JP5252421B2 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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その後、リード線と陽極端子を溶接により接続し、導電体層と陰極端子とを導電性接着剤で接続し、その後トランスファーモールドを行い、固体電解コンデンサを得る。
さらに、ESRが推定値より高い原因が、固体電解質層とカーボン層、または、カーボン層と導電体層との密着性や接触面積といった界面に起因する抵抗であることが判明している。そこで、カーボン層にカーボンナノチューブを含有させて、固体電解質層とカーボン層との密着性を改善させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、これらの問題を改善するために、導電体層を多層構造にして改善を図る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、導電体粒子の粒径が比較的小さい導電性ペーストを塗布した後に、比較的粒径の大きい導電性粒子を含む導電性ペーストを塗布して導電体層を形成する方法が提案されている。
また、導電体層形成時の熱処理温度を適正化させる方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらには、導電体層形成時に使用する導電性ペーストの導電体粒子をナノオーダーの粒径の小さいものに変えたり、マイクロオーダーの粒径の大きいものとナノオーダーの小さいものを混合したり、する方法が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
弁作用金属粉末を成形、焼結してなる焼結体の表面に形成した誘電体皮膜上に固体電解質層、カーボン層および導電体層を順次形成したコンデンサ素子に、導電性接着剤を介して陰極端子を接続する固体電解コンデンサにおいて、
前記固体電解質層と前記カーボン層との界面部、前記カーボン層と前記導電体層との界面部および前記導電体層と前記導電性接着剤との界面部の少なくとも1つの界面部に、導電性ナノ粒子のみで形成されたナノ導電体層を有し、
前記ナノ導電体層は、平均粒径が1〜50nmである導電性ナノ粒子を堆積させた堆積ナノ導電体層であり、
前記固体電解コンデンサは、
前記ナノ導電体層に沿って形成され、前記堆積ナノ導電体層を構成する前記導電性ナノ粒子を保持する導電性コーティング膜をさらに有することを特徴とする固体電解コンデンサである。
このように構成された発明によれば、上記各界面部の少なくとも1つの界面部に、導電性ナノ粒子のみで形成されたナノ導電体層を有している。すなわち、それぞれの界面にナノオーダーの超微細な導電性ナノ粒子のみからなる導電体層を形成することにより、各層間の接触面積が大きくなるため、密着性が向上して界面抵抗が低減する。よって、ESRを低くできると共に、誘電損失を小さくすることができる。
前記ナノ導電体層は、
ガス雰囲気中で導電性物質を蒸発させ、ガスとの衝突により冷却凝縮させて前記導電性ナノ粒子を形成し、前記導電性ナノ粒子を前記界面部に堆積させて形成し、
前記ナノ導電体層を形成した後に、高真空中で導電性物質を蒸発させ、前記導電性物質を前記ナノ導電体層の表面に薄膜状に凝着させて導電性コーティング膜を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
図1は、本発明の実施例1〜9及び比較例1によるコンデンサ素子を示す縦断面模式図である。図1(a)は、コンデンサ素子の全体を示す縦断面模式図である。図1(b)は、図1(a)の円形部分を拡大した拡大模式図である。図1(c)は、図1(b)の円形部分を拡大した拡大図である。
まず、弁作用金属粉末としてタンタル粉末を加圧成形し、焼結によりタンタル多孔質焼結体1を形成した。焼結体1は、タンタル製の陽極導出線9が引き出されている。そして、陽極酸化を行うことで焼結体1の表面に誘電体皮膜(タンタル酸化皮膜)2を形成した。
そこで、陽極導出線9およびコンデンサ素子上面20aに、バリアー層(マスキング)を形成すべく絶縁樹脂を塗布して(図示は省略する)、バリアー層上に、導電性ナノ粒子11aを堆積して堆積ナノ導電体層110を形成する処理を行う。
カーボン層4上に形成するナノ導電体層11の銀ナノ粒子11aを、各々平均粒径1nm、10nm、20nm、50nmとした。それ以外は実施例1と同じ作製条件とした。
カーボン層4上に形成するナノ導電体層11の堆積ナノ導電体層110の平均層厚さを、各々0.1μm、0.3μm、1.0μm、5.0μmとした。それ以外は実施例1と同じ作製条件とした。
図2は、本発明の比較例1によるコンデンサ素子を示す縦断面模式図である。図2(a)は、コンデンサ素子の全体を示す全体縦断面図である。図2(b)は、図2(a)の円形部分を拡大した拡大模式図である。図2(c)は、図2(b)の円形部分を拡大した拡大図である。
平均粒径5nmの銀ナノ粒子11aをカーボン層4表面に堆積させ、平均層厚さが0.5μmの堆積ナノ導電体層110を形成した。なお、真空蒸着による導電性コーティング膜111の形成は行わなかった以外は実施例1と同じ作製条件とした。
図3は、従来例1によるコンデンサ素子を示す縦断面模式図である。図3(a)は、コンデンサ素子を拡大した全体縦断面図である。図3(b)は、図3(a)の円形部分を拡大した拡大模式図である。図3(c)は、図3(b)の円形部分を拡大した拡大図である。
実施例1と同様の方法で、カーボン層4まで形成した後、従来の1.2μmの平均粒径をもつ銀マイクロ粒子5aを含む導電性ペーストに、カーボン層4形成後のもの(焼結体1+誘電体皮膜2+固体電解質層3+カーボン層4)を浸漬塗布して、カーボン層4の表面に沿って導電体層5を形成した。すなわち、カーボン層4形成後にナノオーダーの粒径を有する銀ナノ粒子11aの堆積と銀蒸着を行わなかった以外は実施例1と同じ作製条件とした。
図4は、従来例2によるコンデンサ素子を示す縦断面模式図である。図4(a)は、コンデンサ素子を拡大した全体縦断面模式図である。図4(b)は、図4(a)の円形部分を拡大した拡大模式図である。図4(c)は、図4(b)の円形部分を拡大した拡大図である。
実施例1と同様の方法で、カーボン層4を形成した後、従来の1.2μmの平均粒径を有する銀マイクロ粒子5aと平均粒径5nmを有する銀ナノ粒子11aとを混合させた導電性ペーストに、カーボン層4形成後のもの(焼結体1+誘電体皮膜2+固体電解質層3+カーボン層4)を浸漬塗布して、カーボン層4の表面に沿って、導電体層50を形成した。すなわち、カーボン層4形成後にナノオーダーの銀ナノ粒子11aの堆積と銀蒸着を行わなかった以外は実施例1と同じ作製条件とした。
図5は、従来例3によるコンデンサ素子を示す縦断面模式図である。図5(a)は、コンデンサ素子を拡大した全体縦断面模式図である。図5(b)は、図5(a)の円形部分を拡大した拡大模式図である。図5(c)は、図5(b)の円形部分を拡大した拡大図である。
実施例1と同様の方法で、カーボン層4を形成した後、平均粒径5nmのナノオーダーの粒径を有する銀ナノ粒子11aを80%含んだバインダー樹脂5bを有する導電性ペーストに、カーボン層4形成後のもの(焼結体1+誘電体皮膜2+固体電解質層3+カーボン層4)を浸漬塗布して、200℃で1時間乾燥させ、第一の導電体層51を形成した。その後、平均粒径1.2μmの銀マイクロ粒子5aを含む導電性ペーストを塗布し、同様に200℃で1時間乾燥させ、第二の導電体層5を形成した。すなわち、カーボン層4形成後にナノオーダーの粒径を有する銀ナノ粒子11aの堆積と銀蒸着を行わなかった以外は実施例1と同じ作製条件とした。
実施例1〜9、比較例1および従来例1〜3によるコンデンサ素子20の導電体層5と陰極端子7とを導電性接着剤6を介して接続し、それと同時に陽極導出線9と陽極端子8とを抵抗溶接により接続した。続いて、トランスファーモールド法により、外装10で封止した。以上の工程により、固体電解コンデンサ21を作製した。
そして、それぞれの固体電解質コンデンサ21において、100kHzでのESR[mΩ]と120Hzでの誘電損失[%]を比較した。各条件100個のデータの平均値を表1に示す。
すなわち、固体電解質層3とカーボン層4との界面部、カーボン層4と導電体層5との界面部および導電体層5と接着層6との界面部の少なくとも1つの界面部に導電性ナノ粒子11aを堆積することにより、本発明の効果が得られる。
2 誘電体皮膜
3 固体電解質層
4 カーボン層
4a カーボン粒子
4b カーボン層のバインダー樹脂
5 導電体層
5a 導電性マイクロ粒子
5b 導電体層のバインダー樹脂
6 導電性接着剤
7 陰極端子
8 陽極端子
9 陽極導出線
10 外装
11 ナノ導電体層
11a 導電性ナノ粒子
110 堆積ナノ導電体層
111 導電性コーティング膜
20 コンデンサ素子
20a コンデンサ素子の上面
21 固体電解コンデンサ
Claims (5)
- 弁作用金属粉末を成形、焼結してなる焼結体の表面に形成した誘電体皮膜上に、固体電解質層、カーボン層および導電体層を順次形成したコンデンサ素子に、導電性接着剤を介して陰極端子を接続する固体電解コンデンサにおいて、
前記固体電解質層と前記カーボン層との界面部、前記カーボン層と前記導電体層との界面部および前記導電体層と前記導電性接着剤との界面部の少なくとも1つの界面部に、導電性ナノ粒子のみで形成されたナノ導電体層を有し、
前記ナノ導電体層は、平均粒径が1〜50nmである導電性ナノ粒子を堆積させた堆積ナノ導電体層であり、
前記固体電解コンデンサは、
前記ナノ導電体層に沿って形成され、前記堆積ナノ導電体層を構成する前記導電性ナノ粒子を保持する導電性コーティング膜をさらに有することを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記ナノ導電体層および前記導電性コーティング膜が、前記カーボン層と前記導電体層との界面部に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記導電性ナノ粒子は、平均粒径が5〜20nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記ナノ導電体層は、平均層厚さが0.3〜1.0μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 弁作用金属粉末を成形、焼結してなる焼結体の表面に誘電体皮膜を形成した後、該誘電体皮膜上に固体電解質層、カーボン層および導電体層を順次形成したコンデンサ素子に、導電性接着剤を介して陰極端子を接続する固体電解コンデンサの製造方法において、
前記固体電解質層と前記カーボン層との界面部、前記カーボン層と前記導電体層との界面部および前記導電体層と前記導電性接着剤との界面部の少なくとも1つの界面部に、導電性ナノ粒子のみで形成されたナノ導電体層を形成し、
前記ナノ導電体層は、
ガス雰囲気中で導電性物質を蒸発させ、ガスとの衝突により冷却凝縮させて前記導電性ナノ粒子を形成し、前記導電性ナノ粒子を前記界面部に堆積させて形成し、
前記ナノ導電体層を形成した後に、高真空中で導電性物質を蒸発させ、前記導電性物質を前記ナノ導電体層の表面に薄膜状に凝着させて導電性コーティング膜を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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