JP2880749B2 - ラテックス組成物 - Google Patents

ラテックス組成物

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規なラテックス組成物に関し、さらに詳
しくは、流動性、アルコール混和性、塗膜の耐ブロッキ
ング性、密着性、可撓性などに優れ、特に塗工分野に好
適なラテックス組成物に関する。
〔従来の技術〕
従来、ジエン系単量体を含む不飽和単量体混合物を、
低分子乳化剤の存在下に、乳化重合して得たジエン系ラ
テックスはよく知られている。このジエン系ラテックス
の用途は多岐にわたり、例えば、紙加工、繊維処理、塗
料(コーティング)、各種添加用、含浸用などの分野で
用いられている。
しかしながら、低分子乳化剤を用いて得たジエン系ラ
テックスは、流動性が不十分で、ニュートン流動(ニュ
ートニアン・フロー)とはほど遠く、高い構造粘性を示
すため、例えば、コーティング(塗工)用途において、
作業性が悪く、かつ、ロール目の発明が避けられないな
どの問題を有している。また、このラテックスは、アル
コール混和性に乏しいため、アルコール等の親水性有機
溶媒を添加して乾燥性を向上させることができない。さ
らに、塗膜とした場合、ゴム弾性と耐ブロッキング性、
密着性のバランスをとることが難しく、ジエン系単量体
の使用割合を増加させると、塗膜の可撓性は向上するも
のの、耐ブロッキング性や密着性などが低下する。した
がって、従来公知の低分子乳化剤により得られたジエン
系ラテックスは、コーティング分野での用途には制約が
あった。
一方、乳化剤としてアルカリ可溶性樹脂(酸性樹脂を
有機アミンやアンモニア、アルカリ性無機化合物で中和
して水溶性とした樹脂)を用いて得たアクリルエマルジ
ョンが知られており、水性インキやコート剤、塗料分野
で用いられている(例えば、特開昭53−97083号、特開
昭50−157484号など)。このアクリルエマルジョンは、
流動性、アルコール混和性が比較的良好である。しかし
ながら、その塗膜は、剛性が強く、耐折り曲げ性などの
可撓性に乏しい。
また、最近、低分子乳化剤を用いた乳化重合により、
先ず、アルカリ可溶性樹脂ラテックスを調製した後、そ
の存在下に、疎水性単量体を主成分とする不飽和単量体
を乳化重合してラテックスを得る方法が提案されている
(例えば、特開昭59−45370号、特開昭61−55289号な
ど)。
しかしながら、乳化重合により水系で得られるアルカ
リ可溶性樹脂ラテックスは、分子量が大きく、乳化剤と
して用いた場合に、ラテックスの増粘性が強く、流動性
の改良効果も低い。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、流動性、アルコール混和性、塗膜の
耐ブロッキング性や密着性、可撓性(耐折り曲げ性)に
優れたラテックス組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の有する問題点を克服す
るために鋭意研究した結果、(1)エチレン性不飽和カ
ルボン酸を含むエチレン性不飽和単量体混合物を共重合
して得られる特定の範囲の酸価と重量平均分子量を有す
る樹脂を中和ないしは部分中和して得られる樹脂(中和
樹脂(A);アルカリ可溶性樹脂)と、(2)ジエン系
単量体を特定割合で含む不飽和単量体混合物を乳化重合
して得られるラテックス(ラテックス(B);ジエン系
ラテックス)とを混合することにより、前記目的を達成
できることを見出した。
本発明のラテックスは、ジエン系ラテックスの特徴を
活かした可撓性に富む塗膜を与える。本発明では、予め
乳化重合して得られたジエン系ラテックスに、比較的ガ
ラス転移温度Tgの高いアルカリ可溶性樹脂(中和樹脂
(A))を添加することによって、ラテックスの流動
性、アルコール混和性、塗膜の耐ブロッキング性、密着
性などの特徴を付与するものである。そして、アルカリ
可溶性樹脂の使用量を比較的少量の範囲に調整できるた
め、コスト面から有利であると共に、アルカリ可溶性樹
脂の使用による塗膜の耐水性の低下を抑制することがで
きる。さらに、従来知られているジエン系ラテックスを
幅広く用いることができるメリットを有する。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至った
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
かくして、本発明によれば、エチレン性不飽和カルボ
ン酸を含むエチレン性不飽和単量体混合物を共重合して
得られる酸価が50〜300で、重量平均分子量が5,000〜2
0,000の樹脂を少なくとも部分的に中和して得られる中
和樹脂(A)5〜50重量部(固型分基準)を含む溶液
と、ジエン系単量体5〜80重量%とエチレン性不飽和単
量体95〜20重量%からなる単量体混合物を乳化重合して
得られるラテックス(B)100重量部(固型分基準)と
を混合して成ることを特徴とするラテックス組成物が提
供される。
以下、本発明について詳述する。
〔中和樹脂(A)〕
本発明においては、エチレン性不飽和カルボン酸を含
むエチレン性不飽和単量体混合物を共重合して得られる
酸価が50〜300で、重量平均分子量が5,000〜20,000の樹
脂を少なくとも部分的に中和して得られる樹脂(A)を
使用する。
樹脂(A)は、先ず、エチレン性不飽和カルボン酸を
含むエチレン性不飽和単量体混合物を常法にしたがっ
て、溶液重合または塊状重合することにより共重合さ
せ、次いで、得られた共重合体中のカルボキシル基をア
ンモニアや有機アミンなどで、当量または部分的に中和
することにより得られる。
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アク
リル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイ
ン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有エチレン性
不飽和単量体が挙げられる。また、マレイン酸モノオク
チル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル
などのジカルボン酸モノエステルも使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸以外のエチレン性不飽和
単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロ
スチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブ
チル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、
アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アク
リル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、
アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキ
シプロピルなどのアクリル酸エステル系単量体;メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロ
ピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、
メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メ
タクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなど
のメタクリル酸エステル系単量体;アクリルアミド、N
−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアク
リルアミドなどのアクリルアミド系単量体;メタクリル
アミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキ
シメチルメタクリルアミドなどのメタクリルアミド系単
量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ル、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有
単量体;などを挙げることができる。
エチレン性不飽和カルボン酸を含むエチレン性不飽和
単量体は、従来公知の溶液重合または塊状重合により得
ることができるが、ジエン系ラテックスとの混合操作が
容易である点から、溶液重合が好ましい。
溶液重合の際の有機溶媒としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール
類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロ
ソルブなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなど
のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
などが使用できる。
重合条件は、通常、ラジカル重合開始剤の存在下に、
重合温度50〜150℃、重合時間1〜10時間程度である。
エチレン性不飽和カルボン酸を含むエチレン性不飽和
単量体を共重合して得られる樹脂は、酸価が50〜300の
範囲にあることが必要であり、80〜200の酸価を有する
ことが好ましい。
酸価が50よりも小さい場合は、中和しても水溶性が充
分ではなく、ジエン系ラテックスと混合した場合に、乳
化安定剤が悪くなり、また、アルコール混和性や耐ブロ
ッキング性が低下する。逆に、酸価が300よりも大きい
場合は、ジエン系ラテックスに少量添加しても粘度が高
くなりすぎて、通常の塗工用途には、使用が困難とな
る。
また、該樹脂の重量平均分子量は、5,000〜20,000の
範囲にあることが必要である。重量平均分子量が過小で
あると、アルコール混和性や耐ブロッキング性が低下
し、逆に、過大であると、ラテックスの粘度が高くなり
すぎ、しかも耐折り曲げ性などの塗膜性能が悪くなる。
共重合成分としてエチレン性不飽和カルボン酸を含
み、酸価および重量平均分子量が上記範囲にあれば、各
単量体の種類と組成は特に限定されない。ただし、中和
樹脂(A)は、各用途における特性をラテックスに付与
する上で重要な役割を果たすことになるため、中和樹脂
(A)の水に対する溶解性や各用途で求められる特性を
考慮した組成とすることが好ましい。
例えば、ジエン系単量体を含む単量体混合物を乳化重
合したラテックスが、ガラス転移温度(Tg)の比較的低
い共重合体を含む場合には、一般的には、Tgが比較的高
い共重合体を与える組成の中和樹脂(A)を用いると、
耐ブロッキング性に優れたラテックス組成物を得ること
ができる。
そこで、中和樹脂(A)の単量体組成としては、例え
ば、エチレン性不飽和カルボン酸10〜40重量%、(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体10〜75重量%、スチレ
ン系単量体5〜40重量%、(メタ)アクリルアミド系単
量体0〜10重量%を含む単量体混合物であることが好ま
しい。
中和のために、通常、アンモニアあるいは有機アミン
を中和剤として用いる。有機アミンとしては、例えば、
メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジ
メチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジイ
ソプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエタノール
アミン等もしくはこれらの混合物が用いられる。これら
の中和剤で水溶性のものは、水溶液として用いてもよ
い。中和は、樹脂中のカルボキシル基と当量または部分
的に中和して用いられる。部分的に中和する場合には、
中和度が70以上、より好ましくは90以上であることが望
ましい。
中和樹脂(A)は、通常、溶液ないしは分散液として
使用される(以下、単に溶液という)が、その濃度は、
最終ラテックスの固型分濃度を極端に下げるような薄い
ものでなければ、特に制限はない。通常、濃度20〜50重
量%の溶液として用いることが好ましい。
溶媒は、重合溶媒のほか中和樹脂(A)の溶解状態を
破壊しないものであれば特に制限されないが、ジエン系
ラテックスに対する安定性も考慮して選択することが好
ましい。
有機溶媒中で溶液重合して得た共重合体は、中和処理
と同時、あるいはその前後に、水あるいは水親和性溶媒
を添加してもよい。水親和性溶媒としてはアルコール
類、セルソルブ類、グリコール類、グリセリンなどが挙
げられる。これら水親和性溶媒は、乾燥性の向上や成膜
性の向上などの使用目的に応じて適宜使用される。ま
た、一度粉末化した後、用途に応じて所望の溶媒に溶解
して使用することもできる。
〔ラテックス(B)〕
ラテックス(B)は、ジエン系単量体とエチレン性不
飽和単量体からなる単量体混合物を乳化重合することに
より得られるものである。
ジエン系単量体 ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,
3−ペンタジエンなどがあり、特に、1,3−ブタジエンお
よび/またはイソプレンが好ましい。
エチレン性不飽和単量体 エチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブ
チルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン系単量
体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、
アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリ
ル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ア
クリル酸n−オクチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどのアクリル酸エ
ステル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタ
クリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタ
クリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸酸n−オク
チル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル
酸ヒドロキシプロピルなどのメタクリル酸エステル系単
量体;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアクリル
アミド系単量体;メタクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド
などのメタクリルアミド系単量体;アクリロニトリルや
メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリロニトリル系
単量体などを挙げることができ、ジエン系単量体と共重
合可能なエチレン性不飽和単量体であれば特に限定され
ない。
また、エチレン性不飽和単量体を官能基で分類する
と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2
−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、
メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有単量
体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、
アクリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有単
量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロ
ールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド
などのアミド基含有単量体;アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸な
どのカルボキシル基含有単量体、スチレンスルホン酸ソ
ーダ、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸などの
スルホン酸基含有単量体;メタクリル酸ジメチルアミノ
エチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミ
ノ基含有単量体;などが使用できるが、特に、これらの
水酸基、グリシジル基、アミド基、カルボキシル基、ス
ルホン酸基およびアミノ基から選択される官能基を有す
るエチレン性不飽和単量体を単量体混合物中に0.5〜15
重量%の割合で含有させると、粘度変化の少ないラテッ
クス組成物を得ることができるため好ましい。
単量体混合物中、ジエン系単量体の割合は5〜80重量
%である。ジエン系単量体の使用割合が5重量%より少
ないと、得られるラテックス組成物は、可撓性が不十分
であるなど、ジエン系単量体を用いたジエン系ラテック
スの有する性質を十分に発揮できない。逆に、ジエン系
単量体の使用割合が80重量%よりも多くなると、塗膜が
柔らかくなりすぎ、中和樹脂(A)を添加しても、耐ブ
ロッキング性が改善されなくなる。
乳化重合 ラテックス(B)を得るための乳化重合法には、特に
制限はなく、回分式乳化重合、半回分式乳化重合、連続
式乳化重合のいずれでもよく、また、重合温度も低温、
高温のいずれでもよい。さらに、重合に使用する乳化
剤、重合開始剤、分子量調整剤等も、通常の乳化重合に
使用されるものが使用でき、特に制限されない。
乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エス
テル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン
酸塩のアニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール
のアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、
アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤;がそれ
ぞれ単独であるいは2種以上混合して用いられる。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウム等の水溶性開始剤、レドックス系開始
剤、あるいは過酸化ベンゾイル等の油溶性開始剤が使用
できる。
分子量調整剤としては例えば、メルカプタン類、キサ
ントゲンジスルフィド類、およびハロゲン化炭化水素類
が使用できる。
〔中和樹脂(A)とラテックス(B)との混合〕
中和樹脂(A)とラテックス(B)との混合は、中和
樹脂(A)の溶液とラテックス(B)とを撹拌下に、同
時に混合するか、あるいはいずれか一方に他方を添加す
ることにより行なわれる。
特に注意すべき点としては、両者のpHが挙げられる。
とりわけ、ラテックス(B)がアニオン性界面活性剤で
乳化状態が安定化されている場合、通常、ラテックスの
pHはアルカリ側に設定される。このラテックス(B)
と、中和樹脂(A)溶液とを混合する場合、中和樹脂
(A)溶液のpHはアルカリ側であることが好ましい。
また、粘度変化が少ないラテックス組成物とするため
には、前記したとおり、ラテックス(B)として、水酸
基、グリシジル基、アミド基、カルボキシル基、スルホ
ン酸基およびアミノ基から選択される官能基を有するエ
チレン性不飽和単量体を0.5〜15重量%の割合で含有さ
せた単量体混合物を乳化重合して得られるラテックスを
用いることが好ましい。
中和樹脂(A)とラテックス(B)との混合割合は、
固型分基準で、ラテックス(B)100重量部に対し、中
和樹脂(A)5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部で
ある。
中和樹脂(A)のラテックス(B)100重量部(固型
分)に対する混合割合が固型分比で5重量部よりも少な
いと、流動性の改善効果が少なく、アルコール混和性や
耐ブロッキング性も不十分となる。逆に、50重量部より
多くなると、ラテックス組成物の粘度が高くなりすぎ、
しかも耐水性が低下する。
なお、本発明のラテックス組成物には、必要に応じ
て、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、
その他各種添加剤などを配合することができる。
〔発明の効果〕
本発明のラテックス組成物は、下記のような多くの優
れた特徴を有するものであり、特に、塗工分野に好適な
ラテックス組成物である。
(1)流動性をニュートン流動に近付けることができ
る。
(2)アルコール混和性に優れるため、アルコール添加
によりさらに流動性をニュートン流動に近か付けること
ができるばかりか、乾燥速度を高めることができる。
(3)Tgの比較的高い中和樹脂(A)を選択することに
より、耐ブロッキング性を向上させることができる。
(4)中和樹脂(A)を選択することにより、各種素材
(被塗物)に対する密着性を向上させることができる。
(5)アクリル系エマルジョンを用いた場合の塗膜の欠
点である剛性を、ジエン系ラテックス(B)を用いるこ
とで改良することができる。
〔実施例〕
以下に実施例、参考例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明する。なお、これらの例中の部および%
は、特に断りのない限り重量基準である。
<物性の測定方法> 実施例および比較例における各種物性の測定方法は、
次のとおりである。
酸価:樹脂1gをフェノールフタレインを指示薬として中
和(滴定)するのに必要な水酸化カリウムのmg数として
求めた。
アルコール混和性:アルコールを添加したラテックス組
成物の粘度変化を調べ、次の3段階で評価した。
×:混合直後と3ヶ月後の粘度変化が2倍以上あるも
の。
△:混合直後と3ヵ月後の粘度変化が10%〜50%の範囲
にあるもの。
○:混合直後と3ヶ月後の粘度変化が10%以内であるも
の。
耐ブロッキング性:紙にラテックスをコーティングして
乾燥した後、コーティング層どうしを重ね合わせ、24時
間放置後の剥れ易さを調べた。放置条件は、40℃、相対
湿度80%、荷重500g/cm2である。
剥れ易さを次の4段階で評価して、耐ブロッキング性
の指標とした。
×:剥すとコーティング層が破壊される。
△:手で剥すと剥れる。
○:触れると簡単に剥れる。
◎:触れると極めて簡単に剥れる。
流動性:B型粘度計を用いて60r.p.m.および6r.p.m.で粘
度測定を行ない、その比で表わす。
[6r.p.m.での粘度/60r.p.m.での粘度] 密着性:コロナ放電処理ポリエチレンコート紙にラテッ
クスを塗布し、室温乾燥した後、セロハンテープ(ニチ
バン社製、幅12mm)を貼り付け、親指で5回強く擦る。
しかる後、セロハンテープを徐々に引き剥し、途中から
急激に引き剥してインキ皮膜の剥離の程度を評価した。
×:塗工面がほとんど剥れる。
△:塗工面が半分位剥れる。
○:塗工面がほとんど剥れない。
◎:塗工面が全く剥れない。
耐折り曲げ性:コロナ放電処理ポリエチレンコート紙に
ラテックスを塗布し、室温乾燥した後、3回〜5回、印
刷面を180゜に折り曲げて塗工層が剥離する度合を評価
した。
×:塗工面がほとんど剥離する。
△:塗工面が半分位剥れる。
○:塗工面がほとんど剥れない。
◎:塗工面が全く剥れない。
なお、塗工方法は、紙または処理ポリエチレンコート
紙にNo.6のワイヤーバーを用いてコーティングする方法
である。
[参考例1] 樹脂(A)の合成実験例 イソプロピルアルコール100部を反応器に仕込み80℃
に加熱し、第1表に示すエチレン性不飽和単量体混合物
100部およびラジカル重合開始剤として2,2−アソビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル4部/トルエン12.5部
を、各々4時間かけて反応器に連続添加した。その後、
反応を2時間続け重合を終了した。
なお、第1表中の樹脂コード(A−8)では、ラジカ
ル重合開始剤を3部/トルエン9.3部とした。
エチレン性不飽和単量体混合物の仕込み組成、樹脂の
酸価および重量平均分子量を第1表に示す。なお、溶液
中の樹脂の濃度は50%である。
[参考例2] ジエン系ラテックスの合成実験例 内容積約1の耐圧容器に、水100部、乳化剤として
ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.0部、無機塩(重
炭酸ソーダ)0.5部、キレート剤としてエチレンジアミ
ンテトラ酢酸四ナトリウム塩0.05部および重合開始剤と
して過硫酸カリウム1.0部とともに、第2表に示した各
単量体と分子量調整剤(第3級ドデシルメルカプタン)
を仕込み、60℃で重合させた。
単量体の重合体への転化率は、いずれも99%以上であ
った。得られたラテックスは、未反応単量体を除去した
のち、カセイソーダでpHを8に調整後、固形分濃度を50
%に調製した。
[実施例1〜4、比較例1〜6] 参考例1で得られた各樹脂に、第3表に示す中和剤
(アンモニア水)、造膜剤、アルコール、水を添加した
後、参考例2で得られた各ラテックスに、撹拌下で添加
してラテックス組成物を得た。
得られた各ラテックス組成物の評価結果を一括して第
4表に示す。
[比較例7] 参考例1で合成した樹脂(A−7)に、中和に必要な
アンモニア水と、樹脂の4倍量(重量比)の水を加え、
次いで、90℃以上に加熱してイソプロピルアルコールを
留去して、樹脂濃度25%の水性中和樹脂(A−7)の溶
液を得た。
冷却器、不活性ガス導入管、滴下装置および撹拌機を
備えた反応器に、脱イオン水60部と乳化安定剤として水
性中和樹脂(A−7)5部(固形分基準)を含む(A−
7)の水溶液を仕込み、撹拌下、温度70℃に保持した。
窒素ガス気流中で、スチレン20部、メチルメタクリレ
ート45部、2−エチルヘキシルアクリレート35部からな
るビニル系単量体混合物を予め中和樹脂(A−7)の25
%水溶液140部で乳化させた分散液、および過硫酸アン
モニウム1.5部を15部の脱イオン水に溶解した溶液を、
別々に70℃に加熱した反応器に3時間かけて連続滴下し
た。滴下後、85℃で2時間反応をつづけて、固型分40%
の水性分散体を得た。
得られたテラックスの評価結果を第4表に示す。
第3表および第4表から明らかなように、本発明のラ
テックス組成物は、流動性、アルコール混和性、耐ブロ
ッキング性、密着性および耐折り曲げ性のいずれにおい
ても優れた性能を示し、かつ、ラテックスの粘度も適正
である。
これに対して、中和樹脂(A)の混合割合が過小の場
合(比較例1)、流動性の改善効果がなく、アルコール
混和性や耐ブロッキング性も不十分である。逆に、中和
樹脂(A)の混合割合が多すぎる場合(比較例2)に
は、ラテックス組成物が増粘してクリーム化し、塗工に
は使用できないものとなる。
また、酸価が本発明の範囲外の中和樹脂(A)を用い
た場合(比較例3〜5)には、流動性と他の諸物性との
バランスのとれたラテックスを得ることができない。重
量平均分子量が大きい中和樹脂(A)を用いた場合(比
較例6)、ラテックス組成物の粘度が大きくなりすぎ、
しかも流動性も劣悪である。さらに、乳化剤として水性
中和樹脂(A)の存在下に、ジエン系単量体を含まない
エチレン性不飽和単量体を重合して得たラテックス(比
較例7)は、耐折り曲げ性(可撓性)が悪く、かつ、耐
ブロッキング性や密着性も不十分である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−55289(JP,A) 特開 昭64−1782(JP,A) 特開 平2−685(JP,A) 特開 昭50−126039(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 9/00 - 21/02 C08L 33/00 - 33/02 C08L 47/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン性不飽和カルボン酸を含むエチレ
    ン性不飽和単量体混合物を共重合して得られる酸価が50
    〜300で、重量平均分子量が5,000〜20,000の樹脂を少な
    くとも部分的に中和して得られる中和樹脂(A)5〜50
    重量部(固型分基準)を含む溶液と、ジエン系単量体5
    〜80重量%とエチレン性不飽和単量体95〜20重量%から
    なる単量体混合物を乳化重合して得られるラテックス
    (B)100重量部(固型分基準)とを混合して成ること
    を特徴とするラテックス組成物。
  2. 【請求項2】ジエン系単量体とエチレン性不飽和単量体
    からなる単量体混合物が、水酸基、グリシジル基、アミ
    ド基、カルボキシル基、スルホン酸基およびアミノ基か
    ら選択される官能基を有するエチレン性不飽和単量体を
    0.5〜15重量%の割合で含有するものである請求項1記
    載のラテックス組成物。
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