JP3112146B2 - 耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質 - Google Patents

耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質

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JP3112146B2 JP06151045A JP15104594A JP3112146B2 JP 3112146 B2 JP3112146 B2 JP 3112146B2 JP 06151045 A JP06151045 A JP 06151045A JP 15104594 A JP15104594 A JP 15104594A JP 3112146 B2 JP3112146 B2 JP 3112146B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は臨床的に肝炎や心筋梗塞
の診断の指標となる血中のアスパラギン酸:2−オキソ
グルタル酸アミノトランスフェラーゼ(以下、GOTと
略称)の活性測定や、呼吸代謝系の酸−塩基不均衡の指
標となる血漿中炭酸ガス濃度の測定に用いられる新規な
耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質、
該蛋白質をコードする遺伝子を含有するDNA断片、該
DNA断片を有する組換えベクター、該ベクターで形質
転換された形質転換体及び該形質転換体を使用した耐熱
性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質を製造
する方法に関する。
【0002】また本発明は上記新規な蛋白質を一成分と
して含有するGOT活性測定用試薬ならびに該試薬を使
用することを含むGOT活性測定法に関する。
【0003】
【従来の技術】GOTはGPT(グルタミン酸・ピルビ
ン酸トランスアミナーゼ)とともに心筋、骨格筋、脳、
肝、腎などに多く存在し、これらの臓器の障害により血
清中の活性値が変動することが知られている。GOTの
活性測定法として下記の反応を利用した紫外部吸収法が
標準法として採用されている。
【0004】
【化3】
【0005】
【化4】
【0006】つまりGOTの活性値は、その触媒作用に
よりL−アスパラギン酸とα−ケトグルタル酸より生成
するオキザロ酢酸を、共役酵素として共存させたマレー
トデヒドロゲナーゼとNADHによりリンゴ酸に変換
し、その際にNADHがNAD + へ変換する速度を34
0nmにおける吸光度減少速度より求めるものである。
【0007】GOT測定試薬は通常、二試薬系で構成さ
れ、通常、NADH、マレートデヒドロゲナーゼ、必要
によりラクテートデヒドロゲナーゼおよびα−ケトグル
タル酸またはL−アスパラギン酸を含有する第一試薬お
よびα−ケトグルタル酸またはL−アスパラギン酸を含
む第二試薬からなっている。上記試薬を溶解後、液状で
保存する上で問題となるのは、マレートデヒドロゲナー
ゼの安定性である。NADHはpH9〜10において安
定であることが知られており、α−ケトグルタル酸、L
−アスパラギン酸については問題ない。更にラクテート
デヒドロゲナーゼについても安定な酵素が市販されてい
る。
【0008】ところで、マレートデヒドロゲナーゼ(E
C1.1.1.37)は動物、植物、微生物全般の生物
界に広く存在している。高等動物ではミトコンドリアと
細胞質にアイソザイムとして極在することが知られてい
た。また従来から臨床的試験、例えば上記血中のGOT
活性測定あるいは血漿中の二酸化炭酸の濃度測定に使用
されている。このような酵素として、豚心臓のミトコン
ドリア画分のマレートデヒドロゲナーゼが一般的に使用
されている。しかしながら、該マレートデヒドロゲナー
ゼは熱安定性に劣り、市販されるGOT活性測定用試薬
は溶液状態で長期間保存することができないから、満足
すべきものではなかった。
【0009】一方、種々の微生物由来のマレートデヒド
ロゲナーゼが見い出されている。例えばコリネバクテリ
ウム、ブレビバクテリウム、アースロバクター、バチル
ス・ズブチリス、エシェリヒア・コリ、クロロフレック
ス・アウランチカ、ロドシュードモナス・カプスタータ
およびシュードモナス・テストステルニなどの中温菌が
マレートデヒドトゲナーゼを生産することが公知である
が、これらの酵素は耐熱性ではない。したがってこれら
の酵素のいずれも実際的な応用には熱安定性が充分では
なく、また生産性も劣る。
【0010】また、サーマス・サーモフィラス (特開昭
55-99188号公報) 、サーマス・フラバス AT-62 (Biochi
mica et Biophysica Acta 613, 1-9, 1980) 、バチルス
・ステアロサーモフィラス UK 788 ( 特開昭56-148188
号公報) 、バチルス・ステアロサーモフィラス 2184
(J. Biol. Chem., vol.242, no.7, 1548-1559, 1967)な
どの耐熱性菌が熱安定性マレートデヒドロゲナーゼを生
産することも公知である。サーマス属sp. 由来のマレー
トデヒドロゲナーゼが唯一、熱安定性酵素として市販さ
れている。しかし、この酵素の至適温度は90℃付近と
非常に高温であり、臨床検査で使用される反応温度(通
常、室温) の反応性は低く、この酵素を臨床検査に使用
するには不適当である。さらに該酵素は酵素が所有する
熱安定性から予想されるほど、GOT活性測定用試薬と
して安定性に優れていない。
【0011】バチルス・ステアロサーモフィラス UK 78
8 由来のマレートデヒドロゲナーゼの熱的性質は不明で
ある。しかし該菌株はマレートデヒドロゲナーゼととも
に、酢酸キナーゼなどの他の酵素も生産するから、精製
されたマレートデヒドロゲナーゼには他の酵素が混在す
る可能性を有するであろう。またバチルス・ステアロサ
ーモフィラス 2184 もまた耐熱性マレートデヒドロゲナ
ーゼを生産する。しかし該菌株の酵素に対して、22℃で
測定した最大比活性は、この温度での活性が低いことか
ら非常に低い。したがってこれらのバチルス属由来の酵
素はGOT活性測定用試薬として調製するには、生産性
が悪いか、あるいは長期保存後の安定性に劣るであろ
う。したがって室温における反応性および長期保存後の
安定性に優れる、特にGOT活性測定用試薬として安定
性に優れたマレートデヒドロゲナーゼが望まれていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、GOT活性測定用試薬として優れた安定性を示す、
耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質を
提供することにある。また本発明の第2の目的は、遺伝
子工学により純粋な形態で、多量に該蛋白質を供給する
ための方法とその原料を提供することにある。さらに本
発明の第3の目的は、本発明の耐熱性マレートデヒドロ
ゲナーゼ活性を有する蛋白質を一成分として含有するG
OT活性測定用試薬を提供することにある。また本発明
の第4の目的は本発明の耐熱性マレートデヒドロゲナー
ゼ活性を有する蛋白質を使用することを含む、GOT活
性測定法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため、耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性
を有する蛋白質の生産菌としてバチルス・ステアロサー
モフィラスATCC12016を選び、該菌体より抽出
した染色体DNAより耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ
活性を有する蛋白質遺伝子の単離に成功し、そのDNA
の全構造を決定した。更に該耐熱性マレートデヒドロゲ
ナーゼ活性を有する蛋白質を遺伝子工学的手法によって
形質転換体により高生産させることに成功し、高純度な
耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質を
安価に大量供給することを可能にした。
【0014】すなわち本発明は40℃において10日間
溶液状態で保存した後の残存活性が少なくとも60%で
あることを特徴とする耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ
活性を有する蛋白質である。
【0015】また本発明は耐熱性マレートデヒドトゲナ
ーゼ活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を含有する
DNA断片、該DNA断片を有する組換えベクター、該
組換えベクターで形質転換された形質転換体および該形
質転換体を培地で培養し、耐熱性マレートデヒドロゲナ
ーゼ活性を有する蛋白質を生成させ、該蛋白質を採取す
ることを特徴とする耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活
性を有する蛋白質の製造法である。
【0016】さらに本発明はNADH、L−アスパラギ
ン酸、α−ケトグルタル酸、必要によりラクテートデヒ
ドロゲナーゼおよび40℃において10日間溶液状態で
保存した後の残存活性が少なくとも60%である耐熱性
マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質を含有す
るグルタミン酸・オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(G
OT)活性測定用試薬である。
【0017】また本発明は試料に、NADH、L−アス
パラギン酸、α−ケトグルタル酸、必要によりラクテー
トデヒドロゲナーゼおよび40℃において10日間溶液
状態で保存した後の残存活性が少なくとも60%である
耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質を
含有するグルタミン酸・オキザロ酢酸トランスアミナー
ゼ(GOT)活性測定用試薬を反応させて、消費される
NADHを測定することを特徴とするGOT活性測定法
である。
【0018】本発明の耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ
活性を有する蛋白質(耐熱性MAD と略称する)は40℃
において10日間溶液状態で保存した後の残存活性が少
なくとも60%、好ましくは70%、さらに好ましくは
80%、特に好ましくは90%であることが必要であ
る。本発明で溶液状態とは、下記組成を有する溶液を意
味する。 ラクテートデヒドロゲナーゼ(所望により使用)500〜2000U/l 耐熱性MAD 500〜5000U/l L−アスパラギン酸 150〜250mmol/l α−ケトグルタル酸 10〜40mmol/l NADH 0.1〜0.25mmol/l 緩衝物質(pH7.0〜8.0) 0.05〜0.1mmol/l また本発明でいう残存活性とは、上記溶液を特定温度下
で10日間保存した後のマレートデヒドロゲナーゼの活
性を測定し、保存前のMAD 活性(100%)に対する保存後の
MAD の活性の割合(%) を残存活性という。
【0019】マレートデヒドロゲナーゼの活性は以下の
方法により測定する。下記反応混液をキュベット(d=
1.0cm)に調整し、25℃で約5分間予備加温す
る。 2.8ml 0.1M K−リン酸緩衝液(pH7.
5) 0.1ml 15mM オキザロ酢酸溶液(K−リン酸
緩衝液に溶解) 0.1ml 6.0mM NADH水溶液 この反応混液に前述の耐熱性MAD 含有溶液0.05ml
を添加し、ゆるやかに混和後、その混合液の340nm
における吸光度変化を、25℃の下、水をコントロール
として分光光度計を用いて3〜4分記録し、その初期直
線部分から1分間当たりの吸光度変化を求める(ΔOD
test)。盲検は耐熱性MAD 含有溶液の代わりにK−
リン酸緩衝液(pH7.5) を0.05ml加え、上記同様の
操作を行って1分間当たりの吸光度変化を求める(ΔO
Dblank)。耐熱性MAD 1U(単位)は上記条件下
で1分間に1マイクロモルのNADHを酸化するに必要
な酵素量とする。
【0020】本発明の耐熱性MAD は、少なくとも前述の
性質を有していれば、その起源は特に限定されない。好
ましくはバチルス・ステアロサーモフィラスATCC 12016
菌が生産する耐熱性MAD 、より好ましくはATCC12016 菌
が生産する耐熱性MAD よりも熱安定性に優れ、かつ比活
性の高いバチルス属細菌由来の耐熱性MAD をコードする
遺伝子を担持する形質転換体より生産される耐熱性MAD
である。
【0021】耐熱性MAD をコードする遺伝子を担持する
形質転換体は、該遺伝子を発現し得、耐熱性MAD を生産
する能力を有するものであれば、特に限定されるもので
はない。好ましくは大腸菌あるいは枯草菌属に由来する
ものであり、より好ましくはE.coli W3110, E.coli C60
0, E.coli JM109, バチルス・ズブチリス MI113あるい
はバチルス・ズブチリス MT-2 などが挙げられる。
【0022】形質転換体が担持する耐熱性MAD をコード
する遺伝子は、バチルス属細菌から常法により抽出単離
されたものであっても、また化学合成によるものでもよ
い。また耐熱性MAD をコードするものであれば、天然型
あるいは非天然型を問わず、例えばバチルス属細菌由来
の天然型DNA配列の一部が突然変異によって変化した
ものであってもよい。好ましくは配列表・配列番号1に
記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝
子であり、より好ましくは配列表・配列番号2に記載の
塩基配列を有する遺伝子である。
【0023】また、本発明の耐熱性MAD は、下記性質を
有することが好ましい。 作用:以下の反応を可逆的に触媒する。
【0024】
【化5】
【0025】基質特異性:L−リンゴ酸を特異的に酸
化、またはオキザロ酢酸を特異的に還元する。 至適温度:70℃ 至適pH:pH 8.0 熱安定性:70℃以下 pH安定性:pH 3.0〜9.0 等電点:4.8 分子量:140,000(ゲル濾過)、38,000
(SDS−PAGE) Km値:4.3×10-6 M(オキザロ酢酸)
【0026】本発明の耐熱性MAD を取得する方法は特に
限定されない。例えばバチルス・ステアロサーモフィラ
スATCC12016菌体または耐熱性MAD をコードす
る遺伝子を担持する形質転換体を常法に従い、培養し、
培養物から生産した耐熱性MAD を採取する方法、または
化学合成する方法のいずれも用いることができる。
【0027】以下、一例としてバチルス・ステアロサー
モフィラスATCC12016菌体から、本発明の耐熱
性MAD を取得する方法を挙げる。当該菌体を培養するの
に用いられる培地として、炭素源、窒素源、無機イオン
更に必要に応じて硝酸塩、リン酸塩などを含有する物が
挙げられる。炭素源としてはグルコース、フラクトース
のような単糖類からデキストリン、可溶性澱粉のような
高分子多糖類まで用いることができる。窒素源としては
ポリペプトン、トリプトン、肉エキス、酵母エキスなど
が利用できる。該菌体を培養するにあたり特に誘導物質
等の添加は必要なく、好気条件下にて、該菌株の最も良
好に生育する温度にて培養し、マレートデヒドロゲナー
ゼの生産量が最大になる時点まで行う。
【0028】培養した菌体よりマレートデヒドロゲナー
ゼを精製するには、以下のような方法が用いられる。培
養液より遠心分離にて菌体を回収し、次いで菌体を破砕
することによりマレートデヒドロゲナーゼを抽出する。
菌体破砕方法としては、例えばリゾチームのような細胞
壁溶解酵素による処理や、超音波破砕、ガラスビーズ破
砕、フレンチプレス破砕のような物理的処理を用いるこ
とができる。このようにして得られた溶菌物をポリエチ
レンイミン処理により除核酸処理を行った後、硫安沈澱
分画によりマレートデヒドロゲナーゼ画分を回収する。
このようにして得られたマレートデヒドロゲナーゼ画分
はG−25ゲル濾過により脱塩した後、DEAE Se
pharoseCL−6Bカラムクロマト(ファルマシ
アLKB)→Phenyl SepharoseCL−
6Bカラムクロマト(ファルマシアLKB)→TSKゲ
ルG−3000SWゲル濾過(東洋曹達)→MonoP
HR5/5クロマトフォーカシング(ファルマシアL
KB)により高純度に精製することができる。この精製
標品は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SD
S−PAGE)で単一バンドになっている。尚、カラム
クロマトグラフィーの組み合わせは上記ステップに限定
する必要はないものの、電気泳動的に単一バンドにする
には数段階のカラムクロマトグラフィーの操作が必要で
ある。
【0029】本発明のDNA断片は前述の性質を有する
耐熱性MAD 活性を有する蛋白質をコードする塩基配列を
有するものであれば特に限定されない。例えば配列表・
配列番号1に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列
を含有するDNA断片、配列表・配列番号2に記載の塩
基配列を含有するDNA断片などが挙げられる。また前
述の性質を有する蛋白質をコードするものであれば、塩
基配列の一部が突然変異などにより変化(削除、置換、
付加、修飾など)したDNA断片であってもよい。本発
明のDNA断片は、バチルス属細菌、好適にはバチルス
・ステアロサーモフィラス、より好適にはバチルス・ス
テアローモフィラスATCC12016菌体から常法に
より抽出、単離されたものでも、また常法により化学合
成されたものでもよい。
【0030】例えばバチルス属細菌から、本発明のDN
Aを調製する方法としては、以下の方法が例示される。
まず、バチルス属細菌、好ましくはバチルス・ステアロ
サーモフィラスATCC12016の染色体DNAを分
離・精製する。その後、超音波、制限酵素などを用いて
該DNAを切断し、得られたDNAとリニヤーな発現用
ベクターとを両DNAの平滑末端または接着末端部にお
いてDNAリガーゼなどにより結合閉環させて組換えベ
クターを作成する。こうして得られた組換えベクターを
複製可能な宿主微生物に移入して、遺伝子ライブラリー
を作成する。この遺伝子ライブラリーから、ベクターの
マーカーと耐熱性MAD 活性とを指標として耐熱性MAD を
コードするDNAをもつ微生物(供与微生物)を得る。
次に得られた供与微生物を例えば液体培地で約1〜3日
間通気撹拌培養し、得られる培養物を遠心分離して集菌
し、次いでこれを溶菌させることによって耐熱性MAD 遺
伝子の含有溶菌物を調製することができる。溶菌方法と
しては、例えばリゾチームやβ−グルカナーゼなどの溶
菌酵素により処理が施され、必要に応じてプロテアーゼ
や他の酵素やラウリル硫酸ナトリウム(SDS)などの
界面活性剤が併用され、更に物理的破砕方法である凍結
融解やフレンチプレス処理を上述の溶菌方法と組み合わ
せても良い。
【0031】次いで得られた溶菌物から常法に従って例
えばフェノール抽出による除蛋白処理、プロテアーゼ処
理、リボヌクレアーゼ処理、アルコール沈澱遠心分離な
どの方法を適宜組み合わせることによりDNAを単離、
精製する。得られたDNAを例えば超音波処理、制限酵
素処理、好ましくII型制限酵素処理することにより、本
発明のDNA断片を調製する。
【0032】本発明の組換えベクターは、前述の本発明
のDNA断片を含有するものであり、好ましくは大腸菌
内またはバチルス・ズブチリス内で自律増殖可能である
ことを特徴とするものである。本発明の組換えベクター
は、宿主細胞(例えば大腸菌、バチルス・ズブチリス)
に、耐熱性MAD をコードする遺伝子を発現させ、耐熱性
MAD を生産させる機能を与える発現ベクターであること
が好ましい。当該組換えベクターは、本発明のDNA断
片を発現用ベクターに組み込むことにより調製すること
ができる。用いられる発現用ベクターとしては、宿主微
生物内で自律的に増殖し得るファージまたはプラスミド
から遺伝子組換え用として構築された物が適している。
ファージとしては、例えばエシェリヒア・コリーを宿主
微生物とする場合には、λgt・10,λgt・11な
どが使用できる。また、プラスミドとしては、例えばエ
シェリヒア・コリーを宿主微生物とする場合には、pB
R322,pUC19などが使用できる。バチルス・ズ
ブチリスを宿主微生物とする場合には、pUB110,
pC194などが使用できる。更にエシェリヒア・コリ
ーおよびバチルス・ズブチリスなどのグラム陰性,陽性
にまたがる二種以上の宿主微生物で自立増殖可能なシャ
トルベクター、例えばpHY300PLKなども利用す
ることができる。このような発現用ベクターを先に述べ
た耐熱性MAD 遺伝子供与体である微生物DNAの切断に
使用した制限酵素と同じ制限酵素で切断して、ベクター
断片を得ることが望ましい。本発明のDNA断片を当該
ベクター断片と結合させる方法は、公知のDNAリガー
ゼを用いる方法で有れば良く、例えば本発明のDNA断
片の接着末端とベクター断片の接着末端とのアニーリン
グの後、適当なDNAリガーゼの使用により、本発明の
DNA断片とベクター断片との組換えベクターを作成す
る。必要ならば、アニーリングの後、宿主微生物に移入
して生体内のDNAリガーゼを利用し、組換えベクター
を作成することもできる。
【0033】本発明の形質転換体は、前述の組換えベク
ターを担持するものであり、宿主微生物に常法により、
該組換えベクターを移入することにより調製することが
できる。宿主微生物としては、本発明の組換えベクター
が安定且つ自律的に増殖可能で、且つ外来性遺伝子の形
質発現できる物で有れば良く、例えばエシェリヒア・コ
リーW3110、エシェリヒア・コリーC600、エシ
ェリヒア・コリーJM109、バチルス・ズブチリスM
I113、バチルス・ズブチリスMT−2などが挙げら
れる。
【0034】宿主微生物に組換えベクターを移入する方
法としては、例えば宿主微生物がエシェリヒア・コリー
属に属する微生物の場合には、カルシウムイオン存在下
で組換えDNAの移入を行い、またバチルス属に属する
微生物の場合には、コンピテントセル法[J.Mol.Biol.,5
6,209(1971)]またはプロトプラスト法[Mol.Gen.Genet,1
68,111(1979)] などを採用することができ、更にエレク
トロポレーション[Cell,48,813-825(1987)] を用いても
良い。こうして得られた形質転換体である微生物は、栄
養培地で培養されることにより、多量の耐熱性MAD を安
定に生産し得ることを見いだした。宿主微生物への目的
組換えベクター移入の有無についての選択は、目的とす
るDNAを保持するベクターの薬剤耐性マーカーと耐熱
性MAD とを同時に発現する微生物を検索すれば良く、例
えば薬剤耐性マーカーに基づく選択培地で生育し、且つ
耐熱性MAD を生成する微生物を選択すれば良い。なお、
本発明の耐熱性MAD 遺伝子を含有する形質転換体は、宿
主微生物由来のマレートデヒドロゲナーゼと区別するた
め、培養菌体を破砕した後、65℃30分間加熱処理
し、宿主由来のマレートデヒドロゲナーゼを完全に失活
させた後、マレートデヒドロゲナーゼ活性を測定するこ
とにより選択することができる。
【0035】なお、一度、選択された本発明の耐熱性MA
D 遺伝子を担持する組換えベクターは、形質転換体から
取り出され、他の微生物に移入することも容易に実施で
きる。また本発明の耐熱性MAD 遺伝子を保持する組換え
ベクターから制限酵素などにより耐熱性MAD 遺伝子であ
るDNAを切り出し、これを同様な方法により切断して
得られるベクター断片とを結合させて、宿主微生物に移
入する事も容易に実施できる。
【0036】本発明の耐熱性MAD の製造法は、前述した
本発明の形質転換体を培養することによって実施され
る。用いられる培養形態は、宿主の栄養生理的性質を考
慮して培養条件を選択すれば良く、通常多くの場合は液
体培養で行うが、工業的には通気撹拌培養を行うのが有
利である。培地の炭素源としては、形質転換体の培養に
通常用いられる物が広く使用され得る。宿主微生物が資
化可能な炭素源であれば良く、例えばグルコース、シュ
ークロース、ラクトース、マルトース、フラクトース、
糖蜜、ピルビン酸などが使用できる。窒素源としては、
宿主微生物が利用可能な窒素化合物で有れば良く、例え
ばペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解
物、大豆粕アルカリ抽出物のような有機窒素化合物や硫
安、塩安の様な無機窒素化合物が使用できる。その他、
リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウ
ム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定の
アミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用でき
る。
【0037】培養温度は宿主微生物が発育し、耐熱性MA
D を生産する範囲で適宜変更し得るが、エシェリヒア・
コリーの場合、好ましくは20〜42℃程度である。培
養時間は条件によって多少変動するが、耐熱性MAD が最
高収量に達する時期を見計らって適当時期に培養を終了
すれば良く、通常は20〜48時間程度である。培地p
Hは宿主微生物が発育しマレートデヒドロゲナーゼを生
産する範囲で適宜変更し得るが、特に好ましくはpH
6.0〜9.0程度である。培養液より菌体を回収する
方法は、通常用いられる方法により行えば良く、例えば
遠心分離、濾過などによって回収することができる。培
養液中の耐熱性MADが菌体外に分泌される場合は、この
菌体分離液を用いれば良く、以下の菌体破砕後の方法に
準じて耐熱性MAD を分離精製できる。
【0038】耐熱性MAD が菌体内に存在する場合前述し
たような酵素的または物理的な破砕方法により破砕抽出
することができる。このようにして得られた耐熱性MAD
含有溶液を耐熱性MAD が失活せず且つ宿主由来のマレー
トデヒドロゲナーゼが失活するような温度で加熱処理す
る事により、例えば65℃30分処理により宿主由来の
マレートデヒドロゲナーゼを除去する。次いで、親水性
ポリマー処理、例えばポリエチレンイミン処理により除
核酸を行い、硫安沈澱により耐熱性MAD 画分を回収す
る。次いで回収した耐熱性MAD 液を、耐熱性MAD が失活
しない条件での長時間の加熱処理、例えば60℃16時
間処理により宿主由来の夾雑蛋白質を変性させ不溶性蛋
白質として除去できる。不溶性蛋白質の除去方法として
は通常用いられる方法を用いることができ、例えば遠心
分離や濾過などにより除去することができる。
【0039】この耐熱性MAD 液から通常用いられる方
法、例えば半透膜を用いた透析やSephadex G
−25(ファルマシアLKB)ゲル濾過等により脱塩を
行うことができる。この操作の後、耐熱性MAD 溶液を酸
溶液、例えば酢酸にてpHを4.0に調製し、イオン交
換クロマトグラフィー等のカラムクロマトグラフィー、
好ましくはCM−SepharoseCLー6B(ファ
ルマシアLKB)により分離精製し、精製耐熱性MAD 標
品を得ることができる。この精製耐熱性MAD 標品は、S
DS−PAGEで単一バンドになっている。
【0040】本発明の製造法により得られる耐熱性MAD
は、40℃において10日間溶液状態で保存した後の残
存活性が少なくとも60%、好ましくは70%、さらに
好ましくは80%、特に好ましくは90%であるという
性質を有する。また以下に示す性質を有することが好ま
しい。 作用:以下の反応を可逆的に触媒する。
【0041】
【化6】
【0042】基質特異性:L−リンゴ酸を特異的に酸
化、またはオキザロ酢酸を特異的に還元する。 至適温度:70℃ 至適pH:pH 8.0 熱安定性:70℃以下 pH安定性:pH 3.0〜9.0 等電点:4.8 分子量:140,000(ゲル濾過)、38,000
(SDS−PAGE) Km値:4.3×10-6 M(オキザロ酢酸)
【0043】該酵素はバチルス・ステアロサーモフィラ
スATCC12016が産生する酵素と熱安定性及び比
活性の点において異なっている。すなわち、バチルス・
ステアロサーモフィラスATCC12016が産生する
酵素は、熱安定性が65℃以下、比活性103U/mg
−蛋白質であるのに対し、本発明の耐熱性NAD 活性を有
する蛋白質は、熱安定性が70℃以下、比活性が203
U/mg−蛋白質である。
【0044】本発明のGOT測定用試薬は、前述の本発
明の耐熱性MAD を用いることを特徴とし、長期保存性に
優れた試薬である。すなわち本発明のGOT活性測定用
試薬は、NADH、α−ケトグルタル酸、L−アスパラ
ギン酸、本発明のマレートデヒドロゲナーゼおよび必要
によりラクテートデヒドロゲナーゼを含有する。ここで
ラクテートデヒドロゲナーゼは直接にGOT活性測定反
応に関与する試薬ではない。しかしGOT反応で生成す
るオキザロ酢酸をは不安定であり、自然分解的に脱炭酸
分解してビルビン酸を生成するため、正確なNAD+
換速度(GOT活性値)が求められないのである(特開
昭57-39799号公報、特開昭57-53298号公報、特開昭59-1
75898 号公報参照) 。したがって、オキザロ酢酸から自
然分解的に脱炭酸して得られたピルビン酸の影響を回避
するために、ラクテートデヒドロゲナーゼを添加するこ
と望ましい。また、体液中のピルビン酸の影響を回避す
るためにも試薬中へラクテートデヒドロゲナーゼを添加
することが望ましい。本発明に使用するラクテートデヒ
ドロゲナーゼは40℃において10日間溶液状態で保存
した後の残存活性が少なくとも60%であるものであれ
ば、いかなる起源のものを用いても良い。例えばウシ心
臓、ブタ心臓などの動物臓器由来のものや乳酸菌由来の
ものが挙げられるが、特に好ましくは安定性等において
優れている乳酸菌由来のものがある。
【0045】本発明のGOT測定用試薬は一液であって
も、二液であってもよい。二液としては、NADH、本
発明の耐熱性MAD 、必要によりラクテートデヒドロゲナ
ーゼ、α−ケトグルタル酸、またはL−アスパラギン酸
を含有する第一試薬、およびα−ケトグルタル酸または
L−アスパラギン酸を含む第二試薬からなるものが挙げ
られる。
【0046】本発明の試薬組成としては、下記組成が好
適に例示される。なお、第一試薬と第二試薬を混和した
後の組成をモル濃度または酵素活性値で示す。 ラクテートデヒドロゲナーゼ 500〜2000U/l 本発明の耐熱性MAD 500〜5000U/l L−アスパラギン酸 150〜250mmol/l α−ケトグルタル酸 10〜40mmol/l NADH 0.1〜0.25mmol/l 緩衝物質 0.05〜0.1mol/l
【0047】緩衝物質としてはトリス塩酸、ナトリウム
リン酸、カリウムリン酸およびGOODの緩衝物質が望
ましい。本発明の試薬はpH7.0〜8.0であること
が好ましい。
【0048】本発明のGOT活性測定法は、前述の本発
明のGOT活性測定用試薬を用いて行うことを特徴とす
る。すなわち本発明のGOT活性測定法は試料、すなわ
ちGOT測定被験物と、本発明のGOT活性測定用試薬
とを反応させ、試薬中のNADHがNAD+ に変換する
速度を340nmにおける吸光度の減縮により求める方
法である。
【0049】一般に検体1リットル当たりのGOT活性
単位は次のように求める。
【0050】
【化7】
【0051】なお、GOT1U(国際単位)は、30℃
で1分間に1マイクロモルのNADHを消費する酵素量
として定義される。
【0052】
【発明の効果】本発明の酵素は40℃において10日間
溶液状態で保存した後の残存活性が少なくとも60%で
ある新規な耐熱性MAD である。本発明により耐熱性MAD
遺伝子の塩基配列及びそのアミノ酸配列が明かとなり、
工業的に大量生産ができるようになった。また、本発明
の製法により、野生株(ATCC12016) により生産された耐
熱性MADより高純度であり、かつ熱安定性に優れた耐熱
性MAD を製造することが可能となった。さらに本発明で
は40℃において10日間溶液状態で保存した後の残存
活性が少なくとも60%である耐熱性MAD を使用するこ
とにより、長期保存性に優れたGOT測定用試薬が得ら
れる。液状化試薬が広まりつつある現在、このように液
状で安定な試薬は、用時調製という手間が省けるなど非
常に有用である。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。実施例1〜6において、耐熱性マレートデヒドロゲ
ナーゼの活性測定は以下のようにして行った。すなわ
ち、97mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)、
0.49mMオキザロ酢酸、0.2mM NADH中で
酵素を25℃3〜4分間反応させ、340nmにおける
吸光度を測定する。酵素活性の1単位は、この条件下で
1分間あたり1マイクロモルのNADHを酸化する酵素
量とした。
【0054】実施例1 バチルス・ステアロサーモフィ
ラスATCC12016株からの耐熱性MAD の精製 耐熱性MAD 生産菌、バチルス・ステアロサーモフィラス
ATCC12016を10lジャーファーメンターで培
養した。培地組成は1%酢酸ナトリウムを含んだLB
(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%N
aCl、pH7.4)培地であり、50℃,26時間通
気撹拌培養した。この時の生産性は約1.2U/mlで
あった。得られた培養液5.2lより遠心分離により約
30gの菌体を分離した。この菌体を50mMリン酸カ
リウム緩衝液、pH7.5に懸濁し、リゾチウム処理に
より破砕して約2lの菌体破砕液を得た。この時のマレ
ートデヒドロゲナーゼ活性は約3.1U/mlであっ
た。菌体破砕液をポリエチレンイミン処理による除核酸
し、次いで硫安沈澱によりマレートデヒドロゲナーゼ画
分を回収し、50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.
5にて再懸濁を行った。この時の比活性は0.16U/
mg−蛋白質であった。
【0055】硫安沈澱再懸濁液はSephadex G
−25(ファルマシアLKB)で脱塩を行った。脱塩液
は、50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5で緩衝
化したDEAE SepharoseCL−6B(ファ
ルマシアLKB)カラムクロマトグラフィーに供し、
0.15M〜0.35MNaClグラジェントにて溶出
した。次いで0.15飽和度の硫安を含んだ50mMリ
ン酸カリウム緩衝液、pH7.5にて緩衝化したPhe
nyl SepharoseCL−6B(ファルマシア
LKB)カラムクロマトグラフィーに供し、0.15〜
0.0飽和度硫安にて洗浄し、0〜50%エチレングリ
コールにて溶出した。次いでこの酵素液を0.2MNa
Clを含んだ50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.
5にて緩衝化したTSKgelG−3000SW(徳山
曹達)ゲル濾過に供した。更にこの酵素液をMonoP
HR5/5クロマトフォーカシング(ファルマシアL
KB)に供しpH6.0〜4.5のpH勾配により溶出
した。本方法により得られたマレートデヒドロゲナーゼ
標品は、SDS−PAGE的に均一なバンドを示し、こ
の時の比活性は108.0U/mg−蛋白質であった。
表1にこれまでの精製のまとめを示す。また表2に上記
方法により得られた耐熱性MAD の理化学的性質を示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】実施例2 染色体DNAの分離 バチルス・ステアロサーモフィラスATCC12016
の染色体DNAを次の方法で分離した。同菌株を150
mlの普通ブイヨン培地で60℃一晩振盪培養後、遠心
分離(8000rpm,10分間)により集菌した。1
0%シュークロース、50mMトリス塩酸(pH8.
0)、50mMEDTAを含んだ溶液5mlに懸濁さ
せ、1mlのリゾチーム溶液(10mg/ml)を加え
て37℃、15分間保温し、次いで1mlの10%SD
S溶液を加えた。この溶液に等量のクロロホルム・フェ
ノール溶液(1:1)を加え、撹拌混合し、10,00
0rpm,3分間の遠心で水層と溶媒層にわけ、水層を
分取した。この水層に2倍量のエタノールを静かに重層
し、ガラス棒でゆっくり撹拌しながらDNAをガラス棒
に巻きつかせて分離した。これを1mMEDTAを含ん
だ10mMトリス塩酸、pH8.0溶液(以下TEと略
記)で溶解した。これを等量のクロロホルム・フェノー
ル溶液で処理後遠心分離により水層を分取し、2倍量の
エタノールを加えて、上記の方法で、もう一度DNAを
分離し、2mlのTEで溶解した。エシェリヒア・コリ
ーJM109のコンピテントセルはHanahanの方
法により作成し、ライブラリー作成の宿主とした。
【0059】実施例3 耐熱性MAD をコードする遺伝子を含有するDNA断片及
び該DNA断片を有する組換えベクターの調製 実施例2で得たDNA1μgを制限酵素Sau3AI
(東洋紡製)で部分分解反応させ、2kbp以上の断片
に分解した後、SalI(東洋紡製)で切断したpUC
19 0.5μgとM.G.LoftusらのBACK
FILLING法(Biotechniques Vo
l.12,No.2(1992))に従いT4DNAリ
ガーゼ(東洋紡製)1ユニットで16℃、12時間反応
させ、DNAを連結した。連結したDNAはエシェリヒ
ア・コリーJM109のコンピテントセルを用いて形質
転換した。使用したDNA1μg当たり約1×106
の形質転換体のコロニーが得られた。次いで、得られた
コロニーは50μg/mlアンピシリンを含んだLB培
地5ml(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、
0.5%塩化ナトリウム)で37℃18時間培養し、遠
心分離(12,000rpm、3分間)により菌体を回
収し、耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する形
質転換体をスクリーニングした。すなわち、回収した菌
体を1mlの0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.
5)に懸濁後、ガラスビーズにより菌体を破砕した。菌
体破砕後、遠心分離(12,000rpm,5分間)に
より菌体残渣を除去し粗酵素液とし、本粗酵素液を65
℃30分間加熱処理後マレートデヒドロゲナーゼ活性を
測定した。その結果、約10,000個のコロニーをス
クリーニングした結果、1株耐熱性MAD を生産する株を
見いだした。この株が保有するプラスミドには約1.9
kbpの挿入DNA断片が存在しており、このプラスミ
ドをpMDH1とした。このpMDH1の挿入DNA制
限酵素地図を図1に示した。
【0060】実施例4 塩基配列の決定 pMDH1の約1.9kbpの挿入DNA断片について
種々の制限酵素で切断してサブクローンを調製した。種
々のサブクローンは常法に従い、Chemilumin
escentDNA Sequencing kit
(東洋紡製)を用いて塩基配列を決定した。決定した塩
基配列及びアミノ酸配列を配列表に示した。アミノ酸配
列から求められる蛋白質の分子量は約35,500であ
り、バシラス・ステアロサーモフィラスATCC120
16のマレートデヒドロゲナーゼの分子量(約38,0
00)とほぼ一致した。
【0061】実施例5 エシェリヒア・コリー形質転換
体の作成 pMDH1でエシェリヒア・コリーJM109のコンピ
テントセルを形質転換し、形質転換体JM109(pM
DH1)を得た。
【0062】実施例6 耐熱性MAD の製造 前記のLB培地6lを10lジャーファーメンターに分
注し、121℃、15分間オートクレーブを行い、放冷
後別途無菌濾過した50mg/mlアンピシリン(ナカ
ライテスク製)及び200mM IPTG(日本精化
製)をそれぞれ6ml添加した。この培地に上記と同一
の組成の培地で予め37℃で18時間振盪培養したエシ
ェリヒア・コリーJM109(pMDH1)の培養液6
0mlを接種し、37℃で19時間通気撹拌培養した。
培養終了後の耐熱性MAD 活性は7.7U/mlであっ
た。培養液6lを遠心分離にて集菌し、280mlの5
0mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.5に懸濁し、常
法によりダイノミル破砕機(WAB社製、スイス)で破
砕した後8,000rpmで20分間遠心分離して耐熱
性MAD 粗酵素液を得た。このようにして得た粗酵素液を
65℃、30分間加熱処理をし宿主由来のマレートデヒ
ドロゲナーゼを失活せしめた後、ポリエチレンイミンを
用いて除核酸処理を実施した。次いで硫安沈澱により耐
熱性MAD 画分を回収し、上記緩衝液にて16mlに再懸
濁した。この再懸濁液を60℃16時間の加熱処理を行
った。加温処理後、Sephadex G−25で脱塩
を行った。脱塩された酵素液は、酢酸によりpHを4.
0に調製し、CM Sepharose CL−6B
(ファルマシアLKB)に供して精製マレートデヒドロ
ゲナーゼ標品を得た。CMSepharose CL−
6Bクロマトグラフィー後の耐熱性マレートデヒドロゲ
ナーゼ標品は、SDS−PAGEで単一バンドであり、
活性回収率は49%であった。表3に形質転換体からの
精製のまとめを示す。また、表4に上記方法によって得
られた耐熱性MAD の理化学的性質を示す。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】表1と表3を比較すれば、本発明の耐熱性
MAD の製造方法では野生株であるバチルス・ステアロサ
ーモフィラスATCC12016から精製した酵素に比
べより高純度の酵素を大量に調製できることが判る。ま
た表2と表4を比較すれば、本発明によって得られる耐
熱性MAD は野生株であるバシラス・ステアロサーモフィ
ラスATCC12016株由来のマレートデヒドロゲナ
ーゼに比べより熱安定性に優れた酵素であることが判
る。
【0066】実施例7 エシェリヒア・コリーJM10
9(pMDH1)由来の耐熱性MAD を用いたGOT測定
用試薬の調製 GOT活性測定用試薬として下記の溶液を作製した。 ラクテートデヒドロゲナーゼ 500U/l 耐熱性MAD 1000U/l L−アスパラギン酸 200mmol/l α−ケトグルタル酸 10mmol/l NADH 0.16mmol/l トリス塩酸緩衝液(pH7.5) 80mmol/l
【0067】耐熱性MAD はエシェリヒア・コリーJM1
09(pMDH1)より実施例6の方法により調製し
た。上記試薬を40℃で保存して、1、2、4、7、1
0、14、21、32日目に残存マレートデヒドロゲナ
ーゼ活性を測定した。結果は図2の○で示す通りであっ
て、1日間保存で99%、2日間保存で97%、4日間
保存で95%、7日間保存で94%、10日間保存で9
2%、14日間保存で91%、21日間保存で81%、
32日間保存で74%の残存活性を有していた。
【0068】実施例8 IFCC法に準ずる市販のGO
T測定用試薬との相関関係 実施例6記載の耐熱性MADを用い、IFCC法に準ず
る下記組成のGOT測定用試薬を調製した。 トリス塩酸緩衝液(pH8.0) 80mM L−アスパラギン酸 240mM α−ケトグルタル酸 12mM NADH 0.18mM 耐熱性MAD 600U/l ラクテートデヒドロゲナーゼ 900U/l上記組成のGOT測定用試薬とIFCC法に準ずる市販
のGOT測定用試薬(ベーリンガー・マンハイム社製)
との相関関係を見た。結果は図3に示す通りであって、
良好な相関関係が得られた。
【0069】比較例1 バチルス・ステアロサーモフィ
ラスATCC12016由来のマレートデヒドロゲナー
ゼを用いたGOT測定用試薬の調製 GOT測定用試薬として実施例1の組成の溶液を調製し
た。但しマレートデヒドロゲナーゼとしてバチルス・ス
テアロサーモフィラスATCC12016より実施例1
の方法により調製した酵素を用いた。上記試薬を40℃
で保存して、1、2、4、7、10、14、21、32
日目に残存マレートデヒドロゲナーゼ活性を測定した。
結果は図2の●で示す通りであって、1日間保存で99
%、2日間保存で97%、4日間保存で93%、7日間
保存で90%、10日間保存で80%、14日間保存で
72%、21日間保存で63%、32日間保存で45%
の残存活性を有していた。
【0070】比較例2 豚心臓由来のマレートデヒドロ
ゲナーゼを用いたGOT測定用試薬の調製 GOT測定用試薬として実施例1の組成の溶液を調製し
た。但しマレートデヒドロゲナーゼとして市販の豚心臓
由来の酵素を用いた。 上記試薬を40℃で保存して、1、2、4、7、10、
14、21、32日目に残存マレートデヒドロゲナーゼ
活性を測定した。結果は図2の▲で示す通りであって、
1日間保存で17%、2日間保存で2%、4日間保存で
1%、7日間保存で1%、10日間保存で0%、14日
間保存で0%、21日間保存で0%、32日間保存で0
%の残存活性を有していた。
【0071】比較例3 サーマス属由来のマレートデヒ
ドロゲナーゼを用いたGOT測定用試薬の調製 GOT測定用試薬として実施例1の組成の溶液を作製し
た。但しマレートデヒドロゲナーゼとして市販のサーマ
ス由来の酵素を用いた。上記試薬を40℃で保存して、
1、2、4、7、10、14、21、32日目に残存マ
レートデヒドロゲナーゼ活性を測定した。結果は図2の
□で示す通りであって、1日間保存で99%、2日間保
存で97%、4日間保存で92%、7日間保存で87
%、10日間保存で75%、14日間保存で66%、2
1日間保存で45%、32日間保存で31%の残存活性
を有していた。上記のようにバチルス属細菌由来の遺伝
子を導入された組換え体により生産されるマレートデヒ
ドロゲナーゼのGOT測定用試薬中での安定性が示され
た。
【0072】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:329 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:蛋白質 起源 生物名:バシラス・ステアロサーモフィラス 株名:ATCC12016 配列の特徴 他の情報:マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白
質 配列 Met Ala Met Lys Arg Lys Lys Ile Ser Val Ile Gly Ala Gly Phe Thr 1 5 10 15 Gly Ala Thr Thr Ala Phe Leu Leu Ala Gln Lys Glu Leu Gly Asp Val 20 25 30 Val Leu Val Asp Ile Pro Gln Leu Glu Asn Pro Thr Lys Gly Lys Ala 35 40 45 Leu Asp Met Leu Glu Ala Ser Pro Val Leu Gly Phe Asp Ala Asn Ile 50 55 60 Ile Gly Thr Ser Asp Tyr Ala Asp Thr Ala Asp Ser Asp Ile Val Val 65 70 75 80 Ile Thr Ala Gly Ile Ala Arg Lys Pro Gly Met Ser Arg Asp Asp Leu 85 90 95 Val Thr Thr Asn Gln Lys Ile Met Lys Gln Val Thr Lys Glu Val Val 100 105 110 Lys Tyr Ser Pro Asn Cys Tyr Ile Ile Val Leu Thr Asn Pro Val Asp 115 120 125 Ala Met Thr Tyr Thr Val Phe Lys Glu Ser Gly Phe Pro Lys Asn Arg 130 135 140 Val Ile Gly Gln Ser Gly Val Leu Asp Thr Ala Arg Phe Arg Thr Phe 145 150 155 160 Val Ala Glu Glu Leu Asn Ile Ser Val Lys Asp Val Thr Gly Phe Val 165 170 175 Leu Gly Gly His Gly Asp Asp Met Var Pro Leu Val Arg Tyr Ser Tyr 180 185 190 Ala Gly Gly Ile Pro Leu Glu Lys Leu Ile Pro Lys Asp Arg Leu Asp 195 200 205 Ala Ile Val Glu Arg Thr Arg Lys Gly Gly Gly Glu Ile Val Asn Leu 210 215 220 Leu Gly Asn Gly Ser Ala Tyr Tyr Ala Pro Ala Ala Ser Leu Val Glu 225 230 235 240 Met Val Glu Ala Ile Leu Lys Asp Gln Arg Arg Ile Leu Pro Ala Ile 245 250 255 Ala Tyr Leu Glu Gly Glu Tyr Gly Tyr Glu Gly Ile Tyr Leu Gly Val 260 265 270 Pro Thr Ile Leu Gly Gly Asn Gly Ile Glu Lys Val Ile Glu Leu Glu 275 280 285 Leu Thr Glu Glu Glu Lys Ala Arg Ser Pro Asn Pro Ser Asn Pro Leu 290 295 300 Lys Met Ser Cys Ala Cys Trp Asn Ser Gly Glu Ala Lys Ile Arg Ala 305 310 315 320 Leu Pro Gly Phe Leu Ser His Ser Gln 325 329
【0073】配列番号:2 配列の長さ:1912 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomic DNA 起源: 生物名:バシラス・ステアロサーモフィラス 株名:ATCC12016 配列 AATCAACTAC GCGATTGAAC ACGGCCGCAA GTCGGTGACG CTCGTTCATA AAGGAAACAT 60 TATGAAATTC ACCGAAGGCG CGTTTAAAAA CTGGGGTTAT GAATTGGCGG AGGAAGAATT 120 CGCCGACAAA GTGTTCACGT GGGCGCAATA CGACCGAATC GTTGAAACGG AAGGCAAGGA 180 AGCGGCGAAC AAAGCGCTTG CTGATGCGGA ACGGTCCGGC AAAATCATTA TCAAAGATGT 240 CATCGCCGAC ATCTTCCTGC AACAAATTTT GACGCGTCGC GCGAATTTGA CGTCATCGCG 300 ACGATGAACT TAAACGGCGA CTACATTTCC GACGCGCTGG CCGCTCAAGT CGGCGGCATC 360 GGCATCGCGC CGGGGGCCAA CATCAACTAC GAAACCGGCC ACGCGATTTT CGAAGCGACG 420 CACGGCACGG CTGCCGAATA CGCAGGCTTG ACAAAGTCAC CGTCGTCCGT CATTCTCTCG 480 GCGTCATGAT GTTTGAGCAT CTTGGTTGGA ACGAAGCAGC GAAATTGATC ATCAAAGCGA 540 TGGAGAAAAC CATCGCCGCG AAAATCGTCA CGTATGACTT CGCCCGCCTG ATGGAAGGGG 600 CGACGGAAGT GAAATGCTCC GAATTTGCTG ATGCGCTCAT CCGCAATATG GACTAACCTT 660 TGAAGGAAAG GGATGGCAAA CG 682 ATG GCG ATG AAA CGG AAA AAA ATC TCG GTG ATC GGC GCC GGA TTC ACG 730 Met Ala Met Lys Arg Lys Lys Ile Ser Val Ile Gly Ala Gly Phe Thr 1 5 10 15 GGG GCG ACG ACG GCG TTC CTT TTG GCG CAA AAA GAG CTC GGC GAC GTC 778 Gly Ala Thr Thr Ala Phe Leu Leu Ala Gln Lys Glu Leu Gly Asp Val 20 25 30 GTG TTG GTC GAT ATT CCG CAG CTT GAG AAC CCA ACG AAA GGG AAG GCG 826 Val Leu Val Asp Ile Pro Gln Leu Glu Asn Pro Thr Lys Gly Lys Ala 35 40 45 CTC GAT ATG CTC GAG GCA AGC CCG GTG CTC GGC TTT GAC GCG AAT ATC 874 Leu Asp Met Leu Glu Ala Ser Pro Val Leu Gly Phe Asp Ala Asn Ile 50 55 60 ATC GGC ACA TCG GAT TAC GCT GAC ACA GCC GAT TCC GAC ATC GTC GTC 922 Ile Gly Thr Ser Asp Tyr Ala Asp Thr Ala Asp Ser Asp Ile Val Val 65 70 75 80 ATC ACA GCA GGC ATC GCC CGC AAG CCG GGC ATG AGC CGC GAC GAT TTG 970 Ile Thr Ala Gly Ile Ala Arg Lys Pro Gly Met Ser Arg Asp Asp Leu 85 90 95 GTG ACG ACG AAC CAA AAA ATT ATG AAG CAA GTG ACG AAG GAA GTC GTC 1018 Val Thr Thr Asn Gln Lys Ile Met Lys Gln Val Thr Lys Glu Val Val 100 105 110 AAA TAC TCG CCG AAC TGC TAC ATC ATC GTC TTG ACG AAC CCG GTC GAT 1066 Lys Tyr Ser Pro Asn Cys Tyr Ile Ile Val Leu Thr Asn Pro Val Asp 115 120 125 GCG ATG ACG TAT ACG GTC TTT AAG GAA TCC GGA TTC CCG AAA AAC CGC 1114 Ala Met Thr Tyr Thr Val Phe Lys Glu Ser Gly Phe Pro Lys Asn Arg 130 135 140 GTC ATC GGC CAG TCG GGC GTC TTG GAT ACG GCG CGC TTC CGC ACG TTC 1162 Val Ile Gly Gln Ser Gly Val Leu Asp Thr Ala Arg Phe Arg Thr Phe 145 150 155 160 GTC GCC GAG GAG CTG AAC ATT TCG GTA AAA GAT GTC ACT GGG TTT GTT 1210 Val Ala Glu Glu Leu Asn Ile Ser Val Lys Asp Val Thr Gly Phe Val 165 170 175 TTA GGC GGC CAT GGC GAT GAC ATG GTG CCG CTC GTC CGC TAC TCG TAC 1258 Leu Gly Gly His Gly Asp Asp Met Var Pro Leu Val Arg Tyr Ser Tyr 180 185 190 GCC GGC GGC ATT CCG CTC GAA AAA CTC ATT CCG AAA GAT CGT TTG GAC 1306 Ala Gly Gly Ile Pro Leu Glu Lys Leu Ile Pro Lys Asp Arg Leu Asp 195 200 205 GCC ATC GTT GAG CGG ACG CGC AAA GGC GGC GGT GAA ATC GTC AAC CTG 1354 Ala Ile Val Glu Arg Thr Arg Lys Gly Gly Gly Glu Ile Val Asn Leu 210 215 220 CTC GGC AAC GGC AGC GCC TAC TAC GCA CCG GCC GCC TCG CTT GTC GAA 1402 Leu Gly Asn Gly Ser Ala Tyr Tyr Ala Pro Ala Ala Ser Leu Val Glu 225 230 235 240 ATG GTC GAA GCG ATT TTG AAA GAC CAG CGC CGC ATT TTG CCG GCG ATC 1450 Met Val Glu Ala Ile Leu Lys Asp Gln Arg Arg Ile Leu Pro Ala Ile 245 250 255 GCC TAC CTT GAA GGC GAA TAC GGC TAT GAA GGC ATT TAT TTG GGC GTG 1498 Ala Tyr Leu Glu Gly Glu Tyr Gly Tyr Glu Gly Ile Tyr Leu Gly Val 260 265 270 CCG ACG ATC CTC GGC GGC AAC GGC ATC GAG AAA GTG ATC GAG CTC GAG 1546 Pro Thr Ile Leu Gly Gly Asn Gly Ile Glu Lys Val Ile Glu Leu Glu 275 280 285 CTG ACC GAA GAG GAA AAA GCG CGC TCG CCA AAT CCG TCG AAT CCG TTA 1594 Leu Thr Glu Glu Glu Lys Ala Arg Ser Pro Asn Pro Ser Asn Pro Leu 290 295 300 AAA ATG TCA TGC GCA TGC TGG AAT AGC GGC GAG GCA AAA ATT CGG GCA 1642 Lys Met Ser Cys Ala Cys Trp Asn Ser Gly Glu Ala Lys Ile Arg Ala 305 310 315 320 TTG CCC GGA TTT TTG TCC CAC AGT CAA 1669 Leu Pro Gly Phe Leu Ser His Ser Gln 325 329 TGAAAGCGCT TTCTAGACAA CGAAGGGGTG GGA ATGTT GAAAAAACGA AAGCTCGGGA 1729 GACGGATCGG GGAAATTCAA GCGGGGGAAA AGCTCGTGTT CCAAGCCGCC ATCGAAGACA 1789 AAGACTTGCT TCTTTATCTT GGGCTGACGG ATGATGCCAA TCCGCTCTAT ATCCAGCATG 1849 ATTATGCTTC ACAGACGCCG TTTGGAAAAC CGGTCGTGCC GCCGGTCATG TTGACGGGGA 1909 TGA 1912
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酵素の生産に使用したプラスミドpM
DH1の挿入DNA制限酵素地図を示す。
【図2】本発明の試薬および比較例1〜3の試薬を40
℃で保存したときのマレートデヒロドゲナーゼの残存活
性を示す。
【図3】本発明の耐熱性MADを用いたIFCC法に準
ずる組成のGOT測定用試薬とIFCC法に準ずる市販
のGOT測定用試薬との相関関係を示す。
【符号の説明】
図2中、○は本発明の酵素、●はバチルス・ステアロサ
ーモフィルスATCC12016由来の酵素、▲はブタ
心臓由来の酵素、□はサーマス属菌由来の酵素
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:19) (C12N 1/21 C12R 1:125) (C12N 9/04 C12R 1:125) (C12N 9/04 C12R 1:19) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:07) (72)発明者 川村 良久 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績 株式会社 敦賀バイオ研究所内 (72)発明者 愛水 重典 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績 株式会社 敦賀バイオ研究所内 審査官 斎藤 真由美 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 9/00 - 9/99 C12N 1/00 - 1/38 C12N 15/00 - 15/90 C12Q 1/00 - 1/70 G01N 33/50 - 33/98 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表・配列番号1に記載されたアミノ
    酸配列を含有することを特徴とする耐熱性マレートデヒ
    ドロゲナーゼ活性を有する蛋白質。
  2. 【請求項2】 配列表・配列番号2に記載される塩基配
    列を含有する遺伝子を導入された組換え体により生産さ
    れたものであることを特徴とする耐熱性マレートデヒド
    ロゲナーゼ活性を有する蛋白質。
  3. 【請求項3】 配列表・配列番号2に記載される塩基配
    列が、部分的削除、置換および/または付加による変異
    によって得られた遺伝子を担持する組み換え体により生
    産されたものであることを特徴する耐熱性マレートデヒ
    ドロゲナーゼ活性を有する蛋白質。
  4. 【請求項4】 下記の特性を有することを特徴とする耐
    熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質。 作用:以下の反応を可逆的に触媒する。 【化1】 基質特異性:L−リンゴ酸を特異的に酸化するか、また
    はオキザロ酢酸を特異的に還元する。 至適温度:70℃ 至適pH:pH8.0 熱安定性:70℃以下 pH安定性:pH 3.0〜9.0 等電点:4.8 分子量:140,000(ゲル濾過)、38,000
    (SDS−PAGE) Km値:4.3×10-6M(オキザロ酢酸)
  5. 【請求項5】 40℃において10日間溶液状態で保存
    した後の残存活性が少なくとも60%であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性マレート
    デヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質。
  6. 【請求項6】 40℃において10日間溶液状態で保存
    した後の残存活性が少なくとも70%であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性マレート
    デヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質。
  7. 【請求項7】 40℃において10日間溶液状態で保存
    した後の残存活性が少なくとも80%であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性マレート
    デヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質。
  8. 【請求項8】 40℃において10日間溶液状態で保存
    した後の残存活性が少なくとも90%であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性マレート
    デヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質。
  9. 【請求項9】 バチルス属細菌由来の耐熱性マレートデ
    ヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質をコードする遺伝子
    を担持する組換え体により生産された蛋白質であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性マ
    レートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質。
  10. 【請求項10】 バチルス・ステアロサーモフィラス由
    来の耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白
    質をコードする遺伝子を担持する組換え体により生産さ
    れた蛋白質であることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載の耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有
    する蛋白質。
  11. 【請求項11】 バチルス・ステアロサーモフィラスA
    TCC12016由来の耐熱性マレートデヒドロゲナー
    ゼ活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を担持する組
    換え体により生産された蛋白質であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性マレートデヒド
    ロゲナーゼ活性を有する蛋白質。
  12. 【請求項12】 配列表・配列番号1に記載されるアミ
    ノ酸配列をコードする塩基配列を含有することを特徴と
    するDNA断片。
  13. 【請求項13】 配列表・配列番号2に記載される塩基
    配列を含有することを特徴とするDNA断片。
  14. 【請求項14】 請求項12または13に記載のDNA
    断片の塩基配列が、部分的削除、置換および/または付
    加による変異によって得られた、耐熱性マレートデヒド
    ロゲナーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA断
    片。
  15. 【請求項15】 請求項12、13または14に記載さ
    れたDNA断片を含有する組換えベクター。
  16. 【請求項16】 大腸菌内またはバチルス・ズブチリス
    内で自律的増殖可能であることを特徴とする請求項15
    記載の組換えベクター。
  17. 【請求項17】 請求項15または16に記載された組
    換えベクターにより形質転換された形質転換体。
  18. 【請求項18】 宿主細胞が、大腸菌またはバチルス・
    ズブチリスであることを特徴とする請求項17記載の形
    質転換体。
  19. 【請求項19】 請求項17または18に記載された形
    質転換体を培地で培養し、耐熱性マレートデヒドロゲナ
    ーゼ活性を有する蛋白質を生成させ、該蛋白質を採取す
    ることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の
    耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質の
    製造法。
  20. 【請求項20】 NADH、L−アスパラギン酸、α−
    ケトグルタル酸および請求項1〜11に記載の耐熱性マ
    レートデヒドロゲナーゼ活性を有する蛋白質を含有する
    グルタミン酸・オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GO
    T)活性測定用試薬。
  21. 【請求項21】 NADH、L−アスパラギン酸、α−
    ケトグルタル酸、ラクテートデヒドロゲナーゼおよび請
    求項1〜11に記載の耐熱性マレートデヒドロゲナーゼ
    活性を有する蛋白質を含有するグルタミン酸・オキザロ
    酢酸トランスアミナーゼ(GOT)活性測定用試薬。
  22. 【請求項22】 マレートデヒドロゲナーゼが下記の特
    性を有することを特徴とする請求項20または21に記
    載のGOT活性測定用試薬。 作用:以下の反応を可逆的に触媒する。 【化2】 基質特異性:L−リンゴ酸を特異的に酸化するか、また
    はオキザロ酢酸を特異的に還元する。 至適温度:70℃ 熱安定性:pH 8.0 pH安定性:pH 3.0〜9.0 等電点:4.8 分子量:149,000(ゲル濾過)、38,000
    (SDS−PAGE) Km値:4.3×10-6M(オキザロ酢酸)
  23. 【請求項23】 下記組成を有するGOT活性測定用試
    薬。 ラクテートデヒドロゲナーゼ 500〜2000U/l 請求項1〜11記載のマレートデヒドロゲナーゼ 500〜5000U/l L−アスパラギン酸 150〜250mmol/l α−ケトグルタル酸 10〜40mmol/l NADH 0.1〜0.25mmol/l 緩衝物質(pH7.0〜8.0) 0.05〜0.1m
    mol/l
  24. 【請求項24】 試料に請求項20〜23に記載のGO
    T活性測定用試薬を反応させて、消費されるNADHを
    測定することを特徴とするGOT活性測定法。
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