以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機の構成を示す正面図である。図2及び図3は、それぞれ図1に示した自動販売機の内部構造を示すものであり、図2が斜視図、図3が断面側面図である。図4は、図1に示した自動販売機の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。
ここで例示する自動販売機1は、例えば缶やペットボトル等の容器に入った飲料を商品として販売するもので、商品を収納する本体キャビネット10の前面に前面扉12を備えている。前面扉12は、一方の側縁部を介して本体キャビネット10に支持させたもので、本体キャビネット10の前面開口を開閉することが可能である。この前面扉12には展示室2が設けてある。
展示室2は、その内部に複数の商品見本Dを展示するためのもので、前面が開口した矩形状に構成してある。この展示室2には、ステージ5が上下方向に複数段(図1の例では4段)設けられており、それぞれのステージ5には複数(図1の例では合計42個)の商品見本Dが横並びに立設されている。
展示室2の前面開口は、透明な樹脂パネル4によって覆われており、外部からの異物の侵入が阻止される一方、樹脂パネル4を介して内部を視認することが可能である。また樹脂パネル4には、商品見本Dのそれぞれに対応して商品選択ボタン(商品選択手段)7が設けてある。つまり、ステージ5に対応するように、商品選択ボタン群6が上下方向に4つ並べて設置してある。
前面扉12における展示室2の右側には、硬貨投入口21、紙幣挿入口22、返却レバー23、ポップアップハンドル24、表示部25、非接触式カードリーダライタ26が配置してあり、展示室2の下側には、硬貨返却口27及び商品取出口28が配置してある。表示部25は、投入された金銭等の商品購入に関する各種情報を表示するものである。非接触式カードリーダライタ26は、電子マネーカード情報の読み取り、あるいは書き込みを行うものである。商品取出口28は、利用者が購入商品を取り出すための開口である。尚、図1中の符号3は、展示室2の内部に設けられた広告配置部である。
上記本体キャビネット10の内部には、複数(図示の例では3つ)の商品収容庫11a,11b,11cが左右に並ぶ態様で設けてある。これら商品収容庫11a,11b,11cは、本体キャビネット10の前面開口を臨む態様で設けてあり、商品を所望の温度に維持した状態で収容する室で断熱構造を有している。
これら商品収容庫11a,11b,11cは、その前面開口が本体キャビネット10の一側縁部に揺動可能に設けられた断熱扉13により開閉される。断熱扉13は、上下に分割して構成してあり、下方の扉13bには、各商品収容庫11a,11b,11cに対応して商品搬出口14と、この商品搬出口14を開閉する商品搬出扉15とが設けてある。
上記商品収容庫11a,11b,11cには、商品収納ラック40、蒸発器50、庫内ファン52及び蓄冷材54が設けてある。商品収納ラック40は、図5にも示すように、複数(例えば10個)の商品棚41を上下方向に複数段設けて構成してある。これら商品棚41は、前方から後方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する棚板41aを有し、その棚板41aの上面に商品コラム42が設けてある。商品コラム42は、棚板41aの上面に1つ設けられる場合と、棚板41aの上面に複数設けられる場合とがある。棚板41aの上面に複数の商品コラム42が設けられる場合には、該棚板41aの上面に棚ガイド41bが立設されることにより、商品コラム42が左右に並ぶ態様で配設される。
そのような商品コラム42は、前後方向に沿って延在する収納通路42aを有し、該収納通路42aの前端の商品投入口43から投入された商品を該収納通路42aに沿って横倒姿勢で一列に収納するものであり、スラントコラムと称されるものである。かかる商品コラム42は、収納通路42aの延在長さが他の商品コラム42の収納通路42aの延在長さと同一とされ、商品の収納可能本数が他の商品コラム42と同一である。
上記商品コラム42においては、収納通路42aの後端に払出機構44が設けてある。払出機構44は、個別、あるいは他の払出機構44と共通のモータ(図示せず)の駆動力が付与されて駆動する場合に、収納通路42aに収納された商品のうち最も後方に位置する商品(以下、最後位商品ともいう)を商品収納ラック40の後方側の落下通路45に払い出すものである。
払出機構44により落下通路45に払い出された商品は、落下通路45の下端より前方に向かうに連れて漸次下方に傾斜するシュータ47を転動し、商品搬出口14を介して商品取出口28に導かれる。尚、図3中の符号46は、各商品棚41の後端に設けられた制動板である。制動板46は、落下通路45を落下する商品を制動しながら落下させるものである。
蒸発器50は、商品収容庫11a,11b,11cにおけるシュータ47の下方域に設置してある。この蒸発器50は、本体キャビネット10の内部であって商品収容庫11a,11b,11cの下方側の室となる機械室16に設置された冷凍機51(図4参照)と冷媒を循環させる冷媒回路を構成するものである。かかる蒸発器50は、自身の冷媒流路を通過する低温低圧の冷媒と、周囲空気との間で熱交換を行わせるものであり、冷媒流路を通過する冷媒が蒸発することにより周囲空気を冷却するものである。
庫内ファン52は、複数(図3の冷媒では2つ)設けてあり、下部ファン52a及び上部ファン52bを有している。下部ファン52aは、蒸発器50の前方側に設置してある。上部ファン52bは、落下通路45の上端に設置してある。これら下部ファン52a及び上部ファン52bが駆動することにより、図3中の破線矢印で示すように、商品収容庫11a,11b,11cの内部空気が循環する。すなわち、蒸発器50で冷却された空気が落下通路45を下方から上方に向けて通過し、落下通路45を通過した空気が商品収容庫11a,11b,11cの上方部を前方に向けて通過した後に下方に向けて通過し、再び蒸発器50に至る。このように商品収容庫11a,11b,11cの内部空気が循環することにより各商品コラム42に収納された商品が冷却される。
蓄冷材54は、商品収容庫11a,11b,11cの上方部、すなわち上部ファン52bの前方に設置してある。蓄冷材54は、内部に水やゲル化剤等の蓄冷剤が容器に封入されることで構成してある。かかる蓄冷材54は、庫内ファン52の駆動により、蒸発器50で冷却され、かつ落下通路45を通過した空気により蓄冷剤が冷却されて蓄冷するものである。尚、本実施の形態では、蓄冷材54が上部ファン52bの前方に設置してあるが、この蓄冷材54の設置個所は特に限定されるものではなく、商品収納ラック40に収納された商品を良好に冷却することができればよい。
ところで、本実施の形態である自動販売機1においては、図5に番号を付したように、各商品収容庫11a,11b,11cの商品収納ラック40に設けられた商品コラム42の総数は75個であり、商品選択ボタン7の総数(42個)よりも大きい。
そして、各商品収容庫11a,11b,11cの商品収納ラック40においては、最上段から5段目までの上側5段の商品棚41は、商品コラム42の数が固定されているが、6段目から最下段までの下側5段の商品棚41では、商品コラム42の数が可変可能に構成してある。この商品コラム42の数が可変可能な下側5段の商品棚41について説明する。
まず、左側の商品収容庫(以下、左庫ともいう)11aの下側5段の商品棚41、並びに右側の商品収容庫(以下、右庫ともいう)11cの下側5段の商品棚41について説明する。尚、右庫11cは、左庫11aと同一の構成を有しており、左庫11a及び右庫11cの下側5段の商品棚41は、各商品棚41で商品コラム42の数を可変にできるので、以下においては、左庫11aの6段目の商品棚41を代表例として説明し、左庫11aの7段目〜最下段の商品棚41の説明、並びに右庫11cの説明は割愛する。
左庫11aの6段目の商品棚41では、図6−1に示すように、棚板41aに3つの棚ガイド41bを互いに等間隔で離隔して立設させることで、4つの商品コラム(図5においてコラム番号が6番,11番,21番,26番の商品コラム)42が左右に並ぶ態様で設けてある。この場合、各商品コラム42では、商品の最大高さ寸法がL1(例えば104mm程度)となる商品を横倒姿勢で収納することが可能である。そして、各商品コラム42の払出機構44は個別に駆動可能である。
図6−2に示すように、中央の棚ガイド41bと最も右側の棚ガイド41bとの間隔が小さくなる態様で相互に近接するよう立設させることで、最も右側の商品コラム(コラム番号が26番の商品コラム)42の収納通路42aと、右側から2番目の商品コラム(コラム番号が21番の商品コラム)42の収納通路42aとを併合してこれら商品コラム42同士を連結させることができる。これにより、商品棚41では、3つの商品コラム42が左右に並ぶ態様で設けてある。この場合、最も左側の商品コラム(コラム番号が6番の商品コラム)42では、商品の最大高さ寸法がL1となる商品を横倒姿勢で収納することが可能であり、左側から2番目の商品コラム(コラム番号が11番の商品コラム)42では、商品の最大高さ寸法がL3(例えば166mm程度)となる商品を横倒姿勢で収納することが可能である。また連結した右側の商品コラム42では、商品の最大高さ寸法がL3となる商品を横倒姿勢で収納することが可能である。そして、最も右側の払出機構(コラム番号が26番の商品コラム42の払出機構)44と、右側から2番目の払出機構(コラム番号が21番の商品コラム42の払出機構)44とが同期して駆動するように調整される。
図6−3に示すように、最も左側の棚ガイド41bを左側の側板に接触させつつ、最も右側の棚ガイド41bを中央の棚ガイド41bとの間隔が近接するよう立設させることで、最も左側の商品コラム(コラム番号が6番の商品コラム)42の収納通路42aと、左側から2番目の商品コラム(コラム番号が11番の商品コラム)42の収納通路42aとを併合してこれら商品コラム42同士を連結させることができる。また最も右側の商品コラム(コラム番号が26番の商品コラム)42の収納通路42aと、右側から2番目の商品コラム(コラム番号が21番の商品コラム)42の収納通路42aとを併合してこれら商品コラム42同士を連結させることができる。これにより、商品棚41では、2つの商品コラム42が左右に並ぶ態様で設けてある。この場合、連結した左側の商品コラム42では、商品の最大高さ寸法がL4(例えば225mm程度)となる商品を横倒姿勢で収納することが可能であり、連結した右側の商品コラム42では、商品の最大高さ寸法がL2(例えば137mm程度)となる商品を横倒姿勢で収納することが可能である。そして、最も左側の払出機構(コラム番号が6番の商品コラム42の払出機構)44と、左側から2番目の払出機構(コラム番号が11番の商品コラム42の払出機構)44とが同期して駆動するように調整され、最も右側の払出機構(コラム番号が26番の商品コラム42の払出機構)44と、右側から2番目の払出機構(コラム番号が21番の商品コラム42の払出機構)44とが同期して駆動するように調整される。
図6−4に示すように、最も左側の棚ガイド41bを左側の側板に接触させつつ、最も右側の棚ガイド41bを中央の棚ガイド41bと接触するよう立設させることで、最も左側の商品コラム(コラム番号が6番の商品コラム)42の収納通路42aと、左側から2番目の商品コラム(コラム番号が11番の商品コラム)42の収納通路42aとを併合してこれら商品コラム42同士を連結させることができる。また最も右側の商品コラム(コラム番号が26番の商品コラム)42の収納通路42aと、右側から2番目の商品コラム(コラム番号が21番の商品コラム)42の収納通路42aとを併合してこれら商品コラム42同士を連結させることができる。これにより、商品棚41では、2つの商品コラム42が左右に並ぶ態様で設けてある。この場合、連結したそれぞれの商品コラム42では、商品の最大高さ寸法がL4となる商品を横倒姿勢で収納することが可能である。そして、最も左側の払出機構(コラム番号が6番の商品コラム42の払出機構)44と、左側から2番目の払出機構(コラム番号が11番の商品コラム42の払出機構)44とが同期して駆動するように調整され、最も右側の払出機構(コラム番号が26番の商品コラム42の払出機構)44と、右側から2番目の払出機構(コラム番号が21番の商品コラム42の払出機構)44とが同期して駆動するように調整される。
次に中央の商品収容庫(以下、中庫ともいう)11bの下側5段の商品棚41について説明する。尚、下側5段の商品棚41は、各商品棚41で商品コラム42の数を可変にできるので、以下においては、6段目の商品棚41を代表例として説明し、7段目〜最下段の商品棚41の説明は割愛する。
中庫11bの6段目の商品棚41では、図7−1に示すように、棚板41aに1つの棚ガイド41bを左右の側板から離隔して立設させることで、2つの商品コラム(図5においてコラム番号が36番,41番の商品コラム)42が左右に並ぶ態様で設けてある。この場合、各商品コラム42では、商品の最大高さ寸法がL1となる商品を横倒姿勢で収納することが可能である。そして、各商品コラム42の払出機構44は個別に駆動可能である。
図7−2に示すように、棚ガイド41bを左側にスライドさせて立設させることで、左側の商品コラム(コラム番号が36番の商品コラム)42の収納通路42aと、右側の商品コラム(コラム番号が41番の商品コラム)42の収納通路42aとを併合してこれら商品コラム42同士を連結させることができる。これにより、商品棚41では、1つの商品コラム42が設けてある。この場合、商品コラム42では、商品の最大高さ寸法がL2となる商品を横倒姿勢で収納することが可能である。そして、左側の払出機構44と右側の払出機構44とは、同期して駆動するように調整される。
図7−3に示すように、棚ガイド41bを左側に更にスライドさせて立設させることで、左側の商品コラム42の収納通路42aと、右側の商品コラム42の収納通路42aとを併合してこれら商品コラム42同士を連結させることができる。これにより、商品棚41では、1つの商品コラム42が設けてある。この場合、商品コラム42では、商品の最大高さ寸法がL3となる商品を横倒姿勢で収納することが可能である。そして、左側の払出機構44と右側の払出機構44とは、同期して駆動するように調整される。
図7−4に示すように、棚ガイド41bを左側の側板に接するよう立設させることで、左側の商品コラム42の収納通路42aと、右側の商品コラム42の収納通路42aとを併合してこれら商品コラム42同士を連結させることができる。これにより、商品棚41では、1つの商品コラム42が設けてある。この場合、商品コラム42では、商品の最大高さ寸法がL4となる商品を横倒姿勢で収納することが可能である。そして、左側の払出機構44と右側の払出機構44とは、同期して駆動するように調整される。
図6−1〜図7−4に示したように、左庫11a及び右庫11cの下側5段の商品棚41では、それぞれ最大で4つの商品コラム42を設けることができ、最小で2つの商品コラム42を設けることができる。中庫11bの下側5段の商品棚41では、それぞれ最大で2つの商品コラム42を設けることができ、最小で1つの商品コラム42を設けることができる。
よって、上述したように商品コラム42の総数の最大数は75個であり、最小数は50個となる。つまり、本実施の形態である自動販売機1においては、各商品収容庫11a,11b,11cの商品収納ラック40に設けられた商品コラム42の総数の最小数が商品選択ボタン7の総数よりも大きい。
図4に示すように、自動販売機1は、冷凍機51、ヒータ53、払出機構44、庫内ファン52、売切スイッチ48、商品選択ボタン7からなる商品選択ボタン群6、表示部25、非接触式カードリーダライタ26、外部通信処理部55、ドアスイッチSW、記憶部56、リモコン57、コインメカニズム58、ビルバリデータ59がコントローラ60に接続される。
冷凍機51は、上述した蒸発器50とともに冷媒回路を構成しており、蒸発器50で蒸発した冷媒を吸引して圧縮する圧縮機と、この圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器とを有している。ヒータ53は、右庫11c以外の商品収容庫11a,11b,11c、すなわち左庫11a及び中庫11bに設置してある。このヒータ53は、駆動する場合に通電状態となって周囲空気を加熱する加熱手段である。売切スイッチ48は、各商品コラム42に設置してあり、設置された商品コラム42内の売り切れを検出するものである。
外部通信処理部55は、外部の図示しないネットワークに接続する処理及びWiFi(登録商標)等の近距離無線通信接続処理を行う。ドアスイッチSWは、ポップアップハンドル24の操作による前面扉12の開閉状態を検出するものである。記憶部56は、各種情報を記憶して保存するものである。この記憶部56では、詳細は後述するが、現在設定されている商品管理データD1と設定変更が予約された予約商品管理データD2とを保存する。リモコン57は、コントローラ60に有線接続された入出力部である。このリモコン57は、商品管理データD1の確認や予約商品管理データD2による設定変更を行うものである。尚、商品管理データD1及び予約商品管理データD2は、外部通信処理部55を介して入力される。従って、商品管理データD1及び予約商品管理データD2は、ネットワークあるいは近距離無線通信接続によって一括入力される。コインメカニズム58は、硬貨処理装置であり、硬貨投入口21を通じて投入された硬貨の入金処理等を行うものである。このコインメカニズム58は、釣銭がある場合には、その硬貨を硬貨返却口27に送出するものであり、返却レバー23が操作された場合には、硬貨投入口21を通じて入金された硬貨を硬貨返却口27に送出するものである。ビルバリデータ59は、紙幣処理装置であり、紙幣挿入口22を通じて挿入された紙幣の入金処理等を行うものである。
コントローラ60は、制御部61、販売制御部62及び設定制御部63を有している。制御部61は、接続される各部に対する全体制御を行うものである。販売制御部62は、商品の選択から商品の払出までの一連の販売制御を行うものであり、後述する順列販売処理部62aを有している。
設定制御部63は、設定変更すべき部分を含む全商品管理データを一括受信して予約商品管理データD2として記憶部56に保存させ、商品の補充時に、商品管理データD1と予約商品管理データD2との違いを示す確認情報を含んだ予約商品管理データD2をリモコン57に表示し、確認情報に対する確認処理によって予約商品管理データD2を現在の商品管理データD1として保存させるものである。すなわち、商品管理データD1は、自動販売機1に対する現在運用中の商品管理データであり、予約商品管理データD2は、予め設定されて設定変更待ちの商品管理データであり、上述したリモコン57による確認処理によって現在運用中の商品管理データD1となるものである。
尚、設定制御部63が設定する商品管理データD1や予約商品管理データD2は、図8に示すように、商品に対して予め付された販売前の商品コードと商品販売時の冷温区分(冷温状態)とを組み合わせた最小管理単位(SKU:Stock Keeping Unit)を示す販売時商品管理番号に対して商品コラム、商品選択ボタン、商品価格、売上、その他の設定項目等の商品管理内容を紐付けて管理される。
ここで、販売前の商品コードは、通常の商品コードであり、同一品種の商品であっても、容量や包装によって異なる商品コードが付されている。例えば、同じ370mlのコーヒー飲料が缶包装されている場合とペットボトル包装されている場合とは異なる商品コードが付されている。また、同じ缶包装されたコーヒー飲料でも185mlの商品と370mlの商品とは異なる商品コードが付されている。そして、これらの商品コードは、最小管理単位(SKU)で管理されるものであるが、販売前までの流通過程で用いられ、販売前に予め付されたものである。従って、従来の商品コードを示すSKU番号は、販売前SKU番号である。これに対し、自動販売機1では、同じ販売前SKU番号の商品であっても、冷温状態を異ならせて販売する場合がある。例えば、同じ販売前SKU番号を有する同じ銘柄の185mlの缶コーヒーは、異なる商品コラム42に収納され、温かい缶コーヒーとして販売することもできるし、冷たい缶コーヒーとして販売することもできる。この場合、同じ185mlの缶コーヒーは、冷温状態によって賞味期限が異なるため、商品管理的には別な商品として取り扱う必要がある。そこで、本実施の形態では、販売前の商品コードに商品販売時の冷温状態を組み合わせた販売時商品管理番号(以下、「SKU番号」という)を商品の最小管理単位として管理している。尚、冷温状態とは、例えば販売する商品の商品温度設定が55℃や4℃であるが、それ以外の温度、例えば20℃の常温状態であってもよい。
例えば予約商品管理データD2は、図9に示すように、販売時商品管理番号であるSKU番号に対して、商品コラム42、商品選択ボタン7、商品価格等を紐付けて管理される。SKU番号は、例えば商品コード「000001」と冷温状態「COLD」との組み合わせを示した最小管理単位番号であり、「000001−C」として表す。尚、「COLD」は販売する商品の商品温度設定を4℃に設定することである。また「HOT」とする場合は、商品温度設定を55℃に設定することであり、「H」として表される。このSKU番号「000001−C」の商品は、商品コラム42の番号(以下、コラム番号ともいう)「1」、「2」、「3」の3つの商品コラム42に同一の商品「000001−C」が収納される。そして、このSKU番号「000001−C」の商品の商品選択ボタン7の配置位置を示す番号は「37」である。また、このSKU番号「000001−C」の商品の価格は「130」円に設定されている。
上記順列販売処理部62aは、同一のSKU番号の商品が収納される複数の商品コラム42に対して販売優先順位を予め設定し、販売優先順位に従って複数の商品コラム42の中から同一のSKU番号の商品を払い出す稼動コラムを選択し、商品補充時における商品払出中の稼動コラムの満杯収納数と商品補充前の商品販売数との差である残存数が0、又は稼動コラムの売切スイッチ48が売り切れを示す場合、販売優先順位が次の順位の商品コラム42を稼動コラムとして選択して商品払出処理を行う。これにより、商品の先入れ先出しを確実に行うことができる。尚、予め設定される販売優先順位は、コラム番号の小さい値を高い販売優先順位として自動的に初期設定してもよい。また、例えば同一のSKU番号の商品が収納される複数の商品コラム42とは、SKU番号「000001−C」に対するコラム番号「1」、「2」、「3」である。同様に、SKU番号「000009−C」に対するコラム番号「12」、「13」、「14」である。
以上のような構成を有する自動販売機1において、予約商品管理データD2の作成する場合について説明する。例えば管理者がリモコン57に設けられた図示せぬ分割・連結ボタンを押下すると、図10の上部に示したコラム分割・連結設定画面が所定の図示せぬ表示領域に表示される。このコラム分割・連結設定画面では、すべての商品収納ラック40を前面からみた商品コラム42の配置状態が表示される。そして、商品コラム42の分割・連結が可能な表示領域EAは、文字色や背景色を変えたり、点滅表示等されたりして強調表示が行われている。管理者は、この強調表示された表示領域EAに対する操作を行うことによって商品コラム42の分割・連結を行うことができる。尚、表示領域EAでは、隣接するセルが分割・連結が可能な商品コラム42である。例えば、管理者が表示領域EAを構成するセルをクリックする毎に分割と連結との処理が繰り返される。例えば、コラム番号が「6」の商品コラム42をクリックすると「−」表示になり、コラム番号が「6」の商品コラム42と、コラム番号が「11」の商品コラム42とが連結される。商品コラム42を連結する場合、コラム番号が小さい商品コラム42の番号が「−」表示される。そして、商品コラム42が連結された場合、図11に示すように、予約商品管理データD2では、大きいコラム番号が設定される。例えば図11では、2つのSKU番号「000008−C」が同じコラム番号「11」に設定されている。同様にして、コラム番号が「21」の商品コラム42をクリックすると「−」表示になり、コラム番号が「21」の商品コラム42と、コラム番号が「26」の商品コラム42とが連結される。そして、図11に示すように、予約商品管理データD2では、2つのSKU番号「000018−C」が同じコラム番号「26」に設定される。
図12は、リモコン57による予約商品管理データD2の確認処理中の状態を示す図である。図12に示すように、リモコン57の表示領域E1には、予約商品管理データD2がSKU番号順に表示される。図10では、SKU番号と商品コラム42との関係が示されている。すなわち、SKU番号「000008−C」の商品は、コラム番号が「11」の商品コラム42に収納されていることが示される。ここで、「*」は、確認情報であり、商品管理データD1と予約商品管理データD2との違いがあるところを示している。ここで、確認ボタンB1を押下することによって確認情報の確認処理が行われる。確認処理が行われると次のSKU番号と商品コラム42との関係が示される。尚、「*」が表示されないときも、確認ボタンB1を押下すると次のSKU番号と商品コラム42との関係が示される。尚、SKU番号と商品選択ボタン7との関係を見る場合には、図示しない方向キー(右方向キー)を押下することによって、図11に示される、右側の商品選択ボタン7の情報がSKU番号に対応して表示される。すなわち、SKU番号「000008−C」と番号が「39」の商品選択ボタン7と、番号が「26」の商品選択ボタン7とが表示される。商品価格等の表示も同様にして行うことができる。
表示領域E2には、商品管理データD1と予約商品管理データD2との違いを示す確認情報の全てに対する確認処理が行われていない場合に、エラー表示がなされる。すなわち、エラー表示がされている間は、商品管理データD1と予約商品管理データD2との違いを示す確認情報の未確認が存在することになる。
ここで、図13に示すフローチャートを参照して、設定制御部63による予約商品管理データD2の確認処理手順について説明する。まず、この状態では、現在運用中の商品管理データD1と予め設定される予約商品管理データD2とが予め記憶部56に記憶されていることを前提とする。
図13に示すように、まず設定制御部63は、商品管理データD1と予約商品管理データD2との間に違い(設定変更)があるか否かを判定する(ステップS101)。設定変更がない場合(ステップS101,No)には、本処理を終了する。一方、設定変更がある場合(ステップS101,Yes)には、表示領域E2にエラー表示する(ステップS102)。その後、設定変更を示す確認情報である「*」の表示を行う(ステップS103)。更に確認ボタンB1の押下があったか否かを判定する(ステップS104)。
確認ボタンB1が押下されていない場合(ステップS104,No)には、ステップS102に戻り、エラー表示を継続する。一方、確認ボタンB1が押下されている場合(ステップS104,Yes)には、表示された設定変更を実行する(ステップS105)。その後、全ての確認処理が終わったか否かを判定する(ステップS106)。全ての確認処理が終わっていない場合(ステップS106,No)には、ステップS102に戻り、エラー表示を継続する。一方、全ての確認処理が終わった場合(ステップS106,Yes)には、エラー表示を消灯し(ステップS107)、本処理を終了する。
次に、図14に示したフローチャート参照して、順列販売処理部62aによる順列販売処理について説明する。図14に示すように、順列販売処理部62aは、販売指示があったか否かを判定する(ステップS201)。販売指示がない場合(ステップS201,No)には、この判定処理を繰り返し、販売指示があった場合(ステップS201,Yes)には、現在の稼動コラムからの販売を行う(ステップS202)。尚、初期設定の稼動コラムは、販売優先順位が最上位のコラムに設定される。この販売後、現在の稼動コラムの残存数の更新を行う(ステップS203)。具体的には、稼動コラムの現在の残存数から1を減算した残存数に更新する。
その後、稼動コラムの残存数が0であるか否かを判定する(ステップS204)。稼動コラムの残存数が0でない場合(ステップS204,No)には、更に売切スイッチ48の結果をもとに、稼動コラムは売り切れか否かを判定する(ステップS205)。残存数が0である場合(ステップS204,Yes)又は稼動コラムが売り切れである場合(ステップS205,Yes)には、更に同一のSKU番号を有する商品コラム群内の全ての商品コラム42が売り切れであるか否かを判定する(ステップS206)。尚、稼動コラムが売り切れでない場合(ステップS205,No)には、本処理を終了し、同一のSKU番号を商品コラム群内の全ての商品コラム42が売り切れである場合(ステップS206,Yes)には、売切処理、すなわち商品選択ボタン7や別途設けた売切ボタン等を点灯させる処理を行った(ステップS210)後、本処理を終了する。
一方、同一のSKU番号を商品コラム群内の全ての商品コラム42が売り切れでない場合(ステップS206,No)には、販売優先順位が次の順位の商品コラム42を稼動コラムに設定する(ステップS207)。その後、この稼動コラムが売り切れか否かを判定する(ステップS208)。稼動コラムが売り切れである場合(ステップS208,Yes)には、ステップS207に戻って、販売優先順位が次の順位の商品コラム42を稼動コラムに設定する。一方、稼動コラムが売り切れでない場合(ステップS208,No)には、稼動コラムの残存数を満杯収納数に設定し(ステップS209)、本処理を終了する。尚、上述した処理は、繰り返し行われる。
図15は、順列販売処理の具体例を示す説明図である。図15に示すように、ここでは、同一のSKU番号を有する商品コラム42が3つあり、コラム番号が「22」、「23」、「24」の商品コラム42には、それぞれ販売優先順位「1」、「2」、「3」が予め設定されている。図15の(a)は、最初の商品補充後におけるコラム番号が「22」、「23」、「24」の商品コラム42の収納状態を示している。図15の(a)では、最初の補充時における商品は商品「a」と示している。図15の(a)では、販売優先順位が「1」のコラム番号「22」の商品コラム42が稼動コラムに設定され、この商品コラム42から商品が払い出される。
その後、図15の(b)に示すように、コラム番号が「22」の商品コラム42から5つの商品すべてが払い出され、残存数が0となるので、販売優先順位が「2」のコラム番号が「23」の商品コラム42が稼動コラムに設定される。
そして、コラム番号が「23」の商品コラム42から1つの商品が払い出された段階で、2回目の商品補充時になると、図15の(c)に示すように、コラム番号が「22」及び「23」の各商品コラム42にそれぞれ5つ及び1つの商品「b」が補充される。この段階では、稼動コラムの残存数は4であるため、引き続き、コラム番号が「23」の商品コラム42の商品「a」が払い出されるが、残存数4に対応した4つの商品「a」が払い出されると、残存数が0になるので、販売優先順位が「3」のコラム番号が「24」の商品コラム42が稼動コラムに設定される。そして、図15の(d)に示すように、コラム番号が「24」の商品コラム42から商品「a」が払い出される。
その後、コラム番号が「24」の商品コラム42から商品「a」が3つ払い出された段階で、3回目の商品補充時になると、図15の(e)に示すように、コラム番号が「23」及び「24」の各商品コラム42にそれぞれ4つ及び3つの商品「c」が補充される。その後、図15の(e)に示す状態から、移動コラムの残存数2に対応した2つの商品「a」が払い出される。これによって、最初の補充時に補充された先入れの商品「a」がすべて払い出され、それまでに後入れの商品「b」、「c」は払い出されない。その後、2つの商品「a」がコラム番号「24」の商品コラム42から払い出されると、残存数は0になり、最上位の販売優先順位をもつコラム番号「22」の商品コラム42が稼動コラムに設定される。その後、新たな商品の補充があっても、先入れされた商品、例えば商品「b」がすべて払い出されるまで次に先入れされた商品、例えば商品「c」が先出しされることはない。このように、商品の先入れ先出しを確実に行うことができる。
尚、上記の順列販売処理では、3つの商品コラム42に同一のSKU番号を有する商品を収納させているが、従来の交互販売方式のときには、3つのすべての商品コラムに対して商品補充を行う必要があったが、それに比べて本実施の形態では、補充すべき商品コラム42の数が少なくて済む。例えば、図15の(c)では、2つの商品コラム42に補充すればよく、図15の(e)でも2つの商品コラム42に補充すればよく、商品コラム42への商品補充時に間違った商品収納を減らすことができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態である自動販売機1によれば、商品コラム42は、それぞれ商品の収納可能本数が同一であるとともに商品選択ボタン7と関連付けられており、かつ収納通路42aが他の商品コラム42の収納通路42aと併合されて該他の商品コラム42と連結可能なものを含んでいるので、商品入替を行う場合、作業者は、商品コラム42の収納可能本数を意識せずに商品の補充を行うことができるとともに、補充商品の商品高さ等の形状等の変化にも対応して商品の補充を行うことができる。しかも商品コラム42の総数の最小数は、商品選択ボタン7の総数よりも大きいので、各商品コラム42の商品の在庫数に応じて任意の商品コラム42に商品補充を行うことができる。従って、商品入替を行う際の商品補充作業を容易なものとすることができる。
特に、商品コラム42の総数の最小数は、商品選択ボタン7の総数よりも大きいので、商品の売れ行きに応じて商品コラム42の配分を変えることができ、商品の在庫数の適正化を図りつつ売上の向上を図ることができる。
上記自動販売機1によれば、記憶部56が、商品に対して予め付された販売前の商品コードと商品販売時の冷温状態とを組み合わせた最小管理単位を示すSKU番号に対して、商品コラム番号を含む商品管理内容を紐付けた商品管理データD1を保存し、販売制御部62が、リモコン57を通じて入出力処理された商品管理データD1をもとに商品の販売制御を行い、設定制御部63が上記商品管理データD1の設定変更を制御するので、特に、商品補充を行う場合、リモコン57でSKU番号を指定すると、このSKU番号に対応する商品コラム42の番号を容易に見出すことができ、同一のSKU番号を有する複数の商品コラム42も直ちに認識して、補充商品毎にまとめて補充することができ、商品補充を短時間かつ容易に行え、また誤投入を抑制することができる。
上記自動販売機1によれば、設定制御部63が、設定変更すべき部分を含む全商品管理データを一括受信して予約商品管理データD2として記憶部56に保存させ、商品の補充時に、商品管理データD1と予約商品管理データD2との違いを示す確認情報を含んだ予約商品管理データD2をリモコン57に表示し、確認情報に対する確認処理によって予約商品管理データD2を現在の商品管理データD1として保存させるので、リモコン57に表示された予約商品管理データD2を確認しつつ、設定変更部分を示す確認情報の確認処理を行うという簡易な処理で、予約商品管理データD2の設定変更を行うことができる。しかも、商品管理データD1及び予約商品管理データD2は、SKU番号を中心に商品管理されているため、商品入替等で商品を補充する作業者は、手元にある商品を中心に商品コラム42に商品補充を行えば良く、商品補充にかかる時間を短縮することができる。特に、上記の設定変更の時間及び商品補充の時間がともに短縮されるため、作業者の商品補充にかかるトータル時間を大幅に短縮することができる。しかも、商品管理データD1や予約商品管理データD2は、自動販売機1の管理者が記憶部56に保存しておけばよいので、管理者による管理も容易になる。管理者は、例えばネットワークあるいは近距離無線通信を介して予約商品管理データD2を任意の時間に設定しておけばよい。更に、管理者による予約商品管理データD2の設定と作業者による予約商品管理データD2の確認処理とは分離されるため、作業者による自動販売機1の商品入替時間が大幅に短縮され、自動販売機1の販売不能時間を大幅に短縮することができる。また更に、自動販売機1は、屋外の環境が厳しいところに配置される場合があるが、このような場合であっても、自動販売機1に対する商品入替時間が大幅に短縮されるので、作業者の負担が大幅に軽減される。
尚、本実施の形態ではリモコン57を用いて予約商品管理データD2の確認及び設定変更を行っているが、これに限らず、例えば、近距離無線接続が可能なハンドヘルドターミナルを用いて予約商品管理データD2の確認及び設定変更を行ってもよい。また、管理者も、ハンドヘルドターミナルを用い、ハンドヘルドターミナルに予め保存しておいた予約商品管理データD2を、前面扉12を開かずに、自動販売機1の外部から記憶部56に予約保存するようにしてもよい。
上記自動販売機1によれば、商品収容庫11a,11b,11cにおける商品収納ラック40の上部に蓄冷材54が設けてあるので、冷凍機51及び庫内ファン52の駆動を停止させた場合にも、蓄冷材54で冷却された空気により商品収納ラック40に収納された商品を冷却することができ、消費電力の低減化を図ることができる。
上記商品収納ラック40は、サーペンタインラック、すなわち上下に蛇行した通路セグメント間を商品収納通路とし、商品収納通路に収納した商品を下方の搬出機構から一個ずつ払い出すラックに対し、上下方向に複数段配置された商品棚41を備えていることから、サーペンタインラックに対してコラムの数を多くすることができ、より多種の商品が販売可能である。このため、例えば、同等サイズの自動販売機1では、商品収納ラック40の方がサーペンタインラックよりも多くの商品コラム42を有するため、多種の商品販売に適している。しかも商品コラム42は、商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納するので、商品を商品収納ラック40内に補充する際、上下方向に蛇行した商品通路に商品を収納するサーペンタインラックのように商品投入口43から商品を補充した際に生じる商品落下時の発生音を生じないため、商品補充時の静音化に寄与する。
上記の実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。