポリマー微粒子(B1)の一部をとって水で希釈し、粒子径測定装置(日機装(株)製Microtrac UPA)で体積平均粒子径を測定したところ、2.0μmであった。
[アクリル系コアシェルポリマー微粒子(B2)の作成]
窒素雰囲気下、2Lのガラス反応容器に、水220重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.0025重量部、リン酸三カリウム0.025重量部、硫酸鉄(II)六水和物0.0008重量部、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)0.0032重量部、及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1重量部を仕込んで攪拌を開始した。40度とした後、アクリル酸ブチル6.82重量部、メタクリル酸アリル0.14重量部、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール0.04重量部、の混合物を添加した。その直後にクメンハイドロパーオキサイド0.004重量部を添加し、1時間保持した。次いで、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部を系に加えた後、アクリル酸ブチル61.4重量部、メタクリル酸アリル1.3重量部、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール0.3重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.03重量部の混合物を3時間にわたって連続添加した。さらに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部を系に加えた後、アクリル酸ブチル7.5重量部、アクリル酸エチル15重量部、アクリル酸2−メトキシエチル7.5重量部、メタクリル酸アリル0.7重量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.02重量部の混合物を1.5時間にわたって連続添加した。その後、1時間攪拌し、水性ラテックスを得た。固形分濃度は31%、重合転化率は99%であった。この水性ラテックス状態のポリマー微粒子(B1)の一部をとって水で希釈し、粒子径測定装置(日機装(株)製Microtrac UPA)で体積平均粒子径を測定したところ、0.4μmであった。
[粉体状ポリマー(B1‘)の調製]
ポリマー微粒子(B1)を含む水性ラテックス1000gを室温で攪拌しながら、ここに10%塩化カルシウム水溶液200gを加えて凝固させた。このスラリーを70℃まで昇温したのち、脱水、水洗、乾燥し、粗い粒状のポリマー(B1‘)を得た。
[ポリマー微粒子(B1)を含む組成物T1の調製]
ポリマー微粒子(B1)を含む水性ラテックス1000gと、酢酸メチル1000gを混合後、更に700gの水を加えてポリマー微粒子(B)を再沈させた。再沈物から液相を分離後、この再沈物に1300gの酢酸メチルを加え室温で90分間攪拌した。この混合物をビニルモノマー(A)としてのペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)310gに混合した後、酢酸メチルを減圧下で留去することで、100重量部のペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)中にポリマー微粒子(B)であるアクリル系重合体微粒子(B1)が100重量部、即ち、50重量%のポリマー微粒子(B)が分散した組成物T1(620g)を得た。
この組成物T1をメチルエチルケトン(MEK)で希釈し、粒子径測定装置(日機装(株)製Microtrac UPA)にて、ポリマー微粒子(B)の体積平均粒子径を再び測定したところ、体積平均粒子径は2.0μmで、粒子径分布は水性ラテックス状態の(B1)と同様であった。
さらに、この組成物T1においてポリマー微粒子(B1)の分散状態は遮光下の冷暗所で3ヶ月間放置後も変化しなかった。
[ポリマー微粒子(B2)を含む組成物T2の調製]
ポリマー微粒子(B2)を含む水性ラテックス1000gと、酢酸メチル1000gを混合後、更に700gの水を加えてポリマー微粒子(B)を再沈させた。再沈物から液相を分離後、この再沈物に1300gの酢酸メチルを加え室温で90分間攪拌した。この混合物をビニルモノマー(A)としてのペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)310gに混合した後、酢酸メチルを減圧下で留去することで、100重量部のペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)中にポリマー微粒子(B)であるアクリル系重合体微粒子(B1)が100重量部、即ち、50重量%のポリマー微粒子(B)が分散した組成物T2(620g)を得た。
この組成物T2をメチルエチルケトン(MEK)で希釈し、粒子径測定装置(日機装(株)製Microtrac UPA)にて、ポリマー微粒子(B)の体積平均粒子径を再び測定したところ、体積平均粒子径は0.4μmで、粒子径分布は水性ラテックス状態の(B1)と同様であった。
さらに、この組成物T2においてポリマー微粒子(B1)の分散状態は遮光下の冷暗所で3ヶ月間放置後も変化しなかった。
(実施例1)
上記で得たT1(50g)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(25g)、3エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO3TMPTA)(25g)、メチルエチルケトン(MEK)(20g)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(5g)を混合し、ポリマー微粒子含有活性エネルギー線硬化性塗料組成物を得た。この混合物は、ポリマー微粒子B1を25g、PETAを50g、EO3TMPTAを25gを含んで成る混合物である。
この塗料組成物を150×100mm×125μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、バーコーター(#20)を用いて塗布後、100℃にて2分間乾燥させた。これを、UV照射装置(ECS−301、アイグラフィクス社製)を用いて、120W/cmのメタルハライドランプの照射下でコンベアスピード4.0m/minの速度で試料を通過し硬化させた。評価結果を表に示す。
(比較例1)
市販の粉体状アクリル系ポリマー微粒子である、テクポリマーMBX−5(積水化成品工業製、平均粒子径5μm)を25g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(25g)、3エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO3TMPTA)(25g)、メチルエチルケトン(MEK)(20g)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(5g)を混合し、ポリマー微粒子含有活性エネルギー線硬化性塗料組成物を得た。この混合物は、ポリマー微粒子を25g、PETAを50g、EO3TMPTAを25gを含んで成る混合物である。
この塗料組成物を実施例1と同様に塗布、硬化させた。評価結果を表に示す。
(比較例2)
市販の粉体状シリコーン系ポリマー微粒子である、トスパール120(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、平均粒子径2μm)を25g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(25g)、3エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO3TMPTA)(25g)、メチルエチルケトン(MEK)(20g)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(5g)を混合し、ポリマー微粒子含有活性エネルギー線硬化性塗料組成物を得た。この混合物は、ポリマー微粒子を25g、PETAを50g、EO3TMPTAを25gを含んで成る混合物である。
この塗料組成物を実施例1と同様に塗布、硬化させた。評価結果を表に示す。
(比較例3)
上記で得たT2(50g)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(25g)、3エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO3TMPTA)(25g)、メチルエチルケトン(MEK)(20g)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(5g)を混合し、ポリマー微粒子含有活性エネルギー線硬化性塗料組成物を得た。この混合物は、ポリマー微粒子B2を25g、PETAを50g、EO3TMPTAを25gを含んで成る混合物である。
この塗料組成物を実施例1と同様に塗布、硬化させた。評価結果を表に示す。
(比較例4)
上記で得たB1を粉体化したB1‘を25g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(25g)、3エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO3TMPTA)(25g)、メチルエチルケトン(MEK)(20g)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(5g)を1昼夜の間、攪拌混合したが、B1‘は混合物中で分散せず、塊がそのまま残っていたので、物性評価には進めなかった。
Figure 2012107083
以上の実施例1、比較例1、及び比較例2の結果から、コアシェル型のポリマー微粒子(B)を含み、一次粒子で分散している本発明の活性エネルギー線硬化性塗料組成物(実施例1)は、光拡散性、艶消し性や硬度を保ちながら耐屈曲性に優れ、また、ポリマー微粒子が沈降しにくいことが判る。
また、実施例1と比較例3の結果から、体積平均粒子径が小さい比較例3は、光拡散性、艶消し性に劣ることがわかる。
また、実施例1と比較例1、2、4の結果から、ポリマー微粒子(B)を粉体化することなくビニルモノマー(A)中に分散させた組成物(実施例1)は粉体化したポリマー微粒子をもちいた比較例1、2、4に対し、分散性がよいことが判る。

Claims (5)

  1. ビニルモノマー(A)100重量部、及び体積平均粒子径が1〜50μmであり、弾性コア層、及びその最も外側に存在するシェル層の少なくとも2層を含むコア/シェルグラフト共重合体であるポリマー微粒子(B)1〜200重量部を含む活性エネルギー線硬化性塗料組成物であって、 該ビニルモノマー(A)が、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、ウレタン変性(メタ)アクリレートと、からなる群から選ばれる1種以上のモノマーを主成分とする活性エネルギー線硬化性塗料組成物。
  2. 前記ポリマー微粒子(B)が前記ビニルモノマー(A)中で一次分散していることを特徴とするポリマー微粒子含有ビニルモノマー組成物を含む請求項1記載の活性エネルギー線硬化性塗料組成物。
  3. 前記ポリマー微粒子(B)の弾性コア層が、ガラス転移温度が0℃未満のゴム状重合体からなる、請求項1、2のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性塗料組成物。
  4. 前記ポリマー微粒子(B)の体積平均粒子径が1〜20μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性塗料組成物。
  5. 請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性塗料組成物を硬化させてなる塗膜。
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