WO1999006740A1

WO1999006740A1 - Vis a billes

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Publication number: WO1999006740A1
Application number: PCT/JP1998/003390
Authority: WO
Inventors: Shigeru Ebina; Ryuji Takeda
Original assignee: Thk Co., Ltd.
Priority date: 1997-07-31
Filing date: 1998-07-30
Publication date: 1999-02-11
Also published as: US6089117A; KR20000068677A; EP0930450A4; EP0930450A1; EP0930450B1; DE69815485T2; KR100373570B1; DE69815485D1

Description

明細書

ボールねじ装置

技術分野

この発明は、ねじ軸とナツト組立体とを多数のボールを介して螺合させて構成され、工作機械や工業用ロボット等のスライド部においてモータ一等の回転運動を直線運動に変換して伝達するボールねじ装置に係り、より詳しくは、ボールの無限軌道を構成するために、ナット部材とボール循環用管状体とを用いるチューブ式ボールねじ装置、又は、ナツト部材とこのナツト部材の両端に取り付けられる一対の側蓋とを用いる側蓋式ボールねじ装置に関する。

背景技術

一般に、ボールねじ装置は、基本的には、外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、内周面に上記ボ — ル転走溝と相対向し、かつ、このボール転走溝と同じリード角の螺旋状の負荷転走溝を有するナツト部材と、これら負荷転走溝とボール転走溝との間に介装されて荷重を負荷しながら転走する多数のボールとで構成されており、そして、上記ナツト部材にボール循環用管状体又は一対の側蓋を取り付けてナツト組体体を構成することにより多数のボールを循環させるための無限軌道が構成されている。

このボールの無限軌道を構成する方法については、従来より幾つかの方法が知られている。

例えば、チューブ式ボールねじ装置については、図 4 0 及び図 4 1 に示すように、ねじ軸 a のボール転走溝 b とナツト部材 c の負荷転走溝 d とが形成する負荷領域の始端と終端との間に、両端部にボール転走溝 b 内まで突出して負荷領域のボール転走溝 b 内を転走してくるボ一ノレ e をすくい上げ、あるいは、この負荷領域のボール転走溝 b 内にボール e を送り込む舌片 g を備えたボールチユーブ（ボール循環用管状体） f を架け渡し、負荷領域の終端を出たボール e をこのボールチューブ f を介して再び負荷領域の始端に循環させるチューブ方式（実開昭 49 - 64， 6 72号公報）等が知られている。

し力、しな力くら、このチューブ式の方法は、ボール e がその無限軌道の負荷領域の終端から無負荷領域に移行する際に、ボールチューブ f の舌片 g に衝突し、これによつて転走するボール e が無負荷領域を形成するボールチュ一ブ f 内にすくい上げられ、再び負荷領域の始端に循環されるようになっている。

また、側蓋式ボールねじ装置については、図 4 2 〜図 4 4 に示すように、ナツト部材 c にはその外周中実部の軸方向に沿ってボール戻し孔 h を穿設し、このナツト部材 c の両端には間座 i を介在させて一対の側蓋 k を取り付け、これら各側蓋 k と間座 i とにより、ねじ軸 a のボ — ル転走溝 b とナツト部材 c の負荷転走溝 d とが形成す - る負荷領域の終端から出てくるボール e の進行方向を傾け、これによつてこの負荷領域の終端を出たボール e をねじ軸 a の外径円筒面上まで誘導し、その後このボール e を上記ナツト部材 c のボール戻し孔 h まで案内する方向転換路 j を形成してボール e の無限軌道を構成した側蓋方式（米国特許第 4， 1 48， 2 26号公報）等が知られている。

し力、しな力くら、この方式も、ボール e がその無限軌道の負荷領域の終端から無負荷領域に移行する際に、負荷領域の終端におけるボール e の進行方向、すなわち負荷転走溝 d のリ一ド角に沿った接線方向から傾いた方向転換路 j の側壁に衝突し、これによつて転走するボール e が無負荷領域を形成する方向転換路 j 内にすくい上げられ、再び負荷領域の始端に循環されるようになっているこのため、これら従来のボーノレねじ装置においては、負荷領域を転走するボールを無負荷領域にすくい上げ、あるいは、この無負荷領域にあるボールを負荷領域に送り込む際に、転走するボールの進行方向を変えるための舌片 g の存在が不可欠であり、このために必然的にボールの円滑な循環運動が損なわれ、結果としてボールねじ装置の均一で安定した回転運動が損なわれたり、寿命が短くなり、また、騒音が発生する原因にもなつている。

更に、実開平 5 - 27， 4 08号公報には、図 4 5 に示すように、ボール循環用パイプ（ボールチューブ f ) を備えたボール e の循環経路 h 内に可撓性を有する帯状リテ一ナ i をこの循環経路 h 全長に亘つて摺動可能に設け、この -帯状リテ一ナ i には多数のボール用ポケット（図示せず）をその全長に亘つて所定の間隔で設け、これらのボ — ル用ポケット内にボール e を回転可能に保持させ、これによって互いに隣接するボール e 同士が接触することがなく、回転トルクムラがなくて動作特性に優れ、循環経路 h 内を円滑に循環移動することができるボールねじ装置が開示されている。

し力、しな力くら、このようなボールねじ装置においては . ボール e の循環経路 h 内に組み込まれた帯状リテ一ナ i に不可避的に大きな捩れと曲げとが発生し、この帯状リテ一ナ i の捩れと曲げとを循環経路 h 内で吸収する必要があり、「循環経路内に組み込んだ帯状リテ一ナにより互いに隣接するボール同士の接触を防止して動作特性に優れたボールねじ装置とする」という考え方としては成立しても、実際には循環経路 h 内で帯状リテ一ナ i の捩れと曲げとをどのようにして吸収するかについて適当な手段がなく、現実に製品として完成するには至っていないのが実情であった。

このように、従来のボールねじ装置においては、ボールの無限軌道を構成する方式の如何にかかわらず、負荷領域を転走するボールを無負荷領域にすくい上げ、あるいは、この無負荷領域にあるボールを負荷領域に送り込む際に、転走するボールの進行方向を変えるための手段が必要になり、このために必然的にボールの円滑な循環運動が損なわれ、結果としてボールねじ装置の均一で安定した回転運動が損なわれたり、寿命が短くなり、また騒音が発生する原因になっていた。

そこで、本発明者らは、この問題を根本的に解決できる手段について鋭意検討した結果、多数のボールを整列状態にかつ転動可能に保持する機能を有する可撓性の連結体を用いてボール連結体を構成し、ボールの無限軌道にはその無負荷領域に上記ボール連結体の連結体を案内する案内溝条を形成し、また、その負荷領域では各ボ一ルで連結体を移動せしめると共に無限軌道の無負荷領域では連結体で各ボールを案内して移動せしめ、上記無負荷領域の少なくとも負荷領域側に近い両端部分にはこの負荷領域を移動するボールの進行方向に沿って連結体を案内する誘導部を形成し、これによつて無限軌道の負荷領域と無負荷領域との間で行なわれるボールの授受を円滑にし、無限軌道内でのボールの円滑な循環運動を達成できることを見出し、本発明を完成させた。

従って、本発明の目的は、ねじ軸と、ボールを介して上記ねじ軸に螺合すると共にボールの無限軌道を有するナツ卜組立体と、このナツト組体体の無限軌道内に組み込まれたボール連結体とで構成され、無限軌道の負荷領域と無負荷領域との間で行なわれるボールの授受を円滑にし、これによつてボールの円滑な循環運動を達成できるボールねじ装置を提供することにある。

また、本発明の他の目的は、ナツト組立体が、ボールの無限軌道の負荷領域を構成する負荷転走溝を有するナット部材と、ボールの無限軌道の無負荷領域を構成する無負荷ボール通路を有するボール循環用管状体とで構成 - されたボールねじ装置であって、無限軌道の負荷領域と無負荷領域との間で行なわれるボールの授受が円滑に行われ、これによつてボールの円滑な循環運動を達成できるチューブ式ボールねじ装置を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、ナツト組立体が、ボールの無限軌道の負荷領域を構成する負荷転走溝と無負荷領域を構成する無負荷ボール通路とを有するナツト部材とこのナット部材の両端に取り付けられてボールの無限軌道の無負荷領域を構成する方向転換路を有する一対の側蓋とで構成されたボールねじ装置であって、無限軌道の負荷領域と無負荷領域との間で行なわれるボールの授受を円滑にし、これによつてボールの円滑な循環運動を達成できる側蓋式ボールねじ装置を提供することにある。

発明の開示

すなわち、本発明は、外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、このねじ軸のボール転走溝と相対向する螺旋状の負荷転走溝からなる負荷領域を有すると共にこの負荷領域の始端と終端を連通連結してボールの無限軌道をなす無負荷領域を有するナツト組立体と、このナツト組立体の無限軌道内を転走する多数のボール及びこれらのボールを整列状態にかつ回転自在に保持する連結体で形成されたボール連結体とを備えたボールねじ装置において、上記ボールの無限軌道にはその無負荷領域に上記ボール連結体の連結体を案内する案内溝条を形成し、また、その負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に無限軌道の無負荷領域では連結体で各ボ一ルを案内して移動せしめ、上記無負荷領域の少なくとも負荷領域側に近い両端部分にはこの負荷領域を移動するボールの進行方向に沿って連結体を案内する誘導部を形成したことを特徴とするボールねじ装置である。そして、本発明は、このようなボーノレねじ装置において、ナツト組立体が、内周面に上記ねじ軸のボール転走溝と相対向する螺旋状の負荷転走溝を有するナツト部材と、このナツト部材に取り付けられ、上記負荷転走溝の始端と終端を連通連結してボールの無限軌道をなす無負荷ボール通路を有するボール循環用管状体とで構成されており、上記無負荷ボール通路からなる無限軌道の無負荷領域には上記ボール連結体の連結体を案内する案内溝条を形成し、上記負荷転走溝からなる無限軌道の負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に無限軌道の無負荷領域では連結体で各ボールを案内して移動せしめ、上記無負荷ボール通路の少なくとも負荷転走溝側にはこの負荷転走溝を移動するボールの進行方向に沿って連結体を案内する誘導部を形成したチューブ式ボールねじ装置である。

また、本発明は、このようなボールねじ装置においてナツト組立体が、内周面に上記ねじ軸のボール転走溝と相対向する螺旋状の負荷転走溝を有すると共に無負荷ボ — ル通路を有するナツト部材と、このナツト部材の両端に取り付けられ、上記負荷転走溝と無負荷ボール通路とを連通連結してボールの無限軌道を形成する方向転換路を有する一対の側蓋とで構成されており、上記方向転換 - 路と無負荷ボール通路とが形成する無限軌道の無負荷領域には上記連結体を案内する案内溝条を形成し、上記負荷転走溝からなる無限軌道の負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に上記無負荷領域では上記連結体で各ボールを案内して移動せしめ、上記各方向転換路の少なくとも負荷転走溝側にはこの負荷転走溝を移動するボールの進行方向に沿って上記連結体を案内する誘導部を形成した側蓋式ボールねじ装置である。

先ず第一に、本発明のチューブ式ボールねじ装置について詳細に説明する。

本発明のチューブ式ボールねじ装置は、その第一の構成としては、外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、内周面に上記ねじ軸のボール転走溝と相対向する螺旋状の負荷転走溝を有するナツト部材と、このナツト部材に取り付けられ、上記負荷転走溝の始端と終端を連通連結してボールの無限軌道をなす無負荷ボール通路を有するボール循環用管状体と、上記無限軌道内を転走する多数のボール及びこれらのボールを整列状態にかつ回転自在に保持する連結体で形成されたボール連結体とで構成されており、上記無負荷ボール通路からなる無限軌道の無負荷領域には上記ボール連結体の連結体を案内する案内溝条を形成し、上記負荷転走溝からなる無限軌道の負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に無限軌道の無負荷領域では連結体で各ボールを案内して移動せしめ、上記無負荷ボール通路の少なくとも負荷転走溝側にはこの負荷転走溝を移動するボールの進行方 - 向に沿って連結体を案内する誘導部を形成した構造となつている。

また、本発明のチューブ式ボールねじ装置は、その第二の構成としては、外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、内周面に上記ねじ軸のボ一ル転走溝と相対向する螺旋状の負荷転走溝を有すると共にこの負荷転走溝の一端から他端へボールを循環させるための無負荷ボール通路を有し、多数のボールを介して上記ねじ軸に螺合するナツト部材と、このナツト部材に取り付けられ一端が上記負荷転走溝の終端に開口すると共に他端が負荷転走溝の始端に開口し、負荷転走溝の終端から出てきたボールを負荷転走溝の始端に送り込んでボールを循環させる無負荷ボール通路を形成するボール循環用管状体と、上記ナツト部材の負荷転走溝とボール循環用管状体の無負荷ボール通路とが形成する無限軌道内を転走する多数のボール及びこれらのボールを互いに鎖状に連結する可撓性の連結体で形成されたボール連結体とで構成されており、上記ボール連結体の連結体を各ボ一ル間に介装される介装部とこれら介装部の間を連通連結する連結部とで構成してこの連結体により多数のボールを整列状態にかつ転動可能に保持せしめ、上記ボール循環用管状体を一対の管ピースとこれら一対の管ピースの間を連通連結するチューブ体とで構成し、上記各管ピースには少なくともその負荷転走溝側にこの負荷転走溝のリード角に沿ってその接線方向に各ボールを誘導する誘導領域を持つ案内孔を設け、これら一対の管ピースの案内孔及びこれらの案内孔の間を連通連結して無負荷ボール通路を形成するチューブ体の連通孔には上記ボール連結体を構成する連結体の連結部が摺動可能に嵌合してこの連結体を案内する案内溝条を形成し、無限軌道の負荷領域を構成する負荷転走溝ではこの負荷転走溝を転走する各ボ一ルにより連結体を移動せしめると共に無限軌道の無負荷領域を構成する無負荷ボール通路ではこの無負荷ボール通路を移動する連結体で各ボールを案内して移動せしめる構造となっている。

このチューブ式ボールねじ装置において、上記ねじ軸の外周面に形成されるボール転走溝については、その断面形状が略々半円のボール転走面を有する、いわゆるサーキユラ一状に形成されても、また、 2 つの略々 1 Z 4 円の円弧状ボール転走面が交わった、いわゆるゴシックアーチ状に形成されていてもよく、そして、その数も 1 条であっても 2 条以上の複数条であってもよい。

また、多数のボールを介して上記ねじ軸に螺合するナット部材については、その内周面に上記ねじ軸のボール転走溝と相対向する螺旋状の負荷転走溝を有するものであり、この負荷転走溝についても、上記ねじ軸のボール転走溝と同様に、その断面形状が略々半円のボール転走面を有する、いわゆるサ一キユラ一状に形成されても、また、 2 つの略々 1 / 4 円の円弧状ボール転走面が交わつた、いわゆるゴシックアーチ状に形成されていてもよく、そして、その数もボール転走溝の数に対応して 1 条であっても 2 条以上の複数条であってもよい。

本発明において、無限軌道の無負荷ボール通路を形成するボール循環用管状体は、一対の管ピースとこれら一対の管ピースの間を連通連結するチューブ体とで構成され、また、上記各管ピースには少なくともその負荷転走溝側にこの負荷転走溝のリード角に沿つてその接線方向に各ボールを誘導する誘導領域を持つ案内孔が設けられ更に、これら一対の管ピースの案内孔及びこれらの案内孔の間を連通連結して無負荷ボール通路を形成するチューブ体の連通孔には上記ボール連結体を構成する連結体の連結部が摺動可能に嵌合してこの連結体を案内する案内溝条が形成されている。

そして、上記一対の管ピースに形成された各案内孔については、好ましくは、ナツト部材の負荷転走溝側の始端からチューブ体の連通孔側の終端にかけて、負荷転走溝側始端における案内溝条の位置が対称になり、力、つ、連通孔側終端における案内溝条の位置が同じになるように、捩れ及び /又は曲げが与えられ、これによってこれら一対の管ピース間を連通連結するチュ — ブ体を容易に形成できるようになっている。

特に好ましくは、一対の管ピースの各案内孔をその全長に亘つて誘導領域に形成すると共にこれら各案内孔の案内溝条の一部又は全部にその位置の捩れを付与し、また、これら一対の管ピース間を連通連結するチュ ― ブ体には、その始端から終端に亘つて案内溝条が同じ位置になるように形成すると共にその始端側及び終端側に曲げ部を形成し、一対の管ピースを粉末金属を用いた焼結体で互いに全く同じ形状に形成し、更に、これら一対の管ピース間を連通連結するチューブ体を互いに全く同じ形状の一対のチューブ片で構成する。このように、ボ一ル循環用管状体を互いに同じ形状の一対の管ピースと互いに同じ形状の一対のチューブ片とで構成することにより . 成形部品の数を少なくすることができる。

更に、各管ピースの形状については、好ましくはその外側輪郭形状を楕円形、四角形、五角形等の非円形状に形成し、また、ナツト部材側にはこの各管ピースの外側輪郭形状に対応する非円形状の嵌合穴を穿設し、この嵌合穴内に管ピースを嵌め込むことによりナツト部材に取り付ける各管ピースの位置決めが行なわれるようにするの力くよい。

また、これら各管ピースについては、その全体が 1 つの部品として成形されていてもよく、また、複数に分割されて形成され、ナツト部材側に穿設された嵌合穴内に嵌合した際に分割された各管ピースが相俟って 1 つの完成した管ピースを形作るようにしてもよい。

なお、一対の管ピースとチューブ体との間を連通連結する方法についても、これら各管ピース及びチューブ体によって形成される無負荷ボール通路やこの無負荷ボ一ル通路に沿って形成される案内溝条が段差なく滑らかに連続して形成されればよく、特に制限されるものではないが、ナツト部材にはその外周面にチューブ体を固定するための取付面を形成すると共にこのナツト部材に穿設する嵌合穴の深さを各管ピースの長さ寸法より深くし、 - また、各管ピースの上面にはチューブ体の端部の位置決めをする位置決め用段差部を形成し、この位置決め用段差部にチューブ体の両端部を位置させてナット部材の取付面に固体金具等の手段で固定するのがよい。なお、一対の管ピースとチューブ体とカヽらなるボーノレ循環用管状体の無負荷ボール通路に付与される捩れ及び

Z又は曲げは、その全てが管ピース側で処理されていてもよいが、管ピース側には捩れのみを付与し、チューブ体側で曲げを付与するようにするのがよい。このように捩れ及び /又は曲げの処理を管ピースとチューブ体とに分散させ、加工性の向上と成形部品の共通化を図り、部品点数を低減して低コスト化を図るのがよい。

そして、ボールの無限軌道内に組み込まれるボール連結体については、各ボ一ノレが互いに衝突しないように連結体で各ボールを鎖状に連結し、かつ、無限軌道の負荷領域ではこの負荷領域を転走する各ボールで連結体を移動せしめると共に無負荷領域ではこの無負荷領域を移動する連結体で各ボールを案内して移動せしめることができるように、少なくとも連結体が各ボールを脱落しないように、かつ、転動可能に保持している必要があり、そのために連結体は各ボール間に介装される介装部とこれら介装部の間を連通連結する連結部とで構成される。

このボール連結体は、両端部を有する連結体で形成された 1 本又は複数本の有端ボール連結体としてボールの無限軌道内に組み込まれてもよいほか、無端の連結体を有する 1 本の無端ボール連結体としてボールの無限軌道内に組み込まれてもよい。

本発明のチューブ式ボールねじ装置によれば、ボール循環用管状体を有するボールねじ装置において、その無限軌道内に連結体で多数のボールを整列状態にかつ転動可能に保持したボール連結体を組み込み、無限軌道の無負荷領域を構成する無負荷ボール通路には連結体を案内する案内溝条を形成し、無限軌道の負荷領域を構成する負荷転走溝では各ボールで連結体を移動せしめると共に無負荷領域では連結体で各ボールを案内して移動せしめ無負荷ボール通路の少なくとも負荷転走溝側にはこの負荷転走溝を移動するボールの進行方向に沿って連結体を案内する誘導部を形成したので、無限軌道の負荷領域と無負荷領域との間で行なわれるボールの授受が極めて円滑になり、これによつてボールの円滑な循環運動を達成することができる。

また、このようなボール循環用管状体を有するチューブ式ボールねじ装置において、その無限軌道内に連結体で多数のボールを整列状態にかつ転動可能に保持したボール連結体を組み込み、無負荷領域を構成するボール循環用管状体を一対の管ピースとこれら一対の管ピースの間を連通連結するチューブ体とで構成し、各管ピースには少なくともその負荷転走溝側にこの負荷転走溝のリ一ド角（又はボール転走溝のリード角）に沿ってその接線方向に各ボールを誘導する誘導領域を持つ案内孔を設けこれら一対の管ピースの案内孔及びこれらの案内孔の間を連通連結して無負荷ボール通路を形成するチューブ体の連通孔には上記ボール連結体を構成する連結体の連結部が摺動可能に嵌合してこの連結体を案内する案内溝条を形成し、無限軌道の負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に無負荷領域では連結体で各ボールを案内して移動せしめるように構成すれば、無限軌道の負荷領域と無負荷領域との間で行なわれるボールの授受が極めて円滑になり、これによつてボールの円滑な循環運動を達成することができる。

更に、チューブ式ボールねじ装置において、ナツト部材の負荷転走溝と無負荷ボール通路との間を連通連結する一対の管ピースの案内孔に、その負荷転走溝側始端から無負荷ボール通路側終端にかけて、負荷転走溝側始端における案内溝条の位置が対称になり、かつ、無負荷ボ —ル通路側終端における案内溝条の位置が同じになるように、捩れ及び Z又は曲げを与えれば、ボールの無限軌道内を走行するボール連結体はこの方向転換路でその姿勢が整えられ、これによつてボール連結体を構成する各ボールが互いに干渉し合うことなく、整列状態で円滑に無限軌道内を循環する。

そして、チューブ式ボールねじ装置において、一対の管ピースの各案内孔の全長が誘導領域になっていると共にこれら各案内孔の案内溝条の一部又は全部にその位置の捩れが設けられており、また、これら一対の管ピース間を連通連結するチューブ体の始端から終端に亘つて案内溝条が同じ位置に形成されていると共にその始端側及び終端側に曲げ部を形成すれば、無負荷ボール通路に必要な捩れと曲げを容易に付与することができ、これによつてボール連結体が安定して循環できる無限軌道の無負荷領域を形成することができるほか、これら管ピース及びチューブ体を必要最小限の部品で構成することができる。

次に、本発明の側蓋式ボールねじ装置について詳細に説明する。

本発明の側蓋式ボールねじ装置は、外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、内周面に上記ねじ軸のボール転走溝と相対向する螺旋状の負荷転走溝を有すると共に無負荷ボール通路を有するナツト部材と、このナット部材の両端に取り付けられ、上記負荷転走溝と無負荷ボール通路とを連通連結してボールの無限軌道を形成する方向転換路を有する一対の側蓋と、上記無限軌道内を転走する多数のボールとこれらのボールを整列状態に連結しかつ回転自在に保持する連結体とで形成されたボール連結体とで構成されており、上記方向転換路と無負荷ボール通路とが形成する無限軌道の無負荷領域には上記連結体を案内する案内溝条を形成し、上記負荷転走溝からなる無限軌道の負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に上記無負荷領域では上記連結体で各ボ —ルを案内して移動せしめ、上記各方向転換路の少なくとも負荷転走溝側にはこの負荷転走溝を移動するボールの進行方向に沿って上記連結体を案内する誘導部を形成した構造となっている。

そして、特に、ボール連結体の連結体は、各ボール間に介装される介装部とこれら介装部の間を連通連結する連結部とで構成されており、その連結部が上記案内溝条に摺動可能に嵌合して案内され、また、各方向転換路の誘導部では負荷転走溝を転走するボールの進行方向、すなわち負荷転走溝又はボール転走溝のリ一ド角に沿つてその接線方向に案内されるように構成された側蓋式ボールねじ装置 C"ある。

この側蓋式ボールねじ装において、上記ねじ軸の外周面に形成されるボ— ル転走溝については、その断面形状が略々半円のボール転走 ¾ 有する、いわゆるサーキユラ一状に形成されても、また、 2 つの略々 1 Z 4 円の円弧状ボ一ル転走面が父わつた、いわゆるゴシックァーチ状に形成されもよく、そして、その数も 1 条であっても 2 条以上の複数条 "あつてもよい o

また、多数のボールを介して上記ねじ軸に螺合するナット部材については、その内周面に上記ねじ軸のボ一ノレ転走溝と相対向する螺旋状の負荷溝を有し、カヽつ、この負荷転走溝の一端から他端へボ一ルを循環させるための無負荷ボーノレ；路を有するものであればよい o

ここで、上記負荷転走溝についても、上記ねじ車由のボ一ル転走溝と同様に、その断面形状が略々半円のボーノレ転走面を有する、いわゆるソーキュラ —状に形成されても、また、 2 つの略々 1 / 4 円の円弧状ボール転走面力く父わった、いわゆるゴシックァ一チ状に形成されていてもよく、そして、その数もボ一ル転走溝の数に対応して 1 条であつても 2 条以上の複数条であつてもよい 0

ま 7こ、しのナット部材に形成される無負ボ — ル通路については、ナット部材の外周中実部にその軸方向に沿て真つ直ぐなボ一ル戻し孔を穿 DX してもよいほか、例えば、この外周中実部に平らなプレ ― ト取付面を形成しこのプレート取付面とこのプレート取付面に取り付けられるガイドブレ一トとにそれぞれ無負荷ボール溝を形成し、ガイドプレートをプレート取付面に取り付けた際にこれらの無負荷ボール溝が互いに相対面して所定の無負荷ボール通路を形成するようにしてもよい。

本発明において、各側蓋の方向転換路には、その負荷転走溝側始端から無負荷ボール通路側終端にかけて、負荷転走溝側始端における案内溝条の位置が互いに対称になり、かつ、無負荷ボール通路側終端における案内溝条の位置が互いに同じになるように、捩れ及び /又は曲げが与えられ、これによつてナツト部材にはその外周中実部にその軸方向に沿って真っ直ぐなボール戻し孔カ、らなる無負荷ボール通路を容易に穿設することができる。

ここで、このような方向転換路を有する各側蓋を形成する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、各側蓋を、ナツト部材の負荷転走溝と無負荷ボ一ル通路との間を連通連結する方向転換路を有するリタ一ンピースとこのリターンピースを収容する凹部を有すると共にナツト部材の両端に固定される蓋本体とで構成し上記リターンピースをその方向転換路の中心線に沿って二分割した第 1 及び第 2 のピース片で構成する方法が挙げられる。

なお、リターンピースに形成される方向転換路は、その全てがこのリターンピースに形成されていてもよく、また、その負荷転走溝側の方向転換路の一部を蓋本体側に形成してリターンピース側の一部の方向転換路と円滑に連続するように形成してもよいが、蓋本体側に方向転換路の一部を形成する際にはこの蓋本体側に誘導部の一部又は全部を配置し、リターンピース側で方向転換路の捩れ及び Z又は曲げの処理を行なうのがよい。また、上記リターンピースをその方向転換路の中心線に沿って二分割する方法についても、特に限定されるものではなく加工性や部品の共通化等を考慮して決定する。

また、上記各側蓋とナツト部材とには、各側蓋側に形成される方向転換路とナツト部材側に形成される負荷転走溝及び無負荷ボール通路との間の位置決めを正確にしかつ、容易にするために、好ましくは位置決め用のボスとこのボスが嵌合する凹部とを形成するのがよく、より好ましくは、第 1 及び第 2 のピース片に二分割されたリターンピースとこのリターンピースを収容する蓋本体とで側蓋を構成し、リターンピースの第 1 及び第 2 のピース片には二分割された方向転換路に対応してナツト部材側に突出する断面半円形状の突片を突設し、これら第 1 及び第 2 のピース片に設けた一対の突片で側蓋の位置決め用ボスを構成し、また、ナツト部材側にこの位置決め用ボスが嵌合する凹部を形成するのがよい。このように位置決め用ボスとこのボスが嵌合する凹部を形成することにより、案内溝条について捩れ及び /又は曲げが与えられた各側蓋の方向転換路について、その負荷転走溝側及び無負荷ボール通路側におけるナツト部材の負荷転走溝及び無負荷ボール通路との間の位置決めを正確に行なうことができ、これによつてボール連結体の連結体の円滑な摺動性を確保することができる。

更に、ボールの無限軌道内に組み込まれるボール連結体については、各ボールが互いに衝突しないように連結体で各ボールを鎖状に連結し、かつ、無限軌道の負荷領域ではこの負荷領域を転走する各ボールで連結体を移動せしめると共に無負荷領域ではこの無負荷領域を移動する連結体で各ボールを案内して移動せしめることができるように、少なくとも連結体が各ボールを脱落しないように、かつ、転動可能に保持している必要があり、そのために連結体は各ボール間に介装される介装部とこれら介装部の間を連通連結する連結部とで構成される。

そして、このボール連結体は、両端部を有する連結体で形成された 1 本又は複数本の有端ボール連結体としてボールの無限軌道内に組み込まれてもよいほか、無端の連結体を有する 1 本の無端ボール連結体としてボールの無限軌道内に組み込まれてもよい。

本発明の側蓋式ボールねじ装置によれば、その無限軌道内に連結体で多数のボールを整列状態にかつ転動可能に保持したボール連結体を組み込み、無限軌道の負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に無負荷領域では連結体で各ボールを案内して移動せしめるように構成すると共に、負荷領域に通じる無負荷領域両端の各 ' 方向転換路には負荷領域を転走するボールの進行方向に沿ってその接線方向にボールを案内する誘導部を形成したので、無限軌道の負荷領域と無負荷領域との間で行なわれるボールの授受が極めて円滑になり、ボールの円滑な循環運動が達成される。

また、このような側蓋式ボールねじ装置において、ナット部材の負荷転走溝と無負荷ボール通路との間を連通連結する一対の側蓋の方向転換路に、その負荷転走溝側始端から無負荷ボール通路側終端にかけて、負荷転走溝側始端における案内溝条の位置が対称になり、かつ、無負荷ボール通路側終端における案内溝条の位置が同じになるように、捩れ及び z又は曲げを与えれば、ボールの無限軌道内を走行するボール連結体はこの方向転換路でその姿勢が整えられ、これによつてボール連結体を構成する各ボールが互いに干渉し合うことなく、整列状態で円滑に無限軌道内を循環する。

更に、こな側蓋式ボールねじ装置において、側蓋が方向転換路を有するリターンピースとこのリターンピースを収容する凹部を有する蓋本体とで構成し、リターンピースをその方向転換路の中心線に沿って二分割すれば、この方向転換路に必要な捩れ及び又は曲げを付与することができ、これによつてボール連結体が安定して循環できる無限軌道の無負荷領域を形成することができる。

図面の簡単な説明

図 1 は、この発明の第一の実施例に係るチューブ式ボ

— ルねじ装置を示す正面図である。

図 2 は、図 1 のチューブ式ボールねじ装置の一部を切り欠いてボールの無限軌道の一部を模式的に示す斜視説明図である。

図 3 は、図 1 のチューブ式ボールねじ装置に組み込まれた有端ボール連結体を示す正面説明図である。

図 4 は、図 3 の A部を拡大して示す部分拡大図である図 5 は図 4 の底面図である。

図 6 は図 1 のナツ卜部材を示す平面図である。

図 7 は図 1 の無限軌道を模式的に示す断面説明図でめる。

図 8 は 1 のナツト部材及びボール循環用管状体が形成する無負荷ボール通路を模式的に示す断面説明図であ o

図 9 は、図 7 の管ピースを示す斜視図である。

図 1 0 は、図 9 の管ピースを示す正面図（ a ) 、平面図（ b ) ，及び底面図（ c ) である。

図 1 1 は、図 8 のチューブ体を構成する一方のチューブ片の平面図である。

図 1 2 は、図 1 1 のチューブ片の正面図である。

図 1 3 は、図 1 2 のチューブ片の A — B 領域における断面図である

図 1 4 は、図 1 2 のチューブ片の C — D領域における断面図である

図 1 5 は、図 1 2 のチューブ片の B — C 領域における断面図である

図 1 6 は、図 8 のチューブ体の断面図である。

図 1 7 は、図 1 のチューブ式ボールねじ装置におけるボールの無限軌道を模式的に示す部分断面斜視説明図である。

図 1 8 は、図 1 のチューブ式ボールねじ装置におけるナツト部材の負荷転走溝内を転走する有端ボール連結体の状態を示す部分断面斜視説明図である。

図 1 9 は、図 1 のチューブ式ボールねじ装置におけるねじ軸のボール転走溝内を転走する有端ボール連結体の状態を示す部分断面斜視説明図である。

図 2 0 は、この発明の第二の実施例に係るチューブ式ボールねじ装置を示す図 7 と同様の断面説明図である。

図 2 1 は、図 2 0 のボール循環用管状体を示す断面説明図である

図 2 2 は図 2 0 のボール循環用管状体を示す斜視説明図である

図 2 3 はこの発明の第三の実施例に係る側蓋式ボールねじ装置を示す正面図である。

図 2 4 は、図 2 3 の側蓋式ボールねじ装置の一部を切り欠いてボ— ルの無限軌道を模式的に示す斜視説明図であ o

図 2 5 は、図 2 3 の側蓋式ボールねじ装置に組み込まれた有端ボール連結体を示す正面説明図である。

図 2 6 は、図 2 5 の XXVI— XXVI線断面図である。

図 2 7 は、図 2 3 の側蓋式ボールねじ装置のナツト部材を示す正面図である。

図 2 8 は、図 2 7 の XXVI I I— XXVI I I線断面図である。図 2 9 は、図 2 3 の側蓋式ボールねじ装置の側蓋を示す内面側裏面図である。

図 3 0 は、図 2 9 の XXX— XXX 線断面図である。

図 3 1 は、図 2 9 の側蓋をその内面側からみた斜視説明図であり、一方のリターンピースの第 2 ピース片を省略した図である。

図 3 2 は、図 3 1 のリターンピースを構成する第 1 及び第 2 のピ一ス片を示す正面説明図である。

図 3 3 は、図 3 2 のリターンピースを構成する第 1 及び第 2 のピース片を示す平面説明図である。

図 3 4 は、図 2 3 の側蓋式ボールねじ装置におけるナット部材とボールの無限軌道との関係を模式的に示す説明図である。

図 3 5 は、図 2 3 の側蓋式ボールねじ装置におけるねじ軸とボールの無限軌道との関係を模式的に示す説明図であ。

図 3 6 は、図 2 3 の側蓋式ボールねじ装置における側蓋とボールの無限軌道との関係を模式的に示す説明図であ o

図 3 7 は、図 3 6 の位置 a 〜 f におけるボールの無限軌道の状態を模式的に示す断面説明図である。

図 3 8 は、側蓋式ボールねじ装置に組み込まれる有端ボール連結体の変形例を示す部分正面説明図である。

図 3 9 は、図 3 8 の X X X I X - X X X I X 線断面図である。図 4 0 は、従来のチューブ式ボールねじ装置を示す平面図である。

図 4 1 は、図 4 0 の断面説明図である。

図 4 2 は、従来の側蓋式ボールねじ装置を示す部分断面正面図である。

図 4 3 は、図 4 2 のナツト部材を示す部分断面側面図である。

図 4 4 は、図 2 0 の側蓋の取付状態を示す説明図である。

図 4 5 は、従来の他のチューブ式ボールねじ装置を示す断面正面図である。

〔符号の説明〕

1 … ねじ軸、 2 … ナット部材、 3 ボール循環用管状体、 4 …有端ボール連結体、 5 … ボル転走溝、 6 … 負荷転走溝、 7 …取付面、 8 …嵌合穴 9 … 取付金具、 10 …無負荷ボール通路、 10a …案内孔 10b …連通孔、 11… ボール、 12···連結体、 13a， 13b (13) …介装部、 14 … ベルト部（連結部）、 15…管ピース、 15a …上面、 15 b …底面、 15c …位置決め用段差部、 16… チューブ体、 16a … 曲げ部、 17···案内溝条、 18… チューブ片、 18a … 曲げ部、 19···案内溝条、

101 … ねじ軸、 102 … ナツト部材、 103 …側蓋、 104 …有端ボール連結体（ボール連結体）、 105 … ボール転走溝、 105a， 114 …逃げ溝、 106 …負荷転走溝、 107 … ボール戻し孔（無負荷ボール通路）、 108 …方向転換路 108a, 1081)··· ω条溝、 108c-誘導部、 109 ··· ボーノレ、 11 0 …連結体、 111 … 介装部、 111a…保持片（介装部）、 112 … ベルト部（連結部）、 113 … フランジ部、 115 … -案内溝条、 116 … ボルト取付孔、 117 … タップ孔、 118 … リターンピース、 119 … 凹部、 120 … 蓋本体、 121 a… 第 1 ピ一ス片、 12 lb… 第 2 ピース片、 122 …位置決め用ボス、 122a， 122b…突片、 123 …位置決め用凹部。発明を実施するための最良の形態

以下、添付図面に示す実施例に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。

〔第一の実施例：チューブ式ボールねじ装置〕

図 1 及び図 2 に本発明のチューブ式ボールねじ装置が示されている。このボールねじ装置は、基本的には、外周面に 1 条の螺旋状のボール転走溝 5 を有するねじ軸 1 と、中央に上記ねじ軸 1 の貫通孔を有する円筒状に形成され、その内周面には上記ボール転走溝 5 と相対向する 1 条の螺旋状の負荷転走溝 6 を有すると共にその外周に平らな取付面 7 を有すると共にこの取付面 7 の対角線上の位置には取付面 7 からそれぞれ負荷転走溝 6 の始端と終端とに向けて一対の嵌合穴 8 が穿設されているナツト部材 2 と、このナツト部材 2 の取付面 7 に取付金具 9 によって取り付けられ、上記ナツト部材 2 の負荷転走溝 6 の始端と終端との間を連通連結して無限軌道を形成する無負荷ボール通路 1 0を有するボール循環用管状体 3 と、上記ナツト部材 2 の負荷転走溝 6 (負荷領域）とこのナット部材 2 に取り付けられたボール循環用管状体 3 の無負荷ボール通路 1 0 (無負荷領域）とで形成される無限軌道内を転走する 1 本の有端ボール連結体 4 とで構成されている。そして、上記有端ボール連結体 4 は、多数のボール 1 1とこれら多数のボール 1 1を互いに鎖状に連結すると共に合成樹脂で形成されて両端部を有する可撓性の連結体 1 2とで形成されている。なお、図 2 において、有端ボール連結体 4 は、その連結体 1 2の捩れが理解され易くなるように、模式的に描かれている。

この第一の実施例において、上記有端ボール連結体 4 は、図 3 〜図 5 に示すように、その連結体 12が各ボール 11間に介装され、各ボール 11の球面に沿ってその上下方向に異なる長さで延びる 2 種類の爪状の介装部 13a， 13b ( 13) とこれらの介装部 13の間を各ボール 11の球面に沿つて左右方向に連結する 2 本のベルト部（連結部） 14とで形成されている。そして、上記介装部 13は、有端ボ一ル連結体 4 を湾曲させた際に、その外側になる側に位置する爪状の介装部 13a が長くてその内側になる側に位置する爪状の介装部 13b が短く形成され、湾曲させた際にもこれらの爪状の介装部 13と 2 本のベルト部 14とによつてボール 11を抱え込んで脱落しないように保持し、しかも、短い爪状の介装部 13b を内側にして矢印 X Y方向に容易に湾曲できる形状になっている。

この有端ボール連結体 4 は、各ボール 11を中子として金型内に配列し、この金型内に溶融合成樹脂を射出してインサート成形を行い、次いで金型から離型したのち、成形された有端ボール連結体 4 を鉱油系潤滑油中に浸漬し、成形された連結体 12を膨潤させて各ボール 11とこの連結体 12との間に隙間を形成せしめ、これによつて各ボ —ル 11が連結体 12に保持された状態で自由に回転できるようにされている。

上記ボール循環用管状体 3 は、図 6 〜図 8 に示すように、ナツ卜部材 2 に形成された一対の嵌合穴 8 内に嵌め込まれる一対の管ピース 15とこれらの管ピース 15の間を連通連結するチューブ体 1 6とで構成されており、ボール 1 1の無限軌道を構成する無負荷ボール通路 1 0は一対の管ピース 1 5に形成された案内孔 1 0 a とチューブ体 1 6に形成された連通孔 1 0 b とで構成されている。

この第一の実施例において、上記一対の管ピース 1 5は互いに同じ形状に成形されており、そして、各管ピース 1 5は、図 8 〜図 1 0 に示されているように、焼結金属で長手方向斜めの上面 1 5 a を有する略々楕円状筒体に形成されており、この管ピース 1 5に形成された案内孔 1 0 a はその全体が底面 1 5 b から上面 1 5 a に向けてナツト部材 2 の負荷転走溝 6 のリ一ド角に沿ってその接線方向に延びる誘導領域となっており、また、この案内孔 1 0 a には上記ボール連結体 4 の連結体 1 2の連結部 1 4が摺動可能に嵌合してこのボール連結体 4 の連結体 1 2を案内する一対の案内溝条 1 7が形成されている。そして、この案内溝条 1 7 は、案内孔 1 0 a 内においてそのどの位置においても互いに相対向する位置に存在し、ナツト部材 2 の負荷転走溝 6 側の始端（管ピース 1 5の底面 1 5 b 側）からチューブ体 1 6の連通孔 1 0 b 側の終端（管ピース 1 5の上面 1 5 a 側）にかけて所定の角度だけ捩れており、これによつて、一対の管ピース 1 5がナット部材 2 に組み込まれた際に、これら一対の管ピース 1 5において互いに対称の位置関係にあ - る案内溝条 1 7が連通孔 1 0 b 側終端において同じ位置関係となっている。

なお、ナツト部材 2 に形成された嵌合穴 8 は、上記各管ピース 1 5の外側輪郭形状が略々楕円状に形成されていることに対応して略々楕円状に形成されていると共に、その深さが各管ピース 1 5の長さ寸法より深くなっており、この嵌合穴 8 内に管ピース 1 5を嵌め込むことによりこの管ピース 1 5がナット部材 2 に対して位置決めされ、また、これら各管ピース 1 5の上面 1 5 a には上記チューブ体 1 6の端部が係止してこのチューブ体 1 6の端部の位置決めをする位置決め用段差部 1 5 c が形成されており、チューブ体 1 6の始端側及び終端側に形成された曲げ部 1 6 a を上記嵌合穴 8 内に差し込んでその先端を位置決め用段差部 1 5 c に係止し、このチューブ体 1 6をナツト部材 2 の取付面 7 に固体金具 9 で固定することにより、これら一対の管ピース 1 5及びチューブ体 1 6がナツト部材 2 に固定されるようになつてレ、る。

ここで、上記チューブ体 1 6は、図 1 1 〜図 1 6 に示すように、合成樹脂で成形された互いに全く同じ形状の一対のチューブ片 1 8で構成されており、その両端部にはチユーブ体 1 6の曲げ部 1 6 a を形成する曲げ部 1 8 a が形成され、また、その内面側中央に沿って上記ボール連結体 4 の連結体 1 2の連結部 1 4が摺動可能に嵌合する案内溝条 1 9 が形成されている。

この第一の実施例においては、一対のチューブ片 1 8を互いに全く同じ形状に形成できるように、その横断面形 - 状については、領域 A → B については図 1 3 のように形成され、領域 C — D については図 1 4 のように形成されまた、領域 B → C については図 1 5 のように形成され、一対のチューブ片 1 8を組み合わせてチューブ体 1 6を形成したとき、図 1 6 に示すように、このチューブ体 16の連通孔 10 a 内面側には一対の案内溝条 19が互いに相対向する位置に存在するようになっている。

この第一の実施例において、上記ナツト部材 2 の負荷転走溝 6 (負荷領域）と一対の管ピース 15の案内孔 10a 及びチューブ体 16の連通孔 10 b が形成するボール循環用管状体 3 の無負荷ボール通路 10 (無負荷領域）とで形成される無限軌道と、この無限軌道内を転走する有端ボ一ル連結体 4 との関係は、図 1 7 〜図 1 9 に模式的に示すようになつており、図 1 7 では無限軌道内における有端ボール連結体 4 の動きとその時の姿勢、特に案内孔 10a 内での捩れの状態とチューブ体 16の曲げ部 16 a における曲げの状態とが示されており、また、図 1 8 ではナツト部材 2 の負荷転走溝 6 内を転走する有端ボール連結体 4 の状態が示されており、更に、図 1 9 ではねじ軸 1 のボ一ル転走溝 5 内を転走する有端ボール連結体 4 の状態が示されている。なお、これら図 1 7 〜図 1 9 において、有端ボール連結体 4 は、その連結体 12の捩れが理解され易くなるように、模式的に描かれている。

無限軌道内を転走する有端ボール連結体 4 の連結体 12 の連結部 14の位置は、各管ピース 15の案内孔 10a 内に入る直前又は案内孔 10a 力、ら出てきた直後（負荷転走溝 6 - の始端と終端）においては互いに対称の位置にあり、各管ピース 15の案内孔 10a 内で所定の角度だけ捩じられて各管ピース 15の案内孔 10 a のチュ一ブ体 16側出口直前では互いに同じ位置関係になり、そして、両端部にそれぞれ曲げ部 1 6 a を有するチューブ体 1 6の連通孔 1 0 b においてはその始端から終端まで同じ位置関係を保っている。

従って、この第一の実施例では、一対の管ピース 1 5の案内孔 1 0 a がナツト部材 2 の負荷転走溝 6 のリード角に沿ってその接線方向に延びる誘導領域となっており、これによつて無限軌道の負荷領域と無負荷領域との間で行なわれるボール 1 1の授受が円滑になり、また、一対の管ピース 1 5で所定の捩れ処理が行なわれ、かつ、チューブ体 1 6の両端で所定の曲げ処理が行なわれており、これによって無限軌道内をボール連結体 4 が円滑に転走し、結果としてボールの円滑な循環運動が達成される。

〔第二の実施例：チューブ式ボールねじ装置〕

図 2 0 〜図 2 2 は、上記第一の実施例と同様にチューブ式ボールねじ装置に関するものであるが、第一の実施例の場合とは異なり、ボール循環用管状体 3 の全体が略々 U 次形状のチューブ条に形成されており、その両端部 3 aはナツト部材 2 に形成された一対の嵌合穴 8 内に嵌め込まれて固定されている。そして、このボール循環用管状体 3 には、その両端部 3 aに上記第一の実施例における管ピース 1 5の場合と同様に案内孔 1 0 a が形成されておりまた、その中央部 3 bには上記第一の実施例におけるチュ — ブ体 1 6の場合と同様に連通孔 1 0 b が形成され、これら案内孔 1 0 a と連通孔 1 0 b とはボール 1 1の無限軌道の無負荷領域を構成する無負荷ボール通路 1 0となっている。

この第二の実施例においても、各両端部 3 aに形成された案内孔 1 0 a はナツト部材 2 の負荷転走溝 6 のリード角に沿ってその接線方向に延びる誘導領域となっており、また、この案内孔 1 0 a には上記ボール連結体 4 の連結体 1 2の連結部 1 4が摺動可能に嵌合してこのボール連結体 4 の連結体 1 2を案内する一対の案内条溝 1 9が形成されている。そして、この案内条溝 1 9は、この案内孔 1 0 a 内においてそのどの位置においても互いに相対向する位置に存在し、ナット部材 2 の負荷転走溝 6 側から連通孔 1 0 b 側にかけて所定の角度だけ捩れており、これによつて、ボ —ル循環用管状体 3 の両端部 3 aがナット部材 2 に組み込まれた際に、これら両端部 3 aにおいて互いに対称の位置関係にある案内条溝 1 9が連通孔 1 0 b 側において同じ位置関係となっている。

従って、この第二の実施例では、ボール循環用管状体 3 の両端部 3 aの案内孔 1 0 a がナツト部材 2 の負荷転走溝 6 のリ一ド角に沿ってその接線方向に延びる誘導領域となっており、これによつて無限軌道の負荷領域と無負荷領域との間で行なわれるボール 1 1の授受が円滑になり、また、両端部 3 aで所定の捩れ処理が行なわれ、かつ、これら両端部 3 aから中央部 3 bにかけて所定の曲げ処理が行なわれており、これによつて無限軌道内をボール連結体 4 が円滑に転走し、結果としてボールの円滑な循環運動が達成される。

〔第三の実施例：側蓋式ボールねじ装置〕

図 2 3 及び図 2 4 に本発明の側蓋式ボールねじ装置が示されている。このボールねじ装置は、基本的には、外周面に 2 条の螺旋状のボール転走溝 1 0 5 を有するねじ軸 101 と、中央に上記ねじ軸 101 の貫通孔を有する円筒状に形成され、その内周面には上記ボール転走溝 105 と相対向する 2 条の螺旋状の負荷転走溝 106 を有すると共にその外周中実部の互いに相対する位置には軸方向に沿つてこの負荷転走溝 106 の一端から他端へボール 109 を循環させるための 2 条のボール戻し孔（無負荷ボール通路） 107 を有するナツト部材 102 と、このナツト部材 10 2 の両端に取り付けられ、上記ナツト部材 102 の負荷転走溝 106 とボール戻し孔 107 との間を連通連結して無限軌道を形成する 2 条の方向転換路 108 を有する一対の側蓋 103 と、ナツト部材 102 の 1 条の負荷転走溝 106 (負荷領域）と、ナット部材 102 の 1 条のボール戻し孔 107 (無負荷領域）と、一対の側蓋 103 にそれぞれ形成された各 1 条（合計 2 条）の方向転換路 108 (無負荷領域）とで形成される合計 2 条の無限軌道内をそれぞれ転走する 2 本の有端ボール連結体 104 とで構成されており、この各有端ボール連結体 104 は多数のボール 109 とこれらのボール 109 を互いに鎖状に連結すると共に合成樹脂で形成されて両端部を有する可撓性の連結体 110 とで形成されている。なお、図 2 4 において、有端ボール連結体 104 は、その連結体 110 の捩れが理解され易くなるように、模式的に描かれている。

この第三の実施例において、上記各有端ボール連結体 104 は、図 2 5 及び図 2 6 に示すように、その連結体 11 0 が各ボール 109 間に介装される円盤状の介装部 111 とこれらの介装部 111 の間を各ボール 109 の球面に沿ってこれら各ボール 109 と当接するように帯状に形成され、かつ、各ボール 109 の上下左右に互いに 9 0 ° の等間隔に配設された 4 本のベルト部（連結部） 112 とで形成されており、全体的に観察した場合に上記介装部 111 の部分が最も小さく括られた形状をなしており、ベルト部 11 で各ボール 109 を鎖状に連結すると共に、上記介装部 111 で各ボール 109 が互いに接触するのを防止し、またこれら介装部 111 とベルト部 112 とで各ボール 109 が連結体 110 から脱落するのを防止するようになっている。

この有端ボール連結体 104 は、各ボール 109 を中子として金型内に配列し、この金型内に溶融合成樹脂を射出してィンサ一ト成形を行い、次いで金型から離型したのち、成形された有端ボール連結体 104 を鉱油系潤滑油中に浸漬し、成形された連結体 110 を膨潤させて各ボール 109 とこの連結体 110 との間に隙間を形成せしめ、これによって各ボール 109 が連結体 110 に保持された状態で自由に回転できるようにされている。

そして、この有端ボール連結体 104 は、連結体 110 の介装部 111 において最も小さく括られた形状をなしているので、この介装部 111 において何れの方向にも屈曲させること力く可能であり、例えば図 2 6 において、互いに隣接する 2 本のベルト部 112 の間の方向に屈曲させて曲 - げることができるだけでなく、ベルト部 112 が存在する方向にも屈曲させることができ、また、捩れを与えてもこれに追従して無理なく変形でき、更に、これら捩れや曲げを与えても各ボール 109 を脱落しないように確実に保持することができる。

更に、この第三の実施例において、上記ねじ軸 101 には、そのボール転走溝 105 の最深部に沿って上記有端ボ — ル連結体 104 を構成する連結体 110 のベルト部 112 を摺動可能に収容する逃げ溝 105aが形成されている（図 3 7 ( a ) 〜（ e ) 参照）。

また、上記ナツト部材 102 は、図 2 7 及び図 2 8 に示すように、その外周面には該ナツト部材 102 をテーブル等の可動体に固定するためのフランジ部 113 が突設されており、そして、ねじ軸 101 のボール転走溝 105 と相対向する螺旋状の負荷転走溝 106 は、 2 つのボール転走面が交わったゴシックアーチ状に形成され、かかる溝の最深部には上記有端ボール連結体 1 のベルト部 112 を摺動可能に収容する逃げ溝 114 が形成されており、また、ボール戻し孔 107 には、上記有端ボール連結体 1 の 4 本のベルト部 112 が摺動可能に嵌合してその連結体 110 を案内する案内溝条 115 が形成されている。なお、図 2 7 において、符号 116 はフランジ部 113 に開設されたボルト取付孔であり、また、符号 117 は上記側蓋 103 を取り付けるための取付ねじが螺合する夕ップ孔である。

次に、上記ナツト部材 102 の両端に取り付けられる側蓋 103 は、図 2 9 〜図 3 1 に示すように、中央部にナツ - ト部材 102 の貫通孔に対応する貫通孔を有するドーナツ型に形成されており、ナツト部材 102 の負荷転走溝 106 とボール戻し孔 107 との間を連通連結する方向転換路 10 8 の大部分を有する一対のリターンピース 118 とこれらのリターンピース 118 を収容する略扇形状の凹部 119 及び方向転換路 108 の負荷転走溝 106 側の一部を有すると共にナツト部材 102 の両端に固定される蓋本体 120 とで構成されており、また、上記各リターンピース 118 は、その方向転換路 108 の中心線に沿ってこの方向転換路 10 8 を二分割するように分割された第 1 及び第 2 のピース片 121a、 121bで構成されている。

そして、上記各リターンピース 118 の方向転換路 108 には、ナツト部材 102 の負荷転走溝 106 側にこの負荷転走溝 106 のリ一ド角に沿ってその接線方向に直線的に連続する領域として誘導部 118cが形成されており、ナツト部材 102 の負荷転走溝 106 が形成する負荷領域を脱出したボール 109 を保持する連結体 110 はこの誘導部 118cで負荷転走溝 106 のリード角に沿ってその接線方向に略直線的に案内され、これによつて各ボール 109 は、この誘導部 118cにおいて、負荷転走溝 106 を転走するボール 10 9 の進行方向に沿ってそのまま案内される。

この第三の実施例において、上記方向転換路 108 の誘導部 118 cの一部は蓋本体 120 側に形成され、リターンピ — ス 118 側に形成された誘導部 118 cの残りの部分と連続している。また、この方向転換路 108 の捩れ及び曲げの処理はリターンピース 118 側で行なわれており、この捩 - れ及び曲げの処理により、一対の側蓋 103 の方向転換路 108 は、その負荷転走溝 106 側始端からボール戻し孔 10 7 側終端にかけて、負荷転走溝 106 側始端における案内溝条 115 の位置が対称になり、かつ、ボール戻し孔 107 側終端における案内溝条 115 の位置が同じになるようになっている。

この第三の実施例において、上記リターンピース 118 を構成する第 1 及び第 2 のピース片 121a、 121bは、図 3 1 〜図 3 3 に示すように、互いに重ね合わせた状態で蓋本体 120 の凹部 119 内に嵌合するようになつており、そして、各ピース片 121a、 121bは、真鍮等の金属の切削加ェで形成されており、その各接合面には方向転換路 108 をその互いに相対向する案内溝条 115 に沿って二分割した断面略々半円状の凹条溝 118a、 118bがそれぞれ形成されており、また、これら各凹条溝 118a、 118bにはそれぞれその両側縁に沿って二分割された案内溝条 115a、 115b が形成されており、これら第 1 及び第 2 のピース片 121a- 121bをその接合面で重ね合わせると、リターンピース 11 8 の方向転換路 108 が完成するようになっている。

また、第 1 及び第 2 のピース片 121a、 121bには、二分割された方向転換路 108 に対応してナツト部材 102 側に突出する断面半円形状の突片 122a、 122bが突設されており、第 1 ピース片 121aと第 2 ピース片 121bとをその接合面で重ね合わせて形成されたリターンピース 118 を蓋本体 120 の凹部 119 内に組み込んだ際に、これら突片 122a 122bが組み合わさって形成されたリターンピース 118 の - 位置決め用ボス 122 が完成した側蓋 103 の内面側に突出するようになつており（図 2 9 及び図 3 0 参照）、ナツト部材 102 の両端部に開口するボール戻し孔 107 の周縁に形成した位置決め用凹部 123 (図 2 7 及び図 2 8 参照）に嵌合するようになつている。

この第三の実施例において、ナツト部材 102 の負荷転走溝 106 及びボール戻し孔 107 並びにこのナツト部材 10 2 の両端に取り付けられる側蓋 103 の方向転換路 108 が形成する各無限軌道内に組み込まれる有端ボール連結体 104 は、図 3 4 及び図 3 5 に示すように、この無限軌道内を一巡する間にその連結体 110 の 4 本のベルト部 112 の位相を 9 0 ° ずらして組み込まれており、これによつて方向転換路 108 内で行なう必要のある捩れ及び曲げの処理の程度を緩和し、有端ボール連結体 104 が無限軌道内をより円滑に循環できるようになつている。なお、図 3 4 及び図 3 5 において、有端ボール連結体 104 は、その連結体 110 の捩れが理解され易くなるように、模式的に描かれている。

また、図 3 6 及び図 3 7 は、上記方向転換路 108 の誘導部 118cにおける有端ボール連結体 104 の動きを説明するものである。図 3 7 の（ a ) 〜（ f ) は、図 3 6 に示された各ボールの位置 a 〜 f に対応するボールの転走方向に直角の断面を示している。

図 3 6 の位置 a において、有端ボール連結体 104 のボ — ノレ 109 は、図 3 7 ( a ) に示すように、ねじ軸 101 のボール転走溝 105 とナツト部材 102 の負荷転走溝 106 と -の間で荷重を負荷しながら転走し、また、図 3 6 の位置 b において、ボール 109 は、図 3 7 ( b ) に示すように負荷転走溝 106 が構成する負荷領域を脱出して方向転換路 108 の誘導部 118c内に入り、そのまま負荷転走溝 106 のリ一ド角に沿ってその接線方向に移動し、ねじ軸 101 のボール転走溝 105 から離れて方向転換路 108 内に入る _c この際に、各ボール 109 は、負荷転走溝 105 の負荷領域を脱出した瞬間から、負荷転走溝 106 から方向転換路 10 8 内に移動する有端ボール連結体 104 の連結体 110 により案内されることになる。

更に、ボ一ノレ 109 は、図 3 6 の位置 c から位置 d を経て位置 e に移行する間において、負荷転走溝 106 のリ一ド角に沿ってその接線方向に更に移動してねじ軸 101 のボール転走溝 105 から更に離れ、無限軌道の負荷領域においてねじ軸 101 とナツト部材 102 との間に位置していた有端ボール連結体 104 を構成する連結体 110 のベルト部 112 力くリターンピース 118 を構成する第 1 及び第 2 のピース片 121a、 121bにそれぞれ形成された相対向する案内溝条 115 内に案内され、これによつてボール 109 はますますねじ軸 101 のボール転走溝 105 から離れ、図 3 6 の位置 f において、ボール 109 は、完全に方向転換路 10 8 内に案内される。

そして、有端ボール連結体 104 は、上記位置 f から方向転換路 108 の出口に至る間に所定の捩れと曲げとが付与され、この方向転換路 108 の出口においては、その 4 条の案内溝条 115 が左右の斜め上下に位置するようになつている。

なお、ナツト部材 102 の外周中実部にその軸方向に沿つて形成された各ボール戻し孔 107 の案内溝条 115 は、上記方向転換路 108 の出口における案内溝条 115 と同じ位置に形成され、有端ボール連結体 104 が方向転換路 10 8 側力、らボール戻し孔 107 側にあるいはボール戻し孔 10 7 側から方向転換路 108 側に円滑に案内されるようになつている。

次に、図 3 8 及び図 3 9 は、有端ボール連結体 104 の変形例を示すものであり、上記図 2 5 及び図 2 6 に示すものと異なり、連結体 110 を構成する介装部 111 が各ボ — ル 109 の球面に沿って当接する一対の保持片 111 aで構成され、また、これら各介装部 111 間を各ボール 109 の球面に沿ってこれら各ボール 109 と当接するように連結するベルト部 112 は上記保持片 111aと直交する位置に 2 本設けられている。

そして、上記各保持片 111aは、この有端ボール連結体 104 が無限軌道内に組み込まれた際に、この無限軌道内を図示外の案内溝条に沿って案内されるベルト部 112 に対して無限軌道の外周側に位置する突出部分 111 bが内周側に位置する突出部分 111cよりも長く形成され、 2 本のベルト部 112 間を結ぶ平面に沿って有端ボール連結体 10 4 を無限軌道の内周側に湾曲させた際に、隣接する突出部分 11 lcの先端が干渉しないように形成されている。

この変形例の有端ボール連結体 104 を用いた場合、その連結体 110 のベルト部 112 がねじ軸とナツト部材との - 間の隙間を通過するように構成することにより、ねじ軸のボール転走溝やボールの無限軌道の負荷領域を構成するナツト部材の負荷転走溝にベルト部 112 を摺動可能に収容する逃げ溝を形成する必要がなくなり、これらボ一ル転走溝や負荷転走溝の加工がそれだけ容易になる。この変形例の有端ボール連結体 1 0 4 を用いた場合においても、ボールの無限軌道における無負荷領域を構成するナツト部材の無負荷ボール通路やナツト部材両端の側蓋に形成される方向転換路には連結体 1 1 0 のベルト部 1 1 2 を摺動可能に案内する案内溝条を形成し、また、方向転換路においては負荷転走溝側始端から無負荷ボール通路側終端にかけて、負荷転走溝側始端における案内溝条の位置が対称になり、かつ、無負荷ボール通路側終端における案内溝条の位置が同じになるように必要な捩れ及び Z又は曲げの処理が施される。

産業上の利用可能性

本発明のボールねじ装置によれば、その無限軌道内に連結体で多数のボールを整列状態にかつ転動可能に保持したボール連結体を組み込み、無限軌道の無負荷領域には連結体を案内する案内溝条を形成し、無限軌道の負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に無負荷領域では連結体で各ボールを案内して移動せしめ、無負荷ボール通路の少なくとも負荷転走溝側にはこの負荷転走溝を移動するボールの進行方向に沿って連結体を案内する誘導部を形成したので、無限軌道の負荷領域と無負荷領域との間で行なわれるボールの授受が極めて円滑になり、これによつてボールの円滑な循環運動を達成することができる。

Claims

請求の範囲

( 1 ) 外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、このねじ軸のボール転走溝と相対向する螺旋状の負荷転走溝からなる負荷領域を有すると共にこの負荷領域の始端と終端を連通連結してボールの無限軌道をなす無負荷領域を有するナツト組立体と、このナツト組立体の無限軌道内を転走する多数のボール及びこれらのボールを整列状態にかつ回転自在に保持する連結体で形成されたボ — ル連結体とを備えたボールねじ装置において、

上記ボールの無限軌道にはその無負荷領域に上記ボ一ル連結体の連結体を案内する案内溝条を形成し、また、その負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に無限軌道の無負荷領域では連結体で各ボールを案内して移動せしめ、上記無負荷領域の少なくとも負荷領域側に近い両端部分にはこの負荷領域を移動するボールの進行方向に沿って連結体を案内する誘導部を形成したことを特徴とするボールねじ装置。

(2) 請求の範囲第 1 項に記載のボールねじ装置において、ナツト組立体が、内周面に上記ねじ軸のボール転走溝と相対向する螺旋状の負荷転走溝を有するナツト部材と、このナツト部材に取り付けられ、上記負荷転走溝の

- 始端と終端を連通連結してボールの無限軌道をなす無負荷ボール通路を有するボール循環用管状体とで構成されており、上記無負荷ボール通路からなる無限軌道の無負荷領域には上記ボール連結体の連結体を案内する案内溝条を形成し、上記負荷転走溝からなる無限軌道の負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に無限軌道の無負荷領域では連結体で各ボールを案内して移動せしめ、上記無負荷ボール通路の少なくとも負荷転走溝側にはこの負荷転走溝を移動するボールの進行方向に沿って連結体を案内する誘導部を形成したことを特徴とするチュ一ブ式ボールねじ装置。

(3) ボール循環用管状体を一対の管ピースとこれら一対の管ピースの間を連通連結するチューブ体とで構成し . 上記各管ピースには、少なくともその負荷転走溝側に、各ボールをこの負荷転走溝のリ一ド角に沿ってその接線方向に誘導する誘導領域を持つ案内孔を設けた請求の範囲第 2 項に記載のチュ一ブ式ボールねじ装置。

(4) 一対の管ピースに形成された各案内孔は、ナツト部材の負荷転走溝側の始端からチューブ体の連通孔側の終端にかけて、負荷転走溝側始端における案内溝条の位置が対称になり、かつ、連通孔側終端における案内溝条の位置が同じになるように、捩れ及び Z又は曲げが与えられている請求の範囲第 3 項に記載のチューブ式ボールねじ装置。

(5) 一対の管ピースは、その各案内孔の全長が誘導領域になっていると共にこれら各案内孔の案内溝条の一部又は全部にその位置の捩れが設けられており、また、これら一対の管ピース間を連通連結するチューブ体は、その始端から終端に亘つて案内溝条が同じ位置に形成されていると共にその始端側及び終端側に曲げ部を有する請求の範囲第 3 項に記載のチューブ式ボールねじ装置。

(6) 一対の管ピースは互いに同じ形状に成形されており、また、これら一対の管ピース間を連通連結するチュ — ブ体は互いに同じ形状の一対のチューブ片で構成されている請求の範囲第 5 項に記載のチューブ式ボールねじ装置。

(7) 各管ピースは、その外側輪郭形状が非円形状に形成されており、ナツト部材側に形成された非円形状の嵌合穴内に嵌め込んで位置決めされる請求の範囲第 3 〜 6 項のいずれかに記載のチューブ式ボールねじ装置。

(8) ボールの無限軌道内には、両端部を有する連結体で形成された 1 本又は複数本の有端ボール連結体が組み込まれている請求の範囲第 3 〜 7 項のいずれかに記載のチューブ式ボールねじ装置。

(9) ボールの無限軌道内には、無端の連結体を有する 1 本の無端ボール連結体が組み込まれている請求の範囲第 3 〜 6 項のいずれかに記載のチューブ式ボールねじ装。

(10) 請求の範囲第 1 項に記載のボールねじ装置において、ナツト組立体が、内周面に上記ねじ軸のボール転走溝と相対向する螺旋状の負荷転走溝を有すると共に無負荷ボール通路を有するナツト部材と、このナツト部材の

-両端に取り付けられ、上記負荷転走溝と無負荷ボール通路とを連通連結してボールの無限軌道を形成する方向転換路を有する一対の側蓋とで構成されており、上記方向転換路と無負荷ボール通路とが形成する無限軌道の無負荷領域には上記連結体を案内する案内溝条を形成し、上記負荷転走溝からなる無限軌道の負荷領域では各ボールで連結体を移動せしめると共に上記無負荷領域では上記連結体で各ボールを案内して移動せしめ、上記各方向転換路の少なくとも負荷転走溝側にはこの負荷転走溝を移動するボールの進行方向に沿って上記連結体を案内する誘導部を形成したことを特徴とする側蓋式ボールねじ装

(11) ナット部材の両端部においてこのナツト部材の負荷転走溝と無負荷ボール通路との間を連通連結する一対の側蓋の方向転換路は、その負荷転走溝側始端から無負荷ボール通路側終端にかけて、負荷転走溝側始端における案内溝条の位置が対称になり、かつ、無負荷ボール通路側終端における案内溝条の位置が同じになるように、捩れ及び Z又は曲げが与えられている請求の範囲第 1 0 項に記載の側蓋式ボールねじ装置。

(12) 各側蓋はナツト部材の負荷転走溝と無負荷ボール通路との間を連通連結する方向転換路を有するリターンピースとこのリターンピースを収容する凹部を有すると共にナツト部材の両端に固定される蓋本体とで構成され上記リターンピースがその方向転換路の中心線に沿つて二分割された第 1 及び第 2 のピース片で構成されている請求の範囲第 1 0 項又は第 1 1 項に記載の側蓋式ボールねじ装置。

(13) リターンピースの第 1 及び第 2 のピース片には、二分割された方向転換路に対応してナツト部材側に突出する断面半円形状の突片が設けられており、これら第 1 及び第 2 のピース片に設けられた一対の突片により側蓋の位置決め用ボスが形成されている請求の範囲第 1 2 項に記載の側蓋式ボールねじ装置。

(14 ボールの無限軌道内には、両端部を有する連結体で形成された 1 本又は複数本の有端ボール連結体が組み込まれている請求の範囲第 1 0 〜 1 3 項のいずれかに記載の側蓋式ボールねじ装置。

(15) ボールの無限軌道内には、無端の連結体を有する 1 本の無端ボール連結体が組み込まれている請求の範囲第 1 0 〜 1 3 項のいずれかに記載の側蓋式ボールねじ装