JP2015067694A - (メタ)アクリル系架橋微粒子およびその製造方法 - Google Patents
(メタ)アクリル系架橋微粒子およびその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】重合開始剤の使用量に拘わらず、簡便に残存架橋モノマーを低減可能な(メタ)アクリル系架橋微粒子を提供する。【解決手段】(メタ)アクリル系架橋微粒子は、界面活性剤とセルロース類とを含み、架橋モノマーが170ppm(質量基準)以下になっている。前記セルロース類は、その2質量%濃度の水溶液を調製した時、温度20℃での粘度が50〜10,000mPa・sとなることが好ましい。前記セルロース類としては、アルキル置換セルロース、(ポリ)ヒドロキシアルキル置換セルロース、カルボキシアルキル置換セルロースなどが挙げられる。【選択図】なし
Description
本発明は、例えば、アンチブロッキング剤、光拡散剤などに使用される樹脂微粒子に関するものである。
(メタ)アクリル系架橋微粒子は、前記アンチブロッキング剤、光拡散剤などの他、艶消し剤、トナー用添加剤、粉体塗料、水分散型塗料、化粧板用添加剤、人工大理石用添加剤、化粧品用充填剤、クロマトグラフィーのカラム充填剤などの広範な用途に使用されている(例えば、特許文献1〜3)。これら特許文献は、主に(メタ)アクリル系架橋微粒子の耐熱性を向上する観点から改善が加えられている。
ところで前記(メタ)アクリル系架橋微粒子には、重合時に使用したモノマー(特に架橋モノマー)が微量ではあるが含まれている。この様なモノマーは不純物であり、できるだけ低減するのが望ましい。
(メタ)アクリル系架橋微粒子中の架橋モノマー残存量は、例えば、該微粒子を長時間乾燥すれば低減できる。また重合開始剤の割合を多くすることでも、重合反応への架橋モノマーの関与率を高めることができ、微粒子中の架橋モノマー残存量を低減できる。しかし、長時間の乾燥は微粒子の生産効率を低下させる。また重合開始剤の割合を多くすると、残存架橋モノマーが減る代わりに残存重合開始剤(分解物を含む)が増加するという新たな問題を発生させる。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、重合開始剤の使用量に拘わらず、簡便に残存架橋モノマーを低減可能な(メタ)アクリル系架橋微粒子およびその製造方法を提供することにある。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、重合開始剤の使用量に拘わらず、簡便に残存架橋モノマーを低減可能な(メタ)アクリル系架橋微粒子およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリル系モノマーと架橋モノマーとを、懸濁重合や乳化重合などの水中で油滴を形成しつつ重合する際に、界面活性剤およびセルロース類を存在させておくと、重合後の微粒子中に架橋モノマーが含まれにくくなる事を見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明に係る(メタ)アクリル系架橋微粒子は、界面活性剤とセルロース類とを含み、架橋モノマーが170ppm(質量基準)以下になっている。前記セルロース類は、その2質量%濃度の水溶液を調製した時、温度20℃での粘度が50〜10,000mPa・sとなることが好ましい。前記セルロース類としては、アルキル置換セルロース、(ポリ)ヒドロキシアルキル置換セルロース、カルボキシアルキル置換セルロースなどが挙げられる。
すなわち本発明に係る(メタ)アクリル系架橋微粒子は、界面活性剤とセルロース類とを含み、架橋モノマーが170ppm(質量基準)以下になっている。前記セルロース類は、その2質量%濃度の水溶液を調製した時、温度20℃での粘度が50〜10,000mPa・sとなることが好ましい。前記セルロース類としては、アルキル置換セルロース、(ポリ)ヒドロキシアルキル置換セルロース、カルボキシアルキル置換セルロースなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリル系架橋微粒子は、界面活性剤およびセルロース類の存在下、水中で(メタ)アクリル系モノマーと架橋モノマーとラジカル重合開始剤とを含む油滴を形成して重合反応を行うことによって製造できる。前記界面活性剤およびセルロース類の合計量は、(メタ)アクリル系モノマーおよび架橋モノマーの合計100質量部に対して、例えば、0.01〜10質量部である。
前記(メタ)アクリル系架橋微粒子は、例えば、フィルム用アンチブロッキング剤として使用できる。また前記(メタ)アクリル系架橋微粒子を樹脂組成物に配合してもよく、食品包装用樹脂フィルムの樹脂マトリックス中に含ませてもよい。
なお本明細書において並列的に例示される化合物は、特段の断りがない限り、いずれも単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。
なお本明細書において並列的に例示される化合物は、特段の断りがない限り、いずれも単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。
本発明によれば、界面活性剤およびセルロース類の両方を存在させているため、(メタ)アクリル系架橋微粒子中の残存架橋モノマーを低減できる。
(1)モノマー
本発明の(メタ)アクリル系架橋微粒子は、(メタ)アクリル系モノマーと架橋モノマーとの共重合体である。(メタ)アクリル系モノマーを架橋して微粒子を調製することにより、種々の用途に好適な微粒子を製造できる。
本発明の(メタ)アクリル系架橋微粒子は、(メタ)アクリル系モノマーと架橋モノマーとの共重合体である。(メタ)アクリル系モノマーを架橋して微粒子を調製することにより、種々の用途に好適な微粒子を製造できる。
前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、分子中に一つの(メタ)アクリロイル基を有し、該(メタ)アクリロイル基の他に重合性基を有さないモノマー(以下、単官能(メタ)アクリル系モノマーという)が使用できる。前記重合性基には、少なくともラジカル重合性基が含まれる。また、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基などの重縮合反応性基が含まれてもよい。
単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレートなどの芳香環含有(メタ)アクリレート類が挙げられる。これら単官能(メタ)アクリル系モノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。好ましい単官能(メタ)アクリル系モノマーはアルキル(メタ)アクリレート類であり、特にメチル(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリル系架橋微粒子を構成する前記架橋モノマーとしては、前記(メタ)アクリル系モノマーと重合するためのエチレン性二重結合を1つ有し、かつさらに一つ以上の重合性基を有するモノマーが使用できる。この様なモノマーには、例えば、前記エチレン性二重結合が(メタ)アクリロイル基である化合物(以下、(メタ)アクリル系架橋モノマーという)、前記重合性基がエチレン性二重結合である化合物(以下、ポリビニル化合物という)が含まれ、好ましくは(メタ)アクリル系架橋モノマーである。
前記(メタ)アクリル系架橋モノマーとしては、複数のメタアクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、この多官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、アリル(メタ)アクリレートなどのアリル(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのテトラ(メタ)アクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのヘキサ(メタ)アクリレート類;などが例示できる。これら多官能(メタ)アクリル系モノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ有するものが好ましく、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
架橋モノマーを構成する前記ポリビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニルなどの芳香族ジビニル化合物;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸などの架橋剤;ポリブタジエン、ポリイソプレン不飽和ポリエステルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル系モノマーの量は、(メタ)アクリル系モノマーと架橋モノマーの合計100質量部に対して、例えば、30〜95質量部、好ましくは50〜90質量部、より好ましくは60〜85質量部である。
前記(メタ)アクリル系架橋微粒子は、必要に応じて他の重合性モノマー(特にラジカル重合性モノマー)を共重合させてもよい。他のモノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、マレイミド系モノマーが含まれる。スチレン系モノマーには、スチレン;o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどのアルキルスチレン類;p−フェニルスチレンなどの二環式スチレン類;クロロスチレンなどのハロゲン含有スチレン類;ヒドロキシスチレン;メトキシスチレンなどのアルコキシスチレン類などが含まれる。
マレイミド系モノマーとしては、マレイミド;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド;N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−シクロアルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−トリクロロフェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−フェニルフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ブチルフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド;ベンジルマレイミドなどのアラルキルマレイミドなどを例示できる。
これら他の重合性モノマーを含めた全モノマー((メタ)アクリル系モノマー、架橋モノマー、他の重合性モノマー)の合計100質量%中、前記(メタ)アクリル系モノマーと架橋モノマーの合計量は、例えば、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であり、100質量%でもよい。
(2)製造方法
本発明の(メタ)アクリル系架橋微粒子は、前記(メタ)アクリル系モノマーと架橋モノマーをラジカル重合することによって製造できる。このラジカル重合には、懸濁重合、乳化重合、シード重合など、水中でモノマーを含む油滴を形成して重合する水中油滴型の重合方法が採用される。水中油滴型の重合方法を採用することによって形状の揃った架橋微粒子を製造できる。本発明では、前記油滴を界面活性剤およびセルロース類の存在下で形成している。界面活性剤およびセルロース類は、分散安定剤または乳化剤として作用して油滴の安定化に貢献するだけでなく、これらを併用して水中で油滴を形成すると架橋モノマーの残存量を低減できる。これら界面活性剤およびセルロース類が水中に存在すると、水/油滴間のモノマーの分配比が油滴側に大きく偏り、重合によるモノマーの消費率が高まる結果、架橋モノマーの残存量が低減するものと推察される。なおこうした効果は、界面活性剤とセルロース類との組み合わせに特有であって、例えば、ポリビニルアルコールなどの他の分散安定剤を存在させても残存架橋モノマーを低減できない。
本発明の(メタ)アクリル系架橋微粒子は、前記(メタ)アクリル系モノマーと架橋モノマーをラジカル重合することによって製造できる。このラジカル重合には、懸濁重合、乳化重合、シード重合など、水中でモノマーを含む油滴を形成して重合する水中油滴型の重合方法が採用される。水中油滴型の重合方法を採用することによって形状の揃った架橋微粒子を製造できる。本発明では、前記油滴を界面活性剤およびセルロース類の存在下で形成している。界面活性剤およびセルロース類は、分散安定剤または乳化剤として作用して油滴の安定化に貢献するだけでなく、これらを併用して水中で油滴を形成すると架橋モノマーの残存量を低減できる。これら界面活性剤およびセルロース類が水中に存在すると、水/油滴間のモノマーの分配比が油滴側に大きく偏り、重合によるモノマーの消費率が高まる結果、架橋モノマーの残存量が低減するものと推察される。なおこうした効果は、界面活性剤とセルロース類との組み合わせに特有であって、例えば、ポリビニルアルコールなどの他の分散安定剤を存在させても残存架橋モノマーを低減できない。
前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、アニオン性界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、
オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリなどの脂肪酸塩;などの脂肪酸型アニオン性界面活性剤、
ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩などのポリオキシアルキレン基含有硫酸エステル塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどのスルホコハク酸ジエステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩などの硫酸型アニオン性界面活性剤、
アルキルリン酸エステル塩などのリン酸型アニオン性界面活性剤などが挙げられる。好ましいアニオン性界面活性剤は、硫酸型アニオン性界面活性剤であり、より好ましくはアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレン基含有硫酸エステル塩、スルホコハク酸ジエステル塩である。
オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリなどの脂肪酸塩;などの脂肪酸型アニオン性界面活性剤、
ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩などのポリオキシアルキレン基含有硫酸エステル塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどのスルホコハク酸ジエステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩などの硫酸型アニオン性界面活性剤、
アルキルリン酸エステル塩などのリン酸型アニオン性界面活性剤などが挙げられる。好ましいアニオン性界面活性剤は、硫酸型アニオン性界面活性剤であり、より好ましくはアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレン基含有硫酸エステル塩、スルホコハク酸ジエステル塩である。
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテートなどのアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩などを例示できる。
ノニオン性界面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマーなどが含まれる。
両性界面活性剤は、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどである。
以上の各界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせても使用できる。
両性界面活性剤は、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどである。
以上の各界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせても使用できる。
界面活性剤と組み合わせて用いられる前記セルロース類は、セルロース骨格の一部または全部のヒドロキシ基の水素原子が置換される基によって分類でき、この置換基としてアルキル基を含むもの(アルキル置換セルロース)、この置換基として(ポリ)ヒドロキシアルキル基を含むもの((ポリ)ヒドロキシアルキル置換セルロース)、この置換基としてカルボキシアルキル基を含むもの(カルボキシアルキル置換セルロース)などが例示できる。
前記アルキル置換セルロースには、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロースなどが含まれる。前記(ポリ)ヒドロキシアルキル置換セルロースとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどを例示できる。前記カルボキシアルキル置換セルロースは、例えば、カルボキシメチルセルロース類(カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースなど)などである。これらセルロース類は、架橋モノマーを低減するのに有用であるだけでなく、それ自身が環境や人体に易しく、この点でも他の分散安定剤や乳化剤より優れている。またこれらセルロース類は、単独で用いてもよく、適宜組み合わせて使用することもできる。好ましいアルキル置換セルロースは(ポリ)ヒドロキシアルキル置換セルロースであり、より好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
好ましいセルロース類は、水溶液にした時、所定の粘度を示すことが推奨される。この粘度は、セルロース類の2質量%濃度の水溶液の温度20℃の粘度であり、その範囲は、例えば、50〜10,000mPa・s、好ましくは500〜9,000mPa・s、より好ましくは800〜7,000mPa・sである。水溶液の粘度を高くするほど、水/油滴間のモノマーの分配比をさらに改善できるためか、架橋モノマーの残存量をさらに低減できる。
前記界面活性剤およびセルロース類の合計量は、(メタ)アクリル系モノマーおよび架橋モノマーの合計100質量部に対して、例えば、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.3〜3質量部である。これらの合計量が多いほど、架橋モノマーの低減に有利である。またこれらの合計量が少ないほど、架橋微粒子中の界面活性剤およびセルロース類の残存量を少なくできる。
また前記セルロース類の量は、界面活性剤およびセルロース類の合計100質量部に対しては、例えば、30〜90質量部、好ましくは40〜85質量部、より好ましくは50〜80質量部である。界面活性剤の割合が高くなるほど、重合安定性(分散安定性、乳化性など)が向上し、油滴が容器などに付着するのを確実に防止できる。またセルロース類の割合が高くなるほど、架橋モノマーの残存量をより少なくできる。
水中で油滴を形成する際には、必要に応じて他の分散安定剤または乳化剤を使用してもよい。他の分散安定剤および乳化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムなどの水溶性高分子;ゼラチン、ゼイン、カゼインなどのタンパク質;トラガントなどの天然ガム状物質;デンプンなどの糖類、アルギン酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、タルク、粘土、ケイソウ土、ベントナイト、水酸化チタン、水酸化トリウム、金属酸化物粉末などが用いられる。これらのうち天然物系のものを用いると、そうでない場合よりも人体や環境により優しい架橋微粒子を得ることができる。
これら他の分散安定剤および乳化剤を含めた全分散安定剤および乳化剤(界面活性剤、セルロース類、他の分散安定剤および乳化剤)の合計100質量%中、前記界面活性剤およびセルロース類の合計量は、例えば、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であり、100質量%でもよい。
前記(メタ)アクリル系モノマーと架橋モノマーのラジカル重合では、ラジカル重合開始剤を使用する。公知のラジカル重合開始剤はいずれも本発明のラジカル重合開始剤として使用でき、好ましくは過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤などが挙げられる。過酸化物系開始剤としては、過酸化ベンゾイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイルなどの芳香族系過酸化物;過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイルなどの過酸化長鎖脂肪酸;などが挙げられる。アゾ系開始剤としては、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)などが挙げられる。好ましいラジカル重合開始剤は、過酸化長鎖脂肪酸であり、より好ましくは炭素数6〜24程度の過酸化長鎖脂肪酸(特に過酸化直鎖脂肪酸)である。
ラジカル重合開始剤の量は、(メタ)アクリル系モノマーおよび架橋モノマーの合計100質量部に対して、例えば、0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。一般には、ラジカル重合開始剤の量が多くなるほど、残存架橋モノマーの低減が容易になる一方、ラジカル重合開始剤(分解物を含む)が架橋微粒子中に残存しやすくなる。本発明によれば、界面活性剤とセルロース類を用いて水中で油滴を形成しているため、ラジカル重合開始剤の量を少なくしても残存架橋モノマーを低減でき、よって低残存架橋モノマーと低ラジカル重合開始剤(分解物を含む)を両立できる。
前記重合反応では、水中で油滴を形成する際に、チオール基とカルボキシル基を有する化合物を共存させるのが好ましい。このような化合物の存在下で重合すると、得られる架橋微粒子の耐熱性を向上できる。チオール基とカルボキシル基を有する化合物としては、メルカプトカルボン酸類が挙げられ、チオサリチル酸、ジチオサリチル酸などの芳香族環を有するメルカプトカルボン酸類が好ましい。
チオール基とカルボキシル基を有する化合物の量は、(メタ)アクリル系モノマーおよび架橋モノマーの合計100質量部に対して、例えば、0.01〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.3〜2質量部である。
前記重合反応の溶媒は水であり、その中の油滴の形成を阻害しない範囲で有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。
水中で油滴を形成するため、重合方法(懸濁重合、乳化重合、シード重合など)に応じて適当な懸濁または乳化装置を利用してもよい。この様な装置には、T.K.ホモミキサー、ラインミキサー(例えばエバラマイルダー(登録商標))などの高速攪拌機が含まれる。重合反応は撹拌下で行うことが好ましく、撹拌翼には、パドル翼、タービン翼、ブルーマージン翼、プロペラ翼などが適宜採用できる。好ましい重合方法は懸濁重合である。
重合の開始温度は、重合反応による自己発熱によって反応液の温度が約10℃程度上昇した時の温度をいい、この温度は、通常、重合温度の下限にも該当する。重合温度の下限は、例えば、60℃以上、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上である。重合温度の上限は特に限定されないが、例えば、100℃以下、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下程度でもよい。前記重合温度での保持時間(重合時間)は、例えば、2時間〜7時間、好ましくは2.5時間〜6時間、より好ましくは3時間〜5時間である。
重合反応液を濾過、遠心分離などの公知の方法によって固液分離することにより架橋微粒子が得られる。この固液分離に先だって、架橋微粒子を含む液に凝集剤を加えてもよい。凝集剤によって固液分離効率を高めることができる。この凝集剤としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム、カリミョウバンなどの金属塩類;硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、炭酸、酢酸などの酸類;メタノール、エタノールなどのアルコール類などが挙げられる。これらの凝集剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
凝集剤の添加量は特に限定されないが、架橋微粒子100質量部に対して、例えば、0.05質量部〜10質量部である。凝集に必要な時間は短く、通常、0.1分〜2時間である。凝集剤を添加する際の液温は、例えば、30℃〜100℃である。
固液分離した架橋微粒子は、必要に応じて適宜洗浄した後、乾燥する。乾燥温度は特に限定されないが、乾燥温度を高くするほど、架橋微粒子中の溶媒除去効率が高まる一方、架橋微粒子が着色しやすくなる。この様な観点から乾燥温度は、例えば、40℃〜120℃、好ましくは50℃〜110℃、より好ましくは60℃〜100℃にすることができる。また乾燥時間は、例えば、3時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは7時間以上である。乾燥時間の上限は限定されないが、本発明では、架橋微粒子中の溶媒を低減できた時点で乾燥を終了してもよい。架橋微粒子に架橋モノマーが残存している場合、乾燥を長時間実施することで残存モノマーを低減できるが、本発明では、上述した様に重合反応時に界面活性剤とセルロース類とを用いているため、固液分離した時点で既に残存架橋モノマーが低減されている。従って架橋微粒子中の溶媒を低減できた時点で乾燥を終了しても、残存架橋モノマーは十分に低減できている。よって本発明によれば、乾燥時間を短くでき、例えば、24時間以下、好ましくは15時間以下、より好ましくは10時間以下にしてもよい。
(3)(メタ)アクリル系架橋微粒子
以上のようにして(メタ)アクリル系架橋微粒子を製造できる。このようにして得られる(メタ)アクリル系架橋微粒子は、残存架橋モノマーを低減するための成分である界面活性剤とセルロース類とを含んでいる。そして(メタ)アクリル系架橋微粒子中の架橋モノマー量は170ppm(質量基準)以下、好ましくは150ppm(質量基準)以下、より好ましくは100ppm(質量基準)以下に抑制されている。架橋モノマーの残存量は0ppm(質量基準)であるのが望ましいが、通常は0.1ppm(質量基準)以上であり、5ppm(質量基準)以上となる場合も本発明に含まれる。
以上のようにして(メタ)アクリル系架橋微粒子を製造できる。このようにして得られる(メタ)アクリル系架橋微粒子は、残存架橋モノマーを低減するための成分である界面活性剤とセルロース類とを含んでいる。そして(メタ)アクリル系架橋微粒子中の架橋モノマー量は170ppm(質量基準)以下、好ましくは150ppm(質量基準)以下、より好ましくは100ppm(質量基準)以下に抑制されている。架橋モノマーの残存量は0ppm(質量基準)であるのが望ましいが、通常は0.1ppm(質量基準)以上であり、5ppm(質量基準)以上となる場合も本発明に含まれる。
前記架橋微粒子は、ラジカル重合開始剤の分解物(過酸化物系開始剤の場合は、O−O結合が切断され、OH基になった化合物など)を含んでいてもよい。
架橋微粒子の体積平均粒子径は用途に応じて適宜設定できるが、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1.0〜15μmである。体積平均粒子径が上記範囲内であれば、樹脂組成物のアンチブロッキング剤として用いた場合に、この樹脂組成物から得られる成型加工品の滑り性改良効果が良好となる。架橋微粒子の体積基準の粒子径における変動係数(CV値)は、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下である。
本発明の架橋微粒子は、樹脂用添加剤としても使用でき、組成物用添加剤としても使用でき、それ自身を化学修飾や加工して使用することもできる。好ましい用途には、アンチブロッキング剤、光拡散剤、艶消し剤、トナー用添加剤、粉体塗料、水分散型塗料、化粧板用添加剤、人工大理石用添加剤、化粧品用充填剤、クロマトグラフィーのカラム充填剤などが含まれ、より好ましくはアンチブロッキング剤、光拡散剤などの樹脂用添加剤であり、特に好ましくはアンチブロッキング剤であり、最も好ましくは食品包装フィルム用アンチブロッキング剤である。本発明の架橋微粒子は残存架橋モノマーが低減されているため、安全性が極めて高く、食品用に用いても害がない。
(4)マスターバッチ、樹脂組成物、樹脂フィルム
樹脂用添加剤として本発明の架橋微粒子を用いる場合、予め所定の樹脂に練り込んでマスターバッチを形成してもよい。マスターバッチに用いられる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、(メタ)アクリロニトリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、およびトリアセチルセルロース樹脂などが挙げられる。
樹脂用添加剤として本発明の架橋微粒子を用いる場合、予め所定の樹脂に練り込んでマスターバッチを形成してもよい。マスターバッチに用いられる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、(メタ)アクリロニトリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、およびトリアセチルセルロース樹脂などが挙げられる。
架橋微粒子の量は、マスターバッチ形成に用いた樹脂100質量部に対して、例えば、0.1〜400質量部、好ましくは1〜200質量部、より好ましくは5〜100質量部、特に好ましくは10〜80質量部である。
マスターバッチの調製方法は特に限定されず、マスターバッチ用の樹脂を重合する段階で架橋微粒子を添加混合してもよく、マスターバッチ用の樹脂と架橋微粒子をエクストルーダーなどを用い溶融混合してもよく、溶剤に溶解したマスターバッチ用樹脂に架橋微粒子を添加混合してもよい。調製されたマスターバッチは、通常、粉末状あるいはペレット状に加工される。
本発明の架橋微粒子は、直接、あるいは前記マスターバッチに加工した後、樹脂成分と混合(例えば、溶融混合)することで樹脂組成物を調製できる。樹脂組成物を構成する樹脂成分は、前記マスターバッチに使用する樹脂と同じ範囲の樹脂から選択できる。なおマスターバッチを形成してから樹脂成分と混合して樹脂組成物を調製する場合、マスターバッチの樹脂と樹脂組成物の樹脂は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
樹脂組成物中の架橋微粒子の量は、その用途に応じて適宜設定できる。例えばアンチブロッキング剤として使用する場合、架橋微粒子の配合量は、樹脂100質量部に対して、例えば、0.001〜5質量部、好ましくは0.005〜3質量部、より好ましくは0.01〜2質量部である。マスターバッチを用いれば、架橋微粒子の配合量が少なくても、その配合量調整を簡単に行うことができる。
前記樹脂組成物は溶剤に溶解または分散して塗布液として使用してもよく、樹脂マトリックスに前記架橋微粒子が分散した樹脂成形体に加工してもよい。樹脂成形体の形態は特に限定されず、例えば、フィルム、シートなどの平面形態の他、立体形態であってもよい。また平面形態の場合、適宜、延伸してもよい。好ましい形態は平面形態(フィルム、シートなど)であり、特に好ましくは食品包装用フィルムである。本発明の架橋微粒子は、架橋モノマーの残存量が低減されているため、食品用に用いても人体に害を及ぼさない。
なお本発明では、架橋微粒子の重合段階から、マスターバッチの製造段階、樹脂組成物の製造段階、および成型段階に至る様々な適当な段階で、各種添加剤を使用してもよい。各種添加剤としては、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤など)、可塑剤、蛍光増白剤、磁性粉、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、架橋剤、顔料、増量剤などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、以下で使用する用語「部」は、特に断りがない限り、「質量部」を意味する。
また各実施例および比較例の評価は、以下のようにして実施した。
なお、以下で使用する用語「部」は、特に断りがない限り、「質量部」を意味する。
また各実施例および比較例の評価は、以下のようにして実施した。
(1)重合安定性
重合反応完了後、重合液を反応容器から抜き出し、反応容器の底部に粒子の沈降(沈降1)が有るか無いかを確認した。その後、反応容器を水でかけ洗いした。かけ洗い後に、反応容器への固形物の付着(付着1)と撹拌羽根への固形物の付着(付着2)が有るか無いかを目視で確認した。以下の基準に基づき、重合安定性を評価した。
○:沈降1なし、付着1なし、付着2なし
△:沈降1については少量の沈降物あり、付着1および付着2については小さな固い樹脂付着物あり
×:沈降1については多量の沈降物あり、付着1および付着2については固い樹脂が全体的に付着あり
重合反応完了後、重合液を反応容器から抜き出し、反応容器の底部に粒子の沈降(沈降1)が有るか無いかを確認した。その後、反応容器を水でかけ洗いした。かけ洗い後に、反応容器への固形物の付着(付着1)と撹拌羽根への固形物の付着(付着2)が有るか無いかを目視で確認した。以下の基準に基づき、重合安定性を評価した。
○:沈降1なし、付着1なし、付着2なし
△:沈降1については少量の沈降物あり、付着1および付着2については小さな固い樹脂付着物あり
×:沈降1については多量の沈降物あり、付着1および付着2については固い樹脂が全体的に付着あり
(2)粒子径(体積平均粒子径)
実施例または比較例で得られた架橋微粒子0.025gを界面活性剤濃度1%に調整したイオン交換水8gに分散し、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「コールターマルチサイザーIII型」)を用い、下記測定条件にて体積平均粒子径を測定した。
測定条件
アパチャーサイズ:50μm
カウント粒子数 :30,000個
実施例または比較例で得られた架橋微粒子0.025gを界面活性剤濃度1%に調整したイオン交換水8gに分散し、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「コールターマルチサイザーIII型」)を用い、下記測定条件にて体積平均粒子径を測定した。
測定条件
アパチャーサイズ:50μm
カウント粒子数 :30,000個
(3)残存EGDMA量
実施例または比較例で得られた架橋微粒子2gをメチルエチルケトン(MEK)30mL中で3時間以上撹拌することで、EGDMAを抽出した。架橋微粒子を濾過によって除去し、濾液を試料として、以下の条件で濾液中のEGDMA量をガスクロマトグラフィー(GC)によって決定した(検量線法)。
分析条件
機器名: GC−2014(島津製作所製)
カラム: DB−5MS(J&W SCIENTIFIC製)
φ0.53mm×30m 膜厚1.5μm
注入口温度:280℃
カラム温度設定:
<1>50℃(注入から5分まで)
<2>10℃/分の速度で昇温(5分後から温度300℃に到達まで)
キャリヤーガス:ヘリウム
ガス流量: 10mL/分
検出器温度:320℃
検出器: FID
実施例または比較例で得られた架橋微粒子2gをメチルエチルケトン(MEK)30mL中で3時間以上撹拌することで、EGDMAを抽出した。架橋微粒子を濾過によって除去し、濾液を試料として、以下の条件で濾液中のEGDMA量をガスクロマトグラフィー(GC)によって決定した(検量線法)。
分析条件
機器名: GC−2014(島津製作所製)
カラム: DB−5MS(J&W SCIENTIFIC製)
φ0.53mm×30m 膜厚1.5μm
注入口温度:280℃
カラム温度設定:
<1>50℃(注入から5分まで)
<2>10℃/分の速度で昇温(5分後から温度300℃に到達まで)
キャリヤーガス:ヘリウム
ガス流量: 10mL/分
検出器温度:320℃
検出器: FID
(4)セルロース粘度
セルロースを水に溶解して濃度2質量%の水溶液を調製し、温度を20℃に調整した後、この水溶液の粘度をB型粘度計(東機産業(株)製「BM型」)を用いて測定した。測定に際しては、ローターを測定試料(水溶液)の中に規定の深さまで入れ、ローターを回転させ指示値が安定したところで数値を読み取った。ローターは試料の凡その粘度に応じて選択すればよいが、試料の粘度が全く見当つかないときには、粘度計に過度のトルクが加わらないように高粘度用のローターを使用して測定し、測定結果が使用ローターに対する適正な粘度測定範囲内になるように同一ローターで回転数を変えるか、又はローターを替えて測定を行うようにする。
セルロースを水に溶解して濃度2質量%の水溶液を調製し、温度を20℃に調整した後、この水溶液の粘度をB型粘度計(東機産業(株)製「BM型」)を用いて測定した。測定に際しては、ローターを測定試料(水溶液)の中に規定の深さまで入れ、ローターを回転させ指示値が安定したところで数値を読み取った。ローターは試料の凡その粘度に応じて選択すればよいが、試料の粘度が全く見当つかないときには、粘度計に過度のトルクが加わらないように高粘度用のローターを使用して測定し、測定結果が使用ローターに対する適正な粘度測定範囲内になるように同一ローターで回転数を変えるか、又はローターを替えて測定を行うようにする。
実施例1
メタクリル酸メチル(MMA)72.5部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)27.5部、チオサリチル酸(TSA)1部およびラウリルパーオキサイド(LPO)1部を混合溶解したモノマー含有液(モノマー含有量100部)を調製した。撹拌器、不活性ガス導入管、還流冷却管および温度計を備えたフラスコに、分散安定剤または乳化剤として日本乳化剤株式会社製「ニューコール(登録商標)707−SF」(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルNa塩)1部とヒドロキシエチルセルロース(粘度は表1のとおり)1部とを溶解した脱イオン水150部と、前記モノマー含有液全量とを仕込んだ後、T.K.ホモジナイザー(特殊機化工業株式会社製)により4000rpmで10分間撹拌して均一な懸濁液とし、さらに脱イオン水250部を添加した。
メタクリル酸メチル(MMA)72.5部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)27.5部、チオサリチル酸(TSA)1部およびラウリルパーオキサイド(LPO)1部を混合溶解したモノマー含有液(モノマー含有量100部)を調製した。撹拌器、不活性ガス導入管、還流冷却管および温度計を備えたフラスコに、分散安定剤または乳化剤として日本乳化剤株式会社製「ニューコール(登録商標)707−SF」(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルNa塩)1部とヒドロキシエチルセルロース(粘度は表1のとおり)1部とを溶解した脱イオン水150部と、前記モノマー含有液全量とを仕込んだ後、T.K.ホモジナイザー(特殊機化工業株式会社製)により4000rpmで10分間撹拌して均一な懸濁液とし、さらに脱イオン水250部を添加した。
次いで、フラスコ内に窒素ガスを吹き込みながら液温が65℃になるまで加熱して、反応容器を65℃で保温した。自己発熱により液温が75℃に達した時点を反応開始とし、90分後、更に液温を85℃まで昇温させて、2時間撹拌して重合反応を完了させた。その後、攪拌した状態で、85℃で硫酸バンド1.2部を添加した。さらに、反応液を冷却、ろ過し、重合生成物を80℃、8時間熱風乾燥して、架橋微粒子を得た。
実施例2〜6、比較例1〜4
使用する分散安定剤または乳化剤を表1、2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にした。
実施例および比較例で得られた架橋微粒子の粒子径、残存EGDMA量を評価し、反応時の様子(重合安定性)と共にその結果を表1に示した。
使用する分散安定剤または乳化剤を表1、2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にした。
実施例および比較例で得られた架橋微粒子の粒子径、残存EGDMA量を評価し、反応時の様子(重合安定性)と共にその結果を表1に示した。
実施例7
実施例1で得られた架橋微粒子1部とポリプロピレン9部とを、ラボプラストミルを用い、温度280℃、回転数100rpmで10分間混練して、フィルム用マスターバッチを製造した。マスターバッチの着色は少なかった。
実施例1で得られた架橋微粒子1部とポリプロピレン9部とを、ラボプラストミルを用い、温度280℃、回転数100rpmで10分間混練して、フィルム用マスターバッチを製造した。マスターバッチの着色は少なかった。
Claims (8)
- 界面活性剤とセルロース類とを含み、架橋モノマーが170ppm(質量基準)以下である(メタ)アクリル系架橋微粒子。
- 前記セルロース類の2質量%濃度の水溶液を調製した時、その水溶液の温度20℃での粘度が50〜10,000mPa・sである請求項1に記載の(メタ)アクリル系架橋微粒子。
- 前記セルロース類が、アルキル置換セルロース、(ポリ)ヒドロキシアルキル置換セルロース、およびカルボキシアルキル置換セルロースから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の(メタ)アクリル系架橋微粒子。
- 界面活性剤およびセルロース類の存在下、水中で(メタ)アクリル系モノマーと架橋モノマーとラジカル重合開始剤とを含む油滴を形成して重合反応を行う(メタ)アクリル系架橋微粒子の製造方法。
- 前記界面活性剤およびセルロース類の合計量が、(メタ)アクリル系モノマーおよび架橋モノマーの合計100質量部に対して、0.01〜10質量部である請求項4に記載の(メタ)アクリル系架橋微粒子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリル系架橋微粒子または請求項4〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られた(メタ)アクリル系架橋微粒子から構成されるフィルム用アンチブロッキング剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリル系架橋微粒子または請求項4〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られた(メタ)アクリル系架橋微粒子を含む樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリル系架橋微粒子または請求項4〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られた(メタ)アクリル系架橋微粒子を樹脂マトリックス中に含む食品包装用樹脂フィルム。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016103708A1 (ja) * | 2014-12-25 | 2016-06-30 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | ポリマー微粒子集合体およびその製造方法 |
WO2016195006A1 (ja) * | 2015-06-04 | 2016-12-08 | 株式会社日本触媒 | 有機重合体微粒子 |
JP2019073582A (ja) * | 2017-10-12 | 2019-05-16 | 株式会社日本触媒 | 有機微粒子及びその製造方法 |
US20190176447A1 (en) * | 2016-08-10 | 2019-06-13 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | Laminated resin film |
-
2013
- 2013-09-27 JP JP2013202203A patent/JP2015067694A/ja active Pending
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US20190176447A1 (en) * | 2016-08-10 | 2019-06-13 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | Laminated resin film |
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JP2019073582A (ja) * | 2017-10-12 | 2019-05-16 | 株式会社日本触媒 | 有機微粒子及びその製造方法 |
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