JP2006253169A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高周波領域において、更なるESR特性の向上を図った固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】弁作用金属からなる陽極体11の表面に、誘電体酸化皮膜12と固体電解質層13と陰極層16が順次形成されてなる固体電解コンデンサであって、上記陰極層16の一部が銀層15からなり、この銀層15が銀ナノ粒子と銀粒子と有機バインダーが結合したものからなる固体電解コンデンサであり、銀層15の抵抗が低くなりESR特性に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は各種電子機器に使用される固体電解コンデンサおよびその製造方法に関するものである。
最近の電子機器のデジタル化に伴い、そこに使用される固体電解コンデンサとしても高周波領域において等価直列抵抗(以下、ESRと呼ぶ)の低いものへの要求が高まっている。
従来、この種の固体電解コンデンサは、図4に示されるような構成を有していた。
図4は従来の固体電解コンデンサの構成を示す断面図である。
図においては、61は、タンタル、アルミニウム、ニオブ、チタン等の弁作用金属からなる陽極体61である。弁作用金属の陽極体61の表面に誘電体酸化皮膜62を有し、誘電体酸化皮膜62の表面には、固体電解質層64とカーボン層65、銀層66からなる陰極層67が順次形成され、陽極体61に陽極引き出し部63が具備され、コンデンサ素子68が構成されている。
上記コンデンサ素子68の陽極引き出し部63には陽極導出部70が接続され、陰極層67には陰極導出部71が導電性接着剤層69で接続され、コンデンサ素子68全体を外装樹脂層72で被覆して固体電解コンデンサとしたものである。
従来における固体電解コンデンサでは、高周波領域における固体電解コンデンサのESRは、固体電解質層64と陰極層67と導電性接着剤層69の抵抗及び固体電解質層64と陰極層67との界面抵抗、陰極層67と導電性接着剤層69との界面抵抗、導電性接着剤層69と陰極導出部71との界面抵抗に影響される。
陰極層67の一部を構成する銀層66は、比抵抗や界面抵抗を下げるため鱗片状銀粒子または鱗片状銀粒子と球状銀粒子とを混合した銀粒子と有機バインダーの樹脂材の重量比を調整した銀ペーストを用いて形成している。
このような従来の技術としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
特開平05−159987号公報
しかしながら、鱗片状銀粒子または鱗片状銀粒子と球状銀粒子とを混合した銀粒子と有機バインダーの樹脂材の重量比を調整するだけでは、電子機器のデジタル化に伴う高周波領域におけるESRを満足する固体電解コンデンサは得られない課題があった。
これは、一般的な銀ペーストは平均粒径0.5〜20μmの鱗片状銀粒子またはこの鱗片状銀粒子と平均粒径0.1〜5μmの球状銀粒子との混合銀粒子と樹脂とを混合したものであることから、銀粒子間の導通部となる銀粒子と銀粒子との接触面積が充分でなく、銀層の抵抗を低くすることができないことが原因と考えられる。
本発明はこのような従来の課題を解決するもので、高周波領域において更なるESRの低減を図った固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明は、弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜と固体電解質層と陰極層が順次形成されてなる固体電解コンデンサであって、上記陰極層の少なくとも一部が銀層からなり、この銀層が銀ナノ粒子と銀粒子と有機バインダーとが結合したものからなり、上記銀ナノ粒子に対し上記銀粒子の平均粒径比を100〜2500倍とした固体電解コンデンサとするものである。
この構成とすることにより、高周波領域におけるESRの低い固体電解コンデンサが実現できることになる。
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、銀層は、有機溶剤中に分散された銀ナノ粒子の分散液と有機バインダーと上記銀ナノ粒子に対し平均粒径比が100〜2500倍の銀粒子を混合してなる銀ペーストを塗布し、硬化することにより形成するものである。
以上のように本発明の固体電解コンデンサは、銀層が銀ナノ粒子と平均粒径比がこの銀ナノ粒子に対し100〜2500倍の銀粒子と有機バインダーとが結合した構成としたことにより、銀ナノ粒子が銀粒子間に緻密に充填され、銀粒子間の接触面積が増加し銀層の抵抗を下げることが可能となり、ESRの低い固体電解コンデンサを得ることができるという効果を奏するものである。
本発明の実施の形態は、弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜と固体電解質層と少なくとも一部が銀層からなる陰極層が順次形成されたものであって、銀層が銀ナノ粒子と銀粒子と有機バインダーとが結合したものからなり、銀ナノ粒子に対し銀粒子の平均粒径比を100〜2500倍としたものである。銀層が銀ナノ粒子と銀粒子と有機バインダーとが結合した構成としたことにより、銀ナノ粒子が銀粒子間に緻密に充填され、銀粒子間の接触面積が増加し銀層の抵抗を下げることが可能となり、ESRの低い固体電解コンデンサを得ることができるという効果を奏する。
また銀層は、有機溶剤中に分散された銀ナノ粒子の分散液と有機バインダーと銀ナノ粒子に対し平均粒径比が100〜2500倍の銀粒子を混合してなる銀ペーストを固体電解質層またはカーボン層上に塗布し、硬化することにより形成するようにしたものである。有機溶剤中に分散された銀ナノ粒子の分散液を用いて有機バインダーの樹脂と銀粒子とを混合することにより、銀ナノ粒子が凝集することなく均一に銀ペーストに分散させることができる。
ここで、平均粒径とは粒子の粒度分布の累積分布曲線の累積が50%になるときの粒子径である。
(実施例1)
以下、本発明の実施例1における固体電解コンデンサについて、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施例1〜9における固体電解コンデンサの構成を示す断面図である。
図1において、陽極体11はアルミニウムの弁作用金属からなる箔であり、弁作用金属からなる陽極引き出し部17が具備されている。
誘電体酸化皮膜12は、陽極体11の表面に陽極酸化により形成された酸化アルミニウムからなる。
実施例1は、弁作用金属がアルミニウムであるが、タンタル、ニオブ、チタン等の弁作用金属でもよく、陽極体11は弁作用金属の箔、または弁作用金属の粉末からなる多孔質焼結体であってもよい。
固体電解質層13は、誘電体酸化皮膜12の表面に形成され、ポリピロールの導電性高分子からなる。また、実施例1は、固体電解質層13がポリピロールからなるが、ポリチオフェン、ポリアニリンの導電性高分子、または二酸化マンガンを含む酸化マンガン物からなってもよい。
さらに、固体電解質層13の表面に陰極層16が形成され、この陰極層16は、カーボン微粒子からなるカーボン層14の表面に平均粒子径4nmの球状の銀ナノ粒子と銀ナノ粒子に対し平均粒径比が1250倍の平均粒子径5μmの銀粒子と有機バインダーが均一に分散された銀層15が形成されたものである。
以上のように陽極体11の表面に誘電体酸化皮膜12と固体電解質層13と陰極層16を順次形成してコンデンサ素子18とし、さらにコンデンサ素子18の陽極引き出し部17にはリードフレームからなる陽極導出部20が接続され、陰極層16には銀粉末とエポキシ樹脂等とからなる導電性接着剤層19によりリードフレームからなる陰極導出部21が接続され、陽極導出部20、陰極導出部21の夫々の一部が露出するようにエポキシ樹脂等からなる外装樹脂層22で被覆されて固体電解コンデンサとしたものである。
なおコンデンサ素子18を積層し、陽極導出部20、陰極導出部21に接続してもよい。
図2は、本発明の銀層15における銀ナノ粒子と銀粒子の状態を示す概念図である。本実施例1によれば、上記の構成により、銀層15を平均粒子径4nmの球状の銀ナノ粒子31とこの銀ナノ粒子に対し平均粒径比が1250倍の平均粒子径5μmの銀粒子32と有機バインダーとが結合することにより、図2に示すように有機バインダーにより銀ナノ粒子31、銀粒子32の粒子の接触を固定した状態で、銀ナノ粒子31が銀粒子32間に緻密に充填され、銀粒子32間の接触面積が増加し銀層15の抵抗を下げることができESRの低い固体電解コンデンサを得ることができるという効果を奏する。
さらに、上記の構成により、陰極層16をカーボン層14と銀層15とで構成することにより、銀ナノ粒子31が、カーボン層14と銀粒子32間に緻密に充填され、カーボン層14と銀層15との界面抵抗を下げることができ、更にESRの低い固体電解コンデンサを得ることができるという効果を奏する。
また、実施例1の陰極層16は、銀層15のみで構成してもよく、銀ナノ粒子31が、固体電解質層13と銀粒子32間に緻密に充填され、固体電解質層13と銀層15との界面抵抗を下げることができる。
次に、以上のように構成された実施例1の固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
まず、厚さ100μmの弁作用金属であるアルミニウムの金属箔の表面を電気化学的にエッチング処理することにより粗面化する。
次に、粗面化されたアルミニウム箔を3%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬して印加電圧12V、水溶液温度70℃で60分間の条件で陽極酸化する。これにより誘電体酸化皮膜12の一部となる酸化アルミニウム層を形成する。
次に、陽極酸化皮膜層12の一部が形成されたアルミニウム箔を幅6mmの帯状に加工し、更に帯状のアルミニウム箔を櫛形状にプレス成形し、誘電体酸化皮膜12の一部が形成された陽極体11とする。
次に、櫛形状のアルミニウム箔の断面部を上記陽極酸化と同様に化成処理して酸化アルミニウム層を形成し、櫛形状のアルミニウム箔の粗面化部と断面部の表面に酸化アルミニウム層からなる誘電体酸化皮膜12を形成する。
次に、陽極体11を硝酸マンガン30%水溶液に浸漬し、自然乾燥させた後、300℃、10分間の条件で熱分解処理を行うことによって、固体電解質層13の一部となる導電層としての酸化マンガン層を形成する。
次に、まずピロールモノマー0.5mol/Lとプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.1mol/Lとをあらかじめ混合する。この混合液に、溶媒である水とpH調整剤であるプロピルリン酸エステルとを添加しpHを2に調整し固体電解質形成用重合液とする。
この固体電解質形成用重合液中に酸化マンガン層が形成された陽極体11を浸漬し、重合開始用電極を陽極体11の表面に近接させ重合電圧1.5Vで電解酸化重合を行い、導電層の表面に導電性高分子層を積層させて固体電解質層13を形成する。
その後、粒子径5μm以下のコロイダルカーボン懸濁液に陽極体11を浸漬することによってコロイダルカーボン懸濁液を固体電解質層13上に塗布し、乾燥させてカーボン層14を形成する。
次に、銀層15をカーボン層14上に銀ペーストを用いて形成する。
この銀ペーストの作製は、まず、平均粒子径4nmの球状の銀ナノ粒を30質量部と、分散剤としてアミン化合物のドデシルアミン1質量部と、有機溶剤としてトルエン60質量部とを混合し、アルキル基を有した化合物が被覆された銀ナノ粒子を均一に分散し、有機溶剤中に分散された銀ナノ粒子の分散液を作製する。
また、銀ナノ粒子の分散液において、アミン化合物としてはアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアミン等が挙げられ、エタノールアミンやヒドロキシアミン等を用いることができる。有機溶媒としては、テルピネオール、トルエン、キシレン、テトラデカン等を用いることができる。
次に、上記銀ナノ粒子の分散液50質量部と、有機バインダーとして熱硬化性樹脂のノボラック型フェノール樹脂を0.5質量部と、酸無水物としてノネニル無水コハク酸を4.4質量部とを混合し攪拌を行い、均一に分散された銀ナノ粒子のペーストを作製する。
有機バインダーとしては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
続いて、上記銀ナノ粒子のペースト40質量部に銀粒子を銀ナノ粒子に対し平均粒径比をそれぞれ1250倍とした平均粒径5μmの銀粒子を60質量部添加し、これらを十分に攪拌し混合して銀ペーストとする。
上記のように作製した銀ペーストに陽極体11を浸漬することによって銀ペーストをカーボン層14上に塗布し180〜230℃で10分〜60分間熱処理して硬化させて銀層15を形成して、カーボン層14上に銀層15が積層された陰極層16を形成する。
なお、銀層15は銀ペーストを印刷によってカーボン層上14に塗布して形成してもよい。
次に、櫛状のアルミニウム箔を打ち抜いて陽極引き出し部17とし、コンデンサ素子18を得る。
次に、コンデンサ素子18の陽極引き出し部17にリードフレームからなる陽極導出部20を接続し、また陰極層16に銀粉末とエポキシ樹脂等とからなる導電性接着剤層19によりリードフレームからなる陰極導出部21を接続して、陽極導出部20、陰極導出部21の夫々の一部が露出するようにエポキシ樹脂等からなる外装樹脂層22で被覆して固体電解コンデンサを得る。この固体電解コンデンサの定格は6.3V、10μFである。
(実施例2〜5)
実施例2〜5では、銀粒子を平均粒子径4nmの球状の銀ナノ粒子に対し平均粒径比をそれぞれ100、200、250、2500倍とし平均粒子径0.4μm、0.8μm、1μm、10μmとした以外は、上記実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例1、2)
比較例1,2では、銀粒子を平均粒子径4nmの球状の銀ナノ粒子に対し平均粒径比をそれぞれ50、3750とした平均粒子径0.2μm、15μmとした以外は、上記実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例3)
比較例3では、銀ペーストとして平均粒子径5μmの球状の銀粒子を100質量部と、ノボラック型フェノール樹脂を20質量部とを混合し攪拌を行って作製したものを用いた以外は、上記実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した(定格:6.3V、10μF)。
(比較例4)
比較例4では、銀ペーストとして平均粒子径1μmの球状の銀粒子を50質量部と、上記球状の銀粒子に対し平均粒径比を5倍とした平均粒子径5μmの鱗片状銀粒子を50質量部と、ノボラック型フェノール樹脂を20質量部とを混合し攪拌を行って作製したものを用いた以外は、上記実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した(定格:6.3V、10μF)。
上記実施例1〜5及び比較例1〜4による固体電解コンデンサを周波数100kHzで測定したESR特性を(表1)に示す。
Figure 2006253169
(表1)から明らかなように、実施例1〜5の固体電解コンデンサはESRの値が35mΩ以下となり、比較例1、2のESRの値より小さく特に比較例3、4に比べ著しく小さくなる。
平均粒径比が100倍より小さい場合、銀粒子の表面に接触する銀ナノ粒子が減少し銀粒子間の銀層15の抵抗が高くなる。
平均粒子径比が2500倍より大きい場合、銀ペーストの銀ナノ粒子と銀粒子とを均一に分散させることが難しくなり、銀層15の抵抗が高くなる。
以上の結果から、銀ナノ粒子に対し銀粒子の平均粒径比が100〜2500倍が望ましい。
銀ナノ粒子は、粒子径1〜100nmの分布範囲で平均粒子径が1〜20nmのものが望ましい。銀層15を形成する際の銀ペーストの熱処理により、銀ナノ粒子と銀ナノ粒子、銀ナノ粒子と銀粒子の接触表面で融着され接続面積が増加し、銀層15の抵抗が下がる。
次に以下、本発明の実施例6〜9における固体電解コンデンサの製造方法について図面を参照しながら説明する。
実施例6〜9と実施例1との相違点は、実施例6、7については銀ナノ粒子のペーストと銀粒子の混合比であり、実施例8、9については導電性高分子からなる固体電解質層13の構成材料、作製条件および方法である。
(実施例6)
実施例6は、銀ペーストとして均一に分散された平均粒子径4nmの球状の銀ナノ粒子のペースト30質量部と、銀粒子を上記銀ナノ粒子に対し平均粒径比を1250倍とした平均粒子径5μmの銀粒子を70質量部とを混合し攪拌を行って作製したものを用いた以外は、上記実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した(定格:6.3V、10μF)。
(実施例7)
実施例7では、銀ペーストとして均一に分散された平均粒子径4nmの球状の銀ナノ粒子のペースト20質量部と、銀粒子を上記銀ナノ粒子に対し平均粒径比を1250倍とした平均粒子径5μmの銀粒子を80質量部とを混合し攪拌を行って作製したものを用いた以外は、上記実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した(定格:6.3V、10μF)。
(実施例8)
実施例8では、誘電体酸化皮膜12の表面に可溶性ポリアニリン5%水溶液に浸漬し自然乾燥させた後、200℃で5分間熱処理を行うことによって固体電解質層13の一部となる導電性高分子層を形成する。次に、ピロールモノマー0.2mol/リットルとナフタレンスルホン酸誘導体0.1mol/リットルを水およびプロピルアルコールの混合溶媒に溶解した固体電解質形成用重合液を作製し、この重合液中で重合開始用電極を陽極体11の表面に近接させ、重合電圧1.5Vで電解重合を行ってポリピロールからなる固体電解質層13を形成した以外は、上記実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した(定格:6.3V、10μF)。
(実施例9)
実施例9では、誘電体酸化皮膜12の表面にチオフェンモノマー0.05mol/リットルとナフタレンスルホン酸誘導体0.03mol/リットルを水およびエタノールの混合溶媒に溶解した固体電解質形成用重合液を作製し、この重合液中で重合開始用電極を陽極体11の表面に近接させ、重合電圧1.5Vで電解重合を行って固体電解質層13を形成した以外は上記実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
上記実施例1、実施例6〜9及び比較例3、4による固体電解コンデンサを周波数100kHzで測定したESR特性を(表2)に示す。
Figure 2006253169
(表2)から明らかなように、実施例6〜9の固体電解コンデンサは実施例1と同様にESRの値が35mΩ以下となり、比較例1及び比較例2のESRの値より著しく小さい。
(実施例10)
以下、本発明の実施例10における固体電解コンデンサの製造方法について図面を参照しながら説明する。
図3は本発明の実施例10における固体電解コンデンサの構成を示す断面図である。
まず弁作用金属であるタンタル粉末を押し固めた成形体に、弁作用であるタンタル線からなる陽極引き出し部47を埋設した後、焼結し、タンタル金属からなる多孔質体の陽極体41を作製する。
次に、リン酸水溶液を用いて陽極酸化処理することにより陽極体41の表面に誘電体酸化皮膜42となる酸化タンタル層を形成する。
次に、誘電体酸化皮膜42が形成された陽極体41を硝酸マンガン25〜75%水溶液に浸漬した後、200〜300℃、5〜10分間の条件で熱分解処理を行い、この操作を5〜15回繰り返し行うことによって、ニ酸化マンガン層からなる固体電解質層43を形成する。
その後、コロイダルカーボン懸濁液を塗布、乾燥することによってカーボン層44を形成し、実施例1と同じ条件および方法で作製した銀ペーストを浸漬により塗布し180〜230℃で10分〜60分間熱処理して硬化することによって銀層45を形成して陰極層46とする。これをもってコンデンサ素子48とする。
次にコンデンサ素子48の陽極引き出し部47にリードフレームからなる陽極導出部50を接続し、また陰極層46に銀粉末とエポキシ樹脂等とからなる導電性接着剤層49によりリードフレームからなる陰極導出部51を接続して、陽極導出部50、陰極導出部51の夫々の一部が露出するようにエポキシ樹脂等からなる外装樹脂層52で被覆して固体電解コンデンサが得られる。この固体電解コンデンサの定格は10V、220μFである。
(比較例5)
比較例5では、銀ペーストとして平均粒子径5μmの銀粒子を100質量部と、ノボラック型フェノール樹脂を20質量部とを混合し攪拌を行って作製したものを用いた以外は、実施例10と同様にして固体電解コンデンサを作製した(定格:10V、220μF)。
(比較例6)
比較例6では、銀ペーストとして平均粒子径1μmの球状の銀粒子を50質量部と、上記球状の銀粒子に対し平均粒径比を5倍とした平均粒子径5μmの鱗片状銀粒子を50質量部とに、ノボラック型フェノール樹脂を20質量部を混合し攪拌を行って作製したものを用いた以外は実施例10と同様にして固体電解コンデンサを作製した(定格:10V、220μF)。
上記実施例10と比較例5、6の固体電解コンデンサを周波数100kHzで測定したESR特性を(表3)に示す。
Figure 2006253169
(表3)から明らかなように、実施例10の固体電解コンデンサは、ESRの値が70mΩとなり、比較例5及び比較例6のESRの値より小さい。
なお、上記実施例1〜10では、銀粒子として球状形状を用いたが、鱗片状形状を用いても同様の効果が得られる。
本発明は、電子機器のデジタル化に伴って要求される小形大容量の固体電解コンデンサのESRを高周波領域において低くすることに利用される。
本発明の実施例1〜9の固体電解コンデンサの構成を示す断面図 本発明の銀層における銀ナノ粒子と銀粒子の状態を示す概念図 本発明の実施例10の固体電解コンデンサの構成を示す断面図 従来の固体電解コンデンサの構成を示す断面図
符号の説明
11 陽極体
12 誘電体酸化皮膜
13 固体電解質層
14 カーボン層
15 銀層
16 陰極層
17 陽極引き出し部
18 コンデンサ素子
19 導電性接着剤層
20 陽極導出部
21 陰極導出部
31 銀ナノ粒子
32 銀粒子

Claims (2)

  1. 弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜と固体電解質層と陰極層が順次形成されてなる固体電解コンデンサであって、上記陰極層の少なくとも一部が銀層からなり、この銀層が銀ナノ粒子と銀粒子と有機バインダーとが結合したものからなり、上記銀粒子の平均粒径比を上記銀ナノ粒子に対し100〜2500倍としたことを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜と固体電解質層と少なくとも一部が銀層からなる陰極層を順次形成し、上記銀層は、有機溶剤中に分散された銀ナノ粒子の分散液と、有機バインダーと、平均粒径比が上記銀ナノ粒子に対し100〜2500倍の銀粒子とを混合してなる銀ペーストを上記カーボン層上に塗布し硬化することにより形成する固体電解コンデンサの製造方法。
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