JP3162367B2 - 保護コロイド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末およびその製造方法 - Google Patents

保護コロイド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末およびその製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は特定のポリビニルアルコール系保護コロイド
を乳化剤としたアクリル樹脂エマルジョンを粉末化した
再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末とその製造方法
に関する。
〔従来の技術〕
再分散性合成樹脂エマルジョン粉末は、合成樹脂エマ
ルジョンを噴霧乾燥することにより製造され、合成樹脂
エマルジョンに比較して粉末であることにより取り扱い
が容易で、水を含まないので輸送が容易、使用時には粉
末を水に添加し撹拌することにより水中に再分散して、
合成樹脂エマルジョンと同様に使用でき、接着剤、塗料
用バインダー、水性インキ用バインダー、繊維仕上剤、
等のほかコンクリート構造物、ブロック、パイル、モル
タル、スレートなどのセメント製品への混入剤など広範
な用途に使用されている。
しかしながら、水にて再分散しうる合成樹脂エマルジ
ョン粉末として知られているものの多くは、ビニルアセ
テート重合体またはその共重合体、つまりビニルアセテ
ート系樹脂エマルジョン粉末であった。
例えば、特公昭60−5081号公報等には40重量%以上の
ビニルアセテートと他の共重合性単量体との共重合体エ
マルジョン粉末の製造方法が記載されている。
そして、ビニルアセテート系樹脂はアルカリ性に劣り
アルカリによりケン化反応を起こし性能が劣化する。
一方アクリル系樹脂エマルジョンは種々の化学的、物
理的性能がビニルアセテート系樹脂より優れているので
各種の用途に使用され、ビニルアセテート樹脂の使用で
きない用途にも用いられている。
しかしながら再分散性の優れたアクリル系樹脂エマル
ジョンが知られていないのが現状である。
アクリル系樹脂エマルジョンを噴霧乾燥する試みも種
々なされたが、いまだに再分散性に優れたアクリル系樹
脂エマルジョン粉末は知られていない。
アクリル系樹脂エマルジョンの多くは、その製造時に
乳化剤として界面活性剤が使用されており、これら界面
活性剤を乳化剤として使用したアクリル系樹脂エマルジ
ョンを噴霧乾燥するとアクリル系樹脂の粒子が2次粒子
として凝集してしまい、エマルジョン粉末の水への再分
散性が全く失われてしまう。
また、ポリビニルアルコールや、メチルセルロースの
ごとき水溶性保護コロイドを用いたアクリル酸エステル
および/またはメタクリル酸エステルもしくはこれらと
共重合可能な単量体との重合体エマルジョン、ことに他
の共重合成分に対するアクリル酸エステルおよび/また
はメタクリル酸エステルの共重合比率が70重量%以上の
重合体エマルジョンを安定に製造することは、樹脂濃度
が極めて低い場合を除いて困難であったため、これらの
アクリル系樹脂エマルジョンを噴霧乾燥する試みは行わ
れていなかった。樹脂濃度の低い、すなわち水の多いエ
マルジョンの噴霧乾燥は実質的に不可能である。
前述の通りアクリル系樹脂はビニルアセテート系合成
樹脂に比較して優れた皮膜物性を有しているが、エマル
ジョン粉末の再分散性のよくないのが大きな欠点であ
り、その解決が望まれていた。
特に、再分散性や皮膜の性質などの点から、アクリル
系樹脂エマルジョンの一次粒子ができるだけ小さい方が
好ましいと考えられ、この様なアクリル系樹脂エマルジ
ョン粉末が特に望まれていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は粉末を水に添加し撹拌することにより容易に
再分散し、再分散液が生成する皮膜の物性に優れた再分
散性アクリル樹脂エマルジョン粉末を提供するものであ
る。
〔課題を解決した手段〕
本発明者らは、これらの要求に答えるため種々研究の
結果、特定の重合度のポリビニルアルコール系保護コロ
イドを使用してアクリル系単量体を乳化重合して製造し
たエマルジョンを噴霧乾燥することによって再分散性の
優れたアクリル樹脂エマルジョン粉末が得られることを
解明し前記課題を全て解決して本発明を完成した。本発
明のアクリル樹脂エマルジョン粉末には平均粒子径20〜
100nmアクリル樹脂微粒子分散液の粉末も含まれる。
すなわち、本発明は 「(1) 平均重合度500以下のポリビニルアルコール
系保護コロイドを使用してアクリル系単量体を、所望に
より10重量%以下の共重合性単量体とともに乳化重合し
て製造したエマルジョンを噴霧乾燥して得た保護コロイ
ド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末。
(2) ポリビニルアルコール系保護コロイドの平均重
合度が300以下である、請求項1に記載された保護コロ
イド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末。
(3) 噴霧乾燥するエマルジョンが、平均粒子径20〜
100nmの保護コロイド系アクリル樹脂鋳微粒子分散液で
ある、請求項1または2に記載された保護コロイド系再
分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末。
(4) エマルジョンに水溶性添加剤を配合し、該水溶
性添加剤とポリビニルアルコール系保護コロイドの合計
量をエマルジョンの全固形分に対して5〜50重量%とし
たエマルジョンを噴霧乾燥して得た、請求項1ないし3
のいずれか1項に記載された保護コロイド系再分散性ア
クリル樹脂エマルジョン粉末。
(5) 噴霧乾燥したエマルジョン粉末に抗粘結剤を混
合した請求項1ないし4のいずれか1項に記載された保
護コロイド系再分散性アクリルエマルジョン粉末。
(6) エマルジョン粉末がエマルジョンを抗粘結剤を
存在下に噴霧して乾燥した粉末である、請求項1ないし
4のいずれか1項に記載された保護コロイド系再分散性
アクリル樹脂エマルジョン粉末。
(7) 平均重合度500以下のポリビニルアルコール系
保護コロイドを使用してアクリル系単量体を、所望によ
り10重量%以下の共重合性単量体とともに乳化重合して
エマルジョンを製造しついで噴霧乾燥すること特徴とす
る、保護コロイド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン
粉末の製造方法。
(8) 平均重合度300以下のポリビニルアルコール系
保護コロイドを使用した、請求項7に記載された保護コ
ロイド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末の製造
方法。
(9) 平均粒子径20〜100nmの保護コロイド系アクリ
ル樹脂微粒子分散液を噴霧乾燥することを特徴とする、
請求項7または請求項8に記載された保護コロイド系再
分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末の製造方法。
(10) 平均重合度500以下のポリビニルアルコール系
保護コロイドを使用してアクリル系単量体を、所望によ
り10重量%以下の共重合性単量体とともに乳化重合して
製造したエマルジョンに、エマルジョン中に存在するポ
リビニルアルコール系保護コロイドとの合計量がエマル
ジョンの全固形分に対して5〜50重量%の範囲になる量
の水溶性添加剤を配合して噴霧乾燥したことを特徴とす
る、請求項7ないし9のいずれか1項に記載された保護
コロイド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末の製
造方法。
(11) エマルジョンを抗粘結剤の存在下に噴霧して乾
燥することを特徴とする、請求項7ないし10のいずれか
1項に記載された保護コロイド系再分散性アクリル樹脂
エマルジョン粉末の製造方法。」である。
〔作 用〕
本発明で使用するアクリル系単量体としては、アルキ
ル基の炭素原子1〜12個のアクリル酸エステルおよびア
ルキル基の炭素原子が1〜12個のメタクリル酸エステル
である。
またこれらと共重合する単量体としては、スチレン、
メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、酢酸ビニ
ル、α位で分岐した飽和カルボン酸のビニルエステル
類、アクリル酸、、メタクリル酸、イタコン酸、クロト
ン酸などの不飽和カルボン酸、ビニルホスフェート、ア
クリロニトリル、アクリルアミドおよびN−メチロール
アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2ヒドロ
キシアルキルアクリレートなどの官能性単量体、その他
エチレン、、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどがある。
これら共重合性の単量体の使用量はアクリル系単量体に
対して10重量%以下でなければならない。10重量%を越
えると、アクリル系樹脂の優れた皮膜性能に悪影響が生
じたり、再分散性が劣化するので避けなければならな
い。さらにこれらの単量体が10%を越えると、生成する
エマルジョンの粒子径が100nmより大きくなってしまう
ので、微粒子のアクリル樹脂エマルジョンから得られる
粉末を形成する場合はこれらの共重合性の単量体はアク
リル系単量体に対して10重量%以下とする必要がある。
これらの単量体の特に好ましい組み合わせとしてはア
クリル酸ブチル−メタクリル酸メチル−アクリル酸、ア
クリル酸ブチル−アクリル酸2エチルヘキシル−スチレ
ン−アクリル酸などである。
特に、不飽和カルボン酸を併用すると、アクリル樹脂
微粒子分散液の安定性を向上するばかりでなく、平均粒
子径を小さくする効果がある。
重合性不飽和基を2個以上有する単量体も使用され、
ジビニル化合物、ジ(メタ)アクリレート化合物、トリ
(メタ)アクリレート化合物、テトラ(メタ)アクリレ
ート化合物、ジアリル化合物、トリアリル化合物、テト
ラアリル化合物などが挙げられ、具体的には、例えば、
ジビニルベンゼン、ジビニルアジペート、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチルジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシア
ヌレート、テトラアリルエキシエタン等である。
共重合性および架橋効果から、例えば、トリアリルイ
ソシアヌレート(TAIC)、テトラアリルエキシエタン
(TAE)、ジビニルベンゼンなどが適宜使用できる。
本発明で使用するポリビニルアルコール系保護コロイ
ドとしては、ポリビニルアルコール、アセトアセチル化
ポリビニルアルコール、ブチラール化ポリビニルアルコ
ール、チオール化ポリビニルアルコールなどのうち、ポ
リビニルアルコールの平均重合度が500以下のものが使
用される。平均重合度が500を越えると良好なアクリル
樹脂エマルジョンを形成できないため再分散性の良好な
アクリル樹脂エマルジョン粉末が得られない。
また、ポリビニルアルコールの平均重合度を500以下
とすると、アクリル樹脂エマルジョンの粘度が低くな
り、粉末化し易くなるとともに、水への再分散性が良好
となる効果がある。
ポリビニルアルコールのケン化度については特に限定
する必要はない。従って完全ケン化物でも部分ケン化物
でもよい。ポリビニルアルコールの使用量は単量体100
重量部にたいして、1〜20重量部が好ましい。
本発明の保護コロイド系再分散性アクリル樹脂エマル
ジョン粉末の水への再分散性をより向上するために、水
溶性添加剤を加えることが出来る。
水溶性添加剤の使用量は、エマルジョン製造時に使用
された水溶性保護コロイドの使用量とも関係があり、噴
霧乾燥前のエマルジョン固形分に対して、水溶性保護コ
ロイドと水溶性添加剤の固形分を5〜50重量%でなけれ
ばならない。5重量%以下では、水への再分散性が充分
とは言えず、50重量%以上では耐水性等が著しく低下し
て水溶性樹脂の性質に近くなりエマルジョン粉末として
の特徴が失われる。
水溶性添加剤として使用されるものとしては、保護コ
ロイドとして使用される平均重合度500以下のポリビニ
ルアルコールの他、水溶性保護コロイドとして使用する
平均重合度500を越えるポリビニルアルコール、ヒドロ
キシエチルセルローズ、メチルセルローズ、澱粉誘導
体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等
が有用である。
また、水溶性高分子化合物も使用出来る。水溶性高分
子化合物として、例えば、水溶性アルキッド樹脂、水溶
性フェノール樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性メラミン樹
脂、水溶性グアナミン樹脂、水溶性ナフタレンスルホン
酸樹脂、水溶性アミノ樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水
溶性アクリル樹脂、水溶性ポリカルボン酸塩、水溶性ポ
リエステル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリ
オール樹脂、水溶性エポキシ樹脂などが挙げられる。こ
れらの溶性添加剤はエマルジョンに添加混合して噴霧乾
燥すると均一に混合するので良好な結果がえられる。
次に本発明において使用する重合方法について説明す
る。すなわち、平均重合度500以下のポリビニルアルコ
ール系保護コロイド系を用いて、前記のアクリル系単量
体を、所望により共重合単量体とともに乳化重合するの
であるが、単量体の仕込み方法は回分方式でも、連続装
入方式でも、また一部を先に仕込んで重合し、さらに残
部を連続的に装入する方法でもよい。装入する単量体は
純粋のままでもよいが、水と乳化剤を用いて単量体乳化
液として装入してもよい。また使用する重合開始剤の種
類によって、高温重合でもレドックス重合でもよい。
乳化重合の重合開始剤としては、過硫酸カリルム、過
硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、ブ
チルパーオキサイドなどの過酸化物、およびこれら過酸
化物と還元剤とを組合わせたレドックス重合開始剤が用
いられる。レドックス重合開始剤として、過酸化水素と
L−アスコルビン酸の組合わせが好適である。
このような重合方法によると平均重合度500〜300のポ
リビニルアルコール系保護コロイドを用いた場合、濃度
が約20重量%以下のアクリル樹脂微粒子分散液が得られ
るが、さらに濃度を高め約20重量%以上、たとえば40重
量%のアクリル樹脂微粒子分散液を得るためには、重合
系に連鎖移動剤を存在させると有効である。それはアク
リル系単量体と平均重合度500以下のポリビニルアルコ
ール系保護コロイドとの親和性が悪いため、高濃度にな
ると凝集するので連鎖移動剤を加えて親和性を改善する
と乳化重合反応が安定に進行する効果がある。連鎖移動
剤としては通常使用されるものでよい。その使用割合は
連鎖移動剤の種類によって異なるので一律には規定でき
ないが、代表的なものについて説明すると、メタノール
を使用する場合は、単量体に対して5〜35重量%、トリ
クロロエチレンを使用する場合は、同じく1〜20重量
%、アセトアルデヒドを使用する場合には、同じく0.01
〜3重量%、ドデシルメルカプタンを使用する場合は、
同じく0.01〜3重量%が適当である。
しかしながら、平均重合度が300未満のポリビニルア
ルコール系保護コロイドを用いると、アクリル系単量体
との親和性が改善されるため、連鎖移動剤を使用しなく
ても、あるいは1重量%以下の極めて少量の使用で、高
能度のアクリル樹脂微粒子分散液が安定に得られる。噴
霧乾燥の際には、連鎖移動剤は水分と一緒に排出し、エ
マルジョン粉末から除去される。
得られたアクリル樹脂エマルジョンを噴霧乾燥するこ
とにより本発明の再分散性と、皮膜物性に優れた保護コ
ロイド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末が得ら
れる。
噴霧乾燥には、流体を噴霧して乾燥する通常の噴霧乾
燥機が使用出来る。噴霧の形式により、ディスク式やノ
ズル式などがあるが、いずれの方式も使用される。ま
た、熱源としても、熱風や加熱水蒸気などが用いられ
る。
乾燥条件は、噴霧乾燥機の大きさや種類、エマルジョ
ンの濃度、粘度、流量などによって選択すればよい。乾
燥温度は100℃〜150℃が好適であり、この乾燥温度の範
囲内で、充分に乾燥した粉末が得られるように、他の乾
燥条件を設定することが好ましい。100℃未満では充分
な乾燥が行われず、150℃を越えると、アクリル系樹脂
の熱による変質が発生するために好ましくない。乾燥は
充分に行う事が必要で、余分な水分はアクリル系樹脂エ
マルジョン粉末を凝集しブロック化する傾向がある。
本発明者らの研究によると、再分散性に優れたアクリ
ル系樹脂エマルジョン粉末を得るには、アクリル系単量
体またはこれらと共重合しうる単量体とを乳化重合する
時点で平均重合度500以下のポリビニルアルコール系保
護コロイドの存在が必要不可欠である。
本発明者は、乳化重合時に生成するアクリル系樹脂粒
子が平均重合度500以下のポリビニルアルコール系保護
コロイドと結合を生じ、これが樹脂粉末の再分散性に優
れた作用効果を奏していると考える。
また、特に樹脂エマルジョンの噴霧乾燥を行った時、
平均重合度500以下のポリビニルアルコール系保護コロ
イドがアクリル系樹脂粒子同士の融着を阻害し、噴霧乾
燥後の粉末中でアクリル系樹脂粒子が個々に存在するこ
とにより、粉末を水中で撹拌すると保護コロイドにより
アクリル系樹脂粒子が分散し、優れた再分散性を発揮す
るものと考えている。特に、平均粒子径20〜100nmの微
際なアクリル系樹脂の一次粒子からなる樹脂粉末を得る
ためには、平均重合度300以下のポリビニルアルコール
系保護コロイドの存在が必要である。アクリル系樹脂粒
子の一次粒子が平均粒子径20〜100nmと極めて微細であ
ると分子量の小さいポリビニルアルコールがより効果的
に働くものと考えている。
本発明者の研究により、界面活性剤を乳化剤として使
用したアクリル系樹脂エマルジョンを噴霧乾燥したアク
リル系樹脂エマルジョン粉末は、界面活性剤が低分子量
であり、ポリビニルアルコール系保護コロイドのごとき
アクリル系樹脂粒子を融着から保護する効果がなく、噴
霧乾燥時にアクリル系樹脂粒子同士が融着し2次粒子を
形成し、このためアクリル系樹脂エマルジョン粉末が全
く再分散性を示さないことが解明された。
乳化重合する時点でポリビニルアルコール系保護コロ
イドの存在が必要不可欠であることは、界面活性剤を乳
化剤として使用したアクリル系樹脂エマルジョンに同量
のポリビニルアルコール系保護コロイドを後添加したも
のとの差によって明らかである。ポリビニルアルコール
系保護コロイドを後添加しても、単にポリビニルアルコ
ール系保護コロイドが水中に存在するというだけでアク
リル系樹脂粒子との結合がないので、噴霧乾燥時にアク
リル系樹脂粒子同士が融着し2次粒子の形成を防止する
効果はなく、このアクリル系樹脂エマルジョン粉末も全
く再分散性を示さない。
本発明のアクリル系樹脂エマルジョン粉末は再分散性
に優れており、粉末を水中に添加し撹拌することによ
り、容易に再乳化しアクリル系樹脂エマルジョンと同様
に使用することができる。
アクリル樹脂エマルジョン粒子の平均粒子径を小さく
し20〜100nmとすると、水への再分散性が更に良好とな
り、再分散液が自然乾燥して生成する皮膜の形成性も良
好となる。
本発明において、噴霧乾燥前にエマルジョンに保護コ
ロイド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末を使用
する用途によりその用途で使用される各種添加剤を配合
しておくことも出来る。例えば、接着剤用における粘性
改良材、保水剤、粘着付与剤、増粘剤など、塗料用バイ
ンダーや水性インキ用バインダー用における粘性改良
剤、増粘剤、顔料分散剤、安定剤など、繊維仕上剤用に
おける繊維柔軟剤、増粘剤、平滑剤、帯電防止剤など、
セメントやモルタルなどへの添加剤用におけるAE剤、減
水剤、流動化剤、保水剤、増粘剤、防水剤なども適宜使
用される。
本発明の保護コロイド系再分散性アクリル樹脂エマル
ジョン粉末の貯蔵安定性を向上するために、抗粘結剤を
使用することも好ましい。エマルジョン粉末の貯蔵安定
性とは、貯蔵中に粉末同士が粘結して凝集しブロック化
してしまう傾向をいい、樹脂の柔らかいものほどブロッ
ク化する傾向が強く、貯蔵安定性が悪いという。
抗粘結剤は噴霧乾燥後のエマルジョン粉末に添加し均
一に混合しても良いが、エマルジョンを噴霧乾燥する際
に、エマルジョンを抗粘結剤の存在下に噴霧すること
が、均一な混合を行うことができ、粘結防止効果のうえ
から有効である。同時に両者を噴霧して乾燥することが
特に好ましい。
抗粘結剤としては、微粒子の無機粉末が好ましく、炭
酸カルシウム、クレー、無水珪酸、珪酸アルミニウム、
ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト、等が使
用され、特に平均粒子径が約0.01〜0.5nmの無水珪酸、
珪酸アルミニウム、炭酸カルシウムなどが好ましい。抗
粘結剤の使用量は特に限定されないが、エマルジョン粉
末に対して2〜20重量%の範囲で用いるのが好ましい。
2重量%以下では抗粘結剤を使用した効果が得られず、
20重量%以上では、無機粉末の含有量が多くなりすぎて
エマルジョン粉末としての特徴が失われるので好ましく
ない。
つぎに、実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
〔実施例〕
実施例1. 温度計、撹拌機、還流冷却器および滴下ロートを備え
た内容量500mlの四ツ口フラスコ中で次の組成の溶液を
調整し、窒素置換を約15分間行った。
ポリビニルアルコール (ケン化度88モル%平均重合度50) 20重量部 脱イオン水 170重量部 別の容器に次の組成の混合単量体溶液を調整し、約15
分間窒素置換を行った。
メタクリル酸メチル 50重量部 アクリル酸ブチル 50重量部 アクリル酸 1.5重量部 ついで前記の四ツ口フラスコを内温70℃に加熱し、12
%過硫酸カリルム水溶液2.0重量部と先に用意した混合
単量体溶液の10重量部を添加して初期重合を行い、つい
で残りの混合単量体溶液を約3時間にわたって滴下し
た。その間において、12%過硫酸カリウム水溶液3.0重
量部を滴下中及び滴下終了後に分割して添加した。滴下
終了後、さらに約1時間内温を70〜80℃に保って撹拌を
つづけ、重合反応を完結したのち冷却し、10%アンモニ
ア水でpH7.5に中和した。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度40
重量%、粘度200cPの半透明の微粒子分散液であった。
この微粒子分散液の平均粒子径は濁度法によって測定し
たところ50nmであった。この重合体分散液と重合体分散
液の固形分にたいして5%の量の無水珪酸微粉末とを別
々に120℃の熱風中に噴霧して乾燥し、平均粒径50nmの
樹脂粉末を得た。
実施例2. 実施例1と同様にして内容量500mlの四ツ口フラスコ
中で次の組成の溶液を調整し、窒素置換を約15分間行っ
た。
ポリビニルアルコール (ケン化度88モル%平均重合度300) 30重量部 脱イオン水 520重量部 別の容器に次の組成の混合単量体溶液を調整し、約15
分間窒素置換を行った。
メタクリル酸メチル 40重量部 アクリル酸ブチル 56重量部 アクリル酸 4.0重量部 ついで前記の四ツ口フラスコを内温70℃に加熱し、12
%過硫酸カリルム水溶液2.0重量部と先に用意した混合
単量体溶液の10重量部を添加して初期重合を行い、つい
で残りの混合単量体溶液を約2.5時間にわたって滴下し
た。その間において、12%過硫酸カリウム水溶液3.0重
量部を滴下中及び滴下終了後に分割して添加した。滴下
終了後、さらに約1時間内温を70〜80℃に保って撹拌を
つづけ、重合反応を完結したのち冷却し、10%アンモニ
ア水でpH7.5に中和した。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度20
重量%、粘度300cPの半透明の微粒子分散液であった。
この微粒子分散液の平均粒子径は濁度法によって測定し
たところ80nmであった。
重合体分散液 100重量部 ポリビニルアルコール (ケン化度88モル%平均重合度1500) 15重量部 を均一に混合して分散液とした。
この分散液を120℃の熱風中に同時噴霧して乾燥し、
平均粒径50μmの樹脂粉末を得た。
樹脂粉末100重量部に微粒子の炭酸カルシウム粉末8
重量部を均一に混合した。
実施例3. 実施例1と同様にして内容量500mlの四ツ口フラスコ
中で次の組成の溶液を調整し、窒素置換を約15分間行っ
た。
ポリビニルアルコール (ケン化度85モル%平均重合度100) 20重量部 脱イオン水 170重量部 別の容器に次の組成の混合単量体溶液を調整し、約15
分間窒素置換を行った。
メタクリル酸メチル 47重量部 アクリル酸ブチル 50重量部 ジビニルベンゼン 3重量部 アクリル酸 1.5重量部 ついで前記の四ツ口フラスコを内温70℃に加熱し、12
%過硫酸カリルム水溶液2.0重量部と先に用意した混合
単量体溶液の10重量部を添加して初期重合を行い、つい
で残りの混合単量体溶液を約3時間にわたって滴下し
た。その間において、12%過硫酸カリウム水溶液3.0重
量部を滴下中及び滴下終了後に分割して添加した。滴下
終了後、さらに約1時間内温を70〜80℃に保って撹拌を
つづけ、重合反応を完結したのち冷却し、10%アンモニ
ア水でpH7.5に中和した。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度40
重量%、粘度300cPの半透明の微粒子分散液であった。
この微粒子分散液の平均粒子径は濁度法によって測定し
たところ60nmであった。この重合体分散液と重合体分散
液の固形分にたいして5%の量の珪酸アルミニウム微粉
末とを別々に120℃の熱風中に同時噴霧して乾燥し、平
均粒径50μmの樹脂粉末を得た。
実施例4. 実施例1と同様にして内容量500mlの四ツ口フラスコ
中で次の組成の溶液を調整し、窒素置換を約15分間行っ
た。
ポリビニルアルコール (ケン化度98モル%平均重合度500) 15重量部 脱イオン水 100重量部 別の容器に次の組成の混合単量体溶液(乳化モノマ
ー)を調整し、約15分間窒素置換を行った。
メタクリル酸メチル 20重量部 アクリル酸ブチル 29重量部 テトラアリルオキシエタン 1重量部 アクリル酸 2.0重量部 ニッサンプロノン208 3重量部 脱イオン水 70重量部 ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロ
ックポリマーでHLB=18の非イオン性乳化剤(日本油脂
(株)製) ついで前記の四ツ口フラスコを内温50℃に加熱し、10
%過酸化水素水溶液2.0重量部と10%L−アスコルビン
酸水溶液2.0重量部を添加し、先に用意した混合単量体
の乳化液を約3時間にわたって滴下した。その間におい
て、10%過酸化水素水溶液3.0重量部と10%L−アスコ
ルビン酸水溶液3.0重量部を滴下中及び滴下終了後に分
割して添加した。滴下終了後、さらに約1時間内温を50
〜60℃に保って撹拌をつづけ、重合反応を完結したのち
冷却し、10%アンモニア水でpH7.5に中和した。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度20
重量%、粘度400cPの半透明の微粒子分散液であった。
この微粒子分散液の平均粒子径は濁度法によって測定し
たところ90nmであった。この重合体分散液と重合体分散
液の固形分にたいして5%の量の珪酸アルミニウム微粉
末とを別々に120℃の熱風中に同時噴霧して乾燥し、平
均粒径50μmの樹脂粉末を得た。
実施例5. 実施例1と同様にして内容量500mlの四ツ口フラスコ
中で次の組成の溶液を調整し、窒素置換を約15分間行っ
た。
ポリビニルアルコール (ケン化度88モル%平均重合度300) 15重量部 メタノール 7重量部 脱イオン水 155重量部 別の容器に次の組成の混合単量体溶液を調整し、約15
分間窒素置換を行った。
メタクリル酸メチル 55重量部 アクリル酸ブチル 45重量部 ついで前記の四ツ口フラスコを内温50℃に加熱し、10
%過酸化水素水溶液2.0重量部と10%L−アスコルビン
酸水溶液2.0重量部を添加し、先に用意した混合単量体
溶液の10重量部を添加して初期重合を行い、ついで残り
の混合単量体溶液約3時間にわたって滴下した。その間
において、10%過酸化水素水溶液3.0重量部と10%L−
アスコルビン酸水溶液3.0重量部を滴下中及び滴下終了
後に分割して添加した。滴下終了後、さらに約1時間内
温を50〜60℃に保って撹拌をつづけ、重合反応を完結し
たのち冷却し、10%アンモニア水でpH7.5に中和した。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度42重
量%、粘度9000cPの半透明の微粒子分散液であった。こ
の微粒子分散液の平均粒子径は濁度法によって測定した
ところ70nmであった。
重合体分散液 100重量部 ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物 15重量部 脱イオン水 50重量部 を均一に混合して分散液とした。
この分散液を120℃の熱風中に噴霧して乾燥し、平均
粒径45μmの樹脂粉末を得た。
実施例6. 実施例1と同様にして内容量500mlの四ツ口フラスコ
中で次の組成の溶液を調整し、窒素置換を約15分間行っ
た。
アセトアセチル化ポリビニルアルコール (ケン化度99モル%、平均重合度500、アセトアセチ
ル化度5モル%、) 10重量部 メタノール 5重量部 アセトアルデヒド 1重量部 脱イオン水 170重量部 別の容器に次の組成の混合単量体溶液を調整し、約15
分間窒素置換を行った。
メタクリル酸メチル 35重量部 スチレン 8重量部 アクリル酸ブチル 22重量部 アクリル酸2−エチルヘキシル 23重量部 アクリル酸 1.5重量部 ついで前記の四ツ口フラスコを内温50℃に加熱し、10
%過酸化水素水溶液2.0重量部と10%L−アスコルビン
酸水溶液2.0重量部を添加し、先に用意した混合単量体
溶液の10重量部を添加して初期重合を行い、ついで残り
の混合単量体溶液約3時間にわたって滴下した。その間
において、10%過酸化水素水溶液3.0重量部と10%L−
アスコルビン酸水溶液3.0重量部を滴下中及び滴下終了
後に分割して添加した。滴下終了後、さらに約1時間内
温を50〜60℃に保って撹拌をつづけ、重合反応を完結し
たのち冷却し、10%アンモニア水でpH3.0に中和した。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度35重
量%、粘度8000cPの半透明の微粒子分散液であった。こ
の微粒子分散液の平均粒子径は濁度法によって測定した
ところ40nmであった。
重合体分散液 100重量部 脱イオン水 40重量部 を均一に混合して分散液とした。
この分散液を120℃の熱風中に噴霧して乾燥し、平均
粒径60μmの樹脂粉末を得た。
樹脂粉末100重量部に微粒子の炭酸カルシウム粉末10
重量部を均一に混合した。
実施例7. 実施例1と同様にして内容量500mlの四ツ口フラスコ
中で次の組成の溶液を調整し、窒素置換を約15分間行っ
た。
ポリビニルアルコール (ケン化度98モル%平均重合度500) 17重量部 メタノール 7重量部 脱イオン水 100重量部 別の容器に次の組成の混合単量体溶液(乳化モノマ
ー)を調整し、約15分間窒素置換を行った。
メタクリル酸メチル 50重量部 アクリル酸ブチル 50重量部 イタコン酸 1.5重量部 ニッサンプロノン208 3重量部 脱イオン水 70重量部 ついで前記の四ツ口フラスコを内温50℃に加熱し、10
%過酸化水素水溶液2.0重量部と10%L−アスコルビン
酸水溶液2.0重量部を添加し、先に用意した混合単量体
の乳化液を約3時間にわたって滴下した。その間におい
て、10%過酸化水素水溶液3.0重量部と10%L−アスコ
ルビン酸水溶液3.0重量部を滴下中及び滴下終了後に分
割して添加した。滴下終了後、さらに約1時間内温を50
〜60℃に保って撹拌をつづけ、重合反応を完結したのち
冷却し、10%アンモニア水でpH6.0に中和した。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度35
重量%、粘度8000cPの半透明の微粒子分散液であった。
この微粒子分散液の平均粒子径は濁度法によって測定し
たところ40nmであった。
重合体分散液 100重量部 メラミンホルマリン縮合物スルフォン酸塩 10重量部 脱イオン水 40重量部 を均一に混合して分散液とした。
この分散液と分散液の固形分にたいして5%の量の無
水珪酸微粉末とを別々に120℃の熱風中に同期噴霧して
乾燥し、平均粒径60μmの樹脂粉末を得た。
実施例8. 実施例1と同様にして内容量500mlの四ツ口フラスコ
中で次の組成の溶液を調整し、窒素置換を約15分間行っ
た。
ポリビニルアルコール (ケン化度88モル%平均重合度300) 17重量部 エタノール 18重量部 脱イオン水 156重量部 別の容器に次の組成の混合単量体溶液(乳化モノマ
ー)を調整し、約15分間窒素置換を行った。
メタクリル酸メチル 40重量部 アクリル酸ブチル 50重量部 アクリロニトリル 10重量部 テトラアリルオキシエタン 1重量部 アクリル酸 1.5重量部 ニッサンプロノン208 3重量部 脱イオン水 70重量部 ついで前記の四ツ口フラスコを内温60℃に加熱し、10
%過酸化水素水溶液1.0重量部と10%L−アスコルビン
酸水溶液1.0重量部を添加し、先に用意した混合単量体
の乳化液を約3時間にわたって滴下した。その間におい
て、10%過酸化水素水溶液4.0重量部と10%L−アスコ
ルビン酸水溶液4.0重量部を滴下中及び滴下終了後に分
割して添加した。滴下終了後、さらに約1時間内温を60
〜70℃に保って撹拌をつづけ、重合反応を完結したのち
冷却し、10%アンモニア水でpH7.0に中和した。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度35
重量%、粘度30,000cPの半透明の微粒子分散液であっ
た。この微粒子分散液の平均粒子径は濁度法によって測
定したところ100nmであった。
重合体分散液 100重量部 ポリカルボン酸塩 10重量部 脱イオン水 100重量部 を均一に混合して分散液とした。
この分散液と分散液の固形分にたいして10%の量の珪
酸アルミニウム微粉末とを別々に120℃の熱風中に同時
噴霧して乾燥し、平均粒径70μmの樹脂粉末を得た。
実施例9. 実施例1と同様にして内容量500mlの四ツ口フラスコ
中で次の組成の溶液を調整し、窒素置換を約15分間行っ
た。
ポリビニルアルコール (ケン化度98モル%平均重合度500) 20重量部 エタノール 22重量部 脱イオン水 132重量部 別の容器に次の組成の混合単量体溶液を調整し、約15
分間窒素置換を行った。
メタクリル酸メチル 50重量部 アクリル酸2−エチルヘキシル 50重量部 テトラアリルオキシエタン 0.5重量部 アクリル酸 1.5重量部 ついで前記の四ツ口フラスコを内温70℃に加熱し、10
%過酸化水素水溶液1.0重量部と10%L−アスコルビン
酸水溶液1.0重量部を添加し、先に用意した混合単量体
の乳化液を約4時間にわたって滴下した。その間におい
て、10%過酸化水素水溶液4.0重量部と10%L−アスコ
ルビン酸水溶液4.0重量部を滴下中及び滴下終了後に分
割して添加した。滴下終了後、さらに約1時間内温を70
〜80℃に保って撹拌をつづけ、重合反応を完結したのち
冷却し、10%アンモニア水でpH4.0に中和した。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度43
重量%、粘度2000cPの半透明の微粒子分散液であった。
この微粒子分散液の平均粒子径は濁度法によって測定し
たところ100nmであった。
重合体分散液 100重量部 脱イオン水 10重量部 を均一に混合して分散液とした。
この分散液と分散液の固形分にたいして10%の量の無
水珪酸微粉末とを別々に120℃の熱風中に同時噴霧して
乾燥し、平均粒径60μmの樹脂粉末を得た。
比較例1. 実施例1において使用したポリビニルアルコール(ケ
ン化度88モル%、平均重合度50)の代わりにポリビニル
アルコール(ケン化度88モル%、平均重合度1,500)を
使用した以外は実施例1と同様に乳化重合を行った。
乳化重合の途中で重合系が凝集しゲル状に固化してし
まい、重合体分散液を得ることができなかった。
実施例1のように噴霧して乾燥することはできなかっ
た。
比較例2. 実施例1において使用したポリビニルアルコール(ケ
ン化度88モル%、平均重合度50)の使用量20重量部を0.
5重量部とした以外は、実施例1と同様に乳化重合を行
った。
乳化重合の途中で重合系が凝集しゲル状に固化してし
まい、重合体分散液を得ることができなかった。
実施例1のように噴霧して乾燥することはできなかっ
た。
比較例3. 実施例1において使用した ポリビニルアルコール (ケン化度88モル%平均重合度50) 20重量部 脱イオン水 170重量部 の代わりに ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 3重量部 ポリオキシエチレンラウリルエーテル 3重量部 脱イオン水 170重量部 とした以外は実施例1と同様に乳化重合を行った。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度37
重量%、粘度1,000cPの乳白色の分散液であった。この
分散液の平均粒子径は濁度法によって測定したところ50
0nmであった。
得られた重合体分散液を実施例1と同様に噴霧して乾
燥し、平均粒径50μmの樹脂粉末を得た。
比較例4. 比較例3で得られた重合体分散液を使用して 重合体分散液 100重量部 ポリビニルアルコール (ケン化度88モル%平均重合度50) 20重量部 脱イオン水 50重量部 を均一に混合して分散液とした。
粉の分散液と分散液の固形分にたいして8%の量の珪
酸微粉末とを別々に120℃の熱風中に同時噴霧して乾燥
し、平均粒径50μmの樹脂粉末を得た。
比較例5. 実施例1において使用した混合単量体溶液 メタクリル酸メチル 50重量部 アクリル酸ブチル 50重量部 アクリル酸 1.5重量部 の代わりに酢酸ビニル100重量部を使用した以外は実施
例1と同様に乳化重合を行った。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度40
重量%、粘度10,000cPの乳白色の分散液であった。この
分散液の平均粒子径は濁度法によって測定したところ10
00nmであった。
得られた重合体分散液を実施例1と同様に噴霧して乾
燥し、平均粒径50μmの樹脂粉末を得た。
比較例6. 実施例1において使用した混合単量体溶液 メタクリル酸メチル 50重量部 アクリル酸ブチル 50重量部 アクリル酸 1.5重量部 の代わりに メタクリル酸メチル 25重量部 アクリル酸ブチル 25重量部 酢酸ビニル 50重量部 アクリル酸 1.5重量部 を使用した以外は実施例1と同様に乳化重合を行った。
得られた重合体分散液は凝固物がなく、固形分濃度40
重量%、粘度9,000cPの乳白色の分散液であった。この
分散液の平均粒子径は濁度法によって測定したところ80
0nmであった。
得られた重合体分散液を実施例1と同様に噴霧して乾
燥し、平均粒子60μmの樹脂粉末を得た。
試験例1. 実施例1〜9で得られた樹脂粉末と比較例3〜6で得
られた樹脂粉末について、樹脂粉末の再分散性を比較す
るために、樹脂粉末100重量部を脱イオン水100重量部中
に添加して撹拌機により充分撹拌して再分散性、外観お
よびその粘度を測定した。
試験結果は第1表の通りであった。
(1)再分散性 撹拌機、1時間静置して再分散液を観察する。
良……再分散液が均一で樹脂の沈降がわずかである。
悪……再分散液が透明な層と沈降した樹脂粉末の2層
に分離してしまう。
(2)外観 再分散液の外観を観察する。
(3)粘度 最分散液の粘度をBH型粘度計で測定する。
試験例2. 試験例1.における再分散性の試験によって得られた再
分散液を室温乾燥して生成する皮膜の物性を比較するた
めに、最分散液をポリエチレンフィルム上に0.5mm厚に
塗布して24時間室温乾燥して皮膜を生成し、皮膜の生成
性、耐アルカリ性及び耐溶剤性を試験した。
試験結果は第1表の通りであった。
(1)皮膜の生成性 良……均一な皮膜となり、強靭な皮膜がえられる。
可……均一な皮膜となるが皮膜に可撓性がない。
悪……皮膜が得られない。
(2)耐アルカリ性 皮膜10gを1規定の水酸化ナトリウム水溶液80ccで80
℃1時間処理し、塩酸で逆滴定する。
良……未ケン化ポリマー80%以上 悪……未ケン化ポリマー80%以下 (3)耐溶剤性 皮膜10gをメタノール90ccに24時間浸漬して皮膜の常
態を観察する。
良……皮膜の溶解および膨潤が少ない。
悪……皮膜が溶解してしまうか、膨潤が著しい。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C08L 33:00 (56)参考文献 特開 平4−185607(JP,A) 特開 昭60−15430(JP,A) 特開 昭63−20308(JP,A) 特開 昭62−235304(JP,A) 特開 昭60−195110(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 20/00 - 20/70 C08F 120/00 - 120/70 C08F 220/00 - 220/70 C08F 2/00 - 2/60

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均重合度500以下のポリビニルアルコー
    ル系保護コロイドを使用して(メタ)アクリル酸アルキ
    ルエステルを乳化重合して製造したエマルジョンを噴霧
    乾燥して得られる、保護コロイド系再分散性アクリル樹
    脂エマルジョン粉末。
  2. 【請求項2】(メタ)アクリル酸アルキルエステルを、
    10重量%以下の共重合性単量体とともに乳化重合するこ
    とを特徴とする、請求項1に記載のアクリル樹脂エマル
    ジョン粉末。
  3. 【請求項3】ポリビニルアルコール系保護コロイドの平
    均重合度が300以下である、請求項1または2に記載の
    アクリル樹脂エマルジョン粉末。
  4. 【請求項4】噴霧乾燥するエマルジョンが、平均粒子径
    20〜100nmの保護コロイド系アクリル樹脂微粒子分散液
    である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクリル
    樹脂エマルジョン粉末。
  5. 【請求項5】平均重合度500以下のポリビニルアルコー
    ル系保護コロイドを使用して(メタ)アクリル酸アルキ
    ルエステルを乳化重合して製造したエマルジョンに、エ
    マルジョン中に存在するポリビニルアルコール系保護コ
    ロイドとの合計量がエマルジョンの全固形分に対して5
    〜50重量%の範囲になる量の水溶性添加剤を配合し、噴
    霧乾燥して得られる、請求項1〜4のいずれか一項に記
    載のアクリル樹脂エマルジョン粉末。
  6. 【請求項6】噴霧乾燥して得られたエマルジョン粉末に
    抗粘結剤をさらに混合したものである、請求項1〜5の
    いずれか一項に記載のアクリル樹脂エマルジョン粉末。
  7. 【請求項7】エマルジョン粉末がエマルジョンを抗粘結
    剤の存在下に噴霧して乾燥した粉末である、請求項1〜
    5のいずれか一項に記載のアクリル樹脂エマルジョン粉
    末。
  8. 【請求項8】平均重合度500以下のポリビニルアルコー
    ル系保護コロイドを使用して(メタ)アクリル酸アルキ
    ルエステルを乳化重合することによりエマルジョンを製
    造し、次いで該エマルジョンを噴霧乾燥することにより
    エマルジョン粉末を得ることを特徴とする、保護コロイ
    ド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末の製造方
    法。
  9. 【請求項9】(メタ)アクリル酸アルキルエステルを、
    10重量%以下の共重合性単量体とともに乳化重合するこ
    とを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】ポリビニルアルコール系保護コロイドと
    して平均重合度300以下のものを使用する、請求項8ま
    たは9に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】噴霧乾燥するエマルジョンが、平均粒子
    径20〜100nmの保護コロイド系アクリル樹脂微粒子分散
    液である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の製造方
    法。
  12. 【請求項12】平均重合度500以下のポリビニルアルコ
    ール系保護コロイドを使用して(メタ)アクリル酸アル
    キルエステルを乳化重合して製造したエマルジョンに、
    エマルジョン中に存在するポリビニルアルコール系保護
    コロイドとの合計量がエマルジョンの全固形分に対して
    5〜50重量%の範囲になる量の水溶性添加剤を配合し、
    噴霧乾燥する、請求項8〜11のいずれか一項に記載の製
    造方法。
  13. 【請求項13】エマルジョンを抗粘結剤の存在下に噴霧
    して乾燥する、請求項8〜12のいずれか一項に記載の製
    造方法。
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