WO2006003740A1

WO2006003740A1 - 耐滑性靴底

Info

Publication number: WO2006003740A1
Application number: PCT/JP2005/003187
Authority: WO
Inventors: Eiji Fujikawa; Tomohiro Nozaki; Ryuji Harada; Ikumasa Watanabe
Original assignee: Nisshin Rubber Co., Ltd.
Priority date: 2004-07-01
Filing date: 2005-02-25
Publication date: 2006-01-12
Also published as: US20090188132A1; CN100438795C; JP3959648B2; EP1762151A4; CN1976606A; JPWO2006003740A1; EP1762151B1; EP1762151A1; EP2862464A1; EP2862464B1

Abstract

　本発明に係る耐滑性靴底は、基台部２の長さ方向に所定間隔８を設けて基台部２の接地側面に形成された複数の接地凸部３を有する耐滑性靴底１であって、各接地凸部３は、Ｖ字形状の横断面を有し、基台部２との付け根部位に傾斜補強部５が形成され、かつ、２０°CにおけるＪＩＳ−Ａ硬度が４５～８０度の弾性重合体によって形成されていることを特徴とする。

Description

明細書

耐滑性靴底

技術分野

[0001] 本発明は、平滑あるいは鏡面仕上げをした床面、水膜'油膜'石酸膜等で覆われ滑りやすい状態にある床面、ビルなどの石材床面、または、マンホールや側溝の蓋等の金属面等であっても、比較的安定した歩行ができる耐滑性靴底に関するものである。

背景技術

[0002] 従来、耐滑性靴底に関しては、耐滑性を高めるために様々の提案がなされている。

[0003] 例えば、アウターソールベースに形成されたエンボス面の突起に硬質材を溶射した後に、接地面に被着された硬質材を取り除き、突起立ち上力^面にエッジ効果を持たせた靴底 (特許文献 1)が知られて!/ヽる。

[0004] また、磁性を有する微細片をエンボスの凸部接地面に直立状配向させ、エンボスの榭脂体を微細片との硬度差によりグリップ性を生じさせるとともに硬化榭脂自体をフィラー強化した靴底 (特許文献 2)も知られて、る。

[0005] また、靴底の踏み付部及び踵部の少なくとも一方に、少なくとも一条の縦方向の屈曲用溝と、該縦方向の屈曲用溝と交差する少なくとも一条の横方向の屈曲用溝とを設けることにより、急停止した際に靴底が前記屈曲用溝に沿って屈曲し、床面を靴底の面で捕らえることができ、靴底の接地面が広くなるために、安定性及び耐滑性に優れた効果を示す靴底 (特許文献 3)も知られて、る。

[0006] また、 JIS— A硬度が 45— 85度の硬度を有する靴底の接地面側に多数の凹溝を並設し、該凹溝の幅を 0. 2-1. Omm,深さを 1一 3mmとするとともに、凹溝の間隔を 2 一 10mmとすることにより、凸部のエッジを倒れにくくした屋内スポーツシューズの靴底 (特許文献 4)も知られてヽる。

[0007] また、ゴム底は滑り出しにくいが、滑り出すと止まりにくいという欠点を改良するために、靴底の接地面の底意匠パターンを改良し、靴底接地部は 54— 62 (JIS— A、 20

°C)の硬度を有するゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン力なり、最薄部の厚さが 3— 8mmで、靴底接地部には、多角形、円形などのブロック意匠パターンを有するように形成し、更に、ブロック意匠パターンは、意匠高さが 1一 7mm、意匠勾配が 0— 3度、最小寸法が 2— 8mmで、トップには凹凸模様がなぐフラットであることにより、床面上の水膜や油膜を切ることができ、ブロック意匠の変形を抑えることができる耐滑靴底 ( 特許文献 5)も知られている。

[0008] また、接地凸部が、基台部力も先端部に向力つて先広がり状 (逆テーパー状）に形成されたことにより、防滑性を向上させた靴底 (特許文献 6)、あるいは、靴底接地部面の形状が多角形、円形などの独立したブロック意匠が集合して靴底全体のパターンを形成することにより、ブロック意匠が陥没しにくぐ倒れにくい構造の靴底 (特許文献 7)なども知られている。

特許文献 1：特開平 5— 277002号公報

特許文献 2：特開平 6- 154008号公報

特許文献 3：特開平 7 - 236503号公報

特許文献 4：特開平 8— 280406号公報

特許文献 5：特開 2000-106903号公報

特許文献 6：特開 2000— 116403号公報

特許文献 7：特開 2002— 165607号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0009] しカゝしながら、上述した種々の耐滑性靴底は、接地凸部の耐倒れ性 '耐変形性'地面に対する弓 Iつ掛かり性や、地面に存在する液状物の排液性の全てを満足させるものではなぐそのために、耐滑性を充分に満足させることはできな力つた。以下、詳細に説明する。

[0010] まず、図 10 (a)に示すように、矩形状の縦断面を有する接地凸部 23を、基台部 22 力も直立するように形成した場合では、図 10 (b)に示すように接地凸部 23が倒れるように変形し易ぐ耐倒れ性'耐変形性が良くなぐそれに伴いエッジ効果も弱くなる。このような形状の接地凸部 23に対して、耐倒れ性 '耐変形性を向上させるため、該接地凸部 23の硬度を高めることが考えられる力硬すぎると接地表面のグリップ力が低下し滑りやすくなる。一方、特許文献 2のように、接地凸部 23にフイラ一等を入れることによりグリップ性を高めるとともに、接地凸部 23自体の強度を向上させても、矩形断面の接地凸部では耐倒れ性 '耐変形性を充分に満足させるまでの強度を得ることができなかった。また、縦断面矩形状の接地凸部 23を、横断面が V字形状となるように基台部 22に形成すれば、接地凸部 23の耐倒れ性，耐変形性は、多少は良くなるものの、充分満足させるものではな力つた。

[0011] また、特許文献 5に開示されているように、接地凸部 23が、基台部 22から離れるにつれて先細りとなるように、縦断面台形状とすることにより、接地凸部 23の耐倒れ性 · 耐変形性を満足させることはできる。しかしながら、この場合は、図 11に示すように、接地凸部 23と地面 100との角度 Θが鋭角となるために、地面 100に対する接地凸部 23の引っ掛力り性が悪い。さらに、地面 100に存在する水 ·油等の液状物を踏み付けると、図 11に示すように前記接地凸部 23と地面 100との角度 0が鋭角なために、その踏み付けにより圧縮された液状物が接地表面 24と地面 100との境界に誘導され接地表面 24と地面 100との間に液状物が入り込み易くなつてしまうという問題も生じる。

[0012] そこで、本発明は、接地凸部の、地面に対する良好な引っ掛力り性及び地面に存在する液状物の良好な排液性を保持しつつ、耐倒れ性 '耐変形性をより向上させることにより、十分に満足できる耐滑性を有する靴底を提供することを課題とする。課題を解決するための手段

[0013] 上記課題を解決する手段として、本発明の耐滑性靴底は、基台部の長さ方向に所定間隔を設けて基台部の接地側面に形成された複数の接地凸部を有する耐滑性靴底であって、前記各接地凸部は、 V字形状の横断面を有し、前記基台部との付け根部位に傾斜補強部が形成され、かつ、 20°Cにおける JIS— A硬度が 45— 80度の弹性重合体によって形成されて、ることを特徴とする。

[0014] 前記基台部の長さ方向に所定間隔を設けて形成された接地凸部の列を基台部の幅方向に複数有し、該接地凸部の各列が基台部の幅方向に所定の間隔を設けて形成されて!/、ることが好まし!/、。

[0015] または、前記基台部の長さ方向に所定間隔を設けて形成された接地凸部の列を基台部の幅方向に複数有し、該接地凸部の各列は、隣接する一方の接地凸部の列と連接されており、隣接する他方の接地凸部の列とは基台部の幅方向に間隔を設けて形成されてヽるよう〖こすることちでさる。

[0016] さらには、前記基台部の長さ方向に所定間隔を設けて形成された接地凸部の列を基台部の幅方向に複数有し、該接地凸部の各列は、隣接する両接地凸部の列と連接されていてもよい。

[0017] 爪先側端部に向けて V字形状が拡がっている前記接地凸部の第 1集合領域と、踵側端部に向けて V字形状が拡がっている前記接地凸部の第 2集合領域とに分けることもできる。このとき、第 1集合領域と第 2集合領域とが、爪先側と踵側とに分けることが好ましぐさらには、前記爪先側の第 1集合領域と踵側の第 2集合領域との間に、接地凸部が設けられて、な、第 3領域を有することが好ま、。

[0018] 前記接地凸部の V字形状の開角度が 45— 140度の範囲であることが好ましい。

[0019] また、接地凸部表面の表面粗さが 28 μ m以下であることが好ま、。

[0020] 前記耐滑性靴底が合成ゴム、天然ゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン及びポリ塩ィ匕ビ二ルカなる群力選ばれた 1種類又は複数種類の弾性重合体と、ゴム配合剤とからなることが好ましい。

発明の効果

[0021] 本発明によれば、接地凸部は、横断面を V字形状、 20°Cにおける JIS-A硬度を 45 一 80度とし、基台部との付け根部位に傾斜補強部を形成したことにより、以下の効果を得ることができる。まず、接地凸部の JIS— A硬度を 45— 80度としているために接地凸部の変形を抑えつつ良好なグリップ性を保つことができ、さらには、接地凸部と基台面との付け根部位に傾斜補強部を設けているために、接地凸部は、所望の耐倒れ性 ·耐変形性を得ることができる。

[0022] ここで、接地凸部を先細りとして縦断面台形状とし、耐倒れ性 *耐変形性を向上させたものは前述したように従来力存在するが、本発明ではこれと異なり、付け根部位のみに傾斜補強部が形成されている。つまり、接地凸部と地面との角度を直角としている。このため、本発明は、従来の縦断面台形状の接地凸部で問題となっていた排液性及び引っ掛力ゝり性を良好に保ちつつ、所望の耐倒れ性 '耐変形性を得ることができる。

[0023] また、接地凸部の横断面を V字形状としたことで、接地凸部の耐倒れ性'耐変形性をより向上させることができる。また、接地凸部の横断面力字形状のために、液状物の排液性をも向上させることができる。

[0024] 以上のように、接地凸部の耐倒れ性 *耐変形性、引っ掛力り性、及び、排液性の全てを満足させたことで、所望の耐滑性を備えた耐滑性靴底を提供することができる。

[0025] また、基台部の幅方向に隣設する接地凸部の列の間に所定の間隔を設けることにより、路面や床面に存在する液状物の排液をより容易にして、耐滑性をより向上させることがでさる。

[0026] さらには、接地凸部表面の平滑性を高くすることにより、平滑床面や濡れた床面における接地凸部表面の接合効果を大きくして、耐滑性をより向上させることもできる。図面の簡単な説明

[0027] [図 1]本発明に係る耐滑性靴底の実施形態を示す底面図である。

[図 2]本実施形態の耐滑性靴底の縦断面図である。

[図 3]本実施形態の接地凸部の配列状態を詳細に示す拡大図である。

[図 4]本発明の耐滑性靴底の実施例 1と従来の耐滑性靴底との動摩擦係数の比較を示す図である。

[図 5]本発明に係る耐滑性靴底の他の実施形態を示す底面図である。

[図 6]本発明に係る耐滑性靴底のさらに他の実施形態を示す底面図である。

[図 7]本発明に係る耐滑性靴底のさらに他の実施形態を示す底面図である。

[図 8]本発明に係る耐滑性靴底のさらに他の実施形態を示す底面図である。

[図 9]比較例の耐滑性靴底を示す底面図である。

[図 10]比較例の耐滑性靴底の縦断面図である。

[図 11]従来の耐滑性靴底の縦断面図である。

[図 12]本発明の耐滑性靴底の実施例 2と従来の耐滑性靴底との動摩擦係数の比較を示す図である。

符号の説明

[0028] 1 耐滑性靴底 2 基台部

2a 接地側面

3 接地凸部

4 接地凸部表面

5 傾斜補強部

7 間隔

8 間隔

a 傾斜角度

β 開角度

F 第 1集合領域

R 第 2集合領域

C 第 3領域

発明を実施するための最良の形態

[0029] 以下、本発明に係る耐滑性靴底の実施形態について図面を参照しつつ説明する。

図 1は、本実施形態に係る耐滑性靴底 1を示した底面図、図 2は耐滑性靴底 1の縦断面図であり、図 3は、接地凸部 3の配列状態を詳細に示した図である。

[0030] 図 1、 2及び 3に示すように、本耐滑性靴底 1は基台部 2と複数の接地凸部 3とを有しており、複数の接地凸部 3は基台部 2の接地側面 2aに形成されている。接地凸部 3 は、爪先側端部に向けて開角度 βだけ拡がった V字形状の横断面を有しており（図 1及び 3参照）、また、基台部 2との付け根部位に、基台部 2に対して傾斜角度 αを有する傾斜補強部 5が形成されている（図 2参照)。

[0031] なお、接地凸部 3は、 JIS— Α法に基づいて測定した 20°Cにおける硬度を 45— 80 度の範囲とし、 V字形状の開角度 |8を 45— 140度の範囲にする。また、接地凸部表面 4の表面粗さは、 28 μ m以下、好ましくは 22 μ m以下にする。

[0032] そして、爪先側端部力踵側端部まで基台部 2の長さ方向に間隔 8を設けて接地凸部 3を形成し、さらに、基台部 2の長さ方向に形成された接地凸部 3の列を基台部 2の幅方向に間隔 7をおいて複数形成する（図 3参照)。この接地凸部 3間の最適な間隔 7, 8は、接地凸部 3の JIS - A硬度や形状、接地凸部表面 4の表面粗さ、更には、接地凸部 3の配列方向等の各要素が複合的に関係して決まる要因であるため、予備試作試験で確認して決めることが好ましヽ。

[0033] 次に、このように構成された耐滑性靴底 1の素材を説明する。

[0034] 耐滑性靴底 1の素材は、（1)天然ゴム、合成ゴム、例えば、ポリブタジエン系ゴム、ポリイソプレン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム、アクリル-トリルブタジエン系ゴム、二トリル系ゴム、クロ口プレン系ゴム、塩化ビュル系ゴム、エチレンプロピレン（ジェン）系ゴム、エチレン酢酸ビュル共重合体系ゴム、あるいはポリアミド系ゴムなどの熱可塑性弾性体力選ばれた弾性重合体、（2)ポリエーテル系又は Z及びポリエステル系のポリウレタンあるいはポリ尿素系ウレタンからなるいわゆるポリウレタン系ゴム、更に、（3)特殊用途の靴底用として、例えば、ェピクロルヒドリン系ゴム、シリコン系ゴム、多硫ィ匕ゴムなど力も選ばれた弾性重合体を挙げることができる。

[0035] 耐滑性靴底 1の素材は、上述した材料から靴の使用目的に合わせて選ばれた 1種類の弾性重合体、または、着用環境に応じた靴底物性を得るために、上述の材料から選ばれた相溶性あるいは親和性のある複数種類の弾性重合体とすることができる。そして、必要に応じて、選ばれた弾性重合体に、ゴム配合剤、例えば、カーボンブラックゃホワイトカーボンなどの充填材ゃ、加硫促進剤、着色剤、耐光 (耐候)安定剤などを配合する。これを所定の加工工程を経て靴底成型用組成物とし、該靴底成型用組成物で靴底 1の基台部 2及び接地凸部 3を構成する。

[0036] なお、広範囲の用途に対応した耐滑性靴底 1とする場合には、耐滑性靴底 1の素材として、合成ゴム、天然ゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビュルカゝら選ばれた弾性重合体を使用することが好ましヽ。これらを耐滑性靴底の素材とすることで、靴底の硬度の調節ゃ胛皮との接着性、加工性、耐摩耗性などの特性の調整を容易〖こすることができる。

[0037] また、上述した範囲内で、基台部 2及び接地凸部 3の素材、接地凸部 3の配列や硬度、傾斜補強部 5の傾斜角度 α、接地凸部 3の V字形状の開角度 13などを変えることにより、以下のそれぞれの靴に適応する耐滑性靴底とすることができる。すなわち、例えば、屋内スポーツ用、屋外スポーツ用、濡れた路面、凍結路面あるいは雪道などの滑りやすい路面用、金属面用、磨かれた床面用、乾いた道路用、又は、作業環境などを考慮した作業用などの、それぞれの靴の使用環境に対して適応する耐滑性靴底 1を提供することができる。

[0038] 以上のように、本発明に係る耐滑性靴底 1では、接地凸部 3は基台部 2との付け根部位に傾斜補強部 5が形成されているために、接地凸部 3の変形が抑えられる。また、この傾斜補強部 5が接地凸部 3と基台部 2との付け根部位にのみ設けられて、るために、接地凸部 3の変形を抑えつつ、地面との引っ掛力り性及び液状物の排液性を良好に保ったままとすることができる。なお、傾斜補強部 5の傾斜角度 ocは、靴の用途ゃ、接地凸部 3の硬度、 V字形状の開角度 β、接地凸部 3の配列状態などから最適な数値を決める力通常、 10— 80度の範囲内であることが好ましい。

[0039] また、接地凸部 3は、横断面が開角度 βの V字形状となっているために、強度が向上し、変形をより抑えることができる。さらには、液状物の排液性を良くする効果がある。なお、上述した接地凸部 3の硬度とも関係する傾向にある力この接地凸部 3の V 字形状の開角度 ι8 45— 140度の範囲に設定することで、靴の踏ん張り力を最大限に発揮することができる。この開角度 )8の範囲を越えた場合、歩行時の耐滑性靴底 1 、即ち接地凸部 3に掛力る負荷の方向によっては、接地凸部 3の変形を充分に抑えることができず、歩行時の踏ん張り力が得られない場合がある。

[0040] さらには、接地凸部の JIS— Α硬度を 45— 80度としたことにより、より変形を抑えつつ、引っ掛力り性を良くすることができる。なお、上記範囲より硬度が小さい場合には接地凸部 3の変形が大きくなり、一方、上記範囲より硬度が大きい場合にはグリップ性が悪くなり十分な踏ん張り力が得られず、力えって滑り易くなる傾向になる場合がある。

[0041] また、接地凸部表面 4の表面粗さは、 28 m以下、好ましくは 22 m以下にすることにより安定歩行ができる耐滑性靴底が得られる。

[0042] さらに、接地凸部 3が、基台部 2の幅方向及び長さ方向に間隔 7, 8を設けていることにより、液状物の排液性を向上させることができる。

[0043] 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、接地凸部 3の V字形状は、爪先側端部に向けて拡がっているが、踵側端部に向けて拡がっていてもよい。また、図 5に示すように、爪先側端部に向けて V字形状が拡がっている接地凸部 3の第 1集合領域 Fが爪先側に形成され、踵側端部に向けて V字形状が拡がっている接地凸部 3の第 2集合領域 Rが踵側に形成されていてもよい。また、このとき、第 1集合領域 Fと第 2集合領域 Rとの間に接地凸部が設けられて、な、第 3領域 9を有して、る。このような構成とすることで、爪先側端部もしくは踵側端部のどちらの方向力もの負荷に対しても、安定して耐滑性を発揮することができる。

[0044] また、図 6に示すように、接地凸部 3の各列は、隣接する一方の接地凸部 3の列と連接されており、隣接する他方の接地凸部 3の列とは間隔 7を設けるように形成されていてもよい。さらには、図 7に示すように、接地凸部 3の各列は隣接する両接地凸部 3 の列と連接されていてもよい。またさら〖こは、図 8に示すように、隣接する両接地凸部 3の列に連接されずに間隔 7を設けて形成される接地凸部 3の列と、隣接する一方の接地凸部 3の列に連接されており他方の接地凸部 3の列には間隔 7を設けて形成される接地凸部 3の列とが混在して、る構成としてもよ!、。

実施例 1

[0045] 天然ゴムとスチレン 'ブタジエン系ゴムとからなるゴム生地組成物に、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、充填剤、及び着色剤を配合した組成物をロール混練して靴底部材用組成物を得た。なお、加硫剤、加硫促進剤、充填剤などの配合量を変更して、JIS— A硬度が 45度一 80度の範囲にある、低硬度 (約 45— 55度）、中硬度 (約 56 一 65度）、高硬度 (約 66— 80度）の 3水準の靴底部材用組成物を用意した。

[0046] この 3水準の靴底部材用組成物を、それぞれ厚さ約 10mmのシート状とした後、靴底成型部材用として所定の幅及び長さに裁断して裁片を造った。次いで、これらの裁片から、上述した図 1に示す耐滑性靴底 1を作製する。なお、接地凸部 3は、傾斜補強部 5の傾斜角度 αを約 45度、 V字形状の平均開角度 13を約 96度とし、接地凸部表面 4の表面粗さは 7 m以下とした。また、長さ方向の間隔 8を 2. 5mm,幅方向の間隔 7を 2. Ommとする。

[0047] このように作製された、接地凸部 3の硬度の異なる 3種類の耐滑性靴底 1の耐滑性を評価するために、耐滑性試験法『安全靴技術指針 (RIIS - TR - 90 ; 1991年）：耐滑性試験法』に基づいて靴底の動摩擦係数を測定した。一方、比較のために従来の耐滑性靴底の動摩擦係数を測定した。両者の動摩擦係数の測定結果を図 4に示す

[0048] 従来品の靴底の底面図及び縦断面図を図 9及び 10に示す。図 9及び 10に示すように、接地凸部 23は、基台部 22の接地側面 22aとの付け根部位に傾斜補強部が形成されておらず、接地凸部 23と基台部 22との角度は 90度となっている。また、接地凸部 23の硬度は 45— 80度である。なお、接地凸部表面 24の表面粗さは 33 mである。

[0049] 図 4より、本実施例の耐滑性靴底 1は、低硬度、中硬度、高硬度ともに、静摩擦が極大に達した後、静摩擦力動摩擦への移行動作が極めて円滑に移行して、高い動摩擦状態を保ったまま経過するため、安定な耐滑性を有することがわ力た。一方、従来の耐滑性靴底では、静摩擦が極大に達した後、突然滑り出すため、静摩擦から動摩擦に移行したときは低い動摩擦状態になるため、歩行時の安定性を失わせることになり危険な歩行状態となる。以上により、本発明に係る耐滑性靴底は、従来の耐滑性靴底に比べ、非常に優れた耐滑性を有することがわかった。

実施例 2

[0050] 通常の靴底用天然ゴムとポリブタジエン系ゴムの混合組成物に加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、充填剤、着色剤を配合した組成物をロール混練して靴底用生地を造り、上述した図 7に示す耐滑性靴底 1を形成した。なお、接地凸部 3の傾斜補強部 5の傾斜角 α、開角度 j8、接地凸部表面 4の表面粗さ、及び長さ方向の間隔 8は実施例 1と同様にし、接地凸部 3の JIS-A硬度を中硬度（56— 65度）とした。このように作成された耐滑性靴底の動摩擦係数を実施例 1と同様に測定した結果を図 12に示す。なお、比較のために、先程と同様の従来品の動摩擦係数も図 12に示している。図 12より、実施例 2の耐滑性靴底も、実施例 1の耐滑性靴底と同様に非常に優れた耐滑性を有することがわ力つた。

産業上の利用可能性

[0051] 本発明の耐滑性ゴム底の構成は一般の履物、特に滑り易い作業場での作業用履物、あるいは介護用履物や体の不自由な人の履物として利用可能性があり、更には、物品の下敷きマット、椅子 ·テーブルなどの耐滑材、軽車両 ·車椅子等のタイヤ、あ ¾ ヽは搬送用ベルト等に利用可能性がある。

Claims

請求の範囲

[1] 基台部の長さ方向に所定間隔を設けて前記基台部の接地側面に形成された複数の接地凸部を有する耐滑性靴底であって、

前記各接地凸部は、 V字形状の横断面を有し、前記基台部との付け根部位に傾斜補強部が形成され、かつ、 20°Cにおける JIS— A硬度が 45— 80度の弾性重合体によつて形成されて、ることを特徴とする耐滑性靴底。

[2] 前記基台部の長さ方向に所定間隔を設けて形成された接地凸部の列を基台部の幅方向に複数有し、該接地凸部の各列が基台部の幅方向に所定の間隔を設けて形成されて!/ヽることを特徴とする請求項 1に記載の耐滑性靴底。

[3] 前記基台部の長さ方向に所定間隔を設けて形成された接地凸部の列を基台部の幅方向に複数有し、該接地凸部の各列は、隣接する一方の接地凸部の列と連接されており、隣接する他方の接地凸部の列とは基台部の幅方向に所定の間隔を設けて形成されてヽることを特徴とする請求項 1に記載の耐滑性靴底。

[4] 前記基台部の長さ方向に所定間隔を設けて形成された接地凸部の列を基台部の幅方向に複数有し、該接地凸部の各列は、隣接する両接地凸部の列と連接されて

V、ることを特徴とする請求項 1に記載の耐滑性靴底。

[5] 爪先側端部に向けて V字形状が拡がっている前記接地凸部の第 1集合領域と、踵側端部に向けて V字形状が拡がっている前記接地凸部の第 2集合領域とに分かれて、ることを特徴とする請求項 1一 4の、ずれかに記載の耐滑性靴底。

[6] 前記第 1集合領域と第 2集合領域とが、爪先側と踵側とで分かれて!/ヽることを特徴とする請求項 5に記載の耐滑性靴底。

[7] 前記爪先側の第 1集合領域と踵側の第 2集合領域との間に、前記接地凸部が設けられていない第 3領域を有することを特徴とする請求項 6に記載の耐滑性靴底。

[8] 前記接地凸部の V字形状の開角度が 45— 140度の範囲であることを特徴とする請求項 1に記載の耐滑性靴底。

[9] 接地凸部表面の表面粗さが 28 μ m以下である請求項 1に記載の耐滑性靴底。

[10] 前記耐滑性靴底が、合成ゴム、天然ゴム、エチレン酢酸ビュル共重合体、ポリウレタン及びポリ塩ィ匕ビュルカゝらなる群カゝら選ばれた 1種類又は複数種類の弾性重合体と、ゴム配合剤とからなる請求項 1に記載の耐滑性靴底。