明 細 書
窒素酸化物分解触媒及び窒素酸化物含有排 ガ ス の狰化方法
技術分野
本発明 は窒素酸化物 (以下、 N O x と 略称す る ) を含有 する ガス か ら N 0 X を除去する触媒、 さ ら に詳 し く は N 0 X を直接分解す る触媒及び N O x 含有ガ ス 、 特に N O x , C O , 炭化水素 (以下、 H C と 略称する ) 含有ガ ス の浄化方法 に関する。
背景技術
工業プ ラ ン ト 、 自 動車等か ら排出 さ れる燃焼排ガ ス 中 の N 0 X は光化学ス モ ッ グ の発生原因 と も な り 得 る 物質で あ り 、 環境保全の立場か ら そ の除去方法の開発は、 重大 かつ緊急の社会的課題であ る 。 N 0 X の中で も 、 N []は特に 除去が困難であ り 、 こ れま でに も種々 の方法が検討 さ れ てき た。 例えば接触還元法は有効な手段の ひと つ と して は提案さ れ開発が進め られてい る が、 ア ン モ ニ ア 、 水素 あ る い は一酸化炭素等の還元剤を必要 と し、 更に未反応 還元剤を回収、 あ る いは分解する ための特別の装置を必 要とす る。 これに対 して接触分解法は還元剤な どの特別 な添加剤を必要 とせず、 触媒層を通すだけで窒素 と 酸素 に分解す る方法であ り 、 プ 1 セ ス も単純であ る こ と か ら 最も望ま しい方法であ る。 従来の研究に よれば、 P t , C u O , C 0 3 0 4 な どに N 0分解活性が認め られたが、 何れ も
分解生成物であ る酸素の被毒作用を受け る ため、 実用触 媒と はな り 得なか っ た 〔 「表面」 著者、 内島俊雄、 V o l . 1 8 . No. 3 ( 1 9 8 0 ) 1 3 2 頁〕 。
ま た、 自 動車等のガ ソ リ ン エ ン ジ ン、 ト ラ ッ ク 、 バ ス 等のデ ィ ー ゼルエ ン ジ ンな どか ら排出 さ れる燃焼排ガス 中 に は N 0 X , C O , H C な ど光化学ス モ ッ グの原因にな る と言われてい る有害物質が含ま れてお り 、 環境保全の 立場か らそ の除去方法の開発は重大かつ緊急の社会的課 題であ る。
排ガス 中の N O x 除去法と して は吸着法、 酸化吸収法、 接触還元法な どが-あ る が、 後処理不要の接触還元法が経 済的、 技術的に も有利 と さ れてい る。 こ の接触還元法は 還元ガス の所在下で触媒を通過 さ せる こ と に よ り Ν ΰ χ を 無害な窒素に転化する方法であ り 、 還元剤の種類に よ り 二方法に分け られる。
すなわち水素、 一酸化炭素、 炭化水素等の還元性のガ ス を加えて触媒と接触さ せる いわゆ る非選択還元法 と、 ア ン モニ ア等の還元ガスを加えて触媒と接触さ せ る いわ ゆ る選択還元法であ る。 前者はガス 中 に共存する酸素 と 還元剤の反応後 Ν 0 X 除去反応が進行す る ため多量の還元 剤を必要とす る難点があ るが、 自 動車な どの内燃機関か ら生 じ る排ガス のよ う に一酸化炭素、 炭化永素な どの還 元剤を酸素の等モル以上に既に含有 してい る場合は非選 択還元法で排ガス 中の Ν 0 X を浄化する方が有利であ り 、
自 動車排ガ ス 中の N 0 x 浄化用触媒は非選択還元反応用 の も のが実用化さ れてい る。
自 動車排ガ ス は触媒を用 いな い場合、 第 1 図のよ う な ガス組成を示すが、 N [] X , C O , H Cを同時に除去す る 三元触媒を用 いた場合、 第 2 図のよ う なガス組成にな り 理論空燃比近傍で N0x , C O , H C の 3 成分が浄化 さ れ てい る 。 理論空燃比でのエ ン ジ ン燃焼排ガス は ほぼ次の よ う な組成の も のであ る。
CD : 0.3〜 1.0¾ , ND : 0.05〜 0.15% , H2U 約
H2 : 0.1〜 0.3% , HC : 0.03 - 0.08 ¾ , 約 □ 2 : 0.2~ 0.51 , CD2 : 約 12%
上記排ガ ス 中の N 0 X , C O , H Cが関与す る 化学反応 は次の通 り であ る。 H C は主に炭素数 1 の メ タ ン ( CHJ か ら炭素数 ? の 'ト ル エ ン ( Cマ H 8 ) の広範囲におよぶので ェ チ レ ン (C2H4)を代表 と して示す。
C 0 + ½ 02→ C 02 (1)
C2H4 + 3D2 → 2C02+ 2H20 · · · (2) 2NQ + 2C0 → 2C02+ N2 · , · (3) 6ND + C2H4→ 2C02+ 2H20+ 3N2 (4) 2N0 + 2H2 → 2H20+ N2 · · · (5) CO + H20 → C02 + H2 · ♦ · (6)
2N0 →N2+ 02 (7)
上記触媒に代わ る触媒と して シ リ 力 ゲルゃゼォ ラ ィ 卜 に C uをィ ォ ン交換する方法が提案 さ れてい る が、 次のよ
う な ¾g題があ る。
(1) イ オ ン交換法によ っ て シ リ カ ゲ ル に銅イ オ ンを担持 した触媒は、 初期活性はかな り 高いが、 時間 と と も に 活性が急激に低下する。
(2) Y型ゼォ ラ イ ト ゃモ ルデナ ィ ト を用 いて銅でイ オ ン 交換 した触媒は、 酸素の存在下では分解活性が低い。
(3) Z S M— 5 型ゼォ ラ イ ト を用 いて銅でイ オ ン交換 し た触媒が提案さ れてい る が、 ^分解活性は高いが NOが N2に転化する選択性 ( 2 N0→N2+ []2) が低い と い う 問 題があ る。 (特開昭 6 0 — 1 2 5 2 5 0 号公報) 。 ま た、 自 動車エ ン ジ ン の排ガ ス を浄化す る た .め に実用 化さ れてい る三元触媒を用 いた場合、 前記反応(1) , (2)の 酸化反応に よ り 酸素が消費さ れ、 酸素濃度がかな り 低 く な つ た状態で前記反応 )〜(5)の N 0の還元反応が進行す る。 従 っ て、 三元触媒は理論空燃比 ( 14.6) 近傍でのみ 有効であ り 、 燃料消費率が低 く でき る空燃比の高い領域 では N 0 X を減少さ せる のが困難であ っ た。
〔文献, 触媒, Vol.29, No.7, 1987 Ρ· 598〜 609〕
一方、 デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン の空燃比は 2 0 〜 8 ϋ であ り 、 酸素饞度が高いため、 触媒に よ る ΝΟχ 除去は困難な のが現状であ る。
〔文献, 触媒学会編, 触媒講座 7 , 基本工業反応, 講談 社〕
ディ ー ゼ ル エ ン ジ ン の排ガ ス の組成例を次に示す。
CO : 0· 02〜 0.1% , NO : 0.02〜 0.1% , HC : 0.02- 0.1% , 02 : 5〜 15%
本発明 は従来技術が有する 上記の問題を解決す る こ と を目的 と した も のであ り 、 特定の組成、 結晶構造を有す る結晶性 シ リ ケ 一 ト に銅をイ オ ン交換 した も のが、 N 0の 接触分解触媒と して極めて高い活性を示すばか り でな く NOの N2への選択性が高 く 、 かつ酸素、 SOx の共存下にお いて も 活性が安定 してい る こ と 、 及び理論空燃比近傍及 び理論空燃比よ り 高い領域、 すなわ ち、 酸素が存在す る 状態にお いて N 0 X , C 0、 H Cが減少す る こ と 、 すなわ ち、 前記反応(1)〜 )が起 こ る こ と を見い出 し本発明を完 成する に至 っ た。
発明の開示
すなわち、 本発明 は、
脱水 さ れた状態において、 酸化物のモ ル比で
(1.0 ± 0.4) R20 · 〔 a · M 203 · b · Al 203〕 - ySi02
(上記式中、 R は ア ル カ リ 金属イ オ ン及び /又は水素ィ オ ン 、 M : I族元素、 チ タ ン 、 ク ロ 厶 、 ニ オ ブ、 ア ン チ モ ン か ら な る群か ら選ばれた 1 種以上の元素のィ ォ ン 、 a + b 二 1 , a > 0 , b > 0 , y > 1 2 )
の化学式を有する結晶性 シ リ ケ 一 ト に銅を舍有 さ せてな る こ と を特徴 とす る窒素酸化物分解触媒、
を提供す る も のであ り 、 こ ^ で特に Mが鉄 と ク ロ ム又は 鉄と コ バ ル ト の組合せが好ま し く 、 ま た本発明 は、 .
窒素酸化物、 一酸化炭素、 炭化水素を含有する排ガ ス を浄化する方法において、 排ガス を温度 3 0 0 〜 8 0 ϋ t: の条件下で、 脱水 さ れた状態において、 酸化物のモ ル 比で ( 1.0± 0.4) R20 · C a 203 · bAl 2Q3] - ySiQ2
(上記式中、 R : 了 ル カ リ 金属イ オ ン及び Z又 は水素ィ オ ン 、 M : I族元素、 チ タ ン 、 ク π 厶 、 ニ オ ブ、 了 ン チ モ ン か ら な る群か ら選ばれた 1 種以上の元素のィ ォ ン 、 a + b = 1 , a > 0 , b > ϋ , y 〉 1 2 ) のィヒ学組成を 有する結晶性 シ リ ケ 一 ト に銅を含有さ せた触媒と 接触 さ せる こ と を特徵とする排ガス の淨化方法。
を提供する も のであ り 、 こ 、 で特に Mが鉄と ク ロ ム又は 鉄と コ バ ル ト の組合せが好ま しい。
図面の簡単な説明
第 1 図は 自動車排ガ ス の組成 (触媒な し) 図表、 第 2 図は三元触媒を用 いた場合の排ガ ス の組成図表であ る 。 発明を実施す る ため最良の形態
本発明の触媒は NOの分解反応に極めて高い活性を示 し ま たその活性が長時間にわた っ て持続す る。 本発明の触 媒の作用 について は、 イ オ ン交換 した銅イ オ ン の酸化還 元サ イ ク ル ( C u 2 + ^ C u + ) が容易で、 酸素を比較的低 温で放出する機構と、 本発明の触媒の特異的結晶構造と その構造安定性及び耐熱性等が複合的に作用 してい る も の と考え られる。 .
ま た、 本発明で使用する触媒は CiT 上で C 0 が活性化
しゃす く 、 ま た N 0の分解が起 こ る こ と 、 さ ら に結晶性 シ リ ケ一 ト 上で H Cが活性化 しやすい と い う 特徵があ る c 以下、 本発明の触媒及び該触媒を用 い る排ガス の浄化 方法において詳細に説明する 。
ゼォ ラ イ ト はギ リ シ ャ 語の 「沸騰する石」 を語源とす る こ と に示さ れる如 く 沸石水を含む結晶性ァ ル ミ ノ シ リ ゲ ー ト であ り 、 その組成は一般的に次の式で表わ さ れる c
xM2 n 0 · Al 203 · yS i 20 · zH 2Q
( こ こ で Ti は陽イ オ ン Mの原子価、 X は 0. 8 〜 2 の範囲 の数、 y は 2 以上の数、 z は 0 以上の数であ る。 )
そ の基本構造は珪素を中心 と して 4 つの酸素がそ の頂 点に配位 した S i 04四面体 と、 こ の珪素の代 り に ア ル ミ 二 ゥ ムがそ の中心に あ る A 104四面体 と が 0 /( A 1 + S 1 ) の原子 比-が 2 と な る よ う に互い に酸素を共有 して規則正 し く 三 次元的に結合 した も のであ る 。 そ の結果、 こ の四面体同 士の結合方式の違い に よ っ て大き さ 、 形の異な る細孔を 有する三次元的網目構造が形成さ れ る。 ま た A104四面体 の負電荷は 了 ルカ リ 金属ま た は 了 ルカ リ 土類金属等の腸 イ オ ン と結合す る こ と によ り 電気的に中和 さ れてい る。 一般に こ のよ う に して形成さ れる細孔は 2 〜 3 Aか ら 10 数 Aの大き さ を有する が、 A104四面体 と 結合 してい る金 属陽イ オ ンを、 大き さ ま た は原子価の異な る他の金属陽 イ オ ン と交換する こ と によ っ て細孔の大き さ を変え る こ と ができ る。
ゼォ ラ イ ト は こ の細孔を利用 した気体、 液体の工業的 乾燥剤ま たは 2 種以上の分子の混合物中の分子同士を吸 着分雜する分子篩と して、 ま た、 金属陽イ オ ンを水素ィ オ ン と交換 した も のは固体酸と して作用するため、 こ の 性質を利用 した工業用触媒と して も広 く 用 い られてい る。
ゼォ ラ イ ト に は数多 く の種類があ り 、 X線回折図で特 徵づけ られる結晶構造の違い によ り それぞれ異な る ゼォ ラ イ ト 名 .が付け られてい る。 天然に産出する も の と して は チ ヤ バサ イ ト 、 エ リ オ ナ イ ト 、 モ ルデナ ィ ト 、 ク リ ノ プチ □ ラ イ ト 等があ り 、 ま た合成ゼォ ラ イ ト と して は Α , X , Υ, ラ ー ジ, ポ ー ト モ ルデナ ィ ト , Z S Μ— 5 な ど がよ く 知 られてい る。
こ れ ら の多 く のゼォ ラ イ ト の中で本発明 に使用可能な も のは、 特定の組成構造を有する結晶性 シ リ ケ一 ト に跟 定さ れる。 これ ら の結晶性 シ リ ケ 一 ト は天然に は存在 し な いが、 次の方法で合成さ れる。
本発明で使用す る 上記結晶性 シ リ ケ ー ト は、 シ リ カ の 給源、 II族元素、 希土類元素、 チ タ ン、 バナ ジ ウ ム、 ク ロ ム、 ニオ ブ、 了 ンチ モ ン の酸化物の給源、 了 ル ミ ナ の 給源、 ア カ リ の給源、 水及び有機窒素含有化合物を含 有す る反応混合物をつ く .り 、 こ の混合物を結晶性 シ リ ケ 一 ト が生成する のに至 る時間及び温度で加熱す る こ と に よ り 合成さ れる。
シ リ カ の給源はゼォ ラ イ ト 合成において普通に使用 さ
れ る シ リ カ の化合物であれば、 いずれの シ リ 力 の給源で あ っ て も よ く 、 例え ば固型 シ リ カ 粉末、 コ ロ イ ド 状 シ リ 力 、 又 は水ガ ラ ス 等のケ ィ 酸塩な どが用 い ら れ る 。
I族元素、 チ タ ン 、 ク ロ ム 、 ニ オ ブ、 ア ン チ モ ン の給 源は、 こ れ ら の硫酸塩 、 硝酸塩、 塩化物な ど の化合物が 用 い り れ る 。
族元素の例 と し て は、 鉄、 コ ノ、 'ル ト 、 ル テ ニ ウ ム 、 ロ ジ ウ ム 、 白 金、 パ ラ ジ ゥ ム な どがあ る ο
ア ル ミ ナ の給源 は 、 了 ル ミ ン 酸 ソ 一 ダが最 も 適 し て い る が、 塩化物、 硝酸塩、 硫酸塩、 酸化物又 は氷酸化物な どの化合物が用 い ら れ る 。
了 ル カ リ の給源 は、 ナ ト リ ウ ム な ど の 了 ル カ り 金属 の 氷酸化物、 又 は ァ ル ミ ン 酸、 ケ ィ 酸 と の化合物 な どが用 い ら れ る 。
結晶性 シ リ ケ 一 ト の氷熱合成原料の一つであ る 有機窒 素含有化合物 と し て は、 以下 に示す も のが使用 で き る 。
(1) 有機 ア ミ ン 類 :
II 一 プ ロ ピ リレア ミ ン 、 モ ノ エ タ ノ ー ル 了 ミ ン な ど の 第 1 級ア ミ ン 、
ジ プ 1□ ピ ル 了 ミ ン 、 ジ エ タ ノ ー ル 了 ミ ン な ど の第 2 級 ァ ミ ン 、
ト リ プ 口 ピ ル 了 ミ ン 、 ト リ エ タ ノ 一 ル 了 ミ ン な どの 第 3 級 ア ミ ン 、
又 は エ チ レ ン ジ ァ ミ ン 、 ジ グ リ コ ー ル ァ ミ ン な ど 、
又は上記化合物 と ハ □ ゲ ン化炭化水素 (臭化プ σ ピ ルな ど) と混合物、
そ の他テ ト ラ ブロ ピ ル 了 ン モ ニ ゥ 厶塩な どの第 4 級 ア ン モ ニ ゥ ム塩な ど
(2) 有機了 ミ ン以外の有機窒素含有化合物 :
ピ リ ジ ン 、 ビ ラ ジ ン 、 ビ ラ ゾ一ルな ど、
こ れ ら の各種有機化合物は例示であ っ て、 本発明 は こ れ ら に何等限定さ れる も のではな い。
本'発明の結晶性 シ リ ケ 一 ト は、 従来のゼォ ラ イ ト の構 造中の A1の一部が II族元素、 チ タ ン 、 ク ロ ム 、 ニオ ブ、 ア ン チ モ ン に置きかわ つ た も のであ り 、 さ ら に S 102 / ( M203+A1203) 比が 1 2 以上であ る こ と を特徴 と してお り 、 下記のモ ル組成の反応混合物か ら製造 さ れる。
Si02/ (M 203 + A 1203 ) 12〜 3000
(好ま し く は、 20〜 200)
OH"/SiO 0〜 1.0
(好ま し く は 0.1〜 0.8)
H20/Si02 2~ 1000
(好ま し く は 10〜 200 )
有機窒素含有化合物 / (M 203 + A 1203 )
(好ま し く は 5〜 50)
本発明の結晶性 シ リ ケ ー ト は前記原料混合物を結晶性 シ リ ケ 一 ト が生成す る に充分な温度 と 時間加熱する こ と によ り 合成さ れる が、 水熱合成温度は 8 0 〜 3 0 0 °c好
ま し く は 1 3 0 ~ 2 0 0 °C の範画で あ り 、 また水熱合成 時間は 0. 5 〜 1 4 日 、 好ま し く は 1 〜 1 0 日 であ る。 圧 力 は特に制限を受けな いが、 自 圧で実施する のが望ま し い。
水熱合成反応は所望の温度に原料混合物を加熱 し、 必 要であれば攪拌下に結晶性 シ リ ケ ー ト が形成さ れる ま で 継続さ れる。 か く して結晶が形成さ れた後、 反応混合物' を室温ま で冷却 し、 濾過 し、 水洗を行い、 結晶を分別す る _。 さ ら に普通は 1 0 0 °C以上で 5 〜 2 4 時間程度乾燥 が行われる。
前述 した方法で製造さ れた結晶性 シ リ ケ 一 ト は、 周知 の技術によ り 、 そのま ま で、 あ る い は従来か ら触媒成形 用 と して用 い られてい る 粘結剤等 と 混合 して適当 な大き さ に成形 して、 触媒と して使用 さ れ う る。
本発明の結晶性 シ リ ケ ー ト は一定の結晶構造を有す る 規則正 し い多孔性の結晶性物質であ り 、 一般に表 1 に示 す X線回折パタ ー ンを示す。
表 1 格子面間隔 ( d 値) 相対強度
1 1. 2 土 0. 3 V S
1 0. 0 土 0. 3 V S
6. 7 土 0. 2 W
、 , ί
6. 4 土 0. 2 Μ
6. 0 ― 0. 2 Μ
5. 7 0. 2 W
5. 6 土 0. 2 Μ
4. 6 士 0. 1 W
4. 2 5 士 0. 1 Μ
3. 8 5 土 0. 1 V S
3. 7 5 土 0. 1 S
3. 6 5 士 0. 1 S
3. 3 土 0. 1 Μ
3. 0 5 土 0. 1 W
3. 0 士 0. 1 Μ
V S : 非常に強い 1
S : 強い
Μ : 中級
W :
上記の氷熱合成で得 られる 結晶性'シ リ ケ ー ト は、 N a + な どの ア ル カ リ 金属イ オ ン 、 (C 3 H 4 + な どの有機窒素 含有化合物のィ ォ ンを舍有 してい る。 これ らのィ ォ ン の 一部又は全部を水素イ オ ン に置換す るために は、 空気中 で 4 0 0 〜 ? 0 0 t: の範囲の温度で 2 〜 4 8 時間焼成す る こ と によ り 有機窒素含有化合物を除去 した後、 塩酸な どの強酸に浸漬 して直接 H型にす る方法、 又は 了 ン モ ニ ゥ ム化合物の水溶液に浸漬 して N H 4 型に した後、 焼成 によ り H型にす る方法な どがあ る 。
上記方法で得 られる結晶性 シ リ ケ ー ト 中の了 ル カ リ 金 属イ オ ン 、 永素イ オ ンな どのイ オ ン交換サ イ ト は、 次の 方法によ っ て銅イ オ ン に交換 さ れ、 本発明 の触媒 (以下 本触媒 と略す こ と があ る ) が得 られる。
イ オ ン交換は硫酸銅、 硝酸銅な どの鉱酸塩ま た は酢酸 銅な どの有機酸塩を溶解 した氷溶液中 に結晶性 シ リ ケ ー ト を浸漬す る な どの通常の方法に よ っ て行われる 。 氷溶 液中の銅イ オ ン の濃度は、 目的と す る 銅 イ オ ン交換率に よ っ て任意に選ぶ こ と ができ、 銅イ オ ン は C u + , C u 2 ÷ , C u O H + のいずれかの形で結晶性 シ リ ケ 一 ト 中の陽ィ ォ ン と 交換 してい る。 イ オ ン交換終了後は水で充分洗浄 した 後、 乾燥 して本触媒が得 られる。 本触媒の銅イ オ ン交換 率は、 触媒基剤であ る結晶性 シ リ ケ ー ト 中 に含有 さ れる 交換可能な全陽イ オ ン の少な ぐと も 1 0 %以上であ る こ と が必須であ り 、 交換率が高い程 N 0分解活性が高いので
好ま し く は 4 0 〜 2 0 0 %の範囲であ る。 交換率 1 0 % 以下では有効な N 0分解活性を示さ な い。
銅のイ オ ン交換率は、 イ オ ン交換サ イ ト の中の銅ィ ォ ン の割合を示す も のであ り 、 N a + 2 原子 と C u 2 + 1 原子が イ オ ン交換する と して計算 してい る。
従 っ て交換率 2 0 0 % と は、 イ オ ン交換サ イ ト 全部が 銅でイ オ ン交換さ れた状態 ( C uが 1 個の状態でイ オ ン交 換 さ れてい る ) を示す。
本発明の N 0分解触媒は従来の触媒と 比較 して使用温度 範囲が広 く 、 3 0 0 ~ 1 0 0 0 : の範囲、 好ま し く は、 4 0 0 〜 7 0 0 t—の範囲で用 い られる。
本触媒の工業的使用 に際 しては、 適当 な形に成形 して 使用する こ と が望ま しい。 例えば、 シ リ カ 、 了 ル ミ ナ等 の無機酸化物ま たは粘土をバイ ン ダ 一 と し、 場合によ り 有機物等の成形助剤を使用 して球状、 柱状、 ハニカ ム状 に成形する。 銅イ オ ンで交換す る前の結晶性 シ リ ケ 一 ト をあ らか じめ成形 し、 その成形体を銅イ オ ン で交換 した も ので も本発明の触媒とみなす こ とができ る。 成形体の 大き さ は特に制限さ れない。
本発明の触媒を用 いて、 N O x , C 〇及び H C を含有す る ガスを浄化する場合に は、 本発明の触媒をモ ノ リ ス体 に成形 した も の又は コ 一 ジ ヱ ラ イ ト な どのモ ノ リ ス担体 に本発明の触媒を コ 一テ ィ ン グ して用 い る こ と が好ま し い o
〔例 1 〕
結晶性 シ リ ケ ー ト を次のよ う に して合成 した。
氷ガ ラ ス 、 硫酸第二鉄、 硫酸ア ル ミ ニ ウ ム 、 氷を 36Na20 - (0. lFe 203 · 0. 9A1203 ) · 80Si 02 - 1600 H20 のモ ル比に な る よ う に調合 し、 こ れに硫酸を適当量添加 し、 上記混合物の P Hが 9 前後にな る よ う に した後、 有機 窒素含有化合物 と してプ□ ピ ル ァ ミ ン 、 臭化プ ロ ピ ルを Fe 203 , A 1203 の合計のモ ル数の 2 0 倍加え、 よ く 混合 し、 5 0 0 ccのス テ ン レ ス製オ ー ト ク レ ー プに は り 込ん だ 0
上記混合物を約 5 0 0 rpm にて攪拌 しなが ら 1 6 0 t で 3 時間反応さ せた。 冷却後、 固形分を濾過 し、 洗浄水 の PHが約 8 にな る ま で充分水洗 し、 1 1 0 °C で 1 2 時間 乾燥 し、 5 5 0 °C で 3 時間焼成 した。
こ の生成物の結晶粒径は 1 前後であ り 、 酸化物のモ ル比で表わ した組成は、 脱永の形態で表わ して
(H, Na) 20 · (0. lFe 203 · 0. 9A1203 ) · 80Si02
であ っ た。 こ れを結晶性 シ リ ケ 一 ト 1 と称す る。
こ の結晶性 シ リ ケ ー ト 1 を合成する 場合、 原料の中で 硫酸の代わ り に塩酸な どを用 いて も、 又硫酸第二鉄の代 わ り に塩化第二鉄を用 いて も 、 又水ガ ラ ス の代わ り に シ リ 力 ゾルを用 いて も 同様の シ リ ケ — ト が得 られた。
又、 水熱合成条件 と して 1 6 0 で で 3 日 間反応 さ せる 代わ り に 1 Ί 0 で ま た は 1 8 0 t で 2 日 間反応さ せて も
同様の シ リ ゲ ー ト が得 られた。
結晶性 シ リ ケ 一 ト 1 の原料調合時の硫酸第二鉄と 硫酸 ア ル ミ ニ ウ ム の添加量を Pe203と A1203 の モ ル比に換算 して下記のよ う に変えた £1外は、 結晶性 シ リ ケ 一 ト 1 の 場合と 同 じ操作を繰 り 返 して結晶性 シ リ ケ 一 ト 2 〜 4 を 調製 した。
曰曰性 シ リ ケ 一 ト 1 の調合時において、 硫酸の代わ り に塩酸を用 い、 ま た硫酸第二鉄の代わ り に、 塩化 コ バ ル ト 、 塩化ルテ ニ ウ ム 、 塩化ロ ジ ウ ム 、 塩化チ タ ン 、 塩化 ク ロ ム 、 塩化ア ン チ モ ンを各々 酸化物換算で Pe2U3と 同 じモ ル数だけ添加 した以外は結晶性 シ リ ケ 一 ト 1 と 同 じ 操作を繰 り 返 して結晶性 シ リ ケ ー ト 5 〜 1 0 を調製 した。 これ ら の結.晶性 シ リ ケ ー ト の有機窒素含有化合物を除外 した組成は、 酸化物のモ ル比 (脱水の形態) で表わ して、
(H, Na) 20 · (0. 1M 203 · 0. 9A1203 ) · 80Si02
であ っ た。 こ こで Mは じ a , R u , Rh , ΊΊ, じ r , Sb (結 晶性 シ リ ケ — ト 5 - 1 0 の蕃号順) であ る。
ま た結晶性 シ リ ケ — ト 1 にお いて調合時の Si02/ (0. 1 Fe 203 + 0. 9 A1203 ) 比を 2 0 , 2 0 0 と した以外は結晶 性 シ リ ゲ ー ト 1 と 同 じ操作を繰 り 返 して各々 結晶性 シ リ ケ ― ト 1 1 、 1 2 を調製 し / 0
以上の結晶性 シ リ ケ — ト 1 〜 1 2 の粉末 X 線回祈バタ 一 ン は表 1 に示すパタ ー ンを示す こ と が確 §忍 ό れ 0
以上の結晶性 シ リ ケ — 卜 1 1 2 のそ れぞれ 1 ϋ g を' 酢酸銅 1 g を 5 0 0 ccの水に溶解 した水溶液の中 に 入れ 室-温にて 1 2 時間攪拌す る ィ ォ ン交換操作を行 つ た
[: こ の イ オ ン交換操作を 3 回繰 り 返 し行 っ た後、 水洗 し、 1 0 0 で 1 2 時間乾燥 し、 触媒 1 ~ 1 2 (結晶 シ リ ケ — ト の番号に対応) を調
し '― o
触媒 1 ~ 1 2 を 1 6 ~ 3 2 メ ッ シ ュ に整粒 し、 触媒 0. 5 g を常圧固定床流過式反応器に充塡 し、 次の反応条 件下で活性評価試験を行 つ た。 そ の結果を表 2 に示す。
ガス組成 : NO : 0. 5% , 0. 1% , He ラ ン ス
ガ ス流量 : 1 反応温度 : 5 0 0 °C
なお、 反応 した N 0は全て N 2 , 02 に転化 ( 2 N 0→ N
02) してお り 選択性の高い こ と がわか っ た。
〔例 2 〕
例 1 の触媒 1 を 0. 5 g 、 常圧固定床流過式反応器に充 塡 し、 反応条件をかえて、 活性評価試験を行 っ た c そ の 結果を表 3 に示す。
ガ ス 流量 反応温度 NO転化率 (% ) ガ ス 組 成
( 1 / ^h) ( V ) 初 期 100h後 Π 1 % , He 、 ラ ン ス 1 450 86 86
2 75 75
4 60 60
NO 2000 PPm 0. 5 450 73 72
02 1% , H 20 2% 0. 5 500 80 80
Heノ ラ ン ス 0. 5 550 84 84
NO 1000 PPm 1 500 74 72
S02 100
Π2 2% 1 550 79 78
H Rバ ラ ン ス
なお、 反応 した N []は全て N 2 , 02に転化 して いた。
以上のよ う に本発明の触媒は S 02 が含有 したガ ス を用 いて も活性が高い こ と 、 ま た活性の経時変化が少な い こ とがわかっ た。
〔例 3 〕
例 1 の結晶性 シ リ ケ — ト 1 の原料調合時の硫酸第二鉄 の代わ り に塩化第二鉄と塩化ク π ム の混合物を用 い、 36 N a 20 · (0. 09Fe 203 - 0. Ol Cr 2Q3 · 0. 9 A 1203 )
のモ ル比にな る よ う に調合 した点以外は、 結晶性 シ リ ケ ー ト 1 と 同 じ方法.で結晶性 シ リ ケ ー ト 1 3 を得、 同 じ方 法で Cuイ オ ン交換を行い (ただ し イ オ ン交換操作 2 回繰 り 返 した) 触媒 1 3 ( Cuイ オ ン交換率 1 1 0 % ) を得た 例 1 と 同 じ活性評価を行 っ た結果、 N 0転化率は 8 0 % であ っ た。
例 1 の結晶性 シ リ ケ ー ト 1 の原料調合 の硫酸第二鉄 を添加せず
36Na20 ♦ AI 2O3 - 80Si 02 · 1600H2Q
のモ ル比にな る よ う に調合 し、 これに塩酸を適当量添加 し、 上記 合物の P Hが 9 前後に な る よ う に した後、 有機 窒素含有化合物と して臭化テ ト ラ ブロ ピ ル 了 ン モ ニ ゥ ム を A 1203 の 2 0 倍加えた以外は実施例 1 と 同 じ操作を繰 返 した。
例 1 と 同様、 銅でイ オ ン交換 し ( Cuイ オ ン交換率 105
% ) 、 同 じ条件活性評価を行 っ た結果、 NO転化率は 7 4 % と 高か っ たが、 反応 した NOの N2への転化率は ? 2 % と 低 く 、 N 02 な どの副生が多い こ と がわか っ た。
〔例 4 〕
例 1 に示 した触媒 1 ~ 1 2 を 1 6 ~ 3 2 メ ッ シ ュ に整 粒 し、 触媒 5 g を常圧固定床流通式反応器に充塡 し、 次の反応条件下で活性評価試験を行 っ た。 そ の結果を表 4 に示す。
ガ ス組成 : NO : 500 ppm , C3H6 : 500 ppm , CO : 0.5
% , 02 : 2% , Heバ ラ ン ス
ガ ス流量 : 2 N £ / h , 反応温度 : 5 0 0 :
^ Cuィ 才 NO C 3 H 6 CO
fc 1 ル ノレ τ
ノ父傻 E化伞 ¾ィ匕率 ¾ィ匕率 率 (%) (%) (%) {%)
1 1 ϋ 8 n 匚 n
o 95 r 97
2 14 U o 7 a 7 98
3 I t) U 9 L 1 u u 100
4 ■ 1t4i 0 88 99 1 八 π
100
5 110 81 93 95
6 105 80 92 94
7 105 81 92 94
8 100 80 91 94
9 110 84 95 96
10 110 85 94 96
11 95 81 93 95
12 130 89 99 99
〔例 5 〕
例 1 の触媒 1 を 0. 5 g、 常圧固定床流通式反応器に充 塡 し、 反応条件を変えて活性評価試験を行 っ た。 そ の結 果を表 □ に不す。
以上のよ う に本発明で使用 さ れる触媒は、 S ϋ 2 が含有 したガ スを用 いて も Ν 0 , C 0 , H C に対す る活性が高 い こ と 、 ま たそ の活性の経時変化が少な い こ と がわか つ
〔例 6 〕
例 1 の結晶性 シ リ ケ — ト 1 の原料諷合時の硫酸第二鉄 を添加 しない こ と 、 ま た有機化合物を添加せずに、 36 Na2D · A1203 · 80 S i 02 · 1600 H20 のモ ル比にな る よ う に調合 した点以外は結晶性 シ リ ケ 一 ト 1 と 同 じ方法で 結晶性 シ リ ケ 一 ト 1 4 を得、 同 じ方法で Cuイ オ ン交換を 行い触.媒 1 4 (ィ オ ン交換率 1 0 5 % ) を得た。
こ の触媒 1 4 と例 3 の触媒 1 3 を用 い、 例 5 と 同 じ活 性評価試験を行 つ た結果を表 6 に示す。
表 6
〔例 ? 〕
コ ー ジ ュ ラ イ ト 製の 4 0 0 メ ッ シ ュ のモ ノ リ ス担体 2 ^ に、 触媒 1 を 8 0 部と 了 ル ミ ナ ゾル 2 0 部を混合 して
ス ラ リ ー と した も のを コ ー ト し 5 0 0 °cで焼成 した。 触 媒担持量 は 1 5 wt% であ っ た
上記触媒に 1 8 0 0 ccェ ン ジ ンを空燃比 1 8 、 回転数 2 0 0 0 rpm 、 マ 二 ホ ー ル ド負圧 4 0 0 ram Hgで運転 した 時の排ガ ス ( Ν 0 X 濃度 2 0 0.0 ppm 、 全炭化水素濃度
1 5 0 0 ppm . CO濃度 2 0 0 0 p m 、 排ガス の触媒槽入 口温度 5 0 0 で ) を流通 さ せた結果、 N ϋ X 転化率 7 8 % HC転化率 9 0 %、 CO転化率 9 2 %であ っ た。
〔例 8 〕
例 1 の結晶性 シ リ ケ ー ト 1 の原料調合時の硫酸第二鉄 の代わ り に塩化 二鉄 と塩化コ バル ト の混合物を用 い、 13.5 Na20 - (0.08 Fe203 - 0.08 Co 203 · 0.84 Al 2U3) · 30 Si 02 - 1600 H20 の モ ル比に な る よ う に調合 した点以 外'は、 結晶性 シ リ ゲ ー ト 1 と 同 じ方法で結晶性 シ リ ケ 一 ト 1 5 を得、 同 じ方法で銅ィ オ ン交換を行い (ただ し ィ オ ン交換操作 2 回繰返 した) 触媒 1 5 ( イ オ ン交換率 1 2 0 % ) を得た。
例 1 と 同 じ活性評価試験を行 っ た結果を表 7 に示す 表 7 触媒 Cuィ ォ ン NO転化率 C co !
No. 交換率 転化率 転化率 ;
( % ) ( % ) ( % ) ( % ) :
15 120 85 - 100 98
産業上の利用可能性
本発明の結晶性 シ リ ケ ト に銅を舍有さ せた触媒は、 排ガ ス 中の N 0 X を N 2 , 02 に分解する触媒と して有効に 使用でき る。
ま た、 本発明の結晶性 シ リ ケ ー ト ί; 銅を舍有さ せた触 媒を用 い る こ と によ り 、 NOx , C O , H C を含有する排 ガ ス 中の NDx , C O , H C を効率的 低減さ せる こ と が 可能と な る。