WO2004025721A1 - 基板収納容器 - Google Patents

Abstract

磨耗粉の発生に伴う基板や基板処理用のクリーン環境の汚染を防ぐことのできる基板収納容器を提供する。　複数枚の基板を整列収納するフロントオープンボックスタイプの容器本体と、容器本体の開口した正面をシール可能に開閉する蓋体と、これら容器本体と蓋体の設置部にそれぞれ嵌着され、蓋体で閉塞された容器本体の内圧を調整する内圧調整機構とを備える。そして、内圧調整機構を、弾性の取付筒と、取付筒に嵌入保護されるフィルタ保持具と、フィルタ保持具内に保持される複数のフィルタとから構成する。容器本体や蓋体に取付孔を設け、取付孔に構成の簡易な取付筒を弾性変形させて着脱するだけで、内圧調整機構をセットできるので、加工に手間のかかる螺子孔を設ける必要がなく、容器本体を成形する金型の構造が複雑化することがない。

Description

基板収納容器 技術分野

本発明は、 半導体ゥェ一ハゃマスクガラス等からなる基板の収納、 輸送、 保管 、 加工等に使用される基板収納容器に関し、 より詳しくは、 基板収納容器の内外 明

気圧差を調整するフィルタや基板の支持細構造に関するものである。 背景技術

近年、 半導体業界では、 生産性をより一層向上させるため、 3 0 0 mmという 大口径サイズのシリコンゥエーハゃガラスウェー八からなる基板が使用され始め ている。 この種の基板は、 チップサイズの大型ィヒと生産性の向上に資することが できるものの、 水平方向に支持しても、 垂直方向に起立させても、 自重で撓み易 いという特徴を有しているので、 破損しないよう所定の基板収納容器に収納して 安全に取り扱うことが求められる。

この所定の基板収納容器は、 例えば第 1 7図に部分的に示すように、 複数枚の 基板 Wを整列収納するフロントオープンボックスタイプの容器本体 1と、 この容 器本体 1の開口した正面を開閉する図示しない蓋体と、 この蓋体の閉鎖時に容器 本体 1と蓋体との間に介在されてシールするシールガスケットとから構成され、 同図に示すように垂直方向に起立した状態で取り扱われることがあるものの、 基 本的には水平状態で取り扱われ、 基板 Wの破損を防止するよう機能する（特開平 2 0 0 0 - 1 5 9 2 8 8号公報参照）。

基板 Wは、 基板収納容器からの取り出しや挿入に関し、 生産工程では自動機に より水平に取り扱われる。 しかしながら、 検査等の特別な工程では容器本体 1の 開口した正面が上方に向けられることにより、 垂直方向に起立した状態で手動あ るいは自動で取り扱われる（第 1 7図参照)。 この場合、 篕体が取り外されると、 基板 Wは下方に位置するリャリテ一ナ 8のみで支持されることとなる。

基板収納容器の容器本体 1は、 その内部両側に基板 Wを水平に支持する棚体 2 が配設され、 内部背面にはリャリテーナ 8が設けられている（第 1 8図参照)。 こ のリャリテーナ 8は、 基板 Wの後部周縁を支持し、 基板 Wのローデイング（1 o a d i n g)の際、 基板 Wの載置位置を決定するよう機能する。 また、 蓋体の内 面には、 基板 Wの前部周縁を個別に支持するフロントリテ一ナが装着されている 容器本体 1のリャリテーナ 8と蓋体のフロントリテ一ナとは、 基板 Wに接触し て保護する観点から、 棚体 2に比べ、 より柔軟性を有する材料を使用して形成さ れ、 基板 Wとの接触部には、 複数の浅い収納溝 8 0力 S所定の間隔で並設されてい る。 各収納溝 8 0は、 斜面を有する断面略 U字形あるいは略 V字形に形成され、 中心高さが棚体 2の基板載置位置よりも高い位置に設定 (第 1 8図参照）されてお り、 蓋体の閉鎖時に基板 Wが棚体 2から僅かに持ち上げられる際、 基板 Wと棚体 2との接触摩擦を減少させ、 磨耗粉による基板 Wの汚染を抑制防止する。

このような基板収納容器には、 基板 Wの破損防止機能の他、 基板 Wの汚染を招 かないよう高い密封性が求められるが、 航空機輸送やべィ内での高速輸送等によ り内外間に圧力差が生じ、 この圧力差により、 容器本体 1に蓋体が密着してその 開閉が困難になるおそれがある。 このような弊害を解消するため、 従来において は、 容器本体 1、 蓋体、 及びシールガスケットの他、 蓋体で閉塞された容器本体 用の内圧調整機構を備えたフィルタ付き基板収納容器も提案されている（特開平

1 1 - 2 3 3 6 0 7号公報参照)。

従来の基板収納容器は、 以上のように構成され、 フィル夕が装着される場合に は、 容器本体 1に螺子孔を設け、 この螺子孔に榭脂製の内圧調整機構を螺嵌 (螺 子嵌めする）しなければならないので、 容器本体 1を成形する金型の構造が複雑 化するという問題がある。 すなわち、 容器本体 1を金型で成形する場合には、 離型時の回転機構がどうし ても必要になるので、 金型の構造を簡素化することができない。 勿論、 このよう な技術以外にも、 容器本体 1に係止爪を設け、 この係止爪に内圧調整機構を保持 させる技術が提案されているが、 この場合にも、 離型時のアンダーカット部回避 用のスライド機構が必要になるので、 金型構造の複雑化を回避することができな い。

さらに、 いずれの方法においても、 容器本体 1に内圧調整機構を嵌合保持させ る関係上、 搬送時に容器本体 1と内圧調整機構との間に摩擦が生じて磨耗粉が発 生し、 基板 Wや基板処理用のクリーン環境が汚染ずるおそれがある。

また、 従来の基板収納容器は、 第 1 8図に示すように容器本体 1から蓋体が取 り外されると、 基板 Wがリャリテーナ 8の収納溝 8 0内の斜面から完全に滑り落 ちずに途中で停止し、 基板 Wの載置位置が正規の位置からずれてローディングミ スを招いたり、 取り出しロポットの基板チャック用ハンドと基板 Wとが干渉して 破損してしまうという問題がある。

このような問題の原因としては、 基板 Wが大口径で撓み易いということがあげ られるが、 蓋体の取り外し時に基板 Wと接蝕する棚体 2の摩擦抵抗が大きく、 斜 面を滑る際の抵抗になることもあげられる。 加えて近年、 基板 Wの表面のみなら ず、 基板 Wの裏面もパーティクル（p a r t i c u 1 a t e )対策の一環として鏡 面加工されるので、 鏡面同士の吸着により、 基板 Wと棚体 2との摩擦抵抗の増大 に拍車のかかることが考えられる。

さらに、 容器本体 1の開口した正面を上方に向け、 基板 Wを起立させた状態で 取り扱う場合、 基板 Wがリャリテーナ 8の浅い収納溝 8 0でのみ支持されること になるので、 基板 Wが前後方向のいずれかに傾いてしまう傾向がある。 この場合 には、 基板 Wが棚体 2と接触したり、 隣接する基板 Wが異なる方向に倒れ、 容器 本体 1の開口側で基板 W同士が接触して破損や汚染を招くという問題がある。 発明の開示

本発明は、 上記に鑑みなされたもので、 磨耗粉の発生に伴う基板や基板処理用 のクリ一ン環境の汚染を防ぐことのできる基板収納容器を提供することを目的と している。

また、 棚体の摩擦抵抗を小さくして基板の破損等を抑制し、 しかも、 基板を立 てて取り扱う場合に、 基板の傾きを抑制して基板が棚体と接触したり、 基板同士 が接触して破損等するのを防ぐことのできる基板収納容器を提供することを他の 目的としている。

本発明においては、 上記課題を達成するため、 容器本体をフロントオープンボ ックスとし、 この容器本体に基板を収納するものであって、

容器本体の正面を開閉する蓋体と、 容器本体と盖体の少なくともいずれか一方 に取り付けられ、 蓋体で閉じられた容器本体の内圧を調整する内圧調整機構とを 含んでなることを特徴としている。

なお、 内圧調整機構を、 取付筒と、 この取付筒に嵌め入れられる中空のフィル タ保持具と、 このフィルタ保持具内に保持されるフィル夕とから構成することが 好ましい。

また、 容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方に、 取付筒用の取付孔を設け 、 この取付孔の近傍に、 内圧調整機構用のガイドリブを形成することができる。 また、 取付筒の外周面から取付孔に引つかかるフランジを突出させ、 フィルタ 保持具を、 相互に対向する一対の保持具に分割して各保持具を略筒形に形成し、 各保持具の対向部をその幅方向外側に広げてフィルタ挟持部とすることができる

また、 容器本体の内部両側に基板支持用の棚体をそれぞれ設け、 容器本体の内 部両側と棚体のうち、 少なくとも各棚体の基板接触領域の一部に、 棚体の非基板 接触領域よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦抵抗部を形成することができる。

さらに、 容器本体の内部背面に基板支持用の溝を設け、 この溝の断面形状を、 基板の水平方向における中心線に対して非対称に形成することができる。

さらにまた、 低摩擦抵抗部の算術平均粗さを、 平均粗さ （R a ) で 0 . 2 a以 上にすることが好ましい。

ここで請求の範囲における容器本体は、 その開口が蓋体で開閉されるが、 この 蓋体には、 蓋体の周面から複数の係止爪等を出没させる施錠用のラッチ機構を内 蔵しても良いし、 そうでなくても良い。 基板には、 少なくとも単数複数枚の半導 体ゥェ一ハゃフォトマスクガラス等が含まれる。 また、 内圧調整機構は、 容器本 体に取り付けても良いし、 蓋体に取り付けても良く、 これら容器本体と蓋体にそ れぞれ取り付けることも可能である。 この内圧調整機構における取付筒のフラン ジゃフィルタは、 単数複数いずれでも良い。 フィルタ保持具は、 可撓性や弾性を 有していても、 そうでなくても良い。 また、 ガイドリブは、 各種の筒形、 平面視 で半円弧形、 C字形、 U字形等とすることができる。 このガイドリブは、 取付孔 周縁の全部又は一部に設けることができる。

低摩擦抵抗部は、 棚体の全基板接触領域に設けることもできるし、 容器本体の 内部両側と棚体の基板接触領域にそれぞれ設けることもできる。 容器本体の内部 背面に、 基板支持用の溝が設けられる場合には、 この溝の少なくとも一部に低摩 擦抵抗部を設けることが可能である。 さらに、 算術平均粗さ（R a)とは、 粗さ曲 線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、 この抜き取り部分の方向に X 軸、 縦倍率の方向に Y軸を y == f ( X )で表した時に、 所定の式で求められる値を いう。

本発明によれば、 内圧調整機構のフィルタ保持具にフィル夕を保持させ、 この フィルタ保持具を取付筒に嵌め入れ、 容器本体及び又は蓋体における取付孔に取 付筒を取り付ければ、 螺子を用いなくても、 容器本体及び又は蓋体に内圧調整機 構を取り付けることができる。

また、 棚体の基板接触領域に摩擦抵抗の小さい低摩擦抵抗部を形成すれば、 基 板がリテーナの収納溝の途中で止まることがない。 したがって、 基板の位置が正 規の位置からずれたり、 基板チャック用ハンド等が基板と干渉し、 基板が破損し てしまうという問題を解消することが可能になる。 図面の簡単な説明

第 1図は本発明に係る基板収納容器の実施形態を示す分解斜視説明図である。 第 2図は本発明に係る基板収納容器の実施形態における蓋体を示す模式説明図 である。

第 3図は第 2図の要部斜視説明図である。

第 4図は本発明に係る基板収納容器の実施形態における内圧調整機構を示す断 面説明図である。

第 5図は本発明に係る基板収納容器の実施形態におけるフィル夕等を示す斜視 説明図である。

第 6図は本発明に係る基板収納容器の第 2の実施形態を示す分解説明図である 第 7図は本発明に係る基板収納容器の第 2の実施形態における内圧調整機構を 示す断面説明図である。

第 8図は本発明に係る基板収納容器の第 3の実施形態を示す分解斜視説明図で ある。

第 9図は第 8図の横断面説明図である。

第 1 0図は第 8図の縦断面説明図である。

第 1 1図は本発明に係る基板収納容器の第 3の実施形態における棚体を示す平 面図である。

第 1 2図は本発明に係る基板収納容器の第 3の実施形態における棚体を示す正 面図である。

第 1 3図は本発明に係る基板収納容器の第 3の実施形態における棚体を示す部 分断面説明図である。 第 1 4図は本発明に係る基板収納容器の第 3の実施形態におけるリテーナが基 板を支持する状態を示す模式説明図である。

第 1 5図は本発明に係る基板収納容器の第 3の実施形態における容器本体から 蓋体を取り外し、 棚体に基板を支持させる状態を示す模式説明図である。

第 1 6図は本発明に係る基板収納容器の第 3の実施形態における容器本体を上 向きにした状態を示す模式説明図である。

第 1 7図は従来における基板収納容器を起立させ、 基板を立てた状態で取り扱 う場合を示す断面説明図である。

第 1 8図は従来における基板収納容器の棚体が基板を水平に支持する状態を示 す部分断面説明図である。 発明を実施するための最良の形態

以下、 図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、 本実施形態に おける基板収納容器は、 第 1図ないし第 5図に示すように、 複数枚の基板 Wを整 列収納する容器本体 1と、 この容器本体 1の開口をシール可能に開閉する蓋体 3 0と、 これら容器本体 1と蓋体 3 0の設置部 1 0にそれぞれ嵌着され、 蓋体 3 0 で閉塞された容器本体 1の内圧を調整する内圧調整機構 4 0とを備え、 この内圧 調整機構 4 0を、 弾性の取付筒 4 1と、 この取付筒 4 1に嵌入保護されるフィル 夕保持具 4 3と、 このフィルタ保持具 4 3内に保持される複数のフィルタ 4 6と 力 構成するようにしている。

複数枚の基板 Wとしては、 第 1図に示すように、 例えば複数枚（2 5枚や 2 6 枚等）の半導体ゥェ一ハがあげられる。 より詳しくは、 3 0 0 mmの丸'ぃシリコ ンゥエーハ等が使用される。

. 容器本体 1は、 第 1図に示すように、 例えば透明のポリカーボネート等を使用 して正面の開口したフロントオープンボックスタイプに形成され、 相対向する内 部両側に、 複数の棚体 2がそれぞれ上下方向に並べて配設されており、 相対向す る棚体 2が上下方向に並ぶ複数枚の基板 Wを所定のピッチで水平に支持する。 こ の容器本体 1は、 その底部に、 基板収納容器の種類を検知して区別するための貫 通孔を有する平面略 Y字形のボトムプレート 3が着脱自在に装着され、 このポト ムプレート 3の前部両側と後部とに、 断面略 V字形を呈した加工装置用の位置決 め部材 4がそれぞれ形成される。 また、 容器本体 1の一側部下方は、 第 1図に示 すように内圧調整機構用の設置部 1 0とされ、 この設置部 1 0に丸い取付孔が貫 通して穿孔される。

容器本体 1の天井には、 平面略矩形のハンドル 5が着脱自在に装着され、 この ハンドル 5が OHT (オーバ一へッドホイストトランスファー）と呼ばれる図示し ない自動搬送機構に保持されることにより、 基板収納容器が工程内を搬送される 。 容器本体 1の開口した正面周縁には、 第 1図に示す蓋体嵌合用のリム部 6が幅 方向外側に向けて一体形成され、 このリム部 6の両側には、 蓋体 3 0用の係止溝 を備えた係止部 7がそれぞれ一体的に突出形成される。 また、 容器本体 1の内部 背面には、 基板 Wの後部周縁を支持する複数のリャリテ一ナが左右に並べて設置 される。

容器本体 1の外部両側には、 手動搬送用の把持ハンドル 9がそれぞれ着脱自在 に装着される。 各把持ハンドル 9は、 基板収納容器に収納される基板 Wが水平状 態にある場合と垂直起立状態にある場合のいずれにおいても、 作業員が安定して 容器本体 1を把持することができるよう、 略直角に形成される 2つの把持部を備 えた逆 L字形、 L字形、 あるいは U字形等に形成される。

蓋体 3 0は、 第 1図ないし第 3図等に示すように、 四隅部が丸く湾曲した横長 の略矩形に形成され、 内面 (裏面）に容器本体 1のリム部 6と嵌合する段差部 3 1 が突出形成されており、 この段差部 3 1には、 複数枚の基板 Wを所定のピッチで 上下方向に水平に整列支持する弾性のフロントリテーナ 3 2が装着される。 この 蓋体 3 0の段差部 3 1には、 ェンドレスのシールガスケット 3 3が嵌合され、 こ のシールガスケット 3 3が閉塞時の密封性を確保するよう機能する。 蓋体 3 0の 両側部には、 容器本体 1の係止部 7に係合する一対の係止片 3 4がそれぞれ揺動 可能に支持される。 また、 蓋体 3 0の下側部は、 第 1図や第 2図に示すように内 圧調整機構用の設置部 1 0とされ、 この設置部 1 0に丸い取付孔 1 1が貫通して 穿孔されており、 この取付孔 1 1の周縁近傍には、 第 3図に示す内圧調整機構用 のガイドリブ 1 2が略半円弧形に突出形成される。

なお、 容器本体 1、 ボトムプレート 3、 ハンドル 5、 一対の把持ハンドル 9、 及び蓋体 3 0は、 例えばポリカーボネート、 ポリエーテルイミド、 ポリエーテル エーテルケトン、 環状ォレフィン樹脂からなる熱可塑性樹脂等を使用して成形さ れる。

内圧調整機構 4 0は、 第 3図や第 4図に示すように、 設置部 1 0の取付孔 1 1 に着脱自在に嵌入される弾性の取付筒 4 1と、 この取付筒 4 1の軸方向に着脱自 在に密嵌 (隙間なく嵌める）されて一部露出する中空のフィルタ保持具 4 3と、 こ のフィルタ保持具 4 3内に保持される複数のフィル夕 4 6とから構成され、 基板 収納容器の内外間の圧力差により、 容器本体 1に蓋体 3 0が密着してその開閉が 困難になるのを抑制防止する。

取付筒 4 1は、 例えばシリコーンゴム等を用いて形成され、 第 4図下方の開口 一端面が大きく、 同図上方の開口他端面が小さい略円筒形に形成されており、 外 周面には、 取付孔 1 1の周縁部に嵌合係止する複数のフランジ 4 2が軸方向に並 ベて一体形成される。 フィルタ保持具 4 3は、.断面略 T字形あるいは漏斗形に形 成されて相互に対向接着、 又は対向溶着等される一対の保持具 4 4 · 4 4 Aを備 え、 密封された基板収納容器の内外を連通するよう機能する。 各保持具 4 4 · 4 4 Aは、 第 4図に示すように、 基本的には細長い略円筒形に形成され、 端部の対 向接触部がその半径外方向に拡大されて凹部付きのフィル夕挟持部 4 5に形成さ れており、 このフィルタ挟持部 4 5の凹部が複数のフィルタ 4 6を密封挟持する 取付筒 4 1とフィルタ保持具 4 3の材料としては、 例えばポリプロピレン、 ポ リエチレン、 ポリカーボネート、 ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性榭脂

、 ポリスチレン系エラストマ一等の熱可塑性エラストマ一、 フッ素ゴム、 E P D Mゴム、 ブチルゴム、 二トリルゴム、 シリコーンゴム、 ウレタンゴム等があげら れる。

複数のフィルタ 4 6は、 第 5図に示すように、 四フッ化工チレン、 ポリエステ ル繊維、 多孔質テフロン (登録商標)膜、 ガラス繊維等からなる分子濾過フィルタ 、 あるいは活性炭素繊維等の濾材に化学吸収剤を担持させたケミカルフィルタか らなる。 この複数のフィルタ 4 6は、 一対の保持具 4 4 · 4 4 Aにおけるフィル タ挟持部 4 5の凹部間に、 複数の保護部材 4 7で挟持された積層状態で保持され る。 各保護部材 4 7は、 フィルタ 4 6と同様に薄い円板形に形成され、 多数の流 通孔が形成される。

なお、 複数のフィルタ 4 6は、 同性能のタイプでも良いが、 異なる性能のタイ プからなるのが好ましい。 例えば、 分子濾過フィルタとケミカルフィルタを組み 合わせれば、 基板 Wのパーティクル汚染のみならず、 有機ガスの汚染を防止する ことができる。

上記構成において、 内圧調整機構 4 0を取り付ける場合には、 先ず、 一対の保 持具 4 4 . 4 4 Aのフィルタ挟持部 4 5間に複数のフィルタ 4 6を保護部材 4 7 を介し積層挟持させてフィルタ保持具 4 3を形成し、 このフィルタ保持具 4 3を 取付筒 4 1の開口一端面側から開口他端面方向に密嵌して保持具 4 4 Aの一部を 貫通突出させるとともに、 各設置部 1 0の取付孔 1 1に取付筒 1を弾性変形さ せて密嵌し、 その後、 取付孔 1 1の表裏周縁部に取付筒 4 1の外周面から張り出 したフランジ 4 2をそれぞれ係止させれば、 容器本体 1と蓋体 3 0とに内圧調整 機構 4 0をそれぞれ簡単に取り付けることができる。

上記構成によれば、 容器本体 1や蓋体 3 0に取付孔 1 1を設け、 この取付孔 1

1に構成の簡素な取付筒 4 1を弾性変形させて着脱するだけで、 内圧調整機構 4 0をセッ卜することができるので、 加工に手間のかかる螺子孔を設ける必要が全 くなく、 容器本体 1を成形する金型の構造が複雑化することがない。 この他、 洗 浄時に容器本体 1や蓋体 3 0から内圧調整機構 4 0を変形させて簡単に取り外し たり、 洗浄後に再度取り付けることもできる。 また、 容器本体 1に係止爪を設け る必要も全くないので、 離型時のアンダ一カット部回避用のスライド機構が不要 になり、 金型構造の簡素化を図ることができる。

また、 硬度や剛性の高い樹脂同士を嚙合する必要もなく、 搬送時に容器本体 1 と内圧調整機構 4 0との間に摩擦が生じて樹脂粉が発生することがないので、 基 板 Wや基板処理用のクリーン環境が汚染するおそれを有効に解消することが可能 になる。 また、 取付筒 4 1が可撓性を有する弾性材料からなり、 取付孔 1 1との 間にシールを形成するので、 oリング等の別のシール部材を新たに取り付ける必 要性が全くない。 したがって、 部品点数の削減と組立作業の作業性を大幅に向上 させることができる。

さらに、 取付孔 1 1の周囲にガイドリブ 1 2を沿わせて突出形成するので、 内 圧調整機構 4 0に他の基板収納容器を衝突させたり、 損傷させることがなく、 し かも、 位置ずれの抑制も大いに期待できる。 さらにまた、 フィルタ保持具 4 3の 周囲が取付筒 4 1に被覆保護されるので、 シール性を著しく向上させることが可 能となり、 空気漏れを有効に抑制防止することができる。

次に、 第 6図や第 7図は本発明の第 2の実施形態を示すもので、 この場合には 、 取付筒 4 1の開口他端面を拡大形成してフィル夕保持具 4 3の挿入を容易化し 、 取付筒 4 1の内周面中央付近から半径内方向に区画支持片 4 8を突出させ、 こ の区画支持片 4 8にフィルタ保持具 4 3の保持具 4 4を支持させるようにしてい る。

取付筒 4 1の開口他端面における周縁部には、 嵌入したフィルタ保持具 4 3の 脱落を規制する断面略半円形の係止リブ 4 9が所定の間隔で半径内方向に突設さ れる。 また、 区画支持片 4 8は、 平面リング形に形成され、 その中心の貫通孔の 周囲には、 第 7図の下方向に伸びる円筒形のリム部 5 0がー体形成されており、 このリム部 5 0がフィルタ保持具 4 3の保持具 4 4に貫通される。 その他の部分 については、 上記実施形態と同様であるので説明を省略する。

本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、 しかも、 区 画支持片 4 8のリム部 5 0にフィルタ保持具 4 3の保持具 4 を揷入すれば、 フ ィル夕保持具 4 3を多少傾けて取り付けても、 容易に位置を補正することができ 、 利便性を大いに高めることができるのは明らかである。 さらに、 フィルタ 4 6 の周囲が取付筒 4 1の区画支持片 4 8に保護されるので、 空気漏れが実に少なく 、 基板収納容器の汚染防止を図ることができる。

次に、 第 8図ないし第 1 6図は本発明の第 3の実施形態を示すもので、 この場 合には、 基板 Wの側部周縁を支持する複数の棚体 2における基板接触領域 2 2の 少なくとも一部に、 棚体 2の非基板接触領域よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦抵抗 部 2 3を形成し、 基板 Wの後部周縁を支持するリャリテーナ 8に、 複数の収納溝 8 0を並設して各収納溝 8 0と転倒規制部材 8 1とを一体化するようにしている 。

複数の棚体？は、 第 8図ないし第 1◦図に示すように、 容器本体 1の内部両側 に一体的に形成され、 上下方向に所定のピッチで並設されており、 上下方向に並 ぶ複数枚の基板 Wを所定のピッチで水平に支持するよう機能する。 各棚体 2は、 第 9図や第 1 1図に示すように、 基板 Wの側部周縁に対応するよう自由一側部が 湾曲した略板片に形成され、 前部他側に飛び出し防止突起 2 0が基板 Wの側部周 縁に沿うよう形成されており、 後部のストッパとなる側壁には、 基板 Wの挿抜（ 差し込んだり、 外したりする）位置を定める断面略 V字形の傾斜面 2 1が形成さ れる。 飛び出し防止突起 2 0は、 基板 Wの厚さ相当の高さ、 具体的には 0 . 3〜 0 . 7 mmの範囲の高さに形成される。 .

各棚体 2の前部一側と後部の傾斜面 2 1、 換言すれば、 基板接触領域 2 2の少 なくとも一部 (第 1 1図や第 1 2図の囲んだ部分）は棚体 2の非基板接触領域より も摩擦抵抗の小さい低摩擦抵抗部 23に形成され、 この低摩擦抵抗部 23の算術 表面粗さは J I S B 0601-2001に準じて測定した場合に平均粗さ（ Ra)で 0. 2 a(0. 2 m)以上、 好ましくは 0. 3 a(0. 3 m)〜6. 3 a(6. 3 m)の範囲に設定される。 低摩擦抵抗部 23は、 棚体 2の成形に使用 する金型の表面を部分的に梨地や皮シポ等のシポ加工（ t e X t u r i n g)をし ておき、 これを成形時に棚体 2の表面に転写することにより形成される。 金型に 対するシポ加工は、 サンドブラスト、 放電加工、 エッチング等により行われる。 低摩擦抵抗部 23の算術表面粗さが平均粗さ（Ra)で 0. 2 a(0. 2 m)以 上とされるのは、 0. 2 a(0. 2 /m)未満の場合には、 基板 Wとの摩擦抵抗が 大きいままとなり、 容器本体 1を起立した縦置きから横置きに変更する際、 基板 Wがリャリテーナ 8から円滑に移動せずに途中で停止し、 基板 Wが位置ずれして ピックァップできなくなったり、 基板 Wの破損を招くおそれがあるからである。 低摩擦抵抗部 23の算術表面粗さが好ましくは平均粗さ（R a )で 0. 3 a ( 0 - 3 111)〜6. 3 a (6. 3 /zm)の範囲なのは、 成形条件やガス抜きの状態に より転写精度が左右されるので、 係る範囲とすれば量産時の安定性を図ることが できるからである。 また、 平均粗さ（R a)が 6. 3 a (6. 3 m)を超える場合 、 摩擦抵抗は良好であるものの、 成形後に金型から離型する際に棚体 2を形成し たシポの部分が損傷したり、 抵抗になって金型から容易に離型できなくなるから である。

各リャリテーナ 8は、 第 9図、 第 10図、 第 14図に示すように、 相対向する フロントリテーナ 32同様、 基板 Wに個別に接触して保護する観点から、 棚体 2 に比べてより柔軟性を有する材料を使用して形成され、 基板 Wとの接触部には複 数の収納溝 80が所定の間隔で上下方向に並設されており、 各収納溝 80には起 立した基板 Wの転倒を規制する転倒規制部材 81がー体的に設けられる。 各収納 溝 80は、 斜面を有する断面略 U字形あるいは略 V字形に形成される。 また、 各 転倒規制部材 81は、 第 15図に示すように、 収納溝 80の水平方向の中心線か ら一方に位置する垂直壁 8 2と、 中心線から他方に位置する傾斜面 8 3とから形 成され、 収納溝 8 0の断面形状を基板 Wの水平方向における中心線に対して非対 称とするよう機能する。

このようなリャリテ一ナ 8は、 容器本体 1の開口した正面に盖体 3 0が嵌合閉 鎖されると、 フロントリテーナ 3 2と共に基板 Wの周緣を収納溝 8 0を介して棚 体 2から掬い上げ、 転倒規制部材 8 1の中心部で挟持する。 逆に、 容器本体 1の 正面から蓋体 3 0が取り外されると、 基板 Wの後部周縁を転倒規制部材 8 1の傾 斜面 8 3により棚体 2にスライドさせる。 その他の部分については、 上記実施形 態と同様であるので説明を省略する。

上記構成によれば、 蓋体 3 0の取り外し時に基板 Wがリャリテ一ナ 8から各棚 体 2にスライドするが、 棚体 2の基板接触領域 2 2に摩擦抵抗の小さい低摩擦抵 抗部 2 3を形成しているので、 基板 Wが摩擦力によりリャリテーナ 8の収納溝 8 0の途中で停止することがない。 したがって、 基板 Wの載置位置が正規の位置か らずれてローデイングミスしたり、 取り出しロポットの基板チャック用ハンドが 基板 Wと干渉して破損してしまうという問題を解消することができる。

また、 第 1 6図に示すように容器本体 1の開口正面を上方に向け、 基板 Wを起 立させた状態で取り扱う場合でも、 リャリテ一ナ 8の浅い収納溝 8 0を形成する 転倒規制部材 8 1の形状力 S基板 Wの水平方向における中心線に対して非対称なの で、 複数枚の基板 Wを全て同一方向に傾けることができる。 したがって、 基板 W が棚体 2と接触したり、 隣接する基板 Wが異なる方向に倒れ、 容器本体 1の開口 側で基板 W同士が接触して破損や汚染を招くおそれを排除することが可能になる なお、 上記実施形態では棚体 2の前部一側と後部の傾斜面 2 1に低摩擦抵抗部 2 3をそれぞれ形成したが、 なんらこれに限定されるものではなく、 棚体 2やこ の棚体 2に連続する容器本体 1の内部両側に形成しても良い。 また、 リャリテ一 ナ 8の収納溝 8 0の一部あるいは全部に低摩擦抵抗部 2 3を形成しても良い。 次に、 本発明に係る基板収納容器の実施例について比較例と共に説明する。 実施例

第 8図に示すような基板収納容器の容器本体をポリカ一ポネ一トを用いて射出 成形し、 この容器本体の各棚体に、 表面粗度が平均粗さ（R a)で 0. 3 a (0. 3 μπι)の低摩擦抵抗部をシポ加工により形成した。 表面粗さは、 プローブ接触 方式の表面粗さ計 〔三豊製モデル 商品名サ一フテスト 501〕 を用いて測定し た。 そして、 棚体に基板である φ 300mmのゥェ一ハ（シリコンゥエー八）を支 持させ、 このゥエーハを水平方向に移動させた場合の摩擦抵抗をフルスケール 5ONのプッシュプルゲージ 〔アイコ一エンジニアリング社製 商品名 AWF— 5 0〕 により測定し、 測定結果を表 1にまとめた。 この測定は、 下から 1段目、 5 段目、 10段目、 15段目、 20段目、 25段目の 6箇所で行い、 その平均値を 算出した。

比較例

第 17図に示すような容器本体をポリカーボネートを用いて射出成形し、 この 容器本体の各棚体にシポ加工を施すことなく、 棚体の表面粗度を平均粗さ（R a) で 0. l a(0. 1 m)以下とした。 そして、 棚体に φ 300mmのゥエーハを 支持させ、 このゥエーハを水平方向に移動させた場合の摩擦抵抗をフルスケール 50 Nのプッシュプルゲージ 〔アイコ一エンジニアリング社製 商品名 AWF— 50〕 により測定し、 測定結果を表 1にまとめた。 その他の部分については、 実 施例と同様とした。

【表 1】 表面 粗度 棚体とゥエー八の摩擦抵抗値 N

R a ι,zm) 平均値 最大値 最小値 実 施 例 0. 3 a 0. 19 0. 25 0. 15 比 較 例 0. 1 a 1. 28 1. 96 0. 49 表 1から明らかなように、 実施例における棚体とゥエーハの摩擦抵抗が 1ノ 6 に低下した。 また、 ゥエーハがリャリテ一ナの収納溝から棚体に円滑にスライド するのを確認した。 産業上の利用可能性

本発明によれば、 磨耗粉の発生に伴う基板や基板処理用のクリーン環境の汚染 等を有効に防ぐことができるという効果がある。

また、 棚体の摩擦抵抗を小さくして基板の破損等を抑制することができるとい う効果がある。 さらに、 基板を立てて取り扱う場合にも、 基板の傾きを抑制して. 基板が棚体と接触したり、 基板同士が接触して破損等するのを有効に防ぐことが できる。

Claims

請 求 の 範 囲

1 . 容器本体をフロントオープンボックスとし、 この容器本体に基板を収納す る基板収納容器であって、

容器本体の正面を開閉する蓋体と、 容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方 に取り付けられ、 蓋体で閉じられた容器本体の内圧を調整する内圧調整機構とを 含んでなることを特徴とする基板収納容器。

2 . 内圧調整機構を、 取付筒と、 この取付筒に嵌め入れられる中空のフィルタ 保持具と、 このフィルタ保持具内に保持されるフィルタとから構成した請求の範 囲第 1項記載の基板収納容器。

3 . 容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方に、 取付筒用の取付孔を設け、 この取付孔の近傍に、 内圧調整機構用のガイドリブを形成した請求の範囲第 1項 又は第 2項記載の基板収納容器。

4 . 取付筒の外周面から取付孔に引つかかるフランジを突出させ、 フィルタ保 持具を、 相互に対向する一対の保持具に分割して各保持具を略筒形に形成し、 各 保持具の対向部をその幅方向外側に広げてフィルタ挟持部とした請求の範囲第 3 項記載の基板収納容器。

5 . 容器本体の内部両側に基板支持用の棚体をそれぞれ設け、 容器本体の内部 両側と棚体のうち、 少なくとも各棚体の基板接触領域の一部に、 棚体の非基板接 触領域よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦抵抗部を形成した請求の範囲第 1項ないし 第 4項いずれかに記載の基板収納容器。

6 . 容器本体の内部背面に基板支持用の溝を設け、 この溝の断面形状を、 基板 の水平方向における中心線に対して非対称に形成した請求の範囲第 1項ないし第 5項いずれかに記載の基板収納容器。

7 . 低摩擦抵抗部の算術平均粗さを、 平均粗さ （R a ) で 0 . 2 a以上とした 請求の範囲第 5項又は第 6項に記載の基板収納容器。