明細書 メンブレンスィツチ及びその製造方法 技術分野
本発明は、 自動車積載用ホーン用スィツチの改良に関するものである 詳細には、 本発明は、 誤動作がなく、 動作力の変化が少ない耐久性の 優れた自動車積載ホーン用メンブレンスィツチを提供するものである。 背景技術
従来、 自動車積載用ホーン用スィッチ、 特に、 メンブレンスイッチは 、 基本的には、 図 4に示されるように、 絶縁フィルム 1 3を設けた一対 の極板 1 2 (例えばポリエステルフィルムにアルミニウム等の導電性金 属を蒸着したものや銅箔) の間に一定間隔 1 4で介在させたスぺーサー (例えばポリエステルフィルム) 1 1 とから構成され、 この極板 1 2に リ一ド線等の接続端子 1 5が接続されており、 車体側に電気的に接続さ れている。
このようなメンブレンスイッチには、 具体的には(0 スぺ一サ一が発 泡体であるもの (米国特許第 5, 2 6 5 , 9 04号明細書)、 (ii)スぺ ーサ一がアウターカバーの表面に設けられているもの (米国特許第 4 , 8 8 2 , 4 6 0号明細書)、 (iii) 図 5に示されるようにスぺ一サ一が 極板 1 2上に熱硬化性樹脂インクで印刷された突起物 (ドッ ト) 1 6で あるもの等が知られている。
図 4はメンブレンスィツチの代表的構造を示す断面図である。
図 5は従来のメンブレンスィツチを構成するスぺーサ一の構造を説明 する模式図である。
図 4〜 5において、 1 1はスぺ一サ一、 1 2は極板、 1 3は絶縁フィ ルム (基板)、 1 4は間隙、 1 5は接続端子、 1 6は印刷ドッ トスぺ一
サ一である。
( i ) スぺーサ一が発泡体であると、 発泡体は繰り返し荷重をかけるこ とにより、 次第に高さが低くなり動作力が変化する恐れがあり、 耐久性 に難がある。
( i i )スぺーサ一がァゥ夕一カバ一の表面に設けられていると、 スぺー サ一となる突起物の間隔が大きいために、 押す場所によって動作力が異 なる。
( i i i ) スぺ一サ一が印刷された突起物である場合には、
(A ) ドッ ト物の高さにバラツキが大きいために、 動作力にバラツキ が生じる。
( B )印刷ドッ トの高さはあまり大きくできないので、 スィッチを離 したつもりでも導通するという誤作動が起きやすい。
( C )印刷ドッ トの作成に加えて、 電極の周囲に粘結剤層を設けてこ れにより 2枚の電極をはりあわせる必要があり、 製造工程が複雑となる 。 発明の開示
本発明者は、 上記の課題について種々検討した結果、 メンブレンスィ ツチにおいて、 スぺーサ一の厚さとスぺーサ一の貫通孔の大きさを特定 のものとして動作力を所定の範囲の大きさとすることにより、 誤動作が なく、 動作力の変化が少ない耐久性の優れたメンブレンスィツチを提供 できることを見出し、 本発明を完成するに至った。
即ち、 本発明は :
① 一対の向かい合った導電性の極板とこれらを隔てるためのスぺ一 サ一とからなるメンブレンスィツチにおいて、 曲率半径 5 mmの半球状 の先端を有する丸棒でメンブレンスィツチを押さえ、 該スィツチが作動 する動作力が 0 . 0 3〜 0 . 2 k gであるメンブレンスイッチを提供す る。 また、
② スぺ一サ一がフィルム状であって、 そのフィルムが貫通孔を有し
、 且つ貫通孔の開口率が 5 0 %以上である点にも特徴を有する。 また、
③ スぺーサ一の厚さとスぺーサ一の貫通孔の大きさを所定の値にす ることにより、 動作力を 0. 0 3〜 0. 2 k gとする①又は②記載のメ ンブレンスイッチの製造方法を提供する。 また、
④ スぺーサ一の厚さが 2 0〜 1 5 0 mで、 且つスぺ一サ一の貫通 孔の 1つの大きさが 2〜 1 0 mm四方である点にも特徵を有する。 また
⑤ 所定の厚さの絶縁フィルムに所定の貫通孔を開けたものをスぺー サ一とする点にも特徴を有する。
以下、 本発明を図面に基いて具体的に説明する。
本発明は、 基本的に、 一対の向かい合った導電性の極板とこれらを隔 てるためのスぺ一サ一とからなるメンブレンスイッチにおいて、 曲率半 径 5 mmの半球状の先端を有する丸棒でメンブレンスイッチを押さえ、 該スィッチが作動する動作力が 0. 0 3〜 0. 2 k g、 好ましくは 0. 0 5〜 0. 1 5 k gであるメンブレンスイッチである。
スぺーサ一としては、 絶縁フィルムに所定の貫通孔を開けたものを用 いることが好ましい。
この場合、 動作力が 0. 0 3 k g未満ではスィッチを離したつもりで も導通するという誤動作が生じやすく、 また 0. 2 k gを越えると遂に スィツチを押したつもりでも導通しないという誤動作が生じやすくなり 好ましくない。
絶縁フィルムの貫通孔以外の部分がスぺ一サ一となり、 メンブレンス イッチを押していないときには、 このスぺ一サ一により一対の向かい合 つた導電性の極板同士が絶縁され、 ホーンを鳴らすために、 メンブレン スィッチを押さえた時に、 的確に導通できることが好ましい。 しかし、 貫通孔は特にその形状は制限されず、' 円形、 楕円形、 多角形等が適宜使 用できる。
本発明においては、 スぺーサ一の厚みと貫通孔の大きさを所定の値と することにより、 動作力が 0. 0 3〜 0. 2 k gとなり、 誤作動がなく
、 動作力の変化が少ない耐久性の優れたメンブレンスィツチが得られる のである。
従って、 動作力が 0. 0 3〜 0. 2 k gとするために、 スぺーサ一の 厚みは 2 0〜 1 5 0 /zm、 好ましくは 2 5〜 1 2 5 mであり、 且つス ぺーサ一の貫通孔の大きさが、 例えば正方形の場合に 2〜 1 0 mm四方
、 好ましくは 2. 5〜 8 mm四方であることが好ましい。
スぺーサ一中の貫通孔の開口率は大きい程、 動作力を小さくできる。 しかしながら、 スぺーサ一は極板間の絶縁を保つ機能も必要であるの で、 貫通孔以外の部分も或る程度必要である。 従って、 開口率は 5 0 % 以上 8 0 %以下が好ましい。 また、 貫通孔のピッチ間隔は通常 0. 5〜
2. 0mm、 好ましくは 1. 0〜 1. 5mmである。 図面の簡単な説明
図 1 一 (A)は実施例 1のメンブレンスイッチの断面図であり、 図 1 一 (B)は実施例 1のスぺーサ一の構造を示す模式図である。
図 2は実施例 6のメンブレンスィツチの断面図である。
図 3— (A)は実施例 7のスぺーサ一の構造を示す模式図であり、 図
3一 (B)は実施例 7のメンブレンスィツチの断面図である。
図 1〜 3において、 1はスぺ一サ一、 2は銅箔、 3は基材フィルム、 4は接着剤、 5は貫通孔、 6はホッ トメルト接着剤、 7は絶縁フィルム
、 8はのりしろである。
図 4はメンブレンスィツチの代表的構造を示す断面図である。
図 5は従来のメンブレンスィツチを構成するスぺーサ一の構造を説明 する模式図である。
図 4〜 5において、 1 1はスぺ一サ一、 1 2は極板、 1 3は絶縁フィ ルム (基板)、 1 4は間隙、 1 5は接続端子、 1 6は印刷ドッ トスぺ一 サ一である。 発明を実施するための最良の形態
本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、 これらは本発明の範 囲を制限しない。
(実施の形態 1 )
図 1に示されるように、 1 2 5 mの P E Tフィルム (東レ製 「ルミ ラー」) に 5 0 mのポリオレフイン系ホッ トメルト接着剤 6を塗布し た基材 ( 1 0 0 mmX 5 0 mm) 3に、 3 5 mの銅箔 ( 1 0 0 mm X 5 0 mm) 2を熱圧着し基板を作製した。 5 0 /x mの P E Tフィルムに 格子状の貫通孔 ( 5 mm X 5 mm) 5をピッチ巾 6 mmで開けたシート ( 9 0 mmx 4 0 mm) をスぺ一サー 1 として 2枚の基板を銅箔側を内 側にして挟み、 更に接着性フィルム (日東電工社製 「No.5911 」) 4を スぺ—サ— 1の周囲に置いて熱圧着しメンブレンスィツチを作製した。 メンブレンスィツチの表面に曲率半径 5 mmの半球面状の先端を有す る押し込み棒を当て、 この押し込み棒に荷重をかけ、 スィッチが作動し た時の荷重を動作力として測定した。
また、 スィツチの耐久性として一定の力 (通常 1 0 0 g / c m2 ) で 1万回押した時、 誤動作がなく且つ動作力の変化が少ない (ほぼ 2 0 % 以内) ものを良好とした。
その結果を表 1 に示した。 表 1
(実施の形態 2 )
実施例 1の貫通孔の大きさを 2 · 5 mmx 2. 5 mmとした点を除い て、 実施例 1 と同様の操作をした。 その結果を表 1 に示した。
(実施の形態 3 )
実施例 1の貫通孔の大きさを 8 mmX 8 mmとした点を除いて、 実施 例 1 と同様の操作をした。 その結果を表 1に示した。
(実施の形態 4)
実施例 1の P E Tフィルムの厚さを 2 5 xmとした点を除いて、 実施 例 1 と同様の操作をした。 その結果を表 1 に示した。
(実施の形態 5)
実施例 1の P E Tフィルムの厚さを 1 2 5 mとした点を除いて、 実 施例 1 と同様の操作をした。 その結果を表 1に示した。
(実施の形態 6 )
図 2に示されるように、 実施例 1の接着剤を塗布した P ETフィルム 基材 ( 1 0 0 mmX 5 0mm) 3に 3 5 /zm銅箔 ( 9 0 mmX 4 0mm ) 2を熱圧着し、 基板を作製した。
実施例 1 と同じスぺ一サー 1 を銅箔上に置いて 2枚の極板 2を熱圧着 した。 その結果を表 1 に示した。
(実施の形態 7 )
図 3に示されるように、 実施例 6 と同じ基板に、 5 0 m厚さの P E Tフィルム ( 1 0 0 mmX 5 0 mm) ののりしろ 8を避け、 中央付近 ( 9 0 mm X 4 0 mm) のエリアに 5 mmX 5mmの貫通孔をピッチ 6 m mで開けたシート ( 9 0 mmX 4 0 mm) をスぺ一サ一として挟み熱圧 着した。 その結果を表 1に示した。
(比較例 1 )
実施例 1の基板の銅箔にウレタンァクリ レート系 UV硬化型インクで ドッ ト状突起物を印刷し、 次に銅箔の周囲に粘結剤層を設け、 これによ り印刷を施していないもう 1つの基板と熱圧着で貼り合わせた。 その 結果得られたものは、 電極間隔が十分に取れず、 メンブレンスイッチを 離した時に直ぐにスィッチが切れないという不都合があった。
(比較例 2 )
実施例 1の P ETフィルムの厚さを 1 2 zmとし、 貫通孔の大きさを 2. 5 mmx 2. 5 mmにした点を除いて、 実施例 1 と同様の操作をし た。
その結果得られたものは、 電極間隔が十分でなく、 メンブレンスイツ チを離した時に直ぐにスィツチが切れないという不都合があった。
(比較例 3)
実施例 1の P ETフィルムの厚さを 1 8 8 ^mとし、 貫通孔の大きさ を 8 mmx 8 mmにした点を除いて、 実施例 1 と同様の操作をした。 その結果得られたものは、 動作力が 0. 3 5 k gと大きく、 メンブレ ンスィッチを押した積もりでも導通しない誤動作が生じるという問題が あった。
(比較例 4)
実施例 1の P E Tフィルムの貫通孔の大きさを 1. 7mmX l . 7m mにした点を除いて、 実施例 1 と同様の操作をした。
その結果得られたものは、 動作力が 0. 2 3 k gと大きく、 メンブレ ンスィッチを押した積もりでも導通しない誤動作が生じるという問題が あった。
(比較例 5)
実施例 1のスぺーサーを 2 0 0 /2 m厚さの発泡ポリウレタンフィルム にした点を除いて、 実施例 1 と同様の操作をした。
その結果得られたものは、 スィッチを押す操作を繰り返す中に、 動作 力が大きく変化し、 耐久性に乏しいという問題があった。
以上の通り、 本発明によると、 誤動作がなく、 動作力の変化が少ない 耐久性の優れたメンブレンスィツチが得られる。