JP2008300464A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】漏れ電流を抑制することが可能な固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】固体電解コンデンサは、ニオブ(Nb)粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の多孔質焼結体で構成される陽極体3と、この陽極体3の表面に形成された酸化ニオブからなる誘電体層4と、誘電体層4の上に形成された陰極層6と、を備える。ここで、陽極体3は、粒径が約2μmのニオブ粒子に対し、粒径が約2μmの窒化ニオブ粒子をその含有量が10重量%になるように混合した混合物(Nb−Nb2N)を用いて真空中で焼結されている。
【選択図】図1
【解決手段】固体電解コンデンサは、ニオブ(Nb)粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の多孔質焼結体で構成される陽極体3と、この陽極体3の表面に形成された酸化ニオブからなる誘電体層4と、誘電体層4の上に形成された陰極層6と、を備える。ここで、陽極体3は、粒径が約2μmのニオブ粒子に対し、粒径が約2μmの窒化ニオブ粒子をその含有量が10重量%になるように混合した混合物(Nb−Nb2N)を用いて真空中で焼結されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体電解コンデンサに関し、特に窒化ニオブを含む陽極を用いた固体電解コンデンサに関する。
ニオブ(Nb)は、従来の固体電解コンデンサの陽極材料であるタンタル(Ta)に比べてその酸化物の誘電率が約1.8倍大きいことから、次世代の高容量固体電解コンデンサの陽極材料として注目されている。一般に固体電解コンデンサは、ニオブやタンタルからなる陽極を陽極酸化することによりその表面に主に酸化物からなる誘電体層を形成し、この誘電体層上に陰極層を形成することにより構成される。そして、これらを内部に収納するようにモールド外装樹脂が周囲に形成される。
しかしながら、ニオブを用いた固体電解コンデンサでは、モールド外装樹脂を形成する際の応力により、ニオブからなる陽極の表面に形成された主に酸化物(酸化ニオブ)からなる誘電体層の一部にクラックが生じて陽極と陰極層とが接触(短絡)することがあるため、漏れ電流が大きくなるという問題がある。こうした対策として、従来は、陽極材料としてニオブに一酸化ニオブ(NbO)および一酸化六ニオブ(Nb6O)を含有したものを採用する方法や、陽極材料として窒化ニオブ(ニオブ表面を窒化した状態の窒化ニオブ)を採用する方法が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。
特開2002−231583号公報
特開平10−242004号公報
しかしながら、これら従来の固体電解コンデンサでは、漏れ電流をある程度低減させることができるものの、さらなる漏れ電流の低減が強く望まれている。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、漏れ電流を抑制することが可能な固体電解コンデンサを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る固体電解コンデンサは、陽極と陰極層との間に設けられた誘電体層を備え、陽極はニオブ粒子と窒化ニオブ粒子とを含む多孔質焼結体により構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、漏れ電流を抑制することが可能な固体電解コンデンサが提供される。
以下、本発明を具現化した実施形態について図面に基づいて説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。図1は本実施形態に係る固体電解コンデンサの構成を示す概略断面図である。
本実施形態の固体電解コンデンサは、ニオブ(Nb)粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の多孔質焼結体からなる陽極体3と、この陽極体3の表面に形成された誘電体層4と、誘電体層4の上に形成された陰極層6と、を備えている。
陽極体3は、ニオブ粒子(ニオブ粉)と窒化ニオブ粒子(窒化ニオブ粉)とを混合して
焼結形成した多孔質焼結体からなり、その内部にニオブ金属からなる陽極リード2の一部が埋め込まれている。なお、ここでは、窒化ニオブ粒子としてNb2N粒子を混合しているが、NbXN粒子(X=1.8〜2.2)を混合するようにしてもよい。
焼結形成した多孔質焼結体からなり、その内部にニオブ金属からなる陽極リード2の一部が埋め込まれている。なお、ここでは、窒化ニオブ粒子としてNb2N粒子を混合しているが、NbXN粒子(X=1.8〜2.2)を混合するようにしてもよい。
誘電体層4は、ニオブおよび窒化二オブの酸化物である主に酸化ニオブ(Nb2O5)で構成され、陽極体3の表面上に形成されている。
陰極層6は、電解質層として機能する導電性高分子層5と、カーボン粒子を含む層からなるカーボン層6aと、銀粒子を含む層からなる銀ペースト層6bとの積層膜で構成され、誘電体層4の上に形成されている。なお、導電性高分子層5の材料としては、導電性を有する高分子材料であれば特に限定されないが、導電性に優れたポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの材料が採用される。また、導電性高分子層5に代えて酸化マンガン層などの無機材料を採用してもよい。
本実施形態では、さらに陰極層6の上に導電性接着材9を介して平板状の陰極端子7が接続され、陽極リード2に平板状の陽極端子1が接続されている。そして、陽極端子1および陰極端子7の一部が、図1のように外部に引き出される形で、エポキシ樹脂などからなるモールド外装樹脂8が形成されている。陽極リード2の材料としては、タンタル、ニオブなどの弁作用金属、陽極端子1および陰極端子7の材料としては、ニッケル(Ni)などの導電性材料を用いることができ、モールド外装樹脂8から露出した陽極端子1および陰極端子7の端部は、折り曲げて本固体電解コンデンサの端子として機能させている。
なお、陽極体3は本発明の「陽極」、誘電体層4は本発明の「誘電体層」、及び陰極層6は本発明の「陰極層」の一例である。
(製造方法)
次に、図1に示す本実施形態の固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
次に、図1に示す本実施形態の固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
(工程1)陽極リード2の周囲に、陽極リード2の一部を埋め込むように設けたニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物を真空中で焼結することにより、多孔質焼結体からなる陽極体3を形成する。
(工程2)陽極体3に対してリン酸水溶液中において陽極酸化を行うことにより、陽極体3の周囲を覆うように主に酸化ニオブからなる誘電体層4を形成する。
(工程3)誘電体層4の表面上に、化学重合法などを用いてポリピロールからなる導電性高分子層5を電解質層として形成する。たとえば、化学重合法では、酸化剤を用いてモノマーを酸化重合することにより導電性高分子層5を形成する。具体的には、陽極体3の表面上に誘電体層4を形成した後、陽極体3を酸化剤溶液に浸漬して、この誘電体層4上に酸化剤を付着させる。そして、酸化剤が付着した誘電体層4をピロールモノマー液に浸漬、またはピロールモノマー蒸気雰囲気中に放置する。このようにして、誘電体層4上においてピロールモノマーが重合してポリピロールからなる導電性高分子層5が形成される。
(工程4)導電性高分子層5上にカーボンペーストを塗布、乾燥することによりカーボン層6aを形成する。さらに、このカーボン層6a上に銀ペーストを塗布、乾燥することにより銀ペースト層6bを形成する。これらにより、誘電体層4の上に、導電性高分子層5と、カーボン層6aと、銀ペースト層6bとの積層膜からなる陰極層6が形成される。
(工程5)平板状の陰極端子7上に導電性接着材9を塗布した後、この導電性接着材9を介して陰極層6と陰極端子7とを接触させた状態で乾燥させることにより、陰極層6と陰極端子7とを接続する。また、陽極リード2上に平板状の陽極端子1をスポット溶接により接続する。
(工程6)トランスファーモールド法を用いてエポキシ樹脂からなるモールド外装樹脂8を周囲に形成する。この際、陽極リード2、陽極体3、誘電体層4、及び陰極層6を内部に収納するとともに、陰極端子7および陽極端子1の端部を外部(相反する方向)に引き出すように形成する。
(工程7)モールド外装樹脂8から露出した陽極端子1および陰極端子7の先端部を下方に折り曲げ、モールド外装樹脂8の下面に沿って配置する。この両端子の先端部は、固体電解コンデンサの端子として機能し、実装基板に固体電解コンデンサを電気的に接続するために使用される。
以上の工程を経て、本実施形態の固体電解コンデンサが製造される。
以下の実施例および比較例では、陰極層まで形成した固体電解コンデンサを作製し、特性評価を行った。
(実施例1)
実施例1では、上述の製造方法における各工程(工程1〜工程4)に対応した工程を経て固体電解コンデンサAを作製した。
実施例1では、上述の製造方法における各工程(工程1〜工程4)に対応した工程を経て固体電解コンデンサAを作製した。
(工程1A)粒径が2μmのニオブ粒子に対し、粒径が同じ2μmの窒化ニオブ(Nb2N)粒子をその含有量が10重量%になるように混合した混合物(Nb−Nb2N)を用いて陽極リード2の一部を埋め込むようにして成型し、真空中で焼結する。これにより、ニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子が混合された多孔質焼結体からなる陽極体3を形成する。なお、本発明における粒径としては、粒子(ニオブ粒子あるいは窒化ニオブ粒子)粉末のSEM(走査電子顕微鏡)像などから十分な量の粒子を抽出し、粒径の順序から、その順序の全抽出粒子数の半分の順位となる粒径から求める中心粒径を採用している。
具体的な中心粒径の測定方法は以下の通りである。
混合前の状態でそれぞれの粒子粉末をSEM観察した後、得られた画像(SEM像)に対して画像処理ソフト(旭化成エンジニアリング製、A像くん(商標出願))を用いて画像処理を行い、粒子の円相当径(面積が等しい真円の直径に換算した値)を求め、これに基づいて画像内の全ての粒子の円相当径を大きさの順に並べる。この大きさ順に並べられた粒子の内、全粒子数の半数番目となる順位の粒径を中心粒径としている。なお、SEM観察時には、画像(SEM像)内に含まれる粒子数が1000個程度となるようにその倍率を調整している。
(工程2A)陽極体3に対して、約60℃に保持した約0.1重量%のリン酸水溶液中において約10Vの定電圧で約10時間陽極酸化を行う。これにより、陽極体3の周囲を覆うように主に酸化ニオブからなる誘電体層4を形成する。
(工程3A)誘電体層4が形成された陽極体3を、酸化剤溶液に浸漬して誘電体層4上に酸化剤を付着させる。そして、酸化剤が付着した誘電体層4をピロールモノマー液に浸漬し、誘電体層4上でピロールモノマーを重合させる。これにより、誘電体層4上にポリピロールからなる導電性高分子層5を形成する。
(工程4A)導電性高分子層5上にカーボンペーストを塗布、乾燥することによりカーボン粒子を含む層からなるカーボン層6aを形成し、このカーボン層6a上に銀ペーストを塗布、乾燥することにより銀粒子を含む層からなる銀ペースト層6bを形成する。これ
らにより、誘電体層4の上に、導電性高分子層5と、カーボン層6aと、銀ペースト層6bとの積層膜からなる陰極層6を形成する。
らにより、誘電体層4の上に、導電性高分子層5と、カーボン層6aと、銀ペースト層6bとの積層膜からなる陰極層6を形成する。
このようにして、実施例1における固体電解コンデンサAが作製される。
(実施例2)
実施例2では、工程1Aにおけるニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物(Nb−Nb2N)に代えて、ニオブ粒子と窒化ニオブ(NbN)粒子の混合物(Nb−NbN)を用いて陽極体3を形成した点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサBを作製した。
実施例2では、工程1Aにおけるニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物(Nb−Nb2N)に代えて、ニオブ粒子と窒化ニオブ(NbN)粒子の混合物(Nb−NbN)を用いて陽極体3を形成した点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサBを作製した。
(実施例3)
実施例3では、工程1Aにおける窒化ニオブ(Nb2N)粒子の含有量の10重量%に代えて、ニオブ粒子との総重量に対する含有量を0.5重量%、1重量%、5重量%、20重量%、30重量%、40重量%とした点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサC1〜C6を作製した。
実施例3では、工程1Aにおける窒化ニオブ(Nb2N)粒子の含有量の10重量%に代えて、ニオブ粒子との総重量に対する含有量を0.5重量%、1重量%、5重量%、20重量%、30重量%、40重量%とした点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサC1〜C6を作製した。
(実施例4)
実施例4では、工程1Aにおける窒化ニオブ(Nb2N)粒子の粒径の2μmに代えて、粒径を0.5μm、1μm、3μm、4μmとした点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサD1〜D4を作製した。
実施例4では、工程1Aにおける窒化ニオブ(Nb2N)粒子の粒径の2μmに代えて、粒径を0.5μm、1μm、3μm、4μmとした点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサD1〜D4を作製した。
(比較例1)
比較例1では、工程1Aにおけるニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物(Nb−Nb2N)に代えて、ニオブ(Nb)粒子のみを用いて陽極体3を形成した点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサXを作製した。
比較例1では、工程1Aにおけるニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物(Nb−Nb2N)に代えて、ニオブ(Nb)粒子のみを用いて陽極体3を形成した点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサXを作製した。
(比較例2)
比較例2では、工程1Aにおけるニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物(Nb−Nb2N)に代えて、ニオブ粒子と、一酸化ニオブ粒子(2重量%)と、一酸化六ニオブ粒子(2重量%)との混合物(Nb−NbO−Nb6O)を用いた点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサYを作製した。
比較例2では、工程1Aにおけるニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物(Nb−Nb2N)に代えて、ニオブ粒子と、一酸化ニオブ粒子(2重量%)と、一酸化六ニオブ粒子(2重量%)との混合物(Nb−NbO−Nb6O)を用いた点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサYを作製した。
(比較例3)
比較例3では、工程1Aにおけるニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物(Nb−Nb2N)に代えて、ニオブ粒子の表面を窒化した状態の窒化ニオブ(Nb2N)粒子のみを用いて陽極体3を形成した点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサZを作製した。
比較例3では、工程1Aにおけるニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物(Nb−Nb2N)に代えて、ニオブ粒子の表面を窒化した状態の窒化ニオブ(Nb2N)粒子のみを用いて陽極体3を形成した点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサZを作製した。
(評価)
各種固体電解コンデンサについて漏れ電流および静電容量を評価した。漏れ電流は各種固体電解コンデンサに対して2.5Vの電圧を印加して20秒後の電流を測定した。静電容量はLCRメータを用いて周波数120Hzにて測定した。
各種固体電解コンデンサについて漏れ電流および静電容量を評価した。漏れ電流は各種固体電解コンデンサに対して2.5Vの電圧を印加して20秒後の電流を測定した。静電容量はLCRメータを用いて周波数120Hzにて測定した。
表1は各種陽極材料を用いた固体電解コンデンサにおける漏れ電流および静電容量の評価結果を示す。表2は固体電解コンデンサにおける漏れ電流および静電容量の評価結果(窒化ニオブの含有量依存)を示す。表3は固体電解コンデンサにおける漏れ電流および静電容量の評価結果(窒化ニオブの粒径依存)を示す。なお、各表においては、各漏れ電流の測定値は実施例1(固体電解コンデンサA)における漏れ電流の測定結果を100として規格化し、各静電容量の測定値は実施例1(固体電解コンデンサA)における静電容量の測定結果を100として規格化している。
表1に示すように、ニオブ粒子のみを陽極材料に採用した比較例1(固体電解コンデンサX)に対し、ニオブ粒子に窒化ニオブ(NbN、Nb2N)粒子を混合することで、漏れ電流が1/3〜1/6程度に低減される。また、比較例2(固体電解コンデンサY)や比較例3(固体電解コンデンサZ)と比較しても漏れ電流が1/2以下に低減される。特に窒化ニオブ(Nb2N)粒子を採用した場合には、比較例2や比較例3のような静電容量の低下を招くことなく、漏れ電流の低減を実現している。
表2に示すように、ニオブ粒子に対して窒化ニオブ(Nb2N)粒子を、その含有量が0.5重量%から40重量%の範囲で混合する場合には、実施例1(固体電解コンデンサA)と同様、漏れ電流を低減させる効果が得られている。また、窒化ニオブ(Nb2N)粒子の含有量が0.5重量%から30重量%の範囲では、静電容量の低下を招くことなく、漏れ電流を低減させることができる。さらに、窒化ニオブ(Nb2N)粒子の含有量が1重量%から30重量%の範囲では上記効果がより顕著に得られている。特に窒化ニオブ(Nb2N)粒子の含有量が10重量%の場合には上記効果がもっとも顕著となる。なお、窒化ニオブ(Nb2N)粒子の含有量が40重量%で漏れ電流が増加するのは、多孔質焼結体内において窒化ニオブ粒子同士が焼結する割合が増加し、ニオブ粒子−ニオブ粒子間およびニオブ粒子−窒化ニオブ粒子間に比べて焼結強度の弱い窒化ニオブ粒子−窒化ニオブ粒子間で剥離が生じるためである。こうした窒化ニオブ粒子同士の剥離に起因してその表面の誘電体層に亀裂が生じる結果、漏れ電流が増加していると推察される。また、窒化ニオブ(Nb2N)粒子の含有量が0.5重量%で漏れ電流が増加するのは、窒化ニオブ粒子の混合による漏れ電流の低減効果が十分に得られていないためと推察される。
表3に示すように、窒化ニオブ(Nb2N)粒子の粒径が0.5μmから4μmの範囲のものを混合する場合には、実施例1(固体電解コンデンサA)と同様、漏れ電流を低減させる効果が得られている。また、窒化ニオブ(Nb2N)粒子の粒径が0.5μmから3μmの範囲では、静電容量の低下を招くことなく、漏れ電流を低減させることができる。さらに、窒化ニオブ(Nb2N)粒子の粒径が1μmから3μmの範囲では漏れ電流の低減効果がより顕著に得られている。特にニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の粒径がほぼ同じ場合にはその効果がもっとも顕著となる。
本実施形態の固体電解コンデンサおよびその製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)陽極材料として、ニオブ粒子と窒化ニオブ(たとえば、Nb2N、NbN)粒子の混合物からなる多孔質焼結体を用いたことで、外部からの応力(たとえば、モールド外装樹脂8を形成する際の応力)に対して、多孔質焼結体の表面に形成される誘電体層4の耐久性(応力耐性)が向上し、陽極体3と陰極層6とが接触(短絡)することが抑制される。このため、漏れ電流が抑制された固体電解コンデンサを得ることができる。これは、多孔質焼結体内において窒化ニオブ粒子の表面に形成された酸化物が窒素を含有することで、ニオブ粒子の表面に形成された酸化物に比べて膜強度が強くなり、これら酸化物で構成される誘電体層全体の耐久性(応力耐性)が向上したことによると推察される。
(2)陽極材料として、ニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物からなる多孔質焼結体を用いたことで、従来のニオブ粒子(たとえば、比較例1)のみからなる多孔質焼結体を用いた場合に比べて、静電容量の低下を招くことなく、漏れ電流を低減させることができる。
(3)陽極材料として、ニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物からなる多孔質焼結体を用いたことで、従来の窒化ニオブ粒子(たとえば、比較例3)のみからなる多孔質焼結体を用いた場合に比べて、漏れ電流を低減させることができる。これは、窒化ニオブ粒子−窒化ニオブ粒子間に比べてニオブ粒子−ニオブ粒子間およびニオブ粒子−窒化ニオブ粒子間の焼結強度が強いため、外部からの応力(たとえば、モールド外装樹脂8を形成する際の応力)に対して、多孔質焼結体の耐久性(応力耐性)が向上したことによると推察される。
(4)ニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物からなる多孔質焼結体において、窒化ニオブ(Nb2N)粒子の含有量がニオブ粒子に対して1重量%から30重量%の範囲としたことで、上記(1)〜(3)の効果をより顕著に得ることができる。
(5)ニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物からなる多孔質焼結体において、窒化ニオブ(Nb2N)粒子の粒径が1μmから3μmの範囲としたことで、上記(1)〜(3)の効果をより顕著に得ることができる。
(6)ニオブ粒子と窒化ニオブ(Nb2N)粒子の混合物からなる多孔質焼結体において、ニオブ粉と窒化ニオブ(Nb2N)粉の粒径がほぼ同じ場合には上記(1)〜(3)の効果をより顕著に享受することができる。これは、多孔質焼結体内において各粒子の粒径が均一化され、応力が特定部分に偏ることなく加わるようになり、多孔質焼結体の耐久性(応力耐性)が向上したことによると推察される。
(7)本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、ニオブ粒子と窒化ニオブ粒子とを含む多孔質焼結体からなる陽極体3を形成する工程と、陽極体3の表面を酸化することにより誘電体層4を形成する工程と、誘電体層4上に陰極層6を形成する工程と、を備える。従来に比べ、ニオブ粒子に対して窒化ニオブ(たとえば、Nb2N、NbN)粒子を混合して多孔質焼結体を焼結するだけの変更で、モールド外装樹脂8を形成する際の応力に対して、多孔質焼結体の表面に形成される誘電体層4の耐久性(応力耐性)を向上させている。そのため、少なくとも上記(1)〜(6)に記載のような好適な固体電解コンデンサを容易に製造することができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
上記実施形態では、窒化ニオブ粒子としてNbXN(たとえば、Nb2N、NbN)で表される金属粒子を採用して混合した例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、ニオブ粒子の表面に窒化ニオブ層を形成した金属粒子を採用して混合するようにしてもよい。この場合にも上記効果を享受することができる。
上記実施形態では、ニオブ粒子に対してNbXN(たとえば、Nb2N、NbN)で表される窒化ニオブ粒子を一種類のみ混合した例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、ニオブと窒素の組成比が異なる複数種類の窒化ニオブ粒子の混合物を混合するようにしてもよい。この場合にも上記効果を享受することができる。
1 陽極端子、2 陽極リード、3 陽極体、4 誘電体層、5 導電性高分子層、6
陰極層、6a カーボン層、6b 銀ペースト層、7 陰極端子、8 モールド外装樹脂、9 導電性接着材。
陰極層、6a カーボン層、6b 銀ペースト層、7 陰極端子、8 モールド外装樹脂、9 導電性接着材。
Claims (3)
- 陽極と陰極層との間に設けられた誘電体層を備え、
前記陽極はニオブ粒子と窒化ニオブ粒子とを含む多孔質焼結体により構成されていることを特徴とした固体電解コンデンサ。 - 前記窒化ニオブ粒子の含有量は前記ニオブ粒子との総重量に対して1重量%〜30重量%の範囲であることを特徴とした請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記窒化ニオブ粒子の粒径は1μm〜3μmの範囲であることを特徴とした請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
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Cited By (1)
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CN113228211A (zh) * | 2018-12-27 | 2021-08-06 | 松下知识产权经营株式会社 | 电解电容器及其制造方法 |
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CN113228211A (zh) * | 2018-12-27 | 2021-08-06 | 松下知识产权经营株式会社 | 电解电容器及其制造方法 |
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