JP5463348B2 - 新規なポリビニルアルコール系重合体およびその製造方法 - Google Patents

新規なポリビニルアルコール系重合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規なポリビニルアルコール系重合体およびその製造方法に関する。
ポリビニルアルコール系重合体は、水溶性のポリマーであり、種々の産業分野で広く用いられている。特に、ポリビニルアルコール系重合体は界面活性を有することから、懸濁重合や乳化重合の分散安定剤、無機物や有機粉体の分散剤等に多用されている。従来、これらの用途においてポリビニルアルコール系重合体の水溶性や界面活性をさらに高める目的で種々の試みがなされてきた。例えば、特公昭61−41924号公報には主鎖片末端に炭素数1〜18のチオアルキル基を有するポリビニルアルコール系重合体が開示され、特開昭61−254238号公報にはそれらの重合体が界面活性に優れ、石炭−水系スラリー用の分散安定剤として有用であることが開示されている。また、特開平10−168128号公報には、片末端にイオン性基を有するポリビニルアルコール系重合体が開示されており、ビニル系化合物の懸濁重合に有用であることが記載されている。しかしながら、上記ポリビニルアルコール系重合体は界面活性には優れているが、水溶性に改善の余地があった。
特公昭61−41924号公報 特開昭61−254238号公報 特開平10−168128号公報
本発明の目的は、従来のポリビニルアルコール系重合体に比べ水溶性に優れ、かつ部分けん化ポリビニルアルコールにおいても曇点が高いポリビニルアルコール系重合体を提供することにある。
上記目的を達成した本発明は、一般式(I)で表される基を末端に有する、および/または一般式(II)で表される基を主鎖中に有するポリビニルアルコール系重合体である。
Figure 0005463348
Figure 0005463348
(式中、Rは、水素原子またはOM基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、またはアンモニウム基を示す。)
本発明はまた、ビニルエステル系単量体を、リンを含む化合物の存在下でラジカル重合する工程、および得られた重合体をけん化する工程を含む変性ポリビニルアルコール系重合体の製造方法である。
本発明のポリビニルアルコール系重合体は、従来のポリビニルアルコール系重合体に比べ水溶性に優れ、かつ部分けん化ポリビニルアルコールにおいても曇点が高いという効果を達成することができる。
実施例1により得られたPVAの1H−NMRスペクトルを示す。 実施例1により得られたPVAの31P−NMRスペクトルを示す。 実施例1により得られたPVAのP−H相関二次元分析(HMQC)の結果を示す。 実施例1により得られたPVAのP−H相関二次元分析(HMBC)の結果を示す。
本発明のポリビニルアルコール系重合体(以下、PVAと略記することがある)は、一般式(I)で表される基を末端に、および/または一般式(II)で表される基を主鎖中に有する。
Figure 0005463348
Figure 0005463348
ただし、Rは、水素原子またはOM基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、またはアンモニウム基を示す。
従って、本発明のPVAの態様としては、一般式(I)で表される基を末端に有するPVA;一般式(II)で表される基を主鎖中に有するPVA;および一般式(I)で表される基を末端に有し、かつ一般式(II)で表される基を主鎖中に有するPVAの3つの態様がある。
Mで示されるアルカリ金属原子としては、ナトリウム原子、カリウム原子等が挙げられる。Mで示される1/2アルカリ土類金属原子としては、1/2マグネシウム原子、1/2カルシウム原子等が挙げられる。Mが1/2アルカリ土類金属原子である場合は、残りの1/2アルカリ土類金属原子(すなわち2価のアルカリ土類金属原子の残りの結合手)は、一般式(I)における酸素原子、一般式(II)における酸素原子、P(H22)等と結合してよい。
本発明のPVAは、分子中に、ビニルアルコール単位、ならびに一般式(I)で表される基、および/または一般式(II)で表される基を含むが、さらに、その製造に使用されるビニルエステル系単量体に由来するビニルエステル系単量体単位を含んでいてもよい。すなわち、本発明のPVAは、部分けん化PVAであってよい。また、本発明のPVAは、ビニルエステル系単量体と共重合可能な単量体単位をさらに含んでいてもよい。ビニルエステル系単量体、およびビニルエステル系単量体と共重合可能な単量体については後述する。
本発明のPVAのけん化度は、PVAが水溶性及び水分散性である限り特に限定は無いが、けん化度は好ましくは5モル%以上、より好ましくは7モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上であり、けん化度の上限については特に制限はない。けん化度が5モル%未満の場合には、PVAの水溶性が低下して、PVA水溶液を調製するのが困難となるおそれがある。
本発明のPVAの平均重合度(以下、単に重合度と表記する)は、10〜3000であることが好ましい。重合度が3000を超える場合および10未満の場合、該PVAの生産性が低下し、実用性が損なわれるおそれがある。なお、PVAの重合度は、粘度平均重合度のことをいい、例えば、JIS K6726に従って測定することができる。すなわち、PVAをけん化度99.5モル%以上に再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から次式により求めることができる。
P=([η]×1000/8.29)(1/0.62)
本発明のPVAの製造方法は、得られるPVAが一般式(I)で表される基を末端に、および/または一般式(II)で表される基を主鎖中に有する限り特に制限はないが、例えば、ビニルエステル系単量体を、リンを含む化合物の存在下でラジカル重合する工程、および得られた重合体をけん化する工程を含む方法によって製造することができる。
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられるが、中でも酢酸ビニルが最も好ましい。
リンを含む化合物としては、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸アンモニウムおよびその水和物などの次亜リン酸化合物等が挙げられるが、工業的には最も安価な次亜リン酸ナトリウムまたはその水和物が好適に用いられる。
リンを含む化合物の使用量は、特に制限はなく、PVAに導入したい一般式(I)で表される基および一般式(II)で表される基の量に応じて適宜設定すればよい。リンを含む化合物の使用量は、ビニルエステル系単量体100重量部に対して0.001〜30重量部が好ましい。
ビニルエステル系単量体の重合は、アルコール系溶媒等の溶媒中で、または無溶媒で行うことができる。
ビニルエステル系単量体の重合を行うのに用いられる重合方式としては、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれでもよい。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法など公知の任意の方法を用いることができる。その中でも、無溶媒またはアルコール系溶媒中で重合を行う塊状重合法や溶液重合法が好適に採用され、高重合度の重合物の製造を目的とする場合は乳化重合法が採用される。アルコール系溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。またこれらの溶媒は2種類またはそれ以上の種類を混合して用いることができる。重合に使用される開始剤としては、重合方法に応じて従来公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられ、過酸化物系開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネートなどのパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどが挙げられる。さらには、上記開始剤に過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを組み合わせて開始剤とすることもできる。また、レドックス系開始剤としては、上記の過酸化物と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。また、ビニルエステル系単量体の重合を高い温度で行った場合、ビニルエステル系単量体の分解に起因するPVAの着色等が見られることがあるため、その場合には、着色防止の目的で重合系に酒石酸のような酸化防止剤を1〜100ppm(ビニルエステル系単量体に対して)程度添加することはなんら差し支えない。
ビニルエステル系単量体の重合を行う際に採用される温度は、0〜200℃が好ましく、30〜140℃がより好ましい。重合を行う温度が0℃より低い場合は、十分な重合速度が得られないため好ましくない。また、重合を行う温度が200℃より高い場合、目的とするPVAを得ることが困難になるため好ましくない。重合を行う際に採用される温度を0〜200℃に制御する方法としては、例えば、重合速度を制御することで、重合により生成する発熱と反応器の表面からの放熱とのバランスをとる方法や、適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法等が挙げられるが、安全性の面からは後者の方法が好ましい。
本発明においては、ビニルエステル系単量体を通常よりも高い温度条件で重合して、1,2−グリコール結合の含有量の多いPVAとしてもよい。この場合、1,2−グリコール結合の含有量は、好ましくは1.9モル%以上、より好ましくは2.0モル%以上、さらに好ましくは2.1モル%以上である。
ビニルエステル系単量体の重合に際して、本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体と共重合しても差し支えない。ビニルエステル系単量体と共重合可能な単量体として、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテルなどのオキシアルキレン基含有単量体;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
また、ビニルエステル系単量体の重合に際し、得られるPVAの重合度を調節することなどを目的として、本発明の主旨を損なわない範囲で連鎖移動剤の存在下で重合を行っても差し支えない。連鎖移動剤としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;2−ヒドロキシエタンチオール、n−ドデカンチオール、3−メルカプトプロピオン酸などのメルカプタン類;テトラクロロメタン、ブロモトリクロロメタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハライド類が挙げられる。
リンを含む化合物存在下でのビニルエステル系単量体の重合により、リンを含む化合物を主鎖中および/または末端に組み込んだビニルエステル(共)重合体が得られる。
ビニルエステル系重合体のけん化反応には、従来公知の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基性触媒またはp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いた加アルコール分解反応ないし加水分解反応を適用することができる。この反応に使用しうる溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類:ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でもメタノールまたはメタノール/酢酸メチル混合溶媒を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒に用いてけん化反応を行うのが簡便であり好ましい。
以上の方法によれば、一般式(I)で表される基を末端に有するPVA、一般式(II)で表される基を主鎖中に有するPVA、および一般式(I)で表される基を末端に有し、かつ一般式(II)で表される基を主鎖中に有するPVAを、混合物として得ることができる。
このような混合物において、一般式(I)で表される基の変性量が0.01〜18モル%であることが好ましい。0.01モル%未満では、重合度が3000を超える可能性があり、該PVAの生産性が低下し、実用性が損なわれるおそれがある。18モル%を超える場合は、重合度が10未満になる可能性があり、該PVAの生産性が低下し、実用性が損なわれるおそれがある。なお、当該変性量は、1H−NMR測定により求めることができる。
またこのような混合物において、一般式(I)で表される基と一般式(II)で表される基のモル比は、特に限定は無いが、該PVAの生産性を考慮すると、(一般式(I))/(一般式(II))=5/5〜9/1が好ましい。なお、当該モル比は、31P−NMR測定により求めることができる。
本発明によれば、従来のポリビニルアルコール系重合体に比べ水溶性に優れ、かつ部分けん化ポリビニルアルコールにおいても曇点が高いポリビニルアルコール系重合体が提供される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。以下の実施例および比較例において、特に断りがない場合、%は重量%を示す。
実施例1
[PVAの製造]
メタノール300gおよびホスフィン酸ナトリウム(次亜リン酸ナトリウム)・一水和物2.0gを反応器に仕込み、ホスフィン酸ナトリウム・一水和物のメタノール溶液を調製した。次いで、酢酸ビニル1200gを反応器に仕込み、窒素ガスのバブリングにより反応器内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3gを反応器に添加して重合を開始した。重合中は重合温度を60℃に維持した。4時間後に重合率が50%に達したところで冷却して重合を停止した。次いで、減圧下にて未反応の酢酸ビニルを除去し、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液を得た。40%に調整したPVAc溶液にアルカリモル比(NaOHのモル数/PVAc中のビニルエステル単位のモル数)が0.03となるようにNaOHメタノール溶液(10%濃度)を添加してけん化した。以上の操作によりけん化度98.5モル%のPVAを得た。該PVAの粘度平均重合度をJIS K6726に準じて測定したところ760であった。
上記PVAをメタノールで48時間ソックスレー抽出による精製を行った後、d6−DMSOに溶解し、500MHzの1H−NMR(JEOL GX−500)を用いて分析を行った。これによりPVAの末端にホスフィン酸のプロトン(P−H)に由来するプロトンがδ=7.5〜7.7ppm,6.3〜6.6ppmに認められ、末端に式(I)で表される基を有することが確認できた。さらに上記方法で精製したPVAをd6−DMSOに溶解し、203MHzの31P−NMRを用いて分析を行った。これにより10〜13ppmと28〜30ppmに2種類のシグナルを確認することができた(ホスフィン酸Na・一水和物のシグナルを0ppmとした)。さらにP−H相関二次元分析(HMQC、HMBC)を行ったところ、HMQCの結果より、31P−NMRの10〜13ppmのシグナルと1H−NMRの7.5〜7.7ppmと6.3〜6.6ppm(PVAの末端に存在するホスフィン酸のプロトン(P−H)に由来)のシグナルとの相関を確認することはできたが、31P−NMRの28〜30ppmにおいては直接結合したプロトンとの相関(P−H結合)を確認することができなかった。この結果より末端に変性されたPだけではなく、主鎖中に変性されたPの存在を確認することができた。また、HMBCの結果より、31P−NMRの両シグナルとも1H−NMRの1.1〜1.9ppm(PVA中のメチレンに由来)のシグナルとの相関を確認することができた。この結果より末端に式(I)で表される基を有するPVAだけではなく、主鎖中に式(II)で表される基を有するPVAが存在することを確認できた。
また、1H−NMRの分析結果から、一般式(I)で表される基の変性量を求めた。具体的には、PVAの主鎖メチレンに由来するピーク(1.1〜1.9ppm)の面積αと一般式(I)で表される基のリンに付いたプロトンに由来するピーク(7.5〜7.7ppmと6.3〜6.6ppm)の面積βから、下記式を用いて一般式(I)で表される基の変性量を算出した。
一般式(I)で表される基の変性量(モル%)={(ピーク面積β)/((ピーク面積α/2)+(ピーク面積β))}×100
さらに、31P−NMRの分析結果から、一般式(I)で表される基のリンに由来するピーク(10〜13ppm)と一般式(II)で表される基のリンに由来するピーク(28〜30ppm)のピーク面積の比より、PVAの一般式(I)で表される基と一般式(II)で表される基のモル比を算出した。
[曇点の測定]
PVAの0.4重量%水溶液を20℃から70℃まで昇温しながら、UV分光光度計(島津製作所製;UV2100)を用い、測定試料の光路長を1cmとし、波長500nmでの透過度が85%になる温度を測定し、曇点とした。
実施例2
実施例1において、けん化時に水酸化ナトリウムの使用量を変更した以外は実施例1と同様にしてPVAを得た。合成条件及び評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、重合時にホスフィン酸ナトリウム・一水和物、メタノールの使用量を変更し、けん化時に水酸化ナトリウムの使用量を変更した以外は実施例1と同様にしてPVAを得た。合成条件及び評価結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、重合時にホスフィン酸ナトリウム・一水和物の使用量を変更し、けん化時のPVAc濃度を変更した以外は実施例1と同様にしてPVAを得た。合成条件及び、評価結果を表1に示す。
比較例1
ホスフィン酸ナトリウム・一水和物に代えて3−メルカプトプロピオン酸を用い、表1に示す重合条件、けん化条件にて実施例1と同様の方法でPVAを得た。評価結果を表1に示す。
比較例2
重合時にホスフィン酸ナトリウムを使用せず、表1に示す重合条件、けん化条件にて実施例1と同様の方法でPVAを得た。評価結果を表1に示す。
Figure 0005463348
本発明のポリビニルアルコール系重合体は、従来のポリビニルアルコール系重合体に比べ水溶性に優れ、かつ部分けん化ポリビニルアルコールにおいても曇点が高く、その工業的な評価はきわめて高い。

Claims (4)

  1. 一般式(I)で表される基を末端に有する、および/または一般式(II)で表される基を主鎖中に有するポリビニルアルコール系重合体。
    Figure 0005463348
    Figure 0005463348
    (式中、Rは、水素原子またはOM基を示し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、またはアンモニウム基を示す。)
  2. 平均重合度が、10〜3000である請求項1に記載のポリビニルアルコール系重合体。
  3. ビニルエステル系単量体を、リンを含む化合物の存在下でラジカル重合する工程、および得られた重合体をけん化する工程を含む変性ポリビニルアルコール系重合体の製造方法。
  4. 前記リンを含む化合物が、次亜リン酸化合物である請求項3に記載の変性ポリビニルアルコール系重合体の製造方法。
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