JP2007161655A - 不飽和脂肪酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
安価で入手が容易なδ−デカラクトンを原料にして、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】
安価で入手が容易なδ−デカラクトンを原料にして、酸触媒の存在化に加熱反応により6−デセン酸を製造する。好ましくは、酸触媒として活性白土を使用し、100〜300℃の条件下で反応を行う。
【選択図】 なし
安価で入手が容易なδ−デカラクトンを原料にして、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】
安価で入手が容易なδ−デカラクトンを原料にして、酸触媒の存在化に加熱反応により6−デセン酸を製造する。好ましくは、酸触媒として活性白土を使用し、100〜300℃の条件下で反応を行う。
【選択図】 なし
Description
本発明は、6−デセン酸の新規な製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、δ−デカラクトンを活性白土の存在化、高温で反応させ6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物の製造方法に関するものである。
不飽和脂肪酸類は香料素材、とりわけ食品香料の素材として幅広い利用が期待される化合物である。たとえば、5−アルケン酸の香料素材として有用性は特許文献1に記載されており、また、トランス−6−アルケン酸の香料素材としての有用性は特許文献2に記載されている。
不飽和脂肪酸類の製造方法は、従来よりいくつか知られている。たとえば、特許文献3には、分子内にエステル結合を有するホスホニウム塩とアルデヒドとのWittig反応の後加水分解することによる不飽和脂肪酸の製造法が開示されている。また、非特許文献1には、α−ブロモ−α−スルホニルシクラノンを塩基で処理することによる不飽和脂肪酸の製造法が開示されており、非特許文献2には、6−ヒドロキシアルカン酸から臭素化、エステル化、脱臭化水素、加水分解を経て5および6−アルケン酸を製造する方法が開示されている。
しかし、これらの方法には、高価な装置や資材を必要としたり、原料の調製、または目的性生物までの行程が長いという欠点を有している。また、特許文献4には、ε−ラクトンを酸触媒の存在下に加熱して、5および6−アルケン酸を、δ−ラクトンを酸触媒の存在下に加熱し4および5−アルケン酸を製造する方法が開示されているが、6−アルケン酸を製造する原料とされるε−ラクトンは一般に入手が困難であった。
特開昭58−96014号公報
特公平1−40877号公報
特公昭53−46823号公報
特開昭59−116247号公報
Bull.Soc.Chim.France,1964(4),723
薬学雑誌,75,606(1955)
本発明の目的は、香料素材とりわけ食品用香料の素材として幅広い利用が期待される6−デセン酸の新規な製造方法に関するものである。すなわち、安価で入手が容易なδ−デカラクトンを原料にして、酸触媒の存在化、高温で反応させ6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、入手容易な原料を用いて短行程で経済的かつ容易に6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物を製造しうる方法を確立するために鋭意検討した結果、効果の顕著な本発明に到達した。
すなわち、本発明の6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物の製造方法は、δ−デカラクトンと酸触媒の存在下に反応することを特徴とする方法である。
本発明は、香料素材とりわけ食品用香料の素材として幅広い利用が期待される6−デセン酸の新規な製造方法に関するものであり、安価で入手が容易なδ−デカラクトンを原料にして、活性白土の存在化、高温で反応させ6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物を製造する方法である。
本発明は、一般式(1)
で示されるδ−デカラクトンを酸触媒の存在下に加熱することにより一般式(2)
(破線は考えられる幾何異性体のどちらか一方もしくはそれらの混合体である事を示す)で示される6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物の製造方法を提供するものである。
で示されるδ−デカラクトンを酸触媒の存在下に加熱することにより一般式(2)
(破線は考えられる幾何異性体のどちらか一方もしくはそれらの混合体である事を示す)で示される6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物の製造方法を提供するものである。
本発明で用いる酸触媒は、水素イオンを放出するものであれば本質的に構わないないが、安価で入手が容易であることから、活性白土、無水硫酸、無水リン酸、無水塩酸などが好ましく、特に安全に取り扱うことが可能であり、さらに反応後の分離が容易であることから活性白土を使用することが特に好ましい。
本発明で用いる活性白土は化学大辞典(共立出版)に記載の活性白土、すなわち酸処理を施して活性を強めた白土をいい、天然の酸性白土またはこれに類似の粘土を常温で乾燥させて粉末とし、これを常圧または加圧のもとで90℃以上の温度で希酸の適当量で加熱し、加熱後にろ過、洗浄して120〜200℃で乾燥させたものであれば本質的にはどのようなものを用いても構わない。粉状品、粒状品いずれでも構わない。
本発明における活性白土の使用量はδ−デカラクトンに対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。活性白土の使用量はδ−デカラクトンに対して多いと、反応に要する時間を短くすることができるが、多すぎると反応液の攪拌が困難になったり、廃棄物量が多くなったりする。また、活性白土の使用量はδ−デカラクトンに対して少ないと、反応に要する時間が長くなり、転換率が低下することが考えられる。
反応溶媒は特に必要ではないが用いてもよい。溶媒を使用する場合は、不活性な溶媒が使用される。溶媒は沸点が大気圧下で100℃以上のものが好ましく、具体的には、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン、p−サイメン等の芳香族炭化水素、メチルシクロペンチルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ペンチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、フェニルエーテル、1,4−ジオキサンの如きエーテル化合物が挙げられる。
反応温度は100〜300℃、好ましくは120〜250℃、より好ましくは150〜200℃である。反応温度が高いと反応に要する時間を短くすることができるが、δ−デカラクトンの沸点よりも高くするためには特殊な反応装置を使用する必要があったり、取り扱いが困難になり安全性も問題となる。また、反応温度が低いと反応に要する時間が長くなり、転換率が低下することが考えられる。
本発明においては、前記反応の後、活性白土が存在したままで、公知の方法により蒸留することもできる。また、反応後に濾過により活性白土を除去してから、公知の方法により蒸留またはシリカゲルカラム精製することもでき、アルカリ水溶液で反応生成物を有機酸塩として、油水分離し、水相を酸性化して有機酸塩を遊離の有機酸にした後に、公知の方法により蒸留やシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することもできる。
本発明において、反応生成物の精製工程で使用されるアルカリ水溶液は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物の水溶液などを使用することができるが、好ましくはアルカリ金属水酸化物水溶液が使用される。本発明においてアルカリ金属水酸化物の濃度は、好ましくは1〜40%、より好ましくは3〜30%、さらにより好ましくは5〜20%である。
本発明において、油水分離後の水相は、酸を添加して酸性化される。本発明で使用される酸は特に限定はされないが、好ましくは鉱酸が使用され、より好ましくは硫酸、塩酸が使用される。
本発明で得られる6−デセン酸は、6−デセン酸と副生成物である不飽和脂肪酸類を含有する不飽和脂肪酸組成物として使用してもよく、さらに未反応のδ−デカラクトンを含有する組成物の状態で、そのまま使用することもできる。
また、本発明の6−デセン酸または6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸組成物はエステル化して使用することもできる。具体的には、たとえば本発明の6−デセン酸または6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸組成物とn−ブタノールを硫酸の存在下加熱反応して本発明の6−デセン酸または6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸組成物のブチルエステルとすることもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(実施例1)6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物
フラスコにδ−デカラクトン(100.0g)、活性白土(2.0g)を仕込んだ。内温を170℃に昇温後、5時間反応し25℃に冷却した。この反応液をろ紙で濾過し活性白土を除去し、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物オイルを94.9g得た。このオイルのGC−MS分析でトランス−6−デセン酸はトランス−4−デセン酸と合わせて3.9%、シス−6−デセン酸はシス−4−デセン酸と合わせて1.4%、トランス−5−デセン酸6.3%、シス−5−デセン酸3.3%、δ−デカラクトン81.8%、γ−デカラクトン1.9%であった。この得られたオイル2.0gをシリカゲル(メルク社製art.9385)カラムクロマトグラフィー(トルエン−酢酸エチル=10/1(v/v))で精製し、デセン酸の混合物18.5mgを得た。この混合物のGC−MS分析でトランス−6−デセン酸はトランス−4−デセン酸と合わせて20.2%、シス−6−デセン酸はシス−4−デセン酸と合わせて6.8%、トランス−5−デセン酸30.1%、シス−5−デセン酸17.4%、δ−デカラクトン0.5%であった。
フラスコにδ−デカラクトン(100.0g)、活性白土(2.0g)を仕込んだ。内温を170℃に昇温後、5時間反応し25℃に冷却した。この反応液をろ紙で濾過し活性白土を除去し、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物オイルを94.9g得た。このオイルのGC−MS分析でトランス−6−デセン酸はトランス−4−デセン酸と合わせて3.9%、シス−6−デセン酸はシス−4−デセン酸と合わせて1.4%、トランス−5−デセン酸6.3%、シス−5−デセン酸3.3%、δ−デカラクトン81.8%、γ−デカラクトン1.9%であった。この得られたオイル2.0gをシリカゲル(メルク社製art.9385)カラムクロマトグラフィー(トルエン−酢酸エチル=10/1(v/v))で精製し、デセン酸の混合物18.5mgを得た。この混合物のGC−MS分析でトランス−6−デセン酸はトランス−4−デセン酸と合わせて20.2%、シス−6−デセン酸はシス−4−デセン酸と合わせて6.8%、トランス−5−デセン酸30.1%、シス−5−デセン酸17.4%、δ−デカラクトン0.5%であった。
(実施例2)6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物
フラスコにδ−デカラクトン(100.0g)、活性白土(10.0g)を仕込んだ。内温を150℃に昇温後、5時間反応し25℃に冷却した。この反応液を単蒸留したところ122〜128℃/267Paの留分が94g得られた。これをGC−MS分析したところ、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物であり、一部δ−デカラクトン、γ−デカラクトンが含まれていた。
フラスコにδ−デカラクトン(100.0g)、活性白土(10.0g)を仕込んだ。内温を150℃に昇温後、5時間反応し25℃に冷却した。この反応液を単蒸留したところ122〜128℃/267Paの留分が94g得られた。これをGC−MS分析したところ、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物であり、一部δ−デカラクトン、γ−デカラクトンが含まれていた。
(実施例3)6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物
フラスコにδ−デカラクトン(100.0g)、活性白土(0.5g)を仕込んだ。内温を250℃に昇温後、3時間反応し25℃に冷却した。この反応液をろ紙で濾過し活性白土を除去し、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物オイルを97.5g得た。この得られたオイルにヘキサンを加え、5%水酸化ナトリウム水で抽出した。静置後水相を分液し、硫酸水で酸バックした後、エーテルで抽出した。得られたエーテル相をロータリーエバポレーターでエーテルを除去すると、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物85.4gを得た。これをGC−MS分析したところ、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物であり、わずかにδ−デカラクトン、γ−デカラクトンが含まれていた。
フラスコにδ−デカラクトン(100.0g)、活性白土(0.5g)を仕込んだ。内温を250℃に昇温後、3時間反応し25℃に冷却した。この反応液をろ紙で濾過し活性白土を除去し、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物オイルを97.5g得た。この得られたオイルにヘキサンを加え、5%水酸化ナトリウム水で抽出した。静置後水相を分液し、硫酸水で酸バックした後、エーテルで抽出した。得られたエーテル相をロータリーエバポレーターでエーテルを除去すると、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物85.4gを得た。これをGC−MS分析したところ、6−デセン酸を含有する不飽和脂肪酸混合物であり、わずかにδ−デカラクトン、γ−デカラクトンが含まれていた。
本発明は、6−デセン酸または6−デセン酸を含有する香料組成物の製造に広く利用することが出来る。本発明によって製造される6−デセン酸または6−デセン酸を含有する香料組成物は、化粧品、身体洗浄剤、毛髪化粧料、各種皮膚外用剤などの香粧品用香料や乳飲料、乳性飲料、清涼飲料、菓子、冷菓、調味食品などの食品用香料に好適に使用される。
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