JPWO2020137548A1 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層と、を備えるコンデンサ素子を含み、前記陰極引出層は、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、前記カーボン層の少なくとも一部を覆う第1金属層と、前記第1金属層の少なくとも一部を覆う第2金属層と、を備え、前記第1金属層は、第1金属粒子を含み、前記第2金属層は、第2金属粒子および第2バインダ樹脂を含み、前記第1金属層は、バインダ樹脂を含まないか、あるいは、第1バインダ樹脂を、前記第2金属層に含まれる前記第2バインダ樹脂の体積割合より小さい体積割合で含むことで、電解コンデンサとしてのESRを低減することができる。

Description

本発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に関し、詳細には、陰極引出層の改良に関する。
電解コンデンサは、コンデンサ素子と、コンデンサ素子を覆う外装体とを備える。コンデンサ素子は、陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、誘電体層上に形成された固体電解質層と、固体電解質層上に形成された陰極引出層とを備える。陰極引出層は、通常、固体電解質層上に形成されたカーボン層と、カーボン層上に形成された銀ペースト層とを有する。銀ペースト層は、電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)に大きな影響を与える。そのため、特許文献1、2および3には、様々に改良された銀ペースト層が開示されている。
特開2004−281714号公報 特開2006−13031号公報 特開2013−165204号公報
特許文献1、2および3に記載された銀ペースト層を用いても、ESRを小さくすることは困難である。
本発明の第一の局面は、陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層と、を備えるコンデンサ素子を含み、前記陰極引出層は、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、前記カーボン層の少なくとも一部を覆う第1金属層と、前記第1金属層の少なくとも一部を覆う第2金属層と、を備え、前記第1金属層は、第1金属粒子を含み、前記第2金属層は、第2金属粒子および第2バインダ樹脂を含み、前記第1金属層は、バインダ樹脂を含まないか、あるいは、第1バインダ樹脂を、前記第2金属層に含まれる前記第2バインダ樹脂の体積割合より小さい体積割合で含む、電解コンデンサに関する。
本発明の第二の局面は、陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層と、を備えるコンデンサ素子を含み、前記陰極引出層は、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、前記カーボン層の少なくとも一部を覆う第1金属層と、前記第1金属層の少なくとも一部を覆う第2金属層と、を備え、前記第1金属層は、第1金属粒子を含み、前記第2金属層は、第2金属粒子を含み、前記第1金属層に含まれる前記第1金属粒子の体積割合は、前記第2金属層に含まれる前記第2金属粒子の体積割合より大きい、電解コンデンサに関する。
本発明の第三の局面は、陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層と、を備えるコンデンサ素子を含み、前記陰極引出層は、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、前記カーボン層の少なくとも一部を覆う第1金属層と、前記第1層の少なくとも一部を覆う第2金属層と、を備え、前記第1金属層は、第1金属粒子を含み、前記第2金属層は、第2金属粒子を含み、前記第2金属層は、前記第1金属層の周縁の少なくとも一部を覆っており、前記第1金属粒子の平均粒子径は、前記第2金属粒子の平均粒子径より小さい、電解コンデンサに関する。
本発明の第四の局面は、陽極体の少なくとも一部を覆うように誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆うように固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層の少なくとも一部にカーボンペーストを付着させてカーボン層を形成する工程と、前記カーボン層の少なくとも一部に第1金属ペーストを付着させる工程と、前記第1金属ペーストの少なくとも一部を覆うように、第2金属ペーストを付着させる工程と、を有し、前記第1金属ペーストは、第1金属粒子を含み、前記第2金属ペーストは、第2金属粒子および第2バインダ樹脂を含み、前記第1金属ペーストは、バインダ樹脂を含まないか、あるいは、第1バインダ樹脂を、前記第2金属ペーストの固形分に占める前記第2バインダ樹脂の質量割合より小さい質量割合で含む、電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明の第五の局面は、陽極体の少なくとも一部を覆うように誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆うように固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層の少なくとも一部にカーボンペーストを付着させてカーボン層を形成する工程と、前記カーボン層の少なくとも一部に第1金属ペーストを付着させる工程と、前記第1金属ペーストの少なくとも一部を覆うように、第2金属ペーストを付着させる工程と、を有し、前記第1金属ペーストは、第1金属粒子を含み、前記第2金属ペーストは、第2金属粒子を含み、前記第1金属粒子の平均粒子径は、前記第2金属粒子の平均粒子径より小さく、前記第2金属ペーストは、前記第1金属ペーストの周縁の少なくとも一部を覆うように付着される、電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明によれば、電解コンデンサのESRが小さくなる。
図1は、本発明の一実施形態に係る陰極引出層の一部を模式的に示す断面図である。 図2Aは、本発明の一実施形態に係るコンデンサ素子を模式的に示す上面図である。 図2Bは、図2Aに示すコンデンサ素子を模式的に示す断面図である。 図3Aは、本発明の他の実施形態に係るコンデンサ素子を模式的に示す上面図である。 図3Bは、図3Aに示すコンデンサ素子を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの製造方法を示すフローチャートである。
ESRが十分に低減されない原因の一つとして、依然として、銀ペースト層とカーボン層との間の接触抵抗が大きいことが考えられる。銀ペースト層は、通常、銀粒子をバインダ樹脂に添加してペーストを調製し、これをカーボン層に塗布することにより形成される。このバインダ樹脂が、銀粒子とカーボン層に含まれるカーボン粒子との間に介在しているため、層間の接触抵抗は十分に下がらない。
そこで、本実施形態では、銀ペースト層に相当する層を少なくとも2層(第1金属層および第2金属層)で構成し、カーボン層に隣接し、カーボン層の少なくとも一部を覆う層(第1金属層)に含まれるバインダ樹脂の体積割合を小さくする(第1態様)、第1金属層に含まれる金属材料の体積割合を大きくする(第2態様)、あるいは、第1金属層に含まれる金属粒子の平均粒子径を小さくするとともに、第1金属層の周縁を第2金属層で覆う(第3態様)。これらにより、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗が十分に小さくなって、ESRを低減することができる。
以下、各態様を説明する。
[第1態様]
本態様において、第1金属層は第1金属粒子を含み、第2金属層は、第2金属粒子および第2バインダ樹脂を含む。第1金属層は、バインダ樹脂を含まないか、あるいは、第1金属層に含まれるバインダ樹脂(第1バインダ樹脂)の体積割合が、第2金属層に含まれるバインダ樹脂(第2バインダ樹脂)の体積割合より小さい。これにより、第1金属粒子は、カーボン層に含まれるカーボン粒子と容易に接触することができて、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗が小さくなる。
第2金属層が第2金属粒子を含むことにより、陰極引出層全体の抵抗値を低減することができる。さらに、第2金属層が第2バインダ樹脂を含むことにより、第1金属層がカーボン層から剥離することが抑制される。つまり、第2金属層によって、第1金属層による効果が発揮されるとともに、維持される。
第1金属層に含まれる第1金属粒子の体積割合は、第2金属層に含まれる第2金属粒子の体積割合より大きくてよい。これにより、第1金属粒子とカーボン層に含まれるカーボン粒子とがより接触し易くなって、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗はさらに低減され易くなる。
陰極引出層の法線方向からみたとき、第2金属層の面積は、第1金属層の面積より大きくてよい。第1金属層の全体が第2金属層によって覆われていることにより、第1金属層とカーボン層との密着性が高まって、第1金属層がカーボン層から剥離することが抑制され易くなる。これにより、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗はさらに低減され易くなる。
第1金属粒子の平均粒子径は、第2金属粒子の平均粒子径より小さくてよい。これにより、第1金属粒子は、カーボン層の表面に凹凸が形成されている場合にも、カーボン層に含まれるカーボン粒子と容易に接触することができて、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗がさらに低減され易くなる。
[第2態様]
本態様において、第1金属層は第1金属粒子を含み、第2金属層は第2金属粒子を含む。ただし、第1金属層に含まれる第1金属粒子の体積割合は、第2金属層に含まれる第2金属粒子の体積割合より大きい。これにより、第1金属粒子は、カーボン層に含まれるカーボン粒子と容易に接触することができて、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗が小さくなる。
第2金属層が第2金属粒子を含むことにより、陰極引出層全体の抵抗値を低減することができる。つまり、第2金属層によって、第1金属層による効果が発揮される。
第2金属層は、第2バインダ樹脂を含んでよい。第1金属層は、バインダ樹脂を含まないか、あるいは、第1金属層に含まれる第1バインダ樹脂の体積割合が、第2金属層に含まれる第2バインダ樹脂の体積割合より小さくてよい。これにより、第1金属粒子とカーボン層に含まれるカーボン粒子とが接触し易くなって、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗はさらに低減され易くなる。
陰極引出層の法線方向からみたとき、第2金属層の面積は、第1金属層の面積より大きくてよい。第1金属層の全体が第2金属層によって覆われていることにより、第1金属層とカーボン層との密着性が高まって、第1金属層がカーボン層から剥離することが抑制され易くなる。これにより、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗はさらに低減され易くなる。
第1金属粒子の平均粒子径は、第2金属粒子の平均粒子径より小さくてよい。これにより、第1金属粒子は、カーボン層の表面に凹凸が形成されている場合にも、カーボン層に含まれるカーボン粒子と接触することが容易になって、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗はさらに低減され易くなる。
[第3態様]
本態様において、第1金属層は第1金属粒子を含み、第2金属層は第2金属粒子を含み、陰極引出層の法線方向からみたとき、第2金属層は第1金属層の周縁の少なくとも一部を覆っており、第1金属粒子の平均粒子径は、第2金属粒子の平均粒子径より小さい。
第1金属粒子の平均粒子径が第2金属粒子の平均粒子径より小さいことにより、第1金属粒子は、カーボン層の表面に凹凸が形成されている場合にも、カーボン層に含まれるカーボン粒子と容易に接触することができて、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗が小さくなる。
第2金属層が第2金属粒子を含むことにより、陰極引出層全体の抵抗値を低減することができる。さらに、第1金属層の周縁の少なくとも一部が第2金属層に覆われていることにより、第1金属層とカーボン層との密着性が高まって、第1金属層がカーボン層から剥離することが抑制される。つまり、第2金属層によって、第1金属層による効果が発揮されるとともに、維持される。
第2金属層は、第2バインダ樹脂を含んでよい。第1金属層は、バインダ樹脂を含まないか、あるいは、第1金属層に含まれる第1バインダ樹脂の体積割合が、第2金属層に含まれる第2バインダ樹脂の体積割合より小さくてよい。第1金属層に含まれる第1金属粒子の体積割合は、第2金属層に含まれる第2金属粒子の体積割合より大きくてよい。これらにより、第1金属粒子とカーボン層に含まれるカーボン粒子とが接触し易くなって、第1金属層とカーボン層との間の接触抵抗はさらに低減され易くなる。
以下、各金属層について説明する。
(第1金属層)
第1金属層は、カーボン層に隣接しており、第1金属粒子を含む。
第1金属粒子は特に限定されない。導電性の観点から、第1金属粒子は銀を含んでよい。第1金属粒子の少なくとも一部は、第1金属層において、凝集していてよく、互いに融着していてよく、焼結していてもよい。
第1金属粒子の平均粒子径は、第2金属粒子の平均粒子径より小さくてよい。第2金属粒子の平均粒子径D2に対する第1金属粒子の平均粒子径D1の比:D1/D2は、1未満であってよい。D1/D2は、0.5以下であってよく、0.1以下であってよい。D1/D2は、0.0005以上であってよく、0.001以上であってよい。
平均粒子径D1は、1nm以上であってよく、5nm以上であってよい。平均粒子径D1は、1μm以下であってよく、500nm以下であってよく、100nm以下であってよい。平均粒子径D1は、例えば、1nm以上、1μm以下である。
第1金属粒子の平均粒子径は、第1金属層の厚み方向の断面から求めることができる。例えば、第1金属層の厚み方向の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて倍率10000倍以上で撮影した画像を、金属粒子、バインダ樹脂および空隙にわけて三値化する。そして、観察視野内から任意の複数個(例えば、10個)の金属粒子を選択して粒子径を算出し、平均化することにより求めることができる。金属粒子の断面の面積と同じ面積を有する円の直径を、その金属粒子の粒子径とすればよい。第1金属層において、金属粒子同士が凝集、融着または焼結している場合、凝集、融着または焼結した複数の金属粒子全体の面積を金属粒子の数で除した値を、金属粒子1つの面積とみなして、これら金属粒子の粒子径を算出すればよい。
第1金属粒子の平均粒子径は、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定されてもよい。この場合、第1金属粒子の平均粒子径は、体積基準の粒度分布における50%粒子径D50(つまり、メジアン径)である。
第1金属層に含まれる第1金属粒子の体積割合WM1は、0体積%を超える限り特に限定されない。体積割合WM1は、80体積%以上であってよく、90体積%以上であってよく、100体積%であってよい。
第1金属層に含まれる第1バインダ樹脂の体積割合WR1は、第2金属層に含まれる第2バインダ樹脂の体積割合WR2より小さくてよい。第1金属層は、バインダ樹脂を含まなくてもよいし、第1バインダ樹脂を含んでいてもよい。体積割合WR1は、40体積%以下であってよく、30体積%以下であってよく、20体積%以下であってよく、0体積%であってよい。
バインダ樹脂は特に制限されず、陰極引出層の作製に用いられる公知のバインダ樹脂が挙げられる。バインダ樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(ポリエステル樹脂など)、熱硬化性樹脂(ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂など)等が挙げられる。
第1金属層の組成および各成分の体積割合は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)により確認できる。
第1金属層の組成および各成分の体積割合は、第1金属層の厚み方向の断面から求めてもよい。例えば、第1金属層の厚み方向の断面を、SEMまたはTEMを用いて倍率10000倍以上で撮影した画像を、金属粒子、バインダ樹脂および空隙にわけて三値化する。そして、金属粒子およびバインダ樹脂の観察視野内での面積割合を、それぞれ算出する。算出された面積割合は、第1金属層における金属粒子およびバインダ樹脂の体積割合とみなすことができる。
第1金属層の厚みは特に限定されない。第1金属層の厚みは、第1金属粒子の平均粒子径に応じて設定されてよい。第1金属層の厚みは、0.1μm以上であってよく、3μm以上、であってよい。第1金属層の厚みは、50μm以下であってよく、10μm以下であってよい。第1金属層の厚みは、例えば、3μm以上、10μm以下である。第1金属層の厚みは、第1金属層の厚み方向の断面における任意の5点の平均値である。
(第2金属層)
第2金属層は、第1金属層の少なくとも一部を覆い、第2金属粒子を含む。
第2金属粒子は特に限定されない。導電性の観点から、第2金属粒子は銀を含んでよい。
第2金属粒子の形状は特に限定されない。第2金属粒子は、球状であってよく、粒子同士の電気的接続が容易になる点で鱗片状であってよく、球状の粒子と鱗片状の粒子との混合物であってよい。鱗片状粒子の平均アスペクト比は、例えば、1.5以上であり、2以上である。
第2金属粒子の平均粒子径は特に限定されず、第1金属粒子の平均粒子径より大きくてよい。第2金属粒子の平均粒子径D2は、0.1μm以上であってよく、1μm以上であってよい。平均粒子径D2は、100μm以下であってよく、20μm以下であってよい。第2金属粒子が球状の粒子を含む場合、球状の第2金属粒子の平均粒子径D2は、例えば、0.1μm以上、20μm以下であり、0.5μm以上、10μm以下であってよい。第2金属粒子が鱗片状の粒子を含む場合、鱗片状の第2金属粒子の平均粒子径D2は、例えば、1μm以上、100μm以下であり、5μm以上、20μm以下であってよい。第2金属粒子の平均粒子径は、第1金属粒子と同様に、第2金属層の厚み方向の断面から算出することができる。第2金属粒子の平均粒子径は、第1金属粒子と同様にして求められるメジアン径であってもよい。
第2金属層に含まれる第2金属粒子の体積割合WM2は、体積割合WM1より小さくてよい。体積割合WM2は、80体積%以下であってよく、50体積%以下であってよい。体積割合WM2は、20体積%以上であってよく、30体積%以上であってよい。体積割合WM2は、例えば、20体積%以上、50体積%以下である。
第2金属層は、第2バインダ樹脂を含まなくてもよいが、密着性の観点から、バインダ樹脂を含むことが望ましい。第2金属層に含まれる第2バインダ樹脂の体積割合WR2は、20体積%以上であってよく、50体積%以上であってよい。体積割合WR2は、80体積%以下であってよく、70体積%以下であってよい。体積割合WR2は、例えば、50体積%以上、80体積%以下である。
第2バインダ樹脂としては、第1バインダ樹脂と同様の樹脂が例示できる。第1バインダ樹脂と第2バインダ樹脂とは、同じであってよく、異なっていてもよい。第2金属層の組成および各成分の体積割合は、第1金属層と同様に、SEM−EDXあるいは第2金属層の厚み方向の断面から算出することができる。
第2金属層の厚みは特に限定されない。第2金属層の厚みは、例えば、0.1μm以上、50μm以下であってよく、1μm以上、10μm以下であってよい。第2金属層の厚みは、第2金属層の厚み方向の断面における任意の5点の平均値である。
図1は、本実施形態に係る陰極引出層を示す断面図である。
陰極引出層14は、固体電解質層(図示せず)の少なくとも一部を覆うカーボン層140と、カーボン層140の少なくとも一部を覆う第1金属層141と、第1金属層141の少なくとも一部を覆う第2金属層142と、を備える。
第1金属層141は、第1金属粒子1411を備える。第1金属層141は、バインダ樹脂あるいは空隙1412を備え得る。第1金属粒子1411は、カーボン層140の表面の凹凸に沿うように配置される。第2金属層142は、第1金属粒子1411より大きい球状および鱗片状の第2金属粒子1421を備える。第2金属層142は、さらに、第2バインダ樹脂1422を備える。第2金属層142は、空隙を有する場合もある。
陰極引出層の法線方向からみたとき、第1金属層の面積は、第2金属層の面積と同じであってよく、異なっていてもよい。バインダ樹脂の含有量が少ない、あるいは、金属粒子の含有量の多い第1金属層は、カーボン層から剥離し易い。第1金属層の剥離が抑制される点で、第2金属層は、第1金属層の周縁の少なくとも一部を覆うように形成されてよい。特に、陽極体の陽極リード端子と接合される側にある第1金属層の端部(第1端部)は、第2金属層で覆われることが望ましい。第1金属層の第1端部は、特に剥離し易いためである。第2金属層は、第1金属層の周縁の少なくとも一部とともに、第1金属層を取り囲む領域の少なくとも一部を覆ってよい。
第1金属層の周縁は、例えば、第1金属層の外縁から内側に向かって、第1金属層の最少の幅の5%までの領域である。第1金属層を取り囲む領域は、例えば、第1金属層の外縁から外側に向かって、第1金属層の最少の幅の5%までの領域である。
第2金属層は、第1金属層の面積より大きく、かつ、第1金属層の全体を覆うように形成されてもよい。平均粒子径の小さな金属粒子を含む層は、加熱により収縮する場合がある。第2金属層が上記のように形成されていると、第1金属層が収縮する場合にも、その剥離あるいはクラックの発生が抑制され易くなる。よって、電解コンデンサのESRおよび漏れ電流の増大が抑制される。
第2金属層が第1金属層の全体を覆う場合、第1金属層の面積S1に対する第2金属層の面積S2の比:S2/S1は、1以上であってよく、1.1以上であってよい。比:S2/S1は、2以下であってよく、1.5以下であってよい。
第1金属層は、陽極体のエッジを避けて形成されてよい。つまり、陽極体のエッジに対応するカーボン層は、第1金属層に覆われてなくてよい。さらに、第1金属層は、陽極体の側面に対向しないように形成されてよい。これにより、例えば第1金属層が収縮することに起因する第1金属層の剥離あるいはクラック発生が抑制され易くなる。
陽極体のエッジは、例えば、陽極体のある一面の外縁から内側に向かって、陽極体の主面の最少の幅の5%までの領域と、当該一面と交わる面の外縁から内側に向かって、上記幅の5%までの領域とを含む。上記一面あるいはこれと交わる面の幅が、陽極体の主面の最少の幅の5%より小さい場合、その面全体に第1金属層は形成されなくてよい。ただし、第1金属層の面積が大きいほど、ESR値の低減効果は向上するため、第1金属層の面積は、損傷の抑制とESR値の低減効果とを考慮して適宜設定されるのが望ましい。
図2Aは、本実施形態に係るコンデンサ素子を模式的に示す上面図である。図2Bは、図2Aに示すコンデンサ素子を模式的に示す断面図である。
コンデンサ素子10Aは、陽極体11と、陽極体11の少なくとも一部を覆う誘電体層12と、誘電体層12の少なくとも一部を覆う固体電解質層13と、固体電解質層13の少なくとも一部を覆う陰極引出層14と、を備える。陰極引出層14は、固体電解質層13の少なくとも一部を覆うカーボン層140と、カーボン層140の少なくとも一部を覆う第1金属層141と、第1金属層141を覆う第2金属層142と、を備える。
第1金属層141は、陽極体11(誘電体層12)のエッジに対応するカーボン層140を覆わないように形成されている。第2金属層142は、第1金属層141より大きく、その全面を覆うように形成されている。陽極体11の図示しない陽極リード端子と接合される側にある第2金属層142の端部(第2端部142a)は、第1金属層141の第1端部141aを超える位置まで延びており、第1金属層141の第1端部141aは第2金属層142により覆われている。第1金属層141は、陽極体11の側面に対向する領域に形成されていない。一方、第2金属層142は、陽極体11の側面に対向する領域の少なくとも一部にも形成されている。
図3Aは、本実施形態に係る他のコンデンサ素子を模式的に示す上面図である。図3Bは、図3Aに示すコンデンサ素子を模式的に示す断面図である。
コンデンサ素子10Bも同様に、陽極体11と、陽極体11の少なくとも一部を覆う誘電体層12と、誘電体層12の少なくとも一部を覆う固体電解質層13と、固体電解質層13の少なくとも一部を覆う陰極引出層14と、を備える。陰極引出層14は、固体電解質層13の少なくとも一部を覆うカーボン層140と、カーボン層140の少なくとも一部を覆う第1金属層141と、第1金属層141を覆う第2金属層142と、を備える。
第1金属層141は、陽極体11の一部を覆うように形成されている。第1金属層141は、陽極体11のエッジに対応するカーボン層140の一部を覆っている。第2金属層142は、第1金属層141の全面を覆うように形成されている。第2金属層142の第2端部142aは、第1金属層141の第1端部141aを超える位置まで延びており、第1金属層141の第1端部141aは第2金属層142により覆われている。第1金属層141および第2金属層142は、陽極体11の側面に対向する領域の少なくとも一部にも形成されている。
(第3層)
第1金属層のカーボン層とは反対側の主面に、第2金属層以外の第3層が配置されてもよい。第3層は、第1金属層と第2金属層との間に介在してもよいし、最外に配置されてもよい。
第3層の構成は特に限定されない。第3層が第1金属層と第2金属層との間に介在する場合、第3層は導電性であってよい。第3層が最外にある場合、第3層は、導電性であってよく、非導電性であってもよい。導電性の第3層は、例えば、上記のバインダ樹脂と、第1金属粒子、第2金属粒子あるいはその他の金属粒子とを含んでいてよい。
以下、適宜図面を参照しながら、電解コンデンサの構成についてより具体的に説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの構造を模式的に示す断面図である。
電解コンデンサ100は、コンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を封止する外装体20と、外装体20の外部にそれぞれ少なくともその一部が露出する陽極リード端子30および陰極リード端子40と、を備えている。
コンデンサ素子10は、陽極体11と、陽極体11の少なくとも一部を覆う誘電体層12と、誘電体層12の少なくとも一部を覆う固体電解質層13と、固体電解質層13の少なくとも一部を覆う陰極引出層14と、を備える。陰極引出層14は、固体電解質層13の少なくとも一部を覆うカーボン層140と、カーボン層の少なくとも一部を覆う第1金属層141と、第1金属層141の少なくとも一部を覆う第2金属層142と、を備える。このようなコンデンサ素子10は、例えば、シート状あるいは平板状である。
陽極体11と陽極リード端子30とは、例えば溶接により電気的に接続されている。第2金属層142と陰極リード端子40とは、例えば導電性接着剤(熱硬化性樹脂と炭素粒子や金属粒子との混合物等)により形成される接着層50を介して電気的に接続されている。
電解コンデンサは、少なくとも1つのコンデンサ素子を有していればよく、複数のコンデンサ素子を有していてもよい。電解コンデンサに含まれるコンデンサ素子の数は、用途に応じて決定すればよい。
(陽極体)
陽極体は、導電性材料として弁作用金属を含む箔(金属箔)または弁作用金属を含む多孔質焼結体を含む。多孔質焼結体からは、陽極ワイヤーを植立させる。陽極ワイヤーは、陽極リード端子との接続に用いられる。弁作用金属としては、チタン、タンタル、アルミニウムおよびニオブ等が挙げられる。陽極体は、一種、または二種以上の上記弁作用金属を含んでいてもよい。陽極体は、弁作用金属を、弁作用金属を含む合金または弁作用金属を含む化合物等の形態で含んでいてもよい。金属箔である陽極体の厚みは特に限定されず、例えば、15μm以上、300μm以下である。多孔質焼結体である陽極体の厚みは特に限定されず、例えば、15μm以上、5mm以下である。
(誘電体層)
誘電体層は、例えば、陽極体の表面を、化成処理等により陽極酸化することで形成される。そのため、誘電体層は、弁作用金属の酸化物を含み得る。例えば、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合、誘電体層はAl2O3を含み、弁作用金属としてタンタルを用いた場合、誘電体層はTa2O5を含む。なお、誘電体層はこれに限らず、誘電体として機能するものであればよい。
(固体電解質層)
固体電解質層は、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成されていればよく、誘電体層の表面全体を覆うように形成されていてもよい。
固体電解質層は、例えば、マンガン化合物や導電性高分子により形成される。導電性高分子として、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、それらの誘導体などを用いることができる。導電性高分子を含む固体電解質層は、例えば、原料モノマーを誘電体層上で化学重合および/または電解重合することにより、形成することができる。あるいは、導電性高分子が溶解した溶液、または、導電性高分子が分散した分散液を誘電体層に塗布することにより、形成することができる。
(陰極引出層)
陰極引出層は、固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、カーボン層の少なくとも一部を覆う上記第1金属層と、第1金属層を覆う上記第2金属層と、を備える。
カーボン層は、例えば、導電性の炭素粒子を含み、導電性を有する。カーボン層は、必要に応じて、後述するバインダ樹脂、および/または添加剤などを含んでもよい。添加剤としては、例えば、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、塩基、および/または酸などが挙げられる。カーボン層の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。
炭素粒子の平均粒子径は、例えば、0.05μm以上であり、0.1μm以上である。炭素粒子の平均粒子径は、例えば、10μm以下であり、5μm以下である。炭素粒子の平均粒子径は、メジアン径であるか、あるいは、第1金属粒子と同様に、カーボン層の厚み方向の断面から算出することができる。
(リード端子)
陽極リード端子および陰極リード端子の材質は、電気化学的および化学的に安定であり、導電性を有するものであれば特に限定されず、金属であっても非金属であってもよい。これらの形状も特に限定されない。
(外装体)
外装体は、陽極リード端子と陰極リード端子とを電気的に絶縁するために設けられており、絶縁性の材料(外装体材料)から構成されている。外装体材料は、例えば、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、不飽和ポリエステル等が挙げられる。外装体材料は、フィラー、硬化剤、重合開始剤、および/または触媒などを含んでもよい。
[電解コンデンサの製造方法]
上記の電解コンデンサは、陽極体の少なくとも一部を覆うように誘電体層を形成する工程(S2)と、誘電体層の少なくとも一部を覆うように固体電解質層を形成する工程(S3)と、固体電解質層の少なくとも一部にカーボンペーストを付着させてカーボン層を形成する工程(S4)と、カーボン層の少なくとも一部に第1金属ペーストを付着させる工程(S5)と、第1金属ペーストの少なくとも一部を覆うように、第2金属ペーストを付着させる工程(S6)と、を有する。
電解コンデンサの製造方法は、さらに、誘電体層の形成工程に先立って、陽極体を準備する工程(S1)を備えていてもよい。また、電解コンデンサの製造方法は、さらに、コンデンサ素子にリード端子を電気的に接続する工程(S7)と、コンデンサ素子およびリード端子の一部を外装体で覆う工程(封止工程、S8)と、を備えることができる。
図5は、本実施形態に係る電解コンデンサの製造方法を示すフローチャートである。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
(1)陽極体を準備する工程
陽極体は、例えば、弁作用金属を含む箔状または板状の基材の表面を粗面化することにより準備することができる。粗面化は、基材表面に凹凸を形成できればよく、例えば、基材表面をエッチング(例えば、電解エッチング)することにより行ってもよい。
また、弁作用金属の粉末を所望の形状(例えば、ブロック状)に成形して成形体を得た後、この成形体を焼結することで、多孔質構造の陽極体を形成してもよい。
(2)誘電体層を形成する工程
誘電体層は、例えば、陽極体を陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、公知の方法、例えば、化成処理などにより行うことができる。化成処理は、例えば、陽極体を化成液中に浸漬することにより、陽極体の表面に化成液を含浸させ、陽極体をアノードとして、化成液中に浸漬したカソードとの間に電圧を印加することにより行うことができる。
(3)固体電解質層を形成する工程
誘電体層が形成された陽極体に、例えば、導電性高分子を含む処理液を付着させた後、乾燥させて固体電解質層を形成する。処理液は、さらにドーパントなどの他の成分を含んでもよい。導電性高分子には、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が用いられる。ドーパントには、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)が用いられる。処理液は、例えば、導電性高分子の分散液または溶液である。分散媒(溶媒)としては、例えば、水、有機溶媒、またはこれらの混合物が挙げられる。固体電解質層は、導電性高分子の原料モノマーを、誘電体層上で化学重合および/または電解重合させることにより形成してもよい。
(4)カーボン層の形成工程
カーボン層は、カーボンペーストを用いて形成される。
カーボンペーストは、炭素粒子および分散媒を含む。分散媒としては、水、有機媒体、またはこれらの混合物が使用される。カーボンペーストは、必要に応じて、バインダ樹脂および/または添加剤などを含むことができる。
カーボンペースト中の固形分に占める炭素粒子の割合は、例えば、60質量%以上であり、70質量%以上であってよい。上記炭素粒子の割合は特に制限されないが、例えば、99質量%以下である。
カーボンペーストを固体電解質層に付着させる方法は特に限定されない。例えば、固体電解質層を備える陽極体を、カーボンペースト中に浸漬させてもよいし、カーボンペーストを、公知のコーターなどを用いて、固体電解質層の表面に塗布してもよい。
カーボン層は、カーボンペーストを固体電解質層の少なくとも一部に付着させて塗膜を形成し、乾燥することにより形成してもよい。塗膜を形成した後にさらに加熱してもよい。加熱する際の温度は、例えば、150℃以上300℃以下である。
(5)第1金属ペーストの付着工程
カーボン層の少なくとも一部に第1金属ペーストを付着させる。これにより、第1金属層が形成される。あるいは、後述するように、第1金属ペーストを乾燥および/または加熱することにより、第1金属層が形成される。
第1金属ペーストをカーボン層に付着させる方法は特に限定されない。例えば、第1金属ペーストを、公知のコーターなどを用いてカーボン層の表面に塗布してもよいし、インクジェット法によりカーボン層の表面に付着させてもよい。あるいは、カーボン層を備える陽極体を、第1金属ペースト中に浸漬させてもよい。
第1金属ペーストは第1金属粒子を含み、必要に応じて、第1バインダ樹脂、分散媒および添加剤等を含んでもよい。分散媒としては、水、有機媒体、およびこれらの混合物などが挙げられる。
第1金属ペーストの固形分に占める第1バインダ樹脂の質量割合は、第2金属ペーストの固形分に占める第2バインダ樹脂の質量割合より小さいことが望ましい。第1金属ペースト中の固形分に占める第1金属粒子の質量割合は、例えば、80質量%以上であり、90質量%以上であってよく、100質量%であってよい。
第1金属ペーストを付着させた後、乾燥および/または加熱してもよい。これにより、分散媒が除去されるとともに、バインダ樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合には、バインダ樹脂が硬化される。加熱により、第1金属粒子同士が凝集、融着あるいは焼結する場合がある。
加熱の条件は特に限定されない。加熱温度は、例えば、80℃以上、250℃以下であってよい。加熱時間は、例えば、10秒以上、60分以下であってよい。第1金属ペーストは、バインダ樹脂を含まないか極少量であるため、その加熱温度は、第2金属ペーストを加熱する温度より低くてよい。加熱時間も、第2金属ペーストを加熱する時間より短くてよい。
(6)第2金属ペーストの付着工程
第1金属ペーストの少なくとも一部を覆うように、第2金属ペーストが付着される。これにより、第1金属層の少なくとも一部を覆う第2金属層が形成される。このとき、第2金属ペーストは、第1金属ペーストの周縁の少なくとも一部を覆うように付着されてよい。第1金属ペーストの周縁は、例えば、第1金属ペーストの外縁から内側に向かって、第1金属ペーストの最少の幅の5%までの領域である。第2金属ペーストは、第1金属ペーストを付着させる方法として記載したのと同様の方法により、第1金属ペーストに付着させることができる。
第2金属ペーストは第2金属粒子を含み、望ましくは第2バインダ樹脂を含み、必要に応じて、分散媒および添加剤等を含む。
第2金属ペースト中の固形分に占める第2金属粒子の割合は、例えば、80質量%以上であり、90質量%以上であってよい。上記第2金属粒子の割合は、例えば、100質量%以下であり、98質量%以下であってよい。
第2金属ペースト中の固形分に占める第2バインダ樹脂の割合は、例えば、1質量%以上であり、2質量%以上であってよい。上記第2バインダ樹脂の割合は、例えば、20質量%以下であり、10質量%以下であってよい。
第2金属ペーストを付着させた後、乾燥および/または加熱する。これにより、分散媒が除去されるとともに、バインダ樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合には、バインダ樹脂が硬化される。
加熱の条件は特に限定されない。第2金属ペーストは、第1金属ペーストの乾燥と同様の条件で乾燥させてよい。バインダ樹脂を含む第2金属ペーストの加熱温度は、例えば、100℃以上、250℃以下であってよい。加熱時間は、例えば、1分以上、60分以下であってよい。
第1金属ペースト単独での乾燥および/または加熱を行わず、第1金属ペースト上に第2金属ペーストを付着させた後、第1金属ペーストおよび第2金属ペーストを同時に、乾燥および/または加熱してもよい。溶媒が含まれている状態の第1金属ペーストに第2金属ペーストを付着させると、第2金属ペーストに含まれるバインダ樹脂の第1金属ペーストへの浸入が抑制され易くなる。そのため、第1金属層に含まれる第1金属粒子の体積割合が大きくなり易く、バインダ樹脂の体積割合が小さくなり易く、カーボン層と第1金属層との接触抵抗はより低減され易い。一方、第1金属ペースト付着後、第2金属ペースト付着前に乾燥および/または加熱を行うと、第1金属ペースト中の溶媒が除去されやすくなるため、やはりカーボン層と第1金属層との接触抵抗はより低減され易い。
(7)リード端子接続工程
陽極体に陽極リード端子を電気的に接続し、陰極引出層に陰極リード端子を電気的に接続する。陽極体と陽極リード端子との電気的な接続は、例えば、これらを溶接することにより行われる。陰極引出層と陰極リード端子との電気的な接続は、例えば、陰極引出層と陰極リード端子とを、導電性の接着層を介して接着させることにより行われる。
(8)封止工程
コンデンサ素子およびリード端子の一部を外装体で覆う。より具体的には、コンデンサ素子とリード端子とを電気的に接続した後、コンデンサ素子およびリード端子の一部を、樹脂外装体を構成する樹脂で覆うことにより封止することができる。
外装体は、射出成形、インサート成形、圧縮成形などの成形技術を用いて形成することができる。外装体は、例えば、所定の金型を用いて、硬化性樹脂組成物または熱可塑性樹脂(組成物)をコンデンサ素子およびリード端子の一端部を覆うように所定の箇所に充填して形成することができる。複数のコンデンサ素子の積層体を用いる場合には、積層体とリード端子の一部を覆うように樹脂外装体を形成すればよい。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
下記の要領で、図4に示す電解コンデンサを20個作製し、その特性を評価した。この電解コンデンサは、第1態様および第2態様に対応する。
(1)電解コンデンサの作製
基材としてアルミニウム箔(厚み100μm)を準備し、アルミニウム箔の表面にエッチング処理を施し、陽極体を得た。陽極体を化成液に浸して70Vの直流電圧を20分間印加することにより、陽極体の表面に酸化アルミニウム(Al2O3)を含む誘電体層を
形成した。
誘電体層が形成された陽極体を、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の水分散液(濃度2質量%)に浸漬した後、乾燥し、固体電解質層を形成した。
固体電解質層に、鱗片状の黒鉛粒子を水に分散した分散液(カーボンペースト)を塗布した後、200℃で加熱することにより、固体電解質層の表面にカーボン層を形成した。
次いで、陽極体の両主面におけるカーボン層の表面に、銀粒子(平均粒子径80nm、含有量90質量%)と溶媒(ブチルカルビトール)とを含む第1金属ペーストを塗布した。続いて、銀粒子(平均粒子径1000nm、含有量約86質量%)とバインダ樹脂(エポキシ樹脂、含有量約5質量%)と溶媒(ブチルカルビトール)とを含む第2金属ペーストを塗布した。最後に、200℃で10分間加熱して、第1金属層(厚み5μm)および第2金属層(厚み5μm)を形成し、コンデンサ素子を得た。
第1金属層と第2金属層との、陽極体の主面における面積は同じにした。第1金属層および第2金属層は、陽極体の側面に対向する領域の少なくとも一部にも形成した。
第1金属層に含まれる第1金属粒子の体積割合WM1は99体積%超であり、第1バインダ樹脂の体積割合WR1は1体積%未満であった。第2金属層に含まれる第2金属粒子の体積割合WM2は約33体積%であり、第2バインダ樹脂の体積割合WR2は約67体積%であった。
得られたコンデンサ素子、陽極リード端子、陰極リード端子、接着層を配置し、フィラーとしてシリカ粒子を含むエポキシ樹脂を用いて外装体を形成して、電解コンデンサX1を作製した。
《実施例2》
第1金属層および第2金属層の厚みをそれぞれ10μmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを20個作製した。
《比較例1》
第2金属ペーストのみを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサY1を20個作製した。形成された第2金属層の厚みは10μmであった。
《比較例2》
第1金属ペーストに替えて、銀粒子(平均粒子径80nm、含有量約83.2質量%)とバインダ樹脂(エポキシ樹脂、含有量約4.4質量%)と溶媒(ブチルカルビトール)とを含む比較金属ペーストを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを20個作製した。
比較金属ペーストにより形成された比較金属層に含まれる銀粒子の体積割合WMは約67体積%であり、バインダ樹脂の体積割合WRは約33体積%であった。形成された比較金属層および第2金属層の厚みは、それぞれ5μmであった。
《比較例3》
比較例2で調製された比較金属ペーストのみを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサY3を20個作製した。形成された比較金属層の厚みは5μmであった。
《比較例4》
第1金属ペーストのみを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサY4を20個作製した。形成された第1金属層の厚みは5μmであった。
上記で作製した電解コンデンサX1、X2、Y1〜Y4について、以下の評価を行った。
[ESR値]
20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)を測定し、その平均値を求めた。電解コンデンサY1の平均のESR値(A0)に対する電解コンデンサX1、X2、Y2〜Y4の平均のESR値(A)を下記式により求めた。評価結果を表1に示す。
ESR相対値(%)=100×(A−A0)/A0
ただし、電解コンデンサY4のESR値を測定することはできなかった。電解コンデンサY4を分解したところ、第1金属層が剥離していた。
Figure 2020137548
第1金属層を有する電解コンデンサX1およびX2のESR値はいずれも、第2金属層のみを有する電解コンデンサY1のESR値よりも非常に低い値である。さらに、電解コンデンサX1およびX2のESR値は、比較金属層を有する電解コンデンサY2およびY3よりも低く抑えられている。
《実施例3》
実施例1で作製したコンデンサ素子を6枚積層したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサX3を20個作製した。
《比較例5》
比較例1で作製したコンデンサ素子を7枚積層したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサY5を20個作製した。
電解コンデンサX3およびY5について、上記と同様にしてESR値を測定した。電解コンデンサX3は、電解コンデンサY5よりコンデンサ素子の積層数が少ないにもかかわらず、そのESR値は、電解コンデンサY5よりも約22%低減していた。
《実施例4》
第1金属層および第2金属層を、図2Aおよび図2Bに示すように形成したこと以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサX4を20個作製した。電解コンデンサX4は、第3態様に対応している。第1金属層は、陽極体の主面の周縁に対応しないように形成されている。第1金属層の面積S1に対する第2金属層の面積S2の比(平均値):S2/S1は、1.35であった。
《実施例5》
第1金属層および第2金属層を、図3Aおよび図3Bに示すように形成したこと以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサX5を20個作製した。電解コンデンサX5は、第3態様に対応している。第1金属層の第1端部以外の端部は、陽極体の主面の周縁にまで形成されている。第2金属層は、第1金属層の第1端部を超える位置まで延びている。第1金属層の面積S1に対する第2金属層の面積S2の比(平均値):S2/S1は、1.19であった。
電解コンデンサX4およびX5について、上記と同様にしてESR相対値を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2020137548
第1金属層を有する電解コンデンサX4およびX5のESR値はいずれも、第2金属層のみを有する電解コンデンサY1のESR値よりも非常に低い値である。
《比較例6》
第2金属層の面積を第1金属層の面積より小さくしたこと以外、実施例1と同様にしてコンデンサ素子y6を10個作製した。ただし、第1金属層の第1端部以外の端部は、第2金属層により覆った。第1金属層の面積S1に対する第2金属層の面積S2の比(平均値):S2/S1は、0.83であった。
得られたコンデンサ素子y6個と、別途、実施例4と同様の方法で作製した10個のコンデンサ素子x4と、実施例5と同様の方法で作製した10個のコンデンサ素子x5と、について、以下の評価を行った。
[剥離性]
JIS H 8504に準じてテープ試験を行い、第1金属層の剥離の有無を評価した。結果を表3に示す。ただし、テープ試験には、ポリエステル基材を備える粘着テープを用いた。表3には、10個のコンデンサ素子のうち、剥離が生じたコンデンサ素子の数を示した。
Figure 2020137548
コンデンサ素子x4およびx5の第1金属層は、全面が第2金属層により覆われているため、コンデンサ素子y6の第1金属層よりも剥離しにくかった。
本発明の上記局面に係る電解コンデンサは、ESRが低減されている。よって、低いESRが求められる様々な用途に利用できる。
100:電解コンデンサ
10、10A、10B:コンデンサ素子
11:陽極体
12:誘電体層
13:固体電解質層
14:陰極引出層
140:カーボン層
141:第1金属層
141a:第1端部
1411:第1金属粒子
1412:バインダ樹脂または空隙
142:第2金属層
142a:第2端部
1421:第2金属粒子
1422:バインダ樹脂
20:外装体
30:陽極リード端子
40:陰極リード端子
50:接着層
第1金属粒子の平均粒子径は、第2金属粒子の平均粒子径より小さくてよい。第2金属粒子の平均粒子径D2に対する第1金属粒子の平均粒子径D1の比D1/D2は、1未満であってよい。比(D1/D2は、0.5以下であってよく、0.1以下であってよい。比(D1/D2は、0.0005以上であってよく、0.001以上であってよい。
図1は、本実施形態に係る陰極引出層を模式的に示す断面図である。
陰極引出層14は、固体電解質層(図示せず)の少なくとも一部を覆うカーボン層140と、カーボン層140の少なくとも一部を覆う第1金属層141と、第1金属層141の少なくとも一部を覆う第2金属層142と、を備える。
第2金属層が第1金属層の全体を覆う場合、第1金属層の面積S1に対する第2金属層の面積S2の比S2/S1は、1以上であってよく、1.1以上であってよい。比S2/S1は、2以下であってよく、1.5以下であってよい。
第1金属層は、陽極体のエッジを避けて形成されてよい。つまり、陽極体のエッジ部上配置されるカーボン層の部分は、第1金属層に覆われてなくてよい。さらに、第1金属層は、陽極体の側面に対向しないように形成されてよい。これにより、例えば第1金属層が収縮することに起因する第1金属層の剥離あるいはクラック発生が抑制され易くなる。
陽極体のエッジは、例えば、陽極体のある一面(第1面)の外縁から内側に向かって、陽極体の主面の最少の幅の5%までの領域と、当該第1面と交わる面(第2面)の外縁から内側に向かって、上記幅の5%までの領域とを含む。上記第1面あるいは第2面の幅が、陽極体の主面の最少の幅の5%より小さい場合、その面全体に第1金属層は形成されなくてよい。ただし、第1金属層の面積が大きいほど、ESR値の低減効果は向上するため、第1金属層の面積は、損傷の抑制とESR値の低減効果とを考慮して適宜十分大きく設定されるのが望ましい。
第1金属層141は、陽極体11(誘電体層12)のエッジ部上配置されるカーボン層140の部分を覆わないように形成されている。第2金属層142の面積は、第1金属層141の面積より大きく、第2金属層142は第1金属層141の全面を覆うように形成されている。陽極体11の図示しない陽極リード端子と接合される側にある第2金属層142の端部(第2端部142a)は、第1金属層141の第1端部141aを超える位置まで延びており、第1金属層141の第1端部141aは第2金属層142により覆われている。第1金属層141は、陽極体11の側面に対向する領域に形成されていない。一方、第2金属層142は、陽極体11の側面に対向する領域の少なくとも一部にも形成されている。
第1金属層141は、陽極体11の一部を覆うように形成されている。第1金属層141は、陽極体11のエッジ部上配置されるカーボン層140の部分を覆っている。第2金属層142は、第1金属層141の全面を覆うように形成されている。第2金属層142の第2端部142aは、第1金属層141の第1端部141aを超える位置まで延びており、第1金属層141の第1端部141aは第2金属層142により覆われている。第1金属層141および第2金属層142は、陽極体11の側面に対向する領域の少なくとも一部にも形成されている。
[電解コンデンサの製造方法]
上記の電解コンデンサの製造方法は、陽極体の少なくとも一部を覆うように誘電体層を形成する工程(S2)と、誘電体層の少なくとも一部を覆うように固体電解質層を形成する工程(S3)と、固体電解質層の少なくとも一部にカーボンペーストを付着させてカーボン層を形成する工程(S4)と、カーボン層の少なくとも一部に第1金属ペーストを付着させる工程(S5)と、第1金属ペーストの少なくとも一部を覆うように、第2金属ペーストを付着させる工程(S6)と、を有する。
《実施例2》
第1金属層および第2金属層の厚みをそれぞれ10μmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサX2を20個作製した。
実施例3
実施例1の第1金属ペーストに替えて、銀粒子(平均粒子径80nm、含有量約83.2質量%)とバインダ樹脂(エポキシ樹脂、含有量約4.4質量%)と溶媒(ブチルカルビトール)とを含む実施例3の第1金属ペーストを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサX3を20個作製した。
実施例3の第1金属ペーストにより形成された第1金属層に含まれる銀粒子の体積割合WMは約67体積%であり、バインダ樹脂の体積割合WRは約33体積%であった。形成された第1金属層および第2金属層の厚みは、それぞれ5μmであった。
《比較例
実施例3で調製された第1金属ペーストのみを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサYを20個作製した。形成された第1金属層の厚みは5μmであった。
《比較例
実施例1で調製された第1金属ペーストのみを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサYを20個作製した。形成された第1金属層の厚みは5μmであった。
上記で作製した電解コンデンサX1、Y1〜Yについて、以下の評価を行った。
[ESR値]
20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)を測定し、その平均値を求めた。電解コンデンサY1の平均のESR値(A0)に対する電解コンデンサX1、Y2の平均のESR値(A)の変化率(ESR相対値)を下記式により求めた。評価結果を表1に示す。
ESR相対値(%)=(A−A0)/A0×100
ただし、電解コンデンサYのESR値を測定することはできなかった。電解コンデンサYを分解したところ、第1金属層が剥離していた。
Figure 2020137548
第1金属層を有する電解コンデンサX1のESR値はいずれも、第2金属層のみを有する電解コンデンサY1および第1金属層のみを有する電解コンデンサY2のESR値よりも非常に低い値である。さらに、電解コンデンサX1およびX2のESR値は、バインダ樹脂を含む第1金属ペーストを用いて形成した第1金属層を含む電解コンデンサ3よりも低く抑えられている。
《実施例
実施例1で作製したコンデンサ素子を6枚積層したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサXを20個作製した。
《比較例
比較例1で作製したコンデンサ素子を7枚積層したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサYを20個作製した。
電解コンデンサXおよびYについて、上記と同様にしてESR値を測定した。電解コンデンサXは、電解コンデンサYよりコンデンサ素子の積層数が少ないにもかかわらず、そのESR値は、電解コンデンサYよりも約22%低減していた。
《実施例
第1金属層および第2金属層を、図2Aおよび図2Bに示すように形成したこと以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサXを20個作製した。電解コンデンサXは、第3態様に対応している。第1金属層は、陽極体の主面の周縁から離れるように形成されている。電解コンデンサX5における第1金属層の面積S1に対する第2金属層の面積S2の比S2/S1)の平均値は、1.35であった。
《実施例
第1金属層および第2金属層を、図3Aおよび図3Bに示すように形成したこと以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサXを20個作製した。電解コンデンサXは、第3態様に対応している。第1金属層の第1端部以外の端部は、陽極体の主面の周縁にまで形成されている。第2金属層は、第1金属層の第1端部を超える位置まで延びている。電解コンデンサX6における第1金属層の面積S1に対する第2金属層の面積S2の比S2/S1)の平均値は、1.19であった。
電解コンデンサXおよびXについて、上記と同様にしてESR相対値を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2020137548
第1金属層を有する電解コンデンサXおよびXのESR値はいずれも、第2金属層のみを有する電解コンデンサY1のESR値よりも非常に低い値である。
《比較例
第2金属層の面積を第1金属層の面積より小さくしたこと以外、実施例1と同様にしてコンデンサ素子yを10個作製した。ただし、第1金属層の第1端部以外の端部は、第2金属層により覆った。コンデンサ素子y5において第1金属層の面積S1に対する第2金属層の面積S2の比S2/S1)の平均値は、0.83であった。
得られたコンデンサ素子y5を10個と、別途、実施例と同様の方法で作製した10個のコンデンサ素子xと、実施例と同様の方法で作製した10個のコンデンサ素子xと、について、以下の評価を行った。
[剥離性]
JIS H 8504に準じてテープ試験を行い、第1金属層の剥離の有無を評価した。結果を表3に示す。ただし、テープ試験には、ポリエステル基材を備える粘着テープを用いた。表3には、実施例5、実施例6、比較例5のそれぞれの10個のコンデンサ素子のうち、剥離が生じたコンデンサ素子の数を示した。
Figure 2020137548
コンデンサ素子xおよびxの第1金属層は、全面が第2金属層により覆われているため、コンデンサ素子yの第1金属層よりも剥離しにくかった。

Claims (15)

  1. 陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層と、を備えるコンデンサ素子を含み、
    前記陰極引出層は、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、前記カーボン層の少なくとも一部を覆う第1金属層と、前記第1金属層の少なくとも一部を覆う第2金属層と、を備え、
    前記第1金属層は、第1金属粒子を含み、
    前記第2金属層は、第2金属粒子および第2バインダ樹脂を含み、
    前記第1金属層は、バインダ樹脂を含まないか、あるいは、第1バインダ樹脂を、前記第2金属層に含まれる前記第2バインダ樹脂の体積割合より小さい体積割合で含む、電解コンデンサ。
  2. 前記第1金属層に含まれる前記第1金属粒子の体積割合は、前記第2金属層に含まれる前記第2金属粒子の体積割合より大きい、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層と、を備えるコンデンサ素子を含み、
    前記陰極引出層は、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、前記カーボン層の少なくとも一部を覆う第1金属層と、前記第1金属層の少なくとも一部を覆う第2金属層と、を備え、
    前記第1金属層は、第1金属粒子を含み、
    前記第2金属層は、第2金属粒子を含み、
    前記第1金属層に含まれる前記第1金属粒子の体積割合は、前記第2金属層に含まれる前記第2金属粒子の体積割合より大きい、電解コンデンサ。
  4. 前記第2金属層は、さらに第2バインダ樹脂を含み、
    前記第1金属層は、バインダ樹脂を含まないか、あるいは、第1バインダ樹脂を、前記第2金属層に含まれる前記第2バインダ樹脂の体積割合より小さい体積割合で含む、請求項3に記載の電解コンデンサ。
  5. 前記第2金属層の面積は、前記第1金属層の面積より大きい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
  6. 前記第1金属粒子の平均粒子径は、前記第2金属粒子の平均粒子径より小さい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
  7. 陽極体と、前記陽極体の少なくとも一部を覆う誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極引出層と、を備えるコンデンサ素子を含み、
    前記陰極引出層は、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、前記カーボン層の少なくとも一部を覆う第1金属層と、前記第1金属層の少なくとも一部を覆う第2金属層と、を備え、
    前記第1金属層は、第1金属粒子を含み、
    前記第2金属層は、第2金属粒子を含み、
    前記第2金属層は、前記第1金属層の周縁の少なくとも一部を覆っており、
    前記第1金属粒子の平均粒子径は、前記第2金属粒子の平均粒子径より小さい、電解コンデンサ。
  8. 前記第2金属層は、前記第1金属層の全体を覆っている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
  9. 前記陽極体のエッジに対応するカーボン層の少なくとも一部は、前記第2金属層に接している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
  10. 前記陽極体のエッジに対応するカーボン層は、前記第1金属層に覆われていない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
  11. 前記第1金属粒子は銀を含み、
    前記第2金属粒子は銀を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
  12. 前記第1金属粒子の平均粒子径は、1nm以上、1μm以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
  13. 前記第1金属層に含まれる前記第1金属粒子の少なくとも一部は、互いに焼結している、請求項1〜12のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
  14. 陽極体の少なくとも一部を覆うように誘電体層を形成する工程と、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆うように固体電解質層を形成する工程と、
    前記固体電解質層の少なくとも一部にカーボンペーストを付着させてカーボン層を形成する工程と、
    前記カーボン層の少なくとも一部に第1金属ペーストを付着させる工程と、
    前記第1金属ペーストの少なくとも一部を覆うように、第2金属ペーストを付着させる工程と、を有し、
    前記第1金属ペーストは、第1金属粒子を含み、
    前記第2金属ペーストは、第2金属粒子および第2バインダ樹脂を含み、
    前記第1金属ペーストは、バインダ樹脂を含まないか、あるいは、第1バインダ樹脂を、前記第2金属ペーストの固形分に占める前記第2バインダ樹脂の質量割合より小さい質量割合で含む、電解コンデンサの製造方法。
  15. 陽極体の少なくとも一部を覆うように誘電体層を形成する工程と、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆うように固体電解質層を形成する工程と、
    前記固体電解質層の少なくとも一部にカーボンペーストを付着させてカーボン層を形成する工程と、
    前記カーボン層の少なくとも一部に第1金属ペーストを付着させる工程と、
    前記第1金属ペーストの少なくとも一部を覆うように、第2金属ペーストを付着させる工程と、を有し、
    前記第1金属ペーストは、第1金属粒子を含み、
    前記第2金属ペーストは、第2金属粒子を含み、
    前記第1金属粒子の平均粒子径は、前記第2金属粒子の平均粒子径より小さく、
    前記第2金属ペーストは、前記第1金属ペーストの周縁の少なくとも一部を覆うように付着される、電解コンデンサの製造方法。
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