明細書
香料組成物及びその製法
技術分野
本発明は、 5—アルケン酸および/または 6—アルケン酸と低級アルデヒドを 含有する香料組成物とその製法に関するものである。
背景技術
従来、 2—アルケン酸、 3 _アルケン酸、 4 _アルケン酸、 ω—アルケン酸お よびこれらの低級エステルが、 香料素材として既に知られている。
一方、 本発明者らは、 既に 5—アルケン酸 (日本の特開昭 5 8— 9 6 0 1 4号 公報) およびトランス一 6 _アルケン酸 ( 本の特公平 1 _ 4 0 8 7 7号公報) が香料素材として有用であること、 また、 5 _アルケン酸プチルエステルおよび /または 6—アルケン酸ブチルエステル (日本の特公平 6— 1 4 8 4 6号公報) がミルク様香気を有することを提案している。
本発明者らは、 さらなる乳製品用香料素材を開発するために鋭意検討したとこ ろ、 5 _アルケン酸および Ζまたは 6—アルケン酸と低級脂肪族アルデヒ ドの混 合物が優れた香料素材であることを見出し本発明を完成するに至った。
発明の開示
本発明の目的は、 5 _アルケン酸および/または 6 _アルケン酸を含有するミ ルク様香気を有する香料組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、 上記のミルク様香気を有する香料組成物の製法を提供す ることにある。
(式中、 ηは 1から 4までの整数を表し、 破線はいずれか一方が二重結合である ことを表す。 ) で示される 5 _アルケン酸および Ζまたは 6—アルケン酸と、 炭 素数 8以下の低級脂肪族アルデヒ ドを含有することを特徴とする香料組成物であ
り、 本発明によれば、 このような成分を配合することにより、 よりミルク感に優 れた香料組成物を得ることができる。
本発明においては、 上記成分の香料組成物に、 さらに一般式 (2 )
(式中、 nは 1から 4までの整数を表す。 ) で示される δ—ラクトンおよび/ま たは一般式 (3 )
(式中、 ηは 1から 4までの整数を表す。 ) で示される γ—ラク トンを混合する 二とにより、 さらにミルク感豊かな香料組成物を得ることができる。
(式中、 nは 1から 4までの整数を表し、 破線はいずれか一方が二重結合である ことを表す。 ) で示される 5 _アルケン酸および Zまたは 6—アルケン酸を熟成 することにより、 炭素数 8以下の低級脂肪族アルデヒドが生成してミルク感豊か な香料組成物を得ることができることを見出した。 その際、 一般式 (1 )
( 1 )
(式中、 nは 1から 4までの整数を表し、 破線はいずれか一方が二重結合である ことを表す。 ) で示される 5—アルケン酸および または 6 _アルケン酸に一般 式 (2 )
(式中、 nは 1から 4までの整数を表す。 ) で示される δ —ラクトンおよび ま たは一般式 (3 )
(式中、 ηは 1から 4までの整数を表す。 ) で示される γ—ラク トンが含まれて いる混合物での熟成でも、 炭素数 8以下の低級脂肪族アルデヒドが生成してミル ク感豊かな香料組成物を得ることができることを見出した。
発明を実施するための最良の形態
5—アルケン酸および/または 6—アルケン酸がミルク様香気を有する香料素 材として有用であることは既に知られているが、 本発明者等はさらなる鋭意研究 の結果、 これら 5—アルケン酸および Ζまたは 6—アルケン酸に、 炭素数 8以下 の低級脂肪族アルデヒ ドを極少量含有させることで、 得られた組成物がミルク様 香気としてよりマイルドで、 天然らしさを醸し出すことを見出した。 またこの組 成物に対して、 さらに δ—ラク トンおよび または γ—ラク トンを適量添加する ことで、 ミルク感がより一層引き立つようになることを見出した。
本発明で使用されるアルケン酸としては、 上記の一般式 (1 ) で示されるが、 具体的には 5 _ノネン酸、 6—ノネン酸、 5—デセン酸、 6—デセン酸、 5—ゥ
ンデセン酸、 6—ゥンデセン酸、 5—ドデセン酸および 6—ドデセン酸が挙げら れる。 これら 5—アルケン酸あるいは 6 _アルケン酸は、 何れかをそれぞれ単独 で用いることもできる力 両者の混合物の方がより天然感が増し好ましい。 5 _ アルケン酸と 6—アルケン酸は、 7 / 3〜3 Z 7の重量比で混合することが好ま しく、 6 / 4〜 4 / 6の重量比で混合することがより好ましい。
5—アルケン酸および 6—アルケン酸の二重結合は、 シス体と トランス体が存 在するが、 各々 トランス体が 5 5 %以上であることが好ましく、 トランス体が 8 0 %以上であることがより好ましい。 トランス体は 1 0 0 %でも良く、 トランス 体が多いほどミルク様香気が強くなる。
本発明のアルケン酸自体は、 公知の方法に準じて調製することができる。 例え ば、 Bull. Soc. Chim. France, 1964 (4) , 723に記載の方法は、 いわゆるランベル グ一ベックルント反応を利用するもので、 シク口ペンタノンを出発原料にすると 5—アルケン酸が得られ、 またシク口へキサノンを出発原料にすると 6—ァルケ ン酸が各々得られる。
また、 薬学雑誌, 75, 606 (1955)に記載の方法によれば、 6 _ブロモデカン酸メ チルを脱臭化水素することにより、 5—デセン酸メチルと 6—デセン酸メチルの 混合物が得られ、 これを加水分解することにより、 5—デセン酸および 6—デセ ン酸の混合物 (1 / 1 ) が得られる。
本発明で用いられる低級脂肪族アルデヒ ドとしては、 炭素数 8以下の低級脂肪 族アルデヒドが好ましく、 具体的には、 ァセトアルデヒ ド、 プロピオンアルデヒ ド、 プチルアルデヒ ド、 ペンチルアルデヒ ド、 へキシルアルデヒ ド、 ヘプチルァ ルデヒ ド、 およびォクチルアルデヒド等が挙げられる。 本発明では、 一般に市販 されている低級脂肪族アルデヒドを使用することができる。 これらの低級脂肪族 アルデヒドは、 1種または 2種以上を任意の割合で混合し使用して構わない。 こ れら低級脂肪族アルデヒ ドは、 微量でも十分な効果を得ることができるが、 5— アルケン酸および/または 6—アルケン酸と δ —ラク トンおよび Ζまたは γ—ラ ク トンの混合物に対し、 1重量%以下の含有量が好ましく、 より好ましくは 0 . 1〜0 . 0 1重量%の範囲である。 この様に低級脂肪族アルデヒ ドを極少量含有 させることで、 得られた組成物がミルク様香気としてよりマイルドで、 天然らし
さを醸し出すことを見出した。 低級脂肪族アルデヒ ドがこの範囲より多く含まれ ると官能的には香気が好ましくなくなる傾向を示す。
また、 本発明で用いられる δ —ラタ トンおよび γ—ラクトンは、 上記の一般式 ( 2 ) または (3 ) で示される一般的に使用されている調合素材であり、 市販の ものを使用することができる。 これら δ —ラク トンおよび γ—ラク トンは、 各々 単独で 5—アルケン酸および/または 6—アルケン酸と配合することもできる力 併用することでさらに両者の特徴を引き出し、 天然感が増す優れた素材となる。 本発明で用いられる δ—ラクトンおよび Ζまたは γ—ラタ トンとしては、 例え ば、 δ—およびノまたは γ—ノナラク トン、 δ —および Ζまたは γ—デカラク ト ン、 S—および Ζまたは γ —ゥンデカラクトン、 δ —および または γ —ドデカ ラク トン等が挙げられる。
5—アルケン酸および または 6—アルケン酸と、 δ—ラクトンおよび/または ■y —ラタトンの混合比率は、 9 8 Z 2〜1 0 9 0の重量比が好ましく、 より好 ましくは 9 0 1 0〜3 0 Z 7 0の重量である。
本発明において、 5 _アルケン酸および/または 6—アルケン酸に、 炭素数 8 以下の低級脂肪族アルデヒ ドを極少量含有させる方法としては、 次の 2つの方法 がある。
(a) 5—アルケン酸およびノまたは 6—アルケン酸に、 別に用意した上記の低級 脂肪族アルデヒ ドを単に添加する方法
(b) 5—アルケン酸および または 6 _アルケン酸を熟成することによって、 低 級脂肪族アルデヒ ドを生成を調製する方法
本発明の上記(b)の 5—アルケン酸および または 6—アルケン酸を熟成する方 法では、 δ—ラタ トンおよび/または γ—ラクトンが共存していても構わない。 本発明では、 このように、 5 _アルケン酸および/または 6—アルケン酸を熟成 することによって、 その系内に低級脂肪族アルデヒドを生成させるのである。 本発明において、 5—アルケン酸および Ζまたは 6 _アルケン酸の熟成は、 室 温あるいは加熱下長期間保管することも可能であるが、 より効果的な方法は加熱 しながら一定時間攪拌する方法が好ましい。 熟成温度は、 好ましくは 2 0 °Cから 8 0 °Cであり、 より好ましくは 4 0 °Cから 6 0 °Cの範囲が適当である。
また、 本発明における熟成は、 5—アルケン酸および/または 6—アルケン酸 の量、 装置、 攪拌効果、 温度等により異なるが、 熟成され過ぎないように官能評 価を行ないながら行ない、 通常数時間から数十時間の範囲で行うことが望ましい。 さらにこのようにして得られた熟成品は、 その後通常行なわれるような室温下で の熟成を継続することにより、 より一層ミルク感の増強された優れた香料素材を 得ることができる。
熟成されすぎると低級アルデヒ ドの含量が高くなりアルデヒ ド臭が強くミルク 感が損なわれてくる。
本発明の 5—アルケン酸および/または 6—アルケン酸と、 低級脂肪族ァルデ ヒ ドの混合物、 もしくはさらに δ—ラクトンおよび/または γ—ラクトンとの混合 物からなる香料組成物は、 使用目的により多少異なるが、 被添加物に対して、 含 有量が通常、 0. 1ないし 50重量%の範囲で使用することが好ましい。
本発明の香料組成物は、 香料素材として通常使用される分野で適用できるが、 乳製品用香料素材、 特にミルク様香気が求められる基礎ミルクフレーバー、 基礎 クリームフレーバー、 さらには加熱工程を経るクッキー、 キャンディーおよびビ スケット等にも好適に用いられる。
実施例
以下、 本発明について実施例を挙げて詳しく説明するが、 本発明はこれらによ り制限されるものではない。
(参考例 1) 5—ノネン酸の製法
a) 2—ブチルチオシクロペンタノンの合成
無水エタノール (600m l ) に金属ナトリウム (1 3. 8 g) とブチルメル カプタン (64. 8 g) を加え、 これに 2—クロロシクロペンタノン (7 1. 1 g) の無水エタノール (600m l ) 溶液を滴下して、 低温下ー晚放置した。 次 に、 ェタノールを回収しエーテルに溶かし酢酸水溶液で中和し溶媒を留去しこれ を蒸留すると、 2—ブチルチオシクロペンタノンが 90 g得られた。
b) 2—ブチルスルホニルシクロペンタノンの合成
2—ブチルチオシクロペンタノン (88 g) に、 30%過剰のモノ過フタル酸 のエーテル溶液を 0°Cで反応させた。 反応後、 過剰のモノ過フタル酸は亜硫酸ナ
トリウムで処理した後洗浄して溶媒を留去し、 これを蒸留すると、 2 -プチルスル ホニルシク口ペンタノンが 78 g得られた。
c) 5—ブロモー 5—ブチルスルホニルペンタン酸の合成
2—ブチルスルホニルシクロペンタノン (10. 2 g) に、 60°C下水素化ナ トリウム (0. 055mo l) のベンゼン溶液を滴下した。 水素の発生が止まる と 0°Cで臭素 (8. 8 g) を滴下し、 0°Cで 30分撹拌した。 次に、 2N水酸化 カリウム (1 20m l) を 0°Cで 30分処理した。 水相を 1 2%HC 1で中和し エーテルで抽出後洗浄して溶媒を留去し酢酸ェチルとシクロへキサンで再結する と、 5—ブロモ— 5—プチルスルホニルペンタン酸が 8. 6 g得られた。
d) 5—ノネン酸の合成
5—プロモー 5—プチルスルホニルペンタン酸 (6 g) に、 2 N水酸化力リウ ム (60m l ) を添加し 100°Cで 2時間反応させた。 次に、 0°Cまで冷却し 1 2%HC 1で中和しエーテルで抽出後洗浄して溶媒を留去し、 これを蒸留すると 5—ノネン酸が 2 g得られた。
(参考例 2) 6—デセン酸の製法
参考例 1において使用した 2 _クロロシクロペンタノンに代え、 2—クロロシ クロへキサノンを用いて、 以下、 参考例 1と同様に行なうことにより、 6—デセ ン酸を得た。
(参考例 3) 5—デセン酸および 6—デセン酸の製法
e) 6—ォキソデカン酸ェチルの合成
活性亜鉛-銅触媒 (1 1. 5 g) 、 酢酸プチル (4 g) 、 トルエン (5 g) 、 ョ ゥ化ブチル ( 1 5 g) およびョゥ素 (3mg) の混合物を 1 10〜 120°Cで 2 時間加温し、 これに 0°Cでアジピン酸ェチルクロリ ド (15. 7 g) を滴下し反 応を行なった。 反応終了後、 氷水を加え希硫酸で分解し油層をエーテルで抽出し 重ソゥ水洗、 水洗、 乾燥を行ない溶媒を留去して、 これを蒸留すると 6—ォキソ デカン酸ェチルが 8. l g得られた。
f ) 6—ォキソデカン酸の合成
6—ォキソデカン酸ェチル 4 gを、 常法に従ってケン化しエタノールと石油ェ 一テルで再結すると、 6—ォキソデカン酸が 2. 7 g得られた。
g) 6—ヒ ドロキシデカン酸の合成
6—ォキソデカン酸 (1. 86 g) 、 酸化白金 (0. 5 g) 、 氷酢酸 (30m 1 ) の混合物に水素 198. 2m 1を 35時間で吸収させた。 濾過して氷酢酸を 留去してエタノールと水で再結すると、 6—ヒドロキシデカン酸が 1. 7 g得ら れた。
h) 6—ブロモデカン酸メチルの合成
6—ヒドロキシデカン酸を常法によりメチルエステル化した 6—ヒドロキシデ 力ン酸メチル ( 2. 3 g ) と臭化水素水 (28m l ) を、 閉管内で 105〜 1 1 0°Cで 6時間撹拌した後、 エーテルで抽出し重ソゥ水に移してジァゾメタンを作 用させ、 洗浄、 乾燥後、 溶媒を留去して、 これを蒸留すると、 6 _ブロモデカン 酸メチルが 0. 95 g得られた。
i ) 5 _デセン酸および 6—デセン酸の合成
6—ブロモデカン酸メチル (1. 2 g) とキノリン (1. 2 g) を混和し 24 0°Cで 5分間反応させた。 反応終了後、 エーテルで抽出し希塩酸で洗浄して水洗、 乾燥後、 溶媒を留去して蒸留すると、 5 _および 6—デセン酸メチルの混合物が 3 1 Omg得られた。 これを常法により加水分解することにより 5—デセン酸お よび 6—デセン酸 (lZl) 27 Omgを得た。
(実施例 1 )
(A) 5—デセン酸 (トランス シス =85 15) および 6—デセン酸 (ト ランス Zシス =85/15) の混合物 (重量比 lZl) と、 (B) (A) を 50 °C24時間熟成したもの (0. 03重量部のプロピオンアルデヒ ド、 ブチルアル デヒ ド、 ペンチルアルデヒ ド、 へキシルアルデヒ ドの生成 (重量比 1Z4/4 1) が確認された) を用意した。 これらを下記の処方で示される基礎ミルクフレ 一バー 990重量部に対し 10重量部ずつ添加した組成物を各々調製した。
各々の組成物を 10名のパネラーで官能評価したところ、 全員が一致して (A) を添加した組成物よりも (B) を添カ卩した組成物の方がミルクらしさが強 く感じられて良しと評価した。
<基礎ミルクフレーバーの処方 (重量部) >
ド 0.1
ジァセチノレ 2.0
ブチルブチレート 2.5
ァセトイン 15.0
酪酸 0.4
カプリル酸 20.0
マノレトーノレ 5.0
y -ォクタラク トン 10.0
δ -デカラクトン 15.0
5 -ドデカラクトン 20.0
グリセリン 200.0
ェチノレアノレコ一ノレ 700.0
990.0
(実施例 2)
(Α) 5—デセン酸および 6—デセン酸 (重量比 lZl、 トランス/シス =9 /1) の混合物と、 (Β) 5—デセン酸および 6—デセン酸 (重量比 lZl、 ト ランス シス = 9/1) と δ—デカラクトンの重量比 85/15の混合物と、
(C) 前記 (Β) にさらにブチルアルデヒ ドとペンチルアルデヒ ドの混合物 (重 量比 lZl) を 0. 03重量%添加した 3種類の混合物を用意した。 これら 3種 類の混合物を 10名のパネラーで官能評価したところ、 全員が一致して (A) よ り (B) 、 (B) より (C) の方がミルクらしさが強く感じられて良しとした。
(実施例 3 )
実施例 2において、 (C) だけを 5—デセン酸および 6—デセン酸 (重量比 1 /1、 トランス/シス =9 1) と δ—デカラク トンの重量比 85/1 5の混合 物 (Β) の 50°Cで 24時間加熱攪拌した熟成品に変えて、 実施例 2と同様に 3 種類の混合物を 10名のパネラーで官能評価したところ、 実施例 2と同じ結果が 得られた。
(実施例 4)
(A) 6—ドデセン酸 (トランス/シス =8/2) と、 (B) 6—ドデセン酸 (トランス シス =8Z2) と δ -ドデカラク トンおよび γ -ドデカラク トン (重量比 9/1) の重量比 8/2の混合物と、 (C) 前記 (Β) に、 さらにプロ ピオンアルデヒ ド、 ブチルアルデヒ ド、 ペンチルアルデヒ ド、 へキシルアルデヒ ドの混合物 (重量比 1ノ4 4 1) を 0. 05重量%添加した、 3種類の混合 物を用意した。
これら 3種類の混合物を 10名のパネラーで官能評価したところ、 全員が一致 して (Α) より (Β) 、 (Β) より (C) の方が甘くミルクらしさが感じられて 良しとした。
(実施例 5 )
(Α) 5_ノネン酸および 6_ノネン酸 (重量比 1/1、 トランス Ζシス =9 /1) の混合物と、 (Β) 5 _ノネン酸および 6—ノネン酸 (重量比 1/1、 ト ランス Ζシス =9/1) と δ-デカラクトンおよび δ-ドデカラク トン (重量比 2 /8) の重量比 1/1の混合物と、 (C) 前記 (Β) に、 さらにブチルアルデヒ ドとペンチルアルデヒ ドの混合物 (重量比 1 1) を 0. 04重量%添加した、 3種類の混合物を用意した。
これらを 10名のパネラーで官能評価したところ、 全員が一致して (Α) より (Β) 、 (Β) より (C) の方がクリーミーさが強く感じられて良しとした。
(実施例 6)
5—デセン酸 (トランス Ζシス =85/1 5) および 6—デセン酸 (トランス Ζシス =85/ 15) の混合物 (重量比 1ノ 1) を 50°Cで 24時間攪拌を行な レ、、 加熱 (熟成) 前後を 10名のパネラーで官能評価したところ、 全員が一致し て加熱 (熟成) した方がミルク感が強く感じられて良しとした。 また加熱 (熟 成) 品を分析した結果、 0. 04重量0 /0のプロピオンアルデヒ ド、 ブチルアルデ ヒ ド、 ペンチルアルデヒ ド、 へキシルアルデヒ ドの生成 (重量比 1Z4Z4 1) が確認された。
(実施例 7 )
実施例 6に記載した 5—デセン酸 (トランス シス =85/15) および 6— デセン酸 (トランス/シス =85 1 5) の混合物 (重量比 lZl) を 50°Cで
2 4時間攪拌を行ない、 加熱 (熟成) 前後のサンプルを用意した。 下記処方の基 礎バターフレーバーに 9 9 0重量部に対し、 加熱 (熟成) 前後のサンプル各 1 0 重量部ずつ加えた組成物を各々 1 0名のパネラーで官能評価したところ、 全員が 一致して加熱 (熟成) したサンプルを添加した方がバターらしさが強調され天然 らしさがあるとして良しとした。
<基礎バターフレーバーの処方 (重量部) >
ェチノレアセテート 2
ァセトイン 15
ジァセチノレ 7
2—ヘプタノン 4
2—ノナノン 10
2—ゥンデカノン 4
酪酸 40
2—トリデカノン 6
カプロン酸 18
δ -オタタラク トン 3
カプリル酸 25
δ -デカラク トン 10
δ -ゥンデカラク トン 5
力プリン酸 6
δ -ドデカラク トン 35
精製植物油 800
990
産業上の利用可能性
本発明によれば、 5—アルケン酸および/または 6—アルケン酸に少量の低級 脂肪族アルデヒ ドが混合されることにより、 よりマイルドで天然感あふれる、 ミ ルク様香気の香料組成物が得られる。 また、 これらにラタ トン類を配合すること により、 一層ミルク感を引き立てることができる。 さらに少量の低級脂肪族アル
デヒドの混合は熟成により調製することが可能である。
本発明の香料組成物は、 乳製品用香料素材、 特にミルク様香気が求められる基 礎ミルクフレーバーや基礎クリームフレーバーとして好適であり、 さらには加熱 工程を経るクッキー、 キャンディー、 ビスケット等にも好適に用いられる。