JP2005155887A - ボールねじ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 負荷領域を転動する転動体をナット14の側面に設けられた二個一組の循環孔20の内の一方の循環孔20から該ナット14の外部に導き、他方の循環孔20から前記負荷領域に戻す転動体循環経路を内部に形成すべく各循環孔20に両端部が嵌合された樹脂製の循環部品17を備えたボールねじ装置10において、前記循環部品17を金属製の押え具30を用いて前記ナット14に固定する。
【選択図】 図1
Description
このボールねじ装置1は、外周面に螺旋状のねじ溝2を有するねじ軸3に、内周面にねじ溝2に対応する螺旋状のねじ溝4を有するナット6が螺合されている。
ナット6のねじ溝4とねじ軸3のねじ溝2とは互いに対向して両者の間に螺旋状の負荷領域を形成しており、該負荷領域には転動体としての多数のボール5が転動可能に装填されている。そして、ねじ軸3(又はナット6)の回転により、ナット6(又はねじ軸3)がボール5の転動を介して軸方向に移動するようになっている。
ところで、このようなチューブ式の循環部品では、ナットの側面方向からボールをナットのねじ溝から完全に離し、多列化が可能な外部循環方式であるため、特に小リード品の高負荷容量化には好適であるが、最近のボールねじ装置の高回転化に伴って、ボールが循環部品に衝突するスピードが速くなって衝突エネルギーが大きくなると、循環部品やねじ溝(ねじ溝の両肩部など含む)が破損して高速化への妨げとなるため、循環部品によるボールのすくい上げ方向をねじ軸の接線方向で、且つリード角方向に傾けたものが提案されている。
そこで、従来においては、ナットの平坦面に形成する循環孔を大きく座ぐったり、斜め(接線方向)に加工するなどの方法がとられてきた(例えば特許文献1参照)。
一方、上記特許文献1に記載のボールねじ装置においては、ナットの平坦面に形成する循環孔の加工が複雑となり、また、該循環孔が大きいため、小リードや多条ねじのように小ピッチのねじ溝では循環孔が隣接するねじ溝に干渉してしまうという問題がある。
このボールねじ装置は、循環部品が合成樹脂製とされたもので、両端部にナットの循環孔に嵌合される脚部を有し、各脚部内に転動体をすくい上げる通路及び戻す通路がそれぞれ前記脚部の外周面に対して傾斜して形成されている。
しかしながら、ナットに循環部品をねじ等を介して直接固定する法では、ねじ止めした樹脂製の循環部品の座面がクリープ変形することによってねじの締め付けが緩んでしまう虞れがある。
また、環状の弾性リングを介して循環部品をナットに弾性的に押し付けて固定する方法では、ボールの循環不良が生じた際に循環部品が僅かに浮き上がることで循環経路の全長が長くなって循環不良を解消する効果が期待できるものの、ボールの循環不良による循環部品の浮き上がりが大きくなりすぎると、ボールの循環に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、循環部品をナットに確実、且つ容易に固定することができると共に、転動体の循環不良の発生時に循環部品の浮き上がりを防止することができ、しかも循環部品の低コスト化を図ることができるボールねじ装置を提供することを目的とする。
前記循環部品を樹脂製とすると共に、該循環部品を金属製の押え具を用いて前記ナットに固定したことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2において、前記押え具を絞り加工により製作したことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記循環部品の前記ナットの側面から露出する部分の60%以上を前記押え具で覆ったことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記押え具に補強リブを設けたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一項において、前記押え具の曲げ部分の一部に凸部を設けたことを特徴とする。
前記循環部品を板金プレス加工により製作した金属製の押え具を用いて前記ナットに固定し、且つ前記押え具の前記ナットの座面に補強用の曲げ部を設けたことを特徴とする。
循環部品17は、本体17aと、該本体17aの下面側に設けられてねじ軸12の軸方向に対して略直角方向に延びる柱状又はブロック状等の一対の脚部19とを備えており、一対の脚部19は、ねじ軸12の軸方向に互いに離間し、且つねじ軸12の径方向に互いに離間して配置されている。これらの脚部19は前記両ねじ溝11,13間の負荷領域に連通してナット14の平坦面に穿孔された二個一組の長孔状の循環孔20に嵌合されている。
そして、これらの各ボールすくい上げ通路21及びボール通路22によって、前記両ねじ溝11,13間の負荷領域を転動するボール15を二個一組の循環孔20の内の一方の循環孔20からすくい上げてナット14の外部に導き、他方の循環孔20から前記負荷領域に戻すボール循環経路を循環部品17内に形成している。
このため、ナット14の平坦面には、従来のボールねじ装置のように、ねじ軸12に対して垂直方向に循環孔20を加工しておき、この循環孔20に単純に循環部品17の脚部19をはめ込む構造としながら、脚部19内に形成したボールすくい上げ通路21のボール15の進行方向をねじ軸12の略接線方向で、且つ両ねじ溝11,13のリード角と略一致する方向に傾けることが可能となり、これにより、ナット14の加工が簡単で、且つボール15のすくい上げ通路及び戻し通路の設計的自由度の向上を図ることができる。
この押え具30は、図4〜図6に示すように、ナット14の径方向に長い直方体形状の鋼材の下面略中央に循環部品17の本体17aに嵌め込んで該本体17aを押えるための溝部31が該本体17aの軸方向に沿って斜めに形成されており、該溝部31の両側にはねじ挿通孔33が形成されている。
このようにこの実施の形態では、樹脂製の循環部品17を金属製の押え具30を用いてナット14に固定しているので、樹脂製の循環部品17の座面がクリープ変形することによってねじ34の締め付けが緩む等の心配がなく、該循環部品17をナット14に確実、且つ容易に固定することができ、しかもボール15の循環不良の発生時においても循環部品17の浮き上がりを防止することができる。
図7〜図9は押え具の第1の変形例を示したものであり、この押え具40は、ナット14の径方向に長い金属製の板材の下面略中央に循環部品17の本体17aに嵌め込んで該本体17aを押えるための溝部41が板金プレス加工又は板金曲げ加工等により該本体17aの軸方向に沿って斜めに形成されており、該溝部41の両側はフランジ部42とされ、該フランジ部42にねじ挿通孔43が形成されている。
そして、押え具40の溝部41を循環部品17の本体17aに嵌め込み、この状態で、ねじ挿通孔43に挿通したねじ34をナット14の平坦面に設けたねじ孔(図示せず)に締め付けることにより、循環部品17がナット14に固定される。
このように金属製の板材に板金プレス加工や板金曲げ加工等を施すことにより、押え具40を簡単で安価に製作することができる。
そして、押え具50のキャップ部51を循環部品17の本体17aに嵌め込み、この状態で、ねじ挿通孔53に挿通したねじ34をナット14の平坦面に設けたねじ孔(図示せず)に締め付けることにより、循環部品17がナット14に固定される。
そして、押え具60のキャップ部61を循環部品17の本体17aに嵌め込み、この状態で、ねじ挿通孔63に挿通したねじ34をナット14の平坦面に設けたねじ孔(図示せず)に締め付けることにより、循環部品17がナット14に固定される。
このような構造の押え具であれば、板金の曲げ加工で簡単に製作できるので、プレス加工のように大量生産ではなく、少量を安価に生産するのに適しているが、プレス加工で大量生産してもよいのは勿論である。
例えば、上記第1の態様の実施の形態では、樹脂製の循環部品として、両端部にナット14の循環孔20に嵌合される脚部19を有し、各脚部19内に転動体15をすくい上げる通路21及び戻す通路がそれぞれ脚部21の外周面に対して傾斜して形成されているものを例に採ったが、必ずしもこれに限定されず、循環部品が樹脂製であることを条件に、例えば図29で示したボールねじ装置のチューブ状循環部品8の押え具に本発明を適用してもよい。
この押え具90は、板金プレス加工により製作されたもので、図22〜図24に示すように、ナット6の軸方向に長い金属製の板材の下面略中央に、チューブ式の循環部品8に嵌め込んで該循環部品8を押えるための溝部91が、該循環部品8の軸方向に沿って斜めに形成されている。また、溝部91の両側はフランジ部92とされており、該フランジ部92にはねじ挿通孔93が形成されている。
そして、押え具90の溝部91を循環部品8に嵌め込み、この状態で、ねじ挿通孔93に挿通したねじ9dをナット6の平坦面に設けたねじ孔(図示せず)に締め付けることにより、循環部品8をナット6に固定する。
例えば、上記第2の態様の実施の形態では、フランジ部92(座面)の幅方向両側に、斜め上方に屈曲した補強用の曲げ部95を一体に成形した場合を例に採ったが、補強用曲げ部の数や、曲げ形状は特に限定されず、例えば図26〜図28に示すように、フランジ部92の上面に凸条の補強用曲げ部96を一体に成形するようにしてもよい。
更に、上記第2の態様の実施の形態では、チューブ状循環部品8の押え具に本発明を適用した場合を例に採ったが、これに代えて、図1〜図3に示すように、両端部にナット14の循環孔20に嵌合される脚部19を有し、各脚部19内に転動体15をすくい上げる通路21及び戻す通路がそれぞれ脚部21の外周面に対して傾斜して形成された循環部品に本発明を適用してもよい。
11 ねじ溝
12 ねじ軸
13 ねじ溝
14 ナット
15 ボール
17 樹脂製循環部品
19 脚部
20 循環孔
21 ボールすくい上げ通路
30 金属製押え具
70 リブ
80 凸部
90 金属製押え具
95 補強用曲げ部
96 補強用曲げ部
Claims (8)
- 外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、該ねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有して前記ねじ軸に螺合されるナットと、前記両ねじ溝間の負荷領域に転動可能に装填された多数の転動体と、前記負荷領域を転動する前記転動体を前記ナットの側面に設けられた二個一組の循環孔の内の一方の循環孔から該ナットの外部に導き、他方の循環孔から前記負荷領域に戻す転動体循環経路を内部に形成すべく前記各循環孔に両端部が嵌合された循環部品とを備えたボールねじ装置において、
前記循環部品を樹脂製とすると共に、該循環部品を金属製の押え具を用いて前記ナットに固定したことを特徴とするボールねじ装置。 - 前記押え具を板金プレス加工により製作したことを特徴とする請求項1に記載したボールねじ装置。
- 前記押え具を絞り加工により製作したことを特徴とする請求項2に記載したボールねじ装置。
- 前記循環部品の前記ナットの側面から露出する部分の60%以上を前記押え具で覆ったことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載したボールねじ装置。
- 前記押え具に補強リブを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載したボールねじ装置。
- 前記押え具の曲げ部分の一部に凸部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載したボールねじ装置。
- 外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、該ねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有して前記ねじ軸に螺合されるナットと、前記両ねじ溝間の負荷領域に転動可能に装填された多数の転動体と、前記負荷領域を転動する前記転動体を前記ナットの側面に設けられた二個一組の循環孔の内の一方の循環孔から該ナットの外部に導き、他方の循環孔から前記負荷領域に戻す転動体循環経路を内部に形成すべく前記各循環孔に両端部が嵌合された循環部品とを備えたボールねじ装置において、
前記循環部品を板金プレス加工により製作した金属製の押え具を用いて前記ナットに固定し、且つ前記押え具の前記ナットの座面に補強用の曲げ部を設けたことを特徴とするボールねじ装置。 - 前記循環部品は、両端部に前記ナットの前記循環孔に嵌合される脚部を有し、各脚部内に前記転動体をすくい上げる通路及び戻す通路がそれぞれ前記脚部の外周面に対して傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載したボールねじ装置。
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