JP5528959B2 - 樹脂粉末 - Google Patents
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本発明の樹脂粉末に含有される重合体(A)を構成するエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩等のスチレン系単量体;トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロライド、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミン、N−(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)ジエチルアミン等のアミン類またはその4級塩;N−ビニルピロリドン等が挙げられる。これらの単量体の中でも、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルが好ましい。すなわち、重合体(A)が(メタ)アクリル酸エステル系重合体であることが、耐候性、透明性および柔軟性等の観点から好ましい。またジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。重合体(A)はこれらの単量体のうち1種のみから構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62)
なお、粘度平均重合度は、単に重合度と呼ぶことがある。
(PVA−1の製造)
メタノール200gおよびホスフィン酸ナトリウム・一水和物1.0gを反応器に仕込み、ホスフィン酸ナトリウム・一水和物のメタノール溶液を調整した。次いで、酢酸ビニル1200gを反応器に仕込み、窒素ガスのバブリングにより反応器内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5gを反応器に添加して重合を開始した。重合中は重合温度を60℃に維持した。4時間後に重合率が30%に達したところで冷却して重合を停止した。次いで、減圧下にて未反応の酢酸ビニルを除去し、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液を得た。25%に調整したPVAc溶液にアルカリモル比(NaOHのモル数/PVAc中の酢酸ビニル単位のモル数)が0.015となるようにNaOHメタノール溶液(10%濃度)を添加してけん化した。アルカリ溶液を添加後、約8分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール4000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置してPVA−1を得た。この重合体の粘度平均重合度は1500、けん化度は96.0モル%であった。
一般式(I)で表される基の変性量(モル%)={(ピーク面積β)/((ピーク面積α)/2+(ピーク面積β))}×100
酢酸ビニル、メタノールおよびホスフィン酸ナトリウム・一水和物の仕込み量、けん化時における酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を変更した以外は、製造例1と同様にしてPVA−3、PVA−5、PVA−6およびPVA−8を得た。結果を表1に示す。
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口、撹拌機を備えたガラス製容器に、製造例1で得られたPVA−1 8部とイオン交換水90部を仕込み、95℃で完全に溶解させた。得られたPVA水溶液のpHを希硫酸により4に調整し、150rpmで撹拌しながら酢酸ビニル10部を添加した。次に、系を窒素置換した後、60℃まで昇温した。濃度5%の酒石酸水溶液5部を添加した後、濃度0.5%の過酸化水素水溶液を連続添加して乳化重合を開始した。2時間かけて酢酸ビニル90部を連続的に添加し、重合開始から3時間後に、残存酢酸ビニル濃度が1%以下になった時点で重合を終了し、固形分濃度50.4%の安定なポリ酢酸ビニルエマルジョンを得た。得られたエマルジョンの一部を、後述する耐水性試験に供した。同じエマルジョン100部と水80部の混合物、および該エマルジョン中の固形分に対して3%の無水ケイ酸微粉末(平均粒子径2μm)を、それぞれ別々に100℃の熱風中に同時噴霧して乾燥することにより、平均粒子径60μmの樹脂粉末を得た。
樹脂粉末を容器に入れ、25g/cm2の荷重をかけて、20℃、65%RH下で10日間放置した際の状態を観察した。
○ ほとんどブロッキングしていない。
△ ブロッキングにより一部塊が生じている。
× ブロッキングにより全体が塊になる。
― 樹脂粉末が得られない。
樹脂粉末100部にイオン交換水80部を添加し、攪拌機により十分攪拌して得られた水性分散液を200メッシュのステンレス製金網でろ過し、ろ過残渣を105℃で5時間乾燥し、ろ過残渣の割合を測定した。
ろ過残渣(%)=(乾燥後のろ過残渣量/再分散に用いたエマルジョン粉末重量)×100
上記の再分散性の評価用の水性分散液を、50℃でガラス板上に流延し乾燥して皮膜を得た。得られた皮膜を観察し、下記の基準にしたがって評価した。
○ 均一で強靱である。
△ 均一ではあるが、もろい。
× 均一な皮膜が得られない。
― 樹脂粉末が得られない。または、水性分散液が得られない。
上記の再分散性の評価用の水性分散液(粉末化後)を、20℃でガラス板上に流延し乾燥して皮膜を得た。1枚を浸漬前の皮膜の重量測定に使用し(添字tで表す)、他の1枚を20℃の水に24時間浸漬した。浸漬前後の皮膜の重量から吸水率および溶出率を以下のようにして算出し、耐水性の指標とした。なお、重合後に得られた水性エマルジョン(粉末化前)についても、同様にして吸水率および溶出率を算出した。
溶出率(%) = [1−(W1d/W0d)]×100
吸水率(%) = [(W1w/W1d)−1]×100
ただし、
W0d = W0w×(Wtd/Wtw)
W0d:浸漬前の皮膜の絶乾重量。
W0w:浸漬前の皮膜の重量
W1d:浸漬後の皮膜の絶乾重量。
W1w:浸漬後の皮膜の重量。浸漬後の皮膜から表面水をガーゼで拭き取り、秤量。
Wtd:重量測定用の皮膜の絶乾重量。
Wtw:重量測定用の皮膜の重量。
絶乾重量: 皮膜を105℃で重量が変化しなくなるまで乾燥したときの重量。
PVA−1に代えて、表1に示すPVA−2を分散剤として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリ酢酸ビニルエマルジョンおよび樹脂粉末を得て、評価した。結果を表2に示す。
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口、撹拌機を備えたガラス製容器に、製造例2で得られたPVA−3 5部とイオン交換水90部を仕込み、95℃で完全に溶解させた。得られたPVA水溶液のpHを希硫酸により4に調整し、150rpmで撹拌しながらメタクリル酸メチル10部、アクリル酸n−ブチル10部、n−ドデシルメルカプタン0.1部を添加した。次に、系を窒素置換した後、70℃まで昇温した。濃度1%の過硫酸カリウム5部を添加して重合を開始した。2時間かけてメタクリル酸メチル40部、アクリル酸n−ブチル40部、n−ドデシルメルカプタン0.4部の混合物を連続的に添加し、重合開始から3時間後に、転化率が99.6%になった時点で重合を終了し、固形分濃度52.2%の安定なメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル共重合体エマルジョンを得た。実施例1と同様にして樹脂粉末を得て、評価した。結果を表3に示す。
PVA−3に代えて、表3に示す各種分散剤を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてメタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル共重合体エマルジョンおよび樹脂粉末を得て、評価した。結果を表3に示す。
窒素吹き込み口、温度計を備えた耐圧オートクレーブに、製造例4で得られたPVA−6の4%水溶液100部を仕込み、希硫酸でpHを4に調製し、さらにスチレン60部、t−ドデシルメルカプタン1部を仕込んだ。次に、系を窒素置換した後、ブタジエン40部を耐圧計量器より圧入して、70℃まで昇温した。濃度2%の過硫酸アンモニウム10部を添加して重合を開始した。内圧は、重合開始前には4.5Kg/cm2であったが、20時間後には0.3Kg/cm2に低下した。この時点での重合率は99.4%で、固形分濃度49.3%の安定なスチレン−ブタジエン共重合体エマルジョンを得た。実施例1と同様にして樹脂粉末を得て、評価した。結果を表4に示す。
PVA−6に代えて、表4に示す各種分散剤を用いたこと以外は、実施例5と同様にしてスチレン−ブタジエン共重合体エマルジョンおよび樹脂粉末を得て、評価した。結果を表4に示す。
窒素吹き込み口、温度計を備えた耐圧オートクレーブに、製造例5で得られたPVA−8の6.25%水溶液80部を仕込み、希硫酸でpHを3.5に調整し、さらに酢酸ビニル80部を仕込んだ。次に、系を窒素置換した後、60℃まで昇温した。エチレンを45Kg/cm2まで圧入し、濃度5%のロンガリット水溶液を5部添加した後、濃度0.4%の過酸化水素水溶液を連続的に添加して重合を開始した。3時間後、酢酸ビニル濃度が1.0%となった時点で重合を終了し、固形分濃度55.3%の安定なエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンを得た。実施例1と同様にして樹脂粉末を得て、評価した。結果を表5に示す。
PVA−8に代えて、表1に示すPVA−9を分散剤として用いたこと以外は、実施例7と同様にしてエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンおよび樹脂粉末を得て、評価した。結果を表5に示す。
Claims (4)
- 重合体(A)が(メタ)アクリル酸エステル系重合体であり、かつ、ビニルアルコール系重合体(B)の粘度平均重合度が500〜2500である、請求項1に記載の樹脂粉末。
- 重合体(A)がジエン系重合体であり、かつ、ビニルアルコール系重合体(B)の粘度平均重合度が100〜2000である、請求項1に記載の樹脂粉末。
- ビニルアルコール系重合体(B)を分散安定剤として、主として水を含む分散媒中でエチレン性不飽和単量体およびジエン系単量体から選ばれる少なくとも1種の不飽和単量体を重合して水性エマルジョンを製造し、さらに該水性エマルジョンを噴霧乾燥する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂粉末の製造方法。
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