WO2005031156A1

WO2005031156A1 - 内燃機関

Info

Publication number: WO2005031156A1
Application number: PCT/JP2004/013915
Authority: WO
Inventors: Yoshinobu Sawamura; Yukihiro Tsubakino; Yasuyuki Kuroiwa; Teruo Kihara
Original assignee: Honda Motor Co., Ltd.
Priority date: 2003-09-26
Filing date: 2004-09-24
Publication date: 2005-04-07
Also published as: EP1666721B1; BRPI0414706A; KR101082625B1; JP2005105825A; KR20060090225A; CN1842650A; TWI245095B; MXPA06002633A; EP1666721A4; EP1666721A1; TW200512378A; BRPI0414706B1; CN100473823C

Abstract

　内燃機関（10）において位置を自由にレイアウトできるようなキック式始動装置が開示される。内燃機関（10）は、クランクケース（13Ｌ，13Ｒ）に回転自在に支承されるクランク軸（15）と、クランク軸（15）から出力軸（26）へ動力を伝達する動力伝達機構（12）と、動力伝達機構（12）の一部およびクランク軸（15）に固定される補機類を覆うクランクケースカバー（14Ｌ、14Ｒ）と、キック式始動装置（70）とを備える。キック式始動装置（70）は、クランクケースカバー（14Ｌ、14Ｒ）の外側に設けられる。キック式始動装置は、内燃機関出力軸（26）と後輪（6）とを結ぶチェーン（27）の前部とその駆動スプロケット（26ｂ）を覆う内燃機関のリアカバー（39）に対して一部重なる位置に設けられる。クランク軸（15）の一側にトルクコンバータ（40）が備えられ、トルクコンバータ（40）と反対側のクランクケースカバー（14Ｌ）にキック式始動装置が配置される。

Description

明細書

内燃機関

技術分野

[0001] 本発明は、キック式始動装置を備えた内燃機関に関するものである

背景技術

[0002] クランク軸から出力軸へ動力を伝達する動力伝達機構のケース内にキック式始動装置が設けられた内燃機関が知られている (例えば、特許文献 1参照。 ) oこの内燃機関のような配置では、動力伝達機構への干渉を避けるため、キック式始動装置のレイアウトの自由度が制限されるという問題がある。

[0003] また、この内燃機関では、キック式始動装置を取り外した仕様に変更した場合に、上記ケース内に不要なスペースが生じ、キック式始動装置を取り外したにもかかわらず、内燃機関全体をコンパ外ィ匕することができな、と、う問題がある。

[0004] 特許文献 1：特開平 8— 177690号公報（図 1)。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] キック式始動装置の位置を自由にレイアウトできるような内燃機関のキック式始動装置の配置および構成を提案することを課題とする。更に、キック式始動装置を取り外した仕様にした場合に、動力伝達機構のケース内に、不要な空間が残らないようなキック式始動装置の配置および構成を提案することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明は、上記課題を解決するために、クランクケース内に回転自在に支承されるクランク軸と、出力軸と、上記クランク軸から上記出力軸へ動力を伝達する動力伝達機構と、該動力伝達機構の一部および上記クランク軸に固定される補機類を覆うクランクケースカバーと、始動の際にクランク軸を回転駆動すべくクランク軸に回転力伝達可能に連結されたキック式始動装置とを備えた内燃機関において、キック式始動装置がクランクケースカバーの外側に支持されていることを特徴とする内燃機関を提供する。 [0007] 好適には、上記内燃機関は、上記クランクケースカバーの外面に着脱可能に固定されたキック式始動装置カバーを備え、該キック式始動装置カバーと上記クランクケースカバーとにより、両カバーの間に、キックアームにより回動されるキック軸が回転可能に支持される。

[0008] また、上記キック式始動装置カバーの内側に、上記キック軸の回転を伝達する回転伝達機構と、該回転伝達機構を介して上記キック軸により回転されるラチェット軸とを支持し、該ラチエツト軸は上記クランク軸に回転を伝達可能に配置する構成をとることができる。

[0009] 本発明の内燃機関は、自動二輪車に搭載された場合、上記キック式始動装置が、上記内燃機関出力軸と自動二輪車の後輪とを結ぶチーンの前部とその駆動スプロケットを覆う内燃機関のリアカバーに対して、自動二輪車側方から見た時、一部重なる位置に設けるように構成することができる。

[0010] 本発明の内燃機関は、上記クランク軸の一側にトルクコンバータを備え、キック式始動装置は該トルクコンバータと反対側に配置されるように構成できる。

発明の効果

[0011] 本発明は、キック式始動装置をクランクケースカバーの外側に支持したことによって

、クランクケースカバー内の補機および動力伝達機構と干渉することが無ぐ運転者が操作しやすい位置にキック式始動装置を自由に配置することができる。また、仕様変更で、キック式始動装置を取り外す場合でも、クランクケースカバーの形状変更のみで対応できるため、仕様変更時の変更部分を必要最小限に抑えることができる。また、クランクケース内の動力伝達機構部のギヤ室内にキック式始動装置を設けた場合に比べ、内燃機関内に余分な空間が残らないので、内燃機関をコンパクトィ匕することがでさる。

[0012] 本発明の内燃機関が自動二輪車に搭載された場合、上記キック式始動装置が、上記内燃機関出力軸と自動二輪車の後輪とを結ぶチェーンの前部とその駆動スプロケットを覆う内燃機関のリアカバーに対して、自動二輪車側方から見た時、一部重なる位置にあるようにすると、キック式始動装置のレイアウトの自由度を一層高めることが出来る。 [0013] また、トルクコンバータとキック式始動装置とを、自動二輪車の左右方向の互いに反対側に設けることによって、内燃機関の左右バランスが良好となる。

図面の簡単な説明

[0014] [図 1]本発明の一実施形態に係る内燃機関を搭載した自動二輪車の側面図である。

[図 2]上記内燃機関の縦断面図である。

[図 3]上記内燃機関を自動二輪車の左側力も見た外観図である。

[図 4]上記内燃機関において、キック式始動装置の内部装置が見える状態で、内燃機関を自動二輪車の左側から見た図である。

[図 5]上記内燃機関において、セル式始動装置の動力伝達機構が見える状態で、内燃機関を自動二輪車の左側から見た図である。

[図 6]キック式始動装置とセル式始動装置との、クランク軸に対する動力伝達機構を示す図である。

[図 7]キック式始動装置を取り除いた仕様を示す縦断面図である。

符号の説明

[0015] 1· ··自動二輪車、 2…車体フレーム、 3…フロントフォーク、 5· ··リャフォーク、 6…後輪、 6a…後輪チェーン従動スプロケット、 7…シート、 10…内燃機関、 11…動力発生機構、 12…動力伝達機構、 13L…左クランクケース、 13R…右クランクケース、 13 - 合わせ面、 14L…左クランクケースカバー、 14R…右クランクケースカバー、 14j…合わせ面、 15· ··クランク軸、 16L, 16R…ベアリング、 17· ··シリンダブロック、 18· "ピストン、 19· "コンロッド、 20…シリンダヘッド、 21…燃焼室、 22…カム軸、 23…排気管、 24…マフラ、 25…入力軸、 25a' ·' 1次減速従動ギヤ、 25b…駆動ギヤ (入力軸 ·出力軸間）、 26· ··出力軸、 26a…従動ギヤ (入力軸 ·出力軸間）、 26b…後輪チーン駆動スプロケット、 27…後輪駆動用チェーン、 29· ··クランク軸端部のベアリング、 30…遠心クラッチ、 31· ··クラッチインナ、 32…インナボス部、 33…支軸、 34· ··クラッチウェイト、 35…クラッチアウタ、 36· ··ァウタボス部、 37· "ベアリング、 38…一方向クラッチ、 39· ··リアカバー、 40· ··トルクコンバータ、 41…ポンプ羽根車、 42…タービン羽根車、 43…ステータ羽根車、 44· ··ステータボス部、 45…ステータ軸、 46· "ベアリング、 47…フリーホイール、 48· ··タービン軸、 48a' " 1次減速駆動ギヤ、 49· "ベアリング、 50…サイドカバー、 51· ·· フリーホイール、 55· ··カムチェーン、 56· ··カムチェーン駆動スプロケット、 58· ··キー、 59…保持部材、 60〜ACジェネレータ、 61…ァウタロータ、 62· ··インナステータ、 63· ·· 左クランクケースカバー 14Lの開口、 64…ボルト、 65· ··ボス部材、 65a…ラチェット歯、 70· ··キック式始動装置、 71…キック式始動装置カバー、 71a…円筒状支持部、 71b- キック軸軸受ボス部、 72…ラチェット軸、 73…従動ヘリカルギヤ、 74…ラチェットホイ一ル、 74a…ラチェット歯、 75· ··フリクションスプリング、 76· ··キック軸、 77…駆動ヘリカルギヤ、 78· ··リターンスプリング、 79· ··キックアーム、 79a…キックペダル、 80…セル式始動装置、 81…セルモータ、 81a…セルモータの小径部、 82…モータ回転軸、 82a…モータ回転軸のピニオン、 83· ··中間軸、 84· ··2重歯車、 84a…大径歯車、 84b…小径歯車、 85· ··円筒形ボス、 85a…大径歯車、 86…ローラベアリング、 87· ··ワンウェイクラッチ、 88…ボルト、 90…キック式始動装置除去時専用の左クランクケースカバー。

発明を実施するための最良の形態

[0016] 図 1は本発明の一実施形態に係る内燃機関 10を搭載した自動二輪車 1の側面図である。この自動二輪車 1は、車体フレーム 2の中央に内燃機関 10が懸架され、車体フレーム 2の前部に回動自在に枢支されたフロントフォーク 3に前輪 4が軸支され、内燃機関 10に前端を枢支され後方に延びるリャフォーク 5の後端に後輪 6が軸支されている。後輪 6の上方はシート 7が覆っている。

[0017] 図 2は、シリンダ中心線、クランク軸、入力軸、および出力軸を含む、内燃機関 10の縦断面図である。以下，「左右」はこの内燃機関 10を搭載する自動二輪車 1に関しての左右を意味する。内燃機関 10は、動力発生機構 11と動力伝達機構 12とを一体化して構成されて、る。左右半割りの左クランクケース 13Lと右クランクケース 13Rの合体により形成される空間の内部にクランク室とギヤ室が形成されている。車両の左右方向に指向して配置されるクランク軸 15力左右クランクケース 13L, 13Rの各々にベアリング 16L, 16Rを介して支承されている。

[0018] 動力発生機構 11においては、クランクケース 13L、 13Rに接続されたシリンダブロック 17の、シリンダ穴内を摺動自在に嵌装されたピストン 18と上記クランク軸 15とをコンロッド 19が連接している。シリンダブロック 17に接合されるシリンダヘッド 20は、ピストン 18の頂面との間に燃焼室 21を形成し、燃焼室 21に連通する吸，排気ポートを開閉する吸，排気弁（図示せず)を備えている。この吸，排気弁を駆動するカム軸 22は、クランク軸 15と平行にシリンダヘッド 20に回転自在に支承されている。排気ポートには排気管 23とマフラ 24が接続されて、る。

[0019] 動力伝達機構 12においては、左右クランクケース 13L, 13Rに、クランク軸 15に対して平行に配置された入力軸 25と出力軸 26とが回転自在に架設されている。入力軸 25 には、右クランクケース 13Rから右方へ突出した端部に 1次減速従動ギヤ 25aが嵌着され、同入力軸 25の左右クランクケース 13L, 13Rの内側には駆動ギヤ 25bが形成されている。出力軸 26には、左右クランクケース 13L, 13Rの内側に、前記駆動ギヤ 25b と互いに嚙合う従動ギヤ 26aが嵌合されて、る。出力軸 26の左クランクケース 13Lから左外側へ突出した端部には、後輪チェーン駆動スプロケット 26bが嵌着されている。上記後輪チェーン駆動スプロケット 26bと、後輪 6に一体的に設けられた後輪チェ一ン従動スプロケット 6a (図 1参照）との間に後輪駆動用チーン 27が架渡され、最終減速機構が構成されている。上記後輪駆動用チェーン 27の前部と、このチェーンを駆動する後輪チェーン駆動スプロケット 26bとは、内燃機関のリアカバー 39によって覆われている。

[0020] クランク軸 15の右クランクケース 13R力も右方へ突出した右側部には、右端から内側に向力つて、遠心クラッチ 30,トルクコンバータ 40, 1次減速駆動ギヤ 48aが順に配設されて!/、る。 1次減速駆動ギヤ 48aは前記動力伝達機構 12の 1次減速従動ギヤ 25a と嚙合している。この 1次減速駆動ギヤ 48aと 1次減速従動ギヤ 25aとからなる 1次減速機構、および遠心クラッチ 30,トルクコンバータ 40を、右方力も覆う右クランクケース力バー 14Rが、右クランクケース 13Rの右端面に接合されている。クランク軸 15の端部は、右クランクケースカバー 14Rによって、ベアリング 29で軸支されている。

[0021] 遠心クラッチ 30は、クラッチインナ 31の基端を保持するインナボス部 32がクランク軸 15の右端部にスプライン嵌合され、クラッチインナ 31の外周端側にクランク軸 15と平行に突設された複数の支軸 33にそれぞれクラッチウェイト 34が傾動自在に枢支されている。クラッチァウタ 35は、その円筒部が、クラッチウェイト 34に内周面を対向させて覆い、クラッチァウタ 35の基端を保持するァウタボス部 36はクランク軸 15にベアリング 37を介して回動自在に枢支されるとともに、インナボス部 32に対して一方向クラッチ 38を介して支持されている。一方向クラッチ 38は、クラッチァウタ 35側からの回転トルクをクラッチインナ 31側に伝達することができる。

[0022] クランク軸 15の回転に対して、クラッチインナ 31は一体的に回転する力クラッチィンナ 31側からクラッチァウタ 35へは、一方向クラッチ 38があるので、回転トルクは伝達されない。クランク軸 15の回転速度が所定速度を越えると、クラッチウェイト 34の傾動が増しクラッチァウタ 35に作用してクラッチが係合しクラッチァウタ 35を回転させる。

[0023] この遠心クラッチ 30に隣接して配設されるトルクコンバータ 40は、前記クラッチァウタ 35の基端を保持するァウタボス部 36に一体的に結合されるポンプ羽根車 41と、これに対向するタービン羽根車 42と、これら羽根車 41, 42間に配置されるステータ羽根車 43と力構成されるものである。

[0024] ステータ羽根車 43の基端を保持するステータボス部 44は円筒状のステータ軸 45にスプライン嵌合し、同ステータ軸 45はクランク軸 15にベアリング 46を介して軸支されるとともに右クランクケース 13Rに対してフリーホイール 47を介して支持され、ステータ羽根車 43はステータ軸 45と一体に一方向に回転可能である。

[0025] タービン羽根車 42の基端を保持する円筒状のタービン軸 48は、前記ステータ軸 45 にべァリング 49を介して回転自在に支持され、このタービン軸 48の左端部に前記 1次減速駆動ギヤ 48aが形成されてヽる。

[0026] ポンプ羽根車 41には、タービン羽根車 42の背面を覆うサイドカバー 50がー体的に連結され、このサイドカバー 50とタービン軸 48との間にバックロード伝達用のフリーホィール 51が介装されて!、る。

[0027] クランク軸 15の回転速度が所定速度を越え遠心クラッチ 30が係合してクラッチァウタ 35とともにポンプ羽根車 41が回転すると、トルクコンバータ 40内の作動オイルがポンプ羽根車 41の外周側力タービン羽根車 42、およびフリーホイール 47により回転規制されたステータ羽根車 43を順に流れて、ポンプ羽根車 41の内周側に戻るように循環してポンプ羽根車 41の回転トルクをタービン羽根車 42に伝達し、タービン羽根車 42 と一体のタービン軸 48およびタービン軸 48と一体の 1次減速駆動ギヤ 48aを回転駆動する。タービン羽根車 42が高速になりポンプ羽根車 41の速度に近づくとフリーホイ一ル 47によりステータ羽根車 43が空転して羽根車 41, 42, 43がー体となって流体継手としての効率を高くして回転する。このようにトルクコンバータ 40は自動変速機能を果す

[0028] 減速時のバックロードが動力伝達機構 12側から 1次減速機構を介してタービン軸 48 に入力されたときは、その回転トルクはフリーホイール 51の係合によりサイドカバー 50 を介してポンプ羽根車 41に直接伝達され、ポンプ羽根車 41と一体のァウタボス部 36 の回転が一方向クラッチ 38を介してクランク軸 15に伝達されエンジンブレーキが働く。

[0029] クランク軸 15の左クランクケース 13L力左方へ突出した左側部には、カムチェーン 55が巻き掛けられるカムチェーン駆動スプロケット 56が設けられ、その外側に、後述のセルモータに連なる大径歯車 85aと、ワンウェイクラッチ 87が設けられ、更にその外側に、 ACジェネレータ 60が取り付けられている。ワンウェイクラッチ 87および ACジェネレータ 60のァウタロータ 61は共に、保持部材 59に接続されている。同保持部材 59 はクランク軸 15の左端部にキー 58を介して嵌入され、ボス部材 65を介装してクランク軸 15の左端に螺入されるボルト 64によって、クランク軸 15に固定されている。 ACジェネレータ 60を左方から覆う左クランクケースカバー 14L力左クランクケース 13Lの左端面に接合されている。

[0030] この左クランクケースカバー 14Lは、クランク軸 15の軸端に対向する部分に開口 63 が形成されていて、この開口周縁部に ACジェネレータ 60のインナステータ 62が支持されている。したがって ACジェネレータ 60は、インナステータ 62が左クランクケース力バー 14Lを介して左クランクケース 13Lに固定支持され、ァウタロータ 61がクランク軸 15と一体に回転すると、う構成になって!/、る。クランク軸 15の左端にぉヽてァウタロータ 61を固定するボス部材 65は、左クランクケースカバー 14Lの開口 63を貫通して外側に突出した端部があり、その部分に、後述のキック式始動装置 70に関連する環状ラチェット歯 65aが左方へ突出形成されて!、る。 ACジェネレータ 60より左方で左クランクケースカバー 14Lのさらに外側にキック式始動装置 70が設けられている。

[0031] 図 3は、上記内燃機関を左側力も見た外観図である。図の左方（内燃機関の前部）に、シリンダヘッド 20、シリンダブロック 17が、図の右方（内燃機関の後方）に、出力軸 26の位置、後輪チェーン駆動スプロケット 26bの位置、後輪駆動用チェーン 27、およびリアカバー 39が示してある。後輪チェーン駆動スプロケット 26bと上記スプロケット 26 bに掛けまわされている後輪駆動用チェーン 27の上記スプロケット 26bの近傍はリア力バー 39によって覆われている。図の中央部のキック軸 76から後方へ向けてキックァーム 79が伸び、先端にキックペダル 79aが設けてある。キックアーム 79はキック軸 76と共に回動する。キック軸 76に連なる歯車装置は、キック式始動装置カバー 71によって覆われている。内燃機関 10の上部に、セルモータ 81の一部が見える。 13Lは左クランクケース、 14Lは左クランクケースカバーである。

[0032] 図 4は、上記内燃機関において、キックアーム 79、キックペダル 79a、およびキック式始動装置カバー 71を除去し、キック式始動装置の内部装置が見える状態で、内燃機関を左側から見た図である。図において、点々を付して示した部分 14jは、左クランクケースカバー 14Lの端面に形成された、キック式始動装置カバー 71に対する合わせ面である。キック式始動装置の内部装置は左クランクケースカバー 14Lの外側に形成されている。キック軸 76に、同キック軸と一体回動する扇形の駆動ヘリカルギヤ 77が設けてある。この駆動ヘリカルギヤ 77にはキック式始動装置カバー 71の一部を支点とするリターンスプリング 78が設けてある。上記駆動ヘリカルギヤ 77は、隣接するラチェット軸 72に設けられた従動ヘリカルギヤ 73に嚙合っている。従動ヘリカルギヤ 73からクランク軸 15へのキック始動力の伝達については後述する。

[0033] 図 5は、上記内燃機関において、更に、キック式始動装置の内部装置、左クランクケースカバー 14L、および ACジェネレータ 60を除去し、セルモータ 81力クランク軸 15に至るセル式始動装置 80の始動力伝達機構が見える状態で、内燃機関を左側から見た図である。図において、点々を付して示した部分 13jは、左クランクケース 13L の端面に形成された、左クランクケースカバー 14Lに対する合わせ面である。セルモータ 81のモータ回転軸 82にピ-オン 82aが形成され、中間軸 83に装着された 2重歯車 84の大径歯車 84aに嚙合っている。クランク軸 15にローラベアリング 86を介して円筒形ボス 85が遊嵌され、その端部に大径歯車 85aがー体形成されている。上記 2重歯車 84の小径歯車 84bは、上記円筒形ボス 85の大径歯車 85aに嚙合っている。円筒形ボス 85力もクランク軸 15に至る動力伝達については後述する。

[0034] 図 6は、キック式始動装置 70とセル式始動装置 80との、クランク軸 15に対する駆動力伝達機構を示す図である。キック式始動装置 70の断面は、図 3の A - A断面および図 4の B— B断面を示し、セル式始動装置 80の断面は、図 5の C C断面を示したものである。

[0035] 左クランクケースカバー 14Lの左端面にキック式始動装置 70の駆動力伝達機構を覆ってキック式始動装置カバー 71が接合されている。このキック式始動装置カバー 71 の内面には、クランク軸 15の中心線の延長線上にクランク軸 15と同軸の円筒状支持部 71aが突出しており、同円筒状支持部 71aにラチエツト軸 72が回動可能、かつ軸方向摺動可能に嵌挿支持されている。ラチット軸 72は、その中央の露出部に従動ヘリカルギヤ 73が形成され、右端にはラチヱットホイール 74が固着されており、同ラチエツトホイール 74の、右方へ環状に突出した端部に形成されたラチヱット歯 74aが、前記クランク軸 15の左端に固定されたボス部材 65のラチェット歯 65aに対向している。

[0036] キック式始動装置カバー 71とラチヱットホイール 74間に介装されたフリクションスプリング 75により、ラチェットホイール 74とともにラチェット軸 72が左方に付勢されており、フリクシヨンスプリング 75に抗してラチエツトホイール 74が右方に移動するとラチエツトホイール 74のラチェット歯 74aがボス部材 65のラチェット歯 65aと嚙み合う。

[0037] キック式始動装置カバー 71の内面には、上記円筒状支持部 71aに対して若干の距離を置いて、軸受ボス部 71bが内側に膨出しており、同軸受ボス部 71bにキック軸 76 が貫通して回動自在に軸支されている。キック軸 76の左端は左方外部に突出し、右端は左クランクケースカバー 14Lに回動自在に嵌入している。このキック軸 76に、図 4 に示した扇形の駆動ヘリカルギヤ 77がー体に嵌着されてリターンスプリング 78により一方の回転方向に付勢されている。上記駆動ヘリカルギヤ 77はラチェット軸 72のヘリカルギヤ 73に嚙合している。キック軸 76の左端に基端部を固着してキックアーム 79が上下に揺動可能に取り付けられて、る。その先端にキックペダル 79aが装着されてヽる。

[0038] したがってキックペダル 79aが踏み込まれ、キック軸 76がリターンスプリング 78に抗して回転すると、キック軸 76と一体となって駆動ヘリカルギヤ 77が回転し、これと嚙合する従動ヘリカルギヤ 73がラチヱット軸 72とともに回転しながらフリクションスプリング 75 に抗して右方に摺動し、ラチエツトホイール 74のラチェット歯 74aが、クランク軸 15側のボス部材 65のラチェット歯 65aと嚙み合ってクランク軸 15を強制的に回転させ内燃機関 10を始動する。この始動時のキックペダル 79aの踏み込みによるクランク軸 15の回転トルクは、回転数が低速回転であり遠心クラッチ 30のクラッチインナのみを回転してクラッチァウタ以降の動力伝達系に伝達しな、ので、始動作業が軽く容易である。

[0039] 図 4および図 6において、クランク軸 15の上方にセルモータ 81が搭載され、セルモータ 81の左端小径部 81aは、左クランクケース 13Lに形成された貫通孔に嵌入され、同セルモータ 81の左端力も突出して、るモータ回転軸 82は、左クランクケース 13Lと左クランクケースカバー 14Lとの間の空間に突入している。モータ回転軸 82の左端部にはピ-オン 82aが形成してある。

[0040] 上記ピ-オン 82aとクランク軸 15との間に位置して、左クランクケース 13Lと左クランクケースカバー 14Lとに中間軸 83が回転可能に架け渡され、この中間軸 83に大径歯車 84aと小径歯車 84bとを一体に形成した 2重歯車 84が取り付けられて、る。上記大径歯車 84aは上記ピ-オン 82aと嚙合って!/、る。

[0041] クランク軸 15には、大径歯車 85aをその端部に備えた円筒形ボス 85がローラべァリング 86を介して遊嵌されている。上記大径歯車 85aは、上記 2重歯車 84の小径歯車 84bと嚙合っている。上記円筒形ボス 85の外周にワンウェイクラッチ 87が形成されて V、る。上記ワンウェイクラッチ 87のァウタレースはボルト 88を介して保持部材 59に接続されている。同保持部材 59はキー 58を介してクランク軸 15に固定されている。上記ヮンウェイクラッチ 87は、大径歯車 85aの回転を保持部材 59に伝えることはできる力保持部材 59の回転を大径歯車 85aに伝えることは出来ない構成になっている。なお、上記保持部材には、 ACG60のァウタロータ 61も接続されている。セルモータ 81のスイツチが ONとなると、セルモータ 81の回転駆動力は、上記ピ-オン 82a、 2重歯車 84、大径歯車 85a、ワンウェイクラッチ 87、および保持部材 59を介してクランク軸 15に伝達され、クランク軸 15が回転し、内燃機関が始動する。。

[0042] 上記の動力伝達方式は、常時嚙合い方式であり、内燃機関始動後に、内燃機関側からの動力が、逆にセルモータ 81に伝わるのを防ぐために、ワンウェイクラッチ 87が取り付けてある。上記ワンウェイクラッチ 87は、上記円筒形ボス 85の外周に装着されたァウタレース内に設けられたくさび形の溝に、ローラとスプリングとが挿入された構造となっており、円筒形ボス 85とァウタレースの間で、上記ローラとスプリングとによつて、一方向動力伝達作用が生じるものである。

[0043] 本発明の内燃機関の構成は上述の通りである。従来キック式始動装置では、動力伝達機構への干渉を避けるため、キック軸のレイアウト自由度が制限されるという問題があった。本実施形態では、キック式始動装置をクランクケースカバーの外側に設けてあるので、クランクケースカバー内の補機および動力伝達機構と干渉することが無ぐ運転者が操作しやすい位置にキック式始動装置の各部材を自由に配置することがでさる。

[0044] また、本実施形態の内燃機関は、キック式始動装置とセル式始動装置とを共に備えた内燃機関であるが、キック式始動装置を取り外した仕様に変更し、セル式始動装置だけの仕様にすることができる。図 7は、図 2の一部を示す縦断面図において、キック式始動装置を取り除いた仕様を示す図である。キック式始動装置を取り外した場合には、図 7に示されるキック式始動装置除去時専用の左クランクケースカバー 90を取り付けて、 ACジェネレータ 60やワンウェイクラッチ 87ゃ大径歯車 85aなどを覆うので、仕様変更時の変更部分を必要最小限に抑えることができる。この場合に、クランクケース内の動力伝達機構部 12のギヤ室内にキック式始動装置を設けた場合に比べ、ケース内に無駄な空間が残らないので、内燃機関を全体としてコンパクトィ匕することができる。

[0045] さらに、本実施形態の内燃機関は、キック式始動装置 70をリアカバー 39と一部重なる位置に設けることができるので、キック式始動装置 70のレイアウトの自由度を高めることが出来る。

[0046] また、トルクコンバータとキック式始動装置とを、自動二輪車の左右方向の互いに反対側に設けたので、内燃機関の左右バランスが良好となっている。さらに、 ACジエネレータ 60をトルクコンバータ 40とは反対側のクランク軸端部に設けてあるので、オイル通路をトルクコンバータ 40側に集約でき、オイル通路を複雑に取りまわす必要がなくなっている。

Claims

請求の範囲

[1] クランクケース内に回転自在に支承されるクランク軸と、出力軸と、上記クランク軸から上記出力軸へ動力を伝達する動力伝達機構と、該動力伝達機構の一部および上記クランク軸に固定される補機類を覆うクランクケースカバーと、始動の際にクランク軸を回転駆動すべくクランク軸に回転力伝達可能に連結されたキック式始動装置とを備えた内燃機関において、

キック式始動装置がクランクケースカバーの外側に支持されて、ることを特徴とする内燃機関。

[2] 上記クランクケースカバーの外面に着脱可能に固定されたキック式始動装置カバ一を備え、該キック式始動装置カバーと上記クランクケースカバーとにより、両カバーの間に、キックアームにより回動されるキック軸が回転可能に支持されて、ることを特徴とする請求項 1に記載の内燃機関。

[3] 上記キック式始動装置カバーの内側に、上記キック軸の回転を伝達する回転伝達機構と、該回転伝達機構を介して上記キック軸により回転されるラチェット軸とが支持され、該ラチエツト軸は上記クランク軸に回転を伝達可能に配置されていることを特徴とする請求項 2に記載の内燃機関。

[4] 上記内燃機関が自動二輪車に搭載され、上記キック式始動装置は、上記内燃機関出力軸と自動二輪車の後輪とを結ぶチーンの前部とその駆動スプロケットを覆う内燃機関のリアカバーに対して、自動二輪車側方から見た時、一部重なる位置に設けられて、ることを特徴とする請求項 1な、し 3の、ずれかに記載の内燃機関。

[5] 上記クランク軸の一側にトルクコンバータを備え、キック式始動装置は該トルクコンパータと反対側に配置されて、ることを特徴とする請求項 1な、し 3の、ずれかに記載の内燃機関。