JPWO2020075708A1 - 強化ガラスおよび強化ガラスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

表面および厚さTを有する強化ガラスであって、圧縮応力を正の数、引張応力を負の数として表面から深さ方向に応力を測定して得られる応力プロファイルが、表面において圧縮応力が最大となる第1ピークP1と、第1ピークP1から深さ方向に漸減して応力が極小となる第1ボトムB1と、第1ボトムB1から深さ方向に応力が漸増して圧縮応力が極大となる第2ピークP2と、第2ピークP2から深さ方向に漸減し引張応力が最小となる第2ボトムB2と、を備え、第1ピークP1における圧縮応力CSmaxが500MPa以上であり、第2ピークP2における圧縮応力CSpが15MPa〜250MPaであり、第2ピークP2の深さDOLpが厚さTの4%〜20%である。

Description

本発明は、強化ガラスおよびその製造方法に関し、特に、携帯電話、デジタルカメラ、PDA(携帯端末)、タッチパネルディスプレイのカバーガラスに好適な強化ガラスおよびその製造方法に関する。
携帯電話(特にスマートフォン)、デジタルカメラ、PDA、タッチパネルディスプレイ、大型テレビ、非接触給電等のデバイスは、益々普及する傾向にある。これらの用途には、イオン交換処理された強化ガラスが用いられている。また、近年では、デジタルサイネージ、マウス、スマートフォン等の外装部品に強化ガラスを使用することが増えてきている。
強化ガラスは、イオン交換処理によって形成された圧縮応力層を表面に有することにより、表面におけるクラックの形成および進展を抑制し、高い強度を得られる。強化ガラスの強度は、このような圧縮応力層の形成態様を調整することにより向上できるものと考えられている(例えば、特許文献1)。
国際公開第2013/088856号
しかしながら、より高い耐衝撃性を得ることについては未だ改良の余地が残されていた。
本発明は、従来技術に比べ、より高い耐衝撃性を有する強化ガラスを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために創案された本発明は、表面および厚さTを有する強化ガラスであって、圧縮応力を正の数、引張応力を負の数として表面から深さ方向に応力を測定して得られる応力プロファイルが、表面において圧縮応力が最大値となる第1ピークと、第1ピークから深さ方向に漸減して応力が極小値となる第1ボトムと、第1ボトムから深さ方向に漸増して圧縮応力が極大値となる第2ピークと、第2ピークから深さ方向に漸減して引張応力が最小値となる第2ボトムと、を備え、第1ピークにおける圧縮応力が500MPa以上であり、第2ピークにおける圧縮応力が15MPa〜250MPaであり、第2ピークが厚さTの4%〜20%の深さに存在することを特徴とする。本発明者等の鋭意研究の結果、このような応力プロファイルを有する強化ガラスであれば、高い耐衝撃性を有することが確認されている。特に、第2ピークの圧縮応力(極大値)とその深さ方向の位置とを上記の数値範囲とすることが、耐衝撃性を高める上で重要である。
上記の構成において、応力プロファイルは、第2ピークと第2ボトムとの間において応力がゼロとなる応力ゼロ点を有し、応力ゼロ点が表面から厚さTの10%〜35%の深さに存在することが好ましい。このようにすれば、圧縮応力を深くまで発生させることができるため、耐衝撃性が向上することが期待できる。
上記の構成において、第1ボトムにおける応力は、−50MPa〜+100MPaであることが好ましい。このようにすれば、圧縮応力と引張応力とのバランスを保つために、第2ボトムにおける引張応力を相対的に小さくすることができるため、耐衝撃性が向上することが期待できる。
上記の構成において、第1ボトムにおける応力は、0MPa以上+65MPa以下であることが好ましい。このようにすれば、強化ガラスの表層部に引張応力が生じないため、強化ガラスの製造工程中で割れが生じるのを抑制できる。
上記の構成において、第1ボトムにおける応力は、−30MPa以上0MPa未満であることが好ましい。このようにすれば、圧縮応力と引張応力とのバランスを保つために、第2ボトムにおける引張応力が相対的に小さくなるため、耐衝撃性が向上することが期待できる。
上記の構成において、第1ボトムが、表面から厚さTの0.5%〜12%の深さに存在することが好ましい。
上記の構成において、第1ボトムから第2ピークまでの深さ方向の距離が、厚さTの3%以上であることが好ましい。
上記の構成において、第1ピークにおける圧縮応力が700MPa以上であり、第2ピークが表面から厚さTの7.3%以深に存在することが好ましい。
上記の構成において、厚さTが0.3mm〜0.9mmであり、主表面および端面に前記応力プロファイルを有することが好ましい。
上記の構成において、厚さTが0.45mm以上0.85mm以下の範囲内であり、第1ピークにおける圧縮応力が700MPa以上850MPa以下の範囲内であり、第2ピークにおける圧縮応力が20MPa以上80MPa以下の範囲内であり、第2ピークが表面から厚さTの7.3%以上20%以下の深さの範囲内に存在し、応力プロファイルは、第2ピークと第2ボトムとの間において応力がゼロとなる応力ゼロ点を有し、応力ゼロ点が表面から厚さTの17%以上25%以下の深さの範囲内に存在し、引張応力の最大絶対値が40MPa以上60MPa以下の範囲内であることが好ましい。
上記の構成において、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜70%、Al 10〜30%、B 0〜10%、LiO 2〜11%、NaO 5〜25%、KO 0〜10%、MgO 0〜6%、ZnO 0〜10%、P 0〜20%を含有することが好ましい。
上記の課題を解決するために創案された本発明は、第1アルカリ金属イオンを含む強化用ガラスにイオン交換処理を施して、強化ガラスを得る強化ガラスの製造方法であって、強化用ガラスに、第1アルカリ金属イオンよりイオン半径の大きな第2アルカリ金属イオンを含む第1溶融塩を接触させ、第2アルカリ金属イオンを強化用ガラスに導入する第1イオン交換工程と、第1イオン交換工程の後、強化用ガラスに第1アルカリ金属イオンを含む第2溶融塩を接触させ、第2アルカリ金属イオンの少なくとも一部を強化用ガラスから離脱させる第2イオン交換工程と、第2イオン交換工程の後、強化用ガラスに第2アルカリ金属イオンを含む第3溶融塩を接触させ、第2アルカリ金属イオンを強化用ガラスに導入する第3イオン交換工程と、を備えることを特徴とする。このような工程を有する強化ガラスの製造方法であれば、高い耐衝撃性を有する強化ガラスを得ることができる。
上記の構成において、第1イオン交換工程において、強化用ガラスの表面から厚さTの10.5%以上の深さまで第2アルカリ金属イオンを導入し、第2イオン交換工程において、強化用ガラスの表面から厚さTの10%より浅い領域までの第2アルカリ金属イオンの少なくとも一部を離脱させ、第3イオン交換工程において、強化用ガラスの表面から厚さTの7%より浅い領域まで第2アルカリ金属イオンを導入することが好ましい。この場合、上記の深さより深い領域では、アルカリ金属イオンを導入離脱させないことが好ましい。このようにすれば、高い耐衝撃性を有する強化ガラスをより確実に得ることができる。
上記の構成において、第1アルカリ金属イオンがNaイオンであり、第2アルカリ金属イオンがKイオンであり、第1溶融塩は、KNOを含み、第2溶融塩は、NaNOを含み、第3溶融塩は、KNOを含むことが好ましい。
上記の構成において、第1アルカリ金属イオンがNaイオンであり、第2アルカリ金属イオンがKイオンであり、第1溶融塩は、NaNOおよびKNOのうち、少なくともKNOを含み、第2溶融塩は、NaNOおよびKNOのうち、少なくともNaNOを含み、第1溶融塩は、KNO濃度がNaNO濃度よりも高く、第2溶融塩は、NaNO濃度がKNO濃度よりも高いことが好ましい。このようにすれば、第1イオン交換工程および第2イオン交換工程を効率よく実施することができる。
この場合、第1溶融塩に占めるKNOの濃度が、50質量%以上であり、第1溶融塩に占めるNaNOの濃度が、50質量%未満であり、第2溶融塩に占めるNaNOの濃度が、60質量%以上であり、第2溶融塩に占めるKNOの濃度が、40質量%以下であり、第3溶融塩に占めるKNOの濃度が、第1溶融塩に占めるKNOの濃度よりも高く、第1イオン交換工程のイオン交換処理温度は、420〜500℃であり、第2イオン交換工程のイオン交換処理温度は、420〜500℃であり、第3イオン交換工程のイオン交換処理温度は、第1イオン交換工程のイオン交換処理温度よりも10℃以上低く、第1イオン交換工程のイオン交換処理時間は、2〜40時間であり、第2イオン交換工程のイオン交換処理時間は、2〜40時間であり、第3イオン交換工程のイオン交換処理時間は、第1イオン交換工程および第2イオン交換工程のそれぞれのイオン交換処理時間よりも短いことが好ましい。
上記の課題を解決するために創案された本発明は、第1アルカリ金属イオンを含む強化用ガラスにイオン交換処理を施して、強化ガラスを得る強化ガラスの製造方法であって、強化用ガラスに、第1アルカリ金属イオンよりイオン半径の大きな第2アルカリ金属イオンを含む第1溶融塩を接触させ、強化用ガラスに第2アルカリ金属イオンを導入する第1イオン交換工程と、第1イオン交換工程の後、強化用ガラスに第2アルカリ金属イオンよりもイオン半径の大きな第3アルカリ金属イオンと、第1アルカリ金属イオンと、を含む第2溶融塩を接触させ、第2アルカリ金属イオンの少なくとも一部を強化用ガラスから離脱させるとともに、第3アルカリ金属イオンを強化用ガラスに導入する第2イオン交換工程と、を備えることを特徴とする。このような工程を有する強化ガラスの製造方法であれば、高い耐衝撃性を有する強化ガラスを得ることができる。
上記の構成において、第2イオン交換工程において、強化用ガラスの表面から厚さTの7%より浅い領域まで第3アルカリ金属イオンを導入することが好ましい。この場合、上記の深さより深い領域では、アルカリ金属イオンを導入離脱させないことが好ましい。このようにすれば、高い耐衝撃性を有する強化ガラスをより確実に得ることができる。
上記の構成において、強化用ガラスが、第2アルカリ金属イオンをさらに含むことが好ましい。
上記の構成において、第1アルカリ金属イオンがLiイオンであり、第2アルカリ金属イオンがNaイオンであり、第3アルカリ金属イオンがKイオンであり、第2溶融塩に含まれるLiイオン濃度が100質量ppm以上であることが好ましい。
上記の構成において、第1溶融塩は、NaNOを含み、第2溶融塩は、LiNOおよびKNOを含むことが好ましい。
上記の構成において、第1アルカリ金属イオンがLiイオンであり、第2アルカリ金属イオンがNaイオンであり、第3アルカリ金属イオンがKイオンであり、第1溶融塩は、NaNOおよびKNOのうち、少なくともNaNOを含み、第1溶融塩は、NaNO濃度がKNO濃度よりも高く、第2溶融塩は、LiNOおよびKNOを含み、第2溶融塩は、LiNO濃度がKNO濃度よりも低いことが好ましい。このようにすれば、第1イオン交換工程および第2イオン交換工程を効率よく実施することができる。
この場合、第1溶融塩に占めるNaNOの濃度が、50質量%以上であり、第1溶融塩に占めるKNOの濃度が、50質量%未満であり、第2溶融塩に占めるLiNOの濃度が、0.5〜5質量%であり、第2溶融塩に占めるKNOの濃度が、95〜99.5質量%であり、第1イオン交換工程のイオン交換処理温度は、350〜480℃であり、第2イオン交換工程のイオン交換処理温度は、350〜480℃であり、第1イオン交換工程のイオン交換処理時間は、1〜20時間であり、第2イオン交換工程のイオン交換処理時間は、第1イオン交換工程のイオン交換処理時間よりも短いことが好ましい。
上記の構成において、第1イオン交換工程において、強化用ガラスの表面から厚さTの10%より深い領域まで第2アルカリ金属イオンを導入し、第2イオン交換工程において、強化用ガラスの表面から厚さTの10%より浅い領域における前記第2アルカリ金属イオンの少なくとも一部を離脱させることが好ましい。この場合、上記の深さより深い領域では、アルカリ金属イオンを導入離脱させないことが好ましい。
上記の構成において、第1溶融塩は、第2アルカリ金属イオンおよび第3アルカリ金属イオンを含むことが好ましい。
本発明によれば、従来技術に比べ、より高い耐衝撃性を有する強化ガラスを得られる。
本発明の第1実施形態に係る強化ガラスの断面を示す概略図である。 本発明の第1実施形態に係る強化ガラスの厚さ方向の応力プロファイルの概略を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係る強化ガラスの製造方法のフロー図である。 本発明の第2実施形態に係る強化ガラスの製造方法のフロー図である。 試料No.1に係る強化ガラスの応力プロファイルを示すグラフである。 試料No.2に係る強化ガラスの応力プロファイルを示すグラフである。 試料No.3に係る強化ガラスの応力プロファイルを示すグラフである。 試料No.4に係る強化ガラスの応力プロファイルを示すグラフである。 試料No.10に係る強化ガラスの応力プロファイルを示すグラフである。 試料No.38に係る強化ガラスの応力プロファイルを示すグラフである。 試料No.49に係る強化ガラスの応力プロファイルを示すグラフである。 試料No.140に係る強化ガラスの応力プロファイルを示すグラフである。 本発明の実施例における落下試験方法を示す概略図である。 本発明の実施例における破壊高さと計算強度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る強化ガラスについて説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る強化ガラス1は、イオン交換により化学強化された板状の化学強化ガラスであり、圧縮応力層2と、引張応力層3と、を備える。強化ガラス1の厚さTは任意に定めてよいが、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.8mm以下、1.6mm以下、1.4mm以下、1.2mm以下、1.0mm以下、0.9mm以下、0.85mm以下、更に好ましくは0.8mm以下で、好ましくは0.03mm以上、0.05mm以上、0.1mm以上、0.15mm以上、0.2mm以上、0.25mm以上、0.3mm以上、0.35mm以上、0.4mm以上、0.45mm以上、0.5mm以上、0.6mm以上、更に好ましくは0.65mm以上である。
圧縮応力層2は、強化ガラス1の主表面1aおよび端面1bを含む表層部に形成されている。引張応力層3は、強化ガラス1の内部、すなわち、圧縮応力層2よりも深い位置に形成されている。
強化ガラス1の応力プロファイル(応力分布)は、圧縮応力を正の数、引張応力を負の数として、主表面1a側から深さ方向(主表面1aと直交する方向)に応力を測定して得られる。このようにして得られた強化ガラス1の応力プロファイルは、例えば、図2のように示される。図2のグラフにおいて、縦軸は応力を示し、横軸は一方の主表面1aを基準とした厚さ方向の位置(深さ)を示す。図2のグラフにおいて、正の値の応力は圧縮応力を示し、負の値の応力は引張応力を示す。すなわち、図2のグラフにおける応力は絶対値が大きいほど大きな応力であることが示される。なお、図2は理解のため誇張された概念図であり、強化ガラス1の応力プロファイルはこの態様に限られるものでない。
強化ガラス1の応力プロファイルは、主表面1a側から深さ方向(主表面1aと直交する方向)に順に、第1ピークP1、第1ボトムB1、第2ピークP2および第2ボトムB2を備える。
第1ピークP1は、圧縮応力の最大値であり、主表面1aに存在する。第1ピークP1の圧縮応力CSmaxは、500MPa以上であり、好ましくは600MPa〜1100MPaであり、より好ましくは600MPa〜1000MPa、700MPa〜900MPa、750MPa〜850MPaである。
第1ボトムB1では、第1ピークP1から深さ方向に応力が漸減し、応力が極小値をとる。第1ボトムB1の応力CSbは、図2では圧縮応力(正の値)となる場合を例示しているが、引張応力(負の値)となる場合もある。第1ボトムB1の応力CSbは、低いほど第2ボトムB2の引張応力CTmaxが低下し、破損時の挙動を緩慢にする。第1ボトムB1の応力CSbは、好ましくは+100MPa以下であり、より好ましくは+90MPa以下、+80MPa以下、+70MPa以下、+60MPa以下である。しかし第1ボトムB1の応力CSbが低すぎると、強化工程中に表面にクラックを発生させ、視認性を悪化させる。第1ボトムB1の応力CSbは、好ましくは−50MPa以上であり、より好ましくは−45MPa以上、−40MPa以上、−35MPa以上、−30MPa以上である。第1ボトムB1の応力CSbは、0MPa以上+65MPa以下であってもよいし、−30MPa以上0MPa未満であってもよい。第1ボトムB1の深さDOLbは、好ましくは厚さTの0.5%〜12%であり、より好ましくは厚さTの1%〜7%である。
第2ピークP2では、第1ボトムB1から深さ方向に応力が漸増し、応力が極大値をとる。第2ピークP2の応力CSpは、圧縮応力である。第2ピークP2の圧縮応力CSpは、15MPa〜250MPaであり、好ましくは15MPa〜240MPa、15MPa〜230MPa、15MPa〜220MPa、15MPa〜210MPa、15MPa〜200MPa、15MPa〜190MPa、15MPa〜180MPa、15MPa〜175MPa、15MPa〜170MPa、15MPa〜165MPa、15MPa〜160MPa、18MPa〜100MPaであり、より好ましくは20MPa〜80MPaである。第2ピークP2の深さDOLpは、厚さTの4%〜20%であり、好ましくは厚さTの4%〜19%、4%〜18.5%、4%〜18%、4%〜17.5%、4%〜17%であり、より好ましくは4.5%〜17%、5%〜17%、6%〜17%、7.3%〜17%、8%〜15%である。
第1ボトムB1から第2ピークP2までの深さ方向の距離、すなわち、DOLp−DOLbは厚さTの3%以上であり、好ましくは厚さTの4%以上であり、より好ましくは厚さTの5%〜13%である。
第2ボトムB2では、第2ピークP2から応力が深さ方向に漸減し、引張応力の最小値(絶対値は最大値)をとる。第2ボトムB2の引張応力CTmaxの絶対値は70MPa以下、好ましくは65MPa以下、60MPa以下、より好ましくは40MPa〜55MPaである。
第2ボトムB2の引張応力CTmaxと厚さTとの積は、好ましくは−70MPa・mm以上であり、より好ましくは−65MPa・mm以上、−60MPa・mm以上、−55MPa・mm以上である。また、第2ボトムB2の引張応力CTmaxと厚さTとの積は、好ましくは−5MPa・mm以下、−10MPa・mm以下、−15MPa・mm以下、−20MPa・mm以下、−25MPa・mm以下、−30・mmMPa以下である。
第2ピークP2と第2ボトムB2との間には、応力がゼロとなる応力ゼロ点Zがある。通常、応力ゼロ点Zの深さDOLzeroは厚さTの20%を越えることが困難で、物理的にも22%程度が限界となるが、本実施形態ではその限界値を越えるDOLzeroを得ることができる。応力ゼロ点Zの深さDOLzeroは大きいほど突起物貫入に対する強度が高くなり、好ましくは厚さTの10%以上、10.5%以上、11%以上、11.5%以上、12%以上、12.5%以上、13%以上、13.5%以上、14%以上、14.5%以上、15%以上、15.5%以上、16%以上、16.5%以上、17%以上、17.5%以上、18%以上であり、より好ましくは18.5%以上、19%以上、19.5%以上、20%以上、20.5%以上、21%以上、21.5%以上、22.0%以上、22.5%以上、23%以上、23.5%以上で、最も好ましくは24%以上である。しかし、応力ゼロ点Zの深さDOLzeroが過剰に大きくなると、第1ボトムB1や第2ボトムB2において過剰な引張応力を生じさせる虞がある。よって、応力ゼロ点Zの深さDOLzeroは、好ましくは厚さTの35%以下、34.5%以下、34%以下、33.5%以下、33%以下、32.5%以下、32%以下、31.5%以下、31%以下、30.5%以下、30%以下、29.5%以下、29%以下、28.5%以下、28%以下で、より好ましくは27%以下である。
ここで、本実施形態では、強化ガラス1は、端面1bにも同様の応力プロファイルを有する。すなわち、強化ガラス1の応力プロファイルは、端面1bにおいて圧縮応力が最大値となる第1ピークと、第1ピークから深さ方向に漸減して応力が極小値となる第1ボトムと、第1ボトムから深さ方向に漸増して圧縮応力が極大値となる第2ピークと、第2ピークから深さ方向に漸減して引張応力が最小値となる第2ボトムと、を備え、第1ピークにおける圧縮応力が500MPa以上であり、第2ピークにおける圧縮応力が15MPa〜250MPaであり、第2ピークが厚さTの4%〜20%の深さに存在する。また、端面1bに関する応力プロファイルの好ましい範囲も、主表面1aに関する応力プロファイルの好ましい範囲を同様に適用できる。
なお、強化ガラス1の応力およびその分布は、例えば、株式会社折原製作所製のFSM−6000LEおよびSLP−1000を用いて測定、ならびに合成した値を用いることができる。
以上のように構成された強化ガラス1は、例えば、以下の要領で製造できる。まず、準備工程として、組成としてアルカリ金属酸化物を含み強化処理に供される板状のガラス(以下、強化用ガラスと称する)を用意する。次いで、強化用ガラスの表面に第1溶融塩を接触させる第1イオン交換工程(第1強化工程)、強化用ガラスの表面に第2溶融塩を接触させる第2イオン交換工程(緩和工程)、強化用ガラスの表面に第3溶融塩を接触させる第3イオン交換工程(第2強化工程)を順に実施する。各イオン交換工程では、強化用ガラスを溶融塩に浸漬することが好ましい。
準備工程で用意する強化用ガラスは、例えば、ガラス組成として、質量%で、SiO 40%〜70%、Al 10%〜30%、B 0%〜3%、NaO 5%〜25%、KO 0%〜5.5%、LiO 0%〜10%、MgO 0%〜5.5%、P 2%〜10%を含有することが好ましい。
上記の組成が好ましい理由を以下に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、特に断りがない限り、質量%を指す。
SiOは、ガラスのネットワークを形成する成分である。SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなり、また耐酸性が低下し易くなる。よってSiOの好適な下限範囲は40%以上、40.5%以上、41%以上、41.5%以上、42%以上、42.5%以上、43%以上、44%以上、45%以上、46%以上、47%以上、48%以上、49%以上、特に50%以上である。一方、SiOの含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下し易くなり、また熱膨張係数が低くなり過ぎて、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。よってSiOの好適な上限範囲は70%以下、68%以下、65%以下、62%以下、60%以下、58%以下、57%以下、56%以下、55%以下、特に54%以下である。
Alは、イオン交換速度を高める成分であり、またヤング率を高めてビッカース硬度を高める成分である。更に分相発生粘度を高める成分である。Alの含有量は10〜30%である。Alの含有量が少な過ぎると、イオン交換速度やヤング率が低下し易くなる。よって、Alの好適な下限範囲は10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、14.5%以上、15%以上、15.5%以上、16%以上、16.5%以上、17%以上、17.5%以上、18%以上、18.5%以上、19%以上、特に19.5%以上である。一方、Alの含有量が多過ぎると、ガラスに失透結晶が析出し易くなって、オーバーフローダウンドロー法等で板状成形し難くなる。特に、成形体耐火物としてアルミナ耐火物を用いて、オーバーフローダウンドロー法で板状成形する場合、アルミナ耐火物との界面にスピネルの失透結晶が析出し易くなる。また耐酸性も低下し、酸処理工程に適用し難くなる。更には高温粘性が高くなり、溶融性が低下し易くなる。よって、Alの好適な上限範囲は30%以下、28%以下、26%以下、25%以下、24%以下、23.5%以下、23%以下、22.5%以下、22%以下、21.5%以下、特に21%以下である。
は、高温粘度や密度を低下させるとともに、耐失透性を高める成分である。しかし、Bの含有量が多過ぎると、イオン交換速度(特に応力深さ)が低下し易くなる。またイオン交換によって、ヤケと呼ばれるガラス表面の着色が発生したり、耐酸性や耐水性が低下し易くなる。よって、Bの好適な範囲は0%〜3%、0%〜2.5%、0%〜2%、0%〜1.9%、0%〜1.8%、0%〜1.7%、0%〜1.6%、0%〜1.5%、0%〜1.3%、特に0%〜1%未満である。
NaOは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。また、NaOは、耐失透性、成形体耐火物、特にアルミナ耐火物との反応失透性を改善する成分でもある。NaOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下したり、熱膨張係数が低下し過ぎたり、イオン交換速度が低下し易くなる。よって、NaOの好適な下限範囲は5%以上、7%以上、8%以上、8.5%以上、9%以上、9.5%以上、10%以上、11%以上、12%以上、特に12.5%以上である。一方、NaOの含有量が多過ぎると、分相発生粘度が低下し易くなる。また耐酸性が低下したり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する場合がある。よって、NaOの好適な上限範囲は25%以下、22%以下、20%以下、19.5%以下、19%以下、18%以下、17%以下、16.5%以下、16%以下、15.5%以下、特に15%以下である。
Oは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。更に耐失透性を改善したり、ビッカース硬度を高める成分でもある。しかし、KOの含有量が多過ぎると、分相発生粘度が低下し易くなる。また耐酸性が低下したり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する傾向がある。よって、KOの好適な下限範囲は0%以上、0.01%以上、0.02%以上、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、1.5%以上、2%以上、2.5%以上、3%以上、特に3.5%以上であり、好適な上限範囲は5.5%以下、5%以下、特に4.5%未満である。
LiOは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。更にヤング率を高める成分である。LiOの好適な下限範囲は0%以上、0.0001%以上0.01%以上、1%以上、2%以上、2.5%以上、2.8%以上、であり、LiOの好適な上限範囲は10%以下、5%以下、4.5%以下、2%以下、1%以下、1%未満、0.5%以下、0.3%以下、0.1%以下、0.05%以下である。
MgOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。また、ヤング率を高めてビッカース硬度を高めたり、耐酸性を高める成分でもある。よって、MgOの好適な下限範囲は0%以上、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、1.5%以上、特に2%以上である。しかし、MgOの含有量が多過ぎると、イオン交換速度が低下し易くなり、またガラスが失透し易くなる傾向がある。特に、成形体耐火物としてアルミナ耐火物を用いて、オーバーフローダウンドロー法で板状成形する場合、アルミナ耐火物との界面にスピネルの失透結晶が析出し易くなる。よって、MgOの好適な上限範囲は5.5%以下、4.5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、特に2.5%以下である。
は、圧縮応力値を維持した上で、イオン交換速度を高める成分である。よって、Pの好適な下限範囲は2%以上、2.1%以上、2.5%以上、3%以上、4%以上、特に4.5%以上である。しかし、Pの含有量が多過ぎると、ガラスに分相による白濁が生じたり、耐水性が低下し易くなる。よって、Pの好適な上限範囲は10%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6.3%以下、6%以下、5.9%以下、5.7%以下、5.5%以下、5.3%以下、5.1%以下、特に5%以下である。
清澄剤として、Cl、SO、CeOの群(好ましくはCl、SOの群)から選択された一種又は二種以上を0%〜3%添加してもよい。
SnOは、イオン交換性能を高める効果を有する。よって、SnOの含有量は0%〜3%、0.01%〜3%、0.05%〜3%、特に0.1%〜3%、特に0.2%〜3%が好ましい。
Feの含有量は1000ppm未満(0.1%未満)、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、特に300ppm未満が好ましい。このようにすれば、厚さ1mmにおける透過率(400nm〜770nm)が向上し易くなる。
Nb、La等の希土類酸化物は、ヤング率を高める成分である。しかし、原料自体のコストが高く、また多量に添加すると、耐失透性が低下し易くなる。よって、希土類酸化物の含有量は3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下が好ましい。
また、上記の強化用ガラスは環境的配慮から、ガラス組成として、実質的にAs、Sb、PbOを含有しないことが好ましい。また、環境的配慮から、実質的にBi、Fを含有しないことも好ましい。
強化用ガラスは、より好ましくはガラス組成として、質量%で、SiO 40〜70%、Al 10%〜30%、B 0.1%〜3%、NaO 5%〜25%、KO 1%〜5.5%、LiO 0.01%〜10%、MgO 0.1%〜5.5%、P 2%〜10%、SnO 0.01%〜3%を含有する。
なお、上記の強化用ガラスの組成は一例であり、イオン交換による化学強化が可能であれば周知の組成を有する強化用ガラスを用いてよい。また、上記の強化用ガラスをイオン交換処理して得られる強化ガラスの組成は、イオン交換処理前の強化用ガラスの組成と同様の組成となる。
上記の強化用ガラスは以下のようにして作製することができる。
まず上記のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入して、1500℃〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で板状等に成形し、徐冷することにより、強化用ガラスを作製することができる。
ガラス板を成形する方法として、オーバーフローダウンドロー法を採用することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、大量に高品位なガラス板を作製できるとともに、大型のガラス板も容易に作製できる方法であり、またガラス板の表面の傷を可及的に低減することができる。なお、オーバーフローダウンドロー法では、成形体として、アルミナやデンスジルコンが使用される。本発明に係る強化用ガラスは、アルミナやデンスジルコン、特にアルミナとの適合性が良好である(成形体と反応して泡やブツ等を発生させ難い)。
オーバーフローダウンドロー法以外にも、種々の成形方法を採用することができる。例えば、フロート法、ダウンドロー法(スロットダウン法、リドロー法等)、ロールアウト法、プレス法等の成形方法を採用することができる。
強化用ガラスを成形した後、或いは成形と同時に、必要に応じて曲げ加工を行ってもよい。また必要に応じて、切断加工、孔開け加工、表面研磨加工、面取り加工、端面研磨加工、エッチング加工等の加工を行ってもよい。
強化用ガラスの寸法は任意に定めてよいが、厚さTは、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.0mm以下、更に好ましくは0.3mm〜0.9mmである。
上記のようにして得た強化用ガラスに対して、複数回のイオン交換処理を行う。本実施形態では3回のイオン交換処理を実施する場合を一例として説明する。詳細には、本実施形態に係る強化ガラスの製造方法では、図3に示すように、第1イオン交換工程S1、第2イオン交換工程S2、第3イオン交換工程S3を順に実施する。なお、図面は省略するが、以下では、各工程S1〜S3で使用される溶融塩やアルカリ金属イオンにも、これらを区別するために符号を付す。
第1イオン交換工程S1では、強化用ガラスに含まれる第1アルカリ金属イオンa1よりイオン半径の大きな第2アルカリ金属イオンa2を含む第1溶融塩で満たされた処理槽に、強化用ガラスを浸漬するとともに、所定温度にて所定時間保持することにより、強化用ガラスの表面のイオン交換処理を行う。これにより、強化用ガラスに含まれる第1アルカリ金属イオンa1と、第1溶融塩m1に含まれる第2アルカリ金属イオンa2とをイオン交換し、強化用ガラスの表面(本実施形態では、主表面および端面)から厚さTの10.5%以上の深さまで第2アルカリ金属イオンa2を導入する。その結果、強化用ガラスの表層部に圧縮応力層が形成され、強化用ガラスが強化される。
第1イオン交換工程S1では、第1アルカリ金属イオンa1が強化用ガラスから離脱する離脱イオン、第2アルカリ金属イオンa2が強化用ガラスに導入される導入イオンとなる。
第1イオン交換工程S1において、第2アルカリ金属イオンa2を強化用ガラスに導入する領域は、好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの12%以上の深さまでの領域、より好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの13.5%以上30%以下の深さまでの領域である。
第1溶融塩m1は、強化用ガラスの組成に予め含まれ、イオン交換において離脱する第1アルカリ金属イオンa1の硝酸塩と、イオン交換により強化用ガラスに導入される第2アルカリ金属イオンa2の硝酸塩との混合塩を主成分として構成される。本実施形態では、第1アルカリ金属イオンa1がNaイオンであり、第2アルカリ金属イオンa2がKイオンである場合について説明する。すなわち、本実施形態において、第1溶融塩m1は、NaNOおよびKNOを主成分とする混合塩である。なお、第1溶融塩m1は、これに限定されず、例えばKNOのみからなる溶融塩でもよい。
第1溶融塩m1に占めるKNOの濃度は、第1溶融塩m1に占めるNaNOの濃度よりも高いことが好ましい。具体的には、NaNOの濃度は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは5〜40質量%である。KNOの濃度は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60〜95質量%である。
第2イオン交換工程S2では、第1アルカリ金属イオンa1を含む第2溶融塩m2で満たされた処理槽に、第1イオン交換工程S1を経た強化用ガラスを浸漬するとともに、所定温度にて所定時間保持することにより、強化用ガラスの表面のイオン交換処理を行う。これにより、強化用ガラスに含まれる第2アルカリ金属イオンa2と、第2溶融塩m2に含まれる第1アルカリ金属イオンa1とをイオン交換し、強化用ガラスの表面(本実施形態では、主表面および端面)から厚さTの10%より浅い領域までの第2アルカリ金属イオンa2の少なくとも一部を強化用ガラスから離脱させる。その結果、強化用ガラスに形成された圧縮応力層の圧縮応力は小さくなる。その一方で、圧縮応力層の形成領域が強化用ガラスの深くまで拡大する。
第2イオン交換工程S2では、第2アルカリ金属イオンa2が強化用ガラスから離脱する離脱イオン、第1アルカリ金属イオンa1が強化用ガラスに導入される導入イオンとなる。
第2イオン交換工程S2において、第2アルカリ金属イオンa1を強化用ガラスから離脱させる領域は、好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの9%以下の深さまでの領域、より好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの4%以上8%以下の深さまでの領域である。
第2溶融塩m2は、強化用ガラスの組成に予め含まれイオン交換において離脱する第2アルカリ金属イオンa2の硝酸塩と、イオン交換により強化用ガラスに導入される第1アルカリ金属イオンa1の硝酸塩との混合塩を主成分として構成される。すなわち、本実施形態において、第2溶融塩m2は、NaNOおよびKNOを主成分とする混合塩である。なお、第2溶融塩m2は、これに限定されず、例えばNaNOのみからなる溶融塩でもよい。
第2溶融塩m2に占めるNaNOの濃度は、第2溶融塩m2に占めるKNOの濃度よりも高いことが好ましい。具体的には、NaNOの濃度は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70〜95質量%である。KNOの濃度は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは5〜30質量%である。
第3イオン交換工程S3では、第2アルカリ金属イオンa2を含む第3溶融塩m3で満たされた処理槽に、第2イオン交換工程S2を経た強化用ガラスを浸漬するとともに、所定温度にて所定時間保持することにより、強化用ガラスの表面のイオン交換処理を行う。これにより、強化用ガラスに含まれる第1アルカリ金属イオンa1と、第1溶融塩m1に含まれる第2アルカリ金属イオンa2とをイオン交換し、強化用ガラスの表面(本実施形態では、主表面および端面)から厚さTの7%より浅い領域まで第2アルカリ金属イオンa2を導入する。その結果、強化用ガラスが再強化され、表層部のうちの表面近傍に高い圧縮応力を有する圧縮応力層2を形成することができる。この際、圧縮応力層2は、ある程度深くまで拡大した状態のままで維持される。
第3イオン交換工程S3では、第1アルカリ金属イオンa1が強化用ガラスから離脱する離脱イオン、第2アルカリ金属イオンa2が強化用ガラスに導入される導入イオンとなる。
第3イオン交換工程S3において、第2アルカリ金属イオンa2を強化用ガラスに導入する領域は、好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの6%以下の深さまでの領域、より好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの1%以上5%以下の深さまでの領域である。
第3溶融塩m3に占めるKNOの濃度は、第3溶融塩m3に占めるNaNOの濃度よりも高いことが好ましい。
第3溶融塩m3に占めるNaNOの濃度は、第1溶融塩m1に占めるNaNOの濃度よりも低いことが好ましい。具体的には、第3溶融塩m3のNaNOの濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
第3溶融塩m3に占めるKNOの濃度は、第1溶融塩m1に占めるKNOの濃度よりも高いことが好ましい。具体的には、第3溶融塩m3に占めるKNOの濃度は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95〜100質量%、さらに好ましくは95〜99.5質量%である。
本実施形態において、第3溶融塩m3は、KNOのみからなる溶融塩であるが、これに限定されず、例えばNaNOおよびKNOを主成分とする混合塩であってもよい。
第3溶融塩m3においてイオン半径の小さいアルカリ金属イオン(例えばLiイオン、Naイオン、特にNaイオン)の含有割合は、第1溶融塩m1中のそれよりも少ないことが好ましい。これにより、応力深さを深く形成しつつ、最表面における大きなアルカリ金属イオンの濃度を高め易くなる。なお、アルカリ金属イオンの大きさは、Liイオン<Naイオン<Kイオン(カリウムイオン)<Ceイオン<Rbイオンの関係である。
第1イオン交換工程S1のイオン交換処理温度および第2イオン交換工程S2のイオン交換処理温度は、第3イオン交換工程S3のイオン交換処理温度よりも高いことが好ましい。なお、イオン交換処理温度は、溶融塩の温度を意味する。
具体的には、第1イオン交換工程S1および第2イオン交換工程S2のイオン交換処理温度は、420℃以上であることが好ましく、より好ましくは430℃以上、更に好ましくは440℃〜500℃である。なお、第1イオン交換工程S1のイオン交換処理温度は、第2イオン交換工程S2のイオン交換処理温度よりも高いことが好ましい。第1イオン交換工程S1および第2イオン交換工程S2のイオン交換処理温度の差は、好ましくは5℃以上、より好ましくは5℃〜50℃である。第1イオン交換工程S1のイオン交換処理温度は、より好ましくは440℃〜490℃未満、更に好ましくは450℃〜470℃である。第2イオン交換工程S2のイオン交換処理温度は、より好ましくは400℃〜480℃、更に好ましくは420℃〜460℃である。
第3イオン交換工程S3のイオン交換処理温度は、第1イオン交換工程S1のイオン交換温度よりも10℃以上、20℃以上、30℃以上、30℃以上、特に50℃以上低いことが好ましい。具体的には、第3イオン交換工程S3のイオン交換処理温度は、好ましくは350℃〜410℃未満、360℃〜400℃未満、特に380℃〜400℃未満である。
第1イオン交換工程S1および第2イオン交換工程S2のイオン交換処理時間は、好ましくは第3イオン交換工程S3のイオン交換処理時間よりも3倍以上長く、より好ましくは5倍以上、更に好ましくは10倍〜200倍である。
第1イオン交換工程S1および第2イオン交換工程S2のイオン交換処理時間は、好ましくは2時間以上、より好ましくは3時間以上、更に好ましくは4時間〜20時間である。第1イオン交換工程S1および第2イオン交換工程S2のイオン交換処理時間を長くすることによって、圧縮応力層を深く形成し得るため、生産性が低下しない範囲で当該処理時間を長くすることが好ましい。なお、第1イオン交換工程S1のイオン交換処理時間は、第2イオン交換工程S2のイオン交換処理時間よりも長いことが好ましい。第1イオン交換工程S1および第2イオン交換工程S2のイオン交換処理時間の差は、好ましくは2時間以上、より好ましくは3時間〜7時間である。
第3イオン交換工程S3のイオン交換処理時間は、好ましくは2時間以下、より好ましくは3時間以下、0.2時間〜2時間、0.3〜1時間、0.3〜0.5時間である。イオン交換処理の合計時間を短く制御することにより、引張応力層3における引張応力を小さな値に制御し易くなる。
各イオン交換工程S1〜S3において溶融塩に浸漬される強化用ガラスは、予め各イオン交換工程のイオン交換処理における溶融塩の温度まで予熱されていてもよく、常温(例えば、1℃〜40℃)の状態のまま各溶融塩に浸漬させてもよい。
第1イオン交換工程S1と第2イオン交換工程S2の間、および/又は、第2イオン交換工程S2と第3イオン交換工程S3の間に、溶融塩から引き出された強化用ガラスを洗浄する洗浄工程を設けることが好ましい。洗浄を行うことによって、強化用ガラスに付着していた付着物を除去しやすくなり、第2イオン交換工程S2や第3イオン交換工程S3において、より均一にイオン交換処理を行うことができる。
以上に説明した第1〜第3イオン交換工程S1〜S3の条件範囲において処理時間や処理温度を適宜調整することより、上記の特性を有する強化ガラス1を得ることができる。
なお、上記の第3イオン交換工程S3の後に、切断加工、孔開け加工、表面研磨加工、面取り加工、端面研磨加工、エッチング加工、成膜加工等の各種加工を行ってもよい。
また、上記の実施形態では、2回の強化工程と1回の緩和工程を含む第1〜第3イオン交換工程を行う例について説明したが、少なくとも2回の強化工程を含む、2回又は4回以上のイオン交換工程を実施してもよい。
(第2実施形態)
上記の第1実施形態では、3回のイオン交換処理により強化ガラス1を得る方法を例示したが、第二実施形態では、2回のイオン交換処理により強化ガラス1を得る方法を例示する。詳細には、本実施形態に係る強化ガラスの製造方法では、図4に示すように、第1イオン交換工程T1、第2イオン交換工程T2を順に実施する。なお、図面は省略するが、以下では、各工程T1〜T2で使用される溶融塩やアルカリ金属イオンにも、これらを区別するために符号を付す。
第1イオン交換工程T1では、強化用ガラスに含まれる第1アルカリ金属イオンb1よりイオン半径の大きな第2アルカリ金属イオンb2を含む第1溶融塩n1で満たされた処理槽に、強化用ガラスを浸漬するとともに、所定温度にて所定時間保持することにより、強化用ガラスの表面のイオン交換処理を行う。これにより、強化用ガラスに含まれる第1アルカリ金属イオンb1と、第1溶融塩n1に含まれる第2アルカリ金属イオンb2とをイオン交換し、強化用ガラスの表面(本実施形態では、主表面および端面)近傍に第2アルカリ金属イオンb2を導入する。その結果、強化用ガラスの表層部に圧縮応力層が形成され、強化用ガラスが強化される。
第1イオン交換工程T1では、第1アルカリ金属イオンb1が強化用ガラスから離脱する離脱イオン、第2アルカリ金属イオンb2が強化用ガラスに導入される導入イオンとなる。
第1イオン交換工程T1において、第2アルカリ金属イオンb2を強化用ガラスに導入する領域は、好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの10%以上の深さまでの領域、より好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの12%以上、14%以上、15%以上、15%以上40%以下の深さまでの領域である。
第2イオン交換工程T2では、強化用ガラスに第2アルカリ金属イオンb2よりもイオン半径の大きな第3アルカリイオンb3と、第1アルカリ金属イオンb1と、を含む第2溶融塩n2で満たされた処理槽に、強化用ガラスを浸漬するとともに、所定温度にて所定時間保持することにより、強化用ガラスの表面のイオン交換処理を行う。これにより、第1アルカリ金属イオンb1を、強化用ガラスに含まれる第2アルカリ金属イオンb2と逆イオン交換し、第2アルカリ金属イオンb2の少なくとも一部を強化用ガラスから離脱させる。これと同時に、第3アルカリ金属イオンb3を、強化用ガラスに含まれる第1アルカリ金属イオンb1または第2アルカリ金属イオンb2とイオン交換し、表面から厚さTの7%より浅い領域まで第3アルカリ金属イオンb3を強化ガラスに導入させる。つまり、逆イオン交換により強化用ガラスの表層部に形成された圧縮応力が緩和されながら、イオン交換により強化用ガラスが強化され、表層部のうちの表面近傍のみに高い圧縮応力が形成される。
第2イオン交換工程T2において、第2アルカリ金属イオンb2を強化用ガラスから離脱させる領域は、好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの15%以下の深さまでの領域、より好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、1%以上10%以下、2%以上10%以下、3%以上10%以下、4%以上10%以下、5%以上10%以下の深さまでの領域である。また、第2イオン交換工程T2において、第3アルカリ金属イオンb3を強化用ガラスに導入する領域は、好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの7%以下の深さまでの領域、より好ましくは強化用ガラスの表面から厚さTの6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下の深さまでの領域である。
以上に説明した第1〜第2イオン交換工程T1〜T2の条件範囲において処理時間や処理温度を適宜調整することより、上記の特性を有する強化ガラス1を得ることができる。
ここで、第2イオン交換工程T2において、上記の逆イオン交換の速度は、上記のイオン交換の速度よりも大きいことから、表層部の圧縮応力の緩和が先に深くまで進行し、その後に表面に再び圧縮応力が形成されるため、製造された強化ガラス1の応力プロファイルにおいて、図2に示すような第1ボトムB1が形成されやすくなる。
なお、上記の第2イオン交換工程T2の後に、切断加工、孔開け加工、表面研磨加工、面取り加工、端面研磨加工、エッチング加工、成膜加工等の各種加工を行ってもよい。
第2実施形態において、第1アルカリ金属イオンb1はLiイオンであることが好ましく、第2アルカリ金属イオンb2はNaイオンであることが好ましく、第3アルカリ金属イオンb3はKイオンであることが好ましい。
特に、強化用ガラスが質量%でLiOを2%以上、NaOを5%以上含有するリチウムアルミノシリケートガラスである場合、第1溶融塩n1として、NaNOのみからなる溶融塩、あるいは、NaNOおよびKNOを主成分とする混合塩を用いることができる。なお、第1溶融塩n1は、LiNOを含んでいてもよい。この場合、強化用ガラスのLiO含有量は、好ましくは2.5〜5.0質量%、より好ましくは、2.8〜4.5質量%である。
第2実施形態において、強化用ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO 48〜60%、Al 21〜29%、B 0〜10%、LiO 2〜11%、NaO 5〜20%、KO 0〜10%、MgO 0〜6%、ZnO 0〜10%、P 0〜20%を含有することが好ましい。
第2実施形態では、第1イオン交換工程T1に用いる第1溶融塩n1は、NaNOおよびKNOの混合塩が好ましい。第1溶融塩n1にKイオンが含まれていると、第1イオン交換工程T1後に、強化用ガラスの応力およびその分布を測定しやすくなるため、得られる強化ガラスの品質管理に好適である。第1溶融塩n1に占めるNaNOの濃度は、質量%で好ましくは100〜20%、100〜30%、100〜40%、100〜50%、100〜60%であり、残部はKNOであることが好ましい。第1溶融塩n1に占めるNaNOの濃度は、第1溶融塩n1に占めるKNOの濃度よりも高いことが好ましい。なお、第1溶融塩n1は、NaNOのみを含み、KNOを含まない構成としてもよい。第1イオン交換工程T1のイオン交換処理温度は、好ましくは350〜480℃、より好ましくは360〜430℃、更に好ましくは370〜400℃、370〜390℃である。第1イオン交換工程T1のイオン交換処理時間は、好ましくは1〜20時間であり、より好ましくは1.5時間〜15時間、更に好ましくは2時間〜10時間である。
第2実施形態では、第2イオン交換工程T2に用いる第2溶融塩n2は、LiNOおよびKNOの混合塩が好ましい。第2溶融塩n2に占めるLiNOの濃度は、第2溶融塩n2に占めるKNOの濃度よりも低いことが好ましい。詳細には、第2溶融塩n2に占めるLiNOの濃度は、質量%で好ましくは0.1〜5%、0.2〜5%、0.3〜5%、0.4〜5%、0.5〜5%、0.5〜4%、0.5〜3%、0.5〜2.5%、0.5〜2%、1〜2%であり、残部はKNOであることが好ましい。また、第2溶融塩に含まれるLiイオン濃度が100質量ppm以上であることが好ましい。この際、第2溶融塩n2に占めるLiイオンの濃度は、質量%で表されるLiNOに0.101を乗ずることで求められる。第2イオン交換工程T2のイオン交換処理温度は、好ましくは350〜480℃、より好ましくは360〜430℃、更に好ましくは370〜400℃、370〜390℃である。第2イオン交換工程T2のイオン交換処理時間は、第1イオン交換工程T1のイオン交換処理時間より短いことが好ましい。第2イオン交換工程T2のイオン交換処理時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3〜2時間、0.4〜1.5時間、更に好ましくは0.5〜1時間である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、もちろん本発明はこの形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の形態をとることが可能である。
例えば、上記の第1および第2実施形態では、強化ガラス1が表裏の主表面1aの双方側および端面1b側に圧縮応力層2を備える例を示したが、一方の主表面1a側にのみ圧縮応力層2を備える等、強化ガラス1の表層部の一部のみに圧縮応力層2を備えてもよい。強化ガラス1の表層部の一部のみに圧縮応力層2を形成する方法としては、例えば、強化用ガラスのうちの圧縮応力層を形成しない領域に、イオン交換処理における導入イオンの透過を抑制する抑制膜(例えば、SiO膜)を予め形成し、抑制膜を除く部分に対して部分的にイオン交換処理を施す方法が挙げられる。
また、上記の実施形態において強化ガラス1は平坦な板状であるが、本発明における板状の概念には、曲面を有する曲げ板状の形態も含まれる。
以下、本発明に係る強化ガラスについて実施例に基づいて説明する。なお、以下の実施例は単なる例示であって、本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
次のようにして試料を作製した。まずガラス組成として表1〜2に示す組成A〜Tの強化用ガラスを用意した。
Figure 2020075708
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組成ごとにガラス原料を調合し、白金ポットを用いて1600℃で21時間溶融した。その後、得られた溶融ガラスを、オーバーフローダウンドロー法を用いて耐火物成形体から流下成形して、表3〜18に記載の所定の厚さの板状に成形した。
次いで、上記の強化用ガラスを表3〜18に示す条件で溶融塩浴に浸漬して、イオン交換処理を行うことにより板状の強化ガラスを得た。溶融塩浴に関して、NaNO/KNOの標記のある工程では、溶融塩中のNaNOとKNOの重量濃度比が表に記載の濃度となるように、KNO溶融塩にNaNO溶融塩を添加して調整した。溶融塩浴に関して、LiNO/KNOの標記のある工程では、溶融塩中のLiNOとKNOの重量濃度比が表に記載の濃度となるように、KNO溶融塩にLiNO溶融塩を添加して調整した。
なお、試料No.1〜10は第1イオン交換工程(強化工程)、第2イオン交換工程(緩和工程)および第3イオン交換工程(強化工程)の計3回のイオン交換処理を行った。一方、試料No.11は第1イオン交換工程(強化工程)のみの計1回のイオン交換処理を行い、試料No.12〜160は第1イオン交換工程(強化工程)および第2イオン交換工程(強化工程)の計2回のイオン交換処理を行った。試料No.1〜10、およびNo.13〜160は本発明の実施例であり、試料No.11〜12は比較例である。
このようにして得られた強化ガラスについて、以下の通り測定した各種特性、および強度試験の結果を表3〜18に示す。
Figure 2020075708
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まず、各試料の応力プロファイルを測定した。試料No.1〜10、およびNo.13〜160の応力プロファイルは、折原製作所製の表面応力計FSM−6000LEとSLP−1000を用いて測定した。上記の装置が予め備えるデータ合成アプリケーションpmcを用いて測定結果を合成し、位相差プロファイルを得た。合成における各データの適用範囲は、FSM−6000LEを表面から10μmまで、SLP−1000を表面から30μm以降と設定した。得られた位相差プロファイルから、以下に記すような解析を経て応力プロファイルを求めた。まず下記表に示された初期値を設定し、得られた位相差プロファイルの各深さxにおける下記式R(x)を計算した。ここでΔ=0.01[um]とした。そのR(x)と、得られた位相差プロファイルとの差分二乗和を計算し、その差分二乗和が最小となるように各種変数A1、A2、A3、B1、B2、B3、C1を定めた。より具体的には、エクセルのソルバー機能で解決方法に「GRG非線形」を用いて、各種変数に対しては下記表に従った範囲および束縛条件を与えて近似を行った。この近似計算は、R(x)と位相差プロファイルの相関係数が0.9995を超えるまで繰り返した。相関係数が0.9995に至らない場合はSLP―1000を複数回測定を行って、その平均化された測定データを用いて解析を行った。上記のようにして得られた各種変数を用いて表される下記式σ(x)を応力プロファイルとした。試料No.11および試料No.12の応力プロファイルは、折原製作所社製の表面応力計FSM−6000LEを用いて測定した。光弾性定数C[nm/cm/MPa]は、試料ごとに光ヘテロダイン干渉法を用いて、より具体的には、ユニオプト社製のPEL−3A−XRを用いて測定した。装置定数kは、各試料の屈折率をSLP−1000に入力することにより当該装置において算出される定数で、より具体的には、測定結果ファイルに記載されるkDPの値を応力校正係数で除した値である。なお、屈折率は、試料ごとにVブロック法を用いて、より具体的には、株式会社島津製作所製KPR−2000を用いて測定した。
Figure 2020075708
Figure 2020075708
Figure 2020075708
測定した応力プロファイルの一例を図5〜12に示す。図5は試料No.1の強化ガラスの深さ方向の応力プロファイルを示すグラフ、図6は試料No.2の強化ガラスの深さ方向の応力プロファイルを示すグラフ、図7は試料No.3の強化ガラスの深さ方向の応力プロファイルを示すグラフ、図8は試料No.4の強化ガラスの深さ方向の応力プロファイルを示すグラフ、図9は試料No.10の強化ガラスの深さ方向の応力プロファイルを示すグラフ、図10は試料No.38の強化ガラスの深さ方向の応力プロファイルを示すグラフ、図11は試料No.49の強化ガラスの深さ方向の応力プロファイルを示すグラフ、図12は試料No.140の強化ガラスの深さ方向の応力プロファイルを示すグラフである。図5〜12において横軸は一方主表面からの深さ(μm)を示し、縦軸は応力の大きさ(MPa)を示す。なお、図5〜図12において、圧縮応力は正の値、引張応力は負の値によって示される。
上記のようにして測定した応力プロファイルに基づいて、表3〜18に示す特性を算出した。
表3〜18において、CSmaxは、第1ピークP1における応力、すなわち、圧縮応力層2における最大圧縮応力を示す。CTmaxは、第2ボトムB2における応力、すなわち、引張応力層3における最小引張応力を示す。CSbは、第1ボトムB1における応力(極小値)、DOLbは、第1ボトムB1の深さをそれぞれ示す。CSpは、第2ピークP2の応力(極大値)、DOLpは、第2ピークP2の深さをそれぞれ示す。DOLzeroは、第2ピークP2と第2ボトムB2との間で、応力がゼロとなる点までの深さを示す。
疑似筐体落下強度は、図13に示すように、擬似筐体10、強化ガラス1からなるガラス試料20、サンドペーパー30の順に積層した状態で、鉄製の定盤40の上に落下させた際にガラス試料20が破損する高さを示す。具体的には、先ず、幅65mm、長さ130mの大きさ且つ表1に記載の厚さTに加工したガラス試料20の一方の主表面に擬似筐体10を貼り付ける。擬似筐体10は携帯端末を模した、幅70mm、長さ140mm、厚さ8mmの質量110gのポリカーボネート製厚板部材である。擬似筐体10とガラス試料20とは厚さ150μmの光学粘着フィルム50を間に挟むことにより接着される。
次いで、ガラス試料20の他方の主表面(擬似筐体と接着された主表面とは逆側の主表面)に、サンドペーパー30の表面(研磨材が設けられた面)が当接するようにサンドペーパー30を貼り付ける。サンドペーパー30は幅60mm、長さ120mmの寸法であり、ガラス試料20の他方の主表面の中央部に配置される。この時、ガラス試料20の周縁部がサンドペーパー30よりはみ出すように配置される。このようにしてはみ出したガラス試料20の裏面(研磨材が設けられていない面)周縁部と、サンドペーパー30の端部の双方を複数箇所において複数のビニールテープ片60で貼り付けることにより、サンドペーパー30をガラス試料20に貼り付ける。ビニールテープ片60は幅19mm、長さ10mm、厚み0.1mmであり、貼り付け箇所は、サンドペーパー30の各短辺の中央部である。なお、サンドペーパー30としては、砥粒の粗さ(番手)の異なる理研コランダム製SiCサンドペーパーP180、P120、P100、およびP80を用い、それぞれの場合について疑似筐体落下強度を測定した。
このようにして得られた試験体をサンドペーパー30が下方となるよう水平姿勢で保持し、定盤40へ向けて、ガラス試料20が破損するまで、落下高さを上げながら繰返し落下させた。より詳細には、本願では試験体をエアシリンダーからなる挟持手段で挟持し、挟持手段ごと落下を開始し、定盤40の盤面20cm手前の位置でエアシリンダーによる挟持を解除することにより、試験体が水平姿勢を維持したまま定盤40へ落下するよう試験を行った。サンドペーパー30は、一度の落下試験を行う毎に新品に取り替えた。落下高さは、落下面から20cmの高さを基準とし、ガラス試料20が破損しなかった場合は10cm高さを上昇させるよう設定した。
疑似筐体落下強度を測定した全ての実施例(例えば試料No.1〜No.4)において、比較例(試料No.11、12)よりも疑似筐体落下強度が高く、高い耐衝撃性を有していることが確認できた。
また、これらの疑似筐体落下強度は下記に示す計算強度とある程度の相関を有することが確認できた。
Figure 2020075708
ここで、P(x)は落下試験において発生する深さxの傷の確率密度関数で、σ(x)は下記に示される応力拡大係数と圧縮応力値の和である。
Figure 2020075708
ここで、Kcは母ガラスの破壊靭性値、σ(x)は強化によって発生する深さxにおける圧縮応力値である。落下試験において発生する傷の深さを逐次観察してP(x)および計算強度を求め、疑似筐体落下試験における破損高さの相関を示すと図14に示すグラフのようになり、落下強度が上記計算強度に相関することが確認できた。
なお、本発明の強化ガラスにおいて、P180の計算強度は35MPa以上であることが好ましく、より好ましくは40〜200MPaである。また、P120の計算強度は10MPa以上であることが好ましく、より好ましくは20〜150MPaである。P100の計算強度は5MPa以上であることが好ましく、より好ましくは10〜100MPaである。P80の計算強度は−13MPa以上であることが好ましく、より好ましくは−10〜50MPaである。
本発明の強化ガラスは、例えば、携帯電話(特にスマートフォン)、タブレットコンピュータ、デジタルカメラ、タッチパネルディスプレイ、大型テレビ等の部品として利用可能である。
1 強化ガラス
2 圧縮応力層
3 引張応力層
10 擬似筐体
20 ガラス試料(強化ガラス)
30 サンドペーパー
40 定盤
50 光学粘着フィルム
60 ビニールテープ片

Claims (25)

  1. 表面および厚さTを有する強化ガラスであって、
    圧縮応力を正の数、引張応力を負の数として表面から深さ方向に応力を測定して得られる応力プロファイルが、
    前記表面において圧縮応力が最大値となる第1ピークと、
    前記第1ピークから深さ方向に漸減して応力が極小値となる第1ボトムと、
    前記第1ボトムから深さ方向に漸増して圧縮応力が極大値となる第2ピークと、
    前記第2ピークから深さ方向に漸減して引張応力が最小値となる第2ボトムと、を備え、
    前記第1ピークにおける圧縮応力が500MPa以上であり、
    前記第2ピークにおける圧縮応力が15MPa〜250MPaであり、
    前記第2ピークが厚さTの4%〜20%の深さに存在することを特徴とする強化ガラス。
  2. 前記応力プロファイルは、前記第2ピークと前記第2ボトムとの間において応力がゼロとなる応力ゼロ点を有し、
    前記応力ゼロ点が前記表面から前記厚さTの10%〜35%の深さに存在することを特徴とする請求項1に記載の強化ガラス。
  3. 前記第1ボトムにおける応力が、−50MPa〜+100MPaであることを特徴とする請求項1又は2に記載の強化ガラス。
  4. 前記第1ボトムにおける応力が、0MPa以上+65MPa以下であることを特徴とする請求項3に記載の強化ガラス。
  5. 前記第1ボトムにおける応力が、−30MPa以上0MPa未満であることを特徴とする請求項3に記載の強化ガラス。
  6. 前記第1ボトムが、前記表面から前記厚さTの0.5%〜12%の深さに存在することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の強化ガラス。
  7. 前記第1ボトムから前記第2ピークまでの深さ方向の距離が、前記厚さTの3%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の強化ガラス。
  8. 前記第1ピークにおける圧縮応力が700MPa以上であり、
    前記第2ピークが表面から厚さTの7.3%以深に存在することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の強化ガラス。
  9. 前記厚さTが0.3mm〜0.9mmであり、
    主表面および端面に前記応力プロファイルを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の強化ガラス。
  10. 前記厚さTが0.45mm以上0.85mm以下の範囲内であり、
    前記第1ピークにおける圧縮応力が700MPa以上850MPa以下の範囲内であり、
    前記第2ピークにおける圧縮応力が20MPa以上80MPa以下の範囲内であり、

    前記第2ピークが表面から厚さTの7.3%以上20%以下の深さの範囲内に存在し、 前記応力プロファイルは、前記第2ピークと前記第2ボトムとの間において応力がゼロとなる応力ゼロ点を有し、

    前記応力ゼロ点が前記表面から前記厚さTの17%以上25%以下の深さの範囲内に存在し、
    引張応力の最大絶対値が40MPa以上60MPa以下の範囲内である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の強化ガラス板。
  11. ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜70%、Al 10〜30%、B 0〜10%、LiO 2〜11%、NaO 5〜25%、KO 0〜10%、MgO 0〜6%、ZnO 0〜10%、P 0〜20%を含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の強化ガラス板。
  12. 第1アルカリ金属イオンを含む強化用ガラスにイオン交換処理を施して、強化ガラスを得る強化ガラスの製造方法であって、
    前記強化用ガラスに、前記第1アルカリ金属イオンよりイオン半径の大きな第2アルカリ金属イオンを含む第1溶融塩を接触させ、前記第2アルカリ金属イオンを前記強化用ガラスに導入する第1イオン交換工程と、
    前記第1イオン交換工程の後、前記強化用ガラスに前記第1アルカリ金属イオンを含む第2溶融塩を接触させ、前記第2アルカリ金属イオンの少なくとも一部を前記強化用ガラスから離脱させる第2イオン交換工程と、
    前記第2イオン交換工程の後、前記強化用ガラスに前記第2アルカリ金属イオンを含む第3溶融塩を接触させ、前記第2アルカリ金属イオンを前記強化用ガラスに導入する第3イオン交換工程と、を備えることを特徴とする強化ガラスの製造方法。
  13. 前記第1イオン交換工程において、前記強化用ガラスの表面から厚さTの10.5%以上の深さまで前記第2アルカリ金属イオンを導入し、
    前記第2イオン交換工程において、前記強化用ガラスの表面から厚さTの10%より浅い領域までの前記第2アルカリ金属イオンの少なくとも一部を離脱させ、
    前記第3イオン交換工程において、前記強化用ガラスの表面から厚さTの7%より浅い領域まで前記第2アルカリ金属イオンを導入することを特徴とする請求項12に記載の強化ガラスの製造方法。
  14. 前記第1アルカリ金属イオンがNaイオンであり、
    前記第2アルカリ金属イオンがKイオンであり、
    前記第1溶融塩は、KNOを含み、
    前記第2溶融塩は、NaNOを含み、
    前記第3溶融塩は、KNOを含むことを特徴とする請求項12又は13に記載の強化ガラスの製造方法。
  15. 前記第1アルカリ金属イオンがNaイオンであり、
    前記第2アルカリ金属イオンがKイオンであり、
    前記第1溶融塩は、NaNOおよびKNOのうち、少なくともKNOを含み、
    前記第2溶融塩は、NaNOおよびKNOのうち、少なくともNaNOを含み、
    前記第1溶融塩は、KNO濃度がNaNO濃度よりも高く、
    前記第2溶融塩は、NaNO濃度がKNO濃度よりも高いことを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の強化ガラスの製造方法。
  16. 前記第1溶融塩に占めるKNOの濃度が、50質量%以上であり、
    前記第1溶融塩に占めるNaNOの濃度が、50質量%未満であり、
    前記第2溶融塩に占めるNaNOの濃度が、60質量%以上であり、
    前記第2溶融塩に占めるKNOの濃度が、40質量%以下であり、
    前記第3溶融塩に占めるKNOの濃度が、前記第1溶融塩に占めるKNO濃度より
    も高く、
    前記第1イオン交換工程のイオン交換処理温度は、420〜500℃であり、
    前記第2イオン交換工程のイオン交換処理温度は、420〜500℃であり、
    前記第3イオン交換工程のイオン交換処理温度は、第1イオン交換工程のイオン交換処理温度よりも10℃以上低く、
    前記第1イオン交換工程のイオン交換処理時間は、2〜40時間であり、
    前記第2イオン交換工程のイオン交換処理時間は、2〜40時間であり、
    前記第3イオン交換工程のイオン交換処理時間は、前記第1イオン交換工程および前記第2イオン交換工程のそれぞれのイオン交換処理時間よりも短いことを特徴とする請求項15に記載の強化ガラスの製造方法。
  17. 第1アルカリ金属イオンを含む強化用ガラスにイオン交換処理を施して、強化ガラスを得る強化ガラスの製造方法であって、
    前記強化用ガラスに、前記第1アルカリ金属イオンよりイオン半径の大きな第2アルカリ金属イオンを含む第1溶融塩を接触させ、前記強化用ガラスに前記第2アルカリ金属イオンを導入する第1イオン交換工程と、
    前記第1イオン交換工程の後、前記強化用ガラスに前記第2アルカリ金属イオンよりもイオン半径の大きな第3アルカリ金属イオンと、前記第1アルカリ金属イオンと、を含む第2溶融塩を接触させ、前記第2アルカリ金属イオンの少なくとも一部を前記強化用ガラスから離脱させるとともに、前記第3アルカリ金属イオンを前記強化用ガラスに導入する第2イオン交換工程と、を備えることを特徴とする強化ガラスの製造方法。
  18. 前記第2イオン交換工程において、前記強化用ガラスの表面から厚さTの7%より浅い領域まで前記第3アルカリ金属イオンを導入することを特徴とする請求項17に記載の強化ガラスの製造方法。
  19. 前記強化用ガラスが、前記第2アルカリ金属イオンをさらに含むことを特徴とする請求項17又は18に記載の強化ガラスの製造方法。
  20. 前記第1アルカリ金属イオンがLiイオンであり、
    前記第2アルカリ金属イオンがNaイオンであり、
    前記第3アルカリ金属イオンがKイオンであり、
    前記第2溶融塩に含まれるLiイオン濃度が100質量ppm以上であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の強化ガラスの製造方法。
  21. 前記第1溶融塩は、NaNOを含み、
    前記第2溶融塩は、LiNOおよびKNOを含むことを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項に記載の強化ガラスの製造方法。
  22. 前記第1アルカリ金属イオンがLiイオンであり、
    前記第2アルカリ金属イオンがNaイオンであり、
    前記第3アルカリ金属イオンがKイオンであり、
    前記第1溶融塩は、NaNOおよびKNOのうち、少なくともNaNOを含み、
    前記第1溶融塩は、NaNO濃度がKNO濃度よりも高く、
    前記第2溶融塩は、LiNOおよびKNOを含み、
    前記第2溶融塩は、LiNO濃度がKNO濃度よりも低いことを特徴とする請求項17〜21のいずれか1項に記載の強化ガラスの製造方法。
  23. 前記第1溶融塩に占めるNaNOの濃度が、50質量%以上であり、
    前記第1溶融塩に占めるKNOの濃度が、50質量%未満であり、
    前記第2溶融塩に占めるLiNOの濃度が、0.5〜5質量%であり、
    前記第2溶融塩に占めるKNOの濃度が、95〜99.5質量%であり、
    前記第1イオン交換工程のイオン交換処理温度は、350〜480℃であり、
    前記第2イオン交換工程のイオン交換処理温度は、350〜480℃であり、
    前記第1イオン交換工程のイオン交換処理時間は、1〜20時間であり、
    前記第2イオン交換工程のイオン交換処理時間は、前記第1イオン交換工程のイオン交換処理時間よりも短いことを特徴とする請求項22に記載の強化ガラスの製造方法。
  24. 前記第1イオン交換工程において、前記強化用ガラスの表面から厚さTの10%より深い領域まで前記第2アルカリ金属イオンを導入し、
    前記第2イオン交換工程において、前記強化用ガラスの表面から厚さTの10%より浅い領域における前記第2アルカリ金属イオンの少なくとも一部を離脱させることを特徴とする請求項17〜23のいずれか1項に記載の強化ガラスの製造方法。
  25. 前記第1溶融塩は、前記第2アルカリ金属イオンおよび前記第3アルカリ金属イオンを含むことを特徴とする請求項17〜24のいずれか1項に記載の強化ガラスの製造方法。
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