JP5254353B2 - 2−デオキシ−シロ−イノソース(doi)生産細菌及びこれを用いた2−デオキシ−シロ−イノソース(doi)生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スクロースから2−デオキシ−シロ−イノソース(DOI)を生産する細菌とそれを用いたDOI生産方法に関する。
2−デオキシ−シロ−イノソース(以下、DOIともいう)は、医薬原料や化学工業資源として用いられる有用な物質である。例えば、特開2000−236881号公報によれば、2−デオキシ−シロ−イソノースは、大腸菌を用いて得られた組換えDOI合成酵素を使用して、グルコース−6−リン酸(G−6−P)から短工程で生産できることが明らかとなっている。さらに、例えば、国際公開2006/109479号パンフレットによれば、DOI合成酵素を発現させた大腸菌を用いて、グルコースから一段階でDOIを生産する方法も開発されている。これにより、植物由来資源より得られるグルコースからDOIを生産することが可能になった。
しかしながら、Journal of Biotechnology,Vol.129,pp.502−509(2007)によれば、国際公開2006/109479号パンフレットに記載のDOI生産方法では、原料としてグルコースを使用すると共に、菌体の増殖/生育のために、希少で且つ高価な糖であるマンニトールを別途必要とすることが明らかになっている。Journal of Biotechnology,Vol.129,pp.502−509(2007)によると、野生型の大腸菌にDOI合成酵素を発現させただけではDOIの生産性は僅か1.5g/Lであり、高い生産性(29.5g/L)を達成するためには、大腸菌が保有する3つの酵素遺伝子、ホスホグルコースイソメラーゼ(pgi)及びグルコース−6−リン酸−1−デヒドロゲナーゼ(zwf)及びホスホグルコムターゼ(pgm)を同時に破壊することが必要であることが示されている。このようにグルコースが解糖系へ入る代謝経路が全て遮断されるため、別途解糖系に利用可能な糖(例えばマンニトール)が菌体の増殖/生育のために必要であると結論づけられている。また、同様な高いDOI生産性を得るためには、pgi遺伝子とzwf遺伝子の2つを同時に破壊するだけでもよいが、この場合もグルコースを唯一の炭素源とすると菌体が増殖できなくなるため、菌体の増殖/生育用にマンニトールが必要であることが示されている。
一方、グルコースよりも安価な糖原料としてスクロースが知られている。スクロースは廃糖蜜の主成分であり、スクロースを資化してDOIを生産する大腸菌は工業利用可能な安価なDOIを生産する上で有用となることが期待されていた。しかしながら、スクロースを資化してDOIを生産する細菌はこれまで全く存在しなかった。
例えば、特開2001−346578号公報によれば、微生物がスクロースを資化するメカニズムは、スクロースPTS(Phosphoenolpyruvate: Carbohydrate Phosphotransferase System)とスクロース非PTSの2つに大別される。スクロース非PTSを経由する場合、微生物はスクロースをそのままの形で取り込み、その後にグルコースとフルクトースに分解する。一方スクロースPTSを経由する場合では、微生物はスクロースを取り込む際にスクロースをリン酸化し、スクロース−6−リン酸へと変換する。そして微生物内部でグルコース−6−リン酸とフルクトースに分解する。
即ちいずれのメカニズムを経由した場合でも、スクロース由来のフルクトースは、まずはリン酸化されない形で微生物内部に出現することとなる。そしてこのリン酸化されていないフルクトース(以下、非リン酸化フルクトースと呼ぶ)が解糖系へ取り込まれるためには、フルクトースがグルコースに異性化されるか、又はリン酸化される必要がある。しかし、FEMS Yeast Res,Vol.5,pp.1055−1062(2005)、PNAS,Vol.98(26),pp.15257−15259(2001)、及びJ Bacteriology,Vol.184(19),pp.5307−5316(2002)によれば、該微生物が大腸菌の場合、非リン酸化フルクトースをグルコースへ異性化する活性、フルクトースをリン酸化する活性はいずれも非常に低いことが示唆されている。このため、仮に大腸菌内部で非リン酸化フルクトースを出現させることに成功したとしても、別段の手段を講じない限り、当該大腸菌が非リン酸化フルクトースを資化することは期待できなかった。
Can.J.Microbiol.,Vol.45,pp.18−422(1999)は、大腸菌にスクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)のみを導入することでスクロースを原料にして大腸菌が増殖できるようになったことを開示している。一方、スクロースを原料とした大腸菌によるDOI生産において重要なことの一つは、スクロース由来のフルクトースを利用した菌体の増殖/生育の実現である。しかるに上記文献では、一貫してスクロースとグルコースが菌体内に取り込まれるようになることについて情報を開示するのみであり、スクロース由来のフルクトースがどの程度資化されているかについては全くデータを開示していない。
このように、従来より知られていたDOI生産大腸菌は、DOIの生産のためにグルコースを、また菌体の増殖のために高価な糖であるマンニトール等が必要であるため、DOIを工業的に生産する上で問題があった。
従って本発明は、安価な糖であるスクロースから効率よくDOIを生産することができるDOI生産大腸菌及びこれを用いたDOI生産方法を提供することを目的とする。
問題を解決するための手段
本発明は上記状況を鑑みてなされたものであり、本発明のDOI生産大腸菌及びDOI生産方法は、以下のとおりである。
[1] スクロース非PTS遺伝子群(リプレッサー蛋白質(CscR)をコードする遺伝子、スクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子、フルクトキナーゼ(CscK)をコードする遺伝子、及びスクロース透過酵素(CscB)をコードする遺伝子で構成される遺伝子群)うちスクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子のみを有すると共に、2−デオキシ−シロ−イノソース(DOI)生産系が付与又は強化されたDOI生産大腸菌。
] 前記DOI生産大腸菌が、糖取り込み能力強化系を有する[1]に記載のDOI生産大腸菌。
] 前記DOI生産大腸菌が、該大腸菌が本来有しているホスホグルコースイソメラーゼ(Pgi)、グルコース−6−リン酸−1−デヒドロゲナーゼ(Zwf)、ホスホグルコムターゼ(Pgm)及び定常期における蛋白質合成の修飾を担うリボソーム修飾因子(Rmf)からなる群より選択された少なくとも1つの活性が、不活化又は低減化されている[1]又は[2]に記載のDOI生産大腸菌。
[4] 前記DOI生産大腸菌が、該大腸菌が本来有しているホスホグルコースイソメラーゼ(Pgi)及びグルコース−6−リン酸−1−デヒドロゲナーゼ(Zwf)の活性が不活化又は低減化されている[1]又は[2]に記載のDOI生産大腸菌。
[5] DOI合成酵素(BtrC)をコードする遺伝子が導入されたことにより前記DOI生産系が付与又は強化された[1]〜[4]のいずれか一つに記載のDOI生産大腸菌。
[6] グルコース輸送促進蛋白質(Glf)をコードする遺伝子が導入されたことにより前記糖取り込み能力強化系を有する]〜[5]のいずれか一つに記載のDOI生産大腸菌。
[7] 前記スクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子が、大腸菌に由来する[1]〜[6]のいずれか一つに記載のDOI生産大腸菌。
[8] 前記スクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリO−157に由来する[1]〜[6]のいずれか一つに記載のDOI生産大腸菌。
[9] 前記グルコース輸送促進蛋白質(Glf)をコードする遺伝子がザイモモナス属細菌に由来する[6]〜[8]のいずれか一つに記載のDOI生産大腸菌。
[10] 前記グルコース輸送促進蛋白質(Glf)をコードする遺伝子がザイモモナス・モビリスに由来する[6]〜[8]のいずれか一つに記載のDOI生産大腸菌。
[11] 前記DOI生産大腸菌が、本来スクロース資化能を持たない種類の大腸菌から作られた菌である[1]〜[10]のいずれか一つに記載のDOI生産大腸菌。
[12] 前記DOI生産大腸菌が、B株若しくはその由来株又はK−12株若しくはその由来株の大腸菌から作られた菌である[1]〜[10]のいずれか一つに記載のDOI生産大腸菌。
[13] [1]〜[12]のいずれか一つに記載のDOI生産大腸菌を用いて、スクロースを含む植物由来原料からDOIを生産することを含むDOIの生産方法。
[14] [1]〜[12]のいずれか一つに記載のDOI生産大腸菌をpH6.5以下の培地で培養することを含む[13]に記載のDOIの生産方法。
本発明によれば、スクロースを唯一の炭素源としてDOIを効率よく生産するDOI生産大腸菌及びこれを用いたDOI生産方法を提供することができる。
本発明の実施例11で得られた細菌株のDOI生産性を示す図である。 本発明の実施例12で得られた細菌株のDOI生産性を示す図である。
本発明のDOI生産大腸菌は、スクロース非PTS遺伝子群の中で、少なくともスクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子を有すると共に、2−デオキシ−シロ−イノソース(DOI)生産系が付与又は強化されたDOI生産大腸菌である。
本発明は、スクロース非PTS遺伝子群の中で、少なくともスクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子を有すると共に、2−デオキシ−シロ−イノソース(DOI)生産系が付与又は強化されたDOI生産大腸菌によって、スクロース由来のフルクトースを資化し、スクロースを唯一の炭素源として極めて高い生産効率でDOIを生産できることを見出したものである。この結果、植物に由来し、安価で工業的によく利用されるスクロースから、効率よくDOIを得ることができる。
即ち、本発明のDOI生産大腸菌は、スクロース由来のフルクトースをリン酸化して菌体内に取り込むことができると共に、このフルクトースを、解糖系を用いて菌体の増殖/生育用のエネルギーへ変換することができる。このように、スクロース由来のフルクトースを菌体増殖の栄養源として利用しながら大腸菌でDOIを生産させた報告例はない。
これを更に説明すれば、スクロース加水分解酵素(CscA)は、大腸菌の細胞膜上にはほとんど存在しない酵素として認識されているものであり(Can.J.Microbiol.,Vol.45,pp.18-422(1999)参照)、一方、DOI生産大腸菌は、非リン酸化フルクトースを解糖系に取り込むことができず、リン酸化フルクトースしか生育に利用できないものとして構築されている(WO2006/109479号パンフレット参照)。このようなDOI生産大腸菌に、スクロース非PTS遺伝子群の中で、少なくともスクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子を導入し、CscA活性を付与した結果、予想に大きく反して、フルクトースを栄養源として利用可能なDOI生産大腸菌を得ることができたものである。この結果得られた本発明のDOI生産大腸菌は、大腸菌にとって最も利用しやすい糖であるグルコースの存在下にもかかわらず、スクロースやその分解産物であるフルクトースを効率良く資化して、DOIを生産することができるので、グルコースの減少又は枯渇を待たずにDOIを生産することができ、より効率的である。スクロースが分解されるとグルコースとフルクトースが等量生成されるが、一般に、大腸菌では通常グルコースの取り込みがフルクトースよりも優先され、グルコースの存在下ではフルクトースは充分に代謝されないことが知られている。このため、例えば、菌体の培養時のpHを調整することで、グルコースによる代謝抑制(カタボライトリプレッション)の影響を受けずに、フルクトースを効率よく大腸菌の生育に利用できたことは驚くべきことである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本発明において「スクロースの資化」とは、スクロースを、そのまま、低分子化または高分子化して、好ましくは低分子化して、生体内に取り入れる能力、あるいは代謝的に別物質に変換する能力をいう。また、本発明において、資化とはスクロースをより低分子化する分解を含む。詳しくは、スクロースをD−グルコースとD−フルクトースに分解することを含む。
本発明における「スクロース非PTS遺伝子群」とは、微生物のスクロース資化経路のうち非PTS系に関与する遺伝子群のことをいう。詳しくは、リプレッサー蛋白質(CscR)をコードする遺伝子(cscR)、スクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子(cscA)、フルクトキナーゼ(CscK)をコードする遺伝子(cscK)、スクロース透過酵素(CscB)をコードする遺伝子(cscB)で構成される遺伝子群である。本発明では、このうちcscAを少なくとも含んでいればよく、例えば、cscAのみ、cscA及びcscKの組み合わせ、cscA及びcscBの組み合わせ、cscA及びcscRの組み合わせ、cscAとcscBとcscRの組み合わせ、cscAとcscKとcscRの組み合わせ、cscAとcscKとcscBの組み合わせ、cscAとcscKとcscBとcscRの組み合わせが挙げられる。
なかでも、DOIを更に効率よく生産するという観点から、cscAのみを有し、その他の遺伝子を含まないことが好ましい。
本発明における「スクロース加水分解酵素(CscA)」とは、国際生化学連合(I.U.B.)酵素委員会報告に準拠した酵素番号3.2.1.26に分類され、スクロースからD−グルコースとD−フルクトースを生成する反応を触媒する酵素の総称を指す。なお、この酵素は、K−12株及びB株等の大腸菌には本来保有されていない。
本発明においては、スクロース非PTS遺伝子群の中で少なくともcscAを大腸菌に導入することでCscA活性を付与することにより、特には、スクロース非PTS遺伝子群の中でcscAのみを大腸菌に導入することでCscA活性のみを付与することにより、菌体外に存在するスクロースを細胞膜上でグルコースとフルクトースに分解して細胞外へ放出し、これらを大腸菌が本来保有するグルコースPTS及びフルクトースPTSを介してリン酸化しながら細胞質内へ取り込む。その結果、細胞外に存在したフルクトースはフルクトース−1−リン酸として菌体内に出現し、その後、菌体内に存在するフルクトース−1−リン酸キナーゼ(FruK)によってフルクトース−1,6−リン酸に変換されて、解糖系へ入る。
本発明の宿主細菌に導入されるスクロース加水分解酵素(CscA)の遺伝子(cscA)としては、この酵素を保有する生物から得られるスクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子の塩基配列を有するDNA、又はその公知の塩基配列に基づいて合成された合成DNA配列を利用することができる。好適なものとしては、アーウィニア属菌(Erwinia)、ポルテウス属菌(Proteus)、ビブリオ属菌(Vibrio)、アグロバクテリウム属菌(Agrobacterium)、リヒゾビウム属菌(Rhizobium)、スタフィロコッカス属菌(Staphylococcus)、ビフィドバクテリウム属菌(Bifidobacterium)、エシェリヒア属菌(Escherichia)に由来するものを挙げることができ、例えばエシェリヒア・コリO−157株由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAが例示される。特に好ましくは、エシェリヒア・コリO−157株由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAである。またcscAには、CscAを菌体のペリプラズムへ移行させるためのシグナル配列が付加されていることが好ましい。
本発明の宿主細菌に導入されうるリプレッサー蛋白質(CscR)の遺伝子としては、この酵素を保有する生物から得られるリプレッサー蛋白質(CscR)をコードする遺伝子の塩基配列を有するDNA、又はその公知の塩基配列に基づいて合成された合成DNA配列を利用することができる。好適なものとしては、アーウィニア属菌(Erwinia)、ポルテウス属菌(Proteus)、ビブリオ属菌(Vibrio)、アグロバクテリウム属菌(Agrobacterium)、リヒゾビウム属菌(Rhizobium)、スタフィロコッカス属菌(Staphylococcus)、ビフィドバクテリウム属菌(Bifidobacterium)、エシェリヒア属菌(Escherichia)に由来するものを挙げることができ、例えばエシェリヒア・コリO−157株由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAが例示される。特に好ましくは、エシェリヒア・コリO−157株由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAである。
本発明の宿主細菌に導入されうるフルクトキナーゼ(CscK)の遺伝子としては、この酵素を保有する生物から得られるフルクトキナーゼ(CscK)をコードする遺伝子の塩基配列を有するDNA、又はその公知の塩基配列に基づいて合成された合成DNA配列を利用することができる。好適なものとしては、アーウィニア属菌(Erwinia)、ポルテウス属菌(Proteus)、ビブリオ属菌(Vibrio)、アグロバクテリウム属菌(Agrobacterium)、リヒゾビウム属菌(Rhizobium)、スタフィロコッカス属菌(Staphylococcus)、ビフィドバクテリウム属菌(Bifidobacterium)、エシェリヒア属菌(Escherichia)に由来するものを挙げることができ、例えばエシェリヒア・コリO−157株由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAが例示される。特に好ましくは、エシェリヒア・コリO−157株由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAである。
本発明の宿主細菌に導入されうるスクロース透過酵素(CscB)の遺伝子としては、この酵素を保有する生物から得られる、スクロース透過酵素(CscB)をコードする遺伝子の塩基配列を有するDNA、又はその公知の塩基配列に基づいて合成された合成DNA配列を利用することができる。好適なものとしては、アーウィニア属菌(Erwinia)、ポルテウス属菌(Proteus)、ビブリオ属菌(Vibrio)、アグロバクテリウム属菌(Agrobacterium)、リヒゾビウム属菌(Rhizobium)、スタフィロコッカス属菌(Staphylococcus)、ビフィドバクテリウム属菌(Bifidobacterium)、エシェリヒア属菌(Escherichia)に由来するものを挙げることができ、例えばエシェリヒア・コリO−157株由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAが例示される。特に好ましくは、エシェリヒア・コリO−157株由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAである。
なお、本発明において「宿主細菌」とは、ひとつ以上の遺伝子の菌体外からの導入を受けた結果、本発明のDOI生産大腸菌となる当該大腸菌を意味する。
本発明における「DOI生産系」とは、遺伝子組換えにより導入又は改変されたDOI生産能力を付与するための構造をいう。このようなDOI生産系は、対象となる大腸菌におけるDOI生産量を増加させるものであればいずれのものであってもよい。
好ましくは、DOI生産に関与する酵素活性の付与若しくは強化又はこれらの組み合わせを挙げることができる。これにより、上記のCscA活性と組み合わせて、本来はスクロース資化能を有しない大腸菌であっても、スクロースからDOIを効果的に生産することができる。
本発明における「付与」又は「強化」とは、酵素をコードする遺伝子を宿主細菌の菌体外から菌体内に導入することの他に、宿主細菌がゲノム上に保有する酵素遺伝子のプロモーター活性を強化すること又は他のプロモーターと置換することによって酵素遺伝子を強発現させたものを含む。
本発明における「遺伝子組換えにより」との文言は、生来の遺伝子の塩基配列に対する別のDNAの挿入、あるいは遺伝子のある部分の置換、欠失又はこれらの組み合わせによって塩基配列上の変更が生じているものであれば全て包含し、例えば、突然変異が生じた結果得られたものであってもよい。
本発明におけるDOI生産系は、DOIの生産効率の観点から、好ましくは、DOI合成酵素(BtrC)活性に由来するものであり、このようなDOI合成酵素は、DOI合成酵素遺伝子(btrC)を導入することにより、大腸菌に付与することができる。
DOI合成酵素(BtrC)は、グルコース−6−リン酸から2−デオキシ−シロ−イソノース(DOI)を生成する反応を触媒する酵素であり、42kDaと23kDaの二量体ペプチドであって、コバルトイオンの存在下で酵素活性が促進され、亜鉛、銅イオンの存在下において酵素活性が抑制され、NADを補酵素として反応を行うものと知られている(例えば、特開2000−236881号、WO2006/109479号、参照)。btrC遺伝子は、この遺伝子を有する生物に由来するものであればいずれのものを使用することもでき、例えば、バチルス属細菌に由来するものを挙げることができる。btrC遺伝子としては中でも、DOI生産効率の観点から、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)由来の42kDaサブユニットをコードする遺伝子を好ましく用いることができる(GenBank accession number AB066276)。
本発明におけるDOI生産大腸菌は、好ましくは、糖取り込み能力強化系を有するものである。
本発明における糖取り込み能力とは、生体膜を介する糖輸送能力を意味し、生体膜の外側から内側への糖輸送又は生体膜の内側から外側への糖輸送のどちらに対する作用でもこの能力に含むことができる。糖輸送における糖としては5単糖又は6単糖を含む。具体的には、グルコース、マンノース、アラビノース、ガラクトース、フルクトース等が挙げられ、好ましくはグルコースを挙げることができる。
本発明における「糖取り込み能力強化系を有する」とは、上記糖の菌体外から菌体内への糖の取り込みが増加している状態を指す。本発明において「糖取り込み能力強化系」とは、好ましくはグルコースの取り込み能力を向上させるための構造を意味する。更に好ましくは、該糖取り込み能力強化系がPTS系又は非PTS系とは異なり、例えば菌体外のグルコースをそのままの形で菌体内へ取り込む系である。取り込まれたグルコースは、その後、菌体が保有するグルコキナーゼ(Glk)等のリン酸化酵素によってリン酸化されて、物質生産の基質として利用できるようになる。これにより、大腸菌は本来保有するPTS系又は非PTS系の糖取り込み系のほかに、新たな糖取り込み系を保有することになる。
本発明における糖取り込み能力強化系は、DOIの生産性の観点から、好ましくは、グルコース輸送促進蛋白質(Glf)活性の強化系である。
本発明におけるグルコース輸送促進蛋白質(Glf)とは、D−グルコースやD−フルクトース等を生体膜の外側から内側へ輸送する作用をもつ蛋白質の総称を指す。glf遺伝子を導入した大腸菌においてマンニトールの生産性が向上した技術(例えば、特表2006−503559号参照)や、L−フェニルアラニンやシキミ酸の生産性が向上(特表2002−512802号公報、Applied Microbiology and Biotechnology(2004),64,333-339)することは知られているが、グルコース輸送促進蛋白質遺伝子(glf)の導入が、DOI生産大腸菌においても生産性向上の効果を示すかどうかは全く分かっていなかった。なお、後述するようにglf遺伝子の導入は、乳酸の生産性を向上させるためには効果はない。このため、glf遺伝子の導入は糖を原料とした物質生産に有効な共通する技術ではなく、本発明においてglf遺伝子を導入することによりDOIが効率よく生産できたことは意外なことである。
本発明の宿主細菌に導入されるグルコース輸送促進蛋白質の遺伝子(glf)としては、この蛋白質を保有する生物由来のグルコース輸送促進蛋白質(Glf)をコードする遺伝子の塩基配列を有するDNA又はその公知の塩基配列に基づいて合成された合成DNA配列を利用することができる。好ましくは、酵母やザイモモナス属細菌に由来するものを挙げることができ、より好ましくはザイモモナス属細菌に由来するものとすることができ、例えばザイモモナス・モビリス由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAが例示される。特に好ましくは、ザイモモナス・モビリス由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAである。
本発明のより好ましい態様のDOI生産大腸菌としては、スクロースの分解能力の観点から、スクロース加水分解酵素(CscA)活性がエシェリヒア属細菌由来であり、DOIの生産性向上の観点から、グルコース輸送促進蛋白質(Glf)活性がザイモモナス属細菌由来の各蛋白質をコードする遺伝子の導入により得られたものとすることができる。より好ましくは、前記スクロース加水分解酵素(CscA)がエシェリヒア・コリO−157細菌由来であり、グルコース輸送促進蛋白質(Glf)がザイモモナス・モビリス細菌由来の各蛋白質をコードする遺伝子の導入により得られたものとすることができる。これらの細菌由来の遺伝子とすることにより、これらの遺伝子の機能を確実に発現させることができる。
本発明において各種遺伝子を発現させるためのプロモーターとしては、上記いずれかの遺伝子の発現を制御可能なものであればよいが、恒常的に微生物内で機能する強力なプロモーターで、かつグルコース存在下でも発現の抑制を受けにくいプロモーターであることが好ましく、具体的にはグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(以下GAPDHと呼ぶことがある)のプロモーターやセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼのプロモーターが例示できる。
本発明において各活性を付与した大腸菌とは、菌体外から菌体内へ何らかの方法によって酵素又は蛋白質に基づく活性が与えられた大腸菌を指す。これらの大腸菌は、例えば該酵素及び蛋白質をコードする遺伝子を遺伝子組換え技術を用いて菌体外から菌体内に導入する等の方法を用いて作出することができる。菌体外から菌体内へ遺伝子を導入する際に必要なゲノムDNAの調製、DNAの切断及び連結、形質転換、PCR(Polymerase Chain Reaction)、プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドの設計、合成等の方法は、当業者によく知られている通常の方法で行うことができる。これらの方法は、Sambrook, J., et.al., ”Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second Edition”, Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989)などに記載されている。
本発明の好ましい態様では、DOIを可能な限り高収率で生産するために、宿主細菌が保有するグルコース−6−リン酸の代謝に関わる以下の酵素、すなわち、ホスホグルコースイソメラーゼ(Pgi)、グルコース−6−リン酸−1−デヒドロゲナーゼ(Zwf)及びホスホグルコムターゼ(Pgm)と、定常期における蛋白合成の制御に関わるリボソーム修飾因子(Rmf)とからなる群より選択された少なくとも1つの活性が、不活化または低減化されている。このような態様は、上記のそれぞれをコードする遺伝子(それぞれ、pgi遺伝子、zwf遺伝子及びpgm遺伝子)がそれぞれ単独で遺伝子破壊されているか、または2つが同時に遺伝子破壊されているか(pgi遺伝子とzwf遺伝子、pgi遺伝子とpgm遺伝子)、もしくは3つが同時に遺伝子破壊されるか、さらに、定常期における蛋白合成の制御に関わるRMF蛋白質をコードする遺伝子(rmf遺伝子)が単独で遺伝子破壊されているか、または上記のグルコース−6−リン酸の代謝に関わる酵素をコードする遺伝子が破壊されている各種遺伝子破壊株に対してrmf遺伝子が破壊されている。
これによって、DOI生産のための直接の基質となるグルコース−6−リン酸の菌による分解代謝が抑制され、また定常期における蛋白質合成によりDOI生産能を高めることができる。このようなDOI生産細菌は、例えば、国際公開2006/109479号パンフレットに記載されている。
本発明におけるDOI生産大腸菌としては、更に好ましくは、ホスホグルコースイソメラーゼ(Pgi)及びグルコース−6−リン酸−1−デヒドロゲナーゼ(Zwf)の活性が同時に不活化あるいは低減化された大腸菌である。最も好ましくは、ホスホグルコースイソメラーゼ(Pgi)及びグルコース−6−リン酸−1−デヒドロゲナーゼ(Zwf)及びホスホグルコムターゼ(Pgm)の活性が同時に不活化あるいは低減化された大腸菌である。
各種酵素を不活化させるための手段としては、この目的で通常用いられる手段であれば特に制限されずに用いることができ、例えば、酵素をコードする遺伝子の相同組換え等による遺伝子破壊を挙げることができる。このような遺伝子の破壊は、染色体上の遺伝子であってもプラスミド遺伝子であってもよい。
また本発明における大腸菌は、DOIの合成を考慮して、種々の染色体/プラスミド遺伝子を破壊した株を用いてもよい。
本発明における「不活化」とは、既存の測定系によって測定された当該酵素の活性が検出限界以下である状態を指す。
本発明における「低減化」とは、当該酵素をコードする遺伝子の遺伝子組換えにより、それらの処理を行う前の状態よりも有意に当該酵素の活性が低下している状態を指す。
本発明における酵素の活性は、既存の測定系のいずれによって測定された活性であってもよい。
本発明における「遺伝子破壊」とは、ある遺伝子の機能が発揮できないようにするために、その遺伝子の塩基配列に変異を入れる、別のDNAを挿入する、あるいは、遺伝子のある部分を欠失させることを示している。遺伝子破壊の結果、その遺伝子がmRNAへ転写できなくなり、構造遺伝子が翻訳されない、あるいは、転写されたmRNAが不完全なため、翻訳された構造蛋白質のアミノ酸配列に変異又は欠失が生じ、本来の機能の発揮が不可能になる。
遺伝子破壊株の作製は、当該酵素又は蛋白質が発現しない破壊株が得られればいかなる方法も用いることが可能である。遺伝子破壊の方法は種々の方法(自然育種、変異剤添加、紫外線照射、放射線照射、ランダム突然変異、トランスポゾン、部位特異的遺伝子破壊)が報告されているが、ある特定の遺伝子のみ破壊できるという点で、相同的組換えによる遺伝子破壊が好ましい。相同組換えによる手法はJ.Bacteriol.,161,1219−1221(1985)やJ.Bacteriol.,177,1511−1519(1995)やProc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,97,6640−6645(2000)に記載されており、これらの方法及びその応用によって同業技術者であれば容易に実施可能である。
本発明に用いられる大腸菌は、上記の各遺伝子の導入及び変更が可能であればいずれの大腸菌であってもよい。より好ましくは、本来スクロース資化能を備えていない種類の大腸菌であり、このような大腸菌としては、エシェリヒア属(Escherichia)細菌等が例示され、特に利便性が高く、工業的な使用の実績が豊富なエシェリヒア・コリ(Escherichia coli:大腸菌)が好適に使用される。例えば、K−12株、B株、C株及びその由来株等を挙げることができる。これにより、本来はスクロース資化能を持たない種類の大腸菌の用途を拡大させることができる。
本発明のDOI生産大腸菌は、本来スクロース資化能を備えていない種類の大腸菌の中でも、B株及びその由来株が好適に使用される。B株及びその由来株を用いて本発明のDOI生産大腸菌を構築することにより、汎用工業培地であるコーンスティープリカーを用いて高いDOI生産性を得ることができる。大腸菌は一般的にK−12株、B株、C株に分類される。工業的物質生産の宿主としてはK−12由来株とB由来株が広く用いられており、どちらも遺伝子組換えによる異種蛋白質の発現が可能であるが、B株がDOIの生産において好ましい宿主であるという知見はこれまでに一切知られていない。従って、DOIの生産においてB由来株がK−12由来株に比して著しく高い生産性を示すことは、予期できない特異的な現象である。
本発明のDOIの生産方法は、上記DOI生産大腸菌を用いて、スクロースを含む植物由来原料から2−デオキシ−シロ−イノソースを生産することを含むものであり、即ち、上記DOI生産大腸菌とスクロースを含む植物由来原料とを接触させる工程と、接触により得られたDOIを回収する回収工程とを含むものである。
なお、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の作用が達成されればよく、本用語に含まれる。
上記DOI生産方法に用いられる植物由来原料とは、植物から得られる炭素源であり、大腸菌が代謝し、DOIに変換しうるものであれば特に制限されない。本発明においては、根、茎、幹、枝、葉、花、種子等の器官、それらを含む植物体、それら植物器官の分解産物を指し、更に植物体、植物器官、またはそれらの分解産物から得られる炭素源のうち、微生物が培養において炭素源として利用し得るものも、植物由来原料に包含される。
このような植物由来原料に包含される炭素源としては、スクロースの他に、一般的なものとしてデンプン、グルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース等の糖類、またはこれら成分を多く含む草木質分解産物やセルロース加水分解物などが例示できる。更には植物油由来のグリセリンや脂肪酸も、本発明における炭素源に該当する。
本発明における植物由来原料としては、穀物等の農作物、トウモロコシ、米、小麦、大豆、サトウキビ、ビート、綿等、又はこれらの組み合わせを好ましく挙げることができ、その原料としての使用形態は、未加工品、絞り汁、粉砕物等、特に限定されない。また、上記の炭素源のみの形態であってもよい。
接触工程におけるDOI生産大腸菌と植物由来原料との接触は、一般に、植物由来原料を含む培地でDOI生産大腸菌を培養することにより行われる。
植物由来原料とDOI生産大腸菌との接触密度は、DOI生産大腸菌の活性によって異なるが、一般に、培地中の植物由来原料の濃度として、グルコース換算で初発の糖濃度を混合物の全質量に対して20質量%以下とすることができ、大腸菌の耐糖性の観点から好ましくは、初発の糖濃度を15質量%以下とすることができる。この他の各成分は、微生物の培地に通常添加される量で添加されればよく、特に制限されない。
また培地中のDOI生産大腸菌の含有量としては、大腸菌の種類及び活性によって異なるが一般に、初発の菌濃度を培養液に対して0.1質量%から30質量%、培養条件制御の観点から好ましくは1質量%〜10質量%とすることができる。
本発明におけるDOIの生産方法は、DOI生産大腸菌と植物由来原料とを含む混合物中でDOI生産大腸菌を培養することにより植物由来原料を資化し、一定時間後に培養液中に分泌されたDOIを蒸留、膜分離、抽出等の公知技術を用いて精製する方法を包含する。DOIの生産方法における混合物は、細菌類の培養に一般的に用いられる基本培地を主体とするものであればよく、DOI生産大腸菌の種類に応じて通常用いられる培地であればいずれも使用することができる。このような基本培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じてその他の微量成分を含有する培地であれば特に制限は無い。
炭素源としては、上記スクロースのみでも充分であるが、DOIの生産効率の観点から、更にグルコース、フルクトース、糖蜜などの糖類、フマル酸、クエン酸、コハク酸などの有機酸、メタノール、エタノール、グリセロールなどのアルコール類、その他を適宜追加的に使用してもよい。窒素源としては、有機アンモニウム塩、無機アンモニウム塩、アンモニアガス、アンモニア水等の無機体窒素源、及び蛋白質加水分解物等の有機体窒素源、その他が適宜使用される。無機イオンとしては、マグネシウムイオン、リン酸イオン、カリウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、その他が必要に応じて適宜使用される。
有機微量成分としては、ビタミン、アミノ酸等及びこれらを含有する酵母エキス、ペプトン、コーンスティープリカー、カゼイン分解物、その他が適宜使用される。
なお、本発明に使用される培地としては、工業的生産に供する点を考慮すれば液体培地が好ましい。
培養条件としては作成された菌体、培養装置により変動するが、一般に、培養温度は20℃から40℃、DOIの生産効率の観点から、より好ましくは25℃から35℃で培養することが好ましい。またpHは、pH4からpH9、好ましくはpH5.0からpH7.5、より好ましくはpH6.0からpH7.0とすることができ、NaOH、NH等で調整すればよい。培養時間は特に限定されないが、菌体が十分に増殖し、且つDOIが生成するに必要な時間である。
培養に際しては通常は温度、pH、通気条件、攪拌速度を制御し得る培養槽を用いるのが一般的であるが、本発明の培養に際しては培養槽を使用することに限定されない。培養槽を用いて培養する場合には、必要により、予め前培養として種培養を行い、これを必要量予め調製しておいた培養槽内の培地に接種してもよい。
本発明で得られた微生物を培養してDOIを生産させる際には、通気を全く行わなくともよいが、より好ましい結果を得るためには通気を行った方がよい。ここで言う通気条件下とは必ずしも培養液中を空気が通過する必要はなく、培養槽の形状によっては適度に培養液を撹拌しながら培養液上の空気層が換気されるような上面通気も含み、培養槽の内部に酸素を含む気体を流入させることを意味する。
液中に通気する場合は内圧、撹拌羽根位置、撹拌羽根形状、撹拌速度の組み合わせにより溶存酸素濃度が変化するためにDOIの生産性およびDOI以外の有機酸量などを指標に次のように最適条件を求めることができる。例えばABLE社製培養装置BMJ−01等の比較的小型の培養槽で培養する場合は、500gの培養液を使用した際、空気を常圧で0.005L/分〜2L/分、撹拌速度50rpm〜2000rpm、より好ましくは、常圧で0.05L/分〜1L/分、撹拌速度100rpm〜1000rpmで達成し得る通気条件で好ましい結果を得ることができる。
上述した通気条件は培養初期から終了まで一貫して行う必要はなく、培養工程の一部で行うことでも好ましい結果を得ることができる。
回収工程では、この接触によって得られたDOIを回収するものであり、一般に、上記培養により得られた培養物からDOIを回収することにより行われる。
本発明における培養物とは、上述した方法により生産された菌体、培養液、及びそれらの処理物を指す。
培養物からDOIを回収する方法は、例えば培養液からならば通常知られた方法が利用できる。例えば、菌体を遠心分離などで除去した後、培養上清をイオン交換樹脂に添加し蒸留水で溶出を行う。屈折率、pH、伝導率を測定しながら不純物を含まないフラクションを分取して、その水溶液を取り除いてDOIを回収することができる。また、本発明の方法により生産された菌体は、DOIの生産に適した酵素群を生産していることから、これを利用してさらにDOIを生産し、回収することも培養物からDOIを回収する方法の一部とみなされる。
本発明により、安価な植物由来の糖を原料としてDOIを極めて高いレベルで生産することができる。本発明は、カーボンニュートラルなDOIの普及に極めて有用である。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。また、特に断らない限り、実施例中の「%」は質量基準である。
[実施例1]
<エシェリヒア・コリpgi遺伝子の近傍領域のクローニング>
エシェリヒア・コリのゲノムDNAの全塩基配列は公知であり(GenBank accession number U00096)、エシェリヒア・コリのホスホグルコースイソメラーゼ(以下pgiと呼ぶことがある)をコードする遺伝子の塩基配列も報告されている。pgiをコードする遺伝子(1,650bp)の塩基配列近傍領域をクローニングするため、CAGGAATTCG CTATATCTGG CTCTGCACG(配列番号1)、CAGTCTAGAG CAATACTCTT CTGATTTTGA G(配列番号2)、CAGTCTAGAT CATCGTCGAT ATGTAGGCC(配列番号3)及びGACCTGCAGA TCATCCGTCA GCTGTACGC(配列番号4)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを4種合成した。配列番号1のプライマーは5’末端側にEcoRI認識部位を、配列番号2及び3のプライマーは5’末端側にXbaI認識部位を、配列番号4のプライマーは5’末端側にPstI認識部位をそれぞれ有している。
エシェリヒア・コリMG1655株のゲノムDNAを、Current Protocols in Molecular Biology(JohnWiley & Sons)記載の方法により調製し、得られたゲノムDNA 1μgと、配列番号1の塩基配列を有するプライマーと配列番号2の塩基配列を有するプライマー、配列番号3の塩基配列を有するプライマーと配列番号4の塩基配列を有するプライマーの組み合わせで、上記プライマーDNA各々100pmolとを用いて、通常の条件でPCRを行うことによりそれぞれ約1.0kb(以下pgi−L断片およびpgi−R断片と呼ぶことがある)のDNA断片を増幅した。これらのDNA断片をアガロース電気泳動にて分離、回収し、pgi−L断片をEcoRI及びXbaIで、pgi−R断片をXbaI及びPstIでそれぞれ消化した。この消化断片2種と、温度感受性プラスミドpTH18cs1(GenBank accession number AB019610)のEcoRI及びPstI消化物とを混合し、T4DNAリガーゼで反応した後、エシェリヒア・コリDH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換して、pgiをコードする遺伝子の5’上流近傍断片と3’下流近傍断片の2つの断片を含むプラスミドを得、pTHΔpgiと命名した。
[実施例2]
<エシェリヒア・コリMG1655Δpgi株の作製>
実施例1で得たプラスミドpTHΔpgiをエシェリヒア・コリMG1655株に形質転換し、細胞が温度感受性プラスミドを保持できる30℃でクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレート上で一晩培養し、形質転換体を得た。得られた形質転換体をLB培地30℃で3時間から一晩培養後、LB液体培地または生理食塩水で希釈して、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレート上に塗布した。このLB寒天プレートを、温度感受性プラスミドを保持できない42℃で培養し、生育した形質転換体をゲノム外−ゲノム間相同組換えによりプラスミド全長がエシェリヒア・コリゲノムに組み込まれた株として得た。
この株からゲノムDNAを取得し、これを鋳型としたPCRを実施して、pTH18cs1が有するクロラムフェニコール耐性遺伝子がゲノム上に存在すること、およびpgiをコードする遺伝子の5’側近傍領域、及び3’側近傍領域のそれぞれと相同な領域がゲノム上に存在することをもってプラスミド全長がエシェリヒア・コリゲノムに組み込まれた株であることを確認した。
プラスミド全長がエシェリヒア・コリゲノムに組み込まれた株を、クロラムフェニコールを含まないLB液体培地20mlを入れた100mlのバッフル付きフラスコに植え、これを30℃で4時間振とう培養した。この培養液を、クロラムフェニコールを含まないLB液体培地で希釈し、クロラムフェニコールを含まないLB寒天培地上に塗布した。これを42℃で培養して生育したコロニーを無作為に96個選抜し、それぞれを、クロラムフェニコールを含まないLB寒天培地上と、クロラムフェニコールを含むLB寒天培地上に生育させ、クロラムフェニコール感受性の株を選抜した。
さらに選抜された株からゲノムDNAを取得し、これを鋳型としたPCRを実施してpgiをコードする遺伝子が欠損した株を選抜し、これをMG1655Δpgi株と命名した。
[実施例3]
<エシェリヒア・コリzwf遺伝子の近傍領域のクローニング>
エシェリヒア・コリのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(以下zwfと呼ぶことがある)をコードする遺伝子の塩基配列も報告されている。zwfをコードする遺伝子(1,476bp)の塩基配列近傍領域をクローニングするため、CAGGAATTCA TGCGTTGCAG CACGATATC(配列番号5)、CAGTCTAGAT AACCCGGTAC TTAAGCCAG(配列番号6)、CAGTCTAGAC TGCGCTTATC CTTTATGGT(配列番号7)及びGACCTGCAGT TACCGGTCAT GCGTGTAAC(配列番号8)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを4種合成した。配列番号5のプライマーは5’末端側にEcoRI認識部位を、配列番号6及び7のプライマーは5’末端側にXbaI認識部位を、配列番号8のプライマーは5’末端側にPstI認識部位をそれぞれ有している。
エシェリヒア・コリMG1655株のゲノムDNA 1μgと、配列番号5の塩基配列を有するプライマーと配列番号6の塩基配列を有するプライマー、配列番号7の塩基配列を有するプライマーと配列番号8の塩基配列を有するプライマーの組み合わせで、上記プライマーDNA各々100pmolとを用いて、通常の条件でPCRを行うことによりそれぞれ約0.85kb(以下zwf−L断片と呼ぶことがある)のDNA断片と約1.0kb(以下zwf−R断片と呼ぶことがある)のDNA断片を増幅した。これらのDNA断片をアガロース電気泳動にて分離、回収し、zwf−L断片をEcoRI及びXbaIで、zwf−R断片をXbaI及びPstIでそれぞれ消化した。この消化断片2種と、温度感受性プラスミドpTH18cs1のEcoRI及びPstI消化物とを混合し、T4DNAリガーゼで反応した後、エシェリヒア・コリDH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換して、zwfをコードする遺伝子の5’上流近傍断片と3’下流近傍断片の2つの断片を含むプラスミドを得、pTHΔzwfと命名した。
[実施例4]
<エシェリヒア・コリMG1655ΔpgiΔzwf株の作製>
実施例3で得たプラスミドpTHΔzwfを、実施例2で得たエシェリヒア・コリMG1655Δpgi株に形質転換し、細胞が温度感受性プラスミドを保持できる30℃で、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレート上で一晩培養し、形質転換体を得た。得られた形質転換体をLB培地30℃で3時間から一晩培養後、LB液体培地または生理食塩水で希釈して、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレート上に塗布した。このLB寒天プレートを、温度感受性プラスミドを保持できない42℃で培養し、生育した形質転換体をゲノム外−ゲノム間相同組換えによりプラスミド全長がエシェリヒア・コリゲノムに組み込まれた株として得た。
この株からゲノムDNAを取得し、これを鋳型としたPCRを実施して、pTH18cs1が有するクロラムフェニコール耐性遺伝子がゲノム上に存在すること、およびzwfをコードする遺伝子の5’側近傍領域、及び3’側近傍領域のそれぞれと相同な領域がゲノム上に存在することをもってプラスミド全長がエシェリヒア・コリゲノムに組み込まれた株であることを確認した。
プラスミド全長がエシェリヒア・コリゲノムに組み込まれた株を、クロラムフェニコールを含まないLB液体培地20mlを入れた100mlのバッフル付きフラスコに植え、これを30℃で4時間振とう培養した。この培養液をクロラムフェニコールを含まないLB液体培地で希釈し、クロラムフェニコールを含まないLB寒天培地上に塗布した。これを42℃で培養して生育したコロニーを無作為に96個選抜し、それぞれを、クロラムフェニコールを含まないLB寒天培地上と、クロラムフェニコールを含むLB寒天培地上に生育させ、クロラムフェニコール感受性の株を選抜した。
さらに選抜された株からゲノムDNAを取得し、これを鋳型としたPCRを実施してzwfをコードする遺伝子が欠損した株を選抜し、これをMG1655ΔpgiΔzwf株と命名した。
[実施例5]
<GAPDHプロモーター制御下、DOI合成酵素遺伝子(btrC)発現ベクターの構築>
エシェリヒア・コリのGAPDH遺伝子の塩基配列はすでに報告されている。グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPA)プロモーターを取得するため、CGAGCTACAT ATGCAATGAT TGACACGATT CCG(配列番号9)、及びCCAAGCTTCT GCAGGTCGAC GGATCCGAGC TCAGCTATTT GTTAGTGAAT AAAAGG(配列番号10)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーをそれぞれ合成した。配列番号9のプライマーはその5’末端側にNdeI認識部位を、配列番号10のプライマーはその5’末端側から順にHindIII、PstI、SalI、BamHI、SacI認識部位をそれぞれ有している。
上記2種のプライマーとともに、エシェリヒア・コリMG1655株のゲノムDNAをテンプレートを用い、通常条件でPCR法を行い、DNA断片を増幅した。得られたDNAフラグメントを制限酵素NdeIとHindIIIで消化することで約100bpのGAPDHプロモーターをコードするフラグメントを得た。次に上記のDNAフラグメントと、NdeI、HindIIIで消化した大腸菌用クローニングベクターpBR322(GenBank accession number J01749)を混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーを、アンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で30℃一晩培養し、得られた菌体からプラスミドを回収した。このプラスミドをpGAPと命名した。
Bacillus circulans(ATCC 4513)が有するDOI合成酵素遺伝子(btrC)の塩基配列はすでに報告されている(GenBank accession number AB066276)。btrC遺伝子を取得するために、CACTGGAGCT CGCTGGTGGA ATATATGACG ACTAAACAAA TTTG(配列番号11)、及びCAGGATCCTT ACAGCCCTTC CCGGATC(配列番号12)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーをそれぞれ合成した。配列番号11のプライマーはその5’末端側から順にSacI認識部位と13塩基のGAPDH遺伝子のリボソーム結合配列を有している。配列番号12のプライマーはその5’末端側にBamHI認識部位を有している。
上記2種のプライマーとともに、Bacillus circulansのゲノムDNAをテンプレートとして通常条件でPCR法を行い、得られたDNAフラグメントを制限酵素SacI及びBamHIで消化することで約1.1kbpのDOI合成酵素遺伝子(btrC)フラグメントを得た。このDNAフラグメントとプラスミドpGAPを制限酵素SacI及びBamHIで消化することで得られるフラグメントを混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーを、アンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で30℃一晩培養し、得られた菌体からプラスミドpGAP−btrCを回収して、DOI合成酵素遺伝子(btrC)発現ベクターを構築した。
[実施例6]
<GAPDHプロモーター制御下、DOI合成酵素遺伝子(btrC)及びスクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)発現ベクターの構築>
エシェリヒア・コリO−157株が有するスクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)の塩基配列はすでに報告されている。すなわち、GenBank accession number AE005174に記載のエシェリヒア・コリO−157株ゲノム配列の3274383−3275816に記載されている。cscA遺伝子を取得するために、GCGGATCCGC TGGTGGAATA TATGACGCAA TCTCGATTGC(配列番号13)、及びGACGCGTCGA CTTAACCCAG TTGCCAGAGT GC(配列番号14)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーをそれぞれ合成した。配列番号13のプライマーはその5’末端側から順にBamHI認識部位と13塩基のGAPDH遺伝子のリボソーム結合配列を有している。配列番号14のプライマーはその5’末端側にSalI認識部位を有している。
上記2種のプライマーとともに、エシェリヒア・コリO−157株のゲノムDNA(SIGMA−ALDRICH:IRMM449)をテンプレートとして通常条件でPCR法を行い、得られたDNAフラグメントを制限酵素BamHI及びSalIで消化することで約1.4kbpのスクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)フラグメントを得た。このDNAフラグメントとプラスミドpGAP−btrCを制限酵素BamHI及びSacIで消化することで得られるフラグメントを混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーを、アンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で30℃一晩培養し、得られた菌体からプラスミドpGAP−btrC−cscAを回収して、DOI合成酵素遺伝子(btrC)及びスクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)発現ベクターを構築した。
[実施例7]
<GAPDHプロモーター制御下、DOI合成酵素遺伝子(btrC)、スクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)及びグルコース輸送促進蛋白質遺伝子(glf)発現ベクターの構築>
Zymomonas mobilis(ATCC 29191)が有するグルコース輸送促進蛋白質遺伝子(glf)の塩基配列はすでに報告されている(GenBank accession number M60615)。glf遺伝子を取得するために、CCTGTCGACG CTGGTGGAAT ATATGAGTTC TGAAAGTAGT CAGG(配列番号15)、及びCTACTGCAGC TACTTCTGGG AGCGCCACA(配列番号16)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーをそれぞれ合成した。配列番号15のプライマーはその5’末端側から順にSalI認識部位と13塩基のGAPDH遺伝子のリボソーム結合配列を有している。配列番号16のプライマーはその5’末端側にPstI認識部位を有している。
上記2種のプライマーとともに、Zymomonas mobilisのゲノムDNAをテンプレートとして通常条件でPCR法を行い、得られたDNAフラグメントを制限酵素SalI及びPstIで消化することで約1.4kbpのグルコース輸送促進蛋白質遺伝子(glf)フラグメントを得た。このDNAフラグメントとプラスミドpGAP−btrC−cscAを制限酵素SalI及びPstIで消化することで得られるフラグメントを混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーを、アンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で30℃一晩培養し、得られた菌体からプラスミドpGAP−btrC−cscA−glfを回収して、DOI合成酵素遺伝子(btrC)、スクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)及びグルコース輸送促進蛋白質遺伝子(glf)発現ベクターを構築した。
[実施例8]
<pGAP−btrC−cscA及びpGAP−btrC−cscA−glfのMG1655ΔpgiΔzwf株への導入>
上記のプラスミドpGAP−btrC−cscAおよびpGAP−btrC−cscA−glfをそれぞれMG1655ΔpgiΔzwf株に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートで37℃一晩培養することによりMG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株およびMG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株を得た。
[実施例9]
<MG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株を用いたDOIの生産性と培養pHによるDOIの生産性の違い>
前培養として三角フラスコに入れたLB Broth, Miller培養液(Difco244620)25mlにエシェリヒア・コリMG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株を植菌し、一晩120rpmで撹拌培養を行った後、下記組成の培地475gを入れた1L容培養槽(ABLE社製培養装置BMJ−01)に全量植菌した。培養は大気圧下、通気量1.0vvm、撹拌速度800rpm、培養温度30℃で行った。培養槽は全部で4台用い、pHを12.5%アンモニア水と2N塩酸を用いてpH7.0、pH6.5、pH6.0に調整した。また、660nmの吸光度を測定することにより、菌体濃度を測定した。培養開始時の菌体濃度は全て0.29であった。培養62時間後、得られた培養液中のDOI、スクロース、グルコース、フルクトースの量をHPLCで定法に従って測定した。また、660nmの吸光度を測定することにより、菌体濃度を測定した。培養に使用する培地の組成を下記表1に記載する。結果を表2に示す。
本実施例により、エシェリヒア・コリMG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株を用いてスクロースからDOIが生産できることが確認された。
また、本実施例で用いた菌はpgi遺伝子とzwf遺伝子が同時に破壊されていることからグルコースを異化代謝できないはずであるが、スクロースを唯一の炭素源とした培地で62時間培養した結果、全ての試験区において菌は100倍以上に増えた。このことにより、本発明の大腸菌が、菌体の増殖/生育用に高価なマンニトール等を必要とせず、スクロースを分解して得られるフルクトースを菌体の増殖/生育用に利用していることが確認された。
pHを、pH7.0、pH6.5、pH6.0と変化させたところ、DOIの蓄積量は31g/L、36g/L、33g/Lとなり、pH6.5のとき最も多くなった。培養62時間後で、投入されたスクロースは全てのpH条件下で完全に分解され、培地中のフルクトースは、pH6.5以下のとき最も少なくなった。このことより、pH6.5以下のときにスクロースの分解により得られたフルクトースが最も効率良く菌体内に取り込まれることが分かった。pH6.5以下では、まだ培地中にグルコースが残存しているにもかかわらずpH7.0のときと比べてフルクトースの取り込みが早くなっており、DOI生産大腸菌が効率良くグルコースとフルクトースを取り込んでいることが分かる。
[実施例10]
<MG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株及びMG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株によるDOIの生産>
前培養として三角フラスコに入れたLB Broth, Miller培養液(Difco244620)25mlにエシェリヒア・コリMG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株とMG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株をそれぞれ植菌し、一晩120rpmで撹拌培養を行った後、下記組成の培地475gを入れた1L容培養槽(ABLE社製培養装置BMJ−01)にそれぞれ全量を植菌した。培養は大気圧下、通気量1.0vvm、撹拌速度800rpm、培養温度30℃、pH6.5(12.5%アンモニア水で調整)で行った。培養48時間後、得られた培養液中のDOIとスクロース、グルコースの量をHPLCで定法に従って測定した。培養に使用する培地の組成を下記表3に記載する。結果を表4に示す。
培養48時間後で、MG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株では31g/L、MG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株では44g/LのDOIの蓄積が確認された。本実施例の結果により、glf遺伝子を導入することによってDOIの生産性が向上することが明らかとなった。本実施例の結果において、全ての株で培養開始時に投入されたスクロースは完全になくなっていた。また、glf遺伝子を導入した株では、glf遺伝子を導入していない株と比べてグルコースの消費が明らかに早くなっており、Glf活性の付与によってグルコースが効率良くDOIに変換されていることが示唆された。
[実施例11]
<BΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株及びMG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株による、工業用培地を用いたときのスクロースからのDOIの生産>
一般に工業生産では、培養培地成分として高価な酵母エキス等の代替としてコーンスティープリカーを使用する。コーンスティープリカー培地を用いた場合のDOIの生産性をエシェリヒア・コリの亜種であるMG1655株とB株で比較した。
エシェリヒア・コリB株(ATCC11303)に対しても実施例1〜4に記載の方法でpgi遺伝子およびzwf遺伝子の破壊を行い、得られた株をBΔpgiΔzwf株と命名した。この株に対して、実施例8に記載の方法で発現ベクターpGAP−btrC−cscA−glfを導入し、得られた菌をBΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株と命名した。
前培養として三角フラスコに入れたLB Broth, Miller培養液(Difco244620)25mlにBΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株とMG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株をそれぞれ植菌し、一晩120rpmで撹拌培養を行った後、下記組成の培地475gを入れた1L容培養槽(ABLE社製培養装置BMJ−01)にそれぞれ全量を植菌した。培養は大気圧下、通気量1.5vvm、撹拌速度800rpm、培養温度30℃、pH6.2(12.5%アンモニア水で調整)で行った。発酵原料として50%スクロース水溶液を4g/時の速度で加えながら培養を行った。得られた培養液中のDOIの量をHPLCで定法に従って測定した。培養に使用する培地の組成を下記表5に記載する。結果を表6及び図1に示す。表6において、「−」は測定値なしを表す。図1において、黒丸はBΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株を表し、白四角はMG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株を表す。
培養48時間後で、BΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株では38.5g/L、MG1655ΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株では9.8g/LのDOIの蓄積が確認された。本実施例の結果により、エシェリヒア・コリB株を用いることでDOIの生産性がMG1655株と比較して大きく向上することが明らかとなった。
[実施例12]
<BΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株、BΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株及びBΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−pck株による廃糖蜜からのDOIの生産>
glf以外のグルコース輸送促進蛋白質遺伝子として、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(Pck)を選定した。ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(Pck)は、オキサロ酢酸を基質としてホスホエノールピルビン酸を産生する蛋白質である。エシェリヒア・コリが本来もっているグルコースの取り込み系(PTS)はホスホエノールピルビン酸を必要とすることから、この蛋白質を高発現することによりホスホエノールピルビン酸の供給量が増加し、結果的にPTSを強化することができると予想される。
エシェリヒア・コリが有するホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(Pck)の塩基配列はすでに報告されている(GenBank accession number M59823)。pck遺伝子を取得するために、TACTGCAGAG CTGGTGGAAT ATATGCGCGT TAACAATGGT TTG(配列番号17)、及びTACTGCAGTT ACAGTTTCGG ACCAGCCG(配列番号18)の塩基配列を有するプライマーをそれぞれ作製した。配列番号17のプライマーはその5’末端側から順にPstI認識部位と13塩基のGAPDH遺伝子のリボソーム結合配列を有している。配列番号18のプライマーはその5’末端側にPstI認識部位を有している。上記2種のプライマーとともに、エシェリヒア・コリB株のゲノムDNAをテンプレートとして通常条件でPCR法を行い、得られたDNAフラグメントを制限酵素PstIで消化することで約1.6kbpのホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ遺伝子(pck)フラグメントを得た。このDNAフラグメントとプラスミドpGAP−btrC−cscAを制限酵素PstIで消化することで得られるフラグメントを混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーを、アンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で30℃一晩培養し、得られた菌体からプラスミドpGAP−btrC−cscA−pckを回収して、DOI合成酵素遺伝子(btrC)、スクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ遺伝子(pck)発現ベクターを構築した。
実施例8に記載の方法でBΔpgiΔzwf株に発現ベクターpGAP−btrC−cscA−pckを導入し、BΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−pckと命名した。
前培養として三角フラスコに入れたLB Broth, Miller培養液(Difco244620)25mlにBΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株、BΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株及びBΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−pck株をそれぞれ植菌し、一晩120rpmで撹拌培養を行った後、下記組成の培地475gを入れた1L容培養槽(ABLE社製培養装置BMJ−01)にそれぞれ全量を植菌した。培養は大気圧下、通気量2.0vvm、撹拌速度1000rpm、培養温度32℃、pH6.2(12.5%アンモニア水で調整)で行った。発酵原料として90%廃糖蜜水溶液を6g/時の速度で加えながら培養を行った。得られた培養液中のDOIの量をHPLCで定法に従って測定した。培養に使用する培地の組成を下記表7に記載する。結果を表8及び図2に示す。図2において、白菱形はBΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株を表し、黒丸はBΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株を表し、白三角はBΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−pck株を表す。
培養30時間後で、BΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA株では34.8g/L、BΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−glf株では51.9g/L、BΔpgiΔzwf/pGAP−btrC−cscA−pck株では32.8g/LのDOIの蓄積が確認された。本実施例の結果により、pckを導入した場合の生産性はpckを導入しない場合と同程度で、PckはDOI生産性を増強させないことが分かった。DOIの生産性向上のためには、エシェリヒア・コリが本来持つグルコース取り込み系(PTS)を強化するよりも、glfを導入してGlf活性を付与するほうがはるかに効果的であることが分かった。
[比較例1]
glf遺伝子の導入がDOI以外の物質生産にどのような影響を与えるか確認するために、D−乳酸生産細菌であるMG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/GAPldhAゲノム挿入株にcscA遺伝子とglf遺伝子を導入し、乳酸の生成量を調べた。
なお、MG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/GAPldhAゲノム挿入株とは、大腸菌MG1655が本来保有するピルベートホルメートリアーゼ(Pfl)、FAD依存性D−乳酸デヒドロゲナーゼ(Dld)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(Mdh)、アスパラギン酸アンモニアリアーゼ(Asp)の各遺伝子が破壊されていて、NADH依存性D−乳酸デヒドロゲナーゼ(LdhA)の遺伝子が導入されていている株のことであり、WO2005/033324号において、120gのグルコースから98g/LのD−乳酸を生産することが確認されている。
<エシェリヒア・コリO−157由来スクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)発現ベクター、エシェリヒア・コリO−157由来スクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)及びザイモモナス・モビリス由来グルコース輸送促進蛋白質遺伝子(glf)発現ベクター、並びにこれらの発現ベクター形質転換体の構築>
エシェリヒア・コリのGAPDH遺伝子の塩基配列はすでに報告されている。グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーターを取得するため、配列番号9及び配列番号10の塩基配列を有するプライマーを合成した。配列番号9のプライマーはその5’末端側にNdeI認識部位を、配列番号10のプライマーはその5’末端側から順にHindIII、PstI、SalI、BamHI、SacI認識部位を有している。
上記2種のプライマーとともに、エシェリヒア・コリMG1655株のゲノムDNAをテンプレートに用い、通常条件でPCR法を行い、DNA断片を増幅した。得られたDNAフラグメントを制限酵素NdeIとHindIIIで消化することで約100bpのGAPDHプロモーターをコードするフラグメントを得た。次に上記のDNAフラグメントと、NdeI、HindIIIで消化した大腸菌用クローニングベクターpBR322(GenBank accession number J01749)を混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーをアンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で30℃で一晩培養し、得られた菌体からプラスミドを回収した。このプラスミドをpGAPと命名した。
エシェリヒア・コリO−157株が有するスクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)の塩基配列はすでに報告されている。すなわち、GenBank accession number AE005174に記載のエシェリヒア・コリO−157株ゲノム配列の3274383−3275816に記載されている。cscA遺伝子を取得するために、配列番号13及び14の塩基配列を有するプライマーをそれぞれ合成した。配列番号13のプライマーはその5’末端側から順にBamHI認識部位と13塩基のGAPDH遺伝子のリボソーム結合配列を有している。配列番号14のプライマーはその5’末端側にSalI認識部位を有している。
上記2種のプライマーとともに、エシェリヒア・コリO−157株のゲノムDNA(SIGMA−ALDRICH:IRMM449)をテンプレートとして通常条件でPCR法を行い、得られたDNAフラグメントを制限酵素BamHI及びSalIで消化することで約1.4kbpのスクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)フラグメントを得た。このDNAフラグメントとプラスミドpGAPを制限酵素BamHI及びSalIで消化することで得られるフラグメントを混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーをアンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で30℃で一晩培養し、得られた菌体からプラスミドpGAP−cscAを回収して、スクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)発現ベクターを構築した。
Zymomonas mobilis(ATCC 29191)が有するグルコース輸送促進蛋白質遺伝子(glf)の塩基配列はすでに報告されている(GenBank accession number M60615)。glf遺伝子を取得するために、配列番号15及び16の塩基配列を有するプライマーをそれぞれ作製した。配列番号15のプライマーはその5’末端側から順にSalI認識部位と13塩基のGAPDH遺伝子のリボソーム結合配列を有している。配列番号16のプライマーはその5’末端側にPstI認識部位を有している。
上記2種のプライマーとともに、Zymomonas mobilisのゲノムDNAをテンプレートとして通常条件でPCR法を行い、得られたDNAフラグメントを制限酵素SalI及びPstIで消化することで約1.4kbpのグルコース輸送促進蛋白質遺伝子(glf)フラグメントを得た。このDNAフラグメントとプラスミドpGAP−cscAを制限酵素SalI及びPstIで消化することで得られるフラグメントを混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5αコンピテントセル(タカラバイオ社製)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーをアンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で30℃で一晩培養し、得られた菌体からプラスミドpGAP−cscA−glfを回収して、スクロース加水分解酵素遺伝子(cscA)及びグルコース輸送促進蛋白質遺伝子(glf)発現ベクターを構築した。
上記プラスミドpGAP−cscAとpGAP−cscA−glfを特許文献WO2005/033324号に記載されているMG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/GAPldhAゲノム挿入株コンピテントセルに形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB Broth,Miller寒天プレートで37℃一晩培養することにより、MG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/GAPldhAゲノム挿入株/pGAP−cscA株とMG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/GAPldhAゲノム挿入株/pGAP−cscA−glf株を得た。
<MG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/pGAP−cscA株及びMG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/pGAP−cscA−glf株によるD−乳酸の生産>
前培養として、三角フラスコに50μg/mLのアンピシリンを含むLB Broth, Miller培養液(Difco244620)20mlを入れ、エシェリヒア・コリMG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/pGAP−cscA株及びMG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/pGAP−cscA−glf株をそれぞれ植菌し、9時間、30℃、200rpmで撹拌培養を行った。前培養液0.2mLを下記組成の培地20mLを入れた100mL容量のフラスコにn=4で植菌し、撹拌速度90rpm、培養温度35℃で培養を行った。培養に使用する培地の組成を下記表9に記載する。なお、スクロースはフィルター滅菌して用いた。得られた培養液中のD−乳酸とスクロースの定量はHPLCで定法に従って測定した。結果を表10に記載する。
表10に示されるように、MG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/pGAP−cscA−glf株によるD−乳酸の生産性は、MG1655ΔpflΔdldΔmdhΔasp/pGAP−cscAの生産性に比べて低かった。D−乳酸生産大腸菌では、glf遺伝子の導入による生産性向上の効果は全くみられず、むしろ負の効果を示した。このことは、glf遺伝子の導入が発酵による物質の生産過程において生産量を必ずしも高めるものでないことを示している。
2008年11月5日に出願の日本国出願番号第2008−284639号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (14)

  1. スクロース非PTS遺伝子群(リプレッサー蛋白質(CscR)をコードする遺伝子、スクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子、フルクトキナーゼ(CscK)をコードする遺伝子、及びスクロース透過酵素(CscB)をコードする遺伝子で構成される遺伝子群)うちスクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子のみを有すると共に、2−デオキシ−シロ−イノソース(DOI)生産系が付与又は強化されたDOI生産大腸菌。
  2. 前記DOI生産大腸菌が、糖取り込み能力強化系を有する請求項1に記載のDOI生産大腸菌。
  3. 前記DOI生産大腸菌が、該大腸菌が本来有しているホスホグルコースイソメラーゼ(Pgi)、グルコース−6−リン酸−1−デヒドロゲナーゼ(Zwf)、ホスホグルコムターゼ(Pgm)及び定常期における蛋白質合成の修飾を担うリボソーム修飾因子(Rmf)からなる群より選択された少なくとも1つの活性が、不活化又は低減化されている請求項1又は請求項2に記載のDOI生産大腸菌。
  4. 前記DOI生産大腸菌が、該大腸菌が本来有しているホスホグルコースイソメラーゼ(Pgi)及びグルコース−6−リン酸−1−デヒドロゲナーゼ(Zwf)の活性が不活化又は低減化されている請求項1又は請求項2に記載のDOI生産大腸菌。
  5. DOI合成酵素(BtrC)をコードする遺伝子が導入されたことにより前記DOI生産系が付与又は強化された請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のDOI生産大腸菌。
  6. グルコース輸送促進蛋白質(Glf)をコードする遺伝子が導入されたことにより前記糖取り込み能力強化系を有する請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載のDOI生産大腸菌。
  7. 前記スクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子が、大腸菌に由来する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のDOI生産大腸菌。
  8. 前記スクロース加水分解酵素(CscA)をコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリO−157に由来する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のDOI生産大腸菌。
  9. 前記グルコース輸送促進蛋白質(Glf)をコードする遺伝子ザイモモナス属細菌に由来する請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載のDOI生産大腸菌。
  10. 前記グルコース輸送促進蛋白質(Glf)をコードする遺伝子ザイモモナス・モビリスに由来する請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載のDOI生産大腸菌。
  11. 前記DOI生産大腸菌が、本来スクロース資化能を持たない種類の大腸菌から作られた菌である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のDOI生産大腸菌。
  12. 前記DOI生産大腸菌が、B株若しくはその由来株又はK−12株若しくはその由来株の大腸菌から作られた菌である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のDOI生産大腸菌。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のDOI生産大腸菌を用いて、スクロースを含む植物由来原料からDOIを生産することを含むDOIの生産方法。
  14. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のDOI生産大腸菌をpH6.5以下の培地で培養することを含む請求項13に記載のDOIの生産方法。
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