JP2959796B2 - 水分散性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

水分散性樹脂組成物およびその製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、コーティング(塗工)分野に好適な水分散
性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、流動性、アルコ
ール混和性、耐溶剤性に優れた水分散性樹脂組成物に関
する。
〔従来の技術〕
従来、低分子乳化剤の存在下に、シアノ基含有エチレ
ン性不飽和単量体を含有するエチレン性不飽和単量体混
合物を乳化重合して得た水分散性樹脂(ラテックス)
は、よく知られている。この水分散性樹脂は、耐溶剤性
に優れているが、流動性が不十分で、チキソトロピー性
が強く、しかもアルコール混和性に乏しい。
コーティング分野で使用される水分散性樹脂は、ロー
ル目の発生を防ぐため流動性をニュートン流動(ニュー
トニアン・フロー)に近付けることが求められる。ま
た、塗膜の乾燥性を向上するために、アルコール等の水
混和性溶剤を混合使用できることが望まれる。
そこで、流動性やアルコール混和性を改良するため
に、アルカリ可溶性樹脂(酸性樹脂を有機アミンやアン
モニア等で中和した樹脂)あるいはポリビニルアルコー
ルを、従来の低分子乳化剤に代えて乳化安定剤として用
い、乳化重合することによって、水分散性樹脂を得る方
法が提案されている(例えば、特開昭62−282095号、特
開昭63−20308号など)。
しかしながら、従来公知の高分子乳化安定剤は、それ
自体の耐溶剤性が不十分であるため、得られる水分散性
樹脂の耐溶剤性も十分ではなかった。
一方、耐溶剤性に優れた水分散性樹脂として、常温架
橋性水分散性樹脂が開発されているが(特開昭62−6285
1号、特開昭62−62852号など)、流動性やアルコール混
和性に優れたものは、未だ提案されていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、流動性、アルコール混和性に優れて
いるとともに、耐溶剤性に優れた水分散性樹脂組成物を
提供することにある。
本発明者は、前記した従来技術の有する問題点を克服
するために鋭意研究した結果、(1)シアノ基含有エチ
レン性不飽和単量体とカルボキシル基含有エチレン性不
飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体混合物を共重
合して得られる特定範囲の酸価と重量平均分子量とを有
する樹脂を中和ないしは部分中和して得られる中和樹脂
(A)(アルカリ可溶性樹脂)と、(2)シアノ基含有
エチレン性不飽和単量体を特定割合で含有するエチレン
性不飽和単量体混合物を乳化重合して得られる水分散性
樹脂(B)とを、特定割合で含有せしめて水分散性樹脂
組成物とすることにより、前記目的を達成できることを
見出した。
また、目的とする水分散性樹脂組成物中に、中和樹脂
(A)と水分散性樹脂(B)とを含有せしめる方法とし
ては、予め低分子乳化剤の存在下に乳化重合して得られ
た水分散性樹脂(B)と中和樹脂(A)とを混合する方
法、または乳化安定剤としての中和樹脂(A)の存在下
に、シアノ基含有エチレン性不飽和単量体を含有するエ
チレン性不飽和単量体混合物を乳化重合して水分散性樹
脂(B)を形成する方法があり、いずれの方法によって
も所期の目的を達成できることを見出した。
このように、水分散性樹脂(B)の乳化重合中あるい
は乳化重合終了後に、中和樹脂(A)を混合することに
より、アルコール混和性が高められ、かつ、流動性がニ
ュートン流動に近付いた水分散性樹脂組成物を得ること
ができる。そして、それぞれの樹脂を形成する単量体中
にシアノ基含有エチレン性不飽和単量体を特定割合で含
有せしめることにより、耐溶剤性の向上が得られる。
さらに、中和樹脂(A)の添加により、水分散性樹脂
(B)の最低成膜温度をガラス転移温度Tgより低くでき
るが、これにより塗膜のTgを上げても成膜性が良好であ
るため、耐摩耗性、耐水性あるいは耐溶剤性等を向上さ
せることができる。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至った
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
かくして、本発明によれば、シアノ基含有エチレン性
不飽和単量体25〜50重量%およびカルボキシル基含有エ
チレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体混
合物の共重合体であって、酸価が80〜200で、重量平均
分子量が5,000〜20,000である該共重合体のカルボキシ
ル基が少なくとも部分的に中和された中和樹脂(A)5
〜100重量部と、シアノ基含有エチレン性不飽和単量体2
5〜80重量%を含有するエチレン性不飽和単量体混合物
の乳化重合体からなる水分散性樹脂(B)100重量部を
含有することを特徴とする水分散性樹脂組成物が提供さ
れる。
本発明の水分散性樹脂組成物は、中和樹脂(A)と水
分散性樹脂(B)とを混合するか、あるいは、中和樹脂
(A)の存在下、水性媒体中で、シアノ基含有エチレン
性不飽和単量体25〜80重量%を含有するエチレン性不飽
和単量体混合物を乳化重合することによっても得ること
ができる。
したがって、また、本発明によれば、シアノ基含有エ
チレン性不飽和単量体25〜50重量%およびカルボキシル
基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和
単量体混合物の共重合体であって、酸価が80〜200で、
重量平均分子量が5,000〜20,000である該共重合体のカ
ルボキシル基が少なくとも部分的に中和された中和樹脂
(A)の存在下、水性媒体中で、シアノ基含有エチレン
性不飽和単量体25〜80重量%を含有するエチレン性不飽
和単量体混合物を乳化重合することを特徴とする中和樹
脂(A)5〜100重量部とシアノ基含有エチレン性不飽
和単量体25〜80重量%を含有するエチレン性不飽和単量
体混合物の乳化重合体からなる水分散性樹脂(B)100
重量部を含有する水分散性樹脂組成物の製造方法が提供
される。
以下、本発明について詳述する。
〔中和樹脂(A)〕
本発明においては、アルカリ可溶性樹脂として、シア
ノ基含有エチレン性不飽和単量体25〜50重量%およびカ
ルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレ
ン性不飽和単量体混合物を共重合して得られる酸価が80
〜200で、重量平均分子量が5,000〜20,000の樹脂を少な
くとも部分的に中和して得られる中和樹脂(A)を使用
する。
中和樹脂(A)は、先ず、シアノ基含有エチレン性不
飽和単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量
体、その他のエチレン性不飽和単量体からなる単量体混
合物を常法にしたがって、溶液重合または塊状重合する
ことにより共重合させた後、カルボキシル基をアンモニ
アや有機アミンなどで当量または部分的に中和すること
により得られる。
中和樹脂(A)を乳化重合における乳化安定剤として
使用する場合は、水中に溶解ないしは分散させて、水溶
液ないし水分散体として使用するため、溶液重合による
ものは、水を添加して重合溶媒を留去し、水性中和樹脂
として使用する。
また、水分散性樹脂(B)の乳化重合後の添加樹脂と
して用いる場合は、有機溶媒中で溶液重合して得た共重
合体は、中和と同時あるいはその前後に水あるいは水混
和性溶媒を添加してもよい。
水混和性溶媒としては、アルコール類、セロソルブ
類、グリコール類あるいはグリセリン等が挙げられる。
これら水混和性溶媒は、乾燥性の向上、成膜性の向上な
どの使用目的に応じて適宜使用される。
さらに、中和樹脂(A)は、一度粉末化した後、用途
に応じて所望の溶媒に溶解して使用することもできる。
本発明で使用されるシアノ基含有エチレン性不飽和単
量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等が挙げられる。
カルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体としては、
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレ
イン酸、フマル酸、イタンコン酸等が挙げられる。ま
た、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノブチル、
イタコン酸モノオクチルなどのジカルボン酸モノエステ
ルも使用できる。
共重合するその他のエチレン性不飽和単量体として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなど
のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イ
ソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルな
どのアクリル酸エステル系単量体;メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル
酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸
n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル,メタ
クリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのメタクリ
ル酸エステル系単量体;アクリルアミド、N−メチロー
ルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド
などのアクリルアミド系単量体;メタクリルアミド、N
−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメ
タクリルアミドなどのメタクリルアミド系単量体;アク
リル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグ
リシジルエーテルなどのグリシジル基含有単量体;など
を挙げることができ、シアノ基含有エチレン性不飽和単
量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体と共
重合可能な単量体であれば特に限定されない。
重合は、従来公知の溶液重合または塊状重合が採用で
きるが、水性化のためには、溶液重合が好ましい。
溶液重合の有機溶媒としては、メチルアルコール、エ
チルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルア
ルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類;メチ
ルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブな
どのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステ
ル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが使
用できる。
重合条件は、通常、ラジカル重合開始剤の存在下に、
重合温度50〜150℃、重合時間1〜10時間程度である。
エチレン性不飽和単量体混合物を共重合して得られる
樹脂は、酸価が80〜200の範囲にあることが必要であ
る。
酸価が80よりも小さいと、得られた中和樹脂(A)を
乳化安定剤として用いた場合に、乳化重合時の安定性が
不足する。また、水分散性樹脂(B)に添加して用いる
場合には、水溶性が不十分であり、本発明の特徴である
アルコール混和性あるいは流動性を付与できない。
酸価が200よりも大きいと、得られた中和樹脂(A)
を乳化安定剤として乳化重合に用いた場合に、乳化重合
時の粘度が高くなったり、あるいは乳化重合途中で凝集
物が発生する。また、水分散性樹脂(B)に添加して用
いる場合には、水分散性樹脂組成物の粘度が高くなった
り、経日での粘度変化が大きくなるなどの問題がある。
中和のために、通常、アンモニア、有機アミンが中和
剤として用いられる。
有機アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチル
アミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、2−ジ
メチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、トリ
メチルアミン、トリエタノールアミン等もしくはこれら
の混合物が用いられる。これらの中和剤で水溶性のもの
は、水溶液として用いてもよい。
中和は、樹脂中のカルボキシル基と当量または部分的
に中和して用いられる。部分的に中和する場合には、中
和度が70%以上、好ましくは90%以上であることが望ま
しい。
該樹脂の重量平均分子量は、5,000〜20,000の範囲に
あることが必要である。重量平均分子量が過小である
と、実用上の粘度が出せず、乳化安定剤として用いた場
合には重合安定性が低下する。逆に、過大であると、水
分散性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、乳化安定剤と
して用いた場合には重合中に凝集を起こす。
中和樹脂(A)の濃度は、水分散性樹脂(B)の固型
分濃度を極端に下げような薄いものでなければ、特に制
限はないが、好ましくは02〜50重量%の範囲で用いられ
る。
中和樹脂(A)を乳化安定剤として乳化重合で用いる
場合、その使用量は、乳化重合される単量体混合物(シ
アノ基含有エチレン性不飽和単量体25〜80重量%を含有
するエチレン性不飽和単量体混合物)100重量部に対し
て20〜100重量部であり、好ましくは20〜50重量部であ
る。20重量部よりも少ないと、乳化重合中の安定性が不
足する。また、100重量部よりも多いと、乳化重合中の
粘度が高くなったり、凝集物の量が増加する。
予め乳化重合して得た水分散性樹脂(B)に、中和樹
脂(A)を後添加で使用する場合は、水分散性樹脂
(B)100重量部に対して、5〜100重量部、好ましくは
5〜50重量部の範囲で使用される(ただし、固形分換
算)。中和樹脂(A)の添加量が5重量部よりも少ない
と、流動性やアルコール混和性などの改善効果が得られ
ず、逆に、多すぎると、得られた水分散性樹脂組成物の
粘度が高くなり、場合によっては凝集する。
中和樹脂(A)を乳化安定剤として乳化重合で用い、
シアノ基含有エチレン性不飽和単量体25〜80重量%を含
有するエチレン性不飽和単量体混合物を共重合して得た
水分散性樹脂組成物に、さらに中和樹脂(A)を後添加
してもよい。その場合においても、乳化安定剤として用
いた中和樹脂(A)との合計量で、水分散性樹脂(B)
100重量部(固型分基準)に対して、100重量部以下、好
ましくは50重量部以下とする。
〔水分散性樹脂(B)〕
水分散性樹脂(B)を得るのに用いられるシアノ基含
有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−
t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン系
単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、ア
クリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどのアクリ
ル酸エステル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミ
ル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n
−オクチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタ
クリル酸ヒドロキシプロピルなどのメタクリル酸エステ
ル系単量体;アクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアク
リルアミド系単量体;メタクリルアミド、N−メチロー
ルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルア
ミドなどのメタクリルアミド系単量体;アクリル酸グリ
シジル、マタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエ
ーテルなどのグリシジル基含有単量体;アクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタ
コン酸などのカルボキシル基含有単量体;などが挙げら
れる。
また、より高度な耐溶剤性を必要とする場合は、多官
能性の架橋性単量体を用いて、重合体粒子を架橋するこ
とが好ましい。
多官能性単量体としては、例えば、メチレンビス(メ
タ)アクリル酸アミド、ジビニルベンゼン、エチレング
リコールジメタクリレート、テトラエチレングリコール
ジメタクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、トリ
ビニルベンゼン、ペンタエリストールテトラメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタ
エリストールペンタアクリレートなどが挙げられる。
なお、中和樹脂(A)を乳化安定剤として乳化重合で
使用せずに、後添加する場合は、乳化重合に用いる単量
体混合物中に、ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単
量体を含有させることが好ましい。その使用量は、単量
体混合物中0.5〜20重量%であることが好ましい。ヒド
ロキシル基含有エチレン性不飽和単量体を含有させるこ
とで、中和樹脂(A)を乳化重合して得られた水分散性
樹脂(B)に添加した際、発生し易い凝集を防ぐことが
できる。
〔乳化重合方法〕
乳化安定剤として中和樹脂(A)あるいは通常の低分
子乳化剤を用いてシアノ基含有エチレン性不飽和単量体
を含有するエチレン性不飽和単量体混合物を重合する方
法は、例えば、ラジカル重合開始剤を用いて、水性媒体
中にて一括重合してもよく、あるいは予め中和樹脂
(A)および/または低分子乳化剤でエチレン性不飽和
単量体混合物をエマルジョン化した後、連続的に反応器
に添加してもよい。
ただし、コーティング分野で使用するため生成する共
重合体が微粒子状であることが好ましい場合には、予め
中和樹脂(A)および/または低分子乳化剤でエマルジ
ョン化して使用することが好ましい。そうすれば、より
安定で均一な微粒子状の分散体が得られる。
低分子乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫
酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族ス
ルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリエチレング
リコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエー
テル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性
剤;が一種または二種以上で用いられる。
ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウム、過酸化水素などの水溶性開始剤;過酸
化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,2−ア
ゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどの油溶性開
始剤;過酸化物を重亜硫酸ナトリウム、トリエタノール
アミンなどの還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤
等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、エチレン性不
飽和単量体混合物100重量部に対して0.05〜5重量部の
範囲である。
〔水分散性樹脂組成物〕
乳化重合して得られた水分散性樹脂(B)のうち、低
分子乳化剤のみを用いて乳化重合して得た樹脂は、中和
樹脂(A)と混合して目的とする水分散性樹脂組成物と
することができる。
中和樹脂(A)を乳化安定剤として用いて乳化重合し
て得られた水分散体は、そのまま水分散性樹脂組成物と
して用いることができる。
また、中和樹脂(A)を乳化安定剤として用いて乳化
重合して得られた水分散性樹脂(B)に、さらに中和樹
脂(A)を添加して水分散性樹脂組成物とすることもで
きる。
乳化重合して得られた水分散性樹脂(B)と中和樹脂
(A)との混合は、中和樹脂(A)の中和液と水分散性
樹脂(B)(ラテックス)とを撹拌下に、同時に混合す
るか、あるいはいずれか一方に他方を添加することによ
り行なわれる。
特に注意すべき点としては、両者のpHが挙げられる。
両者のpHが共にアルカリ側にあれば、安定に添加できる
が、いずれか一方のpHが酸性側にあると添加時、凝集し
易い。
また、中和樹脂(A)と水分散性樹脂(B)との割合
は、固型分基準で、水分散性樹脂(B)100重量部に対
して、中和樹脂(A)5〜100重量部、好ましくは5〜5
0重量部の範囲である。中和樹脂(A)の割合が5重量
部よりも少ないと本発明の特徴が引き出せない。また、
100重量部よりも多いと水分散性樹脂組成物の粘度が高
くなったり、塗膜の耐水性が低下する。
〔発明の効果〕
本発明によれば、流動性、アルコール混和性が良好で
あるとともに、耐溶剤性に優れた塗膜を与える水分散性
樹脂組成物が提供される。
具体的には、下記のような優れた特徴を有し、塗工分
野に好適な水分散性樹脂組成物である。
(1)流動性をニュートン流動に近付けることができ
る。
(2)アルコール混和性に優れているため、アルコール
添加によりさらに流動性を改善でき、しかも乾燥速度を
速めることができる。
(3)耐溶剤性に優れた塗膜を形成できる。
(4)Tgの高い塗膜を製膜性よく形成することができ
る。
〔実施例〕
以下に実施例、参考例および比較例を挙げて、本発明
をさらに具体的に説明する。なお、これらの例中の部お
よび%は、特に断らない限り重量基準である。
〔物性の測定方法〕
実施例、参考例および比較例における各種物性の測定
方法は、次のとおりである。
酸価:樹脂1gをフェノールフタレインを指示薬として中
和(滴定)するのに必要な水酸化カリウムのmg数として
求めた。
アルコール混和性:アルコールを添加した水分散性樹脂
組成物の粘度変化を調べ、次の3段階で評価した。
×;混合直後と3カ月後の粘度変化が2倍以上ある
もの。
△;混合直後と3カ月後の粘度変化が10%〜50%の
範囲にあるもの。
○;混合直後と3カ月後の粘度変化が10%以内であ
るもの。
流動性:B型粘度計を用いて60r.p.m.および6r.p.m.で粘
度測定を行ない、その比で表す。
[6r.p.m.での粘度/60r.p.m.での粘度] 耐溶剤性:ガラス板に水分散性樹脂組成物をコーティン
グ(No.6;ワイヤーバー)した後、トルエンを付けた脱
脂綿で塗膜をラビィングする。
×:ラビィング20回以内で塗膜が溶けてしまう。
△:ラビィング20から100回で塗膜が溶けてしま
う。
○:ラビィング100回以上でも塗膜が溶けてしまわ
ない。
[参考例1] 中和樹脂(A)の合成実験例 イソプロピルアルコール100部を反応器に仕込み80℃
に加熱し、第1表に示すエチレン性不飽和単量体混合物
100部およびラジカル重合開始剤として2,2−アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル4部を各々4時間かけて
反応器に連続添加した。その後、反応を2時間続け重合
を終了した。
反応器を冷却後、得られる中和樹脂を乳化安定剤とし
て乳化重合に用いる場合は、中和に必要なアンモニア水
と樹脂の4倍量の水を加え、次いで、90℃以上に加熱
し、イソプロピルアルコールおよび過剰の水を留去し
て、樹脂濃度25%の水性中和樹脂の溶液として使用し
た。
また、得られる中和樹脂を、別途乳化重合した水分散
性樹脂(B)に後添加する場合は、イソプロピルアルコ
ール溶液のまま、アンモニア水と水を加え、樹脂濃度40
%の溶液として使用した。
かくして得られた樹脂(A−1)〜(A−6)につい
て、エチレン性不飽和単量体混合物の仕込み組成、樹脂
の酸価、重量平均分子量を第1表に示す。
[参考例2] 水分散性樹脂(B)の合成実験例(1) 冷却器、不活性ガス導入管、滴下装置および攪拌機を
備えた反応器に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ24
g、脱イオン水800gを仕込み、80℃に加熱した。
窒素ガス気流中で、アクリロニトリル320g、メチルメ
タクリレート174.4g、2−エチルヘキシルアクリレート
240g、メタクリル酸24g、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル40g、エチレングリコールジメタクリレート1.6gか
らなるエチレン性不飽和単量体混合物(アクリロニトリ
ル含有量40%)を、予めドデシルベンゼンスルホン酸ソ
ーダ8g、脱イオン水320gで乳化させた分散液、および過
硫酸アンモニウム4gを76gの水に溶解した溶液を、別々
に80℃に加熱した反応器に3時間かけて連続滴下した。
滴下後、さらに2時間反応を続けた後、未反応単量体
を除去し、固型分42%の水分散性樹脂(B−1)を得
た。
[参考例3] 水分散性樹脂(B)の合成実験例(2) 参考例2における単量体組成のうちアクリロニトリル
の使用量を160g、メチルメタクリレートの使用量を334.
4gに変えたエチレン性不飽和単量体混合物(アクリロニ
トリル含有量20%)を用いた以外は、参考例2と同様に
して固型分42%の水分散性樹脂(B−2)を得た。
[実施例1] 中和樹脂(A)の存在下での乳化重合(1) 参考例2と同様の反応器に、脱イオン水360部と樹脂
A−1の水性中和液30部(固型分=乾燥重量部)を仕込
み、攪拌下、温度70℃に保持した。
窒素ガス気流中で、アクリロニトリル240部、メチル
メタクリレート106.8部、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル240部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル12部、エチ
レングリコールジメタクリレート1.2部からなる単量体
混合物(アクリロニトリル含有量40%)を予め中和樹脂
A−1の水溶液(濃度25%)840重量部で乳化させた分
散液、および過硫酸アンモニウム9部を171部の脱イオ
ン水に溶解した溶液を、別々に70℃に加熱した反応器に
3時間かけて連続滴下した。
滴下後、85℃で2時間反応を続けて、固型分40%、粘
度400cpsの乳白色の水分散性樹脂組成物を得た。得られ
た水分散性樹脂組成物は、凝集することのない安定なも
のであった。
物性の測定結果は、第4表に示す。
[比較例1] 中和樹脂(A)の存在下での乳化重合(2) 実施例1と同様の処方で、単量体組成のうちアクリロ
ニトリルの使用量を120部、メチルメタクリレートの使
用量を226.8部に変えた単量体混合物(アクリロニトリ
ル含有量20%)を用いたこと以外は同様にして固型分40
%、粘度380cpsの乳白色の水分散性樹脂を得た。得られ
た水分散性樹脂組成物は、凝集することのない安定なも
のであった。
物性の測定結果は、第4表に示す。
[実施例2] 中和樹脂(A)と水分散性樹脂(B)との混合(1) 参考例2で得た水分散性樹脂B−1(固型分42%)
に、参考例1で得た樹脂A−1または樹脂A−2の中和
されたイソプロピルアルコール溶液(樹脂濃度40%)を
添加して、第2表に示す水分散性樹脂組成物を得た。な
お、脱イオン水を添加して水分散性樹脂組成物の固型分
を40%に調整した。物性の測定結果は、第4表に示す。
[比較例2] 中和樹脂(A)と水分散性樹脂(B)との混合(2) 参考例1〜3で得た中和樹脂と水分散性樹脂とを第3
表に示す配合割合で混合した。
得られた水分散性樹脂組成物の物性について、一括し
て第4表に示す。
ただし、酸価が大きな中和樹脂A−5を用いた場合
(比較例2−5)および重量平均分子量の大きな中和樹
脂A−6を用いた場合(比較例2−6)については、混
合時に凝集して満足な水分散性樹脂組成物を得ることが
できなかったので、その物性は測定しなかった。
第4表から明らかなように、本発明の水分散性樹脂組
成物(各実施例)は、流動性、アルコール混和性、耐溶
剤性のいずれにも優れた特性を示している。
これに対して、アクリロニトリルの含有量が小さなエ
チレン性不飽和単量体混合物を用いて水分散性樹脂
(B)を形成すると(比較例1、比較例2−1)、耐溶
剤性が低下する。同様に、中和樹脂(A)のアクリロニ
トリルの含有量が小さいと(比較例2−3)、耐溶剤性
が不十分である。
また、中和樹脂(A)の添加量が少ないと(比較例2
−2)、アルコール混和性が劣悪で、耐溶剤性も不十分
である。酸価が小さな中和樹脂(A)を用いると(比較
例2−4)、流動性が劣悪で、アルコール混和性も不十
分である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C09D 133/02 C09D 133/02 133/20 133/20 151/06 151/06 (56)参考文献 特開 昭52−126454(JP,A) 特開 昭55−145746(JP,A) 特開 昭49−30474(JP,A) 特開 昭63−83113(JP,A) 特開 昭61−271367(JP,A) 特開 昭64−4662(JP,A) 特開 昭63−227892(JP,A) 特開 昭63−175013(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 33/02,33/20,51/06 C09D 133/02,133/20,151/06 C08F 265/02 C08F 2/24 - 2/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シアノ基含有エチレン性不飽和単量体25〜
    50重量%およびカルボキシル基含有エチレン性不飽和単
    量体を含むエチレン性不飽和単量体混合物の共重合体で
    あって、酸価が80〜200で、重量平均分子量が5,000〜2
    0,000である該共重合体のカルボキシル基が少なくとも
    部分的に中和された中和樹脂(A)5〜100重量部と、
    シアノ基含有エチレン性不飽和単量体25〜80重量%を含
    有するエチレン性不飽和単量体混合物の乳化重合体から
    なる水分散性樹脂(B)100重量部を含有することを特
    徴とする水分散性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】中和樹脂(A)と水分散性樹脂(B)との
    混合物である請求項1記載の水分散性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】シアノ基含有エチレン性不飽和単量体25〜
    50重量%およびカルボキシル基含有エチレン性不飽和単
    量体を含むエチレン性不飽和単量体混合物の共重合体で
    あって、酸価が80〜200で、重量平均分子量が5,000〜2
    0,000である該共重合体のカルボキシル基が少なくとも
    部分的に中和された中和樹脂(A)の存在下、水性媒体
    中で、シアノ基含有エチレン性不飽和単量体25〜80重量
    %を含有するエチレン性不飽和単量体混合物を乳化重合
    することを特徴とする中和樹脂(A)5〜100重量部と
    シアノ基含有エチレン性不飽和単量体25〜80重量%を含
    有するエチレン性不飽和単量体混合物の乳化重合体から
    なる水分散性樹脂(B)100重量部を含有する水分散性
    樹脂組成物の製造方法。
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