JP4915875B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4915875B2
JP4915875B2 JP2008118173A JP2008118173A JP4915875B2 JP 4915875 B2 JP4915875 B2 JP 4915875B2 JP 2008118173 A JP2008118173 A JP 2008118173A JP 2008118173 A JP2008118173 A JP 2008118173A JP 4915875 B2 JP4915875 B2 JP 4915875B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive polymer
layer
polymer layer
electrolytic capacitor
dispersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008118173A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009267287A (ja
Inventor
竜太 小早川
聡史 鈴木
康久 菅原
知希 信田
直樹 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokin Corp
Original Assignee
NEC Tokin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Tokin Corp filed Critical NEC Tokin Corp
Priority to JP2008118173A priority Critical patent/JP4915875B2/ja
Publication of JP2009267287A publication Critical patent/JP2009267287A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4915875B2 publication Critical patent/JP4915875B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に関し、特に固体電解質の形成方法に関する。
近年、情報電子機器(以下、デジタル機器と表記)の小型化、高速演算処理化が進むことに伴って、それらの電子機器に用いられるコンデンサにおいて、小型大容量化と等価直列抵抗(以下、ESRと表記)の低減とが求められている。さらに、デジタル信号処理を行うデジタル機器の用途の拡大を受けて耐湿性に優れたコンデンサが求められている。
一般に高周波領域で用いられるコンデンサには、積層セラミックコンデンサが主に使われているが、さらなる小型大容量化の要求に対して応えることができなくなってきた。
小型大容量のコンデンサとしては、アルミニウム電解コンデンサが知られているが、二酸化マンガンを用いた電解質の抵抗が高いことにより、高周波領域でのESRが高くなるという問題があった。
近年、アルミニウム電解コンデンサの電解質と比較して電解質の導電率が10倍から100倍高くなる導電性高分子を固体電解質とした小型大容量でありながら、高周波領域でのESRがセラミックコンデンサに匹敵する固体電解コンデンサが開発されている。
図2は、従来の固体電解コンデンサの製造方法を説明する図で、図2(a)は、上面図であり、図2(b)は、図2(a)をG−H線で切断した断面図であり、図2(c)は、図2(b)のB部を拡大した図である。
従来の固体電解コンデンサは、表面を拡面化した平板状の弁作用金属からなる陽極体1を形成し、陽極体1の一部の表面に化成処理により酸化皮膜2を形成し、酸化皮膜2の上にエポキシ樹脂等を塗布してレジスト部3を形成し、化成処理されていない陽極体1の端部を陽極部9とする。次に、溶剤にモノマーと酸化剤と導電補助剤(以下、ドーパントと表記)とを加えた有機溶媒を酸化皮膜2のレジスト部3を除く部分の上で重合反応させた後に溶剤を除去して導電性高分子の膜を形成する化学酸化重合法により導電性高分子層を形成し、固体電解質5とする。続いて、固体電解質5の上にグラファイト層6および銀ペースト層7を順次形成して陰極部8を形成し、陰極部8と陽極部9とのそれぞれに対応する図示しない外部接続端子に接続し、それらの外部端子の一部が導出されるように成形樹脂等を用いて封止している。
上記問題を直接的に解決するものではなく、化学酸化重合法により導電性高分子層を形成した後、該導電性高分子層の上に耐熱性に優れた電解酸化重合法により導電性高分子層を形成したものがあり、実用化に供されていることが特許文献1に示されている。
さらに、予め重合反応させた導電性高分子を含む水溶液(以下、分散体とも表記)を含浸させて乾燥し、導電性高分子膜を形成するスラリーポリマー塗布法により導電性高分子の分子量が大きくすることにより導電率を高くし、かつ耐湿性に優れた導電性高分子層を形成する技術があり、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に示されている。
特開2005−159154号公報 特開平1−313521号公報 特開2002−60736号公報 特開平7−90060号公報
従来の固体電解コンデンサでは、固体電解質が使用環境での温度と湿度との影響によって酸化し、導電率が低下するという問題と化学酸化重合法による導電性高分子の分子量が小さいことにより導電率高くできないという問題とがある。よって、このような従来の固体電解コンデンサでは、さらなる低ESR化の要求と家電機器や産業機器などの新たな分野からの耐湿性の改善要求とに対応することが難しくなっている。
特許文献1では、電解酸化重合法によって導電性高分子層を形成するには、製造設備のための設備投資と薬品処理のための設備投資とが必要となり膨大な設備投資を必要とするという問題がある。
特許文献2、特許文献3、および特許文献4では、スラリーポリマー塗布法によって導電性高分子層を形成するには、分散体の浸透性が低いことにより、表面に微細な凹凸がある陽極酸化膜に密着しない状態で導電性高分子層が形成されるため固体電解コンデンサに使用できないという問題がある。
本発明は、固体電解コンデンサにおいて、耐湿性に優れ、かつESRの低い固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明は、平板状の弁作用金属からなりエッチング処理により拡面化された多孔質の表面を備える少なくとも一部が陽極部となる陽極体を形成し、陽極体の少なくとも一部の表面に化成処理により酸化皮膜を形成し、酸化皮膜の上に固体電解質を形成し、固体電解質の上にグラファイト層を形成し、グラファイト層の上に導電性接着剤により陰極部を形成する固体電解コンデンサの製造方法であって、前記固体電解質は、酸化皮膜の上でモノマーと酸化剤とドーパントとを加えた有機溶媒を重合反応させる化学酸化重合法により第1の導電性高分子層を形成し、第1の導電性高分子層の上にポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸とを水に分散されてなる分散体を点在するように、50μl/cm 以下(0を含まず)の塗布量で塗布し、100℃以上150℃以下で乾燥してなる少なくとも一つの層からなる第2の導電性高分子層を形成する固体電解コンデンサの製造方法である。
弁作用金属は、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)から選択される少なくとも一つを含む金属とし、環境性、入手性、加工性、および価格に優れたアルミニウム(Al)が特に好ましい。
第1の導電性高分子層は、安定した固体電解質を形成するため、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、PEDOTとも表記)または、ポリピロール、ポリアニリンのいずれかの一つである導電性高分子とすることにより、酸化皮膜の多孔質の細部にまで浸透し、密着して第1の導電性高分子層を形成し、陽極体と固体電解質との間に生じる静電容量を低下することなく固体電解質を形成できる。
第2の導電性高分子層は、分散体を点在するように塗布することで分子量の大きい導電性高分子を使用でき、第1の導電性高分子層との間に生じていた界面や空隙をなくすことができ、その結果、導電率の高い固体電解質を形成することができる。
分散体を水溶性にすることで、第1の導電性高分子層に科学的変化を与えることなく、水分を蒸発させて容易に第2の導電性高分子層を形成することができると共に、吸湿しても層内変化が小さいため導電率の変化が少ない固体電解質を形成することができる。
点在するように塗布されてなる層は、塗布量を50μl/cm2以下とすることにより、分散体同士を密着させずに形成することができる。
50μl/cm2を超えて塗布した場合には、分散体同士が密着することにより、第1の導電性高分子層と第2の導電性高分子層との間に界面または、空隙を生じて固体電解質の導電率を低下させる恐れがあり好ましくない。
一方、5μl/cm2未満で塗布する場合は、第2の導電性高分子層を形成する際の塗布回数と乾燥回数とが増えるためあまり好ましくない。
従って、分散体の塗布量は、層あたり5μl/cm2以上50μl/cm2以下とするのが好ましい。
分散体は、導電性高分子であるPEDOTと酸化剤とドーパントとを兼ねるポリスチレンスルホン酸と微量の添加剤とからなる水溶液とすることにより、分子量が大きく、湿度の影響が小さい、製造での安定性が良好な導電性高分子を得ることができる。
PEDOTの質量分析スペクトル法により測定した分子量が5,000未満の場合には、固体電解質の導電率が低くなり、また、10,000以上の場合には、第1の導電性高分子層の表面にある10μm以下の凹凸にまで浸透せず密着性が悪くなるため好ましくない。従って、導電性高分子であるPEDOTの分子量を5,000以上10,000未満とするのが好ましい。
ポリスチレンスルホン酸の高速液体クロマトグラフィー質量分析法により測定した平均分子量が10,000未満150,000以上の場合には、分散体の安定性が悪いので、平均分子量を10,000以上150,000未満とするのが好ましい。
水溶性の分散体の乾燥温度を100℃未満とした場合には、水の沸点より低いので水分の乾燥が不十分になる可能性があり、また、150℃を超えると分散体の沸点が200℃にあるため好ましくない。従って、乾燥する温度範囲は、乾燥器の温度の安定性より100℃以上150℃以下とすることが好ましい。
固体電解質をこのように形成することにより、ESRが低く、かつ、耐湿性に優れた小型大容量の固体電解コンデンサを製造することができる。
本発明によれば、平板状の弁作用金属からなりエッチング処理により拡面化された多孔質の表面を有する少なくとも一部が陽極部となる陽極体を形成し、陽極体の少なくとも一部の表面に化成処理により酸化皮膜を形成し、酸化皮膜の上にレジスト部と固体電解質とを形成し、固体電解質の上にグラファイト層を形成し、グラファイト層の上に導電性接着銀を用いて陰極部を形成する固体電解コンデンサの製造方法であって、前記固体電解質は、酸化皮膜の上でモノマーと酸化剤と導電補助材とを加えた有機溶媒を重合反応させて第1の導電性高分子層を形成し、第1の導電性高分子層の上にポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸とを水に分散されてなる分散体を点在するように塗布し、塗布した分散体の水分を100℃以上150℃以下で乾燥されてなる導電性高分子の層を少なくとも一層以上形成してなる第2の導電性高分子層を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。
本発明によれば、第1の導電性高分子層は、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンまたは、ポリピロール、ポリアニリンから選択される少なくとも一つからなることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。
本発明によれば、分散体を点在するように塗布してなる層は、塗布量を50μl/cm2以下とすることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。
本発明によれば、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンは、質量分析スペクトル法により測定した分子量を5,000以上10,000未満とすることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。
本発明によれば、ポリスチレンスルホン酸は、高速液体クロマトグラフィー質量分析法により測定した平均分子量を10,000以上150,000未満とすることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法が得られる。
本発明によれば、酸化皮膜の上でモノマーと酸化剤と導電補助剤とを加えた有機溶媒を重合反応させて第1の導電性高分子層を形成し、第1の導電性高分子層の上に分子量の大きい導電性高分子を水に分散されてなる分散体を点在するように塗布し、乾燥してなる少なくとも一つの層からなる第2の導電性高分子層を形成し、固体電解質とすることにより、耐湿性に優れ、かつ導電率の高い固体電解質を形成することが可能となり、幅広い分野に使用できるESRの低い小型大容量の固体電解コンデンサを製造することが可能となる。
図1は、本発明の固体電解コンデンサの製造方法を説明する図で、図1(a)は、上面図であり、図1(b)は、図1(a)をE−F線で切断した図であり、図1(c)は、図1(b)のA部を拡大した断面図である。
本発明の固体電解コンデンサは、平板状の弁作用金属であるアルミニウム箔からなりエッチング処理等により粗面化して拡面化された多孔質の表面を有する少なくとも一部が陽極部9となる陽極体1を形成し、陽極体1の所定の表面に化成処理をすることにより誘電体を構成する酸化皮膜2を形成し、酸化皮膜2の上の一部にエポキシ樹脂等を用いてレジスト部3を形成し、化成処理されていない陽極体の端部に陽極部9を形成する。次に、酸化皮膜2の前記レジスト部3を除く部分の上で溶剤に3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDOTと表記)または、ピノール、アニリンなどのモノマーと酸化剤とドーパントとを加えた有機溶媒を重合反応させ、その溶剤を除去して第1の導電性高分子層4aを形成する。続いて、第1の導電性高分子層4aの上にPEDOTとポリスチレンスルホン酸とを分散されてなる50μl/cm2以下の分散体を霧状にして点在するように塗布し、100℃以上150℃以下で乾燥されてなる層を少なくとも一層以上形成し、第2の導電性高分子層4bを形成し、第1の導電性高分子層4aと第2の導電性高分子層4bとからなる固体電解質5を形成する。続いて、固体電解質5の上にグラファイト層6、および導電性接着剤の銀ペースト層7を順次形成して陰極部8を形成し、陰極部8と陽極部9とのそれぞれに対応する図示しない外部接続端子に接続し、それらの外部端子の一部が導出されるように成形樹脂等を用いて成形封止している。
弁作用金属としては、タンタルまたは、ニオブ、チタンを用いた場合でも同様の効果が得られるが、環境性、入手性、加工性、および価格に優れたアルミニウムが特に好ましい。
第1の導電性高分子層4aは、ポリピノール、ポリアニリンの導電性高分子を用いた場合でも同様の効果が得られたが、第1の導電性高分子層4aの上に形成する第2の導電性高分子層4bと同系の高分子構造とする組み合わせが好ましい。
第2の導電性高分子層4bは、層あたり50μl/cm2の量を超えて塗布すると、点在されてなる分散体同士が密着する可能性があるため好ましくない。また、5μl/cm2未満では塗布回数と乾燥回数とが増えるためあまり好ましくない、従って、塗布量は、一層当り5μl/cm2以上50μl/cm2以下とするのが好ましい。
分散体に含まれるPEDOTは、質量分析スペクトル法により測定した分子量を5,000以上10,000未満とすることにより第2の導電性高分子層を安定して形成することができる。
分散体に含まれるポリスチレンスルホン酸は、高速液体クロマトグラフィー質量分析法により測定した平均分子量を10,000以上150,000未満とすることにより安定した分散体を得ることができる。
塗布後の乾燥温度は、層毎に塗布された分散体に含まれる水分を蒸発できる条件であれば良く、乾燥温度が100℃未満であると水分の乾燥が不十分の可能性があり、また、150℃を超えると分散体の沸点に近づくため好ましくない。従って、乾燥温度としては、乾燥機の温度の安定性より100℃以上150℃以下とするのが好ましい。
以下に実施例を用いて、本発明の実施の形態を詳述する。
本発明による実施例の固体電解コンデンサの製造方法を図1に従って説明する。
陽極体1には、表面をエッチングにより多孔質に拡面化された縦=10mm、横=10mm、厚み=0.15mmのアルミニウム箔を用いた。次に、陽極体1の拡面化された表面の中央部を化成処理することにより酸化皮膜2を形成し、その酸化皮膜2は、周波数120Hz、電圧3Vを印加して測定した液中静電容量が300μFになるものを用いた。続いて、酸化皮膜2の上にエポキシ樹脂を用いてレジスト部3を形成し、陽極体1の端部に陽極部9を形成した。続いて、酸化皮膜2のレジスト部3を除く部分の上で溶剤に酸化剤とドーパントとを兼ねるp−トルエンスルホン酸鉄(III)とモノマーであるEDOTとを加えて有機溶媒を重合反応させた後に溶剤を除去してPEDOTからなる第1の導電性高分子層4aを形成し、第1の導電性高分子層の上にPEDOTとポリスチレンスルホン酸とを水に分散されてなる分散体を塗布し、乾燥してなる第2の導電性高分子層4bを形成し、固体電解質5を設けた。続いて、固体電解質5上にグラファイト層6および銀ペースト層7を順次形成して陰極部8を形成し、陰極部8と陽極部9とのそれぞれに対応する図示しない外部接続端子に接続し、それらの外部端子の一部が導出されるように成形樹脂等を用いて成形封止して図1に示した本発明の固体電解コンデンサを作製した。
分散体としては、ドイツ国スタルク社製の商品名Baytron−Pを用いた。これは、酸化剤とドーパントとを兼ねるポリスチレンスルホン酸とモノマーであるEDOTとをそれぞれ水に加え、混合攪拌されてPEDOTが重合反応されている水溶性の分散体で、重量100%中に約重量0.5%のPEDOTと約重量0.8%ポリスチレンスルホン酸と微量の添加物とが含まれ、分散体の沸点が200℃を超える水溶液の分散体である。
前記分散体に含まれるPEDOTは、質量分析スペクトル法により測定した分子量が5,000以上10,000未満で、ポリスチレンスルホン酸は、高速液体クロマトグラフィー質量分析法により測定した平均分子量が10,000以上150,000未満であった。
化1には、前記分散体に含まれるPEDOTを示し、化2には、前記分散体に含まれるポリスチレンスルホン酸を示す。
Figure 0004915875
Figure 0004915875
前記分散体は、表面に微細な凹凸がある前記第1の導電性高分子層の上にスラリーポリマー塗布方法等によって浸漬し、塗布すると第1の導電性高分子層と第2の導電性高分子層との間に空隙や界面を生じることにより導電率が低下し、固体電解コンデンサのESRを低くできないということが判明している。
従って、本発明者らは、前記第2の導電性高分子層を形成する分散体の塗布方法に着目して試作を行った。
前記分散体の塗布方法としては、霧状にして塗布する方法(以下、スプレー塗布方法と表記)、ドット状に塗布する方法(以下、ドット塗布方法と表記)、直線状に塗布する方法(以下、ビード塗布方法と表記)、渦巻状に塗布する方法(以下、スパイラル塗布方法)の四通りとした。
スプレー塗布方法は、吐出器等を用いて分散体を霧状にして噴きつけて塗布し、分散体を点在するように塗布した方法である。ドット塗布方法は、吐出器等を用いて分散体を直径1mm以下の点状とし、点と点とが重ならないように噴きつけて塗布し、分散体を点在するように塗布した方法である。ビード塗布方法は、吐出器を用いて分散体を塗布幅2mmで覆われるように直線状に噴きつけて塗布し、塗布されない線と線との間を2mmとなるように塗布した方法である。スパイラル塗布方法は、吐出器を用いて分散体を塗布幅2mmで覆われるように内から外に向かって渦巻状に噴きつけて塗布し、塗布されない線と線との間を2mmとなるように塗布した方法である。
また、塗布条件としては、吐出器の噴きつける圧力を1kpa×sとし、層あたりの塗布する分散体の塗布量を5μl/cm2、50μl/cm2、75μl/cm2の三水準とし、乾燥温度を75℃、100℃、125℃、150℃の四水準とし、乾燥時間を各1時間とした。
上述した四通りの塗布方法と三水準の塗布量と四水準の乾燥温度とからなる全ての組み合わせによる実施例1〜実施例48の固体電解コンデンサを各々20個ずつ作製し、周波数100kHzでのESRの初期値と温度65℃、湿度95%RHの雰囲気下にて500時間放置した後の周波数100kHzでのESRの試験後の値と走査型電子顕微鏡を用いた内部観察結果と総合判定結果とを表1に示す。なお、ESRは、n=20個の平均値とした。
Figure 0004915875
表1の結果によれば、実施例2〜実施例4、実施例6〜実施例8、実施例14〜実施例16、及び実施例18〜実施例20の固体電解コンデンサは、ESRの初期値と耐湿試験後の値とがそれぞれの目標値である3.0mΩ以下と4.0mΩ以下とを満足し、かつ内部観察の結果においても酸化皮膜と第1の導電性高分子層と第2の導電性高分子層との間に空隙や界面を生じることなく密着して形成していることを確認した。
表1の結果によれば、分散体の塗布量を75μl/cm2とした場合は、いずれの実施例の固体電解コンデンサでも、ESRの初期値と耐湿試験後の値とがそれぞれの目標を満足せず、かつ内部観察の結果においても酸化皮膜と第1の導電性高分子層と第2の導電性高分子層との間に空隙や界面を生じていることを確認した。さらに、乾燥温度を75℃とした場合は、いずれの実施例の固体電解コンデンサでも、乾燥後の外観検査によって乾燥不良を確認した。
以上の結果より、耐湿特性に優れ、かつESRの低い固体電解コンデンサを得るには、分散体を点在するように塗布し、かつ分散体の塗布量を50μl/cm2以下とし、かつ乾燥温度を100℃以上150℃以下とする製造方法が優れていることがわかった。
本実施例では、陽極体を形成する弁作用金属としてアルミニウム箔を用いた場合を示したが、同様の弁作用金属であるタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)を用いた場合であっても同様の結果が得られた。
本実施例では、第1の導電性高分子層を化学酸化重合法によりPEDOTを形成して行った場合を示したが、同様の導電性高分子であるポリピノール、ポリアニリンを用いた場合であっても同様の結果が得られた。
本実施例では、吐出器を用いて分散体を点在するように塗布し、乾燥してなる第2の導電性高分子層を形成して行った場合を示したが、同様に分散体を点在するように塗布できるスクリーン印刷による塗布や凸部の上部平面に分散体を点在するように付着させて転写する塗布であっても同様の結果が得られた。
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法を説明する図。図1(a)は上面図。図1(b)は、図1(a)をE−F線で切断した断面図。図1(c)は、図1(b)のA部を拡大した図。 従来の固体電解コンデンサの製造方法を説明する図。図2(a)は上面図。図2(b)は、図2(a)をG−H線で切断した断面図。図2(c)は、図2(b)のB部を拡大した図。
符号の説明
1 陽極体
2 酸化皮膜
3 レジスト部
4a 第1の導電性高分子層
4b 第2の導電性高分子層
5 固体電解質
6 グラファイト層
7 銀ペースト層
8 陰極部
9 陽極部

Claims (4)

  1. 弁作用金属からなり拡面化された表面を有する陽極体を形成し、前記陽極体の表面に酸化皮膜を形成し、前記酸化皮膜の上に固体電解質を形成し、前記固体電解質の上にグラファイト層を形成し、前記グラファイト層の上に陰極部を形成する固体電解コンデンサの製造方法であって、
    前記固体電解質は、前記酸化皮膜の上でモノマーと酸化剤と導電補助剤とを加えた有機溶媒を重合反応させて第1の導電性高分子層を形成し、前記第1の導電性高分子層の上にポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸とを水に分散されてなる分散体を点在するように、50μl/cm 以下(0を含まず)の塗布量で塗布し、100℃以上150℃以下で乾燥してなる少なくとも一つの層からなる第2の導電性高分子層を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記第1の導電性高分子層は、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンまたは、ポリピロール、ポリアニリンから選択される少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンは、質量分析スペクトル法により測定した分子量を5,000以上10,000未満とすることを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記ポリスチレンスルホン酸は、高速液体クロマトグラフィー質量分析法により測定した平均分子量を10,000以上150,000未満とすることを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
JP2008118173A 2008-04-30 2008-04-30 固体電解コンデンサの製造方法 Expired - Fee Related JP4915875B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008118173A JP4915875B2 (ja) 2008-04-30 2008-04-30 固体電解コンデンサの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008118173A JP4915875B2 (ja) 2008-04-30 2008-04-30 固体電解コンデンサの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009267287A JP2009267287A (ja) 2009-11-12
JP4915875B2 true JP4915875B2 (ja) 2012-04-11

Family

ID=41392721

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008118173A Expired - Fee Related JP4915875B2 (ja) 2008-04-30 2008-04-30 固体電解コンデンサの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4915875B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI567130B (zh) * 2012-08-01 2017-01-21 長興材料工業股份有限公司 導電性高分子複合物及其製備方法與用途
US9741494B2 (en) * 2013-02-14 2017-08-22 Kemet Electronics Corporation Capacitor array and method of manufacture
CN105531778B (zh) 2013-08-30 2019-01-08 松下知识产权经营株式会社 电解电容器及其制造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2828035B2 (ja) * 1996-05-30 1998-11-25 日本電気株式会社 固体電解コンデンサの製造方法
JP2005109252A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Nippon Chemicon Corp 固体電解コンデンサの製造方法
JP4797784B2 (ja) * 2006-05-09 2011-10-19 日本ケミコン株式会社 固体電解コンデンサ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009267287A (ja) 2009-11-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7279015B2 (en) Process for the producing of electrolytic capacitors
US8696768B2 (en) Method for producing solid electrolyte capacitors
JP4737775B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP4845699B2 (ja) 固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法
JP4873572B2 (ja) 固体電解コンデンサとその製造方法
TW200523961A (en) Electrolytic capacitors with a polymeric outer layer
JP2009505413A (ja) 固体コンデンサおよびその製造方法
JP3202668B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4019902B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP4914769B2 (ja) 固体電解コンデンサ電極用導体ペーストおよび該導体ペーストを使用した固体電解コンデンサの電極の製造方法
WO2016136236A1 (ja) 固体電解コンデンサ
JP5062770B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP4915875B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
WO2007055247A1 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4716431B2 (ja) 固体電解コンデンサ
JP5623214B2 (ja) 固体電解コンデンサ
JP5611745B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ
JP2004186684A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2001148330A (ja) 金属酸化物電極上に伝導性高分子被膜を形成する方法およびこれを利用した固体電解コンデンサーの製造方法
TWI283877B (en) Solid electrolytic capacitor and method for producing the same
JP3907358B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4797784B2 (ja) 固体電解コンデンサ
JP2006147900A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2007305684A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP3831752B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101008

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111109

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120118

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120119

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150203

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4915875

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees