JPH10168128A - ポリビニルアルコール系重合体 - Google Patents

ポリビニルアルコール系重合体

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JPH10168128A
JPH10168128A JP10004451A JP445198A JPH10168128A JP H10168128 A JPH10168128 A JP H10168128A JP 10004451 A JP10004451 A JP 10004451A JP 445198 A JP445198 A JP 445198A JP H10168128 A JPH10168128 A JP H10168128A
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Taku Tanaka
卓 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビニル系化合物の懸濁重合にあたって、粒径
分布がシャープで、充填比重が高く、可塑剤吸収性が高
く、残留ビニルモノマーの少ないビニル系重合体粒子を
与えることのできる分散剤や分散助剤として有用なポリ
ビニルアルコール系重合体を提供すること。 【解決手段】 片末端にイオン性基を有するけん化度1
0〜85モル%,重合度50〜3000のポリビニルア
ルコール系重合体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリビニルアルコー
ル系重合体に関する。さらに詳しくは、本発明はビニル
系化合物の懸濁重合方法および懸濁重合用分散剤、更に
は懸濁重合用分散助剤などに有用なポリビニルアルコー
ル系重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、工業的に塩化ビニル系樹脂を
製造する場合、水性媒体中で分散剤の存在下に塩化ビニ
ルモノマーを分散させ、油溶性触媒を用いて重合を行う
懸濁重合方法が広く実施されている。一般に塩化ビニル
系樹脂の品質を支配する因子としては、重合率,水−モ
ノマー比,重合温度,触媒の種類および量,重合槽の型
式,攪拌速度ならびに分散剤の種類および量等が挙げら
れるが、なかでも分散剤の種類による影響が非常に大き
いことが知られている。塩化ビニル系モノマーの懸濁重
合用分散剤に要求される性能としては、(i) 少量の使用
で高い分散力を示し、得られる塩化ビニル系重合体粒子
の粒径分布をできるだけシャープにする働きのあるこ
と、(ii)可塑剤の吸収速度を大きくして加工性を容易に
するため、および重合体粒子中に残存する塩化ビニルモ
ノマーの除去を容易にするため、更には成型品中のフィ
ッシュ・アイ等の生成を防止するため、各重合体粒子を
できるだけ均一にしかも多孔性にする働きがあること、
(iii) 充填比重の大きい重合体粒子を作る働きがあるこ
となどが挙げられる。従来、ビニル系化合物の懸濁重合
用分散剤としては、メチルセルロース,カルボキシメチ
ルセルロース等のセルロース誘導体、部分ケン化ポリビ
ニルアルコール(以下、PVAと略記する。)または側
鎖にイオン性基を有するPVA等が、それぞれ単独で使
用または二種以上で併用されていた。
【0003】しかしながら、側鎖にイオン性基を有する
PVAまたは側鎖にイオン性基を有するポリビニルエス
テル(以下、PVESと略記する。)系重合体を主分散
剤または分散助剤に用いて、塩化ビニルを懸濁重合する
ことにより得られた塩化ビニル樹脂粒子の加工特性は良
好であるが、懸濁重合が不安定となり、重合槽へのスケ
ール付着量が多くなるという問題があった(特開昭55
−137105号公報,同54−112985号公報お
よび特開平1−95103号公報参照)。次に、けん化
度20〜60モル%のPVAを後乳化することにより得
られた水性分散液は、放置安定性が極めて悪く、得られ
た塩化ビニル樹脂粒子の空隙率および充填比重も満足で
きるレベルではなかった(特開昭56−167745号
公報参照)。次に、ビニル系重合体エマルジョンを分散
助剤に用いて、塩化ビニルを懸濁重合する場合には、懸
濁重合前の予備攪拌時間を通常の3〜5倍としなければ
効果がなく、作業性の点で重大な欠点があった(特開昭
64−51409号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ビニ
ル系化合物の懸濁重合用分散助剤の分散質等として有用
なPVA系重合体を提供することにある。本発明の他の
目的は、重合安定性が良好で、かつ得られるビニル系重
合体粒子の加工特性が良好なビニル系化合物の懸濁重合
方法を提供することにある。また、本発明の他の目的
は、上記のビニル系化合物の懸濁重合方法において用い
るビニル系化合物の懸濁重合用の主分散剤および分散助
剤などの分散剤を提供することにある。更に、本発明の
他の目的は、上記のビニル系化合物の懸濁重合用分散助
剤として有用な水性分散液を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な現状を鑑み、ビニル系化合物の懸濁重合方法について
鋭意検討した結果、片末端にイオン性基を有すると共
に、特定のけん化度および重合度を有するPVA系重合
体が、分散助剤等として有用であることを見出した。本
発明はかかる知見に基いて完成したものである。すなわ
ち本発明は、(1)片末端にイオン性基を有するけん化
度10〜85モル%,重合度50〜3000のPVA系
重合体、(2)片末端にイオン性基を有するけん化度1
0〜60モル%,重合度50〜3000のPVA系重合
体、(3)片末端にアミノ基またはアンモニウム基を有
するけん化度10〜85モル%,重合度50〜3000
のPVA系重合体、(4)片末端にカルボキシル基を有
するけん化度10〜85モル%,重合度50〜3000
のPVA系重合体、及び(5)片末端にスルホン酸基を
有するけん化度10〜85モル%,重合度50〜300
0のPVA系重合体を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のPVA系重合体は、上述
したようにビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤の分散
質等として有用である。そこで、本発明をビニル系化合
物の懸濁重合法に沿って説明する。ビニル系化合物を懸
濁重合する際に用いる分散剤としては、主分散剤および
分散助剤がある。ここで主分散剤とは、それを単独で分
散剤に用いても懸濁重合を安定に行うことが可能なもの
をいう。一方分散助剤とは、それ単独では懸濁重合を安
定に行うことはできないが、主分散剤と併用することに
より、得られるビニル系樹脂粒子の加工特性が著しく向
上するような機能を有するものをいう。本明細書で用い
る分散剤とは、主分散剤および分散助剤を包括した意味
を有する。最初に本発明のビニル系化合物の懸濁重合用
の分散助剤について説明する。本発明の分散助剤は、末
端にイオン性基を有するPVES系重合体または該PV
ES系重合体をけん化することにより得られるけん化度
60モル%以下のPVA系重合体であり、これらPVE
S系重合体とPVA系重合体は共に分散助剤として有効
であるが、特にPVA系重合体が分散助剤として好適に
使用される。PVA系重合体のけん化度としては、60
モル%以下であればよいが、10〜60モル%が好まし
く、20〜50モル%がより好ましい。PVES系重合
体またはPVA系重合体の重合度としては、特に制限は
ないが、50〜3000が好ましく、100〜2000
がより好ましい。
【0007】また、PVES系重合体またはPVA系重
合体を構成するビニルエステル単位としては、様々なビ
ニルエステル化合物に由来する単位があるが、例えば酢
酸ビニル,ギ酸ビニル,プロピオン酸ビニル,酪酸ビニ
ル,イソ酪酸ビニル,ピバリン酸ビニル,カプリル酸ビ
ニル,バーサチック酸ビニルなどに由来するビニルエス
テル単位が挙げられるが、これらのビニルエステル系単
位のなかでも工業的には酢酸ビニル単位が好ましい。上
記PVES系重合体またはPVA系重合体の重合度は、
該PVES系重合体またはPVA系重合体を実質的に完
全にけん化した後、アセチル化してポリ酢酸ビニルとし
た後、アセトン溶液中の極限粘度の測定から中島の式
(中島章夫:高分子化学,451(1949))を用
いて算出されたものである。また重量平均重合度(P
w)と数平均重合度(Pn)との比Pw/Pnの値は、
例えばビニルエステル単位が酢酸ビニルに由来する単位
から構成された重合体の場合には、再アセチル化して得
られたポリ酢酸ビニル系重合体をゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)により測定することによ
り求めることができる。また、けん化度とはビニルエス
テル成分のけん化度を意味し、他の成分を共重合してい
る場合はその成分は含まない。なお、けん化度は従来公
知の化学分析法や核磁気共鳴分析法等により分析でき
る。
【0008】上述したPVES系重合体またはPVA系
重合体の重合度測定方法およびけん化度測定方法は、本
明細書に記載された以下の発明においても適用される。
本発明のPVES系重合体またはPVA系重合体が、該
重合体の末端(好ましくは片末端)に有するイオン性基
としては、特に制限はないが、アミノ基,アンモニウム
基,カルボキシル基あるいはスルホン酸基が好ましい。
アミノ基あるいはアンモニウム基の例としては、次の一
般式で表されるチオールに由来するものが挙げられる。
【0009】
【化1】
【0010】およびこの四級化物(a)
【0011】
【化2】
【0012】およびこの四級化物(b)
【0013】
【化3】
【0014】およびこの四級化物(c)
【0015】
【化4】
【0016】およびこの四級化物(d) 上記一般式(a)〜(d)において、nは0〜3の整
数、mは1〜10の整数を示し、R1,R2,R6,R7,R8
はそれぞれ水素原子またはメチル基を示し、R3,R4
それぞれ低級アルキル基(置換基を含んでもよい)を示
し、Aはアミンあるいはアンモニウムの窒素原子と一般
式(a)中のアミド基の窒素原子あるいは一般式(c)
中の酸素原子とを連結する基を示す。カルボキシル基の
例としては、次の一般式で表されるチオールに由来する
ものが挙げられる。
【0017】
【化5】
【0018】およびこの塩(e)
【0019】
【化6】
【0020】およびこの塩(f) 一般式(e),(f)において、pは0〜5の整数を示
し、R9 ,R10,R11はそれぞれ水素原子または低級ア
ルキル基(置換基を含んでもよい)を示す。スルホン酸
基の例としては、次の一般式で表されるチオールに由来
するものが挙げられる。
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】一般式(g)〜(j)において、rは1〜
4の整数を示し、R12〜R20はそれぞれメチル基または
水素原子を示し、Mは水素原子,アルカリ金属またはア
ンモニウムイオンを示す。なお、rが複数のときは、r
の数だけ存在する各R15,R 16,R18,R19は同じもの
でも異なるものでもよい。本発明のPVES系重合体ま
たはPVA系重合体の末端のイオン性基としては、上記
に例示したようなアミノ基,アンモニウム基,カルボキ
シルキ基またはスルホン酸基などのイオン性基が好まし
く、カルボキシル基がより好ましい。これらのイオン性
基には、その塩も含まれ、該PVES系重合体またはP
VA系重合体の水分散性または水溶性の点からは、アル
カリ金属塩がより好ましい。
【0026】上述した末端にイオン性基を有するPVE
S系重合体またはPVA系重合体は、その製造法につい
ては特に制限はなく、種々の方法を採用することができ
るが、例えば(i)イオン性基を有するアルコール,アル
デヒドあるいはチオール等の官能基を有する化合物を連
鎖移動剤として共存させてビニルエステルを重合させ、
次いでけん化することにより末端にイオン性基を有する
PVES系重合体またはPVA系重合体を得る方法、ま
たは(ii)PVES系重合体またはPVA系重合体の末端
にイオン性基を化学反応により導入する方法等が挙げら
れる。しかしながら、より経済的かつ効率良く末端にイ
オン性基を導入し、優れた懸濁重合用の分散助剤を得る
方法としては、イオン性基を有する連鎖移動剤、特にこ
れらの官能基を有するチオールの存在下に、酢酸ビニル
等のビニルエステル類を重合し、次いでけん化する方法
が好ましい(特開昭57−28121号公報および同5
7−105410号公報参照)。イオン性基を有するチ
オールの存在下に、酢酸ビニル等のビニルエステル類を
重合するにあたって、チオールの重合系への添加量,添
加方法は、適宜選択すればよい。チオールは連鎖移動剤
として働き、チオールの重合系への添加量,添加方法
は、得られる重合体の重合度や重合度分布に影響するた
め、PVES系重合体またはPVA系重合体の要求され
る分散助剤性能の面から適宜決められる。しかし、PV
ES系重合体またはPVA系重合体の末端、特に片末端
にイオン性基を効率良く導入し、優れた分散助剤を得る
ためには、重合系のビニルエステルの反応率に応じてチ
オールを添加することにより、反応系のチオール量がビ
ニルエステルに対しあまり変化しないようにすることが
好ましい。こうすることにより末端のイオン性基の導入
効率が向上し、また重合度分布も狭くなって優れた性能
の分散助剤が得られ好ましい。特に、重合度分布の程度
を示す重量平均重合度(Pw)と数平均重合度(Pn)
の比Pw/Pnが4.0を超えないものが望ましい。
【0027】本発明の末端にイオン性基を有するPVE
S系重合体またはPVA系重合体は、上述したように末
端にイオン性基を有することが必須であるが、分散助剤
としての効果を損なわない範囲であれば、側鎖に末端基
と同類のまたは異なったイオン性基を有してもよい。ま
た、側鎖に非イオン性基を導入することも可能である。
本発明のPVES系重合体またはPVA系重合体の原料
であるポリビニルエステルの重合の形式は、従来から公
知の形式、たとえば塊状重合,溶液重合,懸濁重合また
はエマルジョン重合のいずれをも採用し得るが、工業的
にはメタノールやトルエン等を用いる溶液重合が最も好
ましい。さらに重合操作としては、回分法,半回分法ま
たは連続法のいずれのプロセスにおいても製造可能であ
る。本発明の分散助剤を得るための重合で使用される開
始剤は、通常公知のラジカル重合開始剤が用いられる。
例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;2,
2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル);ベンゾイルパーオキサイド;ジイソプロ
ピルパーオキシジカーボネート;過硫酸カリウム等が挙
げられる。重合温度は使用する開始剤によって適宜設定
できるが、好ましくは10〜90℃である。
【0028】末端にイオン性基を有するPVA系重合体
を得る方法としては、通常公知の方法、すなわち末端に
イオン性基を有するPVES系重合体をけん化する方法
が挙げられる。けん化方法としては、アルカリけん化ま
たは酸けん化のいずれも採用できるが、工業的にはメタ
ノール溶媒でNaOHやCH3ONaを触媒とした加メ
タノール分解が最も有利である。けん化温度は特に制限
はないが、得られるPVA系重合体の着色防止という観
点から、20〜60℃で行うのが好ましい。また、触媒
とするNaOHやCH3ONaの量はビニルエステル単
位1モルに対して、通常は0.2モル以下が得られるPV
A系重合体の着色防止や酢酸ナトリウムの量を低く抑え
るという点から好ましい。末端に導入した官能基が、酸
のようなアルカリを消費するものがある場合には、アル
カリの量を消費される分だけ上記範囲より多く加えて、
けん化を実施することが望ましい。
【0029】本発明の分散助剤の使用方法としては、様
々な方法が考えられるが、例えば分散助剤を粉末のまま
重合槽へ仕込む方法(方法I)、分散助剤をメタノール
などの有機溶剤に溶解した溶液として重合槽へ仕込む方
法(方法II)、分散助剤の水性分散液を、併用する主分
散剤の水溶液と混合して、得られた混合液を重合槽へ仕
込む方法(方法III)、分散助剤の水性分散液と、併用す
る主分散剤の水溶液を、それぞれ別々に重合槽へ仕込む
方法(方法IV)などが挙げられる。これらの方法のなか
でも、方法Iは工業的には不適当である場合が多く、ま
た方法IIは水性媒体に有機溶剤が混入することにより、
懸濁重合後に水性媒体による環境汚染の問題が生じやす
い。一方、方法III または方法IVは、工業的にもまた環
境汚染防止の点からも好ましい。これら方法III および
方法IVのなかでも、得られるビニル系樹脂の加工特性な
どから、方法IVが最も好適である。
【0030】本発明の分散助剤(A)であるPVES系
重合体またはPVA系重合体は、PVAなどの他の主分
散剤(B)と併用して用いる。本発明の分散助剤(A)
と主分散剤(B)を併用する場合、この分散助剤(A)
の含有量については特に制限はないが、10〜70重量
%が好ましく、10〜50重量%がより好ましい。本発
明の分散助剤(A)と主分散剤(B)との割合(A)/
(B)が10/90より小さい場合には、その添加効果
が小さく、また(A)/(B)が70/30より大きい
場合には、重合安定性に悪影響を及ぼす場合がある。本
発明の分散助剤(A)と併用する主分散剤(B)は、ビ
ニル系化合物の懸濁重合用の分散剤に使用されるもので
あれば特に制限はないが、なかでも重合度300〜30
00およびけん化度60〜90モル%のPVAまたはP
VA系重合体が特に好ましく、これらは側鎖にイオン性
基,非イオン性基を有していてもよい。
【0031】また、上記の分散助剤(A)および主分散
剤(B)からなる分散剤に、けん化度60モル%未満の
PVAまたはPVA系重合体を併用することもできる。
また、従来公知のセルロース誘導体も主分散剤(B)と
して使用可能である。次に本発明のビニル系化合物の懸
濁重合用の主分散剤について説明する。本発明の主分散
剤は、末端にイオン性基を有し、かつけん化度が60モ
ル%より大で85モル%以下のPVA系重合体からな
る。このPVA系重合体のけん化度は、特に65〜85
モル%が好ましく、またこのPVA系重合体の重合度と
しては100以上が好ましく、300〜3000がより
好ましい。本発明のビニル系化合物の懸濁重合用の主分
散剤であるPVA系重合体において、その末端、好まし
くは片末端に存在するイオン性基としては、上記の分散
助剤の説明で列挙したものと同じイオン性基をあげるこ
とができる。また、上記主分散剤であるPVA系重合体
の製造方法についても、上記の分散助剤の説明で記載し
た方法と同様である。
【0032】本発明の末端にイオン性基を有するPVA
系重合体は、それ単独でもビニル系化合物の懸濁重合に
おいて優れた分散安定性能を示すが、さらに、けん化度
60〜90モル%および重合度100〜3500のPV
A(C)またはPVA系重合体(C)(ここで、PVA
系重合体とは末端にイオン性基を有するPVA系重合体
以外の変性PVAをいう)、またはけん化度20〜60
モル%および重合度100〜3500のPVA(D)ま
たはPVA系重合体(D)(ここで、PVA系重合体と
は末端にイオン性基を有するPVA系重合体以外の変性
PVAをいう)のいずれか一方あるいは両者を同時に併
用するとより効果的である。以下(C)または(D)の
PVAまたはPVA系重合体を、併用PVA系重合体と
称することがある。この併用PVA系重合体の使用割合
は、本発明の主分散剤の効果を阻害しない範囲であれ
ば、任意に選定できるが、好ましくは等重量以下が望ま
しい。しかし、場合によっては等重量以上用いるのが好
ましい場合もある。これらの好ましい使用割合、即ち
(末端にイオン性基を有するPVA系重合体)/(併用
PVA系重合体)は、50/50〜95/5(重量割合)
である。例えば重合度500以上、特に1000以上の
比較的重合度の大きいPVA系重合体を等重量以下併用
することにより、重合の安定性が向上し、多孔性の優れ
たポリ塩化ビニルなどのビニル系重合体が得られ、望ま
しい結果となる。この場合、けん化度は比較的高いもの
を用いることができる。本発明の主分散剤である末端に
イオン性基を有するPVA系重合体の重合度は、特に制
限はないが、通常は100以上、好ましくは300以上
である。しかし、上記の併用PVA系重合体と共に用い
る場合には、重合度は100〜150程度であっても良
好な結果が得られる。例えば使用割合、即ち(末端にイ
オン性基を有するPVA系重合体)/(併用PVA系重
合体)は、50/50〜20/80(重量割合)が好適
範囲である。
【0033】次に本発明のビニル系化合物の懸濁重合方
法について説明する。本発明の懸濁重合方法において
は、上記の分散助剤または主分散剤(即ち、末端イオン
性基を有するPVES系重合体またはPVA系重合体か
らなる分散助剤または主分散剤。但し、末端にイオン性
基を有するPVES系重合体またはPVA系重合体を分
散助剤として用いる場合には、主分散剤は無変性PVA
であることが好ましい。)を用いて、ビニル系化合物を
単独で、またはこれを主体としこれと共重合しうるモノ
マーとの混合物を懸濁重合する。本発明の懸濁重合方法
は、様々なビニル系化合物に適用できるが、なかでも塩
化ビニルの場合に特に好適である。ビニル系化合物の懸
濁重合は、通常、水媒体に分散剤をビニル系化合物に対
して、固形分比で0.005〜0.3重量%、好ましくは0.
01〜0.2重量%添加し、ビニル系化合物またはこれと
共重合しうるモノマーとの混合物を分散させ、油溶性触
媒の存在下で行われる。前述した主分散剤は粉末のま
ま、または水溶液として懸濁重合系の水媒体に加えるこ
とができる。分散助剤は粉体のまま、あるいはメタノー
ル溶液として、または水性分散液として懸濁重合系の水
媒体に加えられるが、なかでも水性分散液として懸濁重
合系の水性媒体に加えるのが好ましい。
【0034】ビニル系化合物の懸濁重合に際して用いら
れる触媒は、油溶性の触媒であればいずれでもよく、例
えばベンゾイルパーオキサイド;ラウロイルパーオキサ
イド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート;2,
2’−アゾイソブチロニトリル;2,2’−アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリルあるいはこれらの混合
物が使用される。重合温度は、各種の状況に応じて異な
るが、通常は30〜70℃程度の範囲から適宜選択され
る。塩化ビニル等のビニル系化合物と共重合しうるモノ
マーとしては、様々なものがあるが、例えばハロゲン化
ビニリデン,ビニルエーテル,酢酸ビニル,アクリル
酸,メタクリル酸およびそれらのエステル,マレイン酸
およびその無水物,イタコン酸,スチレン等が用いられ
る。以上、主として塩化ビニルの重合について説明した
が、本発明の分散安定剤は必ずしも塩化ビニルの重合用
に限定されるものではなく、スチレン,メタクリレート
等の各種ビニル系化合物の懸濁重合用にも用いられる。
【0035】次にビニル系化合物の懸濁重合用の分散助
剤として好適に用いることのできる本発明の水性分散液
について説明する。本発明の水性分散液は、上記のビニ
ル系化合物の懸濁重合用の分散助剤の説明で言及した末
端にイオン性基を有するPVES系重合体または末端に
イオン性基を有するPVA系重合体を分散質とする水性
分散液である。本発明の水性分散液は、特に分散質であ
るPVES系重合体またはPVA系重合体が自己乳化性
を有するものが好ましい。分散質がPVA系重合体であ
る場合、PVA系重合体のけん化度は、60モル%以下
であり、10〜60モル%がより好ましく、20〜50
モル%が一層好ましい。該PVES系重合体またはPV
A系重合体の重合度は、特に2000以下が好ましい。
また、けん化度が20モル%未満の場合には、重合度は
200未満が好ましい。水性分散液の濃度は、特に制限
はないが、70重量%以下が好ましく、1〜6重量%が
より好ましい。また高濃度でも良い場合には、濃度30
〜60重量%の水性分散液も充分使用できる。分散質の
粒径としては特に制限はないが、好ましくは10μm以
下、より好ましくは0.01〜1μm、さらにより好まし
くは0.01〜0.1μmであり、水性分散液の長期保存安
定性の点から粒径は小さい方が好ましい。
【0036】本発明の水性分散液の最も好ましい態様
は、PVES系重合体またはPVA系重合体自身が自己
乳化性を有する場合であり、このようなものでは、他の
分散剤や乳化剤を使用しなくても、1ケ月以上の長期間
にわたって放置安定性が極めて良好である。本発明のP
VES系重合体およびPVA系重合体を分散質とする水
性分散液は、その安定性およびその用途に悪影響を及ぼ
さない範囲であれば、各種添加剤を加えることは自由で
ある。例えば、添加剤として従来公知のPVA系重合
体,セルロース系誘導体,アニオン,カチオンもしくは
非イオン系界面活性剤等を、本発明のPVES系重合体
またはPVA系重合体に対して、5重量%以下、好まし
くは1重量%以下添加することも有効である。またNa
OH,Na2CO3, NaHCO3, CH3COONa等の
アルカリや塩を、本発明のPVES系重合体およびPV
A系重合体に対して、1重量%以下添加することも効果
的である。
【0037】本発明のPVES系重合体またはPVA系
重合体を分散質とする水性分散液の製造方法について
は、特に制限はなく、例えば、攪拌下で水の中へPVE
S系重合体およびPVA系重合体粉末を投入し、引続き
攪拌する方法、さらにこれを加熱しながら行う方法など
が挙げられる。また水性分散液が高濃度である場合に
は、該水性分散液の粘度が高くなるので、ニーダー等の
混練機により水性分散液を得ることも可能である。本発
明の水性分散液は、ビニル系化合物の懸濁重合用の分散
助剤としての用途のほか、接着剤,紙用コーティング
剤,繊維サイジング剤など、従来のPVES系重合体お
よびPVA系重合体が使用されている分野に幅広く用い
られる。
【0038】次に、ビニル系化合物の懸濁重合用の分散
助剤および水性分散液として有用な本発明のPVA系重
合体について説明する。本発明のPVA系重合体は、片
末端にイオン性基を有するけん化度10〜85モル%,
重合度50〜3000のPVA系重合体である。ここで
イオン性基としては、例えばアミノ基,アンモニウム
基,カルボキシル基,スルホン基等を挙げることができ
る。本発明のPVA系重合体が片末端に有するアミノ
基,アンモニウム基,カルボキシル基やスルホン基のイ
オン性基としては、前記のビニル化合物の分散助剤の説
明で言及したものが挙げられる。PVA系重合体のけん
化度は、10〜85モル%であり、10〜60モル%が
好ましく、20〜55モル%がより好ましく、30〜5
0モル%が最も好ましい。PVA系重合体の重合度とし
ては50〜3000であり、100〜2000がより好
ましく、100〜1000が最も好ましい。PVA系重
合体のけん化度および重合度が上記の範囲の場合には、
ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤および水性分散液
などとして、著しく優れた作用効果が得られる。PVA
系重合体を構成するビニルエステル単位としては、前記
のビニル系化合物の分散助剤の説明の際に列挙したビニ
ルエステル単位を挙げることができる。
【0039】本発明のPVA系重合体の製造法について
は、前記のビニル系化合物の分散助剤の説明の際に列挙
した製造法を挙げることができる。更に、ビニル系化合
物の懸濁重合用の分散助剤および水性分散液として有用
な末端にスルホン酸基,アミノ基またはアンモニウム基
を有するPVES系重合体および末端にスルホン酸基,
アミノ基またはアンモニウム基を有するPVA系重合体
について説明する。PVES系重合体およびPVA系重
合体の重合度は50〜3000であり、PVA系重合体
のけん化度は60モル%以下である。PVES系重合体
およびPVA系重合体が末端、好ましくは片末端に有す
るスルホン酸基,アミノ基またはアンモニウム基として
は、前記のビニル化合物の分散助剤の説明で言及したス
ルホン酸基,アミノ基またはアンモニウム基が挙げられ
る。PVA系重合体のけん化度は、60モル%以下であ
り、10〜60モル%が好ましく、20〜50モル%が
より好ましい。PVES系重合体またはPVA系重合体
の重合度としては50〜3000であり、100〜20
00がより好ましく、100〜1000が最も好まし
い。
【0040】PVES系重合体またはPVA系重合体の
けん化度および重合度が上記の範囲の場合には、ビニル
系化合物の懸濁重合用分散助剤および水性分散液などと
して、著しく優れた作用効果が得られる。PVES系重
合体またはPVA系重合体を構成するビニルエステル単
位としては、前記のビニル系化合物の分散助剤の説明の
際に列挙したビニルエステル単位を挙げることができ
る。PVES系重合体およびPVA系重合体の製造法に
ついては、前記のビニル系化合物の分散助剤の説明の際
に列挙した製造法を挙げることができる。以下に、実施
例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明の懸
濁重合方法,懸濁重合用分散安定剤および水性分散液は
これらの実施例のみに限定されるものではない。実施例
中、特に断りのない限り、「部」および「%」は「重量
部」および「重量%」をそれぞれ意味するものとする。
【0041】合成実施例1 (末端にカルボキシル基を有するPVA系重合体の合成
実施例)酢酸ビニル(以下VAcと略記する)2800
部,メタノール690部およびHOOC−CH2−CH2
−SH(以下3−MPAと略記する)0.234部を反応
容器に入れ、内部を充分に窒素置換した後、外温を65
℃に上げ、内温が60℃に達したところで、2,2’−
アゾビスイソブチロニトリル 1.12部を含むメタノー
ル10部を加えた。直ちに3−MPA 5.08部を含む
メタノール50.82部を4時間にわたって均一に加え
た。4時間後の重合率は65%であった。4時間後に容
器を冷却し、減圧下に残留するVAcをメタノールとと
もに系外に追い出す操作をメタノールを追加しながら行
い、ポリビニルアセテート(以下PVAcと略記する)
系重合体のメタノール溶液(濃度70%)を得た。この
メタノール溶液の一部を採り、PVAc系重合体濃度5
0%、〔NaOH〕/〔VAc〕=0.009(モル%)
となるようにNaOHのメタノール溶液を加え、40℃
でけん化して、けん化度40モル%のPVA系重合体を
得た。
【0042】PVA系重合体の重合度を、完全けん化後
のPVA系重合体を精製し、再アセチル化して得たPV
Ac系重合体のアセトン中の極限粘度(〔η〕)より計
算する方法で測定したところ、重合度は350であっ
た。上記のPVA系重合体を少量の水を含む酢酸メチル
で還流下に洗浄し、メタノールで48時間ソックスレー
抽出による精製を行った後、重水に溶解し、核磁気共鳴
分析(以下NMRと略記する)を行った。これより、P
VA系重合体の末端にCOONa基の存在が認められ、
分子の片末端にNaOOC−CH2−CH2−S−のカル
ボキシル基を有するPVA系重合体であることが確認で
きた。次に前述した精製PVA系重合体をアセチル化し
て得たPVAc系重合体のゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(以下GPCと略記する。)測定[装置:
東洋曹達工業株式会社製HLC−802R、カラム:G
MH6×2、溶媒:テトラヒドロフラン、温度:23±
1℃]を行ったところ、Pw/Pn=2.02なる結果を
得た。
【0043】合成実施例2 合成実施例1と同様の方法で、式
【0044】
【化11】
【0045】で表される化合物を連鎖移動剤に用いて酢
酸ビニルの重合を行い、けん化することにより、末端に
スルホン酸基を有する重合度2400,けん化度42モ
ル%のPVES系重合体を得た。得られたPVES系重
合体をD6−DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解
し、NMR分析を行ったところ、末端にスルホン酸基の
存在が確認された。このNMRスペクトルを図1に示
す。
【0046】合成実施例3 合成実施例1と同様の方法で、式
【0047】
【化12】
【0048】で表される化合物を連鎖移動剤に用いて酢
酸ビニルの重合を行い、けん化することにより、末端に
四級化されたアンモニウム基を有する重合度1800,
けん化度30モル%のPVES系重合体を得た。得られ
たPVES系重合体をD6−DMSOに溶解し、NMR
分析を行ったところ、末端に四級化されたアンモニウム
基の存在が確認された。
【0049】実施例1〜24 前記の合成実施例1〜3の方法に準じて得られた末端に
アミノ基,アンモニウム基,カルボキシル基またはスル
ホン酸基を有するPVA系重合体からなる分散剤を使用
して塩化ビニルの懸濁重合を下記の方法で実施した。す
なわち、50リットルグラスライニングオートクレーブ
に、重合槽へ仕込まれる主分散剤水溶液および分散助剤
の水性分散液の水の量を含めて40部になるように計算
された量の脱イオン水ならびに主分散剤2%水溶液およ
び分散助剤2%水性分散液を、第1表に示すとおり、そ
れぞれ別々に仕込んだ。次に、ジイソプロピルパーオキ
シジカーボネートの50%トルエン溶液0.009部を仕
込み、オートクレーブ内を50mmHgとなるまで脱気して
酸素を除いた後、塩化ビニルモノマーを30重量部仕込
み、攪拌下に57℃に昇温して重合を行った。重合開始
時、オートクレーブ内の圧力は8.5kg/cm2Gであった
が、重合開始7時間後に4.5kg/cm2G となったので、
この時点で重合を停止し、未反応塩化ビニルモノマーを
パージし、内容物を取り出し脱水乾燥した。分散剤の物
性とその使用量を第1表に、得られた塩化ビニル樹脂の
性能を第2表に示す。塩化ビニル樹脂の重合収率は85
%で、平均重合度は1050であった。
【0050】比較例1〜5 末端にイオン性基を有しないPVA系重合体またはPV
Aからなる分散剤を用いたほかは、実施例1〜24と同
様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。分散剤の物性
とその使用量を第1表に、得られた塩化ビニル樹脂の性
能を第2表に示す。なお、上記実施例および比較例で得
られた塩化ビニル樹脂の性能は以下の方法で測定した。 (1)粒径分布:タイラーメッシュ基準の金網を使用し
て乾式篩分析により測定した。 (2)充填比重:JIS K6721−1959によっ
て測定した。 (3)粒子多孔性の均一性:塩化ビニル樹脂100部、
ジオクチルフタレート50部,ジブチル錫マレエート1
部,セチルアルコール1部,チタン白0.25部およびカ
ーボンブラック0.1部の混合物を150℃のロールで所
定時間(3分,5分,7分)混練し、肉厚0.2mmのシー
トを作成し、これに光を透過させて100cm2 当たりの
シート中に含まれるフィッシュ・アイの数を数えた。フ
ィッシュ・アイが短時間うちになくなるものほど粒子多
孔性の均一性がよいことを示している。 (4)可塑剤吸収剤:プラストグラフに接続させたプラ
ネタリーミキサーを用い、80℃に保った容器内に塩化
ビニル樹脂100部およびジオクチルフタレート50部
を投入し、攪拌しながら各時間毎の混練トルクを記録
し、混練トルクが低下した点における混練時間で表示し
た。 (5)残留塩化ビニルモノマー:塩化ビニル樹脂の一定
量をテトラヒドロフランに溶解してガスクロマトグラフ
により塩化ビニル樹脂中の塩化ビニルモノマー含有量を
定量した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】
【表11】
【0062】
【表12】
【0063】実施例25〜50および比較例6〜9 末端にイオン性基を有するPVAc系重合体またはPV
A系重合体を分散質とする濃度5%の水性分散液を分散
助剤に用いたほかは、実施例1〜24と同様の方法で塩
化ビニルの懸濁重合を行った。分散剤の物性とその使用
量を第3表に得られた塩化ビニル樹脂の性能を第4表に
示す。 実施例51 主分散剤の5%水溶液および分散助剤の5%水性分散液
を混合した後に、重合槽へ仕込んだほかは、実施例33
と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。分散剤の
物性とその使用量を第3表に、得られた塩化ビニル樹脂
の性能を第4表に示す。 実施例52 主分散剤は5%水溶液で仕込み、分散助剤は粉体のまま
仕込んだほかは、実施例33と同様にして塩化ビニルの
懸濁重合を行った。分散剤の物性とその使用量を第3表
に、得られた塩化ビニル樹脂の性能を第4表に示す。
【0064】
【表13】
【0065】
【表14】
【0066】
【表15】
【0067】
【表16】
【0068】
【表17】
【0069】
【表18】
【0070】
【表19】
【0071】
【表20】
【0072】
【表21】
【0073】
【表22】
【0074】
【表23】
【0075】
【表24】
【0076】実施例53〜58及び比較例10,11 第5表に示すPVES系重合体またはPVA系重合体を
水の中へ投入し、室温下でペラー攪拌を1時間行うこと
によりPVAc系重合体またはPVA系重合体を分散質
とする水性分散液を得た後、その水性分散液の性状を観
察した。その結果を第5表に示す。
【0077】
【表25】
【0078】
【表26】
【0079】
【発明の効果】本発明の末端にイオン性基を有するPV
ES系重合体または末端にイオン性基を有するけん化度
85モル%以下のPVA系重合体を分散剤に用いるビニ
ル系化合物の懸濁重合方法によると粒径分布がシャープ
で、充填比重が高く、また可塑剤吸収性が高く、しかも
残留ビニルモノマーの少ないビニル系重合体粒子が得ら
れる。特に末端にイオン性基を有するPVES系重合体
またはけん化度60モル%以下のPVA系重合体を分散
助剤として用いるビニル系化合物の懸濁重合方法による
と、上記の可塑吸収性などの加工特性が著しく優れたビ
ニル重合体粒子が得られる。また本発明の末端にイオン
性基を有するPVES系重合体またはけん化度60モル
%以下のPVA系重合体を分散質とする水性分散液は、
該分散質が自己乳化性を有することから、長期間の放置
安定性が良好であり、ビニル系化合物の懸濁重合用の分
散助剤としても優れている。さらに、本発明の末端にイ
オン性基を有するけん化度10〜60モル%のPVA系
重合体は、自己乳化性を有することから、水性分散液の
分散質として有用であり、ビニル化合物の懸濁重合用の
分散助剤に用いると、著しく加工特性の高いビニル系重
合体粒子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成実施例2で得られたPVES系重合体のN
MRスペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 卓 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2−28 株式 会社クラレ内 (72)発明者 五十嵐 一成 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2−28 株式 会社クラレ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片末端にイオン性基を有するけん化度1
    0〜85モル%,重合度50〜3000のポリビニルア
    ルコール系重合体。
  2. 【請求項2】 片末端にイオン性基を有するけん化度1
    0〜60モル%,重合度50〜3000のポリビニルア
    ルコール系重合体。
  3. 【請求項3】 片末端にアミノ基またはアンモニウム基
    を有するけん化度10〜85モル%,重合度50〜30
    00のポリビニルアルコール系重合体。
  4. 【請求項4】 片末端にカルボキシル基を有するけん化
    度10〜85モル%,重合度50〜3000のポリビニ
    ルアルコール系重合体。
  5. 【請求項5】 片末端にスルホン酸基を有するけん化度
    10〜85モル%,重合度50〜3000のポリビニル
    アルコール系重合体。
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