JPH09107959A - リンゴ酸脱水素酵素及びその製造方法 - Google Patents

リンゴ酸脱水素酵素及びその製造方法

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JPH09107959A
JPH09107959A JP7268269A JP26826995A JPH09107959A JP H09107959 A JPH09107959 A JP H09107959A JP 7268269 A JP7268269 A JP 7268269A JP 26826995 A JP26826995 A JP 26826995A JP H09107959 A JPH09107959 A JP H09107959A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性に優れ、かつ比活性の高いリンゴ
酸脱水素酵素を提供する。 【解決手段】 以下の理化学的性質を有するリンゴ酸脱
水素酵素。 1)作用 下記の反応を触媒する、 【化1】 2)基質特異性 オキザロ酢酸に対するKmが2.7×
10-5Mである、3)至適pH及び安定pH範囲 至適
pHが8〜9であって、pH7〜11で安定である、
4)分子量 セファデックスG−100ゲルクロマトグ
ラフィーによる測定で72,000である、5)保存安
定性 100mMのトリス−塩酸緩衝液(pH9)中、
室温(25℃)で20日間放置した後、95%以上の残
存活性を有する、6)熱安定性 100mMのトリス−
塩酸緩衝液(pH9)中、50℃で15分間の処理で失
活は見られない、7)比活性 オキザロ酢酸還元反応に
おいて、1000U/mg以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリンゴ酸脱水素酵素
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リンゴ酸脱水素酵素は、オキザロ酢酸の
定量に使用されており、また、臨床検査試薬の分野にお
いては、現在リンゴ酸脱水素酵素を用いたGOT(グル
タミン酸−オキザロ酢酸−トランスアミナーゼ)の測定
が肝機能の診断に利用されている。
【0003】従来、リンゴ酸脱水素酵素としては、ウシ
やブタ等の臓器由来のものと、シュードモナス・テスト
ステロニ(Pseudomonas testosteroni)〔ジャーナル
オブバクテリオロジー(J. of Bacteriol.) 123, 704
(1975) 〕、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis
)〔ジャーナル オブ バクテリオロジー(J. of Bac
teriol.) 240, 1118(1965)〕、プロピオニバクテリウ
ム・シェルマーニ(Propionibacterium schermanii)
〔フェデレーション プロシーディング(Federation P
roceeding )33, 1490(1974)〕、エシェリキア・コリ
(Escherichia coli)〔ジャーナル オブ バイオロジ
カル ケミストリー(J. Biol. Chem.) 242,1548(196
7)〕、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa
)〔アーキブバイオケミストリー バイオフィジック
ス(Arch. Biochem. Biophys. )109, 466(1965)〕、サ
ーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)(特
開昭55−99188号公報)等の微生物由来のものが
知られている。
【0004】しかし、ブタやウシ等の高等動物の臓器由
来のリンゴ酸脱水素酵素は、比活性においては満足でき
るもの、その保存安定性において十分満足できるもので
はなく、特に近年の臨床検査試薬の液状試薬への移行に
対応できるだけの保存安定性を備えていないという欠点
があった。また、高等動物の臓器を材料としているた
め、原材料の確保、大量精製の困難さ等にも問題点を有
していた。
【0005】また、微生物由来のリンゴ酸脱水素酵素
は、原材料の確保や大量精製が容易であり、さらに、例
えばサーマス・サーモフィラス由来の酵素は非常に保存
安定性に優れていることが報告されている(特開昭55
−99188号公報)が、その比活性は精製酵素標品で
あってもせいぜい数十U/mg蛋白質程度であるため、
これらの酵素を臨床検査試薬に組み込む場合、添加する
酵素量が多くなり、この結果、測定結果が酵素中に含ま
れる夾雑蛋白質の影響を受け易くなるという問題点があ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、保存安定性
に優れ、かつ比活性の高いリンゴ酸脱水素酵素及びその
製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
なリンゴ酸脱水素酵素を求めて多数の微生物を対象に鋭
意研究した結果、従来見いだされていなかったストレプ
トマイセス属に属する放線菌に上記の性能を有するリン
ゴ酸脱水素酵素が存在するということを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0008】すなわち、第1の発明は、以下の理化学的
性質を有するリンゴ酸脱水素酵素を要旨とするものであ
る。
【0009】1)作用 次の反応を触媒する。
【0010】
【化2】
【0011】2)基質特異性 オキザロ酢酸に対するKmが2.7×10-5Mである。
【0012】3)至適pH及び安定pH範囲 至適pHが8〜9であって、pH7〜11で安定であ
る。
【0013】4)分子量 セファデックスG−100ゲルクロマトグラフィーによ
る測定で72,000である。
【0014】5)保存安定性 100mMのトリス−塩酸緩衝液(pH9)中、室温
(25℃)で20日間放置した後、95%以上の残存活
性を有する。
【0015】6)熱安定性 100mMのトリス−塩酸緩衝液(pH9)中、50℃
で15分間の処理で失活は見られない。
【0016】7)比活性 オキザロ酢酸還元反応において、1000U/mg蛋白
質以上である。
【0017】また、第2の発明は、ストレプトマイセス
属に属する微生物又はその変異株を培養し、培養物から
リンゴ酸脱水素酵素を採取することを特徴とする上記の
リンゴ酸脱水素酵素の製造方法を要旨とするものであ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明のリンゴ酸脱水素酵素の理化学的性質を示
す。
【0019】(1)作用 下記の反応を触媒する。
【0020】
【化3】
【0021】(2)基質特異性 0.5〜20×10-5Mのオキザロ酢酸を含む95mM
のトリス−塩酸緩衝液(pH9)に、最終濃度が1U/
ミリリットルとなるように酵素を加えて30℃で反応さ
せて反応速度を求め、Lineweaver-Burk プロットを作成
した。この結果、オキザロ酢酸に対するKm値は2.7
×10-5Mであった。
【0022】また、0.5〜20×10-5MのNADH
を含む95mMのトリス−塩酸緩衝液(pH9)に、最
終濃度が1U/ミリリットルとなるように酵素を加えて
30℃で反応させて反応速度を求め、Lineweaver-Burk
プロットを作成した。この結果、NADHに対するKm
値は1.4×10-5Mであった。
【0023】(3)至適pH及び安定pH範囲 0.5mMのオキザロ酢酸及び0.25mMのNADH
からなるアッセイミクスチャーを基質とし、各pHの1
00mMの緩衝液中で30℃で5分間反応させた結果、
図1に示すとおり、至適pHは8〜9であった。また、
各pHの100mMの緩衝液中で4℃で24時間放置し
た後の残存活性を測定した結果、図2に示すとおり、p
H7〜11で優れた安定性を示し、pH9付近で最も安
定であった。なお、緩衝液としては、pH4〜6は酢酸
緩衝液、pH6〜8は燐酸緩衝液、pH8〜9はトリス
−塩酸緩衝液、pH8.5〜11はグリシン緩衝液を用
いた。また、本発明においてリンゴ酸脱水素酵素の活性
は、以下の方法により測定した。0.5mMのオキザロ
酢酸及び0.25mMのNADHを含む95mMのトリ
ス−塩酸緩衝液(pH9)1ミリリットルに10マイク
ロリットルの酵素溶液を加えて30℃で5分間反応さ
せ、この間の340nmの吸光度の減少値を測定した。
1分間当たりの吸光度の減少値をΔA340 とし、次式に
より活性値を算出した。なお、本発明において1Uと
は、1分間に1μMのNADHをNADに変換する酵素
量をいう。
【0024】
【数1】
【0025】図1は本発明の酵素の酵素活性に対するp
Hの影響を示すグラフであり、縦軸に酵素活性を、横軸
にpHを示しており、酵素活性は測定値が最高値を示し
たときの活性を100とした相対活性で表した。また、
図2は、本発明の酵素の安定性に対するpHの影響を示
すグラフであり、縦軸に残存活性を、横軸にpHを示し
ており、残存活性は測定値が最高値を示したときの活性
を100とした相対活性で表した。
【0026】(4)作用適温の範囲 0.5mMのオキザロ酢酸及び0.25mMのNADH
からなるアッセイミクスチャーを基質とし、95mMの
トリス−塩酸緩衝液(pH9)中で10〜70℃で5分
間反応させた結果、作用適温は20〜50℃であった。
【0027】(5)分子量 セファデックスG−100ゲルクロマトグラフィーによ
る測定で72,000である。
【0028】(6)保存安定性 100mMのトリス−塩酸緩衝液(pH9)中で室温
(約25℃)で20日間放置した後、90%以上の残存
活性を有する。
【0029】(7)熱安定性 100mMのトリス−塩酸緩衝液(pH9)に酵素を1
0U/ミリリットルになるように加え、20〜65℃の
各温度において15分間インキュベートした後の残存活
性を測定した結果、図3に示すとおり、50℃で15分
間の処理で失活は見られなかった。図3は本発明の酵素
の安定性に対する温度の影響を示すグラフであり、縦軸
に残存活性を、横軸に温度を示しており、残存活性は測
定値が最高値を示したときの活性を100とした相対活
性で表した。
【0030】(8)比活性 ポリアクリルアミドゲル電気泳動で単一のバンドを与え
る本発明の酵素の精製標品の比活性はオキザロ酢酸還元
反応において、1000U/mg蛋白質以上である。な
お、本発明において蛋白量はプロテインアッセイキット
(バイオラッド社製)を用いて測定した。
【0031】次に、本発明の酵素を得るには、本発明の
酵素の産生能を有する微生物、例えば、ストレプトマイ
セス属に属する微生物又はその変異株を培養し、その培
養物より目的とする酵素を採取すればよい。その具体的
菌株として、ストレプトマイセス・エスピー(Streptomy
ces sp.) W108〔以下、W108と略記する。(F
ERM P−14935)〕が挙げられる。
【0032】このW108株の菌学的性質を放線菌の同
定実験法(日本放線菌研究会編)に従って調べた結果を
以下に示す。
【0033】 (a)形態的性質 (1)菌糸 気菌糸形成 有 基生菌糸の分断 無 (2)胞子 胞子連鎖 有 (b)培養的性質 ISP−2寒天平板培養 裏面の色相は淡黄色、気菌糸の色相は白 色、色素の生産は認められない ISP−2寒天平板培養 裏面の色相は淡黄色、気菌糸の色相は白 色〜灰色、色素の生産は認められない (c)生理学的性質 生育温度範囲 20〜55℃(至適生育温度45℃) メラニン様色素の合成 無 炭素源の利用性 L−アラビノース 可 D−フラクトース 可 D−グルコース 可 イノシトール 可 D−マンニトール 可 ラフィノース 可 L−ラムノース 不可 シュークロース 可 D−キシロース 可 (d)化学分類学的性質 細胞壁タイプ I型 LL−ジアミノピメリン酸 有 meso−ジアミノピメリン酸 無 ジアミノ酪酸 有 グリシン 有 アスパラギン酸 無 オルニチン 無 リジン 無 アラビノール 無 ガラクトース 無 キノン系 MK-9(H8,H6,H4) 以上の結果よりバージィーズ・マニュアル・オブ・シス
テマティック・バクテリオロジー〔Bergey's Mannual o
f systematic Bacteriology vol. 4(1989)〕を基に検索
したところ、W108株はストレプトマイセス属に属す
る放線菌であると同定された。この菌株は新規なリンゴ
酸脱水素酵素を生産する点において新規な菌株であると
判断できることから、ストレプトマイセス・エスピー(S
treptomyces sp.) W108と命名し、平成7年5月2
2日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に
寄託した。その寄託番号は、FERM P−14935
である。
【0034】本発明においては、この他にも、W108
株の自然的及び人工的変異株は勿論、ストレプトマイセ
ス属に属する菌種でリンゴ酸脱水素酵素産生能を有する
菌株はすべて使用することができる。また、それらのリ
ンゴ酸脱水素酵素遺伝子を組み入れた組換え微生物も生
産菌として使用することができる。
【0035】これらの菌株を培養する際の培地として
は、一般によく用いられる培地を使用することができ
る。具体的には、炭素源としては、グルコース、シュー
クロース、マルトース、グリセロール、廃糖蜜、クエン
酸、リンゴ酸等の有機酸等が利用でき、窒素源として
は、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、ペプトン、
肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー等の無
機及び有機の窒素源が利用できる。また、必要に応じて
各種のミネラル、無機塩類、ビタミン等を添加して培養
することもできる。
【0036】培養条件としては、通常、好気的条件で行
われ、液体培養、固体培養のどちらでもよい。培養温度
としては、20〜55℃、好ましくは30〜50℃、さ
らに好ましくは40〜45℃で行うのがよい。また、培
養時のpHとしては、4〜9、好ましくは5〜8、さら
に好ましくは6〜7がよい。また、培養時間としては、
3〜48時間、好ましくは6〜24時間、さらに好まし
くは8〜16時間がよいが、培養の条件により最適条件
が変わることは言うまでもない。このような条件で培養
することにより、菌体内にリンゴ酸脱水素酵素を生成、
蓄積させることができる。
【0037】このように培養して得られた培養物から本
発明の酵素を精製取得する方法としては、通常の酵素精
製手段を組み合わせて行えばよい。例えば、培養物から
遠心分離、ろ過等の一般的な菌体回収方法により得た菌
体を超音波、フレンチプレス、自己消化、有機溶媒処
理、界面活性剤処理、リゾチーム等の酵素処理等により
破砕し、緩衝液等で菌体内に含まれる酵素を抽出する。
このようにして得られた粗酵素液をDEAE−セルロー
ス、DEAE−セファロース、Q−セファロース、ホス
ホセルロース(以上、ファルマシア製)等のイオン交換
樹脂、チバクロンブル−H−ERD(ICI社製)、チ
バクロンイエローHE−3G、ブルーセファロースCL
−6B(ファルマシア製)等のアフィニティークロマト
用樹脂、フェニルセファロース、オクチルセファロース
CL−4B(ファルマシア製)等の疎水クロマト用樹
脂、セファデックスG100、G200等のゲルろ過用
樹脂を組み合わせて用い、クロマトグラフィーにより目
的の酵素を精製することができる。また、カラムクロマ
トグラフィーの前処理として硫酸ストレプトマイシンや
硫酸プロタミンによる除核酸処理を行ってもよい。さら
に、溶媒を用いる分別沈澱、硫酸アンモニウム等の塩類
を用いる塩析を適宜組み合わせて精製に用いることがで
きる。
【0038】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例中の%は重量%を示す。
【0039】実施例1 1%グルコース、1%シュークロース、1%ファーマメ
ディア、0.5%大豆粉、1%変性でんぷん、0.5%
ポリペプトン、0.2%炭酸カルシウムからなる培地
(pH6.7)500ミリリットルにW108株を接種
し、45℃で3日間振とう培養した。このようにして得
た培養液を1.5%グルコース、1%酵母エキス、0.
2%ポリペプトン、0.2%炭酸カルシウムからなる培
地(pH6.7)20リットルを仕込んだ30リットル
スケールのジャーファーメンターに接種し、45℃、通
気条件20リットル/分、撹はん400rpmで12時
間培養を行った後、遠心分離にて菌体を回収し、780
gの湿菌体を得た。
【0040】得られた湿菌体のうち20gを2mMのE
DTA及び2mMの2−メルカプトエタノールを含む2
5mMの燐酸緩衝液(pH8)180ミリリットルに懸
濁し、超音波破砕機(KUBOTA INSONATOR 201M )を用い
て120ワットで15分破砕した。その後、遠心分離に
より未破砕の菌体及び菌体残査を除き、粗酵素液を得
た。このようにして得られた粗酵素液を上記の25mM
の燐酸緩衝液で平衡化したDEAEセファロースFF
(ファルマシア社製)カラム(100ミリリットル)に
アプライした。このカラムを同緩衝液で洗浄した後、0
〜0.5Mの塩化カリウムの直線濃度勾配により、リン
ゴ酸脱水素酵素を溶出した。活性画分を集め、1Mの硫
酸アンモニウムを含む25mMの燐酸緩衝液(pH6)
で平衡化したフェニルセファロースCL−4B(ファル
マシア社製)カラム(100ミリリットル)にアプライ
した。1Mの硫酸アンモニウムを含む25mMの燐酸緩
衝液(pH6)で洗浄後、0.5〜0Mの硫酸アンモニ
ウムによる直線濃度勾配により、リンゴ酸脱水素酵素を
溶出した。リンゴ酸脱水素酵素画分を集め、透析により
硫酸アンモニウムを除いた後、25mMの燐酸緩衝液
(pH6)で平衡化したブルーセファロースCL−6B
(ファルマシア社製)カラム(100ミリリットル)に
アプライした。同緩衝液で洗浄した後、0〜0.5Mの
塩化カリウムの直線濃度勾配によりリンゴ酸脱水素酵素
を溶出した。このようにして比活性1250.4(U/
mg)のリンゴ酸脱水素酵素を得ることができた。この
ようにして得られたリンゴ酸脱水素酵素は、ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動で単一なバンドを与えた。以上に
述べた精製の各ステップでの比活性、活性の回収率等を
表1にまとめた。
【0041】
【表1】
【0042】参考例1、比較例1、2 実施例1で得たリンゴ酸脱水素酵素(参考例1)と、ブ
タ心臓由来のリンゴ酸脱水素酵素(ベーリンガーマンハ
イム社製、比較例1)及びサーマス・サーモフィラス由
来のリンゴ酸脱水素酵素(天野製薬社製、比較例2)と
の比活性を測定した。その結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】参考例2、比較例3 実施例1で得たリンゴ酸脱水素酵素(参考例2)と、ブ
タ心臓由来のリンゴ酸脱水素酵素(ベーリンガーマンハ
イム社製、比較例3)の保存安定性を以下のようにして
測定した。それぞれの酵素を10U/ミリリットルとな
るように100mMのトリス−塩酸緩衝液(pH9)で
希釈した後、28℃の恒温槽で42日間保存した。この
間の残存活性を経時的に測定した。
【0045】その結果を図4に示す。図4は本発明のリ
ンゴ酸脱水素酵素及びブタ心臓由来のリンゴ酸脱水素酵
素の保存安定性を示すグラフであり、縦軸に残存活性
を、横軸に日数を示した。なお、残存活性は、保存開始
時の活性を100とした相対活性で示した。
【0046】表2及び図4からわかるように、本発明の
リンゴ酸脱水素酵素は比活性が高く、また保存安定性に
優れている。これに対して、サーマス・サーモフィラス
由来のリンゴ酸脱水素酵素は比活性が低く、また、ブタ
心臓由来のリンゴ酸脱水素酵素は比活性は高いものの保
存安定性がよくない。
【0047】
【発明の効果】本発明のリンゴ酸脱水素酵素は、保存安
定性に優れ、かつ比活性が高い。このため、本発明のリ
ンゴ酸脱水素酵素は、オキザロ酢酸の定量やGOT(グ
ルタミン酸−オキザロ酢酸−トランスアミナーゼ)の検
査用試薬に用いることに適している。また、本発明の製
造方法によれば、このような酵素を容易に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリンゴ酸脱水素酵素の活性に対するp
Hの影響を示すグラフである。
【図2】本発明のリンゴ酸脱水素酵素の安定性に対する
pHの影響を示すグラフである。
【図3】本発明のリンゴ酸脱水素酵素の安定性に対する
温度の影響を示すグラフである。
【図4】本発明のリンゴ酸脱水素酵素及びブタ心臓由来
のリンゴ酸脱水素酵素の保存安定性を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈍宝 宗彦 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の理化学的性質を有するリンゴ酸脱
    水素酵素。 1)作用 次の反応を触媒する。 【化1】 2)基質特異性 オキザロ酢酸に対するKmが2.7×10-5Mである。 3)至適pH及び安定pH範囲 至適pHが8〜9であって、pH7〜11で安定であ
    る。 4)分子量 セファデックスG−100ゲルクロマトグラフィーによ
    る測定で72,000である。 5)保存安定性 100mMのトリス−塩酸緩衝液(pH9)中、室温
    (25℃)で20日間放置した後、95%以上の残存活
    性を有する。 6)熱安定性 100mMのトリス−塩酸緩衝液(pH9)中、50℃
    で15分間の処理で失活は見られない。 7)比活性 オキザロ酢酸還元反応において、1000U/mg蛋白
    質以上である。
  2. 【請求項2】 ストレプトマイセス属に属する微生物又
    はその変異株を培養し、培養物からリンゴ酸脱水素酵素
    を採取することを特徴とする請求項1記載のリンゴ酸脱
    水素酵素の製造方法。
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