JP2008019335A - アルカリ可溶性エマルション及びその製造方法 - Google Patents

アルカリ可溶性エマルション及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水溶液中において溶解度及び透明性が高い、アルカリ可溶性エマルション及びその製造方法を提供する。
【解決手段】酸基を有する単量体を必須とする単量体成分を多段乳化重合して得られるアルカリ可溶性共重合体エマルションであって、酸基を有する単量体(a−1)20〜90質量%、及び、エステル部位の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(a−2)10〜80質量%を含む単量体成分を共重合する工程(a)と、酸基を有する単量体(b−1)20〜90質量%、エステル部位の炭素原子数が8以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−2)5〜80質量%、及び、エステル部位の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−3)0〜75質量%を含む単量体成分を共重合する工程(b)とを必須とするアルカリ可溶性共重合体エマルション及びその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルカリ可溶性エマルション及びその製造方法に関する。より詳しくは、各種水性組成物であるコーティング剤、洗浄剤、樹脂組成物等に添加して使用される添加剤、特に増粘剤として好適であり、水性樹脂分散液として用いられるアルカリ可溶性エマルション及びその製造方法に関する。
アルカリ可溶性エマルションは、通常、エマルション中の分散粒子が酸基を有する重合体によって構成され、アルカリ存在下で中和されて分散状態が変化して溶解又は膨潤するという特性をもつものである。このようなアルカリ可溶性エマルションについて、重合体を形成する単量体成分の組成を調整して各種水性組成物の添加剤として使用すると、溶解・膨潤した重合体によって種々の作用が付与されることになる。中でも、コーティング剤、洗浄剤、樹脂組成物等の増粘剤として有用なものであり、種々の工業用途において注目されている。
従来のアルカリ可溶性エマルションとしては、例えば、カルボキシ基含有エチレン性不飽和単量体、炭素原子数1〜8のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体、炭素原子数9〜20のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体の単量体混合物のプレエマルションを作成し、これを重合して得られるアルカリ可溶又は膨潤性重合体水性分散液が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。このような重合体水性分散液においては、炭素原子数9〜20のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体のような、高疎水性単量体を共重合することによって、重合体水性分散液の特性を調整しようとするものである。
しかしながら、高疎水性単量体を共重合することにより、それによって得られる共重合体の親水性が低下するため、一般的にアルカリ可溶性は低下することになる。共重合体を含む水溶液において、共重合体が充分に溶解等した状態であると、エマルションの分散した状態に比較して水溶液の透明性が向上することになるが、アルカリ可溶性が低下すると、共重合体を含む水溶液の透明性は低下することになる。このような重合体水性分散液は、顔料等を含んだ不透明な水性組成物用の添加剤としては、透明性が必要ではないという点から適用することが可能であるが、高い透明性が要求される用途に使用することはできない。例えば、クリアなコーティング膜を形成するための材料や洗浄剤組成物等において、このような重合体水性分散液を適用することは、製品品質の点からできるものではない。そのため、疎水性単量体を共重合することによって、重合体水性分散液の特性を調整する場合に、エマルションに高いアルカリ可溶性を付加し、エマルションが添加され、アルカリ存在下で共重合体が溶解又は膨潤した状態で水溶液の透明性が向上されることになるようにする工夫の余地があった。
アルカリ可溶性エマルションにおけるアルカリ可溶性を向上させる方法としては、エマルションを構成する共重合体が有するカルボキシル基を増やすことが考えられるが、共重合可能なカルボキシル基を有する単量体成分量には限界がある。また、カルボキシル基を有する単量体成分の量が多すぎると、共重合体の安定性に悪影響を及ぼすおそれがある。更に、アルカリ可溶性エマルションを構成する共重合体を低分子量化することが考えられるが、低分子量化した共重合体によって構成されるエマルションにおいては、例えば、増粘剤として用いたときに増粘性が低下することになる。このため、アルカリ可溶性エマルションにおいて、アルカリ可溶性と各種水性組成物の添加剤として使用したときの性能とを両立させ、各種水性組成物の品質と特性・性能とを同時に向上させることができるものが望まれていた。
特開平9−296011号公報 特開平8−188987号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高疎水性単量体を共重合すことによって各種水性組成物の添加剤として有用なアルカリ可溶性エマルションであって、高い増粘性等の特性を付与することができ、またエマルションとしての優れた安定性を有し、しかも、アルカリ存在下で充分に溶解・膨潤して透明性に優れた水溶液を与えることができ、コーティング剤、洗浄剤、樹脂組成物等に添加して使用される添加剤、特に増粘剤として好適であるアルカリ可溶性エマルション及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、高疎水性単量体を用いた重合体及びその製造方法ついて種々検討したところ、重合体をアルカリ可溶性とする単量体を含む単量体成分を重合させる工程、及び、重合体を高疎水性とする単量体を含む単量体成分を重合させる工程を含む多段重合法を行うことによって得られるエマルションは、単に混合することによって得られるエマルションに比較して、高い透明性を有しており、かつ、高い増粘性を有していることに着目した。
上記多段重合法によって得られるエマルションは、いわゆるコア・シェル構造、又は、いわゆるIPN(interpenetrating polymer networks)構造になっていることによって、水溶液の透明性が高まっているものと考えられる。すなわち、本発明のアルカリ可溶性エマルションは、アルカリ存在下において、エマルションを構成する重合体が溶解するものであるか、若しくは、膨潤又は拡散しているものであると考えられ、エマルションを構成する重合体が完全に溶解しているものに限られるものではないが、従来に比べて高い透明性を実現するものである。
上記多段重合法によって得られるエマルションは、高い増粘性及び安定性を有するものであり、かつ、優れたアルカリ可溶性を有することに起因し、水溶液中における透明性が高いため、増粘剤、改質剤、洗浄剤、及び、樹脂組成物等のような水性組成物として使用できるだけでなく、クリアなコーティング膜を形成するためのコーティング剤等のように、高い透明性を必要とされる用途にも使用することができる工業的に有用な水性樹脂分散体であることを見いだし、上記課題をみごと解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、酸基を有する単量体を必須とする単量体成分を多段重合法によって乳化重合して得られるアルカリ可溶性共重合体エマルションであって、上記アルカリ可溶性共重合体エマルションは、酸基を有する単量体(a−1)20〜90質量%、及び、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(a−2)10〜80質量%を含む単量体成分を共重合する工程(a)と、酸基を有する単量体(b−1)20〜90質量%、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が8以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−2)5〜80質量%、及び、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−3)0〜75質量%を含む単量体成分を共重合する工程(b)とを必須として得られるアルカリ可溶性共重合体エマルションである。
以下に本発明を詳述する。
上記酸基を有する単量体(a−1)及び上記酸基を有する単量体(b−1)は、本発明においては、アルカリ易可溶性単量体(重合体をアルカリ可溶性とする単量体)と呼ばれるものであるが、このような単量体を共重合させることによって、上記アルカリ可溶性エマルションを形成する重合体に酸基を導入することができる。エマルションを形成する共重合体が有する酸基は、アルカリ存在下において、イオン化した状態で存在することとなる。例えば、カルボキシル基(−COOH)は、NaOHなどの塩基によって、陰イオン(−COO−)として存在する。陰イオンが負の電荷を帯びていることにより、エマルションを形成する重合体は、電気的な反発によって膨潤又は拡散すると考えられ、上記アルカリ可溶性エマルションの透明性及び増粘性を高めることができる。
上記エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が8以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−2)は、本発明においては、高疎水性単量体(重合体を高疎水性とする単量体)と呼ばれるものであるが、このような単量体を共重合させることによって、上記共重合体エマルションを形成する共重合体に、疎水性の官能基を導入することができる。疎水性の官能基を有する共重合体は、疎水基同士が会合することによって、いっそう効果的な増粘作用を奏することができ、上記アルカリ可溶性エマルションの増粘性を向上させることができる。
上記酸基を有する単量体(a−1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロキシプロピオン酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基を有する単量体:ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基を有する単量体:モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等のリン酸基を有する単量体が含まれる。また、これらのモノマーの、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩が含まれる。ただし、これらに限定されるものではなく、重合性であり、かつ、酸性の官能基またはその塩を有していればよい。
これらの単量体の中でも、カルボキシル基を有するカルボン酸系単量体が好ましい。カルボキシル基を有する単量体において、カルボキシル基は、1分子中に1つであっても複数であってもよい。上記カルボン酸系単量体は下記一般式(1);
で表される。上記一般式(1)については以下に説明する。式中、R、R、及び、Rは、水素原子、炭素原子数が1〜4の炭化水素基、カルボキシル基、又は、炭素原子数が1〜4のアルキレンカルボン酸基を表す。上記R、R、及び、Rは、水素原子又は炭素原子数が1〜2の炭化水素基となり、上記カルボン酸系単量体は、分子中に存在するカルボキシル基が1つとなるモノカルボン酸系単量体であることが好ましい。更に好ましくは、R、及び、Rが水素原子であって、Rが水素原子又はメチル基である。特に好ましくはR、及び、Rが水素原子であって、Rがメチル基である。上述したように炭化水素基の炭素数又は水素原子と限定することによって、エマルションが有する官能基の疎水性を適度なものとすることができ、また、エマルションの親水性を充分なものとすることができる。このような効果は、R及びRを水素原子とすることにより、最も顕著に表れることになる。
これらの単量体の1種又は2種以上を含んでいてもよい。
上記単量体(a−1)が工程(a)に用いられる全単量体中に占める質量比(質量%)は、20〜90質量%であることを必須とする。上記質量比の下限としては、25質量%であることが好ましい。より好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは35質量%以上であり、特に好ましくは40質量%以上である。上記質量比が20%未満であると、エマルションの親水性が充分なものとならないおそれがある。また、上記質量比の上限としては、85質量%以下であることが好ましい。より好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは75質量%以下であり、特に好ましくは70質量%以下である。上記質量比が90%を超えると、重合反応が妨げられるおそれがあり、また、カルボキシ基が過度に増えることにより、ポリマーの安定性が低下するおそれがある。
上記エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(a−2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸と炭素数1〜4のアルコールとのエステルである(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記単量体(a−2)は、下記一般式(2);
で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体であることが好ましい。上記一般式(2)については以下に説明する。式中、R、R、及び、Rは水素原子又は炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す。Rは炭素原子数1〜4の炭化水素基を表す。
上記R及びRは、水素原子又は炭素原子数が1〜2の炭化水素基であることが好ましい。より好ましくは水素原子である。上記Rは水素原子又は炭素原子数1〜2の炭化水素基であることが好ましい。より好ましくは、水素原子又はメチル基である。Rは炭素原子数2〜3の炭化水素基であることが好ましい。
上述したように炭化水素基の炭素数又は水素原子と限定することによって、エマルションが有する官能基の疎水性を適度なものとすることができ、エマルションの親水性を充分なものとすることができる。このような効果は、R及びRを水素原子とすることにより、最も顕著に表れることになる。
上記単量体(a−2)のなかでも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。より好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルである。更に好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルである。特に好ましくはアクリル酸エチルである。1種又は2種以上を含んでもよく、単量体(b−3)と同一又は異なっていてもよい。
上記単量体(a−2)が工程(a)に用いられる全単量体中に占める質量比(質量%)は、10〜80質量%であることを必須とする。上記質量比の下限としては、15質量%以上であることが好ましい。より好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは25質量%以上であり、特に好ましくは30質量%以上である。上記質量比が10%未満であると、単量体(a−1)の質量比が増加し、カルボキシル基が過度に増えることにより、ポリマーの安定性が低下するおそれがある。また、上記質量比の上限としては、75質量%以下であることが好ましい。より好ましくは70質量%以下であり、更に好ましくは65質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以下である。上記質量比が80%を超えると、相対的に単量体(a−1)の質量比が低下し、エマルションに含まれるカルボキシル基が少なくなることによって、エマルションの親水性が充分なものとならないおそれがある。
エステル部位における炭化水素基の炭素原子数とは、次のようである。上記一般式(2)において、R及びRが水素原子、Rが水素原子又はメチル基である構造の場合のRがエステル部位の炭化水素基であり、この部分の炭素原子数を指す。例えば、(メタ)アクリル酸メチルであれば、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数は1であり、(メタ)アクリル酸ノニルであれば、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数は9である。
上記酸基を有する単量体(b−1)は、上記酸基を有する単量体(a−1)と同様であって、1種又は2種以上を含んでもよく、単量体(a−1)と同一又は異なってもよい。また、上記酸基を有する単量体(b−1)として好ましいものは、上記酸基を有する単量体(a−1)として好ましいものと同様である。
上記単量体(b−1)が工程(b)に用いられる全単量体中に占める質量比(質量%)は、20〜90質量%であることを必須とする。上記質量比の下限としては、25質量%であることが好ましい。より好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは35質量%以上であり、特に好ましくは40質量%以上である。上記質量比が20%未満であると、エマルションの親水性が充分なものとならないおそれがある。また、上記質量比の上限としては、85質量%以下であることが好ましい。より好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは75質量%以下であり、特に好ましくは70質量%以下である。上記質量比が90%を超えると、重合反応が妨げられるおそれがあり、また、カルボキシ基が過度に増えることにより、ポリマーの安定性が低下するおそれがある。
上記エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が8以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸と炭素数8以上のアルコールとのエステルである(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記単量体(b−2)は下記一般式(3);
で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体であることが好ましい。上記一般式(3)については以下に説明する。式中、R、R、及び、R10は水素原子又は炭素原子数が1〜8の炭化水素基を表す。R11は炭素原子数8以上の炭化水素基を表す。
上記アルカリ可溶性エマルションをアルカリ存在下においた際の粘度の上昇を大きくするために、上記炭化水素基R11は、炭素数8〜30の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基には、直鎖、分岐または環状アルキル基、アリール基、アルキルアリール基などが挙げられる。これらの炭化水素基は、上述した会合作用が阻害されない限りにおいて、一部が置換されていてもよい。直鎖アルキル基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。分岐アルキル基としては、3−メチルヘキシル基、4,4−ジエチルオクチル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、シクロオクチル基、コレスタニル基、ラノスタニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。アルキルアリール基としては、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基、ノニルフェニル基等が挙げられる。上記炭化水素基R11としてより好ましくは炭素数8〜30のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数8〜20のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数8〜15のアルキル基であり、最も好ましくは炭素数10〜14のアルキル基である。
上記R及びRは、水素原子又は炭素原子数が1〜4の炭化水素基であることが好ましい。より好ましくは水素原子又は炭素原子数が1〜2の炭化水素基であり、更に好ましくは水素原子である。上記R10は、水素原子又は炭素原子数が1〜4の炭化水素基であることが好ましい。より好ましくは水素原子又は炭素原子数が1〜2の炭化水素基であり、更に好ましくは水素原子又はメチル基である。特に好ましくはメチル基である。
上述したように炭化水素基の炭素数又は水素原子と限定することによって、エマルションが有する官能基の疎水性を適度なものとすることができ、エマルションの親水性を充分なものとすることができる。このような効果は、R及びRを水素原子とすることにより、最も顕著に表れることになる。
上記単量体(b−2)が工程(b)に用いられる全単量体中に占める質量比(質量%)は、5〜80質量%であることを必須とする。上記質量比の下限としては、10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは15質量%以上であり、更に好ましくは20質量%以上であり、特に好ましくは25質量%以上である。上記質量比が10%未満であると、共重合体エマルションが充分な増粘性を有しないものとなるとなるおそれがある。また、上記質量比の上限としては、75質量%以下であることが好ましい。より好ましくは70質量%以下であり、更に好ましくは65質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以下である。上記質量比が80%を超えると、共重合体エマルションの疎水性が大きくなることによって、透明性が低下するおそれがある。
上記エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−3)は、上記単量体(a−2)と同様であって、上記単量体(b−3)として好ましいものは、上記酸基を有する単量体(a−2)として好ましいものと同様である。また、1種又は2種以上を含んでもよく、単量体(a−2)と同一又は異なってもよい。
上記単量体(b−3)が共重合工程(b)に用いられる全単量体中に占める質量比(質量%)は、5〜75質量%であることを必須とする。上記質量比の下限としては、10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは15質量%以上であり、更に好ましくは20質量%以上であり、特に好ましくは25質量%、最も好ましくは30質量%以上である。上記質量比が5質量%未満であると、エマルションの重合安定性が低下してしまう可能性がある。また、上記質量比の上限としては、70質量%以下であることが好ましい。より好ましくは65質量%以下であり、更に好ましくは60質量%以下であり、特に好ましくは55質量%以下であり、最も好ましくは50質量%以下である。上記質量比が75質量%を超えると、単量体(b−1)の含有量が低下し共重合体エマルションの溶解性が低下するか、若しくは、単量体(b−2)の含有量が低下し、アルカリ可溶時の増粘性が著しく低下するおそれがある。
尚、上記共重合工程(b)においては、上記単量体(b−1)、(b−2)、及び、(b−3)以外の単量体(b−4)0〜30質量%を含んでいてもよい。上記単量体(b−4)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヘキシル等の(メタ)アクリル酸と炭素数5〜7のアルコールとのエステルである(メタ)アクリル酸エステル系単量体等が挙げられるが、本発明の効果を妨げないものであれば、特に限定されない。
上記単量体(b−4)が上記共重合工程(b)に用いられる全単量体中に占める質量比(質量%)は、0〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは、0〜15質量%であり、更に好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは、0〜5質量%である。また、上記単量体(b−4)は、全く含まれていなくてもよい。
上記アルカリ可溶性共重合体エマルションは、工程(a)における単量体成分と工程(b)における単量体成分との質量比が20:80〜50:50であるアルカリ可溶性共重合体エマルションであることも、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記質量比は20:80〜50:50であることが好ましい。より好ましくは、20:80〜45:55であり、更に好ましくは20:80〜40:60であり、特に好ましくは20:80〜35:65であり、特に好ましくはであり、最も好ましくは25:75〜30:70である。
上記工程(a)における単量体成分が20質量%未満の場合は、共重合体エマルションの水溶性が低下し、透明性が低下するおそれがある。
上記アルカリ可溶性エマルションを作成する際に用いる単量体の比は、各共重合工程における単量体のモル比によって規定することによっても、本発明の効果を充分に発揮することができる。上記単量体(a−1)が共重合工程(a)に用いられる全単量体中に占めるモル比(モル%)の下限は、20モル%以上であることが好ましい。より好ましくは25モル%以上であり、更に好ましくは30モル%以上であり、特に好ましくは35モル%、最も好ましくは40モル%以上である。上記モル比が20モル%未満であると、エマルションの親水性が充分なものとならないおそれがある。また、上記モル比の上限としては、70モル%以下であることが好ましい。より好ましくは65モル%以下であり、更に好ましくは60モル%以下であり、特に好ましくは55モル%以下であり、最も好ましくは50モル%以下である。上記モル比が70モル%を超えると、重合反応が妨げられるおそれがあり、また、カルボキシ基が過度に増えることにより、ポリマーの安定性が低下するおそれがある。
上記単量体(a−2)が共重合工程(a)に用いられる全単量体中に占めるモル比(モル%)の下限は、30モル%以上であることが好ましい。より好ましくは35モル%以上であり、更に好ましくは40モル%以上であり、特に好ましくは45モル%、最も好ましくは50モル%以上である。上記モル比が30モル%未満であると、単量体(a−1)のモル比が増加し、カルボキシル基が過度に増えることにより、ポリマーの安定性が低下するおそれがある。また、上記モル比の上限としては、80モル%以下であることが好ましい。より好ましくは75モル%以下であり、更に好ましくは70モル%以下であり、特に好ましくは65モル%以下であり、最も好ましくは55モル%以下である。上記モル比が80モル%を超えると、相対的に単量体(a−1)のモル比が低下し、エマルションに含まれるカルボキシル基が少なくなることによって、エマルションの親水性が充分なものとならないおそれがある。
上記単量体(b−1)が共重合工程(b)に用いられる全単量体中に占めるモル比(モル%)の下限は、20モル%以上であることが好ましい。より好ましくは25モル%以上であり、更に好ましくは30モル%以上であり、特に好ましくは35モル%、最も好ましくは40モル%以上である。上記モル比が20モル%未満であると、共重合体エマルションの粘度が低下し、増粘剤として使用できないものとなるおそれがある。また、上記モル比の上限としては、70モル%以下であることが好ましい。より好ましくは65モル%以下であり、更に好ましくは60モル%以下であり、特に好ましくは55モル%以下であり、最も好ましくは50モル%以下である。上記モル比が70モル%を超えると、重合反応が妨げられるおそれがあり、また、カルボキシル基が過度に増えることにより、ポリマーの安定性が低下するおそれがある。
上記単量体(b−2)が共重合工程(b)に用いられる全単量体中に占めるモル比(モル%)の下限は0.2モル%以上であることが好ましい。より好ましくは0.5モル%以上であり、更に好ましくは1モル%以上であり、特に好ましくは1.5モル%以下であり、最も好ましくは3モル%以上である。上記モル比が0.2モル%未満であると、共重合体エマルションが充分な増粘性を有しないものとなるとなるおそれがある。また、上記モル比の上限としては30モル%以下であることが好ましい。より好ましくは20モル%以下であり、更に好ましくは15モル%以下であり、特に好ましくは10モル%以下であり、最も好ましくは8モル%以下である。上記モル比が30モル%を超えると、共重合体エマルションの疎水性が大きくなることによって、透明性が低下するおそれがある。
上記単量体(b−3)が共重合工程(b)に用いられる全単量体中に占めるモル比(モル%)の下限としては、10モル%以上であることが好ましい。より好ましくは15モル%以上であり、更に好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは25モル%、最も好ましくは30モル%以上である。上記モル比が10モル%未満であると、エマルションの重合安定性が低下してしまうおそれがある。また、上記モル比の上限としては、70モル%以下であることが好ましい。より好ましくは65モル%以下であり、更に好ましくは60モル%以下であり、特に好ましくは55モル%以下であり、最も好ましくは50モル%以下である。上記モル比が70モル%を超えると、単量体(b−1)の含有量が低下し共重合体エマルションの溶解性が低下するか、若しくは、単量体(b−2)の含有量が低下し、アルカリ可溶時の増粘性が著しく低下するおそれがある。
上記単量体(b−4)が共重合工程(b)に用いられる全単量体中に占めるモル比(モル%)の上限としては、30モル%以下であることが好ましい。より好ましくは20モル%以下であり、更に好ましくは15モル%以下であり、特に好ましくは10モル%以下、最も好ましくは5モル%以下である。
上記アルカリ可溶性共重合体エマルションは、工程(a)における単量体成分と工程(b)における単量体成分とのモル比が20:80〜50:50であることも、本発明の好適な実施形態の1つである。上記モル比は20:80〜50:50であることが好ましい。より好ましくは、20:80〜45:55であり、更に好ましくは20:80〜40:60であり、特に好ましくは20:80〜35:65であり、最も好ましくは25:75〜30:70である。上記工程(a)における単量体成分が20モル%未満の場合は、共重合体エマルションの水溶性が低下し、透明性が低下するおそれがある。
上記アルカリ可溶性エマルションの重量平均分子量は、少なくとも10万以上であることが好ましい。より好ましくは20万以上であり、更に好ましくは50万以上であり、特に好ましくは100万以上である。上記重量平均分子量が10万未満であると、共重合体エマルションの増粘性が充分なものとならないおそれがある。また、上記重量平均分子量は1000万以下であることが好ましい。上記重量平均分子量が1000万を超えると、アルカリ可溶性が低下するおそれがある。
上記アルカリ可溶性エマルションの不揮発分、すなわち、増粘剤としての重合体は、60質量%以下であることが好ましい。
上記製造方法によって得られるエマルションの平均粒径については、特に限定されないが、好ましくは10nm〜1μmであり、さらに好ましくは20〜500nmである。エマルションの平均粒径が10nm未満であると、エマルションの粘度が高くなりすぎ、また、分散安定性が保てずに凝集するおそれがある。他方、1μmを超えると、エマルションではなくなってしまう。
上記多段重合法によって得られる共重合体エマルションは、本発明の効果を妨げないものである限り、上記共重合体工程(a)及び上記共重合体工程(b)以外の工程を含む多段重合法で製造されるものであってもよいが、上記共重合工程(a)及び上記共重合体工程(b)が同じ反応系中で連続して行われることによって得られる共重合体エマルションであることが好ましい。より好ましくは、アルカリ易可溶性単量体含有組成物を重合させる上記共重合工程(a)を先に行い、その後、上記共重合工程(b)を行うことによって得られる共重合体エマルションである。どちらか一つの工程のみで行った場合、または、別の系中で作成したエマルションを単に混合した場合は、共重合体エマルションの水溶液中における透明性が充分なものとならないおそれがある。尚、上記共重合工程(a)及び上記共重合工程(b)における反応条件、乳化剤、開始剤等は、後述する製造方法と同様にして行うことができる。
上記酸基を有する単量体(a−1)及び(b−1)が(メタ)アクリル酸であるアルカリ可溶性共重合体エマルションもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。上記酸基を有する単量体(a−1)及び(b−1)が(メタ)アクリル酸であることにより、エマルションの重合安定性が良好であるため、より好適なアルカリ可溶性共重合体エマルションとなる。
本発明はまた、酸基を有する単量体を必須とする単量体成分を多段重合法によって乳化重合して得られるアルカリ可溶性共重合体エマルションであって、上記アルカリ可溶性共重合体エマルションは、テトラヒドロフランを溶媒としたゲル浸透クロマトグラフィー測定で共重合体に由来する2つのピークを有するアルカリ可溶性共重合体エマルションでもある。
上記ゲル浸透クロマトグラフィー測定で共重合体に由来する2つのピークを有するとは、アルカリ可溶性共重合体エマルション中の共重合体についてテトラヒドロフランを溶媒としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行い、電圧(eV)を縦軸、収集時間(分)を横軸とした分布曲線を得たときに、当該分布曲線において認められる2つのピークを意味する。このような分布曲線においては、3つの変曲点を有することになり、3つの極値のうちの2つの極値が上に凸の曲線上にあり、その2つの極大値が2つのピークを形成することになる。残りの1つの極値が、2つのピークによって形成される谷に存在し、下に凸の曲線上に存在することになる。これらの2つのピーク、すなわち3つの変曲点は、図1に示されるように1つの山において認められることが好ましい。例えば、図1の実施例1においては、収集時間(保持時間)が6.00分近辺から10.00分近辺の1つの大きな山において、いわゆるショルダー(肩)と呼ばれる小さな山が6.00分近辺に認められている。この場合、6.00分近辺に変曲点が認められる小さな山と7.00分近辺に変曲点が認められる大きな山とによって2つのピークが形成されることになる。
なお、図1の実施例1において、収集時間が12.00分近辺のピークは、ゲル浸透クロマトグラフィー測定において収集時間の最後に認められるものであり、本発明における2つのピークに該当するものではない。
同様に、図1の実施例2においては、6.30分近辺に極大値が認められる小さな山と7.00分近辺に極大値が認められる大きな山とによって2つのピークが形成されることになり、収集時間が12.00分近辺のピークは、本発明における2つのピークに該当するものではない。
上記ピークは、GPC測定器によって測定することができ、東ソー製GPC装置(型番;HLC−8120GPC〔商品名〕)を用いることが好適である。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として、固形分0.2重量%となるように共重合体サンプルを調整したうえ、次の条件によって行うことが好適である。
カラム;TSKgel GMHXL
カラム温度:40℃
溶媒流速;1.0ml/min.
検出器;示差屈折計
上記ゲル浸透クロマトグラフィー測定で共重合体に由来する2つのピークを有するアルカリ可溶性共重合体エマルションとしては、上述した本発明のアルカリ可溶性エマルションを好適に適用することができ、後述する製造方法によって好適に得ることができる。
上記アルカリ可溶性共重合体エマルションにおいて、ゲル浸透クロマトグラフィー測定で共重合体に由来する2つのピークを有するとは、アルカリ可溶性共重合体エマルションが2種以上の数平均分子量及び/又は重量平均分子量の異なる共重合体によって形成されることを意味する。このようなアルカリ可溶性共重合体エマルションは、例えば、多段重合法によって、数平均分子量及び/又は重量平均分子量の異なる二種以上の共重合体が順次形成されることによって調製されることになる。なお、単に二種以上の共重合体を混合することによって得られるエマルションではないことが好ましく、すなわち、二種以上の共重合体エマルションがブレンド(混合)されて構成されただけのエマルションとは区別されることが好ましい。
上記ゲル浸透クロマトグラフィー測定で共重合体に由来する2つのピークを有するアルカリ可溶性共重合体エマルションの構造は、いわゆるコア・シェル構造、又は、いわゆるIPN構造等であると考えられ、2種以上の共重合体のうち、何れかが高疎水性共重合体であり、残りの何れかがアルカリ易可溶性共重合体である。そうすると、アルカリ存在下において、コア・シェル構造の場合、好ましくはコア部にあるアルカリ易可溶性共重合体が溶解又は膨潤し、それにともなって高疎水性共重合体も溶解又は膨潤することになる。またIPN構造の場合も、アルカリ易可溶性共重合体が溶解又は膨潤するのにともなって高疎水性共重合体も溶解又は膨潤することになる。その結果、アルカリ可溶性共重合体エマルションが添加された水溶液の透明性が充分に高められることになる。また高疎水性共重合体とアルカリ易可溶性共重合体とに区別され、これらが1つの共重合工程によって調製される場合、全体としては連続的な1つの共重合体としての性質をもつことになり、例えば、エマルションとしての安定性が得られることになる。更に、高疎水性共重合体を含むことから、高い粘度を与えるという性能面において、従来の高い性能を発揮する高疎水性共重合体と変わらない又はそれ以上の性能を発揮することになる。
本発明のアルカリ可溶性共重合体エマルションにおいて、ゲル浸透クロマトグラフィー測定で共重合体に由来する2つのピークを有するという構成と、アルカリ存在下において透明度が高く、かつ、エマルションとしての安定性や高い粘度を与えるという作用効果とは、上述したような関係にある。
上記アルカリ可溶性共重合体エマルションは、1質量%濃度でpHが6〜9である中和水溶液の濁度が35以下であることも、本発明の好適な実施形態の1つである。
上述した2つのピークを有するアルカリ可溶性エマルションとすることによって、上記濁度を35以下とすることを達成することができる。上記濁度が35以下のアルカリ可溶性エマルションは、クリアーコーティング膜等のように高い透明性要求される用途に好適に使用することができるものである。
上記アルカリ可溶性エマルションが上記形態となることは、アルカリ可溶性エマルションがいわゆるコア・シェル構造、又は、いわゆるIPN構造等を有することにより、アルカリ存在下に置いた際に拡散又は膨潤することによって、水溶液の透明性が高まることによって実現しているものと考えられるが、それ起因し、アルカリ可溶性共重合体エマルションを用いて作成される形成品の透明度を充分なものとすることができる。
上記濁度は、34以下であることが好ましい。より好ましくは、30以下であり、更に好ましくは、26以下である。上記濁度が35を超えると、クリアーコーティング膜、洗浄剤成分等のような高い透明性を要求される用途に使用できないものとなるおそれがある。濁度が35以下である上記アルカリ可溶性共重合体エマルションは、重合体に疎水性を付加する単量体を含む単量体成分を重合させる工程、及び、重合体をアルカリ可溶とする単量体を含む単量体成分を重合させる工程を含む多段重合法、又は、下記の製造方法によって好適に得ることができる。
上記pHが6〜9であることによって、上記アルカリ可溶性エマルションのアルカリ可溶性を充分なものとすることができ、また、上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来するエステル基の加水分解を起こりにくいものとすることができ、加水分解により発生するカルボキシル基の影響を小さくし、ポリマーの溶解性及び水溶液のpHが経時で変化しないものとすることができるため、塗料(コーティング剤)や洗浄剤用としてより好適である。
上記pHは、6.5〜8.5であることが好ましい。より好ましくは、7.0〜8.0である。
上記pHは、pHメーターを用いて測定することができる。上記pHを測定する機器としては、堀場製作所製のpHメータ(型番;F−23)が好適であり、25℃において測定することがより好適である。上記濁度は、次式(濁度=拡散透過光/全光線透過光)によって算出することができる。上記濁度を算出する際に必要となる拡散透過光及び全光線透過光は、濁度計によって測定することができる。上記濁度を測定するための機器としては、日本電飾製の濁度計(型番;NDH2000)が好適であり、石英セル中に中和水溶液サンプルを入れて行うことがより好適である。
上記アルカリ可溶性共重合体エマルションは、1質量%濃度でpHが6〜9である中和水溶液の25℃における、BM粘度計、30回転での測定粘度が1000mPa・s以上であることも、本発明の好適な実施形態の一つである。上記アルカリ可溶性エマルションが上記形態となることによって、アルカリ可溶性共重合体エマルションが増粘剤として使用することができるものとなり、その結果、上記アルカリ可溶性エマルションを用いて作成する形成品が工業的に有用な品質を有するものとすることができる。
上記粘度は、1000mPa・s以上であることが好ましい。より好ましくは2000mPa・s以上であり、最も好ましくは3000mPa・s以上である。上記粘度が1000より小さいと、増粘性が不充分なものとなものとなるおそれがある。上記粘度が1000mPa・s以上であるアルカリ可溶性共重合体エマルションは、重合体に疎水性を付加する単量体を含む単量体成分を重合させる工程、及び、重合体をアルカリ可溶とする単量体を含む単量体成分を重合させる工程を含む多段重合法、又は、下記の製造方法によって好適に得ることができる。
上記粘度が数十万mPa・s以上となると、上記アルカリ可溶性共重合体エマルションの流動性がなくなり、増粘液ではなく単なるゲルとなって使用不能となるおそれがあるが、濃度を適宜調整することによって使用可能な粘度とすることができるため、上記粘度の上限は特に限られるものではない。更に、低添加量で効果を発現するという観点からは、上記粘度が数十万mPa・s以上となるアルカリ可溶性共重合体エマルションは、より高性能であるといえる。しかしながら、実施例の1%中和粘度を考慮して、本発明の増粘剤の性能上、通常可能な粘度発現範囲を実現するためには、100,000mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは50,000mPa・s以下であり、更に好ましくは10,000mPa・s以下である。
上記粘度は、BM粘度計を用いて測定することができる。上記BM粘度計としては、東京計器製のBM型粘度計が好適であり、測定条件をロータNo.4、25℃、30回転として行うことができる。
本発明はまた、酸基を有する単量体を必須とする単量体成分を多段重合法によって乳化重合して得られるアルカリ可溶性共重合体エマルションの製造方法であって、上記アルカリ可溶性共重合体エマルションの製造方法は、酸基を有する単量体(a−1)20〜90質量%、及び、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(a−2)10〜80質量%を含む単量体成分を共重合する工程(a)と、酸基を有する単量体(b−1)20〜90質量%、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が8以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−2)5〜80質量%、及び、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−3)0〜75質量%を含む単量体成分を共重合する工程(b)とを必須とするアルカリ可溶性共重合体エマルションの製造方法でもある。
上記共重合工程(a)及び(b)において用いられる単量体の質量比は、本発明のアルカリ可溶性エマルションを作成の際に説明したものと同様にして行うことができる。
また、上記共重合工程(a)及び(b)の乳化重合は、水性媒体中で行うことができる。上記水性媒体は特に限定されず、例えば、水、水と混じり合うことができる溶媒の1種又は2種以上の混合溶媒、このような溶媒に水が主成分となるように混合した混合溶媒等が挙げられる。これらの中では、水が好ましい。また、上記共重合工程(a)及び(b)においては、重合反応を充分に進行させるため、開始剤を添加することが好ましい。
上記重合開始剤は、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であれば特に限定されないが、開始剤水溶液を使用することが好ましい。上記重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤などが挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上を用いてもよい。
上記重合開始剤の使用量は、特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。例えば、全単量体の総量を100質量部としたときに、重合開始剤を0.1〜2質量部とすることが好ましい。より好ましくは0.2〜1質量部である。
また、上記開始剤水溶液の添加方法は、反応開始前にあらかじめ全量を混合するか、あるいは、反応開始から反応終了まで均一に滴下することができる。また、充分に進行させるため、攪拌しながら行うことが好ましい。
上記共重合工程において使用することができる乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン性界面活性剤としては、硫酸エステル塩、スルホン酸塩及びリン酸エステル塩等が好適である。
上記ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド類、ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体、エチレンオキサイドと脂肪酸アミン、アミド又は酸との縮合生成物等が好適である。上記カチオン性界面活性剤としては、アルキルピリジニルクロライド、アルキルアンモニクムクロライド等が好適である。
上記両性界面活性剤としては、ラウリルペタイン、ステアリルペタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が好適である。
上記高分子界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、これらの重合体の構成単位である重合性単量体の2種以上の共重合体又は他の単量体との共重合体等が好適である。
上記製造方法の共重合工程(a)においては、重合反応を行う時間を0.1〜12時間とすることが好ましい。より好ましくは、0.2〜10時間である。更に好ましくは、0.3〜8時間である。上記反時間が0.1時間未満であると、重合反応が充分に進行しないおそれがある。上記反応時間が12時間を超えると、高コストとなるおそれがある。
また、上記製造方法の共重合工程(a)及び共重合工程(b)においては、反応器内の温度を0〜100℃として行うことが好ましい。より好ましくは、50〜90℃である。更に好ましくは、60〜80℃である。特に好ましくは、65〜75℃である。上記反応器内の温度が40℃以下であると、重合反応が充分に進行しないおそれがある。上記反応器内の温度が100℃以上であると、安定にエマルション重合できないおそれがある。
上記共重合工程(a)及び(b)においては、必要に応じて、分子量低減のために、連鎖移動剤を単量体成分100質量部当たり0.001〜2質量部用いてもよい。連鎖移動剤には、四塩化炭素、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン置換アルカン;n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸ドデシル等のモノチオグリコール酸アルキル等のチオエステル;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;α−メチルスチレンダイマー、ターピノール、テルピネン、ジペンテン等が挙げられる。ただし、連鎖移動剤は、これらに限定されない。また、1種又は2種以上の連鎖移動剤を用いてもよい。
上記製造方法において用いる単量体は、市販の薬剤を用いることができ、アクリル酸と各種アルコールとによるエステル化物を作成する等、公知の方法によって合成することもできる。なお、上記製造方法における反応温度、反応時間、乳化剤、重合開始剤等の各種条件、単量体の作成方法は、本発明のアルカリ可溶性エマルションを作成する際にも好適に用いることができる。
上記製造方法は、本発明の効果を妨げないものである限り、上記共重合体工程(a)及び上記共重合体工程(b)以外の工程を含むものであってもよいが、上記共重合工程(a)及び上記共重合体工程(b)が同じ反応系中で連続して行われることが好ましい。より好ましくは、上記共重合工程(a)を先に行い、その後、上記共重合工程(b)を行うことである。どちらか一つの工程のみで行った場合、または、別の系中で作成したエマルションを単に混合した場合は、共重合体エマルションの水溶液中における透明性が充分なものとならないおそれがある。
本発明の水性樹脂分散体及びその製造方法は、上述の構成よりなり、優れた増粘性及び優れた透明性を有するアルカリ可溶性エマルションであって、洗浄剤、樹脂組成物等のような水性組成物に使用できるだけでなく、高い透明性を必要とされる用途にも使用することができるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記の実施例において、共重合体エマルションの物性評価は、下記の測定方法により行った。
<中和水溶液作製法>
250ccのPPカップに所定量のエマルション共重合体を入れ、イオン交換水で希釈後、0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で中和し、固形分1%の中和水溶液を得た。
<pH、粘度測定>
pH;堀場製作所製のpHメータ(型番;F−23)を用い、25℃で測定。
粘度:東京計器製のBM型粘度計を用い、ロータNo.4、25℃、30回転で測定。
<濁度測定>
日本電飾製の濁度計(型番;NDH2000)を用いて、奥行10mmの石英セル中に中和水溶液サンプルを入れ、次式により濁度を算出した。濁度=拡散透過光/全光線透過光
<分子量測定>
テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として、固形分0.2重量%となるように共重合体サンプルを調整。東ソー製GPC装置(型番;HLC−8120GPC)を用い、以下の条件で測定した。
カラム;TSKgel GMHXL
カラム温度:40℃
溶媒流速;1.0ml/min
検出器;示差屈折計
<不揮発分測定>
アルミ皿にエマルション共重合体を約1g秤量し、150℃の熱風乾燥機中で20分乾燥し、乾燥前後の重量から下記式により求めた。
不揮発分(%)=(乾燥後の重量)/(乾燥前の重量)×100
(実施例1)
攪拌機、温度計、冷却器、窒素導入管、滴下ロートを備えた四ツロセパラブルフラスコに、イオン交換水272.77重量部を投入した。内温70℃で攪拌しながら、緩やかに窒素を流し、反応容器内を完全に窒素置換した。次に、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩(第一工業製薬製、ハイテノールLA−10)2.9重量部をイオン交換水61.63重量部に溶解させ、これにメタクリル酸38.72重量部、アクリル酸エチル58.08重量部、の混合物を投入し、攪拌してプレエマルションを作製した。また、過硫酸アンモニウム0.91部を、イオン交換水44.59重量部に混合し、開始剤水溶液を作製した。上記プレエマルションの4%を反応容器に投入して5分攪拌後、亜硫酸水素ナトリウム0.07重量部を投入した。次いで上記開始剤水溶液の5%を反応容器に投入後20分攪拌し、初期重合を行った。反応容器の内温を72℃に保ち、残りのプレエマルション及び開始剤水溶液中の10.81重量部を30分間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、内温を72℃に保ち、30分間攪拌を続けた(第一工程)。次に、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩(第一工業製薬製、ハイテノールLA−10)8.71重量部をイオン交換水184.89重量部に溶解させ、これにメタクリル酸116.16重量部、アクリル酸エチル145.20重量部、及び、アクリル酸ラウリル29.04重量部の混合物を投入し、攪拌してプレエマルションを作製した。反応容器の内温を72℃に保ち、作製したプレエマルション全量及び上記開始剤水溶液の残り32.42重量部を、1.5時間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、内温を72℃に保ち、1時間撹拝を続けた(第2工程)。次いで、冷却して反応を完了し、不揮発分40%、重量平均分子量210万のエマルション重合体(第1工程共重合体:第2工程共重合体=25:75、重量比)を得た。
(実施例2)
第1工程の重合性モノマーとして、メタクリル酸23.23重量部、アクリル酸エチル34.85重量部を用い、第2工程の重合性モノマーとして、メタクリル酸92.93重量部、アクリル酸エチル116.16重量部、アクリル酸ラウリル23.23重量部を用いて、実施例1と同様の手法で重合した。不揮発分40%、重量平均分子量390万のエマルション重合体(第1工程共重合体:第2工程共重合体=20:80、重量比)を得た。
(実施例3)
第1工程の重合性モノマーとしてメタクリル酸92.93重量部、アクリル酸エチル116.16重量部、アクリル酸ラウリル23.23重量部を用いて、第2工程の重合性モノマーとして、メタクリル酸23.23重量部、アクリル酸エチル34.85重量部を用い、上記共重合工程(a)と上記共重合工程(b)の順序を入れ替えた以外は、実施例1の単量体組成と同様にして行い、不揮発分40%、重量平均分子量130万のエマルション重合体(第1工程共重合体:第2工程共重合体=75:25、重量比)を得た。
(実施例4)
第1工程の重合性モノマーとして、メタクリル酸17.42重量部、アクリル酸エチル26.14重量部を用い、第2工程の重合性モノマーとして、メタクリル酸98.74重量部、アクリル酸エチル123.42重量部、アクリル酸ラウリル24.68重量部を用いて、実施例1と同様の手法で重合した、不揮発分40%、重量平均分子量290万のエマルション重合体(第1工程共重合体:第2工程共重合体=15:85、重量比)を得た。
(比較例2)
攪拌機、温度計、冷却器、窒素導入管、滴下ロートを備えた四ツロセパラブルフラスコに、
イオン交換水327.64重量部、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩(第一工業製薬製、ハイテノールLA−10)4.36重量部を投入した。内温70℃で攪拌しながら、緩やかに窒素を流し、反応容器内を完全に窒素置換した。次に、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩4.36重量部をイオン交換水269.14重量部に溶解させ、これにメタクリル酸116.16重量部、アクリル酸エチル145.20重量部、アクリル酸ラウリル29.04重量部の混合物を投入し、攪拌してプレエマルションを作製した。また、過流酸アンモニウム0.68部を、イオン交換水67.42重両部に混合し、開始剤水溶液を作製した。上記プレエマルションの5%を反応容器に投入して5分攪拌後、亜硫酸水素ナトリウム0.05重量部を投入した。次いで上記開始剤水溶液の5%を反応容器に投入後20分攪拌し、初期重合を行った。反応容器の内温を72℃に保ち、残りのプレエマルション及び開始剤水溶液を2時間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、内温を72℃に保ち、さらに1時間攪拌を続けた後、冷却して反応を完了し、不揮発分30%、重量平均分子量180万のエマルション重合体(第1工程共重合体:第2工程共重合体=100:0、重量比)を得た。
(比較例3)
重合性単量体として、メタクリル酸116.16重量部、アクリル酸エチル174.24重量部を用いて、比較例2と同様の手法で、不揮発分30%、重量平均分子量200万のエマルション共重合体を得た。この共重合体25重量部と比較例2で得た共重合体75重量%の混合物を比較例3共重合体とした。
(比較例4)
重合性単量体として、メタクリル酸116.16重量部、アクリル酸エチル152.46重量部、アクリル酸ラウリル21.78重量部を用いて、比較例2と同様の手法で共重合体エマルションを得た。不揮発分30%、重量平均分子量140万のエマルション重合体(第1工程共重合体:第2工程共重合体=100:0、重量比)を得た。
これらの実施例及び比較例のpH、粘度測定、濁度測定の結果を表1に示す。また、各実施例及び比較例の単量体の質量比を表2に示し、単量体のモル比を表3に示す。
表1〜3について、以下に説明する。表中、工程aとは、上記共重合工程(a)であり、工程bとは、上記共重合工程(b)である。また、第一工程とは、最初に行った共重合工程であり、第二工程とは、二番目に行った共重合工程である。
比較例2は上記共重合工程(a)を行わず、上記共重合工程(b)のみを行ったものであるが、比較例2の共重合体エマルションは、実施例1の共重合体エマルションと比較すると、濁度が高く、粘度は低いものであった。比較例1は上記共重合工程(a)の単量体成分と上記共重合工程(b)の単量体成分との質量比を15:85として共重合体エマルションを作成したものであるが、実施例1の共重合体エマルションと比較すると、濁度が高く、粘度は低いものであった。比較例3は、上記共重合工程(a)及び上記共重合工程(b)をそれぞれ別の系中で行った後、上記共重合工程(a)の単量体成分と共重合工程(b)の単量体成分との質量比が25:75となるように混合して作成したものであるが、実施例1の共重合体エマルションと比較すると、濁度が高く、粘度は低いものであった。比較例4は、上記共重合工程(a)の単量体成分と上記共重合工程(b)を実施例1と同様にして、それぞれを別の系中で行ったものを、反応後に混合したものであるが、実施例1の共重合体エマルションと比較すると、濁度が高く、粘度はやや低いものであった。
実施例2は上記共重合工程(a)の単量体成分と上記共重合工程(b)の単量体成分との質量比を20:80として行ったものであるが、実施例1の共重合体エマルションと比較すると、濁度がやや高く、粘度はやや低いものであったが、実施例4及び比較例2〜4に比較すると、透明性が高く、良好な結果が得られた。実施例3は、上記共重合工程(b)を上記共重合工程(a)よりも先に行い順序を入れ替えた以外は、実施例1と同様の単量体組成で行ったものであるが、実施例1の共重合体エマルションと比較すると、濁度がやや高く、粘度はやや低いものであったが、実施例4及び比較例2〜4に比較すると、透明性が高く、良好な結果が得られた。
上述した実施例、及び、比較例から、次のようにいえることがわかった。すなわち、上記多段重合法によって得られる共重合体エマルションは、アルカリ存在下の水溶液中において、透明性が優れるという有利な効果を発揮し、それが顕著であることがわかった。また、上記共重合工程(a)の単量体成分と上記共重合工程(b)の単量体成分との比率を特定することにより、更に高い透明性を有する共重合体エマルションとすることができることがわかった。更に、上記共重合工程(a)を先に行い、上記共重合工程(b)を後に行うことによって、より高い透明性を有する共重合体エマルションとすることができることがわかった。
本発明の共重合体エマルションは、上述したように、単に混合することによって得られる共重合体エマルションに比較して、透明性が高いものであるが、これは、高疎水性単量体を含む単量体成分を重合させる上記共重合工程(b)とアルカリ易可溶性単量体を含む単量体成分を重合させる上記共重合工程(a)を別々かつ同じ系中で行うことによって、いわゆるコア・シェル構造、又は、いわゆるIPN(interpenetrating polymer networks)構造を形成し、アルカリ存在下に置いた際に、アルカリ易可溶性単量体に由来する重合体が、高疎水性単量体に由来する重合体と共に拡散又は膨潤することによって、水溶液の透明性が高まっているものと考えられる。
実施例1及び実施例2の分子量測定の結果を示すチャートである。 比較例1及び比較例2の分子量測定の結果を示すチャートである。

Claims (7)

  1. 酸基を有する単量体を必須とする単量体成分を多段重合法によって乳化重合して得られるアルカリ可溶性共重合体エマルションであって、
    該アルカリ可溶性共重合体エマルションは、酸基を有する単量体(a−1)20〜90質量%、及び、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(a−2)10〜80質量%を含む単量体成分を共重合する工程(a)と、
    酸基を有する単量体(b−1)20〜90質量%、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が8以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−2)5〜80質量%、及び、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−3)0〜75質量%を含む単量体成分を共重合する工程(b)とを必須として得られるものである
    ことを特徴とするアルカリ可溶性共重合体エマルション。
  2. 前記アルカリ可溶性共重合体エマルションは、工程(a)における単量体成分と工程(b)における単量体成分との質量比が20:80〜50:50である
    ことを特徴とする請求項1記載のアルカリ可溶性共重合体エマルション。
  3. 前記酸基を有する単量体は、(メタ)アクリル酸である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ可溶性共重合体エマルション。
  4. 酸基を有する単量体を必須とする単量体成分を多段重合法によって乳化重合して得られるアルカリ可溶性共重合体エマルションであって、
    該アルカリ可溶性共重合体エマルションは、テトラヒドロフランを溶媒としたゲル浸透クロマトグラフィー測定で共重合体に由来する2つのピークを有する
    ことを特徴とするアルカリ可溶性共重合体エマルション。
  5. 前記アルカリ可溶性共重合体エマルションは、1質量%濃度でpHが6〜9である中和水溶液の濁度が35以下である
    ことを特徴とする請求項4に記載のアルカリ可溶性共重合体エマルション。
  6. 前記アルカリ可溶性共重合体エマルションは、1質量%濃度でpHが6〜9である中和水溶液の25℃における、BM粘度計、30回転での測定粘度が1000mPa・s以上である
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載のアルカリ可溶性共重合体エマルション。
  7. 酸基を有する単量体を必須とする単量体成分を多段重合法によって乳化重合して得られるアルカリ可溶性共重合体エマルションの製造方法であって、
    該アルカリ可溶性共重合体エマルションの製造方法は、酸基を有する単量体(a−1)20〜90質量%、及び、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(a−2)10〜80質量%を含む単量体成分を共重合する工程(a)と、
    酸基を有する単量体(b−1)20〜90質量%、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が8以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−2)5〜80質量%、及び、エステル部位における炭化水素基の炭素原子数が4以下の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b−3)0〜75質量%を含む単量体成分を共重合する工程(b)とを必須とする
    ことを特徴とするアルカリ可溶性共重合体エマルションの製造方法。
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