JP2006147900A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 初期特性に優れ、耐熱衝撃などの信頼性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提供すること。
【解決手段】 弁作用金属1の陽極表面に誘電体酸化皮膜2を形成する工程と、その焼結体に硝酸マンガン溶液を含浸して熱分解を行い誘電体酸化皮膜2上に密接する二酸化マンガン層3を形成する工程と、導電性高分子化合物懸濁水溶液に浸漬し二酸化マンガン層3上に導電性高分子化合物層4を形成する工程と、グラファイト粉末含有懸濁水溶液に浸漬し導電性高分子化合物層4上にグラファイト層8を形成する工程と、銀塗料層9を形成し陰極層を形成する工程とを含む固体電解コンデンサの製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は固体電解コンデンサの製造方法に関し、特に導電性高分子を用いた固体電解質の形成方法を主体とする固体電解コンデンサの製造方法に関する。
固体電解コンデンサは、通常、アルミニウムやタンタル等の弁作用金属の微粉末を成型、焼結して得られる多孔質焼結体を陽極とし、その焼結体の孔内部および外表面に電気化学的陽極酸化等により誘電体酸化皮膜を形成し、さらに対向電極となる陰極を引き出すために酸化皮膜上に密接して固体電解質を介在させる。
この固体電解質は、誘電体酸化皮膜全面と陰極との間を電気的に接続し誘電体酸化皮膜の持つ静電容量を引き出す機能を有する。さらに言えば、誘電体酸化皮膜内部に欠陥を有し電気的短絡が生じた場合に、この欠陥を修復する機能を併せ持つことが必要である。
前記の要求に合致する固体電解質として、従来、二酸化マンガンや7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン錯塩(以下、TCNQ錯塩という)が幅広く用いられてきている。このうち二酸化マンガンを用いたものは、その比抵抗が低くないために高周波領域でのインピーダンス、等価直列抵抗(以下、ESRという)、或いは誘電損失角の正接(以下、tanδという)が高い。また、二酸化マンガン層を形成する際に熱分解を繰り返すことにより誘電体酸化皮膜が損傷しやすいという欠点があった。一方、TCNQ錯塩を固体電解質に用いたものは、インピーダンス、ESR、tanδがかなり低いものの、TCNQ錯塩の熱分解温度が低いことに起因して耐熱性に乏しく、高温雰囲気下で上記の特性値を長期間持続できないという欠点があった。
しかし、近年、高分子化学の分野に於いて新規な固体電解質材料の開発が活発に行われた結果、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフランなど、π電子を有する共役系高分子化合物に電子供与性や電子吸引性を有する化合物(以下、ドーパントという)を添加して導電性を付与した導電性高分子化合物が開発され、これらを固体電解質として用いる固体電解コンデンサが数多く提唱されている。例えば、酸化剤を用いた化学酸化重合法によってピロールモノマーを誘電体酸化皮膜上で重合させ、ドーパントを添加したポリピロールを導電性高分子化合物層とした後、グラファイト層、銀塗料層を順次形成する製造方法が開発されている。
ところが、この方法によると固体電解質としての導電性高分子化合物層は薄く、陽極としての焼結体との嵌合力を十分に確保することが出来ない。さらに、得られた導電性高分子化合物層の外表面が平滑であるために導電性高分子化合物層とグラファイト層との嵌合力が弱い。そのため、高周波領域でのESR或いはtanδが大きいという問題があった。さらに言えば、この方法によると固体電解質としての導電性高分子化合物層が薄いために、実装時の熱衝撃によって誘電体酸化皮膜欠陥が増大しやすく、電気的短絡が発生しやすいという問題があった。
これらの問題を解決する技術として、特許文献1には図4に示すような構造の固体電解コンデンサが開示されている。図4は導電性高分子化合物の固体電解質を使用した固体電解コンデンサの拡大模式的断面図であり、図4(a)は全体断面図、図4(b)は図4(a)の固体電解コンデンサの誘電体酸化皮膜部の拡大断面図である。同図のごとく、誘電体酸化皮膜2上に化学酸化重合により内部導電性高分子化合物層5を形成した後に、グラファイト等の導電性粉末を混在させ表面に凹凸を設けた外部導電性高分子化合物層6を形成し、さらにグラファイト層8、銀塗料層9を順次形成してなる固体電解コンデンサおよびその製造方法が示されている。
特開平7−94368号公報
しかしながら、上述の方法で作製した固体電解コンデンサは、次のような問題点がある。
二酸化マンガンを固体電解質とする固体電解コンデンサの場合の第一の問題点は、高周波領域でのインピーダンス、ESR、或いはtanδが高いことである。その原因は、二酸化マンガンの比抵抗が導電性高分子化合物より高いためである。第二の問題点は、誘電体酸化皮膜の損傷による、漏れ電流の劣化である。その原因は、二酸化マンガン層を形成する際に熱分解を十数回繰り返すことによる劣化と実装時の熱ストレスである。
一方、導電性高分子化合物層を固体電解質とする固体電解コンデンサの場合の一番目の問題点は、実装時の熱衝撃によるESRおよびtanδの増大である。その原因は、外部導電性高分子化合物層やグラファイト層の機械的強度が必ずしも十分でなく、またその内部導電性高分子化合物層とグラファイト層との嵌合、接着力も十分でないために、熱衝撃によりそれらの層間が剥離しやすいためである。二番目の問題点は、実装時の熱応力による漏れ電流の増大である。その原因は上述の方法によると弁作用金属の焼結体からなる陽極体の外表面に均一な厚みの外部導電性高分子化合物層を形成するのが困難であり、部分的に厚みの不足した部位に於いて誘電体酸化皮膜の機械的な損傷を誘発しやすいためである。特に陽極体のエッジ部分において、外部導電性高分子化合物層の厚みが不足しやすく、漏れ電流が増大しやすい。
本発明の目的は、従来技術の上記課題を解決することにより、初期特性および信頼性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属粉末の焼結体からなる陽極の表面に誘電体酸化皮膜を形成する工程と、前記焼結体に硝酸マンガン溶液を含浸して熱分解を行い前記誘電体酸化皮膜上に密接する二酸化マンガン層を形成する工程と、導電性高分子化合物懸濁水溶液に浸漬し前記二酸化マンガン層上に導電性高分子化合物層を形成する工程と、グラファイト粉末含有懸濁水溶液に浸漬し前記導電性高分子化合物層上にグラファイト層を形成する工程と、銀塗料層を形成し陰極層を形成する工程とを含むことを特徴する。
また、前記導電性高分子化合物懸濁水溶液は、導電性高分子化合物の粉末および水溶性接着剤を含む懸濁水溶液とすることができる。
また、前記導電性高分子化合物懸濁水溶液はシランカップリング剤を含むとよい。
また、前記水溶性接着剤はポリアクリロニトリル、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチルまたはそれらの誘導体を含んでなるとよい。
また、 前記導電性高分子化合物の粉末は、ピロール、アニリン、チオフェン、フランまたはそれらの誘導体の重合体であるとよい。
また、前記二酸化マンガン層を形成する工程は前記焼結体を硝酸マンガン溶液に含浸した後に熱分解を行う過程を繰り返して行うとよい。
また、前記グラファイト粉末含有懸濁水溶液は水溶性接着剤を含有するとよい。
また、前記グラファイト粉末含有懸濁水溶液に含まれる水溶性接着剤はポリアクリロニトリル、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチルまたはそれらの誘導体を用いた接着剤とするとよい。
さらに説明すると、本発明の固体電解コンデンサは、弁作用金属粉末の焼結体の陽極表面に酸化皮膜を形成する工程と、その焼結体に硝酸マンガン溶液を含浸して熱分解を行って酸化皮膜上に密接して二酸化マンガン層を形成する工程と、導電性高分子化合物懸濁水溶液に浸漬し、前記二酸化マンガン層上に導電性高分子化合物層を形成する工程と、グラファイト粉末含有懸濁水溶液に浸漬し、前記導電性高分子化合物層上にグラファイト層を形成後、銀塗料層を形成し、陰極層を形成する工程とを含んで作製される。ここで、前記導電性高分子化合物懸濁水溶液と前記グラファイト粉末含有懸濁水溶液にはシランカップリング剤、水溶性接着剤または水溶性高分子接着剤を含有させることで、前記導電性高分子化合物層と前記二酸化マンガン層、および導電性高分子化合物層と前記グラファイト層との表面凹凸部の嵌合と接着力を向上することができる。
前記懸濁水溶液中の水溶性接着剤または水溶性高分子接着剤としては、ポリアクリロニトリル、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチルおよびそれらの誘導体を用いることができる。
前記水溶性接着剤または水溶性高分子接着剤は、所望の粉末を純水中に分散した懸濁水溶液を容易に調製でき、乾燥して水分を除去することにより、低温短時間で厚みの均一な塗膜が得られる。また、純水の添加量を調整し、固形分の濃度を変えることにより厚付けが可能となり、所望の厚みの塗膜を最小の処理回数で得られるという利点もある。
この水溶性接着剤を用いる方法により、前記導電性高分子化合物層、前記グラファイト層の強度、およびこれら層間の表面凹凸部の嵌合を強化できる。なお、前記導電性高分子化合層と前記グラファイト層の形成に用いる水溶性接着剤は同一の化合物でなくても構わない。
本発明における導電性高分子化合物層形成用の懸濁水溶液中の導電性高分子化合物としては、ピロール、アニリン、チオフェン、さらにフラン等の環状有機化合物のモノマー、およびそれらの誘導体の重合体を用いる。
本発明は上記のように焼結体に硝酸マンガン溶液を含浸して熱分解を行って酸化皮膜上に密接して二酸化マンガン層を形成し、次に、予め重合された導電性高分子化合物の粉末とシランカップリング剤、水溶性接着剤または水溶性高分子接着剤を混合した懸濁水溶液に浸漬し、引き上げて所定温度で乾燥することにより、グラファイト層との嵌合強化用の凹凸を表面に有する導電性高分子化合物層を形成した。さらにグラファイト粉末と水溶性接着剤とを混合した懸濁水溶液に浸漬し、引き上げて所定温度で乾燥し、グラファイト層を形成することにより、固体電解コンデンサの実装時の熱衝撃や実用温湿度条件下、特に高温雰囲気下でのESR、tanδ、および漏れ電流の増大を抑制できる。
上記のように本発明は、従来の二酸化マンガンや導電性高分子化合物を用いた固体電解コンデンサが有していた課題を解決し、初期特性および信頼性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提供することが可能となる。
まず、本発明によれば、二酸化マンガンを固体電解質とする固体電解コンデンサにおける第一の問題点である高周波領域でのインピーダンス、ESR、或いはtanδを低くできる。これは、二酸化マンガン層上に比抵抗が低い導電性高分子化合物層を形成しており、導電性高分子化合物層の外表面には導電性高分子化合物粉末からなる凹凸を多数有しており、この上に形成するグラファイト層との表面凹凸部による嵌合状態を向上できるためである。さらに、第二の問題点である誘電体酸化皮膜の損傷による漏れ電流の劣化を防止できる。これは、二酸化マンガン層を形成する熱分解を半分以下に削減できるため、誘電体酸化皮膜層の損傷を抑制して漏れ電流の低減ができ、さらに、実装時の熱応力により漏れ電流が増大しても、対象部に接する導電性高分子化合物層の絶縁化反応により対象部の漏れ電流を遮断して、漏れ電流の増大を防止できる。
次に、導電性高分子化合物を用いた固体電解コンデンサにおける一番目の問題点である実装時の熱履歴によるESRおよびtanδの増大が抑制される。これは、素子外周部の導電性高分子化合物層およびグラファイト層を水溶性接着剤からなる懸濁水溶液を用いて形成しており、ESRおよびtanδ劣化の原因となる層間の剥離が抑制されるためである。また、前記導電性高分子化合物層の外表面には導電性高分子化合物粉末からなる凹凸を多数有しているため、両者表面の嵌合はさらに確実なものとなる。さらに、二番目の問題点である実装時の熱応力による漏れ電流の増大を抑制できる。これは、導電性高分子化合物粉末と水溶性接着剤とを混合した懸濁水溶液を用いて、このものに素子を浸漬し引き上げて所定温度で乾燥させることにより、素子外周部に均一かつ十分な厚みを有する第二の導電性高分子化合物層を形成でき、実装時の熱応力による誘電体酸化皮膜の機械的な損傷が抑制されるためである。
このように、本発明によれば、初期特性および半田実装時の熱安定性に優れ、高温雰囲気下においても、長期にわたり等価直列抵抗値の変化が小さい安定した性能を有する固体電解コンデンサが得られる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態の固体電解コンデンサの製造方法を説明するための固体電解コンデンサの模式的断面図であり、図1(a)は全体断面図、図1(b)は図1(a)の固体電解コンデンサの誘電体酸化皮膜部の拡大断面図である。
まず、弁作用金属粉末の焼結体からなる陽極である弁作用金属1を陽極酸化し、その焼結体表面の細孔壁面に沿って誘電体酸化皮膜2を形成する。さらに、この焼結体に硝酸マンガン溶液を含浸して熱分解を行うことを数回繰り返し、酸化皮膜上に密接して二酸化マンガン層3を形成する。
次に、このコンデンサ素子を導電性高分子化合物懸濁水溶液に浸漬し、二酸化マンガン層3上に、導電性高分子化合物層4を形成する。ここで、導電性高分子化合物層4形成のための導電性高分子化合物懸濁水溶液としては、導電性高分子化合物の粉末と、シランカップリング剤、チタンカップリン剤などのカップリング剤と、水溶性接着剤または水溶性高分子接着剤とを混合した懸濁水溶液が使用される。この液に浸漬し引き上げて所定温度で乾燥することにより導電性高分子化合物層4が形成される。導電性高分子化合物層4の外表面には導電性高分子化合物粉末7からなる凹凸を多数有しているため、この上に形成するグラファイト層8との嵌合を強化することができる。
さらに、グラファイト粉末含有懸濁水溶液に前記コンデンサ素子を浸漬し、導電性高分子化合物層4の外表面を覆い隠すように、グラファイト層8を形成する。
前記懸濁水溶液内の水溶性接着剤または水溶性高分子接着剤としては、ポリアクリロニトリル、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチルまたはそれらの誘導体を用いたものが好適である。これら水溶性接着剤の混合比率は特に厳密に限定されるものではないが、抵抗値、接着力、作業性および各種信頼性評価の結果から0.5〜3wt%(重量%)が最も好ましい。その混合比率が0.5wt%未満であると接着力が若干弱く、3wt%を超えて添加すると、抵抗値が増大する傾向が認められた。
次いで、グラファイト層8上に銀塗料層9を順次形成し、陰極層を形成する。
さらに、従来公知の方法により電極端子10を取り付け外装樹脂11で外装を施して、図1の固体電解コンデンサが製造される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお各実施例とも上記の実施の形態における弁作用金属としては直方体状のタンタル微粉末の焼結体を用いた。
(実施例1)タンタル微粉末焼結体を硝酸水溶液中において陽極酸化して、図1のような誘電体酸化皮膜2を形成した。この焼結体を、硝酸マンガン溶液に含浸し引き上げて、熱分解を行うことを5回繰り返し、この誘電体酸化皮膜2に密接して二酸化マンガン層3を形成した。
次に、粉末状のポリピロールを25wt%、シランカップリング剤を0.5wt%、水溶性接着剤としてのポリビニルアルコールを1.5wt%、純水(残部)を73wt%の組成に混合した懸濁水溶液を調製し、このものに、前記二酸化マンガン層3形成後のペレットを浸漬し引き上げて、120℃で15分間乾燥させることにより、導電性高分子化合物層4としてのポリピロールの厚膜を形成した。
さらに、グラファイト粉末(平均粒径約0.3μm)を10wt%、ポリビニルアルコールを1.5wt%、純水(残部)を88.5wt%の組成に混合した懸濁水溶液を調製し、このものに、前記導電性高分子化合物層4形成後のペレットを浸漬し引き上げて、120℃で15分間乾燥させることにより、グラファイト層8を形成した。
さらにこのグラファイト層8上に銀塗料層9を形成し、電極端子10を引き出した後、外装樹脂11で封止し固体電解コンデンサを完成させた。
(実施例2)実施例1と同様の方法で誘電体酸化皮膜2の形成まで行った。このペレットを、硝酸マンガン溶液に含浸し引き上げて熱分解を行うことを3回繰り返し、この後比重の異なる硝酸マンガン溶液に含浸し引き上げて熱分解を行うことを2回繰り返し、この誘電体酸化皮膜2に密接して二酸化マンガン層3を形成した。
次に、実施例1と同様に調製したポリピロール粉末を含む懸濁水溶液に二酸化マンガン層3形成後のペレットを浸漬し引き上げて、120℃で15分間乾燥させることにより、導電性高分子化合物層4としてのポリピロールの厚膜を形成せしめた。
さらに、実施例1と同様の方法により、グラファイト層8、銀塗料層9を順次形成した後、電極端子10を取り出し、外装樹脂11で封止して固体電解コンデンサを完成させた。
(実施例3)実施例1と同様の条件で、導電性高分子化合物層4の形成までの操作を行った。次に、グラファイト粉末(平均粒径約0.3μm)を10wt%、カルボキシメチルセルロースを0.8wt%、純水(残部)を89.2wt%の組成に混合した懸濁水溶液を調製し、このものに、前記導電性高分子化合物層4形成後のペレットを浸漬し引き上げて、100℃で5分間乾燥させることにより、グラファイト層8を形成した。
さらに銀塗料層9を形成し、電極端子10を引き出した後、外装樹脂11で封止し固体電解コンデンサを完成させた。
(比較例1)公知の製造方法にて製作される代表的な二酸化マンガンを用いた固体電解コンデンサを比較例1として説明する。
本発明の上記実施例と同様のペレットを用い、同様の方法により誘電体酸化皮膜2を形成した。このペレットを硝酸マンガン溶液に含浸し引き上げて熱分解を行うことを5回繰り返し、さらに比重の異なる硝酸マンガン溶液に含浸し引き上げて熱分解を行うことを5回繰り返して、この誘電体酸化皮膜2上に密接して二酸化マンガン層3を形成した。
さらに、その上に有機バインダー分を含まないグラファイト層8、銀塗料層9を順次形成し、電極端子10を引き出した後、外装樹脂11で封止して図3の比較例1の固体電解コンデンサを完成させた。図3において、図3(a)は全体断面図、図3(b)は図3(a)の固体電解コンデンサの誘電体酸化皮膜部の拡大断面図である。
(比較例2)次に、背景技術で説明した特許文献1による公知の製造方法にて製作される代表的な導電性高分子化合物を用いた固体電解コンデンサを比較例2として説明する。
本発明の上記実施例と同様のペレットを用い、同様の方法により誘電体酸化皮膜2を形成した。このペレットを公知の製造方法にて酸化剤の含浸、ピロールモノマーとの接触、重合・ドーピングからなる一連の操作を10回繰り返して、誘電体酸化皮膜2に密接して、内部導電性高分子化合物層5としてのポリピロールを形成した。
次に、従来公知の方法により調製した有機溶剤に可溶なポリアニリン粉末をN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させて溶液とした。前記の内部導電性高分子化合物層5形成後のペレットを当該溶液中に保持した後、硫酸水溶液に浸漬することによりドーピングして、導電性粉末としてのポリピロール粉末を含む外部導電性高分子化合物層6としてのポリアニリンを形成した。
さらに、その上に有機バインダー分を含まないグラファイト層8、銀塗料層9を順次形成し、電極端子10を引き出した後、外装樹脂11で封止して、背景技術で説明した図4の構造を持つ比較例2の固体電解コンデンサを完成させた。
以上の方法により完成した本発明の実施例1,2,3の固体電解コンデンサ、比較例1の従来公知の二酸化マンガンを用いた固体電解コンデンサ、および比較例2の導電性高分子化合物を用いた固体電解コンデンサについて、各100個を半田浸漬試験(270℃、10秒浸漬)に供した。試験前後での、tanδ(1kHzで測定)、ESR(100kHzで測定)、漏れ電流(LC、定格電圧、1分値)の分布を、それぞれ、図2(a)、図2(b)、図2(c)に比較して示す。比較例の製造方法により作製した固体電解コンデンサは、比較例1の漏れ電流の場合を除き、試験後に、諸特性が著しく劣化したのに対し、本発明の実施例で作製した三種類の固体電解コンデンサは、tanδ、ESRの増大が殆ど認められない。また、漏れ電流の分布も殆ど変化していない。即ち、本発明の固体電解コンデンサの製造方法によれば、半田実装時に加えられる熱履歴、熱応力によっても諸特性の劣化がなく、安定した耐熱特性を有する固体電解コンデンサを提供できることが確認された。
本発明の実施の形態の固体電解コンデンサの製造方法を説明するための固体電解コンデンサの模式的断面図であり、図1(a)は全体断面図、図1(b)は、図1(a)の固体電解コンデンサの誘電体酸化皮膜部の拡大断面図。 本発明の実施例の固体電解コンデンサおよび比較例の固体電解コンデンサの半田浸漬試験での特性変化を示し、図2(a)はtanδ、図2(b)はESR、図2(c)は漏れ電流の測定結果を示す図。 比較例1の二酸化マンガンの固体電解質を使用した固体電解コンデンサの拡大模式的断面図であり、図3(a)は全体断面図、図3(b)は図3(a)の固体電解コンデンサの誘電体酸化皮膜部の拡大断面図。 背景技術および比較例2に係る、導電性高分子化合物の固体電解質を使用した固体電解コンデンサの拡大模式的断面図であり、図4(a)は全体断面図、図4(b)は図4(a)の固体電解コンデンサの誘電体酸化皮膜部の拡大断面図。
符号の説明
1 弁作用金属
2 誘電体酸化皮膜
3 二酸化マンガン層
4 導電性高分子化合物層
5 内部導電性高分子化合物層
6 外部導電性高分子化合物層
7 導電性高分子化合物粉末
8 グラファイト層
9 銀塗料層
10 電極端子
11 外装樹脂

Claims (8)

  1. 弁作用金属粉末の焼結体からなる陽極の表面に誘電体酸化皮膜を形成する工程と、前記焼結体に硝酸マンガン溶液を含浸して熱分解を行い前記誘電体酸化皮膜上に密接する二酸化マンガン層を形成する工程と、導電性高分子化合物懸濁水溶液に浸漬し前記二酸化マンガン層上に導電性高分子化合物層を形成する工程と、グラファイト粉末含有懸濁水溶液に浸漬し前記導電性高分子化合物層上にグラファイト層を形成する工程と、銀塗料層を形成し陰極層を形成する工程とを含むことを特徴する固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記導電性高分子化合物懸濁水溶液は、導電性高分子化合物の粉末および水溶性接着剤を含む懸濁水溶液であることを特徴とする、請求項1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記導電性高分子化合物懸濁水溶液はシランカップリング剤を含むことを特徴とする、請求項2記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記水溶性接着剤はポリアクリロニトリル、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチルまたはそれらの誘導体を含んでなることを特徴とする、請求項2または3記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記導電性高分子化合物の粉末は、ピロール、アニリン、チオフェン、フランまたはそれらの誘導体の重合体であることを特徴とする、請求項2、3または4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記二酸化マンガン層を形成する工程は前記焼結体を硝酸マンガン溶液に含浸した後に熱分解を行う過程を繰り返してなることを特徴とする、請求項1、2、3、4または5記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記グラファイト粉末含有懸濁水溶液は水溶性接着剤を含有することを特徴とする、請求項1、2、3、4、5または6記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記水溶性接着剤はポリアクリロニトリル、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチルまたはそれらの誘導体を用いてなることを特徴とする、請求項7記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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