JP2880748B2 - ラテックス組成物 - Google Patents

ラテックス組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規なラテックス組成物に関し、さらに詳
しくは、流動性、アルコール混和性、塗膜の耐ブロッキ
ング性、密着性、可撓性などに優れ、水性印刷インキ、
ノンスリップワニス、水性フレキソインクなどに好適な
ラテックス組成物に関する。
〔従来の技術〕
従来、ジエン系単量体を含む不飽和単量体混合物を、
低分子乳化剤の存在下に、乳化重合して得たジエン系ラ
テックスはよく知られている。このジエン系ラテックス
の用途は多岐にわたり、例えば、紙加工、繊維処理、塗
料(コーティング)、各種添加用、含浸用などの分野で
用いられている。
しかしながら、低分子乳化剤を用いて得たジエン系ラ
テックスは、流動性が不十分で、ニュートン流動(ニュ
ートニアン・フロー)とはほど遠く、高い構造粘性を示
すため、例えば、コーティング(塗工)用途において、
作業性が悪く、かつ、ロール目の発生が避けられないな
どの問題を有している。また、このラテックスは、アル
コール混和性に乏しいため、アルコール等の親和性有機
溶媒を添加して乾燥性を向上させることができない。さ
らに、塗膜とした場合、ゴム弾性と耐ブロッキング性、
密着性のバランスをとることが難しく、ジエン系単量体
の使用割合を増加させると、塗料の可撓性は向上するも
のの、耐ブロッキング性や密着性などが低下する。した
がって、従来公知の低分子乳化剤により得られたジエン
系ラテックスは、コーティング分野での用途には制約が
あった。
一方、乳化剤としてアルカリ可溶性樹脂(酸性樹脂を
有機アミンやアンモニア、アルカリ性無機加工物で中和
して水溶性とした樹脂)を用いて得たアクリルエマルジ
ョンが知られており、水性インキやコート剤、塗料分野
で用いられている(例えば、特開昭53−97083号、特開
昭50−157484号など)。このアクリルエマルジョンは、
流動性、アルコール混和性が比較的良好である。しかし
ながら、その塗膜は、剛性が強く、耐折り曲げ性などの
可撓性に乏しい。
また、中和状態の水溶性ビニル共重合体樹脂の存在下
で、エチレン性不飽和単量体混合物を共重合して得られ
る水性分散体が被覆用あるいは紙印刷艶だし用コート剤
などとして提案されている(特公昭61−37282号、特開
昭62−282095号、特開昭62−282096号など)。しかし、
これらの水分散体は、塗膜の可撓性が悪く、耐ブロッキ
ング性や密着性も必ずしも十分ではない。
最低、低分子乳化剤を用いた乳化重合により、先ず、
アルカリ可溶性樹脂ラテックスを調製した後、その存在
下に、疎水性単量体を主成分とする不飽和単量体を乳化
重合してラテックスを得る方法が提案されている(例え
ば、特開昭59−45370号、特開昭61−55289号など)。
しかしながら、乳化重合により水系で得られるアルカ
リ可溶性樹脂ラテックスは、分子量が大きく、乳化剤と
して用いた場合に、ラテックスの増粘性が強く、流動性
の改良効果も低い。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、流動性、アルコール混和性、塗膜の
耐ブロッキング性や密着性、可撓性(耐折り曲げ性)に
優れたラテックス組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、特に、水性印刷インキ、ノン
スリップワニス、水性フレキソインクなどに好適なラテ
ックス組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の有する問題点を克服す
るために鋭意研究した結果、エチレン性不飽和カルボン
酸を含むエチレン性不飽和単量体混合物を共重合して得
られる特定の範囲の酸価を有する樹脂を中和ないしは部
分中和して得られる樹脂(中和樹脂(A);アルカリ可
溶性樹脂)を乳化安定剤として使用し、該中和樹脂の存
在下、水性媒体中で、ジエン系単量体を特定割合で含む
不飽和単量体混合物を乳化重合することにより、優れた
諸性能を有するラテックス組成物の得られることを見出
した。
本発明のラテックス組成物は、ジエン系ラテックスの
特徴を活かした可撓性に富む塗膜を与える。本発明で
は、ガラス転移温度Tgの低いジエン系ラテックスに、Tg
が20〜80℃と比較的高いアルカリ可溶性樹脂(中和樹脂
(A))を導入することによって、ラテックスの流動
性、アルコール混和性、塗膜の耐ブロッキング、密着性
などの特徴を付与するものである。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至った
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
かくして、本発明によれば、エチレン性不飽和カルボ
ン酸を含むエチレン性不飽和単量体混合物を共重合して
得られる酸価が50〜300の樹脂を少なくとも部分的に中
和して得られる水溶性中和樹脂(A)20〜100重量部の
存在下、水性媒体中で、ジエン系単量体7〜80重量%と
エチレン性不飽和単量体93〜20重量%からなる不飽和単
量体混合物(B)100重量部を共重合して成ることを特
徴とするラテックス組成物が提供される。
以下、本発明について詳述する。
〔中和樹脂(A):乳化安定剤〕
本発明においては、乳化安定剤として、エチレン性不
飽和カルボン酸を含むエチレン性不飽和単量体混合物を
共重合して得られる酸価が50〜300の樹脂を少なくとも
部分的に中和して得られる樹脂(A)を使用する。
樹脂(A)は、先ず、エチレン性不飽和カルボン酸を
含むエチレン性不飽和単量体混合物を常法にしたがっ
て、溶液重合または塊状重合することにより共重合さ
せ、次いで、得られた共重合体中のカルボキシル基をア
ンモニアや有機アミンなどで、当量または部分的に中和
することにより得られる。
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン
酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有エチレン性不
飽和単量体が挙げられる。また、マレイン酸モノオクチ
ル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチルな
どのジカルボン酸モノエステルも使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸以外のエチレン性不飽和
単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロ
スチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブ
チル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、
アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アク
リル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、
アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキ
シプロピルなどのアクリル酸エステル系単量体;メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロ
ピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、
メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メ
タクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなど
のメタクリル酸エステル系単量体;アクリルアミド、N
−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアク
リルアミドなどのアクリルアミド系単量体;メタクリル
アミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキ
シメチルメタクリルアミドなどのメタクリルアミド系単
量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ル、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有
単量体;などを挙げることができる。
エチレン性不飽和カルボン酸を含むエチレン性不飽和
単量体は、従来公知の溶液重合または塊状重合により重
合することができるが、水性化が容易である点から、溶
液重合が好ましい。
溶液重合の際の有機溶媒としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール
類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロ
ソルブなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなど
のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
などが使用できる。
重合条件は、通常、ラジカル重合開始剤の存在下に、
重合温度50〜150℃、重合時間1〜10時間程度である。
エチレン性不飽和カルボン酸を含むエチレン性不飽和
単量体を共重合して得られる樹脂は、酸価が50〜300の
範囲にあることが必要であり、80〜200の酸価を有する
ことが好ましい。
酸価が50よりも小さい場合は、中和しても水溶性が充
分ではなく、ジエン系単量体を含む不飽和単量体混合物
(B)の重合時における乳化安定性が低下し、逆に、酸
価が300よりも大きい場合は、塗膜の耐水性や乾燥性が
低下するなど実用性に劣る。
また、該樹脂の重量平均分子量は、3,000〜50,000、
好ましくは8,000〜20,000の範囲にあることが望まし
い。重量平均分子量が過小であると、重合安定性が低下
するばかりか、実用上の粘度が出せない。逆に、過大で
あると、ラテックスの粘度が高くなりすぎ、場合によっ
ては重合中に凝集を起こす。
共重合成分としてエチレン性不飽和カルボン酸を含
み、酸価が上記範囲にあれば、各単量体の種類と組成は
特に限定されない。ただし、中和樹脂(A)は、乳化安
定剤として使用するとともに、各用途における特性をラ
テックス組成物に付与する上で重要な役割を果たすこと
になるため、中和樹脂(A)の水に対する溶解性や各用
途で求められる特性を考慮した組成とすることが好まし
い。
例えば、ジエン系単量体を含む単量体混合物(B)を
乳化重合したラテックスが、ガラス転移温度(Tg)の比
較的低い共重合体を含む場合には、一般的には、Tgが比
較的高い共重合体を与える組成の中和樹脂(A)を用い
ると、耐ブロッキング性に優れたラテックス組成物を得
ることができる。
そこで、中和樹脂(A)の単量体組成としては、例え
ば、エチレン性不飽和カルボン酸10〜40重量%、(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体10〜75重量%、スチレ
ン系単量体5〜40重量%、(メタ)アクリルアミド系単
量体0〜10重量%を含む単量体混合物であることが好ま
しい。Tgの観点からは、20〜100℃、好ましくは50〜100
℃となるような単量体組成を用いることが好ましい。
中和のために、通常、アンモニアあるいは有機アミン
を中和剤として用いる。有機アミンとしては、例えば、
メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジ
メチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジイ
ソプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエタノール
アミン等もしくはこれらの混合物が用いられる。これら
の中和剤で水溶性のものは、水溶液として用いてもよ
い。中和は、樹脂中のカルボキシル基と当量または部分
的に中和して用いられる。部分的に中和する場合には、
中和度が70以上、より好ましくは90以上であることが望
ましい。
中和樹脂(A)は、水中に溶解させて、乳化安定剤と
して使用する。有機溶媒中で溶液重合して得た樹脂は、
中和処理と同時に、あるいはその前後に、水を添加し、
有機溶剤を留去するなどして除去することにより、水性
化とすることが操作上好ましい。また、中和樹脂(A)
は、カルボキシル基を当量中和して、水溶性樹脂とする
ことが、乳化安定剤として作用させる上で好ましい。
中和樹脂(A)を水溶液として使用する場合、その樹
脂濃度は、通常、20〜30重量%とすることが好ましい。
〔不飽和単量体混合物(B)〕
本発明では、ジエン系単量体7〜80重量%とエチレン
系不飽和単量体93〜20重量%からなる単量体混合物
(B)を使用する。
ジエン系単量体 ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,
3−ペンタジエンなどがあり、特に、1,3−ブタジエンお
よび/またはイソプレンが好ましい。
エチレン性不飽和単量体 エチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブ
チルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン系単量
体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、
アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリ
ル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ア
クリル酸n−オクチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどのアクリル酸エ
ステル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタ
クリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタ
クリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸酸n−オク
チル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル
酸ヒドロキシプロピルなどのメタクリル酸エステル系単
量体;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアクリル
アミド系単量体;メタクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド
などのメタクリルアミド系単量体;アクリル酸グリシジ
ル、メタクリル酸グリシジル、アクリルグリシジルエー
テルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニトリル
やメタクリロニトリルなどの(メタ)アクリロニトリル
系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フ
マル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基
含有単量体;スチレンスルホン酸ソーダ、アクリルアミ
ドメチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有単
量体;メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル
酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;な
どを挙げることができ、ジエン系単量体と共重合可能な
エチレン性不飽和単量体であれば特に限定されない。
単量体混合物中、ジエン系単量体の割合は7〜80重量
%、好ましくは20〜40重量%である。ジエン系単量体の
使用割合が7重量%より少ないと、得られるラテックス
組成物は、可撓性が不十分であるなど、ジエン系単量体
を用いたジエン系ラテックスの有する性質を十分に発揮
できない。逆に、ジエン系単量体の使用割合が80重量%
よりも多くなると、塗膜が柔らかくなりすぎ、中和樹脂
(A)を使用しても、耐ブロッキング性が改善されなく
なる。
〔重合方法〕
乳化安定剤としての中和樹脂(A)の存在下で、ジエ
ン系単量体を含む不飽和単量体混合物(B)を重合する
方法は、例えば、ラジアル重合開始剤を用いて、水性媒
体中にて一括重合してもよく、あるいは予め中和樹脂
(A)で不飽和単量体混合物(B)をエマルジョン化し
た後、連続的に反応器に添加して重合してもよい。ただ
し、水性印刷インキ分野で用いる場合、コーティング被
膜の強度を出すためには、一括重合方法を採用すること
が好ましい。
重合温度は、0〜100℃、好ましくは30〜80℃、重合
時間は、1〜20時間である。
ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウム、過酸化水素などの水性開始剤;過酸化
ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキサイド、2,2−ア
ゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどの油溶性開
始剤;過酸化物を重亜硫酸ナトリウム、トリエタノール
アミンなどの還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤
等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、不飽和単量体
混合物(B)100重量部に対して、0.05〜5重量部の範
囲であり、反応開始時に一括添加あるいは分割添加して
もよい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の乳化
剤を併用してもかまわない。
ゲル含量(テトラヒドロフラン不溶解分)は、20〜80
重量%の範囲が好ましい。ゲル含量は、メルカプタン
類、キサントゲンジスルフィド類、ハロゲン化炭化水素
類などの分子量調整剤で調整する。また、重合後にゲル
含量が増加するのを防止するために、亜硫酸ソーダ、ヒ
ドロキシルアミン硫酸塩、N,N−ジエチルヒドロキシル
アミンなどの停止剤を重合終了時に添加してもよい。
中和樹脂(A)と単量体混合物(B)との混合割合
は、単量体混合物(B)100重量部に対し、中和樹脂
(A)20〜100量部、好ましくは20〜50重量部である。
また、必要に応じてラテックス組成物にアルカリ可溶
性樹脂を加えてもよい。アルカリ可溶性樹脂としては、
乳化安定剤として用いた中和樹脂(A)に相当する樹脂
が好適である。その使用量は、重量中に乳化安定剤とし
て用いた中和樹脂(A)との合計量で、単量体混合物
(B)100重量部に対し、20を越え、900重量部以下、好
ましくは25〜100重量部である。
全体として中和樹脂(A)の使用割合が多くなりすぎ
ると、ラテックス組成物の乾燥速度が遅くなり、また、
被膜の耐水性が低下する。逆に、中和樹脂(A)の使用
割合が重合段階から少なすぎると、粒子径が大きくなる
ばかりか、重合中の乳化安定剤も低下する。また、全体
として中和樹脂(A)の使用割合が少なすぎると、塗工
後のレベリング性が不十分となる。
なお、本発明のラテックス組成物には、必要に応じ
て、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、
その他各種添加剤などを配合することができる。また、
アルコール類、セルソルブ類、グリコール類、グリセリ
ンなどの水親和性溶媒を、乾燥性の向上や成膜性の向上
などの使用目的に応じて適宜添加してもよい。
〔発明の効果〕
本発明のラテックス組成物は、下記のような多くの優
れた特徴を有するものであり、特に、水性印刷インキな
どの塗工分野に好適なラテックス組成物である。
(1)流動性をニュートン流動に近付けることができ
る。
(2)アルコール混和性に優れるため、アルコール添加
によりさらに流動性をニュートン流動に近か付けること
ができるばかりか、乾燥速度を高めることができる。
(3)Tgの比較的高い中和樹脂(A)を選択することに
より、耐ブロッキング性を向上させることができる。
(4)中和樹脂(A)を選択することにより、各種素材
(被塗物)に対する密着性を向上させることができる。
(5)アクリル系エマルジョンを用いた場合の塗膜の欠
点である剛性を、ジエン系ラテックス(B)を用いるこ
とで改良することができる。
〔実施例〕
以下に実施例、参考例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明する。なお、これらの例中の部および%
は、特に断りのない限り重量基準である。
<物性の測定方法> 実施例および比較例における各種物性の測定方法は、
次のとおりである。
酸価:樹脂1gをフェノールフタレインを指示薬として中
和(滴定)するのに必要な水酸化カリウムのmg数として
求めた。
アルコール混和性:アルコールを添加したラテックス組
成物の粘度変化を調べ、次の3段階で評価した。
×:混合直後と3ヶ月後の粘度変化が2倍以上あるも
の。
△:混合直後と3ヵ月後の粘度変化が10%〜50%の範囲
にあるもの。
○:混合直後と3ヶ月後の粘度変化が10%以内であるも
の。
耐ブロッキング性:紙にラテックスをコーティングして
乾燥した後、コーティング層どうしを重ね合わせ、24時
間放置後の剥れ易さを調べた。放置条件は、40℃、相対
湿度80%、荷重500g/cm2である。
剥れ易さを次の4段階で評価して、耐ブロッキング性
の指標とした。
×:剥すとコーティング層が破壊される。
△:手で剥すと剥れる。
○:触れると簡単に剥れる。
◎:触れると極めて簡単に剥れる。
流動性:B型粘度計を用いて60r.p.m.および6r.p.m.で粘
度測定を行ない、その比で表わす。
[6r.p.m.での粘度/60r.p.m.での粘度] 密着性:コロナ放電処理ポリエチレンコート紙にラテッ
クスを塗布し、室温乾燥した後、セロハンテープ(ニチ
バン社製、幅12mm)を貼り付け、親指で5回強く擦る。
しかる後、セロハンテープを徐々に引き剥し、途中から
急激に引き剥してインキ皮膜の剥離の程度を評価した。
×:塗工面がほとんど剥れる。
△:塗工面が半分位剥れる。
○:塗工面がほとんど剥れない。
◎:塗工面が全く剥れない。
耐折り曲げ性:コロナ放電処理ポリエチレンコート紙に
ラテックスを塗布し、室温乾燥した後、3回〜5回、印
刷面を180゜に折り曲げて塗工層が剥離する度合を評価
した。
×:塗工面がほとんど剥離する。
△:塗工面が半分位剥れる。
○:塗工面がほとんど剥れない。
◎:塗工面が全く剥れない。
なお、塗工方法は、紙または処理ポリエチレンコート
紙にNo.6のワイヤーバーを用いてコーティングする方法
である。
[参考例1] 樹脂(A)の合成実験例 イソプロピルアルコール100部を反応器に仕込み80℃
に加熱し、第1表に示すエチレン性不飽和単量体混合物
100部およびラジカル重合開始剤として2,2−アソビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル4部/トルエン12.5部
を、各々4時間かけて反応器に連続添加した。その後、
反応を2時間続け重合を終了した。
反応器を冷却後、中和に必要なアンモニア水と樹脂の
4倍量(重量比)の水を加え、次いで、90℃以上に加熱
し、イソプロピルアルコールおよび過剰の水を留去し
て、樹脂濃度25%の水性中和樹脂(A−1)〜(A−
7)を得た。
エチレン性不飽和単量体混合物の仕込み組成、樹脂の
酸価および重量平均分子量を第1表に示す。
[実施例1〜4、比較例1〜2] 内容積約1の耐圧容器に、水70部、水性中和樹脂
(A−1)80部(濃度25%;樹脂として20部)、キレー
ト剤としてエチレンジアミンテトラ酢酸四ナトリウム塩
0.05部および重合開始剤として過硫酸カリウム0.02部と
ともに、第2表に示した各単量体100部と分子量調整剤
(第3級ドデシルメルカプタン)を仕込み、60℃で、撹
拌下乳化重合を行ない、ラテックス組成物を得た。
単量体の重合体への転化率は、いずれも90%以上であ
った。重合後、未反応モノマーを減圧留去し、固型分濃
度45%のラテックスとした。
ラテックスの物性の測定結果は、一括して第4表に示
す。
[実施例5〜9、比較例3〜5] 実施例1と同様にして、水性中和樹脂の種類と使用量
を第3表のように変化させ、ラテックス組成物を得た。
単量体混合物は、実施例1と同じく、ブタジエン30部、
スチレン35部、メチルメタクリレート35部を用いた。
重合転化率は全て90%以上であった。実施例1と同様
に固型分45%のラテックス組成物とした。なお、実施例
7では、水性中和樹脂(A−1)(濃度25%)を、固型
分比(乾燥重量部)で、ラテックス100部に対し、さら
に30部を後添加し、固型分38%のラテックス組成物とし
た。
ラテックスの物性の測定結果は、一括して第4表に示
す。なお、比較例3〜5では、重量中に凝集物が多量に
発生し、実用に供し得るラテックスを得ることができな
かったので、第4表には示さなかった。
[比較例6] 内容積1の耐圧容器に、水100部、乳化剤としてド
デシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.0部、無機塩(重炭
酸ソーダ)0.5部、キレート剤としてエチレンジアミン
テトラ酢酸四ナトリウム塩0.05部および重合開始剤とし
て過硫酸カリウム1.0部とともに、ブタジエン30部、ス
チレン35部、メチルメタクリレート35部および分子量調
整剤(第3級ドデシルメルカプタン)0.7部を仕込み、6
0℃で重合させ、重合後、未反応モノマーを減圧留去し
て固型分50%のラテックスとした。
得られたラテックスの評価結果は、第4表に示す。
[比較例7] 冷却器、不活性ガス導入管、滴下装置および撹拌機を
備えた反応器に、脱イオン水60部と乳化安定剤として水
性中和樹脂(A−7)5部(樹脂分)を含む(A−7)
の水溶液を仕込み、撹拌下、温度70℃に保持した。
窒素ガス気流中で、スチレン20部、メチルメタクリレ
ート45部、2−エチルヘキシルアクリレート35部からな
るビニル系単量体混合物を予め中和樹脂(A−7)の25
%水溶液140部で乳化させた分散液、および過硫酸アン
モニウム1.5部を15部の脱イオン水に溶解した溶液を、
別々に70℃に加熱した反応器に3時間かけて連続滴下し
た。滴下後、85℃で2時間反応をつづけて、固型分40%
の水性分散体を得た。
得られたテラックスの評価結果を第4表に示す。
第4表から明らかなように、本発明のラテックス組成
物は、流動性、アルコール混和性、耐ブロッキング性、
密着性および耐折り曲げ性のいずれにおいても優れた性
能を示している。
これに対して、単量体混合物(B)中のブタジエンの
割合が過小の場合(比較例1)、密着性や耐折り曲げ性
に劣り、また、過大の場合(比較例2)には、粘着性が
大きく、耐ブロッキング性に劣る。低分子乳化剤を用い
て重合して得たラテックス(比較例6)は、流動性が不
十分であるとともに、アルコール混和性、耐ブロッキン
グ性、密着性に劣り、粘着性が強いものである。
また、乳化剤として水性中和樹脂(A)の存在下に、
ジエン系単量体を含まないエチレン性不飽和単量体を重
合して得たラテックス(比較例7)は、耐折り曲げ性
(可撓性)が悪く、かつ、耐ブロッキング性や密着性も
不十分である。
なお、第3表に示した中和樹脂の酸価が本発明の範囲
外である比較例3〜4、あるいは中和樹脂の使用量が過
小である比較例5については、前記したとおり、重合中
に凝集物が多量に発生し、実用性のあるラテックスを得
ることができない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 9/00 - 21/02 C08L 33/00 - 33/12 C08L 47/00 C08F 251/00 - 292/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン性不飽和カルボン酸を含むエチレ
    ン性不飽和単量体混合物を共重合して得られる酸価が50
    〜300の樹脂を少なくとも部分的に中和して得られる水
    溶性中和樹脂(A)20〜100重量部の存在下、水性媒体
    中で、ジエン系単量体7〜80重量%とエチレン性不飽和
    単量体93〜20重量%からなる不飽和単量体混合物(B)
    100重量部を共重合して成ることを特徴とするラテック
    ス組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載のラテックス組成物に、さら
    に前記中和樹脂(A)を配合して、単量体混合物(B)
    100重量部に対する中和樹脂(A)の合計使用量を20重
    量部を越え、900重量部以下としたラテックス組成物。
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