JPWO2020208842A5 - - Google Patents

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非特許文献1には、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいて、コハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)、ピルビン酸:キノンオキシドレダクターゼ(PQO)等の所定の代謝酵素を不活化し、かつ所定の一アミノ酸置換を導入した変異型ピルビン酸カルボキシラーゼと、野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼとを過剰発現させると、コハク酸の生産量が向上したことが示されている。非特許特許文献は、コハク酸の生産に注目する技術を開示する文献であるから、工業生産に応用できるアスパラギン酸や関連代謝物の発酵生産に関する知見は記載も示唆もされていない。
非特許文献3には、コリネバクテリウム・グルタミカム由来のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼに対して、D299N等の所定の一アミノ酸置換を施した場合において、酵素活性を維持しつつ、野生型と比較して、アスパラギン酸やα-ケトグルタル酸等によるフィードバック阻害が減じられること、並びに上記一アミノ酸置換が施された変異型ppcを導入したコリネバクテリウム・グルタミカムにおいてグルタミン酸やアスパラギン酸の生産量が向上することが示されている。しかしながら、本発明者が、再現試験により確認したところ、非特許文献3に記載の上記変異型ppcを導入したコリネバクテリウム・グルタミカムでは、十分な量のアスパラギン酸の生産量を実現することはできなかった(例えば、下記の実施例の項を参照)。したがって、非特許文献3は、工業生産に応用できるアスパラギン酸や関連代謝物の発酵生産に関する知見を記載する文献ではない。
[4]細菌由来の変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする核酸が、該変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼを発現可能な形態で導入されており、該変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼは、上記遺伝子組換え微生物に対して条件(III)を充足せしめる少なくとも1つのアミノ酸変異を有する、[1]~[3]の何れか1つに記載の遺伝子組換え微生物。
なお、本発明においては、[4]において「細菌由来の変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする核酸」を「微生物、植物、原核生物又は細菌由来の外来性ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする核酸」と読み替えることによる実施形態も採用され得る。
[21][19]又は[20]に記載の核酸が導入された、遺伝子組換え微生物。
[22]下記の条件(I)又は(II)を充足し、かつ条件(III)を充足する、[21]に記載の遺伝子組換え微生物:
条件(I)上記遺伝子組換え微生物に対応する野生型微生物と比較して、コハク酸デヒドロゲナーゼ活性又はフマル酸還元酵素活性が低減され又は不活化されていること;
条件(II)上記野生型微生物と比較して、乳酸デヒドロゲナーゼ活性が低減され又は不活化されていること;
条件(III)野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性におけるアスパラギン酸によるフィードバック阻害に対し抵抗性を示す改変型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性、又は上記野生型微生物が示す野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性よりもアスパラギン酸によるフィードバック阻害に対する抵抗性が高い外来性ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性を有すること。
さらに、いくつかの実施形態においては、本発明に係る遺伝子組換え微生物は、グラム陽性菌(例えば、放線菌)に属する微生物である。さらに、別のいくつかの実施形態においては、本発明に係る遺伝子組換え微生物は、グラム陰性菌に属する微生物であってもよい。グラム陰性菌は、具体的には、プロテオバクテリア門に属する微生物であり、より詳細には、アルファ-、ベータ-、ガンマ-、デルタ-、イプシロン-若しくはゼータ-プロテオバクテリア綱に属する微生物、及びオリゴフレクス綱に属する微生物を含む。本発明において好ましく利用できるグラム陰性菌の例としては、腸内細菌科、ビブリオ科又はシュードモナス科に属する微生物が挙げられる。
ここで、「コリネ型細菌」とは、バージーズ・マニュアル・デターミネイティブ・バクテリオロジー(Bargeys Manual of Determinative Bacteriology,第8巻,p.599、1974年)に定義されている一群の微生物を言う。
より詳細には、コリネ型細菌としては、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属菌、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属菌、アースロバクター(Arthrobacter)属菌、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属菌、マイクロコッカス(Micrococcus)属菌、マイクロバクテリウム(Microbacterium)属菌等が挙げられる。
なお、実施形態(I)~(IV)は、言うまでもないが、各条件に規定される各酵素活性の低減又は不活化を実現するために、それぞれ独立に採用され得る。加えて、1つの条件を充足させるために、特に矛盾の生じない範囲において、実施形態(I)~(IV)のうち少なくとも2つの実施形態を採用してもよい。例えば、条件(I)を充足するために、実施形態(I)及び(II)の両方を採用してもよく、より具体的には、各遺伝子のコード領域と遺伝子発現調節領域との両方を微生物のゲノムにおいて破壊してもよい。加えて、例えば、条件(I)を充足させるために実施形態(I)及び(II)の両方を採用し、条件(II)を充足させるために実施形態(III)を採用してもよい。
〔相同組換えによる遺伝子破壊法〕
(1)破壊すべき標的領域の決定と同領域のクローニング
Corynebacterium属菌、Escherichia属菌、Bacillus属菌、Clostridium属菌等の多くの細菌、さらにSaccharomyces cerevisiaeYarrowia lipolytica等の各種菌類は、全ゲノム配列が決定されており、そのヌクレオチド配列並びに各遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列も既知である。
例えば、本発明において好ましく利用され得る微生物の1つであるCorynebacterium glutamicumについて言えば、ATCC13032株、R株、ATCC21831株、ATCC14067株等の多数の菌株において全ゲノム配列が決定されており、そのヌクレオチド配列等は既知である。さらに加えて、Corynebacterium efficiens YS-314株;Corynebacterium callunae DSM20147株;Corynebacterium ammoniagenes DSM20306株;Corynebacterium marinum DSM44953株;Corynebacterium humireducens NBRC106098株(DSM45392株);Corynebacterium halotolerans YIM70093株(DSM44683株);Corynebacterium deserti GIMN1.010株;Corynebacterium maris DSM45190株;Corynebacterium doosanense CAU212株(DSM45436株)等のコリバクテリウム属菌株について全ゲノム配列が決定されており、それらヌクレオチド配列等は既知である。さらに、全ゲノム配列が決定されていないにしても、条件(I)、(II)、(IV)及び(V)に係る各酵素活性を付与する各酵素遺伝子のヌクレオチド配列並びに該酵素のアミノ酸配が既知である微生物も存在する。
これら既知のヌクレオチド配列やアミノ酸配列は、ナショナル・センター・フォー・バイオテクノロジー・インフォメーション・サポート・センター(National Center for Biotechnology Information Support Center;NCBI)(アメリカ合衆国メリーランド州ベセスダ・ロックビルパイク8600)がインターネット上で公開するデータベース(URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等の各種データベースから容易に入手可能である。
Figure 2020208842000001
Figure 2020208842000002
Figure 2020208842000003
遺伝子破壊用プラスミドベクターの別の例として、微生物ゲノム上において破壊したい部分の両側に位置する領域(つまり、ゲノム上から除去したい領域の5’上流と3’流)がタンデムに連結された断片を含むプラスミドベクターを利用することも可能である。このような破壊用プラスミドは、例えば、破壊の標的とする酵素遺伝子の5’上流領域と3’下流領域とをPCR法によりそれぞれ増幅し、それら断片がタンデムに連結された形態において、プラスミドベクターのマルチクローニングサイト等の所定の箇所に挿入することで取得することができる。あるいは、破壊したい酵素遺伝子の5’上流から3’下流までの全域をPCR法により増幅し、各種プラスミドベクターを用いてクローニングした後、クローニングした領域の内部に逆向きのプライマーを設計し、インバースPCR法により、当該酵素遺伝子の欠損変異が導入された遺伝子破壊用プラスミドベクターを作製してもよい。
次に、「野生型微生物が示す野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性よりもアスパラギン酸によるフィードバック阻害に対する抵抗性が高い外来性ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性」の用語の意義は、下記のとおりである。
即ち、上記の用語は、本発明に係る遺伝子組換え微生物が属する種に対応する野生型微生物、又は本発明に係る遺伝子組換え微生物を作製する上で出発材料として用いられる野生型微生物が保有する野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼが示す「アスパラギン酸によるフィードバック阻害に対する抵抗性」と比較して、アスパラギン酸によるフィードバック阻害に対する抵抗性がより高い外来性ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性を意味する。このような外来性ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性は、具体的には、上記「対応する野生型宿主微生物」とは異なる菌株系統又は生物種」が保有する異種性のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼによって付与され得る。ここで、「野生型宿主微生物とは異なる生物種」は、微生物(例えば、菌類、細菌や細菌等の原核生物)、植物、哺乳類等の動物などの各種生物種を含む。さらに、本発明に係る遺伝子組換え微生物における「外来性ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性」の付与は、より具体的には「野生型宿主微生物とは異なる菌株系統又は生物種」から単離されたPEPC遺伝子をコードする核酸の導入により実現できる。
上述の各実施形態を適宜に採用した遺伝子組換え微生物によれば、糖類等の出発基質を、より効率的に的物質の生産に利用することが可能となり、アスパラギン酸又はこれに派生する代謝産物等の目的物質の生産効率の顕著な向上が期待できる。
炭素源としては、炭水化物、より具体的には多糖類、単糖類を含む糖類等の炭素含有物質、さらにこれらを含む各種材料等が挙げられ、例えば以下の成分が挙げられる。
グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトース等の単糖類;スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、キシロビオース、トレハロースのような二糖類;セルロース,デンプン,グリコーゲン、アガロース、ペクチン、アルギン酸等の多糖類;糖蜜等;稲わら、林地残材、バガス、コーンストーバー等の非可食農産廃棄物や非可食性バイオマス(非可食性の草本植物や木本植物を原料とした資源);スイッチグラス、ネピアグラス、ミスキャンサス等のエネルギー作物を糖化酵素などで糖化したグルコースやキシロース等の複数の糖類を含む糖化液;マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グリセリン等の糖アルコール;酢酸、クエン、乳酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸等の有機酸;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;ノルマルパラフィン等の炭化水素。
なお、炭素源は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
窒素源としては、炭酸アンモニウム((NHCO)、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機又は有機アンモニウム化合物、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等を使用できる。さらに、コーンスティープリカー、肉エキス、蛋白質加水分解物(カザミノ酸、トリプトン、ペプトン、NZ-アミン等)、アミノ酸等の含窒素有機化合物等も使用できる。
なお、窒素源は、1種を単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。窒素源の培地中の濃度は、採用する遺伝子組換え微生物の種類やその性質、窒素化合物の種類等の条件に応じて適宜調すればよく特に限定されるものでもないが、例えば約0.1~10w/v%とすることができる。
無機塩類としては、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、硫酸マグネシウム(水和物)、塩化ナトリウム、硫酸鉄(II)七水和物、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、炭酸カルシウム等が挙げられる。
なお、無機塩は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。無機塩類の培地中の濃度は、採用する遺伝子組換え微生物の種類やその性質、無機塩類の種類等の条件に応じて適宜調すればよく特に限定されるものでもないが、例えば約0.01~1(w/v%)とすればよい。
さらに、その他栄養物質としては、肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティープリカー、脱脂粉乳、脱脂大豆塩酸加水分解物、動植物又は微生物菌体のエキスやそれらの分解物等が挙げられる。その他栄養物質の培地中の濃度は、採用する遺伝子組換え微生物の種類やその性質、栄養物質の種類等の条件に応じて適宜調すればよく特に限定されるものでもないが、例えば約0.1~10(w/v%)とすればよい。
炭素源としては、炭水化物、より具体的には多糖類、単糖類を含む糖類、さらにこれらを含む各種材料が挙げられ、例えば以下の成分が挙げられる。
グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトースのような単糖類;スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、キシロビオース、トレハロースのような二糖類;セルロース,デンプン,グリコーゲン、アガロース、ペクチン、アルギン酸等の多糖類;糖蜜等;稲わら、林地残材、バガス、コーンストーバー等の非可食農産廃棄物や非可食性バイオマス(非可食性の草本植物や木本植物を原料とした資源);スイッチグラス、ネピアグラス、ミスキャンサス等のエネルギー作物を糖化酵素などで糖化したグルコースやキシロース等の複数の糖類を含む糖化液;マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グリセリン等の糖アルコール;酢酸、クエン、乳酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸等の有機酸;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;ノルマルパラフィン等の炭化水素。
還元条件にある反応媒体(X)の調方法は、特に制限されることもなく各種手法を用いることができ、例えば、次のような反応液用水溶液を調製する公知の手法を利用することができる。
即ち、反応媒体の溶媒として、蒸留水等の代わりに反応液用水溶液を使用してもよく、反応液用水溶液の調方法は、例えば硫酸還元微生物などの絶対嫌気性微生物用の培養液調方法(Pfennig, N. et al., (1981) : The dissimilatory sulfate-reducing bacteria,In The Prokaryotes,A Handbook on Habitats Isolation and Identification of Bacteria,Ed.by Starr,M.P.et al., p926-940, Berlin,Springer Verlag.)や「農芸化学実験書 第三巻、京都大学農学部 農芸化学教室編、1990年第26刷、産業図書株式会社出版」などが参考となり、所望の還元条件下の水溶液を得ることができる。
具体的には、蒸留水などを加熱処理や減圧処理して溶解ガスを除去することにより、還元条件の反応液用水溶液を得ることができる。この場合、約10mmHg以下、好ましくは約5mmHg以下、より好ましくは約3mmHg以下の減圧下で、約1~60分程度、好ましくは約5~40分程度、蒸留水などを処理することにより、溶解ガス、特に溶解酸素を除去して還元条件下(嫌気状態)の反応液用水溶液を作成することができる。
さらに、適当な還元剤(例えば、チオグリコール酸、アスコルビン酸、システィン塩酸塩、メルカプト酢酸、チオール酢酸、グルタチオン、硫化ソーダ等)を添加して還元条件の反応液用水溶液を調することもできる。
これらの方法を適宜組み合わせることも有効な還元条件の反応液用水溶液の調方法である。
好ましい実施形態においては、上記変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼは、下記の(J)~(L)の何れか1つに示すアミノ酸配列を有する変異型PEPCである。
(J)配列番号2~13(好ましくは配列番号2~12、より好ましくは配列番号2~11)の何れか1つに示すアミノ酸配列において、上記(g)に示すアミノ酸置換と、上記(i)又は(l)に示すアミノ酸置換とを導入してなるアミノ酸配列(ただし、置換前のアミノ酸と置換後のアミノ酸は異なるものとする。);
(K)上記()に規定のアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列(但し、上記各アミノ酸置換は維持されているものとする。);
(L)上記()に規定のアミノ酸配列に対して少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列(但し、上記各アミノ酸置換は維持されているものとする。)。
[試験例3]
試験例1及び2では、組換えコリネ型細菌を、予め、A培地及びNA培地を用いて好気培養条件下に増殖させた後、遠心分離により培養液を取り除き、分離した菌体細胞を所定量のBT液に懸濁させてアスパラギン酸の生産反応を行った。これに対して、本試験例では、組換えコリネ型細菌をA培地及びNA培地を用いて好気培養条件下に増殖させた後に、遠心操作などにより菌体細胞は分離せずに、培養液をそのまま用いてアスパラギン酸生産反応を行った。以下に、その手順を示す。
(結果)
アミノ酸分析により得られたクロマトグラを図7に示す。なお、図7に示すクロマトグラにおいて、7分あたりに見られるピークがアスパラギン酸のピークである。さらに、以下の表27に、取得した組換えエシェリキア・コリ菌株の遺伝子型、アスパラギン酸生産試験により算出したアスパラギン酸生産効率(%)等を示す。アスパラギン酸生産効率(%)の値は、菌体に取り込まれたグルコース0.5モルに対する実際に生成されたアスパラギン酸の割合である。この値は、アスパラギン酸が、理論上、グルコース1モルから2モルできることに基く値である。

Claims (27)

  1. (p)遺伝子組換え微生物の菌体又はその菌体処理物を用いて目的物質を生成させること;並びに
    (q)上記目的物質を回収すること、
    を含み、
    上記遺伝子組換え微生物は、下記の条件(I)~(III)の全てを充足し、
    上記目的物質は、上記遺伝子組換え微生物において左回りに代謝が進むTCAサイクルを介して生成される代謝産物であり、かつオキサロ酢酸、リンゴ酸若しくはフマル酸であり又は生合成経路上これらの化合物を経由する代謝産物である、
    目的物質を生産する方法:
    条件(I)上記遺伝子組換え微生物に対応する野生型微生物と比較して、コハク酸デヒドロゲナーゼ活性又はフマル酸還元酵素活性が低減され又は不活化されていること;
    条件(II)上記野生型微生物と比較して、乳酸デヒドロゲナーゼ活性が低減され又は不活化されていること;
    条件(III)野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性におけるアスパラギン酸によるフィードバック阻害に対し抵抗性を示す改変型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性、又は上記野生型微生物が示す野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性よりもアスパラギン酸によるフィードバック阻害に対する抵抗性が高い外来性ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性を有すること。
  2. 上記目的物質が、アスパラギン酸又はこれから誘導される代謝産物である、請求項に記載の方法。
  3. (p)遺伝子組換え微生物の菌体又はその菌体処理物を用いて目的物質を生成させること;並びに
    (q)上記目的物質を回収すること、
    を含み、
    上記遺伝子組換え微生物は、下記の条件(I)~(III)の全てを充足し、
    上記目的物質は、アスパラギン酸又はこれから誘導される代謝産物である、
    目的物質を生産する方法:
    条件(I)上記遺伝子組換え微生物に対応する野生型微生物と比較して、コハク酸デヒドロゲナーゼ活性又はフマル酸還元酵素活性が低減され又は不活化されていること;
    条件(II)上記野生型微生物と比較して、乳酸デヒドロゲナーゼ活性が低減され又は不活化されていること;
    条件(III)野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性におけるアスパラギン酸によるフィードバック阻害に対し抵抗性を示す改変型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性、又は上記野生型微生物が示す野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性よりもアスパラギン酸によるフィードバック阻害に対する抵抗性が高い外来性ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性を有すること。
  4. 工程(p)において、上記遺伝子組換え微生物が実質的に増殖しない還元条件下の反応媒体(X)中で、該遺伝子組換え微生物の菌体又はその菌体処理物を反応させることにより目的物質を生成させる、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
  5. 上記反応媒体(X)の酸化還元電位が、-200ミリボルトから-500ミリボルトの範囲にある所定の値である、請求項4に記載の方法。
  6. 上記反応媒体(X)が糖類を含む、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 上記反応媒体(X)がグルコースを含む、請求項4~6の何れか1項に記載の方法。
  8. 工程(p)の前に、
    (p’)所定の培地(Y)中で、好気条件下に、上記遺伝子組換え微生物を予め培養し及び増殖させること、
    をさらに含み、工程(p’)において増殖させた該遺伝子組換え微生物の菌体又はその菌体処理物を工程(p)に供試する、請求項~7の何れか1項に記載の方法。
  9. 上記目的物質が、オキサロ酢酸、リンゴ酸又は生合成経路上これらの化合物を経由する代謝産物である、請求項~8の何れか1項に記載の方法。
  10. 上記目的物質が、アスパラギン酸、ベータアラニン、又はアスパラギンである、請求項の何れか1項に記載の方法。
  11. 上記遺伝子組換え微生物は、さらに、条件(IV)として、上記野生型微生物と比較して、ピルビン酸:キノンオキシドレダクターゼが低減され又は不活化されていることを充足する、請求項1~10の何れか1項に記載の方法。
  12. コリネ型細菌に属する微生物が保有する野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼのアミノ酸配列に対して、該野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性におけるアスパラギン酸によるフィードバック阻害を低減し得る少なくとも1つのアミノ酸変異を有し、
    少なくとも1つのアミノ酸変異が、配列番号2に示すアミノ酸配列を基準として、下記の(g)に示すアミノ酸置換と、下記の(h)~(l)に示すアミノ酸置換のうち少なくとも1つとを含み、かつ下記の(g)~(l)の何れか1つに規定のアミノ酸置換のみを有してなるタンパク質よりも、アスパラギン酸によるフィードバック阻害に対する抵抗性が高い、変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ:
    (g)第299番目のアスパラギン酸に相当するアミノ酸のアラニン、アスパラギン、グリシン又はセリンへのアミノ酸置換
    (h)第653番目のリシンに相当するアミノ酸のアラニン、アスパラギン又はセリンへのアミノ酸置換;
    (i)第813番目のリシンに相当するアミノ酸のアラニン、アスパラギン、グリシン又はセリンへのアミノ酸置換;
    (j)第869番目のセリンに相当するアミノ酸のアラニン、アスパラギン又はグリシンへのアミノ酸置換;
    (k)第873番目のアルギニンに相当するアミノ酸のアラニン、アスパラギン、グリシン又はセリンへのアミノ酸置換;及び
    (l)第917番目のアスパラギンに相当するアミノ酸のアラニン、フェニルアラニン、グリシン又はセリンへのアミノ酸置換。
  13. 上記少なくとも1つのアミノ酸変異が、上記(g)に規定のアミノ酸置換と、上記(i)、(k)又は(l)に示すアミノ酸置換のうち少なくとも1つとを含む、請求項12に記載の変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ。
  14. 下記の(J)、(K)及び(L)の何れか1つに示すアミノ酸配列を有する、請求項12又は13に記載の変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ:
    (J)配列番号2~13の何れか1つに示すアミノ酸配列において、上記アミノ酸置換を導入してなるアミノ酸配列;
    (K)上記(J)に規定のアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列(但し、上記各アミノ酸置換は維持されているものとする。);
    (L)上記(J)に規定のアミノ酸配列に対して少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列(但し、上記各アミノ酸置換は維持されているものとする。)。
  15. 上記(J)に規定のアミノ酸配列は、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して、上記アミノ酸置換を導入してなるアミノ酸配列である、請求項14に記載の変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ。
  16. 配列番号2~13の何れか1つに示すアミノ酸配列に対して、上記アミノ酸置換を導入してなるアミノ酸配列を有する、請求項12~15の何れか1項に記載の変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ。
  17. 請求項12~16の何れか1項に記載の変異型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする核酸。
  18. DNA断片である、請求項17に記載の核酸。
  19. 請求項17又は18に記載の核酸が導入された、遺伝子組換え微生物。
  20. 下記の条件(I)~(III)の全てを充足する、請求項19に記載の遺伝子組換え微生物:
    条件(I)上記遺伝子組換え微生物に対応する野生型微生物と比較して、コハク酸デヒドロゲナーゼ活性又はフマル酸還元酵素活性が低減され又は不活化されていること;
    条件(II)上記野生型微生物と比較して、乳酸デヒドロゲナーゼ活性が低減され又は不活化されていること;
    条件(III)野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性におけるアスパラギン酸によるフィードバック阻害に対し抵抗性を示す改変型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性、又は上記野生型微生物が示す野生型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性よりもアスパラギン酸によるフィードバック阻害に対する抵抗性が高い外来性ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性を有すること。
  21. さらに、条件(IV)として、上記野生型微生物と比較して、ピルビン酸:キノンオキシドレダクターゼが低減され又は不活化されていることを充足する、請求項20に記載の遺伝子組換え微生物。
  22. グラム陽性菌に属する遺伝子組換え微生物である、請求項1921の何れか1項に記載の遺伝子組換え微生物。
  23. コリネ型細菌に属する遺伝子組換え微生物である、請求項22に記載の遺伝子組換え微生物。
  24. グラム陰性菌に属する遺伝子組換え微生物である、請求項1921の何れか1項に記載の遺伝子組換え微生物。
  25. エシェリキア属に属する遺伝子組換え微生物である、請求項24に記載の遺伝子組換え微生物。
  26. さらに、条件(V)として、上記野生型微生物と比較して、ピルビン酸ギ酸リアーゼ活性が低減され又は不活化されていることを充足する、請求項24又は25に記載の遺伝子組換え微生物。
  27. (p)請求項19~26の何れか1項に記載の遺伝子組換え微生物を用いて目的物質を生成させること;並びに
    (q)上記目的物質を回収すること
    を含む、目的物質を生産する方法。
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