JP6476542B2 - 変異型グルコース−6−リン酸脱水素酵素 - Google Patents

変異型グルコース−6−リン酸脱水素酵素 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性を向上させた変異型グルコース−6−リン酸脱水素酵素に関する。また、本発明は、該酵素のアミノ酸配列をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター、該ベクターにより得られる形質転換体、及び該形質転換体を用いる改変型G6PDHの製造方法に関する。
特定の基質に対して特異的に反応する酵素を用いた臨床検査薬は様々な体内分子の測定に利用されている。例えば、グルコース−6−リン酸脱水素酵素(EC1.1.1.49、以下「G6PDH」と表記することもある)は、非特許文献1に心筋梗塞マーカーであるクレアチンキナーゼの定量(非特許文献1)や、糖尿病マーカーであるグルコースの定量(非特許文献2)に利用できることが知られている。
一方、生体内の触媒反応を模して、ブドウ糖等の特定の基質から電気を発生させる酵素燃料電池なる技術も開発され、従来用途に比べさらに高いレベルの触媒活性や安定性を要求される工業用途においても酵素が利用されつつある。例えば、非特許文献3には、G6PDH等を電池の陰極に固定化し、ブドウ糖を燃料に0.322mWcm-2の出力が得られることが紹介されている。
上記に例示した用途において、従来、G6PDHとしては、ロイコノストック属細菌や酵母等の微生物から採取された酵素が主に用いられている。例えば、非特許文献4には、ロイコノストック属細菌のロイコノストック・メセンテロイデスのG6PDH遺伝子配列、該遺伝子にコードされているアミノ酸配列が開示されている。また、特許文献1には、ロイコノストック属細菌のロイコノストック・メセンテロイドのG6PDH遺伝子配列及び組換え大腸菌を用いた製造方法について開示されている。また、特許文献2には、ロイコノストック属細菌のロイコノストック・デキストラニクスのG6PDH遺伝子配列及び組換え大腸菌を用いた製造方法について開示されている。
しかしながら、従来のG6PDHでは、安定性が不十分であり、診断薬用途として実用する上でその改良が望まれていた。そこで、これまでに、安定性が向上したG6PDHの探索が種々行われている。例えば、バチルス・ステアロサーモフィラス由来のG6PDH(特許文献3)、ラクトバチルス属由来のG6PDH(特許文献4)、ペディオコッカス属由来のG6PDH(特許文献5及び6)、及びアクイフェックス・エオリカス由来のG6PDH(非特許文献5)は、優れた耐熱性や熱安定性を備えていることが報告されている。
更に、野生型のG6PDHに変異を導入することによって安定性を向上させることも検討されている。例えば、特許文献7には、ロイコノストック・メセンテロイデス由来のG6PDHのアミノ酸配列において、特定のアミノ酸置換を導入することにより、溶液状態における保存時の安定性を向上させ得ることが報告されている。
特公平5−503221号公報 特公平5−87234号公報 特公昭63−43079号公報 特公平3−995号公報 特開平9−313174号公報 特開平10−225293号公報 特開2001−37480号公報
臨床化学 第19巻第2号 p185−208 Richard J.L.Bonder and Donna C. Mead.Evaluation of Glucose−6−Phosphate Dehydrogenase from Leuconostoc mesenteroides in the Hexokinase Method for Determining Glucose in Serum.CLIN.CHEM.,Vol.20,No.5,1974,p586−90. Zhu Z et al.,Deep oxidation of glucose in enzymatic fuel cells through a synthetic enzymatic pathway containing a cascade of two thermostable dehydrogenases.Biosens Bioelectron.Vol.36,No.1,2012,p110−5. W.Theodore Lee et al.,Cloning of the Gene and Amino Acid Sequence for Glucose 6−Phosphate Dehydrogenase from Leuconostoc mesenteroides.THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,Vol.266,No.20,1991,p13028−34. Ramesh B.Iyer et.al.,Cloning,expression,and characterization of the gsdA gene encoding thermophilic glucose−6−phosphate dehydrogenase from Aquifex aeolicus.Extremophiles,Vol.6,2002,p283−89.
前述するように、G6PDHは、診断薬用途にとどまらず、酵素燃料電池のような工業用途への利用も模索されている。このような工業用途においては、耐熱性を向上させ、優れた熱安定性を備えさせることが望まれている。特許文献3〜7及び非特許文献5のように、従来、G6PDHの熱安定性の向上については、由来微生物の検討、変異の導入等の観点から検討されているものの、G6PDHの用途の多様化に伴って、熱安定性が向上したG6PDHの更なる開発が求められている。
そこで、本発明は、工業用途を含む広範な用途における利用に耐え得るように、優れた耐熱性を有し、熱安定性が向上した変異型G6PDHを遺伝子工学的手法にて提供することを目的とする。更に、本発明は、該変異型G6PDHの生産に必要な遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター、該ベクターにより得られる形質転換体、該形質転換体を用いる変異型G6PDHの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ロイコノストック・メセンテロイデス由来のG6PDHのアミノ酸配列において特定のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換することにより、優れた耐熱性を備えさせ、熱安定性を向上させ得ることを見出した。更に、ロイコノストック・メセンテロイデス由来のG6PDHのアミノ酸配列において特定の多重変異を導入することにより、基質特異性及び/又は触媒活性をも向上させ得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 下記(A)〜(C)のいずれかに示すポリペプチド:
(A) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、419番目、229番目、230番目、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、及び466番目よりなる群から選択される少なくとも1つアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(B) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、419番目、229番目、230番目、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、及び466番目よりなる群から選択される少なくとも1つアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチド、
(C) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、419番目、229番目、230番目、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、及び466番目よりなる群から選択される少なくとも1つアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチド。
項2. 次の(1a)〜(14a)の群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換が導入されている、項1に記載のポリペプチド:
(1a)配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目が、メチオニン以外の非極性アミノ酸、非電荷アミノ酸、酸性アミノ酸、又は塩基性アミノ酸に置換、
(2a)配列番号3に示すアミノ酸配列における229番目が、グルタミン酸に置換、
(3a)配列番号3に示すアミノ酸配列における230番目が、アスパラギン酸又はグルタミン酸に置換、
(4a)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目が、非極性アミノ酸又はセリン以外の非電荷アミノ酸に置換、
(5a)配列番号3に示すアミノ酸配列における27番目が、バリン以外の非電荷アミノ酸に置換、
(6a)配列番号3に示すアミノ酸配列における28番目が、非電荷アミノ酸又はフェニルアラニン以外の非極性アミノ酸に置換、
(7a)配列番号3に示すアミノ酸配列における118番目が、非極性アミノ酸又はセリン以外の非電荷アミノ酸に置換、
(8a)配列番号3に示すアミノ酸配列における119番目が、非電荷アミノ酸に置換、
(9a)配列番号3に示すアミノ酸配列における120番目が、アラニン以外の非極性アミノ酸に置換、
(10a)配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目が、非電荷アミノ酸又は塩基性アミノ酸に置換、
(11a)配列番号3に示すアミノ酸配列における174番目が、ロイシン以外の非極性アミノ酸に置換、
(12a)配列番号3に示すアミノ酸配列における175番目が、非電荷アミノ酸又はフェニルアラニン以外の非極性アミノ酸に置換、
(13a)配列番号3に示すアミノ酸配列における288番目が、非電荷アミノ酸又はアラニン以外の非極性アミノ酸に置換、及び
(14a)配列番号3に示すアミノ酸配列における466番目が、メチオニン以外の非極性アミノ酸に置換。
項3. 次の(1a)〜(14a)の群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換が導入されている、項1又は2に記載のポリペプチド:
(1a)配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目が、ロイシンに置換、
(2a)配列番号3に示すアミノ酸配列における229番目が、グルタミン酸に置換、
(3a)配列番号3に示すアミノ酸配列における230番目が、グルタミン酸に置換、
(4a)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目が、アラニンに置換、
(5a)配列番号3に示すアミノ酸配列における27番目が、ロイシンに置換、
(6a)配列番号3に示すアミノ酸配列における28番目が、チロシンに置換、
(7a)配列番号3に示すアミノ酸配列における118番目が、アラニンに置換、
(8a)配列番号3に示すアミノ酸配列における119番目が、スレオニンに置換、
(9a)配列番号3に示すアミノ酸配列における120番目が、プロリンに置換、
(10a)配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目が、アルギニンに置換、
(11a)配列番号3に示すアミノ酸配列における174番目が、イソロイシンに置換、
(12a)配列番号3に示すアミノ酸配列における175番目が、チロシンに置換、
(13a)配列番号3に示すアミノ酸配列における288番目が、グリシンに置換、及び
(14a)配列番号3に示すアミノ酸配列における466番目が、トリプトファンに置換。
項4. 次の(1b)〜(8b)の群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換が導入されている、項1〜3のいずれかに記載のポリペプチド:
(1b)配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目が、他のアミノ酸に置換、
(2b)配列番号3に示すアミノ酸配列における229番目、及び230番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(3b)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目、27番目、及び28番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(4b)配列番号3に示すアミノ酸配列における118番目、119番目、及び120番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(5b)配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目が、他のアミノ酸に置換、
(6b)配列番号3に示すアミノ酸配列における174番目、及び175番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(7b)配列番号3に示すアミノ酸配列における288番目が、他のアミノ酸に置換、及び
(8b)配列番号3に示すアミノ酸配列における466番目が、他のアミノ酸に置換。
項5. 次の(1b)〜(8b)の群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換が導入されている、項1〜3のいずれかに記載のポリペプチド:
(1b)配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換、
(2b)配列番号3に示すアミノ酸配列における229番目がグルタミン酸に置換、及び230番目がグルタミン酸に置換、
(3b)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイシンに置換、及び28番目がチロシンに置換、
(4b)配列番号3に示すアミノ酸配列における118番目がアラニンに置換、119番目がスレオニンに置換、及び120番目がプロリンに置換、
(5b)配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目がアルギニンに置換、
(6b)配列番号3に示すアミノ酸配列における174番目がイソロイシンに置換、及び175番目がチロシンに置換、
(7b)配列番号3に示すアミノ酸配列における288番目がグリシンに置換、及び
(8b)配列番号3に示すアミノ酸配列における466番目がトリプトファンに置換。
項6. 次の(1c)〜(9c)に示すアミノ酸置換の群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換が導入されている、項1〜3のいずれかに記載のポリペプチド:
(1c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(2c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(3c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、419番目、及び466番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(4c)配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(5c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、及び419番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(6c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、及び466番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(7c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、288番目、及び466番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(8c)配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目、及び466番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換、及び
(9c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目、27番目、28番目、及び466番目が、それぞれ他のアミノ酸に置換。
項7. 次の(1c)〜(9c)の群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換が導入されている、項1〜3のいずれかに記載のポリペプチド:
(1c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイシンに置換、28番目がチロシンに置換、118番目がアラニンに置換、119番目がスレオニンに置換、120番目がプロリンに置換、159番目がアルギニンに置換、174番目がイソロイシンに置換、175番目がチロシンに置換、229番目がグルタミン酸に置換、230番目がグルタミン酸に置換、288番目がグリシンに置換、419番目がロイシンに置換、及び466番目がトリプトファンに置換、
(2c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイシンに置換、28番目がチロシンに置換、159番目がアルギニンに置換、174番目がイソロイシンに置換、175番目がチロシンに置換、229番目がグルタミン酸に置換、230番目がグルタミン酸に置換、288番目がグリシンに置換、419番目がロイシンに置換、及び466番目がトリプトファンに置換、
(3c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイシンに置換、28番目がチロシンに置換、118番目がアラニンに置換、119番目がスレオニンに置換、120番目がプロリンに置換、159番目がアルギニンに置換、174番目がイソロイシンに置換、175番目がチロシンに置換、288番目がグリシンに置換、419番目がロイシンに置換、及び466番目がトリプトファンに置換、
(4c)配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目がアルギニンに置換、174番目がイソロイシンに置換、175番目がチロシンに置換、419番目がロイシンに置換、及び466番目がトリプトファンに置換、
(5c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイシンに置換、28番目がチロシンに置換、118番目がアラニンに置換、119番目がスレオニンに置換、120番目がプロリンに置換、159番目がアルギニンに置換、174番目がイソロイシンに置換、175番目がチロシンに置換、229番目がグルタミン酸に置換、230番目がグルタミン酸に置換、288番目がグリシンに置換、及び419番目がロイシンに置換、
(6c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイシンに置換、28番目がチロシンに置換、118番目がアラニンに置換、119番目がスレオニンに置換、120番目がプロリンに置換、159番目がアルギニンに置換、174番目がイソロイシンに置換、175番目がチロシンに置換、229番目がグルタミン酸に置換、230番目がグルタミン酸に置換、288番目がグリシンに置換、及び466番目がトリプトファンに置換、
(7c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイシンに置換、28番目がチロシンに置換、118番目がアラニンに置換、119番目がスレオニンに置換、120番目がプロリンに置換、159番目がアルギニンに置換、288番目がグリシンに置換、及び466番目がトリプトファンに置換、
(8c)配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換、及び466番目がトリプトファンに置換、及び
(9c)配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイシンに置換、28番目がチロシンに置換、及び466番目がトリプトファンに置換。
項8. 下記(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、又は(C2)に示されるポリペプチドである、項1〜7のいずれかに記載のポリペプチド:
(A1) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(A2) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(B1) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、及び、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド、
(B2) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、及び、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド、
(C1) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド、
(C2) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド。
項9. 下記(A3)〜(A7)、(B3)〜(B7)、及び(C3)〜(C7)の中のいずれかに示されるポリペプチドである、項1〜7のいずれかに記載のポリペプチド:
(A3) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(A4) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(A5) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(A6) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(A7) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、及び419番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(B3) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(B4) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(B5) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(B6) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(B7) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、及び419番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(C3) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(C4) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(C5) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(C6) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(C7) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、及び419番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
項10. 下記(i)〜(xi)の中のいずれかに示されるポリペプチドである、項8又は9に記載のポリペプチド:
(i) 配列番号86、88、90、92、又は94に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(ii) 配列番号86における26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されたアミノ酸配列からなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(iii) 配列番号88に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されたアミノ酸配列からなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して、耐熱性及び基質特異性、又は耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド、
(iv) 配列番号90に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、419番目、及び466番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されたアミノ酸配列からなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(v) 配列番号92に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されたアミノ酸配列からなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して、耐熱性及び基質特異性、又は耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド、
(vi) 配列番号94に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、及び419番目以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されたアミノ酸配列からなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(vii) 配列番号86における26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸が変異されておらず、配列番号86に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(viii) 配列番号88に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸が変異されておらず、配列番号88に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して、耐熱性及び基質特異性、又は耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド、
(iX) 配列番号90に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸が変異されておらず、配列番号90に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド、
(x) 配列番号92に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸が変異されておらず、配列番号92に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して、耐熱性及び基質特異性、又は耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド、
(xi) 配列番号94に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、及び419番目のアミノ酸が変異されておらず、配列番号94に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
項11. 項1〜項10のいずれかに記載のポリペプチドをコードしているDNA。
項12. 下記(i)又は(ii)に示すDNAである、項11に記載のDNA。
(i) 配列番号85、87、89、91、又は93に示す塩基配列からなるDNA、
(ii) グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチドをコードし、且つ、配列番号85、87、89、91、又は93に示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列を含むDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
項13. 項11又は12に記載のDNAを含む組換えベクター。
項14. 項13に記載の組換えベクターにより宿主を形質転換して得られる形質転換体。
項15. 宿主が大腸菌である、項14に記載の形質転換体。
項16. 項14又は15に記載の形質転換体を培養する工程を含む、項1〜項10のいずれかに記載のポリペプチドの製造方法。
本発明のポリペプチドは、G6PDH活性を備えつつ、耐熱性に優れており、熱安定性が向上しているので、診断薬や燃料電池等の幅広い分野で利用することができる。また、本発明のポリペプチドの一態様では、耐熱性のみならず、基質特異性及び/又は触媒活性も向上しており、極めて有用性が高い。
配列番号1の塩基配列と配列番号2の塩基配列のペアワイズアライメントの結果(N末端側)を示す。同じ塩基が整列された場合は、該塩基の真下に星印(*)が並んでいる。該ペアワイズアライメントの結果は、図1と図2に分割して示しており、図1にはN末端側からのアライメント結果を示している。 配列番号1の塩基配列と配列番号2の塩基配列のペアワイズアライメントの結果(C末端側)を示す。同じ塩基が整列された場合は、該塩基の真下に星印(*)が並んでいる。該ペアワイズアライメントの結果は、図1と図2に分割して示しており、図2にはC末端側からのアライメント結果を示している。 配列番号1の塩基配列がコードするアミノ酸配列と配列番号2の塩基配列がコードするアミノ酸配列のペアワイズアライメントの結果を示す。同じ塩基が整列された場合は、該塩基の真下に星印(*)が並んでいる。 実施例7において精製酵素を電気泳動した結果を示す。左端の数値は、分子量(kDa)を示す。右端の矢印(←)は、単離された各G6PDHタンパク質のバンドを示している。 実施例7において熱処理なしの酵素活性を100%としたときの各熱処理時間での残存活性を求め、横軸に熱処理時間、縦軸に残存活性(%)の対数をプロットしたグラフを示す。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、配列表以外では、アミノ酸配列における20種類のアミノ酸残基は、一文字略記で表現している。即ち、グリシン(Gly)はG、アラニン(Ala)はA、バリン(Val)はV、ロイシン(Leu)はL、イソロイシン(Ile)はI、フェニルアラニン(Phe)はF、チロシン(Tyr)はY、トリプトファン(Trp)はW、セリン(Ser)はS、スレオニン(Thr)はT、システイン(Cys)はC、メチオニン(Met)はM、アスパラギン酸(Asp)はD、グルタミン酸(Glu)はE、アスパラギン(Asn)はN、グルタミン(Gln)はQ、リジン(Lys)はK、アルギニン(Arg)はR、ヒスチジン(His)はH、プロリン(Pro)はPである。
本明細書における「Y24I」等の表現は、アミノ酸置換の表記法である。例えば「Y24I」とは、ある特定のアミノ酸配列におけるN末端側から24番目のアミノ酸Yを、アミノ酸Iに置換されていることを意味する。
本明細書における「G14A/T15S」等の表現は、G14A及びT15Sのアミノ酸置換を同時に導入している多重変異を意味する。
また、本明細書において、「非極性アミノ酸」には、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、及びトリプチファンが含まれる。また、「非電荷アミノ酸」には、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンが含まれる。また、「酸性アミノ酸」には、アスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれる。また、「塩基性アミノ酸」には、リジン、アルギニン、及びヒスチジンが含まれる。
本明細書において、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素を「野生型G6PDH」と表記することもある。
また、本明細書において、G6PDHの活性1Uとは、トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)中で、3.33mMのグルコース−6−リン酸水と3.33mMのNADP+の存在下で1分間に1マイクロモルのNADPHを生成できる酵素量を示す。
1.ポリペプチド
本発明のポリペプチドは、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド(ロイコノストック・メセンテロイデス由来G6PDH、野生型G6PDH)の変異体であって、G6PDH活性を有し、野生型G6PDHよりも耐熱性が向上しているポリペプチドである。
G6PDHは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NAD+ともいう)又はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下、NADP+ともいう)を補酵素とするグルコース6リン酸脱水素酵素である。G6PDHは、補酵素に水素を添加する反応と共役してD−グルコース−6−リン酸の脱水素反応を触媒する酵素であり、EC1.1.49に分類される酵素である。
本発明のポリペプチドの一態様として、下記(A)に示すポリペプチドが挙げられる。
(A) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目よりなる群から選択される少なくとも1つアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチド。
前記(A)のポリペプチドにおいて、配列番号3に示すアミノ酸配列の26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目において置換するアミノ酸の種類については、特に制限されないが、好適な具体例として、下記の(1a)〜(14a)に示すアミノ酸置換の内、1つまたは複数が導入されているポリペプチドが挙げられる。
(1a)419番目(メチオニン)が、メチオニン以外の非極性アミノ酸、非電荷アミノ酸、酸性アミノ酸、又は塩基性アミノ酸、好ましくはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、又はプロリン、更に好ましくはアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、又はフェニルアラニン、特に好ましくはロイシンへの置換、
(2a)229番目(アスパラギン酸)が、グルタミン酸への置換。
(3a)230番目(スレオニン)が、アスパラギン酸又はグルタミン酸、好ましくはグルタミン酸への置換、
(4a)26番目(セリン)が、非極性アミノ酸又はセリン以外の非電荷アミノ酸、好ましくはグリシン、バリン又はアラニン、更に好ましくはアラニンへの置換、
(5a)27番目(バリン)が、バリン以外の非電荷アミノ酸、好ましくはアラニン、ロイシン又はイソロイシンへ、更に好ましくはロイシンへの置換、
(6a)28番目(フェニルアラニン)が、非電荷アミノ酸又はフェニルアラニン以外の非極性アミノ酸、好ましくはチロシン、セリン又はトリプトファンへ、更に好ましくはチロシンへの置換、
(7a)118番目(セリン)が、非極性アミノ酸又はセリン以外の非電荷アミノ酸、好ましくはグリシン、バリン又はアラニン、更に好ましくはアラニンへの置換、
(8a)119番目(バリン)が、非電荷アミノ酸、好ましくはスレオニンへの置換、
(9a)120番目(アラニン)が、アラニン以外の非極性アミノ酸、好ましくはプロリンへの置換、
(10a)159番目(アラニン)が、非電荷アミノ酸又は塩基性アミノ酸、好ましくはグルタミン、リジン又はアルギニンへ、更に好ましくはアルギニンへの置換、
(11a)174番目(ロイシン)が、ロイシン以外の非極性アミノ酸、好ましくはアラニン、バリン又はイソロイシン、更に好ましくはイソロイシンへの置換、
(12a)175番目(フェニルアラニン)が、非電荷アミノ酸又はフェニルアラニン以外の非極性アミノ酸、好ましくはチロシン、セリン又はトリプトファン、更に好ましくはチロシンへの置換、
(13a)288番目(アラニン)が、非電荷アミノ酸又はアラニン以外の非極性アミノ酸、好ましくはグリシン又はバリン、更に好ましくはグリシンへの置換、及び
(14a)466番目(メチオニン)が、メチオニン以外の非極性アミノ酸、好ましくはトリプトファンへの置換。
前記(A)のポリペプチドにおいて、配列番号3に示すアミノ酸配列の26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目の中のアミノ酸残基の1つが置換された変異体であればよいが、これらのアミノ酸残基の2つ以上が置換された多重変異体であってもよい。前記(a)〜(c)のポリペプチドとして、耐熱性を効果的に向上させるという観点から、好ましくは下記の(1b)〜(8b)に示すアミノ酸置換を少なくとも1つ有するポリペプチドが挙げられる。
(1b)419番目(メチオニン)が、他のアミノ酸に置換、
(2b)229番目(アスパラギン酸)、及び230番目(スレオニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(3b)26番目(セリン)、27番目(バリン)、及び28番目(フェニルアラニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(4b)118番目(セリン)、119番目(バリン)、及び120番目(アラニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(5b)159番目(アラニン)が、他のアミノ酸に置換、
(6b)174番目(ロイシン)、及び175番目(フェニルアラニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(7b)288番目(アラニン)が、他のアミノ酸に置換、及び
(8b)466番目(メチオニン)が、他のアミノ酸に置換。
前記(1b)〜(8b)に示す各アミノ酸置換において、置換される他のアミノ酸の種類の具体例については、前記(1a)〜(14a)に示す通りである。
前記(1b)〜(8b)に示すアミノ酸置換の中でも、より優れた耐熱性を備えさせるという観点から、好ましくは(1b)、(2b)、(5b)、及び(7b)のアミノ酸置換、更に好ましくは(7b)のアミノ酸置換が挙げられる。
また、前記(A)のポリペプチドの中でも、格段に優れた耐熱性を有するポリペプチドの態様として、下記の(1c)〜(9c)に示すアミノ酸置換を少なくとも1つ有するポリペプチドが挙げられる。
(1c)26番目(セリン)、27番目(バリン)、28番目(フェニルアラニン)、118番目(セリン)、119番目(バリン)、120番目(アラニン)、159番目(アラニン)、174番目(ロイシン)、175番目(フェニルアラニン)、229番目(アスパラギン酸)、230番目(スレオニン)、288番目(アラニン)、419番目(メチオニン)、及び466番目(メチオニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(2c)26番目(セリン)、27番目(バリン)、28番目(フェニルアラニン)、159番目(アラニン)、174番目(ロイシン)、175番目(フェニルアラニン)、229番目(アスパラギン酸)、230番目(スレオニン)、288番目(アラニン)、419番目(メチオニン)、及び466番目(メチオニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(3c)26番目(セリン)、27番目(バリン)、28番目(フェニルアラニン)、118番目(セリン)、119番目(バリン)、120番目(アラニン)、159番目(アラニン)、174番目(ロイシン)、175番目(フェニルアラニン)、288番目(アラニン)、419番目(メチオニン)、及び466番目(メチオニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(4c)159番目(アラニン)、174番目(ロイシン)、175番目(フェニルアラニン)、419番目(メチオニン)、及び466番目(メチオニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(5c)26番目(セリン)、27番目(バリン)、28番目(フェニルアラニン)、118番目(セリン)、119番目(バリン)、120番目(アラニン)、159番目(アラニン)、174番目(ロイシン)、175番目(フェニルアラニン)、229番目(アスパラギン酸)、230番目(スレオニン)、288番目(アラニン)、及び419番目(メチオニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(6c)26番目(セリン)、27番目(バリン)、28番目(フェニルアラニン)、118番目(セリン)、119番目(バリン)、120番目(アラニン)、159番目(アラニン)、174番目(ロイシン)、175番目(フェニルアラニン)、229番目(アスパラギン酸)、230番目(スレオニン)、288番目(アラニン)、及び466番目(メチオニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(7c)26番目(セリン)、27番目(バリン)、28番目(フェニルアラニン)、118番目(セリン)、119番目(バリン)、120番目(アラニン)、159番目(アラニン)、288番目(アラニン)、及び466番目(メチオニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、
(8c)419番目(メチオニン)、及び466番目(メチオニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換、及び
(9c)26番目(セリン)、27番目(バリン)、28番目(フェニルアラニン)、及び466番目(メチオニン)が、それぞれ他のアミノ酸に置換。
前記(1c)〜(9c)に示す各アミノ酸置換において、置換される他のアミノ酸の種類の具体例については、前記(1a)〜(14a)に示す通りである。
前記(1c)〜(9c)に示すアミノ酸置換の中でも、耐熱性を格段顕著に向上させるという観点から、好ましくは(1c)〜(8c)のアミノ酸置換、更に好ましくは(1c)〜(5c)のアミノ酸置換、より好ましくは(1c)、(2c)、(3c)、及び(5c)のアミノ酸置換、特に好ましくは(1c)、(3c)、及び(5c)のアミノ酸置換、最も好ましくは(1c)のアミノ酸置換が挙げられる。
また、前記(1c)〜(9c)に示すアミノ酸置換の中でも、野生型G6PDHに比べて比活性を向上させるという観点からは、好ましくは(2c)及び(4c)のアミノ酸置換が挙げられる。
更に、前記(1c)〜(9c)に示すアミノ酸置換の中でも、野生型G6PDHに比べて基質特異性を向上させるという観点からは、好ましくは前記(1c)〜(5c)のアミノ酸置換、更に好ましくは(1c)、(3c)及び(5c)のアミノ酸置換、特に好ましくは(1c)及び(3c)のアミノ酸置換が挙げられる。
前記(A)のポリペプチドの好適な具体例として、配列番号86、88、90、92、94、96、98、100、及び102に示すアミノ酸配列、好ましくは配列番号86、88、90、92、及び94に示すアミノ酸配列が挙げられる。
配列番号86に示すアミノ酸配列は、野生型G6PDHのアミノ酸配列において、アミノ酸置換S26A/V27L/F28Y/S118A/V119T/A120P/A159R/L174I/F175Y/D229E/T230E/A288G/M419L/M466Wを導入したアミノ酸配列である。
配列番号88に示すアミノ酸配列は、野生型G6PDHのアミノ酸配列において、アミノ酸置換S26A/V27L/F28Y/A159R/L174I/F175Y/D229E/T230E/A288G/M419L/M466Wを導入したアミノ酸配列である。
配列番号90に示すアミノ酸配列は、野生型G6PDHのアミノ酸配列において、アミノ酸置換S26A/V27L/F28Y/S118A/V119T/A120P/A159R/L174I/F175Y/A288G/M419L/M466Wを導入したアミノ酸配列である。
配列番号92に示すアミノ酸配列は、野生型G6PDHのアミノ酸配列において、アミノ酸置換159R/L174I/F175Y/M419L/M466Wを導入したアミノ酸配列である。
配列番号94に示すアミノ酸配列は、野生型G6PDHのアミノ酸配列において、アミノ酸置換S26A/V27L/F28Y/S118A/V119T/A120P/A159R/L174I/F175Y/D229E/T230E/A288G/M419Lを導入したアミノ酸配列である。
配列番号96に示すアミノ酸配列は、野生型G6PDHのアミノ酸配列において、アミノ酸置換S26A/V27L/F28Y/S118A/V119T/A120P/A159R/L174I/F175Y/D229E/T230E/A288G/M466Wを導入したアミノ酸配列である。
配列番号98に示すアミノ酸配列は、野生型G6PDHのアミノ酸配列において、アミノ酸置換S26A/V27L/F28Y/S118A/V119T/A120P/A159R/A288G/M466Wを導入したアミノ酸配列である。
配列番号100に示すアミノ酸配列は、野生型G6PDHのアミノ酸配列において、アミノ酸置換M419L/M466Wを導入したアミノ酸配列である。
配列番号102に示すアミノ酸配列は、野生型G6PDHのアミノ酸配列において、アミノ酸置換S26A/V27L/F28Y/M466Wを導入したアミノ酸配列である。
また、本発明のポリペプチドの他の態様として、下記(B)及び(C)に示すポリペプチドが挙げられる。
(B) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目よりなる群から選択される少なくとも1つアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチド。
(C) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目よりなる群から選択される少なくとも1つアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチド。
以下、前記(B)及び(C)のポリペプチドにおいて、配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目以外のアミノ酸部位を「任意改変部位」と表記することもある。
前記(B)及び(C)のポリペプチドにおいて、配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目の中の少なくとも1つのアミノ酸に導入されるアミノ酸置換の態様は、前記(A)のポリペプチドの場合と同様である。
前記(B)のポリペプチドの任意改変部位に導入されるアミノ酸の改変は、置換、付加、挿入、および欠失の中から1種類の改変(例えば置換)のみを含むものであってもよく、2種以上の改変(例えば、置換と挿入)を含んでいても良い。前記(B)のポリペプチドにおいて、任意改変部位に置換、付加、挿入又は欠失されるアミノ酸は、1個又は複数個若しくは数個であればよく、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、更に好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個、特に好ましくは1又は2個或いは1個が挙げられる。
また、前記(C)のポリペプチドにおける「配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性」は、80%以上であればよいが、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上が挙げられる。
ここで、前記(C)のポリペプチドにおいて「配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性」とは、配列番号3に示すアミノ酸配列から前記任意改変部位のみを抜き出して、当該任意改変部位のみを比較して算出される配列同一性である。また、「配列同一性」とは、BLAST PACKAGE[sgi32 bit edition,Version 2.0.12;available from National Center for Biotechnology Information(NCBI)]のbl2seq program(Tatiana A.Tatsusova,Thomas L.Madden,FEMS Microbiol.Lett.,Vol.174,p247−250,1999)により得られるアミノ酸配列の同一性の値を示す。パラメーターは、Gap insertion Cost value:11、Gap extension Cost value:1に設定すればよい。
また、前記(B)及び(C)のポリペプチドの任意改変部位に導入されるアミノ酸置換は、保存的置換であることが好ましい。即ち、前記任意改変部位における置換としては、例えば、置換前のアミノ酸が非極性アミノ酸であれば他の非極性アミノ酸への置換、置換前のアミノ酸が非荷電性アミノ酸であれば他の非荷電性アミノ酸への置換、置換前のアミノ酸が酸性アミノ酸であれば他の酸性アミノ酸への置換、及び置換前のアミノ酸が塩基性アミノ酸であれば他の塩基性アミノ酸への置換が挙げられる。
なお、野生型G6PDHは、配列番号3のアミノ酸配列において、240番目のヒスチジン残基がG6PDH活性に必要であることが知られている[Rowland P et al.,Structure,Vol.2,No.11,1994,p1073−87]。従って、前記(B)及び(C)のポリペプチドのアミノ酸配列において、240番目のヒスチジン残基は改変されずに保持されていることが好ましい。
前記(B)及び(C)のポリペプチドにおいて、「配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上している」とは、下記条件にて加熱処理を行った場合に、G6PDH活性の残存率が、同条件で加熱処理を行った野生型G6PDHのG6PDH活性の残存率よりも高いことを意味する。より具体的には、下記条件にて加熱処理を行った後のG6PDH活性の残存率から、同条件で加熱処理を行った野生型G6PDHのG6PDH活性の残存率を差し引いた値が1%以上、好ましくは3%以上、更に好ましくは5%以上であることを意味する。
〔加熱処理条件〕
20mMリン酸緩衝液(pH8.0)中で48℃に設定したウォーターバスで30分間インキュベートすることにより加熱処理を行った後に、急冷する。
〔G6PDH活性の残存率の測定〕
本発明において、G6PDH活性の残存率(%)は、下記試薬を用いて、下記測定条件で吸光度変化を測定し、下記計算式に従って求められる値である。
(試薬)
55mM トリス−塩酸緩衝液(3.3mM 塩化マグネシウム含有) pH7.8
100mM NADP+水溶液
100mM グルコース−6−リン酸水溶液
酵素活性測定試薬:上記トリス−塩酸緩衝液0.81mL、NADP+水溶液0.03mL、グルコース−6−リン酸水溶液0.03mLを混合して酵素活性測定試薬とする。
酵素活性測定溶液:測定対象となるポリペプチドを所望の濃度に希釈するための溶液(以下、「酵素希釈液」ともいう)として、0.1%牛血清アルブミンを含有する5mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を使用し、以下の活性値が0.10〜0.20U/mLとなるように酵素の原液(以下、「酵素原液」ともいう)を希釈して酵素活性測定溶液とする。
(吸光度変化の測定条件)
酵素活性測定試薬0.87mLを分光光度計用セルに入れ、30℃で5分間以上プレインキュベートする。酵素活性測定溶液0.03mLを添加してよく混合し、30℃で予めインキュベートされた分光光度計で、340nmの吸光度変化を60秒間記録し、1分間当たりの吸光度変化(ΔOD/分)を測定する。ブランクは、酵素活性測定溶液の代わりに酵素希釈液を酵素活性測定試薬に混合して上記のように吸光度変化(ΔODblank/分)を測定する。
(G6PDH活性の残存率の算出)
先ず、上記で得られた吸光度変化(ΔOD/分)の値から、下記の計算式に従ってG6PDH活性値を求める。
なお、上記計算式の0.90は酵素活性測定試薬と酵素活性測定溶液の液量(mL)、6.22は本測定条件におけるNADP+の分子吸光係数(cm2/マイクロモル)、0.03は酵素活性測定溶液の液量(mL)、1.0は酵素活性測定に使用する分光光度計用セルの光路長(cm)を示す。
次いで、上記で算出したG6PDH活性値から、下記の計算式に従って、G6PDH活性の残存率(%)を求める。
前記(B)及び(C)のポリペプチドにおいて、G6PDH活性を有することを限度として、その比活性については、特に制限されないが、好ましくは20U/mg−ポリペプチド以上、更に好ましくは400U/mg−ポリペプチド以上が挙げられる。
ここで、G6PDHの比活性とは、G6PDHの活性をポリペプチド重量当たりの活性値で表現した値である。本発明において、G6PDHの比活性は下記試薬を用いて、下記測定条件で測定し、下記計算式に従って求められる値である。
〔G6PDHの比活性の測定〕
(試薬)
酵素活性測定試薬:前述する酵素活性測定試薬と同じ
酵素希釈液:前述する酵素希釈液と同じ
(測定条件)
必要に応じて酵素原液を酵素希釈液で希釈し、前述する吸光度変化の測定条件に従って1分間当たりの吸光度変化(ΔOD/分)を測定する。上記活性測定法により活性を求める。
(G6PDHの比活性の算出)
使用した酵素原液のポリペプチド濃度を、280nmの吸光度において、1OD=1mg/mLとして計算する。また、上記で得られた吸光度変化(ΔOD/分)の値から、前述する計算式に従ってG6PDH活性値(U/mL)を求める。次いで、以下の計算式にしたがって、G6PDの比活性を求める。
また、前述するように、前記(A)のポリペプチドの中でも、前記(2c)又は(4c)のアミノ酸置換を有するポリペプチドは、野生型G6PDHに比べて比活性が向上している。従って、前記(B)及び(C)のポリペプチドの中でも、野生型G6PDHに比べて比活性が向上しているポリペプチドとして、下記(B1)、(B2)、(C1)及び(C2)のポリペプチドが挙げられる。
(B1) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド。
(B2) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド。
(C1) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド。
(C2) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び比活性が向上しているポリペプチド。
前記(B1)、(B2)、(C1)及び(C2)のポリペプチドにおいて、「配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して比活性が向上している」とは、前述する条件にてG6PDHの比活性を測定し、野生型G6PDHの比活性を100%として場合に、G6PDHの比活性が、101%以上、好ましくは102%以上、更に好ましくは105%以上であることを意味する。
また、前記(B)及び(C)のポリペプチドにおいて、G6PDH活性を有することを限度として、その基質特異性については、特に制限されないが、グルコース−6−リン酸以外の糖リン酸への反応性が低いものが好ましい。グルコース−6−リン酸以外の糖リン酸としては、具体的には、グルコース−1−リン酸、グルコサミン−6−リン酸、6−ホスホグルコン酸、リボース−5−リン酸、フルクトース−6−リン酸、フルクトース−1、6−二リン酸、マンノース−6−リン酸等が挙げられる。
また、前述するように、前記(A)のポリペプチドの中でも、前記(1c)〜(5c)のいずれかアミノ酸置換、好ましくは(1c)、(3c)又は(5c)のアミノ酸置換、更に好ましくは(1c)又は(3c)のアミノ酸置換を有するポリペプチドは、野生型G6PDHに比べて基質特異性が向上している。従って、前記(B)及び(C)のポリペプチドの中でも、野生型G6PDHに比べて基質特異性が向上しているポリペプチドとして、下記(B3)〜(B7)及び(C3)〜(C7)のポリペプチド、好ましくは(B3)、(B5)、(B7)、(C3)、(C5)、及び(C7)のポリペプチド、更に好ましくは(B3)、(B5)、(C3)、及び(C5)のポリペプチドが挙げられる。
(B3) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
(B4) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
(B5) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
(B6) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
(B7) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、及び419番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、前記アミノ酸置換部位以外のアミノ酸の1個又は数個が置換、付加、挿入又は欠失されてなり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
(C3) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
(C4) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
(C5) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、288番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
(C6) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、159番目、174番目、175番目、419番目、及び466番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
(C7) 配列番号3に示すアミノ酸配列における、26番目、27番目、28番目、118番目、119番目、120番目、159番目、174番目、175番目、229番目、230番目、288番目、及び419番目のアミノ酸がそれぞれ他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列において、配列番号3に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸置換部位を除いた配列同一性が80%以上であり、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性及び基質特異性が向上しているポリペプチド。
前記(B3)〜(B7)及び(C3)〜(C7)のポリペプチドのポリペプチドにおいて、「配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して基質特異性が向上している」とは、グルコース−6−リン酸の代わりにフルクトース−6−リン酸を用いること以外は前述する条件にて比活性を測定し、野生型G6PDHの比活性を100%として場合に、G6PDHの比活性が80%以下、好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下、特に好ましくは20%以下であることを意味する。
2.DNA
本発明のポリペプチドをコードしているDNA(以下、「本発明のDNA」と表記することもある)は、例えば、野生型G6PDHをコードしているDNAに前記アミノ酸置換が導入されるように変異を導入することにより得ることができる。
また、本発明のDNAは、遺伝子の全合成法によって人工合成することもできる。その際、該DNAの塩基配列におけるコドン利用頻度を、使用する宿主のコドン利用頻度に最適化したDNAを人工合成することもできる。
ここで、野生型G6PDHをコードしているDNAは、例えば、配列番号1に示す塩基配列として知られており、ロイコノストック・メセントロイデス(Leuconostoc mesenteroides)ATCC12291株からPCRを用いた定法により単離することができる。
また、野生型G6PDHをコードしている人工合成DNAとしては、例えば、配列番号2に示す塩基配列が挙げられる。配列番号2に示す塩基配列は、配列番号1に示す塩基配列(野生型G6PDHをコードしているDNA)において、コドン利用頻度を後述する大腸菌(Escherichia coli)のコドン利用頻度に最適化した塩基配列である。
塩基配列の特定の部位に特定の変異を導入する方法は公知であり、例えばDNAの部位特異的変異導入法等が利用できる。DNA中の塩基を変換する具体的な方法としては、例えば、市販のキット(QuickChange Lightning Site-Directed Mutagenesis kit:Stratagene製、KOD-Plus-Mutagenesis kit:東洋紡製など)の利用等が挙げられる。
このようにして塩基配列に変異を導入したDNAは、DNAシーケンサーを用いて塩基配列を確認することができる。得られた塩基配列については、例えば、DNASIS(日立ソフトエンジニアリング社製)又はGENETIX(ソフトウェア開発社製)等の塩基配列解析ソフトによる解析を行うことにより、DNA中のG6PDH遺伝子のコード領域を特定することができる。
一旦、塩基配列が確定されると、その後は化学合成、クローニングされたプローブを鋳型としたPCR、又は該塩基配列を有するDNA断片をプローブとするハイブリダイゼーションによって、前記ペプチドをコードするDNAを得ることができる。
更に、部位特異的突然変異誘発法等によって前記ペプチドをコードするDNAの変異型であって変異前と同等の機能を有するものを合成することができる。なお、前記ペプチドをコードするDNAに変異を導入するには、Kunkel法、Gapped duplex法、メガプライマーPCR法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。
本発明のDNAとして、具体的には、配列番号85、87、89、91、93、95、97、99、及び101に示す塩基配列が挙げられる。配列番号85は、配列番号86に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードしているDNAの塩基配列である。配列番号87は、配列番号88に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードしているDNAの塩基配列である。配列番号89は、配列番号90に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードしているDNAの塩基配列である。配列番号91は、配列番号92に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードしているDNAの塩基配列である。配列番号93は、配列番号94に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードしているDNAの塩基配列である。配列番号95は、配列番号96に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードしているDNAの塩基配列である。配列番号97は、配列番号98に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードしているDNAの塩基配列である。配列番号99は、配列番号100に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードしているDNAの塩基配列である。配列番号100は、配列番号102に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードしているDNAの塩基配列である。
また、本発明のDNAには、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチドをコードし、且つ、配列番号85、87、89、91、93、95、97、99、又は101に示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列を含むDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが包含される。
ここで、「ストリンジェントな条件下」とは、0.5%SDS、5×デンハルツ〔Denhartz’s、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400〕および100μg/mlサケ精子DNAを含む6×SSC(1×SSCは、0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)中で、50℃〜65℃で4時間〜一晩保温する条件をいう。
ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、具体的には、以下の手法によって行われる。即ち、DNAライブラリー又はcDNAライブラリーを固定化したナイロン膜を作成し、6×SSC、0.5% SDS、5×デンハルツ、100μg/mlサケ精子DNAを含むプレハイブリダイゼーション溶液中、65℃でナイロン膜をブロッキングする。その後、32Pでラベルした各プローブを加えて、65℃で一晩保温する。このナイロン膜を6×SSC中、室温で10分間、0.1%SDSを含む2×SSC中、室温で10分間、0.1%SDSを含む0.2×SSC中、45℃で30分間洗浄した後、オートラジオグラフィーをとり、プローブと特異的にハイブリダイズしているDNAを検出することができる。
更に、本発明のDNAは、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチドをコードし、且つ配列番号85、87、89、91、93、95、97、99、又は101に示す塩基配列からなるDNAに80%以上の相同性を有するDNAも包含される。当該相同性として、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上が挙げられる。
ここで、DNAの「相同性」とは、BLAST PACKAGE[sgi32 bit edition,Version 2.0.12;available from the National Center for Biotechnology Information(NCBI)]のbl2seq program(Tatiana A. Tatsusova,Thomas L.Madden,FEMS Microbiol.Lett.,Vol.174,247−250,1999)により得られる同一性の値を示す。パラメーターは、Gap insertion Cost value:11、Gap extension Cost value:1に設定すればよい。
本発明のDNAは、コドン利用頻度を宿主に最適化したものが好ましく、コドン利用頻度を大腸菌に最適化させたDNAがより好ましい。
コドン利用頻度を表す指標として、各コドンの宿主最適コドン利用頻度の総計を採択すればよい。最適コドンとは、同じアミノ酸に対応するコドンのうち利用頻度が最も高いコドンと定義される。コドン利用頻度は、宿主に最適化したものであれば特に限定されないが、例えば、大腸菌のコドン利用頻度の一例として以下のものが挙げられる。
F:フェニルアラニン(ttt)、L:ロイシン(ctg)、I:イソロイシン(att)、M:メチオニン(atg)、V:バリン(gtg)、Y:チロシン(tat)、終止コドン(taa)、H:ヒスチジン(cat)、Q:グルタミン(cag)、N:アスパラギン(aat)、K:リジン(aaa)、D:アスパラギン酸(gat)、E:グルタミン酸(gaa)、S:セリン(agc)、P:プロリン(ccg)、T:スレオニン(acc)、A:アラニン(gcg)、C:システイン(tgc)、W:トリプトファン(tgg)、R:アルギニン(cgc)、G:グリシン(ggc)。
3.組換えベクター
本発明のペプチドをコードするDNAを含む組換えベクター(以下、「本発明の組換えベクター」と表記することもある)は、発現ベクターに本発明のDNAを挿入することにより得ることができる。
本発明の組換えベクターには、本発明のDNAに作動可能に連結されたプロモーター等の制御因子が含まれる。制御因子としては、代表的にはプロモーターが挙げられるが、更に必要に応じてエンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位等の転写要素が含まれていてもよい。また、作動可能に連結とは、本発明のDNAを調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の制御因子と本発明のDNAが、宿主細胞中で作動し得る状態で連結されることをいう。
発現ベクターとしては、宿主内で自律的に増殖し得るファージまたはプラスミドから遺伝子組換え用として構築されたものが適している。
ファージとしては、例えば、後述する大腸菌を宿主とする場合には、Lambda gt10、Lambda gt11等が挙げられる。
プラスミドとしては、例えば、大腸菌を宿主とする場合には、pBR322、pUC18、pUC118、pUC19、pUC119、pTrc99A、pBluescript、及びコスミドであるSuper Cos I等が挙げられる。
宿主としてシュードモナスを用いる場合には、グラム陰性菌用広宿主域ベクターであるRSF1010、pBBR122、及びpCN51等が挙げられる。更に、レトロウイルス及びワクシニアウイルス等の動物ウイルス、並びにバキュロウイルス等の昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
4.形質転換体
本発明の組換えベクターを用いて宿主を形質転換することによって形質転換体(以下、「本発明の形質転換体」と表記することもある)が得られる。
形質転換体の製造に使用される宿主としては、組換えベクターが安定であり、且つ自律増殖可能で外来性遺伝子の形質を発現できるのであれば特に制限されないが、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属等に属する細菌;酵母;COS細胞等の動物細胞;Sf9等の昆虫細胞;アブラナ科等に属する植物体全体、植物器官(例えば、葉、花弁、茎、根及び種子等)、植物組織(例えば、表皮、師部、柔組織、木部および維管束等)、植物培養細胞等が挙げられる。これらの中でも大腸菌が好ましく、大腸菌DH5α、大腸菌BL21および大腸菌XL−1 Blue MRがより好ましい。
本発明の形質転換体は、宿主に本発明の組換えベクターを導入することによって得ることができ、宿主に組換えベクターを導入する条件は、宿主の種類等に応じて適宜設定すればよい。宿主が細菌の場合であれば、例えば、カルシウムイオン処理によるコンピテントセル用いる方法及びエレクトロポレーション法等が挙げられる。宿主が酵母の場合であれば、例えば、電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、スフェロプラスト法及び酢酸リチウム法等が挙げられる。宿主が動物細胞の場合であれば、例えば、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法及びリポフェクション法等が挙げられる。宿主が昆虫細胞の場合であれば、例えば、リン酸カルシウム法、リポフェクション法及びエレクトロポレーション法等が挙げられる。宿主が植物胞の場合であれば、例えば、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法及びPEG法等が挙げられる。
本発明の組換えベクターが宿主に組み込まれたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法およびノーザンハイブリダイゼーション法等により行うことができる。
PCR法よって本発明の組換えベクターが宿主に組み込まれたか否かを確認する場合、例えば、形質転換体から組換えベクターを分離・精製すればよい。
組換えベクターの分離・精製は、例えば、宿主が細菌の場合、細菌を溶菌して得られる溶菌物に基づいて行われる。溶菌の方法としては、例えばリゾチームなどの溶菌酵素により処理が施され、必要に応じてプロテアーゼ及び他の酵素並びにラウリル硫酸ナトリウム(SDS)等の界面活性剤が併用される。
更に、凍結融解およびフレンチプレス処理のような物理的破砕方法を組み合わせてもよい。溶菌物からのDNAの分離・精製は、例えば、フェノール処理およびプロテアーゼ処理による除蛋白処理、リボヌクレアーゼ処理、アルコール沈殿処理並びに市販のキットを適宜組み合わせることにより行うことができる。
DNAの切断は、常法に従い、例えば制限酵素処理を用いて行うことができる。制限酵素としては、例えば特定のヌクレオチド配列に作用するII型制限酵素を用いる。DNAと発現ベクターとの結合は、例えばDNAリガーゼを用いて行う。
その後、分離・精製したDNAを鋳型として、本発明のDNAに特異的なプライマーを設計してPCRを行う。PCRにより得られた増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウムおよびSYBR Green液等により染色し、そして増幅産物をバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認することができる。
また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光および酵素反応等により増幅産物を確認する方法も採用してもよい。
4.ポリペプチドの製造
本発明のポリペプチドは、本発明の形質転換体を培養することによって製造することができる。
本発明の形質転換体の培養形態は、宿主の栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すればよいが、好ましくは液体培養が挙げられる。工業的には通気攪拌培養を行うのが有利である。
培地の栄養源としては、形質転換体の生育に必要とされるものが使用され得る。炭素源としては、資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、糖蜜、ピルビン酸等が挙げられる。
窒素源としては、資化可能な窒素化合物であればよく、例えば、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ抽出物が挙げられる。
炭素源及び窒素源の他に、例えば、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガンおよび亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸並びに特定のビタミンなどを必要に応じて使用してもよい。
培養温度は、本発明の形質転換体が生育可能であり、且つ本発明の形質転換体が本発明のポリぺプチドを産生する範囲で適宜設定し得るが、好ましくは15〜37℃程度である。培養は、本発明のポリぺプチドが最高収量に達する時期を見計らって適当時期に完了すればよく、通常は培養時間が12〜48時間程度である。
培地のpHは、宿主が発育し、宿主が変異型G6PDHを産生する範囲で適宜変更し得るが、好ましくはpH5.0〜9.0程度の範囲である。
本発明の形質転換体を培養し、培養液を遠心分離などの方法により培養上清または菌体を回収し、菌体は超音波およびフレンチプレスといった機械的方法又はリゾチーム等の溶菌酵素により処理を施し、必要に応じてプロテアーゼ等の酵素やラウリル硫酸ナトリウム(SDS)等の界面活性剤を使用することにより可溶化し、本発明のポリペプチドを含む水溶性画分を得ることができる。
また、適当な発現ベクターと宿主を選択することにより、発現した本発明のポリペプチドを培養液中に分泌させることもできる。
上記のようにして得られた本発明のポリペプチドを含む水溶性画分は、そのまま精製処理に供してもよいが、該水溶性画分中の本発明のポリペプチドを濃縮した後に精製処理に供してもよい。
濃縮は、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、塩析処理、親水性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノールおよびアセトン)による分別沈殿法等により行うことができる。
本発明のポリペプチドの精製処理は、例えば、ゲルろ過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等の方法を適宜組み合わせることによって行うことができる。
前記精製処理は既に公知であり、適当な文献、雑誌および教科書等を参照することで進めることができる。このようにして精製された本発明のポリペプチは、必要に応じて、凍結乾燥、真空乾燥、スプレードライ等により粉末化して市場に流通させることができる。
次に、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
実施例1:野生型G6PDH遺伝子の取得
(1−1)野生型G6PDHのDNA塩基配列情報の取得
National Center for Biotechnology Information(以下NCBIとも示す、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)の遺伝子配列データベースより、配列番号1に示すロイコノストック・メセントロイデス(Leuconostoc mesenteroides)由来G6PDHの塩基配列情報を入手した。なお、配列番号1の3’末端には終止コドン(taa)が含まれる。
(1−2)野生型G6PDHの人工合成DNAの取得
配列番号1に示す塩基配列情報を材料に、人工遺伝子合成の受託サービス(オペロンバイオテクノロジー株式会社製)を利用して、配列番号2に示す人工合成した野生型G6PDHのDNAを入手した。
具体的には、配列番号1に示す野生型G6PDHの塩基配列を大腸菌(Escherichia coli)K12株系のコドン利用頻度に最適化し、該DNAから合成されるRNAの二次構造を回避し、該DNAの塩基配列中のGC含量を最適化し、該DNAの塩基配列中の5’端に制限酵素NcoI認識配列(ccatgg)及び3’端の終止コドン下流に制限酵素HindIII認識配列(aagctt)を含み、且つ該DNAのその他の塩基配列中にNcoI認識配列及びHindIII認識配列を含まないように設計し、配列番号2に示す人工合成した野生型G6PDHのDNAを含むプラスミドDNAを約2μg入手した。なお、配列番号2の3’末端には終止コドン(taa)が含まれる。
図1及び図2に配列番号1及び2に示す塩基配列のClustalW2.0(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/)による比較結果を示す。上述した設計思想により人工合成した野生型G6PDHのDNA塩基配列は、もとのロイコノストック・メセントロイデス由来G6PDHの塩基配列に比べ22.2%(1,461塩基中324塩基)異なる結果となった。配列番号2に示す塩基配列は、配列番号1に示す塩基配列に比べコドン利用頻度を宿主の大腸菌に最適化し、RNAの二次構造を回避する等することにより、当該G6PDHの組換え大腸菌における発現量の増加が期待できる。
一方、配列番号1及び2に示す塩基配列がコードするアミノ酸配列を、Open Reading Frame Finder(ORF Finder、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/gorf/)により調べた結果、いずれも配列番号3に示すアミノ酸配列をコードすることが示された。図3に配列番号1及び2に示される塩基配列がコードするアミノ酸配列のClustalW2.0による比較結果を示す。図3が示す通り、それぞれのアミノ酸配列は互いに100%完全に一致することから、該人工合成DNAにより、ロイコノストック・メセントロイデス由来野生型G6PDHが発現されることが示され、且つ該塩基配列を最適化させる等したことにより該野生型G6PDHの組換え大腸菌における発現量の増加が期待できる。
実施例2:人工合成した野生型G6PDHの発現用組換えベクターの取得
(2−1)発現用組換えベクターの合成
発現ベクターにはpTrc99A(Pharmacia Biotech製)を選択した。pTrc99Aは、マルチクローニング部位(MCS)の上流にtrcプロモーター配列、MCSの下流に転写終了シグナル配列を含有する。MCS内には制限酵素NcoI認識配列(ccatgg)及び制限酵素HindIII認識配列(aagctt)が含まれ、NcoI認識配列はtrcプロモーター配列に並列しているため、翻訳開始コドンのATGをもつDNA断片を結合させることにより、直接発現させることができる。
pTrc99A及び実施例1に記載の人工合成した野生型G6PDHのDNAを含むプラスミドDNAをそれぞれ1μgずつとり、制限酵素NcoI及びHindIII(タカラバイオ株式会社製)により以下の条件で処理した。
DNAを1μg、10×Kバッファーを10μL、NcoIを3μL、HindIIIを2μL、0.1%BSAを10μL及び滅菌水で総量100μLとなるように混合して制限酵素処理液とし、それぞれ37℃で2時間インキュベートした。
次いで、制限酵素処理液に10×Loading Bufferを12μL添加して混合し、分子量マーカー(500bp DNA Ladder:タカラバイオ株式会社製)とともに、0.5μg/mLの臭化エチジウムを含む1%アガロールゲル電気泳動に供してDNA断片をその分子量に従って分離した。電気泳動終了後のゲルを青色LEDトランスイルミネーター(オプトコード株式会社製)上に設置し、オレンジフィルタープレートを通して観察することにより二本鎖DNA特異的な臭化エチジウムの蛍光を観察した。その結果、分離された約4,100bpのpTrc99A断片、約1,500bpの人工合成した野生型G6PDHのDNA断片が観察された。それぞれの断片をサージカルナイフ(フェザー安全剃刀株式会社製)で切り出し、プラスチックチューブに回収してそれぞれの重量を測定した。
切り出したゲルから、Wizard(商標) SV Gel and PCR Clean−Up System及びVac−Man(商標) Laboratory Vacuum Manifold(プロメガ株式会社製)を使用してそれぞれのDNA断片を抽出した。即ち、切り出したゲルに等量のMembrane Binding Solutionを添加し、60℃で10分間インキュベートしてゲルを溶解させてシリカカラムにアプライし、吸引濾過により不要な溶媒を除去しつつDNA断片をシリカに吸着させた。0.7mLと0.5mLのMembrane Wash Solutionで2回カラムを洗浄し、吸引濾過により除去した。次いで0.8mLの80%エタノール水溶液で2回カラムを洗浄し、吸引濾過により除去した。当該カラムをそれぞれプラスチックチューブにセットして15,000rpmで5分間、遠心し、カラム内の余分なエタノールを完全に除去した。当該カラムをそれぞれ新しいプラスチックチューブにセットしてNuclease−Free水を25μL添加し、1分間放置してシリカに吸収させた後、15,000rpmで1分間、遠心し、DNA溶液を回収した。それぞれのDNA溶液を2μLずつ、上記の方法により電気泳動し、pTrc99Aは約4,100bp、人工合成した野生型G6PDHは約1,500bpの単一なバンドに精製されていることを確認した。
精製したpTrc99A断片の水溶液0.5μLと人工合成した野生型G6PDHのDNA断片の水溶液1.5μL及びLigation high(東洋紡株式会社製)を2μL混合し、16℃で1時間インキュベートし、T4 DNAリガーゼの作用によりpTrc99Aと人工合成した野生型G6PDHのDNA断片のNcoI、HindIII突出末端同士を結合させた。
(2−2)発現用組換えベクターの単離精製及び形質転換体の取得
16℃で1時間インキュベートした上記反応溶液1μLを大腸菌DH5αコンピテントセル(タカラバイオ株式会社製)10μLに添加して混合し、氷上で10分間インキュベートした。次いで、42℃で30秒間インキュベートし、氷上で1分間インキュベートした後、SOC培地を100μL添加した。予めオートクレーブ滅菌して調整した100μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地(1.0%Tryptone:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製、0.5%酵母エキス:極東製薬工業株式会社製、1.0%塩化ナトリウム:ナカライテスク株式会社製、1.5%寒天:和光純薬工業株式会社製)に、上記のSOC培養液110μLを添加して滅菌処理したガラス製コーンラージ棒で播種した。
上記LB寒天培地を37℃で22時間培養することにより、組換え大腸菌の複数のコロニーを確認した。
低い確率で制限酵素NcoI、HindIIIで切断されずに残ったpTrc99Aが混入している可能性が考えられたので、どのコロニーにG6PDHを結合したpTrc99Aが含まれるか調べるために、該コロニーをコロニーPCRに供した。
即ち、表1に示す組成に調整したPCR反応溶液を調整して8連マイクロチューブに10μLずつ分注した。新しいLB寒天培地(100μg/mLのアンピシリンを含む)を準備し、上記の単一コロニーを白金針で回収してLB寒天培地に植菌し、直後にPCR反応溶液を分注したチューブにも懸濁した。計8個の単一コロニーについてそれぞれ同じ操作を行った。LB寒天培地は37℃で8時間インキュベートし、PCR反応溶液はPCR反応{98℃(10秒)、46℃(30秒)、68℃(90秒)を30サイクル}に供した。PCR反応溶液にLoading Bufferを添加して電気泳動し、8コロニー中全てに約1,500bpのバンドが観察された。
新しくLB寒天培地に植菌した8クローンのうち1クローンを、予めオートクレーブ滅菌して調整した100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地4mLに植菌し、37℃で16時間、振とう培養した。
次いで、培養液を2mLのプラスチックチューブに回収し、15,000rpmで1分間、遠心して培養上清を廃棄し、同じ操作を2回繰り返して組換え大腸菌体を回収し、該菌体からGenEluteTM Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用い、取扱説明書の手順に従って発現用組換えベクターを精製した。
(2−3)発現用組換えベクターの塩基配列の確認
単離精製された発現用組換えベクターをシーケンシングの受託サービス(オペロンバイオテクノロジー株式会社)に供した。シーケンシングには、pTrc99Aのtrcプロモーター上流域に設定した配列番号6に示された塩基配列のオリゴヌクレオチド、人工合成した野生型G6PDHのDNA上に設定した配列番号7及び配列番号8に示される塩基配列のオリゴヌクレオチドをそれぞれ使用した。シーケンシングの結果、当該組換えベクターはpTrc99AのNcoIとHindIII認識配列間に、配列番号2に示す人工合成した野生型G6PDHを結合した、設計の通りの構造であることが明らかになった。
以下、上記の人工合成した野生型G6PDHを結合したpTrc99Aを発現用組換えベクターpTrcG6PDHと記述する。また、以下、発現用組換えベクターpTrcG6PDHにより大腸菌DH5αを形質転換した形質転換体を、実施例4の野生型G6PDHの発現に使用した。
実施例3:G6PDH変異体の発現用組換えベクターの取得
(3−1)G6PDH変異体の設計
耐熱性の変化したG6PDH変異体を取得するために、表2に示す38種類の変異体を設計した。
即ち、配列番号3に示す野生型G6PDHのアミノ酸配列に対し、変異体1はG14A/T15Sの変異、変異体2はY24Iの変異、変異体3はS26A/V27L/F28Yの変異、変異体4はT45Fの変異、変異体5はS118A/V119T/A120Pの変異、変異体6はL145I/M146I/I147V/T153H/S154D/Y155Lの変異、変異体7はD156E/T157Sの変異、変異体8はA159Rの変異、変異体9はL174I/F175Yの変異、変異体10はM185Tの変異、変異体11はA190Lの変異、変異体12はD200E/A201P/A202Lの変異、変異体13はD200Eの変異、変異体14はA201Pの変異、変異体15はA202Lの変異、変異体16はK205R/D206Qの変異、変異体17はK209D/N210Hの変異、変異体18はK209Dの変異、変異体19はN210Hの変異、変異体20はD229E/T230Eの変異、変異体21はL234Rの変異、変異体22はI238Vの変異、変異体23はT242M/M243Lの変異、変異体24はK253Pの変異、変異体25はA288Gの変異、変異体26はE329Aの変異、変異体27はV335Lの変異、変異体28はS371Vの変異、変異体29はI373R、変異体30はD375Qの変異、変異体31はP415Aの変異、変異体32はM419L/I420L/H421Lの変異、変異体33はM419Lの変異、変異体34はI420Lの変異、変異体35はH421Lの変異、変異体36はS438E/I439Aの変異、変異体37はM466Wの変異、変異体38はA477R/N478Dの変異を導入することを決定した。
本明細書におけるY24I等の表現は、アミノ酸置換の表記法である。例えばY24Iとは、配列番号3に示すアミノ酸配列におけるN末端のメチオニン(M)から数えて24番目のチロシン(Y)をイソロイシン(I)に置換することを意味する。また、本明細書におけるG14A/T15S等の表現は、G14A及びT15Sのアミノ酸置換を同時に導入していることを意味する。
(3−2)pTrcG6PDHへの部位特異的変異導入
上記の計38種類のG6PDH変異体の変異は、pTrcG6PDHのG6PDH DNAの塩基配列中に、それぞれ専用に設計した部位特異的変異導入用プライマーとQuickChange Lightning Site−Directed Mutagenesis Kit(アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いた部位特異的変異導入法により導入した。該キットを用いた部位特異的変異導入は付属の取扱説明書に従って実施した。それに先立ち、部位特異的変異導入用オリゴヌクレオチドを受託合成サービス(オペロンバイオテクノロジー株式会社)により入手した。
表2に、計38種類のG6PDH変異体の変異と部位特異的変異導入用オリゴヌクレオチドの組合せについて示す。
即ち、変異体1については配列番号9及び配列番号10で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体2については配列番号11及び配列番号12で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体3については配列番号13及び配列番号14で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体4については配列番号15及び配列番号16で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体5については配列番号17及び配列番号18で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体6については配列番号19及び配列番号20で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体7については配列番号21及び配列番号22で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体8については配列番号23及び配列番号24で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体9については配列番号25及び配列番号26で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体10については配列番号27及び配列番号28で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体11については配列番号29及び配列番号30で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体12については配列番号31及び配列番号32で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体13については配列番号33及び配列番号34で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体14については配列番号35及び配列番号36で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体15については配列番号37及び配列番号38で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体16については配列番号39及び配列番号40で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体17については配列番号41及び配列番号42で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体18については配列番号43及び配列番号44で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体19については配列番号45及び配列番号46で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体20については配列番号47及び配列番号48で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体21については配列番号49及び配列番号50で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体22については配列番号51及び配列番号52で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体23については配列番号53及び配列番号54で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体24については配列番号55及び配列番号56で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体25については配列番号57及び配列番号58で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体26については配列番号59及び配列番号60で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体27については配列番号61及び配列番号62で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体28については配列番号63及び配列番号64で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体29については配列番号65及び配列番号66で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体30については配列番号67及び配列番号68で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体31については配列番号69及び配列番号70で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体32については配列番号71及び配列番号72で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体33については配列番号73及び配列番号74で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体34については配列番号75及び配列番号76で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体35については配列番号77及び配列番号78で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体36については配列番号79及び配列番号80で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体37については配列番号81及び配列番号82で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
変異体38については配列番号83及び配列番号84で示される塩基配列のオリゴヌクレオチドを利用した。
上記の材料と方法で部位特異的変異導入操作を行なった38種類の各反応溶液を1μLずつとり、それぞれ大腸菌DH5αコンピテントセル10μLに添加して混合し、氷上で10分間インキュベートした。次いで42℃で30秒間インキュベートし、氷上で1分間インキュベートした後、100μLのSOC培地をそれぞれ添加した。あらかじめオートクレーブ滅菌して調整した100μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に、上記のSOC培養液50μLをそれぞれ播種した。
上記LB寒天培地をそれぞれ37℃で22時間培養することにより、組換え大腸菌の複数のコロニーを確認した。
(3−3)部位特異的変異導入を施したpTrcG6PDHの単離精製
上述の38種類の組換え大腸菌から単一なコロニーをそれぞれとり、予めオートクレーブ滅菌して調整した100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地4mLに植菌し、37℃で16時間、振とう培養した。培養液から実施例2に記載の方法により38種類の部位特異的変異導入を施した発現用組換えベクターをそれぞれ単離精製した。
(3−4)部位特異的変異導入を施したpTrcG6PDHの塩基配列の確認
38種類の部位特異的変異導入を施したpTrcG6PDHのシーケンシングを実施例2に記載の方法により実施した。シーケンシングには、配列番号6、配列番号7及び配列番号8に示される塩基配列のオリゴヌクレオチドをそれぞれ使用した。
シーケンシングの結果、配列番号2に示される塩基配列中に、表2に示す38種類の変異のみがそれぞれ導入され、予期しない別の突然変異が導入されていないことを確認した。
以下、表2に示す通り、変異1を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM1と記述する。変異2を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM2と記述する。変異3を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM3と記述する。変異4を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM4と記述する。変異5を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM5と記述する。変異6を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM6と記述する。変異7を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM7と記述する。変異8を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM8と記述する。変異9を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM9と記述する。変異10を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM10と記述する。変異11を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM11と記述する。変異12を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM12と記述する。変異13を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM13と記述する。変異14を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM14と記述する。変異15を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM15と記述する。変異16を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM16と記述する。変異17を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM17と記述する。変異18を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM18と記述する。変異19を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM19と記述する。変異20を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM20と記述する。変異21を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM21と記述する。変異22を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM22と記述する。変異23を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM23と記述する。変異24を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM24と記述する。変異25を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM25と記述する。変異26を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM26と記述する。変異27を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM27と記述する。変異28を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM28と記述する。変異29を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM29と記述する。変異30を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM30と記述する。変異31を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM31と記述する。変異32を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM32と記述する。変異33を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM33と記述する。変異34を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM34と記述する。変異35を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM35と記述する。変異36を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM36と記述する。変異37を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM37と記述する。変異38を導入した発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM38と記述する。
以下、発現用組換えベクターpTrcG6PDH1〜38により大腸菌DH5αを形質転換した形質転換体を、実施例4のG6PDH変異体の発現に使用した。
実施例4:野生型G6PDH及びG6PDH変異体の耐熱性の評価
(4−1)野生型G6PDH及びG6PDH変異体の発現解析
実施例2に記載のpTrcG6PDH及び実施例3に記載のpTrcG6PDHM1〜pTrcG6PDHM38により大腸菌DH5αを形質転換した形質転換体を培養することにより、野生型G6PDH及びG6PDH変異体を発現させた。
即ち、それぞれの形質転換体の単一コロニーを2mLの100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地に植菌して37℃で16時間振とう培養し、該LB培養液0.2mLをあらかじめオートクレーブ滅菌して調整した100μg/mLのアンピシリン及び0.1mMのイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(和光純薬工業株式会社製)を含む5mLのTerrific培地(1.2%Tryptone:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製、2.4%酵母エキス:極東製薬工業株式会社製、0.4%グリセリン:ナカライテスク株式会社製、0.231%リン酸二水素カリウム:ナカライテスク株式会社製、1.254%リン酸水素二カリウム:ナカライテスク株式会社製)に植菌した。該培養液はそれぞれ37℃で8時間培養した。
培養後に培養液を1mLずつ分取して15,000rpmで5分間、遠心し、培養上清を除去して組換え大腸菌の菌体をそれぞれ得た。それぞれの菌体は、以下の活性測定使用時まで−30℃のフリーザー内に保存した。
凍結保存した菌体に1mLの20mMリン酸緩衝液(pH8.0)を添加し、超音波破砕機UD−21P(株式会社トミー精工製)により菌体を破砕し、15,000rpmで5分間、遠心し、上清を菌体破砕液として以下のG6PDH変異体の耐熱性の評価に使用した。
(4−2)G6PDH変異体の耐熱性の評価
上述した方法、計算式に従って、野生型G6PDH及び38種類のG6PDH変異体の酵素活性(U/mL)を求めた。結果を表3の熱処理前活性の欄に示す。例えば変異体12、変異体14、変異体17、変異体19、変異体21の結果のように、変異が導入されたことにより、野生型に比べて著しく活性が低下した変異体が見出された。
一方で、変異体3、変異体8、変異体9、変異体16、変異体22、変異体29、変異体37の結果のように、変異が導入されたことにより、野生型に比べて活性が上昇した変異体が見出された。
次いで、調整した菌体破砕液をそれぞれ0.5mLずつ分取し、48℃に設定したウォーターバスで30分間熱処理後、氷上で急冷した。熱処理後の酵素活性を上述の方法に従ってもとめた。結果を表3の熱処理後活性の欄に示す。得られた熱処理前後の活性値から、熱処理後の残存活性を以下の式に従って計算した。結果を表3の残存活性の欄に示す。
表3の結果より、変異体3、変異体5、変異体8、変異体9、変異体20、変異体25、変異体32、変異体33、変異体37は、野生型G6PDHに比べて高い残存活性を示した。
従って、野生型G6PDHにおける変異S26A/V27L/F28Y(変異体3)、S118A/V119T/A120P(変異体5)、A159R(変異体8)、L174I/F175Y(変異体9)、D229E/T230E(変異体20)、A288G(変異体25)、M419L/I420L/H421L(変異体32)、M419L(変異体33)及びM466W(変異体37)は、それぞれG6PDHの耐熱化に寄与することが新たに見出された。以下、これらの変異をまとめて耐熱化変異ともいう。
実施例5:耐熱化変異を複数導入したG6PDH多重変異体の発現用組換えベクターの取得
(5−1)多重変異体の設計
実施例4において見出された耐熱化変異を組み合わせることにより、さらなる耐熱性の向上が期待される。
以下、野生型G6PDHにおける変異S26A/V27L/F28Y(変異体3)、S118A/V119T/A120P(変異体5)、A159R(変異体8)、L174I/F175Y(変異体9)、D229E/T230E(変異体20)、A288G(変異体25)、M419L(変異体33)及びM466W(変異体37)を組合せた多重変異体を、変異体39とする。
以下、野生型G6PDHにおける変異S26A/V27L/F28Y(変異体3)、A159R(変異体8)、L174I/F175Y(変異体9)、D229E/T230E(変異体20)、A288G(変異体25)、M419L(変異体33)及びM466W(変異体37)を組合せた多重変異体を、変異体40とする。
以下、野生型G6PDHにおける変異S26A/V27L/F28Y(変異体3)、S118A/V119T/A120P(変異体5)、A159R(変異体8)、L174I/F175Y(変異体9)、A288G(変異体25)、M419L(変異体33)及びM466W(変異体37)を組合せた多重変異体を、変異体41とする。
以下、野生型G6PDHにおける変異A159R(変異体8)、L174I/F175Y(変異体9)、M419L(変異体33)及びM466W(変異体37)を組合せた多重変異体を、変異体42とする。
以下、野生型G6PDHにおける変異S26A/V27L/F28Y(変異体3)、S118A/V119T/A120P(変異体5)、A159R(変異体8)、L174I/F175Y(変異体9)、D229E/T230E(変異体20)、A288G(変異体25)及びM419L(変異体33)を組合せた多重変異体を、変異体43とする。
以下、野生型G6PDHにおける変異S26A/V27L/F28Y(変異体3)、S118A/V119T/A120P(変異体5)、A159R(変異体8)、L174I/F175Y(変異体9)、D229E/T230E(変異体20)、A288G(変異体25)、及びM466W(変異体37)を組合せた多重変異体を、変異体44とする。
以下、野生型G6PDHにおける変異S26A/V27L/F28Y(変異体3)、S118A/V119T/A120P(変異体5)、A159R(変異体8)、A288G(変異体25)及びM466W(変異体37)を組合せた多重変異体を、変異体45とする。
以下、野生型G6PDHにおける変異M419L(変異体33)及びM466W(変異体37)を組合せた多重変異体を、変異体46とする。
以下、野生型G6PDHにおける変異S26A/V27L/F28Y(変異体3)及びM466W(変異体37)を組合せた多重変異体を、変異体47とする。
(5−2)PCRによる部位特異的多重変異導入
上記の9種類のG6PDH多重変異体(変異体39〜変異体47)の変異は、G6PDH DNAの塩基配列中に、実施例3で設計した部位特異的変異導入用オリゴヌクレオチドを用いたPCR反応による部位特異的変異導入法により導入した。
9種類のG6PDH多重変異体の部位特異的変異導入用オリゴヌクレオチドの組合せについて以下に示す。
即ち、変異体39については、配列番号13、配列番号14、配列番号17、配列番号18、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号47、配列番号48、配列番号57、配列番号58、配列番号73、配列番号74、配列番号81及び配列番号82に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを使用した。
変異体40については、配列番号13、配列番号14、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号47、配列番号48、配列番号57、配列番号58、配列番号73、配列番号74、配列番号81及び配列番号82に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを使用した。
変異体41については、配列番号13、配列番号14、配列番号17、配列番号18、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号57、配列番号58、配列番号73、配列番号74、配列番号81及び配列番号82に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを使用した。
変異体42については、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号73、配列番号74、配列番号81及び配列番号82に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを使用した。
変異体43については、配列番号13、配列番号14、配列番号17、配列番号18、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号47、配列番号48、配列番号57、配列番号58、配列番号73及び配列番号74に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを使用した。
変異体44については、配列番号13、配列番号14、配列番号17、配列番号18、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号47、配列番号48、配列番号57、配列番号58、配列番号81及び配列番号82に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを使用した。
変異体45については、配列番号13、配列番号14、配列番号17、配列番号18、配列番号23、配列番号24、配列番号57、配列番号58、配列番号81及び配列番号82に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを使用した。
変異体46については、配列番号73、配列番号74、配列番号81及び配列番号82に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを使用した。
変異体47については、配列番号13、配列番号14、配列番号81及び配列番号82に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドを使用した。
変異体39から変異体47について、それぞれ表4に示す組成に調整したPCR反応溶液を調整した。
PCR反応条件を{98℃(10秒)、48℃(30秒)、68℃(90秒)を15サイクル}としてPCR反応を行い、アガロースゲル電気泳動により500bp〜2,000bp程度の濃いスメアバンドが観察された。
前記PCR反応溶液を用いて、それぞれ表5に示す組成に調整したPCR反応溶液を調製した。
PCR反応条件を{98℃(10秒)、48℃(30秒)、68℃(90秒)を12サイクル}としてPCR反応を行い、アガロースゲル電気泳動により約1,500bp程度のバンドが観察された。該PCR反応溶液をそれぞれエタノール沈殿に供し、合成されたDNAを精製した。
(5−3)G6PDH多重変異体の発現用組換えベクターの合成
実施例2に記載した方法と同様に、G6PDH多重変異体DNAをそれぞれ制限酵素NcoI、HindIIIで処理し、予め該制限酵素により切断したpTrc99AへT4リガーゼにより結合させた。
(5−4)G6PDH多重変異体の発現用組換えベクターの単離精製及び形質転換体の取得
実施例2に記載した方法と同様に、上記リガーゼ反応溶液を用いて大腸菌DH5αを形質転換し、コロニーPCRによりインサートチェックを行って陽性クローンを取得し、液体培養した該組換え大腸菌のクローンから発現用組換えベクターをそれぞれ精製した。
(5−5)G6PDH多重変異体の塩基配列の確認
9種類のG6PDH多重変異体のシーケンシングを実施例2に記載の方法により実施した。シーケンシングには、配列番号6、配列番号7及び配列番号8に示す塩基配列のオリゴヌクレオチドをそれぞれ使用した。
シーケンシングの結果、配列番号2に示される塩基配列中に、所望の変異のみがそれぞれ導入され、予期しない別の突然変異が導入されていないことを確認した。
配列番号85に、変異体39の塩基配列を示す。配列番号87に、変異体40の塩基配列を示す。配列番号89に、変異体41の塩基配列を示す。配列番号91に、変異体42の塩基配列を示す。配列番号93に、変異体43の塩基配列を示す。配列番号95に、変異体44の塩基配列を示す。配列番号97に、変異体45の塩基配列を示す。配列番号99に、変異体46の塩基配列を示す。配列番号101に、変異体47の塩基配列を示す。
また、配列番号85に示す塩基配列がコードする変異体39のアミノ酸配列を配列番号86に示す。配列番号87に示す塩基配列がコードする変異体40のアミノ酸配列を配列番号88に示す。配列番号89に示す塩基配列がコードする変異体41のアミノ酸配列を配列番号90に示す。配列番号91に示す塩基配列がコードする変異体42のアミノ酸配列を配列番号92に示す。配列番号93に示す塩基配列がコードする変異体43のアミノ酸配列を配列番号94に示す。配列番号95に示す塩基配列がコードする変異体44のアミノ酸配列を配列番号96に示す。配列番号97に示す塩基配列がコードする変異体45のアミノ酸配列を配列番号98に示す。配列番号99に示す塩基配列がコードする変異体46のアミノ酸配列を配列番号100に示す。配列番号101に示す塩基配列がコードする変異体47のアミノ酸配列を配列番号102に示す。
以下、変異体39の発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM39と記述する。変異体40の発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM40と記述する。変異体41の発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM41と記述する。変異体42の発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM42と記述する。変異体43の発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM43と記述する。変異体44の発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM44と記述する。変異体45の発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM45と記述する。変異体46の発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM46と記述する。変異体47の発現用組換えベクターの名称をpTrcG6PDHM47と記述する。
発現用組換えベクターpTrcG6PDH39〜47により大腸菌DH5αを形質転換した形質転換体を、実施例6のG6PDH多重変異体の耐熱性評価に使用した。
実施例6:野生型G6PDH及びG6PDH多重変異体の耐熱性の評価
(6−1)野生型G6PDH及びG6PDH多重変異体の発現解析
実施例2に記載のpTrcG6PDH及び実施例5に記載のpTrcG6PDH39〜pTrcG6PDHM47により大腸菌DH5αを形質転換した形質転換体を培養することにより、野生型G6PDH及びG6PDH変異体を発現させた。
形質転換体の取得及び液体培養による発現解析は、実施例4に記載した方法と同様に実施した。
得られた形質転換体の培養液をそれぞれ1mLずつ分取して15,000rpmで5分間、遠心し、培養上清を除去して組換え大腸菌の菌体をそれぞれ得た。それぞれの菌体は以下の活性測定使用時まで−30℃のフリーザー内に保存した。
凍結保存した菌体に1mLの20mMリン酸緩衝液(pH8.0)を添加し、超音波破砕により菌体を破砕し、15,000rpmで5分間、遠心し、上清を菌体破砕液として以下のG6PDH多重変異体の耐熱性の評価に使用した。
多重変異体の耐熱性と単独で変異を導入した変異体の耐熱性を比較する目的で、変異体33についても同様に実験した。
(6−2)G6PDH多重変異体の耐熱性の評価
実施例4に記載の方法に従って、野生型G6PDH、変異体33及び9種類のG6PDH多重変異体の熱処理後の残存活性を求めた。熱処理は、47℃、52℃、55℃においてそれぞれ実施した。結果を表6に示す。
表6の結果より、G6PDH多重変異体39〜変異体47は、47℃の熱処理において野生型G6PDHに比べ高い耐熱性を有していることが明らかになった。
変異体44〜変異体47は変異体33に比べて耐熱性が低いことが明らかになった。変異体44〜変異体47は変異体33を構成する「M419L」を含んでいない。従って、変異M419Lが野生型G6PDHの耐熱化に大きく寄与することが示された。
一方で、特に変異体39、変異体40、変異体41、変異体42、変異体43は52℃、55℃の熱処理において野生型G6PDH、変異体33及び他の多重変異体に比べ高い残存活性を示した。これらの変異体は上記変異「M419L」を含むが、他の耐熱化変異と同時に導入されたかという点で変異体33と異なる。
従って、配列番号3に示される野生型G6PDHのアミノ酸配列において、変異S26A/V27L/F28Y/S118A/V119T/A120P/A159R/L174I/F175Y/D229E/T230E/A288G/M419L/M466W(変異体39)の組合せ、変異S26A/V27L/F28Y/A159R/L174I/F175Y/D229E/T230E/A288G/M419L/M466W(変異体40)の組合せ、変異S26A/V27L/F28Y/S118A/V119T/A120P/A159R/L174I/F175Y/A288G/M419L/M466W(変異体41)の組合せ、変異A159R/L174I/F175Y/M419L/M466W(変異体42)の組合せ、S26A/V27L/F28Y/S118A/V119T/A120P/A159R/L174I/F175Y/D229E/T230E/A288G/M419L(変異体43)の組合せは、それぞれを単独に導入した変異体に比べ、特段に耐熱性が優れることが明らかとなった。
上記多重変異による更なる耐熱化への寄与は、本実施例の変異39〜変異43に限定されるものではなく、S26A/V27L/F28Y、S118A/V119T/A120P、A159R、L174I/F175Y、D229E/T230E、A288G、M419L及びM466Wの組合せにおいて、変異39〜変異43と同等の耐熱性を有する変異体が得られることは容易に推測できる。
変異体39〜変異体43の耐熱性・比活性などの諸性質を野生型G6PDHと比較するため、実施例7に記載する大量発現と酵素精製を実施した。
実施例7:野生型G6PDH及びG6PDH多重変異体の調整
(7−1)野生型G6PDH及びG6PDH多重変異体の大量発現
実施例2に記載のpTrcG6PDH及び実施例5に記載のpTrcG6PDHM39〜pTrcG6PDHM43により大腸菌DH5αを形質転換した形質転換体を培養することにより、野生型G6PDH及びG6PDH多重変異体を大量発現させた。
即ち、それぞれの形質転換体の単一コロニーを2mLの100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地に植菌して37℃で16時間振とう培養し、該LB培養液をあらかじめオートクレーブ滅菌して調整した100μg/mLのアンピシリン及び0.1mMのイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(和光純薬工業株式会社製)を含む50mLのTerrific培地へ植菌した。該培養液はそれぞれ37℃で16時間培養した。
上記で得られた培養液を15,000×gで20分間、遠心し、培養上清を除去して組換え大腸菌の菌体をそれぞれ得た。それぞれの菌体は以下の精製時まで−30℃のフリーザー内に保存した。
(7−2)野生型G6PDH及びG6PDH多重変異体の精製
該菌体に40mLの20mM リン酸緩衝液(pH7.7)を添加して菌体を懸濁し、超音波破砕機により菌体を破砕した。破砕液を15,000×gで30分間、遠心して破砕液上清を得た。
破砕液上清に含まれるタンパク質を、あらかじめ20mM リン酸緩衝液(pH7.7)で平衡化した5mLのHiTrapTMQ FFカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)に吸着させ、0.0Mから0.5Mの塩化ナトリウムの濃度勾配によりG6PDH活性画分を溶出させた。
得られたG6PDH活性画分に60%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加し、15,000×gで30分間、遠心した。上清にG6PDH活性画分が含まれることを確認して該上清を回収した。
上記で得られた上清中のタンパク質を、60%飽和硫安とした20mM リン酸緩衝液(pH6.4)であらかじめ平衡化した6mLのRESOURCETM 15PHEカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)に吸着させ、60%から0%の硫酸アンモニウムの濃度勾配によりG6PDH活性画分を溶出させた。
上記G6PDH活性画分を20mM リン酸緩衝液(pH8.0)に対して透析し、Ultracel(商標)−30K(メルク株式会社製)を用いて濃縮した。以下、透析・濃縮されたG6PDH活性画分を精製酵素とした。
(7−3)精製酵素の純度の確認
精製された野生型G6PDH及びG6PDH多重変異体の純度を確認するため、それぞれの精製酵素をSDS−PAGEに供した。同時に泳動した分子量マーカーにはPrecision Plus ProteinTM Dual Color Standards(Bio Rad製)を使用した。図4に電気泳動結果を示す。
いずれの精製酵素も夾雑タンパク質は全く観察されず、比活性等を測定するのに十分な純度を有していることが確認された。かくして得られたG6PDH多重変異体39〜43及び野生型G6PDHを以下に使用した。
実施例8:野生型G6PDH及びG6PDH多重変異体の精製酵素を用いた各種性能評価
(8−1)比活性及びミカエリス・メンテン定数の測定
発明を実施するための形態〔G6PDHの比活性の測定〕に記載した方法に従って、野生型G6PDH、変異体39、変異体40、変異体41、変異体42、変異体43の比活性を求めた。結果を表7の比活性の欄に示す。
基質グルコース−6−リン酸へのミカエリス・メンテン定数の測定は、以下の方法に従って実施した。
(試薬)
・55mM トリス−塩酸緩衝液(3.3mM 塩化マグネシウム含有) pH7.8
・100mM NADP+水溶液
・150mMから0.1mMに調整したグルコース−6−リン酸水溶液(グルコース−6−リン酸水溶液は、それぞれ150mM、125mM、100mM、75mM、50mM、25mM、12.5mM、6.25mM、3.13mM、1.56mM、0.78mM、0.39mM、0.2mM、0.1mMにあらかじめ調整した。)
・酵素活性測定試薬:上記トリス−塩酸緩衝液を0.81mL、NADP+水溶液を0.03mL、任意の濃度のグルコース−6−リン酸水溶液を0.03mL、を混合して調整した。
酵素活性測定試薬と酵素活性測定溶液の混合液中のグルコース−6−リン酸終濃度は、それぞれ5.000mM、4.167mM、3.333mM、2.500mM、1.667mM、0.833mM、0.417mM、0.208mM、0.104mM、0.052mM、0.026mM、0.013mM、0.007mM、0.003mMである。
(測定条件)
酵素活性測定試薬0.87mLを分光光度計用セルに入れ、30℃で5分間以上プレインキュベートした。希釈して濃度を揃えた酵素活性測定溶液0.03mLを添加してよく混合し、30℃で予めインキュベートされた分光光度計で、340nmの吸光度変化を60秒間記録し、1分間あたりの吸光度変化(ΔOD/分)を測定した。ブランクは、酵素活性測定溶液の代わりに酵素希釈液を酵素活性測定試薬に混合して上記のように吸光度変化(ΔODblank/分)を測定した。
各グルコース−6−リン酸濃度における(ΔOD/分)の値は2回ずつ測定した。ブランク測定は、各グルコース−6−リン酸濃度に調整した酵素活性測定試薬毎に実施した。
また、補酵素NADP+へのミカエリス・メンテン定数の測定は、以下の方法に従って実施した。
(試薬)
・55mM トリス−塩酸緩衝液(3.3mM 塩化マグネシウム含有) pH7.8
・150mMから0.1mMに調整したNADP+水溶液(NADP+水溶液は、それぞれ150mM、125mM、100mM、75mM、50mM、25mM、12.5mM、6.25mM、3.13mM、1.56mM、0.78mM、0.39mM、0.2mM、0.1mMにあらかじめ調整した。)
・150mM グルコース−6−リン酸水溶液
・酵素活性測定試薬:上記トリス−塩酸緩衝液を0.81mL、任意の濃度のNADP+水溶液を0.03mL、グルコース−6−リン酸水溶液を0.03mL、を混合して調整した。
酵素活性測定試薬と酵素活性測定溶液の混合液中のNADP+終濃度は、それぞれ5.000mM、4.167mM、3.333mM、2.500mM、1.667mM、0.833mM、0.417mM、0.208mM、0.104mM、0.052mM、0.026mM、0.013mM、0.007mM、0.003mMである。
(測定条件)
基質グルコース−6−リン酸へのミカエリス・メンテン定数の測定と同様に実施した。
(ミカエリス・メンテン定数の算出方法)
SigmaPlotソフトウェア及びそのEnzyme Kinetics Wizardプログラム(株式会社ヒューリンクス)を用いてミカエリス・メンテン定数(Km値)を算出した。計算モードは以下の通りに設定した。
Number of Substrate:1
Type of study:Single Substrate
Maximum Number of Velocity Replicates:2
Analysis:Fit to Model
Equation:Michaelis−Menten
Equation Code:Vmax*S/(Km+S)
以上の方法により、野生型G6PDH及びG6PDH多重変異体の、基質グルコース−6−リン酸へのミカエリス・メンテン定数(Km for G6P)及び補酵素NADP+へのミカエリス・メンテン定数(Km for NADP+)を算出した。結果を表7のKm for G6Pの欄、及びのKm for NADP+欄に示す。
表7より、変異体40、変異体42は野生型G6PDHに比べて比活性が高いことが明らかになった。
高い耐熱性を有しつつ比活性が高いことは、産業利用上、有用であると考えられる。一方、変異体39、変異体41、変異体43は、野生型G6PDHに比べて比活性が低下していることが判明した。基質G6PへのKm値の大幅な増加が原因と推察される。また、変異体39、変異体41、変異体43は、補酵素NADP+へのKm値は野生型G6PDHに比べて減少していた。
(8−2)耐熱性の評価1
精製酵素を20mM リン酸緩衝液(pH7.7)で0.1mg/mLとなるよう希釈して以下の実験を行なった。
調整した希釈精製酵素をそれぞれ0.5mLずつ分取して2.0mLプラスチックチューブに分注し、うち1本を氷上で保存、残りを任意の温度で30分間、熱処理し、すぐさま氷冷した。熱処理温度は、37℃、39℃、40.5℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、49℃、51℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃及び59℃の18点とした。野生型G6PDH及び変異体39〜43について、それぞれ9点以上を測定した。
熱処理なしのG6PDH活性を100%としたときの各熱処理温度での残存活性を求めた。結果を表8に示す。
更に、表8のデータから、グラフソフトを用いて横軸に処理温度、縦軸に残存活性をプロットし、残存活性が減少するシグモイド曲線を描画した。また、残存活性が50%になるときの熱処理温度(以下、Tm50という)を求めた。更に、変異体39〜変異体43のTm50から野生型G6PDHのTmを差し引いた値をΔTm50とした。結果を表9に示す。
表9の結果より、ΔTm50の値から、変異体43>変異体39>変異体41>変異体40>変異体42の順に、野生型G6PDHに比べて耐熱性が高いことが確認された。
(8−3)耐熱性の評価2
精製酵素を20mM リン酸緩衝液(pH7.7)で0.1mg/mLとなるよう希釈して以下の実験を行なった。
調整した希釈精製酵素をそれぞれ0.5mLずつ分取して2.0mLプラスチックチューブに分注し、うち1本を氷上で保存、残りを60℃で任意の時間、熱処理し、すぐさま氷冷した。熱処理時間は2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、45分、60分、90分、120分の13点とし、野生型G6PDH及び変異体39〜43はそれぞれ4点以上測定した。
熱処理なしの酵素活性を100%としたときの各熱処理時間でのG6PDHの残存活性を求めた。横軸に熱処理時間、縦軸に残存活性(%)の対数をプロットしてグラフを作成した(図5)。
また、各グラフから近似曲線を求めた。それぞれの近似曲線は以下の式によって表すことができる。
ここで、yを残存活性(%)、xを熱処理時間(分)、ymax及びkの値は定数である。
野生型G6PDH及び変異体39〜43の近似式をそれぞれ表10に示す。
得られた近似式から、熱処理温度60℃において、残存活性yが50(%)になるときの時間(以下、T1/2という)を算出した。同時に、野生型G6PDHのT1/2を1.0としたときの変異体39〜43のT1/2を*T1/2として求めた。結果を表11に示す。
表11の結果から、上述の表9に示したΔTm50の結果と同様に、変異体43>変異体39>変異体41>変異体40>変異体42の順に、野生型G6PDHに比べて耐熱性が高いことが確認された。
更に、上述した60℃の熱処理条件において、変異体39は野生型G6PDHに比べて224倍、変異体40は野生型G6PDHに比べて33倍、変異体41は野生型G6PDHに比べて95倍、変異体42は野生型G6PDHに比べて10倍、変異体43は野生型G6PDHに比べて626倍安定であることが明らかになった。
実施例9:野生型G6PDH及びG6PDH多重変異体の基質特異性の評価
G6PDH多重変異体がグルコース−6−リン酸以外の糖リン酸に反応するように改変されていないか調べるため、以下の実験を行なった。
補酵素にNADP+、基質にグルコース−6−リン酸を用いたときの比活性を100%としたときの、グルコース−1−リン酸、グルコサミン−6−リン酸、6−ホスホグルコン酸、リボース−5−リン酸、フルクトース−6−リン酸、フルクトース−1、6−二リン酸、マンノース−6−リン酸を基質としたときの比活性を、野生型G6PDH及び変異体39〜変異体43について求めた。
いずれの測定も、基質として前記糖リン酸を使用したこと以外は、発明を実施するための形態〔G6PDHの比活性の測定〕に従い、各基質の終濃度を3.333mMの条件で実施した。測定結果を表12に示す。
表12の結果より、変異体39〜変異体43は、野生型G6PDHが反応しない基質に反応するような改変は起こっていないことを確認できた。一方で、野生型G6PDHはフルクトース−6−リン酸に対グルコース−6−リン酸で7.9%反応した。驚くべきことに、変異体39〜変異体43ではその値が、それぞれ0.8%、2.7%、0.8%、4.1%、1.3%と野生型の7.9%に比べて減少しており、変異体39〜変異体43は野生型G6PDHに比べて基質特異性が向上していることが確認された。
上記の結果は、変異体39〜変異体43に導入された多重変異が基質特異性に悪影響を及ぼす可能性を調査する過程で発見された、全く予期されなかった結果である。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更及び修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。

Claims (11)

  1. 次のアミノ酸置換が導入されており、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換されたグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチド、又は当該ポリペプチドと90%以上の同一性を有するポリペプチド
    配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における229番目がグルタミン酸に置換、及び23
    0番目がグルタミン酸に置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイ
    シンに置換、及び28番目がチロシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目がアルギニンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における174番目がイソロイシンに置換、及び17
    5番目がチロシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における288番目がグリシンに置換、及び
    配列番号3に示すアミノ酸配列における466番目がトリプトファンに置換。
  2. 次のアミノ酸置換が導入されており、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換されたグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチド、又は当該ポリペプチドと90%以上の同一性を有するポリペプチド
    配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における229番目がグルタミン酸に置換、及び23
    0番目がグルタミン酸に置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイ
    シンに置換、及び28番目がチロシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における118番目がアラニンに置換、119番目が
    スレオニンに置換、及び120番目がプロリンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目がアルギニンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における174番目がイソロイシンに置換、及び17
    5番目がチロシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における288番目がグリシンに置換、及び
    配列番号3に示すアミノ酸配列における466番目がトリプトファンに置換。
  3. 次のアミノ酸置換が導入されており、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換されたグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチド、又は当該ポリペプチドと90%以上の同一性を有するポリペプチド
    配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイ
    シンに置換、及び28番目がチロシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における118番目がアラニンに置換、119番目が
    スレオニンに置換、及び120番目がプロリンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目がアルギニンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における174番目がイソロイシンに置換、及び17
    5番目がチロシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における288番目がグリシンに置換、及び
    配列番号3に示すアミノ酸配列における466番目がトリプトファンに置換。
  4. 次のアミノ酸置換が導入されており、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換されたグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチド、又は当該ポリペプチドと90%以上の同一性を有するポリペプチド
    配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目がアルギニンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における174番目がイソロイシンに置換、及び17
    5番目がチロシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における466番目がトリプトファンに置換。
  5. 次のアミノ酸置換が導入されており、且つ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換されたグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチド、又は当該ポリペプチドと90%以上の同一性を有するポリペプチド
    配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における229番目がグルタミン酸に置換、及び23
    0番目がグルタミン酸に置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における26番目がアラニンに置換、27番目がロイ
    シンに置換、及び28番目がチロシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における118番目がアラニンに置換、119番目が
    スレオニンに置換、及び120番目がプロリンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における159番目がアルギニンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における174番目がイソロイシンに置換、及び17
    5番目がチロシンに置換、
    配列番号3に示すアミノ酸配列における288番目がグリシンに置換。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドをコードしているDNA。
  7. 配列番号85、87、89、91、又は93に示す塩基配列からなるDNAと90%以上の同一性を有するDNAであって、グルコース−6−リン酸脱水素酵素活性を有し、配列番号3に示すアミノ酸配列における419番目がロイシンに置換されたグルコース−6−リン酸脱水素酵素と比較して耐熱性が向上しているポリペプチドをコードしている請求項6に記載のDNA。
  8. 請求項6又は7に記載のDNAを含む組換えベクター。
  9. 請求項8に記載の組換えベクターにより宿主を形質転換して得られる形質転換体。
  10. 宿主が大腸菌である、請求項9に記載の形質転換体。
  11. 請求項9又は10に記載の形質転換体を培養する工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチドの製造方法。
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