JP2006254795A - アスパラギン酸脱水素酵素、アラニン脱水素酵素、l−アスパラギン酸製造方法、および、d−リンゴ酸製造方法 - Google Patents

アスパラギン酸脱水素酵素、アラニン脱水素酵素、l−アスパラギン酸製造方法、および、d−リンゴ酸製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 常温で酵素活性の高いアスパラギン酸脱水素酵素を提供すること。
【解決手段】 下記(A)、(B)又は(C)に示すタンパク質。(A)特定のアミノ酸配列を有するタンパク質。(B)特定のアミノ酸配列において、先頭から82番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。(C)特定のアミノ酸配列において、先頭から82番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
【選択図】なし

Description

本発明は、アスパラギン酸脱水素酵素、アラニン脱水素酵素、L−アスパラギン酸製造方法、および、D−リンゴ酸製造方法に関し、特に、常温付近で酵素活性を有する新規なアスパラギン酸脱水素酵素、アラニン脱水素酵素、並びに、このアスパラギン酸脱水素酵素を用いたL−アスパラギン酸製造方法、および、D−リンゴ酸製造方法に関する。
L−アスパラギン酸はタンパク質を構成するアミノ酸のうちの一つであり、生体内で極めて有用なアミノ酸である。実際に、アスパラギン酸を含めて、アミノ酸はアミノ酸輸液などの医薬としても広く用いられている。また、アスパラギン酸に関しては、人工甘味料アスパルテームの原料素材としても広く活用されている。
アスパラギン酸を初め各種のアミノ酸は、様々な方法で生産される。その一つとして、酵素を触媒としてケト酸とアンモニアを還元的アミノ化反応させアミノ酸を得る方法が知られている(式1)。
Figure 2006254795

(式1では、NAD(P)を、NAD(ニコチンアミド−アデニンジヌクレオチド)とNADP(ニコチンアミド−アデニンジヌクレオチドリン酸)をまとめた表現として用いている。これは、アミノ酸脱水素酵素の補酵素要求性の違いによるものである。)
しかしながら、自然界に知られるアミノ酸脱水素酵素は、アラニン脱水素酵素(AlaDH)、グルタミン酸脱水素酵素(GluDH)、ロイシン脱水素酵素(LeuDH)、バリン脱水素酵素(ValDH)、フェニルアラニン脱水素酵素(PheDH)の5種であり、式1を利用しては、アスパラギン酸を得ることはできなかった。
近年、アスパラギン酸脱水素酵素(AspDH)が発見され、この酵素によれば、ケト酸であるオキサロ酢酸を用いて、アスパラギン酸を得ることができる(式2)。
Figure 2006254795
Zhiru Yang, et al,'Aspartate Dehydrogenase,a Novel Enzyme Identified from Structural and Functional Studies of TM1643',The Journal of Biological Chemistry,vol.278,No.10,pp.8804-8808(2003) 特開2004−290069号公報
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。上記非特許文献1に記載の酵素は、超好熱性菌であり常温程度では酵素活性が低く、アスパラギン酸を工業的に生産する場合には、反応効率が低いという問題点があった。特に、原料のオキサロ酢酸が高温では不安定であるため、反応系の温度を高めるには限界があるという原理的な問題点があった。
また、オキサロ酢酸自体も比較的高価であるため、アスパラギン酸を低廉に提供できないという問題点があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、常温で酵素活性の高いアスパラギン酸脱水素酵素を提供することを目的とする。
また、アスパラギン酸を安価に提供することを目的とする。
また、D−リンゴ酸を提供することを目的とする。
また、アラニン脱水素酵素を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、部位特異的変異に基づく戦略を用い、野生型のBacillus subtilis(バチルス ズブチルス:枯草菌)由来のグルタミン酸脱水素酵素(YWEB)の一部のアミノ酸残基を変異させることにより本発明を完成するに至った。なお、YWEBはROCG又はIPA-75Dとも表現されるが、本願においてはYWEBと表記することとする。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.:
下記(A)、(B)又は(C)に示すタンパク質。
(A)配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(B)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(C)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
ここで、先頭から82番目以外のアミノ酸を置換等するとは、配列番号3の先頭から数えて82番目に位置するリシンを据え置き、他のアミノ酸配列を置換等することを意味する。したがって、例えば欠失、付加により、このリシン残基の位置が82番目からシフトしたとしてもこのリシン残基は残存させておくことを意味する。
2.:
下記(A)、(B)又は(C)に示すタンパク質をコードするDNA。
(A)配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(B)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(C)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
ここで、先頭から82番目以外のアミノ酸を置換等するとは、配列番号3の先頭から数えて82番目に位置するリシンを据え置き、他のアミノ酸配列を置換等することを意味する。したがって、例えば欠失、付加により、このリシン残基の位置が82番目からシフトしたとしてもこのリシン残基は残存させておくことを意味する。
3.:
下記(D)、(E)又は(F)に示すタンパク質。
(D)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(E)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(F)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
ここで、先頭から82番目と144番目の2つのアミノ酸以外のアミノ酸を置換等するとは、配列番号4の先頭から数えて82番目に位置するリシンと144番目に位置するアルギニンを共に据え置き、他のアミノ酸配列を置換等することを意味する。したがって、例えば欠失、付加により、このリシン残基とアルギニン残基の位置がそれぞれ個別にシフトしたとしてもこのリシン残基とアルギニン残基は残存させておくことを意味する。
4.:
下記(D)、(E)又は(F)に示すタンパク質をコードするDNA。
(D)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(E)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(F)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
ここで、先頭から82番目と144番目の2つのアミノ酸以外のアミノ酸を置換等するとは、配列番号4の先頭から数えて82番目に位置するリシンと144番目に位置するアルギニンを共に据え置き、他のアミノ酸配列を置換等することを意味する。したがって、例えば欠失、付加により、このリシン残基とアルギニン残基の位置がそれぞれ個別にシフトしたとしてもこのリシン残基とアルギニン残基は残存させておくことを意味する。
5.:
下記(G)、(H)又は(I)に示すタンパク質。
(G)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(H)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(I)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
ここで、先頭から101番目以外のアミノ酸を置換等するとは、配列番号5の先頭から数えて101番目に位置するセリンを据え置き、他のアミノ酸配列を置換等することを意味する。したがって、例えば欠失、付加により、このセリン残基の位置が101番目からシフトしたとしてもこのセリン残基は残存させておくことを意味する。
6.:
下記(G)、(H)又は(I)に示すタンパク質をコードするDNA。
(G)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(H)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(I)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
ここで、先頭から101番目以外のアミノ酸を置換等するとは、配列番号5の先頭から数えて101番目に位置するセリンを据え置き、他のアミノ酸配列を置換等することを意味する。したがって、例えば欠失、付加により、このセリン残基の位置が101番目からシフトしたとしてもこのセリン残基は残存させておくことを意味する。
7.:
下記(J)、(K)又は(L)に示すタンパク質。
(J)配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(K)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(L)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
ここで、先頭から101番目と144番目の2つのアミノ酸以外のアミノ酸を置換等するとは、配列番号6の先頭から数えて101番目に位置するセリンと144番目に位置するアルギニンを共に据え置き、他のアミノ酸配列を置換等することを意味する。したがって、例えば欠失、付加により、このセリン残基とアルギニン残基の位置がそれぞれ個別にシフトしたとしてもこのセリン残基とアルギニン残基は残存させておくことを意味する。
8.:
下記(J)、(K)又は(L)に示すタンパク質をコードするDNA。
(J)配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(K)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
(L)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
ここで、先頭から101番目と144番目の2つのアミノ酸以外のアミノ酸を置換等するとは、配列番号6の先頭から数えて101番目に位置するセリンと144番目に位置するアルギニンを共に据え置き、他のアミノ酸配列を置換等することを意味する。したがって、例えば欠失、付加により、このセリン残基とアルギニン残基の位置がそれぞれ個別にシフトしたとしてもこのセリン残基とアルギニン残基は残存させておくことを意味する。
9.:
上記2.、4.、6.又は8.に記載のDNAによりコードされるタンパク質が発現可能な形態で導入された微生物。なお、この微生物として大腸菌を挙げることができる。また、膜透過性を付与した大腸菌であってもよい。
10.:
上記9.に記載の微生物を培地で培養し、培養物中にアスパラギン酸脱水素酵素を生成蓄積させ、該培養物よりアスパラギン酸脱水素酵素を採取することを特徴とするアスパラギン酸脱水素酵素の製造方法。
11.:
上記9.に記載の微生物を培地で培養し、培養物中にアラニン脱水素酵素を生成蓄積させ、該培養物よりアラニン脱水素酵素を採取することを特徴とするアラニン脱水素酵素の製造方法。
12.:
原料として、DL−リンゴ酸およびアンモニウム塩を供給し、触媒として、リンゴ酸脱水素酵素、並びに、請求項1,請求項3,請求項5,請求項7に記載のアスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質、請求項9に記載の微生物、若しくは、請求項10に記載の製造方法により製造されたアスパラギン酸脱水素酵素を加え、さらに、補酵素としてNADを添加し、L−アスパラギン酸を得ることを特徴とするL−アスパラギン酸製造方法。
13.:
原料として、DL−リンゴ酸およびアンモニウム塩を供給し、触媒として、リンゴ酸脱水素酵素、および、請求項1,請求項3,請求項5,請求項7に記載のアスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質、請求項9に記載の微生物、若しくは、請求項10に記載の製造方法により製造されたアスパラギン酸脱水素酵素を加え、さらに、補酵素としてNADを添加し、D−リンゴ酸を得ることを特徴とするD−リンゴ酸製造方法。
なお、以降において、上記(A)、(B)又は(C)に示されるタンパク質ないし酵素を、単にG82Kと適宜表記する。同様に、上記(D)、(E)又は(F)に示されるタンパク質ないし酵素を、単にQ144R/G82Kと適宜表記する。同様に、上記(G)、(H)又は(I)に示されるタンパク質ないし酵素を、単にM101Sと適宜表記する。同様に、上記(J)、(K)又は(L)に示されるタンパク質ないし酵素を、単にQ144R/M101Sと適宜表記する。
本発明によれば、常温で酵素活性の高いアスパラギン酸脱水素酵素を提供することができる。また、また、L−アスパラギン酸を安価に提供することが可能となる。また、D−リンゴ酸を提供することが可能となる。また、アラニン脱水素酵素を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は記載した形態のみに限定されるものではなく、本明細書の記載および当分野で公知の技術に基づいて当業者が容易に修飾および改変し得る技術については本発明の範囲内に含まれるものである。
ここでは、まず、Bacillus subtilis由来GluDH遺伝子(yweB)のクローニング、yweBの耐熱化変異酵素Q144Rの作製、および、今回設計した変異酵素の作製について述べ、続いて、変異酵素の精製について言及する。その後、変異酵素の性質について述べる。なお、Q144Rの精製等は、本願発明者らの本願出願人による特許文献1にも記載している。
上記した今回の設計とは、Clostridium symbiosum 由来のGluDH(以降、適宜CsGluDHと表記することとする)とYWEBとが立体構造が近似している点に鑑みてなしたものである。すなわち、CsGluDHが、基質γ−カルボキシル基と相互作用するリジン89とセリン380および側鎖の結合ポケットを形成するアラニン163を、それぞれ、ロイシン、アラニン、グリシンに置換した変異酵素が、メチオニンとノルロイシンに対して良好な反応性を示すことが報告されていることに着目してなしたものである。
そこで、YWEBおよびQ144Rにおいて、基質2−オキソグルタル酸の結合ポケットを形成している二箇所のアミノ酸残基(グリシン82(G82)、メチオニン101(M101))を、それぞれリシン(K)とセリン(S)へ置換したG82K、M101S、Q144R/G82K、Q144R/M101S変異酵素を作製することとした。
なお、遺伝子の単離およびこの遺伝子を含有する組み換えベクターの作成、組み換えベクターによる形質転換体の作成、並びに形質転換体の培養等に関しては公知の方法、例えばモレキュラー・クローニング(コールドスプリングハーバー出版社、1989年)、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(ウィリー・インターサイエンス出版社、1989年)等に挙げられている方法を組み合わせて行うことができるので、その詳細な記載を省略する。
〔yweBのクローニング:染色体DNAの調製〕
まず、Bacillus subtilis由来GluDH遺伝子(yweB)をクローニングするため、Bacillus subtilis ATCC 23857をLB培地2 ml で37℃、18〜20 hr振とう培養を行い、遠心(15000rpm, 5分)にて集菌後、CTAB(hexadecyltrimethylammonium bromide)法(Nucleic Acids Research, 8, 4321-4325, 1980)を用いて染色体DNAの調製を行った。
〔yweBのクローニング:PCR によるGluDH 遺伝子の増幅〕
次に、目的遺伝子(yweB)の塩基配列情報 (EMBL Z99123, EMBL L47648)に基づきプライマーをデザインし、PCRを用いてyweB含むDNA断片の増幅を行った。YWEBは、上述したようにBacillus subtilis由来のGluDHである。なお、配列番号2にYWEBを示す。
〔yweBのクローニング:形質転換大腸菌の作製〕
CTAB法によるゲノムDNAの調製を行い、PCRにより増幅させたyweBを得た。得られたPCR増幅産物(約1.4kb)をアガロースゲル電気泳動で分離した後、そのバンドを切り出し、GENE CLEAN II(フナコシ社製)により精製した。これらのDNA断片は、それぞれpUC18ベクター(タカラ酒造社製)のBamHIおよびPstIサイトにライゲーションし組み換えDNAを得た。得られた組み換えDNAを大腸菌(E. coli) MV1184コンピテントセル(日本ジーン社製)に導入し形質転換した。 形質転換株はLBプレート(アンピシリン、X-Gal、IPTG含有)上でホワイトコロニーを形成することで選択した。この形質転換株からアルカリ-SDS法によりプラスミドDNAを調製し、一部をBamHIとPstIで制限酵素処理し、電気泳動によりインサートDNAを確認した。これらの形質転換体の保持していたプラスミドをpYWEと命名した。
〔Q144R、G82K、および、M101Sの作製〕
野生型に対して変異導入するにあたり、プラスミドpYWEを制限酵素BamHIとPstIで切断し、アガロースゲル電気泳動でyweBを分離した後、そのバンドを切り出し、GENE CLEAN II(フナコシ社製)により精製した。このDNA断片を、pKF18kベクター(タカラ社製)のBamHIおよびPstIサイトにライゲーションし組み換えDNAを得た。この際の宿主はE.coli JM109を使用しカナマイシン含有培地を用いてブルー/ホワイト セレクションにより組み換え体を選択した。また、変異導入用合成オリゴヌクレオチド(Mutagenic oligonucleotide)はSelection Primerとは反対側の鎖にアニーリングさせなければならないので、lacZ 遺伝子の−鎖と相補的になるよう設計した。Q144R、G82KとM101Sの変異導入に用いた合成オリゴヌクレオチドを、それぞれ配列番号8、9、10に示す。また、Q144R,G82K,M101Sの配列をそれぞれ、配列番号7,3,5に示す。
〔Q144R/G82K、Q144R/M101S変異酵素の作製〕
また、Q144Rからさらに変異導入するにあたり、上記と同様の手順に従った。すなわち、Q144R発現プラスミドpQ144Rを制限酵素BamHIとPstIで切断し、アガロースゲル電気泳動でQ144Rを分離した後、そのバンドを切り出し、GENE CLEAN II(フナコシ社製)により精製した。このDNA断片を、pKF18kベクター(タカラ社製)のBamHIおよびPstIサイトにライゲーションし組み換えDNAを得た。この際の宿主はE.coli JM109を使用しカナマイシン含有培地を用いてブルー/ホワイト セレクションにより組み換え体を選択した。また、変異導入用合成オリゴヌクレオチド(Mutagenic oligonucleotide)はSelection Primerとは反対側の鎖にアニーリングさせなければならないので、lacZ 遺伝子の−鎖と相補的になるよう設計した。Q144R/G82KとQ144R/M101Sの変異導入に用いた合成オリゴヌクレオチドは、それぞれ配列番号9、10である。また、Q144R/G82K,Q144R/M101Sの配列をそれぞれ、配列番号4,6に示す。
変異導入はMutan-Super Express Km ( タカラ酒造社製 ) を用いて行った。このPCRについて図1に示した。これをE.coli MV118に形質転換し、カナマイシン含有培地を用いて変異組み換え体を選択した。選択したシングルコロニーからプラスミドDNA を調製してDNA塩基配列決定により変異の導入を確認した。
〔変異の確認〕
変異の確認には、ABI PRISM, Dye Terminator Cycle Sequencing Kit (ABI)を用いるABI PRISM 3100-Avant Genetic Analyzer (ABI)を使用した。変異確認用Primerは、ベクタープラスミドに対するPrimer RV、および本酵素遺伝子の配列確認のために作製されたオリゴヌクレオチドより、G82KとQ144R/G82KにはM13 Primer RV(タカラ酒造社製)、M101SとQ144R/M101SにはYw 5(配列番号11参照)、Q144R にはYw 2(配列番号12参照)を選んで使用した。
変異確認ができたコロニーよりプラスミドを調製し、BamHIとPstIで制限酵素処理、発現ベクターpUC18 へライゲーションし、E.coli MV1184 を形質転換した。このときLB-プレート(アンピシリン、X-Gal、IPTG含有)でブルー/ホワイトセレクションにより選択する。生育してきたコロニーからプラスミドを調製し、アガロースゲル電気泳動により、サイズ確認を行った。得られた形質転換株についてSDS-PAGEを用いて発現確認を行ったところ、すべてに発現が確認され、AspDH活性も認められたので性質を調べた。
〔活性測定〕
還元型補酵素NADH は340nmに吸収極大をもつ。このことを利用して反応時の340nmにおけるNADH(分子吸光係数6.2 mmol-1・cm-1)の吸収の増減を追跡することにより活性測定を行った。活性(Activity)の表示は、1 分間に1 μmol のNAD+あるいはNADHの生成を触媒する酵素量を1 unit と定義し、比活性は1 mg protein 当たりのunit 数でunits/(mg protein) と表した。
活性の評価式を式3に示す。
Figure 2006254795

また、アミノ化反応の概要を図2に、脱アミノ反応の概要を図3に示した。なお、タンパク量は、Bio-Rad Protein Assay Kit(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)を用い、牛血清アルブミンを標準タンパク質として検量線を作成し、そのタンパク量を求めた。
〔変異酵素の精製〕
精製にあたっては、E.coli MV1184/変異酵素クローン を、50 mg/ml Amp 3 μl を含むLB培地3 ml で37℃、18〜20 hr振とう培養を行い、次いで50 mg/ml Amp 750 μl、1 M IPTG 150 μl を含むLB 培地750 ml にスケールアップし、18〜20 hr、37℃で振とう培養し、遠心8,000 rpm 10 min で集菌した。最終的には、図4に示した方法(30〜40%飽和硫安沈殿工程、イオン交換(DEAE)カラム工程、疎水性(Butyl)カラム工程)で精製した。最終精製倍率は約40倍であり、SDS-PAGE の結果からもほぼ均一に精製されていることが確認された。
〔変異酵素の性質〕
次に、精製された変異酵素の酵素化学的性質を調べた。
〔変異酵素の性質:基質特異性〕
まず、変異酵素の基質特異性の評価を行った。図5は、YWEBのGluDH活性を1とした場合の、G82KとM101Sの相対活性を示した図である。また、図6は、Q144RのGluDH活性を1とした場合の、Q144RとQ144R/M101Sの相対活性を示した図である。
図示したように、G82K、Q144R/G82K、M101S、Q144R/M101Sは、いずれも、GluDH活性に比して高いAspDH活性とAlaDH活性があることが認められた。特に、野生型のオキサロ酢酸に対する相対活性が0.2%であるのに対して、G82Kは、相対活性が実に280倍、M101Sは、相対活性が495倍まで上昇していることは特筆すべきである。
〔変異酵素の性質:反応速度論的解析〕
次に、変異酵素について、Kinetic Parameter の解析を行った。具体的には、Kcatと Kmを求めた。また、Kcat 値は、酵素の代謝回転数(turn number)又は触媒定数と呼ばれ、酵素の活性部位が単位時間(通常1秒)ごとに触媒する反応回数(回転数)を表す。
Kcatと比活性と酵素の分子量の関係は式4で与えられる。
Figure 2006254795

なお、Kcat / Km 値は見かけの二次反応速度定数であり、遊離の酸素と基質との間の反応性を示すため、酸素の触媒効率を表す指標となる。
Km 値は、アミノ化反応、脱アミノ反応の両反応でそれぞれの基質を様々な濃度で測定し、Lineweaver-Burk の逆数プロットから求めた。結果を図7に示す。Kcat値を見れば分かるように、YWEBやQ144Rのグルタミン酸脱水素酵素活性までには及ばないが、AspDHやAlaDHとして工業的にアスパラギン酸およびアラニンを生産可能な程度にまで活性度が上昇していることが分かる。
〔変異酵素の性質:耐熱性の検討〕
次に、変異酵素を各温度で20 分間熱処理した後、アミノ化反応における残存活性を熱未処理の活性を100 としたときの相対活性として示した。また各酵素を様々な温度で20 minの熱処理後、50 %の残存活性を示す温度をグラフから求めた。タンパク質濃度による保護効果の耐熱性への影響に考慮し、タンパク質濃度をほぼ等しくして実験を行った。図8に示したように、G82K、M101Sの50%の失活温度は、野生型酵素と同程度であり、Q144R/G82K、Q144R/M101Sの50%の失活温度は耐熱化酵素Q144Rと同程度であることが確認できた。なお、至適温度は、いずれの変異酵素についても41℃〜42℃であることを別途確認した。したがって、Kcat値を勘案すると、常温にて工業的な利用が可能であることが確認できた。
〔変異酵素の性質:最適pHの測定〕
それぞれの変異酵素の最適pH を、アミノ化、脱アミノ反応のそれぞれで活性測定を行うことにより決定した。Buffer は、pH 6.3〜7.6 でKP Buffer、pH 7.0〜8.8 でTris-HCl Buffer、pH 8.8〜9.6 でCarbonate Buffer を使用した。いずれの変異酵素においても、yweB同様に最適pH はアミノ化反応ではpH 7.3 付近、脱アミノ反応ではpH 7.7 付近であった。
〔アスパラギン酸の工業的生産方法〕
次に、工業的にアスパラギン酸を生産する方法について説明する。図9は、DL−リンゴ酸を原料としたL−アスパラギン酸の反応図である。図示したように、原料として、DL−リンゴ酸およびアンモニウム塩(例えば塩化アンモニウム)を供給し、触媒として、リンゴ酸脱水素酵素と上記説明したAspDH(G82K、Q144R/G82K、M101S、又は、Q144R/M101S)を加え、さらに、補酵素としてNADを添加することにより、L−アスパラギン酸を生産可能となる。
なお、図9に示した生産方法は、比較的高価なオキサロ酢酸を用いる必要がなく、安価なDL−リンゴ酸を用いればよく、また、高価な補酵素NADHを別途供給する必要がなくなるため、安価にアスパラギン酸を提供可能となる。
なお、AspDHは、純粋に精製したものでなく、使用の態様によっては例えば、大腸菌に導入したものを直接反応タンクの中に投入してもよい。同様に、リンゴ酸脱水素酵素も大腸菌に導入したものを反応タンクの中に投入しておいても良い。このとき、膜透過性付与大腸菌であることが好ましい。
なお、以上は、L−アスパラギン酸の生産という観点から反応を捉えた結果であるが、図9に示したようにこの反応ではD−リンゴ酸が残存する。L−アスパラギン酸とD−リンゴ酸は、分子内の電荷が異なるので、イオン交換クロマトグラフィーなどを利用して適宜分離できる。特にD−リンゴ酸は光学活性ジカルボン酸誘導体合成の中間体として反応させることができ、利用価値がある。
AspDHをL-アスパラギン酸の定量用酵素として用いることも可能である。
変異導入PCRのプロトコルを示した図である。 アミノ化反応の概要を示した図である。 脱アミノ反応の概要を示した図である。 精製法の手順を示した図である。 YWEBのグルタミン酸脱水素酵素活性を1とした場合の、G82KとM101Sの相対活性を示した図表である。 Q144Rのグルタミン酸脱水素酵素活性を1とした場合の、Q144RとQ144R/M101Sの相対活性を示した図表である。 変異酵素の反応速度論的解析結果を示した図表である。 変異酵素の50%失活温度を示した図表である DL−リンゴ酸を原料としたL−アスパラギン酸の反応図である。

Claims (13)

  1. 下記(A)、(B)又は(C)に示すタンパク質。
    (A)配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (B)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (C)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  2. 下記(A)、(B)又は(C)に示すタンパク質をコードするDNA。
    (A)配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (B)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (C)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  3. 下記(D)、(E)又は(F)に示すタンパク質。
    (D)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (E)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (F)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  4. 下記(D)、(E)又は(F)に示すタンパク質をコードするDNA。
    (D)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (E)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (F)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、先頭から82番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  5. 下記(G)、(H)又は(I)に示すタンパク質。
    (G)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (H)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (I)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  6. 下記(G)、(H)又は(I)に示すタンパク質をコードするDNA。
    (G)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (H)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (I)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目のアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  7. 下記(J)、(K)又は(L)に示すタンパク質。
    (J)配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (K)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (L)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  8. 下記(J)、(K)又は(L)に示すタンパク質をコードするDNA。
    (J)配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (K)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質。
    (L)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、先頭から101番目と144番目の2つのアミノ酸以外の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アラニン脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  9. 請求項2、請求項4、請求項6又は請求項8に記載のDNAによりコードされるタンパク質が発現可能な形態で導入された微生物。
  10. 請求項9に記載の微生物を培地で培養し、培養物中にアスパラギン酸脱水素酵素を生成蓄積させ、該培養物よりアスパラギン酸脱水素酵素を採取することを特徴とするアスパラギン酸脱水素酵素の製造方法。
  11. 請求項9に記載の微生物を培地で培養し、培養物中にアラニン脱水素酵素を生成蓄積させ、該培養物よりアラニン脱水素酵素を採取することを特徴とするアラニン脱水素酵素の製造方法。
  12. 原料として、DL−リンゴ酸およびアンモニウム塩を供給し、
    触媒として、リンゴ酸脱水素酵素、並びに、請求項1,請求項3,請求項5,請求項7に記載のアスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質、請求項9に記載の微生物、若しくは、請求項10に記載の製造方法により製造されたアスパラギン酸脱水素酵素を加え、
    さらに、補酵素としてNADを添加し、
    L−アスパラギン酸を得ることを特徴とするL−アスパラギン酸製造方法。
  13. 原料として、DL−リンゴ酸およびアンモニウム塩を供給し、
    触媒として、リンゴ酸脱水素酵素、および、請求項1,請求項3,請求項5,請求項7に記載のアスパラギン酸脱水素酵素活性を有するタンパク質、請求項9に記載の微生物、若しくは、請求項10に記載の製造方法により製造されたアスパラギン酸脱水素酵素を加え、
    さらに、補酵素としてNADを添加し、
    D−リンゴ酸を得ることを特徴とするD−リンゴ酸製造方法。

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