本発明は、本葛粉を主成分として用いた常温下で餅のような食感を有する餅様食品、この餅様食品から製造された氷菓及びこの氷菓の製造方法に関する。さらに詳しく述べると、本発明は、本葛粉を主成分として用いた、常温下では餅のような食感を有する餅様食品であって、そのまま食することができるばかりか、冷凍して氷菓とした場合にも美味な食品として食することができ、しかも、この氷菓を常温下に放置しても溶けて液だれすることがほとんどなく、独特な食感を有する食品として食することができる、本葛粉を主成分とする餅様食品、氷菓及び氷菓の製造方法に関する。
従来、常温下で餅のような食感を有する餅様食品として、餅のみならず、白玉、葛餅、ういろう(外郎)、生八つ橋及びわらび餅等、多くのものが知られている。このうち、餅は、主として餅米がその原料として製造されるが、餅米に対し、さらにジャガイモデンプンを添加したものも存在する。葛餅、白玉、外郎、生八つ橋及びわらび餅では、ゲル化材として、それぞれの素材に対応したデンプンを用いて製造されている。
例えば、白玉では餅米のデンプンからなる白玉粉が、生八つ橋では餅粉又は白玉粉並びにうるち米粉末及び片栗粉が、ういろうではうるち米粉、もち米粉又は小麦粉が、わらび餅ではわらびの根から製造されたデンプンからなる蕨粉が、それぞれゲル化材として用いられている。なお、葛餅について、本来的には、葛の根から作成されたデンプンを含む原料から作成されたものをいうが、実際には、葛の根から製造されたデンプンのみからなる葛粉(本葛粉)を用いた餅様食品が高価となるためにほとんど製造されておらず、葛粉及びサツマイモデンプン又はジャガイモデンプンとを混合物により製造されたもの、業務用並葛として知られているサツマイモデンプンにより製造されたもの、さらには、例えば、久寿餅のように発酵された小麦デンプンにより製造されたものが知られている。
これらの餅様食品において、餅自体は、加熱した状態ないし常温下で、その他の餅様食品は、常温下で食されることが多く、一般的には、これら餅様食品を冷凍して氷菓とすることが行われていない。なぜなら、これらの餅様食品をそのまま冷凍すると、固くなりすぎて、そのまま食すのに向かないばかりか、その後、解凍しても、デンプンの老化により食感が固くなってしまうからである。なお、この明細書における「常温」とは、特に断らない限り、JIS規格における20℃±15℃を示すものとして用いている。また、「葛粉」として市販されているものには、葛粉に対し、サツマイモデンプンやジャガイモデンプンが混合されているものも存在するので、この明細書においては、後述するとおり、純粋な葛粉そのものを特に表す場合にはそれを「本葛粉」と称する。
一方、下記特許文献1(特許第2804440号公報)に示されているように、葛粉をアイスクリーム原料の一部として用いた葛アイスクリームのような氷菓が知られている。この葛アイスクリームは、牛乳、生クリーム、卵黄、ぶどう糖、脱脂粉乳及び葛粉を原料として製造されている。さらに、下記特許文献2(特開2010−252661号公報)には、アイス類に均一に分散させても餅本来の食感と風味を有する餅様食材及びそれを含有する餅入り食品の製造方法が示されている。
特許第2804440号公報
特開2010−252661号公報
上記特許文献1に示されている葛アイスクリームは、従来の市販のアイスクリームで用いられている乳化安定剤の代わり葛粉を用いて製造されたものであり、これにより、従来の市販のアイスクリームと比べて、舌触りが変わらない一方、後味の良さが格段に向上する。また、この葛アイスクリームによれば、原料として、全て天然素材を用いることが可能となるので、そうでないものに比べ、一般的に人体への安全面で優れる。しかしながら、この葛アイスクリームは、冷凍された状態でこそアイスクリームとしての特性を備えているが、温度が上昇すると、溶解してしまい、そもそもその形状を維持することすらできないという問題があった。
また、上記特許文献2に示されている餅様食材によれば、冷蔵又は冷却下で保存しても餅が固くならず、餅本来の食感を維持するが、ゲル化材としてアルギン酸又はアルギン酸ナトリウム及び難溶性カルシウム塩とが用いられており、このゲル化材は、天然素材ではないという観点で避けられる傾向がある。加えて、この餅様食材は、餅が粒状でアイス類中に均一に分散されているため、上述した葛アイスクリームの場合と同様、温度が上昇すると、溶けてしまい、その形状を維持することができないという問題があった。
したがって、本葛粉を主原料とした常温下で餅のような食感を有する餅様食品であって、そのまま食することができるだけでなく、冷凍して氷菓とした場合にも美味な食品として食することができ、しかも、この氷菓を常温下に放置しても溶けて液だれすることがほとんどなく、独特な食感を有する食品として食することができるようなものは、知られていなかった。
また、餅様食品の製造原料であるデンプン質ゲル化剤としての小麦デンプン、ジャガイモデンプン及びサツマイモデンプンは、アレルゲン性があることが知られている成分である。さらに、上述した葛アイスクリームの製造原料である牛乳及び卵もアレルゲン性がある成分である。加えて、健康指向の観点から、特に血糖値の上昇を抑えることを目的として、GI値(Glycemic Index)が低い甘味料が要望されている。甘味料としては、一般的には、砂糖が多く用いられているが、砂糖は、グラニュー糖、上白糖、氷砂糖又は三温糖等のいずれのものであっても、精製されているため、ミネラル含有量が少なく、しかも、これらは、いずれもGI値が高い甘味料である。なお、和三盆、黒砂糖、水あめ及びココナッツシュガーは、砂糖よりもGI値が低く、ミネラル成分を比較的多く含んでおり、砂糖よりも口当たりがよく、いずれも独特な風味を有する甘味料である。また、合成甘味料は、GI値こそ非常に低いが、天然原料ではないという観点から避けられる傾向にある。
発明者等は、従来のデンプン質ゲル化材を用いた餅様食品の冷凍時の問題点を解決すべく種々実験を重ねてきた。その結果、デンプン質ゲル化材として、本葛粉を主成分とするものを用いると、常温下で餅様食品としてそのまま食することができ、冷凍して氷菓とした場合にも美味な食品として食することができ、しかも、この氷菓を常温下に放置しても溶けて液だれすることがほとんどなく、独特な食感を有する食品とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。このような現象が生じることの理由は、おそらく、葛そのもののデンプンが他のデンプンに比して老化し難いことによるものであると思われる。
すなわち、本発明の第1の目的は、本葛粉を主原料とした、常温下では餅のような食感を有する餅様食品であって、そのまま食することができ、冷凍させて氷菓とした場合においても美味な食品として食することができ、しかも、アレルゲン性成分を含まない餅様食品を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、上述の餅様食品を冷凍した氷菓であって、独特なとろみ感を有する美味な食品として食することができ、しかも、常温下に放置しても溶けて液だれがほとんどせず、独特な食感を有する食品として食することができ、しかも、アレルゲン性成分を含まない氷菓及びその製造セット並びに氷菓製造方法を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、本葛粉を用いた上で、レシピを調整することにより、生チョコレートのような濃厚な食味及び食感を有する美味な食品として食することができ、しかも、常温下に放置しても溶けて液だれがほとんどせず、独特な食感を有する食品として食することができる氷菓を提供することにある。
本発明の第1の態様の餅様食品は、ゲル化材及び甘味料を含有する食品であって、前記ゲル化材は、本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まず、前記甘味料は、少なくとも精製されていないものを含むが、精製された砂糖、ブドウ糖及び合成甘味料を含まない、ことを特徴とする。
本発明における「本葛粉」とは、葛の根から製造されたもののみからなる(葛粉含有割合100%)ものを意味し、たとえ、本葛粉の名称を有するものであっても、葛の根から製造されたもの以外の他のデンプンが混合されているものは、これに含まれない。そして、本発明における「本葛粉が主成分であり」とは、ゲル化材の成分の中で本葛粉が最も多いことを意味するものである。これにより、第1の態様の餅様食品は、なめらかで口当たりが良く、特に、ういろうに類似した食感を有する餅様食品が得られ、そのまま甘みを有する美味な食品として食することができる。本葛粉以外のゲル化材、例えば他のデンプンが混合された葛粉等では実現できない、独特な食感を有する食品を提供することができる。
しかも、第1の態様の餅様食品においては、甘味料として健康に悪影響を与える可能性があり、GI値が高いことでも知られているグラニュー糖、上白糖、氷砂糖、粉砂糖及び三温糖等の精製された砂糖成分及びブドウ糖を含んでいないため、食後の急速な血糖値上昇を避けることができるだけでなく、合成甘味料も含んでいないため、健康志向に適した甘味を有する餅様食品となる。
なお、第1の態様の餅様食品においては、例えば、和三盆、アガベシロップ、黒砂糖、メープルシロップ、水あめやココナッツシュガー等の精製されていない甘味料のうちの少なくとも1種類以上含まれてもよい。このうち、食味の点からは、例えば和風の風味素材に対しては和三盆が好ましい。和三盆は、精製された砂糖よりもGI値が低く、しかも、ミネラル成分を含んでいるため、和風の餅様食品の甘味料として使用すると、良好な甘味感を有する餅様食品が得られる。また、例えばフルーツ系の風味素材に対しては、アガベシロップが好ましいが、甘味料の種類は限定されるものではない。
また、第1の態様の餅様食品において、ゲル化材は、本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン及び小麦デンプンを含んでいない。ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン及び小麦デンプンは、それぞれアレルゲン性を有しているが、本葛粉は、アレルゲン性を有していない。そのため、第1の態様の餅様食品は、安全性が高い。さらに、本葛粉を主成分とするゲル化材を用いて製造された餅様食品は、冷凍させて氷菓とする際に、デンプンの老化が生じ難いことによるものと思われるが、冷凍させて氷菓としても固くなりすぎることがなく、食し易く、美味な氷菓となる。しかも、この氷菓は、独特なとろみ感を有し、そのままでも食し易く、歯触りがよいものとなる。
なお、ゲル化材として周知の寒天は、餅様の食感が得られず、しかも、デンプン質ではない。ゼラチンも寒天と同様、デンプン質ではなく、しかも、アレルゲン性がある。
また、本発明の第2の態様の餅様食品は、第1の態様の餅様商品において、前記ゲル化剤は、前記本葛粉のみからなるか、又は、前記本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものであることを特徴とする。
ゲル化材として本葛粉のみからなるものを用いると、なめらかで口当たりがよい餅様食品が得られる。また、これを氷菓として食すると、多少のサクサク感を伴い、口の中で温度が上がると、凍らせる前の餅様食品に依存した食感が加わり、独特のとろみ感が付与される。さらに、この氷菓を常温下に放置しても、型崩れ及び液垂れがせず、凍らせる前と実質的に同様の餅様食品として食することができる。
また、ゲル化材として本葛粉のみからなるものを用いると、なめらかで口当たりがよい餅様食品が得られるが、モチモチ感は、小さい。これに対し、ゲル化剤として蓮根粉を混入すると、モチモチ感が大きい餅様食品が得られる。そのため、本葛粉に蓮根粉が混合されると、本葛粉が有するなめらかさ及び口当たりのよさを維持しながら、よりモチモチ感が大きくなり、より美味な餅様食品が選られる。なお、蓮根粉は、アレルゲン性がないため、蓮根粉の添加により、本葛粉の有するアレルゲン性を有しないという特性が損なわれることがない。また、蓮根粉添加割合は、本葛粉含有割合よりも少なくすればよい。なぜなら、蓮根粉の含有割合が多すぎると柔らかすぎて食感が劣るようになるからである。
ゲル化剤としてさらに米粉を混入すると、モチモチ感を有するだけでなく、ねっとり感を有する餅様食品が得られる。さらに、本葛粉に蓮根粉及び米粉が混合されると、ゲル化材として本葛粉のみからなるものを用いたものと比べ、本葛粉が有するなめらかさ及び口当たり性を維持しながら、よりモチモチ感が大きくなり、さらにねっとり感を備えた、より美味な餅様食品が選られる。なお、蓮根粉と同様、米粉は、アレルゲン性がないため、これらの成分の添加により本葛粉の有するアレルゲン性を有しないという特性が損なわれることがない。なお、甘味料として水あめを用いる場合は、水あめ自体が米粉の場合と同様にねっとり感を与える成分であるので、米粉の添加量の一部又は全部を減らして、水あめを加えた場合でも、同様のねっとり感が得られる。また、米粉の添加量をそのままで、さらに水あめを加えることもでき、これによりねっとり感を調節することもできる。ゲル化剤としてさらに蕨粉を加えると、プルンプルン感を付加することができる。なお、蕨粉には、アレルゲン性がない。
また、蓮根粉、米粉及び蕨粉の添加割合はそれぞれ、本葛粉含有割合よりも少なくすればよい。米粉の含有割合は、多くなればそれに比例してねっとり感が大きくなるが、モチモチ感に加え、ねっとり感を付与する観点から、蓮根粉、米粉及び蕨粉の添加割合はそれぞれ、本葛粉含有割合よりも少なくことがより好ましい。なお、米粉としては、うるち米を生のまま微細に粉砕したものが好ましい。米粉は、微細な粉体とされることにより、他の原料と均一に混ざるようになるため、ゲル化しやすい。
また、本発明の第3の態様の餅様食品は、第1又は第2のいずれかの態様の餅様食品において、さらに少なくとも茶類、ニッキ、シナモン、果物や野菜のジュース、果物や野菜のピューレないしペースト、穀物のピューレないしペースト、ナッツ、チョコレート、コーヒー、ライスミルク、ココナッツウォーター、ココナッツミルク、ココナッツシュガー、蜂蜜、洋酒、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上を含む風味素材が添加されており、前記風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができることを特徴とする。
第3の態様の餅様食品によれば、独特のとろみ感ないしねっとり感を備えた各種お茶の味、八つ橋味(ニッキ味)、シナモン味、各種果物味や野菜味、ナッツ味、チョコレート味、コーヒー味、米味、ココナッツ味、ココナッツシュガー味、蜂蜜味、洋酒味、日本酒味又は甘酒味を有する餅様食品が得られる。果物や野菜のジュースとしては、フレッシュジュースを用いることができる。また、風味素材中に水分が含まれているときは、その水分量も考慮して添加量を定めればよい。なお、風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができるため、他の甘味料を使用しないこと、又は、他の甘味料を減量することができる。
本発明の第4の態様の餅様食品は、第1又は第2の餅様食品において、前記餅様食品の外側に最中を有することを特徴とする。
第4の態様の餅様食品によれば、餅様食品の外側に最中を有することにより、見た目にも和菓子のようで意匠性もよく、最中のパリッとした食感と、餅様食品のモチモチ感とが相まって、食感の良い、美味な餅様食品を得ることができる。
さらに、本発明の第5の態様の氷菓は、ゲル化材及び甘味料を含有する氷菓であって、前記ゲル化材は、本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まず、前記甘味料は、少なくとも精製されていないものを含むが、精製された砂糖、ブドウ糖及び合成甘味料を含まないことを特徴とする。
第5の態様の氷菓によれば、そのまま美味な氷菓として食することができ、口の中で温度が上がると実質的に凍らせる前の餅様食品に依存した食感が加わり、独特のとろみ感が付与される。さらに、この氷菓を常温下に放置しても、型崩れ及び液垂れがせず、凍らせる前と実質的に同様の餅様食品として食することができるようになる。本葛粉を主成分とすることによって、本葛粉以外のゲル化材、例えば他のデンプンが混合された葛粉等では実現できない、独特な食感を有し、しかも、型崩れや液垂れを良好に抑えた氷菓を提供することができる。
また、本発明の第6の態様の氷菓は、第5態様の氷菓において、前記ゲル化材は、前記本葛粉のみからなるか、又は、前記本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものであることを特徴とする。
第6の態様の氷菓によれば、ゲル化材が本葛粉のみからなる場合には、そのまま美味な氷菓として食することができ、多少のサクサク感を伴い、口の中で温度が上がると、実質的に凍らせる前の餅様食品に依存した食感が加わり、独特のとろみ感が付与される。さらに、この氷菓を常温下に放置しても、型崩れ及び液垂れがせず、実質的に凍らせる前と同様の餅様食品として食することができるようになる。
また、ゲル化材として、本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものである場合には、そのまま美味な氷菓として食することができるとともに、本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されているので、口の中で温度が上がると、本葛粉が有する独特なとろみ感に加え、蓮根粉によるモチモチ感ないし米粉によるねっとり感が付与された食感を感じることができる。また、蕨粉を加えるとサクサク感を増すことができる。さらに、この氷菓を常温下に放置しても、型崩れ及び液垂れがせず、実質的に凍らせる前と同様の餅様食品として食することができるようになる。なお、蓮根粉、米粉及び蕨粉は、アレルゲン性がないため、この成分の添加により、本葛粉の有するアレルゲン性を有しないという特性が損なわれることはない。
ゲル化剤として本葛粉に蓮根粉を単独で混合したものを用いる場合、蓮根粉含有割合は、本葛粉の含有割合よりも少なくすればよい。蓮根粉の含有割合が多すぎると柔らかくなりすぎて食感が劣るようになる。
また、ゲル化剤として蓮根粉に米粉を混合すると、蓮根粉のみを混合した場合よりもさらにねっとり感を感じることができるようになる。さらに、氷菓を常温下に放置しても、型崩れ及び液垂れがせず、実質的に凍らせる前と同様の餅様食品として食することができるようになる。ゲル化剤として本葛粉に米粉を単独で混合したものを用いる場合、米粉の添加割合は、本葛粉の含有割合よりも少なくすればよい。
また、蓮根粉及び米粉の両方を添加する場合、その添加割合は、それぞれ本葛粉の含有割合よりも少なくすればよい。蓮根粉の含有割合は、多くなればなるほど、それに比例して柔らかくなる。さらに、ねっとり感を付与する観点も考慮し、蓮根粉及び米粉の添加割合を適宜調整すればよい。なお、米粉としては、うるち米を生のまま粉砕した微細なものが好ましい。なお、甘味料として水あめを用いる場合は、水あめ自体が米粉の場合と同様にねっとり感を与える成分であるので、米粉の添加量の一部又は全部を減らして、水あめを加えた場合でも、同様のねっとり感が得られる。また、米粉の添加量をそのままで、さらに水あめを加えることもでき、これによりねっとり感を調節することもできる。なお、ゲル化剤として本葛粉に蕨粉を単独で、あるいは、本葛粉に対して蓮根粉や米粉に加えて蕨粉を添加する場合には、蓮根粉、米粉及び蕨粉の添加割合はそれぞれ本葛粉の含有割合よりも少なくすればよい。
また、本発明の第7の態様の氷菓は、第5又は第6のいずれかの態様の氷菓において、さらに少なくとも茶類、ニッキ、シナモン、果物や野菜のジュース、果物や野菜のピューレないしペースト、穀物のピューレないしペースト、ナッツ、チョコレート、コーヒー、ライスミルク、ココナッツウォーター、ココナッツミルク、ココナッツシュガー、蜂蜜、洋酒、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上を含む風味素材が添加されており、前記風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができることを特徴とする。
第7態様の氷菓によれば、それぞれ各種お茶の味、八つ橋味(ニッキ味)、シナモン味、各種果物味や野菜味、ナッツ味、チョコレート味、コーヒー味、米味、ココナッツ味、ココナッツシュガー味、蜂蜜味、洋酒味、日本酒味又は甘酒味を有する氷菓が得られる。また、風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができるため、他の甘味料を使用しないこと、又は、他の甘味料を減量することができる。
また、本発明の第8の態様の氷菓は、第10の態様の氷菓において、前記風味素材は、チョコレート、及び、ライスミルクとココナッツウォーターとココナッツミルクとココナッツシュガーとの中のいずれか少なくとも1つを含むことを特徴とする。
本発明の第8の態様の氷菓によれば、チョコレート氷菓において、ライスミルクを含めると味に深みを出すことができ、また、ココナッツウォーター又はココナッツミルクを含めるとココナッツの独特の風味を出すことができ、美味なチョコレート氷菓を提供することができる。ここで、ココナッツウォーターとは、ココナッツの果汁のことを意味する。また、ココナッツミルクとは、ココナッツの果汁に、ココナッツの果肉を加えてミキサー等で攪拌したものを意味する。ココナッツシュガーを用いるとココナッツシュガーの風味を付与することができる。ココナッツシュガーとは、ココヤシの花や花のつぼみから集めた花の蜜からとれる甘味料を意味する。ココナッツシュガーは低GIであり、かつ、様々な栄養素を豊富に含んでいる。
また、本発明の第9の態様の氷菓は、第5〜第8のいずれかの態様の氷菓の中から食味又は食感が異なる2種類以上の氷菓を組み合わせたことを特徴とする。
第9の態様の氷菓によれば、2種類以上の異なる風味又は食感を、1つの氷菓によって味わうことができ、食味の変化や食感の変化があり、食べあきることが無い氷菓を提供することができる。例えば、風味素材としてチョコレートを含む氷菓を先端側に有し、風味素材として果物を含む氷菓を手持バー側に有することもできる。すわなち、先端部側に濃厚なチョコレート風味の氷菓を有し、持ち手側にサクサク食感を有するフルーツ風味の氷菓を有する、2種類の風味を味わえる氷菓を得ることができる。これにより、濃厚なチョコレート風味であっても最後まで食べあきることなく、しかも、持ち手側がフルーツ味であるため、先端から食べた時に、最後にフルーツ味の氷菓を食することにより、後味がさっぱりとした氷菓を提供することができる。
また、本発明の第10の態様の氷菓は、第5〜第9のいずれかの態様の氷菓において、さらに風味付加パウダーが添加されていることを特徴とする。
第10態様の氷菓によれば、風味素材が添加されている氷菓に対し、さらに風味付加パウダーを付けて食べることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせを自由に行うことができるため、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせによる相乗効果により、より風味豊かな味わいの氷菓とすることができる。なお、風味付加パウダーは、冷凍前の材料調製段階で添加することもできる。また、風味素材が添加されておらず、甘味料により味付けされた氷菓に対し、様々な風味の風味付加パウダーを添加することにより、多様な食味の氷菓とすることができる。また、販売店において、客からの注文を受けてから、その客の好みに応じた風味のパウダーを甘味を有する氷菓に添加することにより、その場で、客の注文どおりの氷菓を簡単に提供することができるようになる。なお、氷菓に対し、容器に入れられた風味付加パウダーを付けて食べるようにすることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、氷菓及び容器入り風味付加パウダーのセットは、移動式店舗によって提供することが可能である。
第11の態様の氷菓は、第5〜第10のいずれかの態様の氷菓において、オーバーランが60%以上であることを特徴とする。
第11の態様の氷菓によれば、オーバーランが60%以上であるため、乳成分を含んでいなくともソフトクリームのようなふわふわの食感のある氷菓を提供することができる。また、この氷菓を冷凍保存した後にも、アイスディッシャー等で容易に氷菓を容易にすくい取ることができると共に、ふわふわの食感の氷菓を提供することができる。
また、本発明の第12の態様の氷菓は、第11の態様の氷菓において、ソフトクリーム状、アイスキャンディー状、カップアイス状、最中アイス状、又は、削りアイス状から選択される少なくとも1つの形態で提供可能であることを特徴とする。
第12の態様の氷菓によれば、ソフトクリーム状、アイスキャンディー状、カップアイス状、最中アイス状、又は、削りアイス状の形態の中から、同じ氷菓を好みの形態で提供可能である。オーバーランが60%以上であるため、ソフトクリーム状の氷菓を提供することができる。また、型に入れて冷却することにより、アイスキャンディー状の氷菓を提供することもできる。また、容器に入れて冷凍保存しておくことにより、カップアイス状の氷菓を提供することもできる。また、氷菓を最中に挟むことにより、最中アイス状の氷菓を提供することもできる。さらに、冷凍した氷菓をかき氷器で切削することにより、削りアイス状の氷菓を提供することもできる。したがって、同じレシピで同じ製法によって製造した氷菓を、様々な異なる形態の氷菓として提供することが可能となる。
また、本発明の第13の態様の氷菓は、第5〜第12のいずれかの態様の氷菓において、切削されたものからなることを特徴とする。
第13の態様の氷菓によれば、削りアイス独特の食感を味わうことができる。すなわち、口に入れると、解け際に独特の食感が残り、本葛粉を主成分としているため独特のとろみ感を感じることができる。直方体形状ないし円柱形状の氷菓の製造装置及びこの氷菓を切削するかき氷器は、広く市販されているので、安価に直方体形状又は円柱形状の氷菓を製造することができるようになるとともに、削りアイスを安価に製造することができるようになる。なお、削る厚さによって、食感に変化を加えることができる。
また、切削される氷菓は、例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓を用いることもできるし、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いることもできる。なお、この場合の氷菓には手持バーは不要であるが、手持バーがある場合でも、ロック状ないしキューブ状に割ることは可能である。さらに、手持バー付き氷菓を切削できる、専用のかき氷器を用いれば、手持バー付きの氷菓をそのまま専用のかき氷器に投入することにより、削りアイスを作ることができる。細長い棒状の氷菓を割ることによってロック状ないしキューブ状の氷菓とすることもできる。細長い棒状の氷菓に切込みを入れておくと、この棒状の氷菓を切込みに沿って割ることにより、容易にロック状ないしキューブ状の氷菓とすることもできる。細長い棒状の氷菓やロック状ないしキューブ状の氷菓のサイズは比較的小さいため、コンパクトなかき氷器を用いることが可能である。コンパクトなかき氷器としては、例えば家庭用又は業務用に市販されている手動又は電動のかき氷器を用いることもできるし、手動又は電動のハンディータイプのかき氷器を用いることもできる。特に、ハンディータイプの電動かき氷器を用いると、家庭でも店舗でも手軽に削りアイスを製造することができ、例えばパンケーキやワッフル等の食品の上から、かき氷器で削った削りアイスを直接トッピングすることができる。
また、本発明の第14の態様の氷菓は、第13の態様の氷菓において、異なる風味素材が添加されている氷菓が複数種類混合されていることを特徴とする。
第14の態様の氷菓によれば、例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓や、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いることにより、複数の種類の氷菓を同時に、かき氷器に投入して、ミックスした削りアイスを作ることができる。この場合、複数の種類の氷菓の味の組み合わせを自由に決めることができるため、様々な味の組み合わせを実現することができる。例えば、チョコレート味と、抹茶味と、イチゴ味との組み合わせ等、その組み合わせは自由である。さらに、チョコレート味とのブロックまた、味の組み合わせを工夫することで、調味が可能になるため、単体の1つの味の氷菓とは異なる様々な味を実現することができる。
また、本発明の第15の態様の氷菓は、第13又は第14の態様の氷菓において、さらに冷凍機で追加冷却されたものであることを特徴とする。
第15の態様の氷菓によれば、口の中で複数の異なる食感を有する削りアイスとなる。すなわち、
(1)パリパリとしたせんべいのような固い歯触りの有る食感、
(2)口に入れると柔らかくなる食感、及び、
(3)口に入れて3秒程度で解けてなくなる際の独特のとろみ感のある食感
を感じることができる。
また、本発明の第16の態様の氷菓は、第13〜第15のいずれかの態様の氷菓において、切削された氷菓に風味付加パウダーが添加されていることを特徴とする。
第16の態様の氷菓によれば、削りアイスに対して、様々な風味の風味付加パウダーを振りかけることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせを自由に行うことができるため、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせによる相乗効果により、より風味豊かな味わいの氷菓とすることができる。
また、本発明の第17の態様の氷菓は、第5〜第12のいずれかの態様の氷菓において、青竹からなる手持ちバーを有することを特徴とする。
第17の態様の氷菓によれば、手持バーが挿入されているため、食しやすいアイスバーとすることができる。また、手持ちバーが青竹であるから、青竹の鮮やかな色が映えるので、氷菓(アイスバー)の美観が良好となる。なお、青竹は、採取後に常温保存すると、酸化して白色化してしまうが、青竹を手持ちバーとして使用すると、青竹がアイスバーと共に冷凍保存されているため、青竹を鮮やかな緑色のままに維持できる。したがって、青竹が鮮やかな緑色であるのか否かは、アイスバーが一度も常温状態にならなかったことの証となる。
また、本発明の第18の態様の氷菓は、第5〜第17のいずれかの態様の氷菓において、前記氷菓の外側に最中を有することを特徴とする。
第18の態様の氷菓によれば、氷菓の外側に最中を有することにより、見た目にも和菓子のようで意匠性もよく、最中のパリッとした食感と、本葛粉を用いた独特のとろみ感のある氷菓とが相まって、食感の良い、美味な氷菓を得ることができる。また、食する時に、最初に最中が口に当たるので、氷菓の冷たさが直接口に伝わらないため、冷やした和菓子を食しているような、従来の氷菓にはない、独特の冷たさを感じることができる。
また、本発明の第19の態様の氷菓製造セットは、第5〜第18のいずれかの態様の氷菓を製造する材料及び器具からなる氷菓製造セットであって、少なくとも、前記本葛粉を主成分とするゲル化材及び前記甘味料と、アイス型と、を含むことを特徴とする。
第19の態様の氷菓によれば、家庭で簡単に本葛粉氷菓を製造することができる。このような製造セットはお土産としても好適である。
さらに、本発明の第20の態様の氷菓の製造方法は、以下の(1)〜(4)の工程を備えることを特徴とする。
(1)本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まないゲル化材と、少なくとも精製されていないものを含むが、精製された砂糖、ブドウ糖及び合成甘味料を含まない甘味料と、を水に分散させた水溶液を得る工程、
(2)前記水溶液を撹拌しながら加熱する工程、
(3)前記(2)の工程で得られた水溶液を所定の形状の型内に注入する工程、
(4)前記型の周囲に冷媒を循環させて、前記型内注入されたゲル状体を冷凍して凍結させる工程。
また、本発明の第21の態様の氷菓の製造方法は、第20の態様の氷菓の製造方法において、前記(2)の工程では、前記水溶液をゲル化させることを特徴とする。
また、本発明の第22の態様の氷菓の製造方法は、第20又は第21の態様の氷菓の製造方法において、前記ゲル化材として、前記本葛粉のみを用いるか、又は、前記本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものを用いることを特徴とする。
第20〜第22の態様の氷菓の製造方法によれば、本発明の第5〜第6の態様の効果を奏する氷菓を製造することができる。なお、ゲル化材としてのデンプンは、冷凍される時に、5〜0℃の温度域を通過する際に老化して固くなるが、例えば型内のゲル状体の冷凍を超低温である液体窒素によって冷却されたアルコールを用いると、冷却効率がよく、5〜0℃の温度域を短時間で通過することができる。そのため、デンプンの老化が進行せず、氷菓として最適な温度に維持した場合には、独特なとろみ感を有し、そのままでも食し易く、歯触りもよい氷菓を製造することができるようになる。ゲル化材の割合によっては、第21の態様の氷菓の製造方法のように、(2)の工程において水溶液をゲル化させることができ、これによって、この氷菓を常温下に放置しても、型崩れ及び液垂れがせず、実質的に凍らせる前と同様の餅様食品として食することができるようになる。また、本葛粉を主成分とすることによって、本葛粉以外のゲル化材、例えば他のデンプンが混合された葛粉等では実現できない、独特な食感を有し、しかも、型崩れや液垂れを良好に抑えた氷菓を提供することができる。
また、本発明の第23の態様の氷菓の製造方法は、第20〜第22のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(4)の工程を、前記型内の水溶液に高周波電界を印加しながら行うことを特徴とする。
第23態様の氷菓の製造方法によれば、冷凍時に高周波電界を印加しているため、ゲル状体を構成する分子に振動が与えられ、その味が変化し、風味が増すと共に角が取れて、まろやかな味の氷菓が得られる。なお、高周波電界としては、150kHz以下の長波領域のものにすると、冷凍時のゲル状体の高周波の吸収量が多くなり、ゲル状体を構成する分子が良好に微小振動するため、よりまろやかな味の氷菓となる。
また、本発明の第24の態様の氷菓の製造方法は、第20〜第23のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(2)の工程の前記水溶液に、少なくとも茶類、ニッキ、シナモン、果物や野菜のジュース、果物や野菜のピューレないしペースト、穀物のピューレないしペースト、ナッツ、チョコレート、コーヒー、ライスミルク、ココナッツウォーター、ココナッツミルク、ココナッツシュガー、蜂蜜、洋酒、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上を含む風味素材を混入させる工程をさらに有しており、前記風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができること特徴とする。
第24の態様の氷菓の製造方法によれば、各種お茶の味、八つ橋味(ニッキ味)、シナモン味、各種果物味や野菜味、ナッツ味、チョコレート味、コーヒー味、米味、ココナッツ味、ココナッツシュガー味、蜂蜜味、洋酒味、日本酒味又は甘酒味の氷菓を製造することができる。また、風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができるため、他の甘味料を使用しないこと、又は、他の甘味料を減量することができる。
また、本発明の第25の態様の氷菓の製造方法は、第24の態様の氷菓の製造方法において、前記風味素材は、チョコレート、及び、ライスミルクとココナッツウォーターとココナッツミルクとココナッツシュガーとの中のいずれか少なくとも1つを含むことを特徴とする。
第25の態様の氷菓の製造方法によれば、チョコレート氷菓において、ライスミルクを含めると味に深みを出すことができ、また、ココナッツウォーター又はココナッツミルクを含めるとココナッツの独特の風味を出すことができ、美味なチョコレート氷菓を製造することができる。また、ココナッツシュガーを用いるとココナッツシュガーの風味を付与することができる。
また、本発明の第26の態様の氷菓の製造方法は、第20〜第25のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、食味又は食感が異なる2種類以上の氷菓を組み合わせた氷菓の製造方法であって、前記(3)及び(4)の工程を、組み合わせた氷菓の種類の回数だけ、複数回に分けて順に行うことを特徴とする。
第26の態様の氷菓によれば、2種類以上の異なる風味又は食感を、1つの氷菓によって味わうことができ、食味の変化や食感の変化があり、食べあきることが無い氷菓を製造することができる。
また、本発明の第27の態様の氷菓の製造方法は、第20〜第26のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、風味素材としてチョコレートを含む氷菓を先端側に有し、風味素材として果物を含む氷菓を手持バー側に有する氷菓の製造方法であって、まず、風味素材としてチョコレートを含むゲル状体について前記(3)及び(4)の工程を行い、次に、風味素材として果物を含むゲル状体について前記(3)及び(4)の工程を行うことを特徴とする。
第27の態様の氷菓の製造方法によれば、風味素材としてチョコレートを含む氷菓を先端側に有し、風味素材として果物を含む氷菓を手持バー側に有する氷菓を製造することができる。このような氷菓は、先端部側に濃厚なチョコレート風味の氷菓を有し、持ち手側にサクサク食感を有するフルーツ風味の氷菓を有する、2種類の風味を味わえる氷菓を得ることができる。これにより、濃厚なチョコレート風味であっても最後まで食べあきることなく、しかも、持ち手側がフルーツ味であるため、先端から食べた時に、最後にフルーツ味の氷菓を食することにより、後味がさっぱりとした氷菓を提供することができる。
また、本発明の第28の態様の氷菓の製造方法は、第20〜第27のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(3)の工程の後に、前記型内に挿入されたゲル状体内に青竹からなる手持ちバーを挿入する工程を有することを特徴とする。
本発明の第28の態様の氷菓の製造方法によれば、手持バーが挿入されているため、食しやすいアイスバーを製造することができる。また、手持ちバーが青竹であるから、青竹の鮮やかな色が映えるので、氷菓(アイスバー)の美観が良好となる。なお、青竹は、採取後に常温保存すると、酸化して白色化してしまうが、青竹を手持ちバーとして使用すると、青竹がアイスバーと共に冷凍保存されているため、青竹を鮮やかな緑色のままに維持できる。したがって、青竹が鮮やかな緑色であるのか否かは、アイスバーが一度も常温状態にならなかったことの証となる。
また、本発明の第29の態様の氷菓の製造方法は、第20〜第28のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、さらに、(5)前記(4)の工程で得られた氷菓を切削する工程、
を有することを特徴とする。
第29の態様の氷菓の製造方法によれば、独特の食感を有する削りアイスを製造することができる。直方体形状又は円柱形状の氷菓の製造装置及びこの氷菓を切削するかき氷器は、広く市販されているので、安価に直方体形状又は円柱形状の氷菓を製造することができるようになるとともに、かき氷を安価に製造することができるようになる。なお、削る厚さによって、食感に変化を加えることができる。
また、本発明の第30の態様の氷菓の製造方法は、第29の態様の氷菓の製造方法において、切削される氷菓は、
(a)手持バーを有しない細長い略円柱状又は略角柱状の氷菓、
(b)手持バーを有する細長い略円柱状又は略角柱状の氷菓、
(c)ロック状ないしキューブ状の氷菓、又は、
(d)前記(a)又は(b)の氷菓を割ってロック状ないしキューブ状とした氷菓、
の中の少なくとも何れか1つであることを特徴とする。
第30の態様の氷菓の製造方法によれば、例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓を用いることもできるし、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いることもできる。細長い棒状の氷菓を割ることによってロック状ないしキューブ状の氷菓とすることもできる。なお、この場合の氷菓には手持バーは不要であるが、手持バーがある場合でも、ロック状ないしキューブ状に割ることは可能である。
さらに、手持バー付き氷菓を切削できる、専用のかき氷器を用いれば、手持バー付きの氷菓をそのまま専用のかき氷器に投入することにより、削りアイスを作ることができる。専用のかき氷器としては、例えばハンディータイプのカキ氷器の削り刃部分のアタッチメントを交換して、手持バーの部分が貫通できる孔を有するアタッチメントを用いることで、手持バー付きの氷菓をそのまま切削することが可能になる。なお、このような削り刃部分のアタッチメントの交換はハンディータイプのものに限らず、手動又は電動の様々なタイプのかき氷器にも適用できる。
また、本発明の第31の態様の氷菓の製造方法は、第30の態様の氷菓の製造方法において、前記(d)において、(a)又は(b)の細長い略円柱状又は略角柱状の氷菓には、切込みが設けられており、この切込みに沿って氷菓をロック状ないしキューブ状に割ることを特徴とする。
第31の態様の氷菓の製造方法によれば、細長い棒状の氷菓に切込みを入れておくと、この棒状の氷菓を切込みに沿って割ることにより、容易にロック状ないしキューブ状の氷菓とすることもできる。
また、本発明の第32の態様の氷菓の製造方法は、第29〜第31のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、氷菓の切削には手動又は電動のかき氷器、あるいは、手動又は電動のハンディータイプのかき氷器を使用することを特徴とする。
第32の態様の氷菓の製造方法によれば、細長い棒状の氷菓やロック状ないしキューブ状の氷菓のサイズは比較的小さいため、コンパクトなかき氷器を用いることが可能である。コンパクトなかき氷器としては、例えば家庭用又は業務用に市販されている手動又は電動のかき氷器を用いることもできるし、手動又は電動のハンディータイプのかき氷器を用いることもできる。特に、ハンディータイプの電動かき氷器を用いると、家庭でも店舗でも手軽に削りアイスを製造することができ、例えばパンケーキやワッフル等の食品の上から、かき氷器で削った削りアイスを直接トッピングすることができる。
また、本発明の第33の態様の氷菓の製造方法は、第32の態様の氷菓の製造方法において、前記かき氷器に、異なる風味素材が添加されている氷菓を複数種類投入することにより、複数種類の風味を組み合わせた氷菓を製造することを特徴とする。
第33の態様の氷菓の製造方法によれば、例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓や、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いた場合には、複数の種類の氷菓を同時に、かき氷器に投入して、ミックスした削りアイスを作ることができる。この場合、複数の種類の氷菓の味の組み合わせを自由に決めることができるため、様々な味の組み合わせを実現することができる。例えば、チョコレート味と、抹茶味と、イチゴ味との組み合わせ等、その組み合わせは自由である。また、味の組み合わせを工夫することで、調味が可能になるため、単体の1つの味の氷菓とは異なる様々な味を実現することができる。
また、本発明の第34の態様の氷菓の製造方法は、第29〜第33のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、さらに、(6)前記(5)の工程で得られた氷菓を冷凍機で追加冷却する工程、を有することを特徴とする。
第34の態様の氷菓の製造方法によれば、口の中で複数の異なる食感を有する削りアイスを製造することができる。すなわち、
(1)パリパリとしたせんべいのような固い歯触りの有る食感、
(2)口に入れると柔らかくなる食感、及び、
(3)口に入れて3秒程度で解けてなくなる際の独特のとろみ感のある食感
を感じすることができる。
また、本発明の第35の態様の氷菓の製造方法は、以下の(1)〜(3)の工程を備えることを特徴とする
(1)本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まないゲル化材と、少なくとも精製されていないものを含むが、精製された砂糖、ブドウ糖及び合成甘味料を含まない甘味料と、を水に分散させた水溶液を得る工程、
(2)前記水溶液を撹拌しながら加熱する工程、
(3)冷凍機内で前記(2)の工程で得られた水溶液に空気を含有させながら冷却する工程。
第35の態様の氷菓の製造方法によれば、本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まないゲル化材を用いることにより、冷凍機内で(2)の工程で得られた水溶液に空気を含有させながら冷却することにより、乳成分を含まなくとも、ソフトクリーム状の独特のふわふわの食感と独特のとろみ感を有する氷菓を提供することができる。本葛粉を主成分とすることによって、本葛粉以外のゲル化材、例えば他のデンプンが混合された葛粉等では実現できない、独特なふわふわ感と、独特のとろみ感を有する氷菓を提供することができる。
また、本発明の第36の態様の氷菓の製造方法は、第35の態様の氷菓の製造方法において、前記(2)の工程では、前記水溶液をゲル化させることを特徴とする。
第36の態様の氷菓の製造方法によれば、前記(2)の工程で水溶液をゲル化させることにより、このゲル化の度合いに応じて、独特のふわふわの食感と独特なとろみ感を調整することが可能である。
また、本発明の第37の態様の氷菓の製造方法は、第35又は第36の態様の氷菓の製造方法において、前記ゲル化材として、前記本葛粉のみを用いるか、又は、前記本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものを用いることを特徴とする。
第37の態様の氷菓の製造方法によれば、ゲル化材が本葛粉のみからなる場合には、独特なふわふわの食感に加え、独特のとろみ感を付与することができる。また、ゲル化材として、本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものである場合には、独特なふわふわの食感と独特のとろみ感に加え、蓮根粉によるモチモチ感ないし米粉によるねっとり感が付与された食感を感じることができる。また、蕨粉を加えるとジェラート様の食感を増すことができる。なお、蓮根粉、米粉及び蕨粉は、アレルゲン性がないため、この成分の添加により、本葛粉の有するアレルゲン性を有しないという特性が損なわれることはない。乳成分を添加しなくとも、ソフトクリーム状のふわふわの食感の氷菓を提供することができる。
また、本発明の第38の態様の氷菓の製造方法は、第35〜第37のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(3)の工程を、前記型内の水溶液に高周波電界を印加しながら行うことを特徴とする。
第38の態様の氷菓の製造方法によれば、冷凍時に高周波電界を印加しているため、ゲル状体を構成する分子に振動が与えられ、その味が変化し、風味が増すと共に角が取れて、まろやかな味の氷菓が得られる。なお、高周波電界としては、150kHz以下の長波領域のものにすると、冷凍時のゲル状体の高周波の吸収量が多くなり、ゲル状体を構成する分子が良好に微小振動するため、よりまろやかな味の氷菓となる。
また、本発明の第39の態様の氷菓の製造方法は、第35〜第38のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(2)の工程の水溶液に、少なくとも茶類、ニッキ、シナモン、果物や野菜のジュース、果物や野菜のピューレないしペースト、穀物のピューレないしペースト、ナッツ、チョコレート、コーヒー、ライスミルク、ココナッツウォーター、ココナッツミルク、ココナッツシュガー、蜂蜜、洋酒、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上を含む風味素材を混入させる工程をさらに有しており、前記風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができること特徴とする。
第39の態様の氷菓の製造方法によれば、各種お茶の味、八つ橋味(ニッキ味)、シナモン味、各種果物味や野菜味、ナッツ味、チョコレート味、コーヒー味、米味、ココナッツ味、ココナッツシュガー味、蜂蜜味、洋酒味、日本酒味又は甘酒味の氷菓を製造することができる。また、風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができるため、他の甘味料を使用しないこと、又は、他の甘味料を減量することができる。
また、本発明の第40の態様の氷菓の製造方法は、第39の態様の氷菓の製造方法において、前記風味素材は、チョコレート、及び、ライスミルクとココナッツウォーターとココナッツミルクとココナッツシュガーとの中のいずれか少なくとも1つを含むことを特徴とする。
第40の態様の氷菓の製造方法によれば、チョコレート氷菓において、ライスミルクを含めると味に深みを出すことができ、また、ココナッツウォーター又はココナッツミルクを含めるとココナッツの独特の風味を出すことができ、美味なチョコレート氷菓を製造することができる。また、ココナッツシュガーを用いるとココナッツシュガーの風味を付与することができる。
また、本発明の第41の態様の氷菓の製造方法は、第35〜第40のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(3)の工程では、オーバーランを60%以上とすることを特徴とする。
第41の態様の氷菓の製造方法によれば、オーバーランが60%以上であるため、乳成分を含んでいなくともソフトクリームのようなふわふわの食感のある氷菓を提供することができる。また、この氷菓を冷凍保存した後にも、アイスディッシャー等で容易に氷菓を容易にすくい取ることができると共に、ふわふわの食感の氷菓を提供することができる。
また、本発明の第42の態様の氷菓の製造方法は、第35〜第41のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(3)の工程で得られた氷菓を、ソフトクリーム状、アイスキャンディー状、カップアイス状、最中アイス状、又は、削りアイス状から選択される少なくとも1つの形態で提供することを特徴とする。
第42の態様の氷菓の製造方法によれば、ソフトクリーム状、アイスキャンディー状、カップアイス状、最中アイス状、又は、削りアイス状の形態の中から、同じ氷菓を好みの形態で提供可能である。オーバーランが60%以上であるため、ソフトクリーム状の氷菓を提供することができる。また、型に入れて冷却することにより、アイスキャンディー状の氷菓を提供することもできる。また、容器に入れて冷凍保存しておくことにより、カップアイス状の氷菓を提供することもできる。また、氷菓を最中に挟むことにより、最中アイス状の氷菓を提供することもできる。さらに、冷凍した氷菓をかき氷器で切削することにより、削りアイス状の氷菓を提供することもできる。したがって、同じレシピで同じ製法によって製造した氷菓を、様々な異なる形態の氷菓として提供することが可能となる。
また、本発明の第43の態様の氷菓の製造方法は、第20〜第42のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、複数種類の中から選択される少なくとも一種の風味付加パウダーがさらに添加されていることを特徴とする。
第43の態様の氷菓の製造方法によれば、風味素材が添加されている氷菓に対し、さらに風味付加パウダーを付けて食べることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、風味素材と風味付加パウダーとの味の組み合わせを自由に行うことができるため、味の組み合わせによる相乗効果により、より風味豊かな味わいの氷菓とすることができる。なお、風味付加パウダーは、冷凍前の材料調製段階で添加することもできる。また、風味素材が添加されていない氷菓に対して、様々な風味の風味付加パウダーを後から添加することにより、多様な食味の氷菓とすることができる。なお、氷菓に対し、容器に入れられた風味付加パウダーを付けて食べることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、氷菓及び容器入り風味付加パウダーのセットは、移動式店舗によって提供することが可能である。また、販売店において、客からの注文を受けてから、その客の好みに応じた風味のパウダーを甘味を有する氷菓に後から添加することにより、その場で客の注文どおりの氷菓を簡単に製造することができる。
また、本発明の第44の態様の氷菓の製造方法は、第20〜第43のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記氷菓の外側に最中を設けることを特徴とする。
第44の態様の氷菓の製造方法によれば、氷菓の外側に最中を設けることにより、見た目にも和菓子のようで意匠性もよく、最中のパリッとした食感と、本葛粉を用いた独特のとろみ感のある氷菓とが相まって、食感の良い、美味な氷菓を製造することができる。また、食する時に、最初に最中が口に当たるので、氷菓の冷たさが直接口に伝わらないため、冷やした和菓子を食しているような、従来の氷菓にはない、独特の冷たさを感じることができる。
以上で述べたように、本発明によれば、常温下では餅のような食感を有する餅様食品であって、そのまま食することができ、冷凍させて氷菓とした場合においても美味な食品として食することができ、しかも、アレルゲン性成分を含まず、GI値が低い餅様食品が提供される。加えて、本発明によれば、冷凍した氷菓は、独特のとろみ感又はグニュグニュ感を有し、歯触りの良い美味な食品として食することができ、しかも、常温下に所定時間放置しても溶けてほとんど液だれせず、独特な食感を有する食品として食することができ、しかも、アレルゲン性成分を含まず、GI値が低い氷菓、氷菓製造セット及び氷菓の製造方法が提供される。
各実験例で使用する冷凍機の概念図である。
実験例12で製造した円柱形状の氷菓の斜視図である。
図2の氷菓を板状に切削した状態の斜視図である。
以下、本発明に係る餅様食品、この餅様食品から製造された氷菓及びその氷菓の製造方法について、各種実験例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す各種実験例は、あくまで、本発明の技術思想を具体化するための例を示すものであって、本発明をこれらの実験例に示したものに限定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に含まれるその他の実験例のものにも等しく適応し得るものである。
[実施形態1]
実施形態1では、実験例1〜23について説明する。
[実験例1〜4]
実験例1〜4では、常温下で餅様の食感を有する4種類の餅様食品を製造した。まず、デンプン質ゲル化材としての本葛粉としては、市販の吉野本葛(登録商標名)粉を用いた。吉野本葛粉は、ここでは黒川本家製のものを採用した。また、蓮根粉及び和三盆としては、いずれも徳島産のものを用いた。また、米粉としては、うるち米を生のまま粉砕した市販の微細な米粉を用いた。
実験例1では、容器中で水100質量部に対して、和三盆適量、本葛粉3質量部、蓮根粉8質量部を添加し、よく撹拌・混合し、水に本葛粉及び蓮根粉を分散させ、和三盆を完全に水に溶解させた。次に、この容器を中火で撹拌しながら80℃以上まで加熱する。温度が70℃程度から容器中の混合物が固くなり始め、その透明度が増加する。容器中の混合物が固くなり始めたら、一気に撹拌強度を増し、容器中の混合物が均一なゲル状体となるようにした。この加熱工程により、同時に殺菌も行うことができる。なお、最高加熱温度は、沸騰しないようにするため、90℃以下にすることが好ましい。
次いで、容器を火から下ろし、常温まで冷却した後、しぼり袋内にゲル状体を注入し、金属製で内部形状が円筒状となっているアイス型(例えば、容積30ccのもの。)内に注入した。次いで、凍結保存されていた青竹の手持ちバーをアイス型のゲル状体に挿入し、さらに、ゲル状体が注入されたこのアイス型を図1に示した冷凍機内に載置し、急速冷凍することにより凍結させ、凍結後のものをアイス型から取りだすことにより実験例1の氷菓としてのアイスバーを得た。
アイスバーの形状を円柱形状とすると、冷凍時、アイスバーに温度が均一に伝わるため、独特のとろみ感のある食感が生じやすい。また、常温下においてもアイスバーに温度が均一に伝わるため、より液だれが生じにくい。なお、アイスバーのサイズを30cc程度とすると、手ごろな大きさであるため、より食しやすいアイスバーを提供することができる。
また、氷菓の形状を和菓子の羊羹やういろうのような略直方体形状とすることもできる。この場合、和菓子の羊羹やういろうのような食し方で、氷菓を食することができる。さらに、氷菓を一口サイズの略直方体形状、略円柱形状、略球状、又は、略半球状とすることもでき、この場合にも、食しやすい氷菓を提供することができる。例えばキューブ状の氷菓とすれば、見た目もよく、かつ、食しやすい氷菓とすることができる。
なお、青竹は、採取後に常温保存すると、酸化して白色化してしまうが、本発明では、青竹がアイスと共に冷凍保存されているため、青竹を鮮やかな緑色のままに維持できる。このようなアイスバーにおいて、アイスバーの青竹が白色化していないということは、アイスバーが常温になったことがないことの証左となる。
なお、ここで用いた冷凍機10は、図1に示したように、方形状の容器11と、熱交換器12とを有している。方形状の容器11の内部には冷却媒体(冷媒)13が入れられている。また、熱交換器12の内部には、コイル状に巻き回された銅製の導管14が設けられているとともに、液化窒素15も導入されており、銅製の導管14内を流れる冷媒が液化窒素15によって冷却されるようになっている。そして、方形状の容器11の出口端16が導管17によって銅製の導管14の一方側の端部に接続され、銅製の導管14の他方側の端部は、導管18、循環ポンプ19及び導管20を経て、方形状の容器11の入り口端21に接続されている。
なお、図1においては、アイス型25内に注入されたゲル状体26と、ゲル状体26内に注入された持ち手バー27が示されている。また、方形状の容器11の上方は、適宜に開放又は密閉可能とされている。さらに、ここでは、冷却媒体として、アルコール(エチルアルコール)が用いられている。
これらにより、方形状の容器11内の冷媒13は、出口端16から導管17を経て、熱交換器12内の銅製の導管14内に入ると、液化窒素15によって、−30℃以下にまで冷却され、導管18、循環ポンプ19、導管20及び方形状の容器11の入り口21を経て、方形状の容器11内に循環するようになっている。ここでは、方形状の容器11内の冷媒13の温度は、−27.5℃以下となるように維持されている。これにより、アイス型25内に注入されたゲル状体26は、急速冷却され、5分程度で凍結を完了することができる。
さらに、アイス型25を方形状の容器11から取り出して水に付けたことによる温度差によって、その表面の一部が溶けた氷菓は、持ち手バー27を持ってアイス型25から取り出すことができるので、取り出した氷菓を図示省略した自動パック装置により包装することにより、包装袋入りの実験例1のアイスバー状の氷菓を作成した。
また、実験例2では、水100質量部に、デンプン質ゲル化剤として本葛粉6質量部及び蓮根粉6質量部、甘味料として、和三盆を適量添加した以外は、実験例1の場合と同様にして、包装袋入りの実験例2のアイスバー状の氷菓を作成した。実験例3では、水100質量部に、デンプン質ゲル化材として本葛粉6質量部、蓮根粉3質量部及び米粉3質量部を用いた以外は、実験例1の場合と同様にして、包装袋入りの実験例3のアイスバー状の氷菓を作成した。さらに、実験例4では、水100質量部に、本葛粉11質量部及び和三盆を適量添加した以外は、実験例1の場合と同様にして、包装袋入りの実験例4のアイスバー状の氷菓を作成した。
このようにして製造された実験例1〜4の袋入りのアイスバー状の氷菓を−27.5℃に維持されている市販用のアイス等販売用の冷凍庫内に所定時間配置して、これらを同一の温度としてから、これらの食感試験を行った。この食感試験結果をそれぞれの組成と共に表1に示した。
上記実験例1〜4の結果から以下のことが分かる。実験例1の氷菓は、モチモチ感が強いが、固くて直接食するには適しなかった。これに対し、実験例2の氷菓は、モチモチ感があるばかりか、とろみ感があり、歯切れがよく、食し易かった。また、実験例3の氷菓は、ねっとり感及びとろみ感があり、ある程度のモチモチ感があった。実験例4の氷菓は、サクサク感があるが、解け際には、さらにとろみ感が感じられた。これらの実験例から、次のことが分かった。すなわち、本葛粉自体は、食べ始めた時のサクサクした食感の後、口溶けの時にとろみ感が残る感じの触感を提供するものであり、蓮根粉を添加するとモチモチ感が増して固くなり、米粉を添加するとねっとり感が増す。
デンプン質ゲル化剤として、本葛粉に加えて、蕨粉を単独で、又は、本葛粉に対して蓮根粉や米粉に加えてさらに蕨粉を添加することもできる。蕨粉を添加するとサクサク感を増すことができる。
以上のことから、デンプン質ゲル化剤として本葛粉の配合割合が最も多ければ、すなわち、本葛粉が主成分であれば、氷菓として好ましいものが得られることが分かる。蓮根粉と米粉と葛粉の添加割合は、モチモチ感を重視するか、ねっとり感を重視するか、あるいは、サクサク感を重視するかに応じて、適宜に選択すればよい。すなわち、本葛粉を主成分とすれば、蓮根粉と米粉と蕨粉の添付割合は任意に調整可能である。例えば、
・本葛粉100%である場合、
・本葛粉50%、蓮根子50%の場合
・本葛粉50%、蓮根粉25%、米粉25%である場合
・本葛粉40%、米粉30%、蕨粉30%の場合
等、種々の配合が可能である。なお、別途、実験例1〜4のアイスバー状の氷菓を袋から取り出し、それぞれ皿上に載置して溶けた際の状態を調べたが、いずれも液だれ及び型崩れがしなかった。このような氷菓としてのモチモチ感ないしとろみ感は、通常のアイスキャンデーとは異なる独特の食感であり、これは、口の中で溶けた氷菓が液状にならない結果、モチモチ感やとろみ感を維持していることから生じたものと思われる。
また、これらの実験例1〜4のそれぞれの氷菓が溶けた後の食感を冷凍前のそれぞれのゲル状体を直接食した場合と比較すると、実験例1のものは、非常に固くなっていたが、実験例2〜4のものでは、僅かに固くなっている状態であった。したがって、特にデンプン質ゲル化剤としての本葛粉は、蓮根粉及び米粉よりも劣化し難い性質を備えていることが分かる。なお、実験例2及び3で得られた氷菓は、作りたての状態(−27℃程度)で提供すると食べ頃(食味及び食感等がよいこと)であり、実験例4で得られた氷菓は−13℃程度の冷凍庫で保存したものが食べ頃であった。
実験例1〜4では、甘味料として和三盆を用いているが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、アガベシロップ、黒砂糖、メープルシロップ、水あめ、ココナッツシュガー等の精製されていない甘味料を用いることができる。なお、甘味料として水あめを用いる場合は、水あめ自体が米粉の場合と同様にねっとり感を与える成分であるので、米粉の添加量の一部又は全部を減らして、水あめを加えた場合でも、同様のねっとり感が得られる。また、米粉の添加量をそのままで、さらに水あめを加えることもでき、これによりねっとり感を調節することもできる。
[実験例5〜10]
実験例5〜10においては、実験例3で用いたゲル状体に対し、風味素材として、それぞれ抹茶(実験例5)、ほうじ茶(実験例6)、ニッキ(実験例7)、フランボワーズジュース(実験例8)、柿ジュース(実験例9)、甘酒(実験例10)を適量添加し、その他の条件は、実験例3の場合と同様にして、6種類のアイスバー状の氷菓を作成した。ただし、実験例5〜10においては、風味素材に水分が含まれているため、適宜水の量を調整することが望ましい。
なお、抹茶、ほうじ茶及びニッキは、それぞれの原料にお湯を注ぐことにより調製した。また、フランボワーズジュース及び柿ジュースは、生のものを圧搾機で絞り、絞り汁をそのまま用いた。甘酒は、麹から作られたものを使用した。このようにして製造された6種類のアイスバー状の氷菓の食感及び食味を評価したところ、次のようになった。なお、ジュースの替わりに、ピューレないしペースト(後述の実験例19を参照。)を用いることもできる。このピューレないしペーストを用いると、より液だれ又は型崩れがしにくい。
すなわち、実験例5〜7に対応する抹茶、ほうじ茶及びニッキを用いたものは、製造直後の常温状態、氷菓の場合、氷菓を解凍した場合のいずれもそれぞれ抹茶、ほうじ茶ないしニッキの味がするほかは、実質的に実験例3の場合と同様の食味及び食感を有していた。また、実験例8〜10に対応するフランボワーズジュース、柿ジュース及び甘酒を用いた場合は、それぞれフランボワーズ、柿及び甘酒の食味を有するほか、少しサクサクとした食感を有すると共に、解け際には、とろみ感及びねっとり感が感じられた。さらに、これらの実験例5〜10に対応する氷菓を常温下で放置して解凍すると、ほとんど液だれせず、製造直後よりも固めであったが、独特のとろみ感を有していた。ここでは、デンプン質ゲル化剤として、実験例3のものを用いたが、本発明はこれに限らず、例えば実験例2又は実験例4のものも含み、本葛粉を主成分とすれば、蓮根粉と米粉と蕨粉の添付割合は任意に調整可能である。
上記実験例5〜10では、抹茶、ほうじ茶、ニッキ、フランボワーズジュース、柿ジュース、及び甘酒を添加した例を示したが、他に、緑茶、紅茶、ウーロン茶等の茶類、イチゴ、グレープフルーツ、みかん、桃、リンゴ、サクランボ、スモモ、メロン、西洋なし、なし、バナナ、キウイ、ブラックベリー、グランベリー又はカシス等の各種果物のフレッシュジュース(ピューレないしペースト状のものも含む)、野菜のフレッシュジュース(ピューレないしペースト状のものを含む)、穀物のピューレないしペースト(例えば米ピューレ、玄米ピューレ等)、甘酒、シナモン、ナッツ、チョコレート、コーヒー、ライスミルク、ココナッツウォーター、ココナッツミルク、ココナッツシュガー、蜂蜜、洋酒、日本酒又は甘酒等も用いることもでき、さらに、これらを混合したものを用いることもできる。なお、ゲル状体に対してこれらの風味素材を添加すると共に、さらに風味パウダー(氷菓の風味を整えるための素材等)を添加することも可能である。
風味素材の中、ココナッツウォーター及びココナッツミルクを用いると、食味をなめらかにすることができる。ココナッツシュガーは、甘味料としても用いることができ、低GIであり、かつ、様々な栄養素を豊富に含んでいる。また、ココナッツには健康によい効果が有ることが種々報告されており、食味や食感を向上することに加え、ココナッツの持つ種々の豊富な栄養成分を取ることができる。また、風味素材の中、蜂蜜、日本酒又は甘酒は甘味料としても用いることができる。例えば、アガベ、蜂蜜及びココナッツシュガーを含んだ氷菓は、食味が良好である。また、アルコールを含んだ氷菓において、例えば日本酒は甘味料として用いることができる。
[実験例11]
実験例1〜10の氷菓の製造に際し、方形状の容器11内にアイス型25の側方両側に一対の電極を配置(図示省略)し、この一対の電極間に50kHzの高周波電界を印加した以外は実験例1〜10の場合と同様にして、計10本のアイスバー状の氷菓を作成した。このようにして得られた実験例11の計10本のアイスバー状の氷菓を直接食したところ、これらが対応する実験例1〜10のものよりもそれぞれ風味が増すと共に、角が取れてまろやかな味になっていた。
このことは、冷凍時、ゲル状体に高周波電界を印加しているため、ゲル状体を構成する分子に振動が与えられることによって、その味が変化し、風味が増すと共に角が取れてまろやかな味となったものと推定される。なお、実験例11では、高周波電界としては50kHzの高周波を用いたが、150kHz以下の長波領域ものであれば、冷凍時のゲル状体への高周波の吸収量が多くなるので、ゲル状体を構成する分子が良好に微小振動するため、この微小振動に基づく所定の効果を奏する。
[実験例12]
実験例12では、実験例7のニッキを添加し、氷菓の製造時にかき氷製造用と同様のサイズの円筒状のものとなるようにした外は、実験例7の場合と同様にして、実験例12の円筒状の氷菓を製造した。この円筒状の実験例12の氷菓を業務用かき氷製造装置によって刃の荒さを調整した上で、スライス状に切削することにより、スライス状の氷菓を製造した。このスライス状の氷菓を口に含むと、ニッキの食味がして、八つ橋のような風味が感じられるとともに、ねっとりしていて、とろみがあり、通常のアイスキャンデーとは異なる独特の食感を有していた。これは、口の中で溶けた氷菓が液状にならず、ねっとり感と、とろみ感を維持していることから生じたものと思われる。実験例12で製造した円柱形状の氷菓の斜視図を図2に、この氷菓を板状に切削した状態の斜視図を図3に示した。
なお、スライス状の冷凍餅様食品を容器に入れて常温で放置すると、解凍状態となったが溶けずにモチモチ感を維持しているスライス状の餅様食品となった。スライス状の餅様食品は、スプーンを用いることもできるので、食し易かった。また、ここでは、円筒状の氷菓とした例を示したが、直方体形状又は柱体(直方体形状)等としてもよい。
切削される直方体形状ないし円柱形状の氷菓は、かき氷器に合った大きさとする。図2には、比較的大きいサイズの円柱形状の氷菓を用いる例を示しているが、本発明はこれに特定されるものではない。例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓を用いることもできるし、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いることもできる。細長い棒状の氷菓を割ることによってロック状ないしキューブ状の氷菓とすることもできる。この際には、細長い棒状の氷菓に切込みを入れておくと、この棒状の氷菓を切込みに沿って割ることにより、容易にロック状ないしキューブ状の氷菓とすることもできる。なお、この場合の氷菓には手持バーは不要であるが、手持バーがある場合でも、ロック状ないしキューブ状に割ることは可能である。また、切込みがなくとも、棒状の氷菓は例えばナイフやフォークやスプーンを用いて、あるいは、素手によっても簡単に複数に分割することが可能である。細長い棒状の氷菓やロック状ないしキューブ状の氷菓のサイズは比較的小さいため、コンパクトなかき氷器を用いることが可能である。コンパクトなかき氷器としては、例えば家庭用又は業務用に市販されている手動又は電動のかき氷器を用いることもできるし、手動又は電動のハンディータイプのかき氷器を用いることもできる。特に、ハンディータイプの電動かき氷器を用いると、家庭でも店舗でも手軽に削りアイスを製造することができ、例えばパンケーキやワッフル等の食品の上から、かき氷器で削った削りアイスを直接トッピングすることができる。
また、例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓や、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いた場合には、複数の種類の氷菓を同時に、かき氷器に投入して、ミックスした削りアイスを作ることができる。この場合、複数の種類の氷菓の味の組み合わせを自由に決めることができるため、様々な味の組み合わせを実現することができる。例えば、チョコレート味と、抹茶味と、イチゴ味との組み合わせ等、その組み合わせは自由である。さらに、ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いて、チョコレート味とイチゴ味との組み合わせる場合にも、例えばチョコレート味の氷菓を2個とイチゴ味の氷菓を2個とすることや、チョコレート味の氷菓を3個とイチゴ味の氷菓を1個とすることもできるため、顧客の好みに応じて味を調節することができる。すなわち、味の組み合わせと分量とを工夫することで、調味が可能になるため、単体の1つの味の氷菓とは異なる様々な味を実現することができる。
さらに、手持バー付き氷菓を切削できる、専用のかき氷器を用いれば、手持バー付きの氷菓をそのまま専用のかき氷器に投入することにより、削りアイスを作ることができる。専用のかき氷器としては、例えばハンディータイプのカキ氷器の削り刃部分のアタッチメントを交換して、手持バーの部分が貫通できる孔を有するアタッチメントを用いることで、手持バー付きの氷菓をそのまま切削することが可能になる。なお、このような削り刃部分のアタッチメントの交換はハンディータイプのものに限らず、手動又は電動の様々なタイプのかき氷器にも適用できる。
なお、この実験例12のスライス状の冷凍餅様食品を低温冷凍機で再冷凍すると、口に入れた際に、
(1)パリパリとしたせんべいのような固い歯触りのある食感
(2)口に入れると柔らかくなる食感、
(3)口に入れて3秒程度で解けてなくなる際の独特のとろみ感のある食感、
の3種類の食感を楽しむことができるようになる。
さらに、削りアイスに対して、様々な風味の風味付加パウダーを振りかけることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせを自由に行うことができるため、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせによる相乗効果により、より風味豊かな味わいの氷菓とすることができる。
また、上記実験例12では、実験例7の場合と同様にして、実験例12の円筒状の氷菓を製造したが、これに限らず、氷菓に添加する風味素材は、上述のとおり任意であり、かつ、デンプン質ゲル化材としては、例えば実験例2〜4のものを採用することができるところ、本葛粉を主成分とすれば、蓮根粉と米粉と蕨粉の添付割合は、任意に調整可能である。
[実験例13]
実験例13では、実験例3で製造したアイスバーに対し、様々な風味のパウダーにより風味を付与した氷菓を製造した。パウダーとしては、アイスバーにふりかけた際に、アイスバー表面からアイスバーの内部へと浸透するぐらいまで細かいものを用いることが好ましい(が、これに限られない)。実験例3で作成したアイスバーは、和三盆の甘味を有するが、その他の風味は加えられていない。この和三盆の甘味を有するアイスバーに対して、例えば、抹茶の風味を有するパウダーをふりかけると、パウダーがアイスバーの内部へと浸透し、抹茶風味を有するアイスバーを製造することができた。
和三盆の甘味を有する1本のアイスバーに対し、1種類ではなく、複数種類の風味のパウダーをふりかけることにより、複数種類の風味を有するアイスバーを製造することもできた。この場合、ステンシルの要領で各風味のパウダーをふりかける領域を区切ることにより、色鮮やかな模様が付与された、複数の風味を有するアイスバーを簡単に製造することができた。例えば、抹茶風味、ほうじ茶風味及び八つ橋風味(ニッキ風味)の3種類の風味を有するアイスバーを簡単に製造することができた。
甘味を有するアイスバーに対して、様々な風味を有する各種パウダーをふりかける工程は、非常に簡単に、かつ、短時間で実施できるため、この工程は、工場だけではなく、販売店においても実施することができる。例えば、販売店において、客からの注文を受けてから、その客の好みに応じた風味のパウダーを甘味を有するアイスバーにふりかけることにより、その場で客の注文どおりのアイスバーを簡単に製造することができる。
パウダーの風味は、限定されるものではないが、例えば、抹茶風味、ほうじ茶風味、八つ橋風味(ニッキ風味)、シナモン風味、コーヒー風味、フランボワーズ風味、クランベリー風味、シーカーサー風味又はこれらの任意の組合せ等、多様な風味のものを使用できる。また、アイスバーの甘味料としては、和三盆に限らず、例えば、アガベシロップ、黒砂糖、メープルシロップ、水あめやココナッツシュガーからなる甘味料を用いることができる。さらに、パウダーの種類及び甘味料の種類との組み合わせを自由に選択可能である。ここでも、デンプン質ゲル化材としては、例えば実験例2〜4のものを採用することができるところ、本葛粉を主成分とすれば、蓮根粉と米粉と蕨粉の添付割合は、任意に調整可能である。
[実験例14]
実験例14では、実験例5〜10において製造した、抹茶(実験例5)、ほうじ茶(実験例6)、ニッキ(実験例7)、フランボワーズ(実験例8)、柿ジュース(実験例9)及び甘酒(実験例10)の風味のアイスバーと、実施例13で用いた、アイスバーに浸透する程度まで細かい様々な風味を有する各種パウダーを準備し(ただし、パウダーの細かさは、これに限られない。)、アイスバーに対してパウダーを付けて食した。この際、パウダーは、適宜の大きさの容器に入れて準備をした。この容器の大きさ及び形状は、容器に入ったパウダーをアイスバーに付けることができる程度のものであればよい。アイスバーの風味と、パウダーの風味とは、自由に組み合わせることが可能であり、例えば、抹茶風味のアイスバーに対して抹茶風味のパウダーを付ける場合、ほうじ茶風味のアイスバーに対してほうじ茶風味のパウダーを付ける場合、あるいは、八つ橋(ニッキ)風味のアイスバーに対してコーヒー風味のパウダーを付ける場合等、多様な組み合わせが可能である。例えば抹茶風味のアイスバーに対して抹茶風味のパウダーを付けて食した場合には、抹茶風味のアイスバーをそのまま食べる場合に比べて、より抹茶の風味が豊かなアイスバーとすることができた。また、例えば八つ橋(ニッキ)風味のアイスバーに対してコーヒー風味のパウダーを付けて食した場合には、ニッキ風味とコーヒー風味との相乗効果により、より風味豊かな味わいのアイスバーとすることができた。
デンプン質ゲル化材として、蓮根粉を加えた場合は、モチモチ感が増して、独特の食感を得ることができるが、蓮根粉の添加量によっては、アイスバーに添加した素材の風味がややぼやけることがある。このような場合にも、アイスバーに対し、パウダーを付けて食することにより、パウダーに係る風味を増すことができ、アイスバーの風味をより引き立てることが可能となる。なお、デンプン質ゲル化材としては、例えば実験例2〜4のものを採用することができるところ、本葛粉を主成分とすれば、蓮根粉と米粉と蕨粉の添付割合は、任意に調整可能である。
実施例14のアイスバー及び容器入りパウダーのセットは、移動式店舗によって提供することが可能である。食品衛生法では、店舗で加工を行う場合、二層式シンク等の所定の設備を備えることが義務付けているが、アイスバー及び容器入りパウダーのセットを提供すること自体は、アイスバーの加工に該当しないので、アイスバー及び容器入りパウダーは、簡易な移動式店舗によって提供することができる。例えば、自転車に小型のリアカーを設置することにより、クーラーボックスを備えた程度の簡易な移動式店舗によって、アイスバー及び容器入りパウダーのセットを販売することが可能である。リアカーには、例えば500本程度のアイスを収容できるところ、その最大重量は、20〜30kg程度であるので、アイスバー及び容器入りパウダーのセットは、自転車によって、容易に移動が可能であるが、好ましくは、電動自転車を用いれば、リアカーを人力で牽引することに比べ、販売者の負担を軽減することができる。客は、移動式店舗において、アイスバー及び容器入りパウダーのセットを購入後、自身の手によって、アイスバーにパウダーを付けることにより、より風味豊かなアイスバーを食することができる。この時、アイスバーのサイズが例えば30ccで円筒形のバー付きアイスバーであると、野外でも手軽に風味豊かなアイスバーとして食することができる。
[実験例15]
実験例15では、実験例5〜10のアイスバーを家庭で製造することができるアイスバー製造セットとして提供する。製造セットには、
(1)本葛粉を主成分とするデンプン質ゲル化材、
(2)甘味料、
(3)様々な風味のパウダー、及び、
(4)バー付きのアイスの型
が含まれている。上記(1)のデンプン質ゲル化材としては、実験例2〜4と同様に、本葛粉100%のものに限らず、本葛粉に対し、任意の割合で、蓮根粉、米粉及び蕨粉のいずれか1種以上を混ぜたものであってもよい。すなわち、本葛粉を主成分とすれば、蓮根粉と米粉と蕨粉の添付割合は、任意に調整可能である。上記(2)の甘味料としては、和三盆、アガベシロップ、黒砂糖、メープルシロップ、水あめやココナッツシュガー等の精製されていない甘味料が用いられ、これらの中から適宜のものを選択可能である。製造セットに用いる甘味料としては、パウダー状の形態のものが望ましいところ、例えば、和三盆や黒砂糖は、パウダー状のものを提供できる。また、アガベシロップについても、パウダー状のアガベパウダーが知られている。
甘味料としては、上記(3)のパウダーの風味との組み合わせで適宜選択すればよく、例えば、和風風味のパウダーに対して和三盆、フルーツ風味のパウダーに対してアガベパウダーといった選択をすることができる。甘味料とパウダーの組み合わせは、種々考えられるので、様々な味の組み合わせを含む複数種類の製造セットを準備することができる。上記(3)のパウダーとしては、様々な風味のパウダーを各種含めることができるところ、例えば、抹茶パウダー、ほうじ茶パウダー及びニッキパウダー等が挙げられる。
また、実験例14で用いたアイスバーに浸透する程度まで細かい様々な風味を有する各種パウダーを用いることもできる。例えば、実験例14で用いた抹茶風味パウダーを用いた場合は、水(お湯)にパウダーを加えるとすぐにパウダーが水に均等に溶けるため、茶筅でお茶をたてるような工程を省けるうえ、風味豊かな抹茶の調整が誰にでも容易にできる。上記(4)のバー付きのアイスの型は、例えば樹脂製の型とすることができ、アイスバーの持ち手となるバーが付属されていることが望ましい。また、アイス型は同時に複数本、例えば6〜12本程度のアイスバーを製造できるものとする。
この製造セットによって家庭でアイスバーを製造するため、製造セットの他には、水(又はぬるま湯)と、水(又はぬるま湯)と上記(1)〜(3)をかき混ぜる第1の容器と、上記(3)を調整するための第2の容器と、を準備する。次に、この製造セットを用いて家庭でアイスバーを製造する方法について説明する。まず、適量の水(ぬるま湯)を入れた第1の容器に対して、上記(1)の本葛粉を主成分とするデンプン質ゲル化材及び上記(2)の甘味料を加えてよくかき混ぜてアイスの基を作る。このときの水の量は、アイスバー1つの容量である例えば30ccに応じで決められる。
次に、第2の容器に少量の水(又はぬるま湯)と上記(3)の様々な風味のパウダーの中の1種類(ただし、複数種類であってもよい。)を入れてかき混ぜることにより、風味の基を調整する。第1の容器で作ったアイスの基に、風味の基を加え、さらにかき混ぜたものを上記(4)のアイスの型に注ぎ入れる。この工程を他の風味のパウダーについても繰り返して、全ての風味についてアイスの型に注ぎ入れたら、アイスの型を冷凍庫に入れてアイスの基を凍らせる。アイスの基を十分に凍らせた後、アイス型からバーが挿入された状態のアイスバーを取り出してアイスバーが完成する。
[実験例16〜20]
実験例16では、本葛粉を用いた上で、レシピを調整することにより、とろみ感だけでなく、氷菓の状態で良好なグニュグニュ感を有しており、生チョコレートのような濃厚な食味及び食感を有し、しかも、常温下に放置しても溶けて液だれがほとんどしないチョコレート氷菓を作成した。原料としては、ゲル化剤として本葛粉及び米粉を用い、さらに甘味料としてはアガベシロップを用い、チョコレートとしては市販のオーガニックチョコレートを用い、乳飲料に換える成分として非アレルゲン性成分である市販のライスミルクを用いた。なお、ライスミルクは、米粉ないし米ぬかを酵素糖化法によってデンプンを転化したものであり、グルテンフリーでアレルゲン性がない疑似乳飲料として知られているものであり、既に数種類のものが市販されている。
ライスミルク100質量部、本葛粉5質量部、米粉2質量部、適量の市販のオーガニックチョコレートを加熱して溶かしたもの、及び、適量のアガベシロップをパステライザ中に入れ、80〜85℃で5分間以上加熱殺菌した。次いで、その他は実験例1〜4の場合と同様にして実験例16の氷菓としてのチョコレートアイスバーを得た。なお、本葛粉5質量部、米粉2質量部は予め適量の水(又はぬるま湯)あるいはライスミルクに溶かしておくことも可能である。また、パステライザを用いる代わりに鍋を用いることも可能であり、この場合、鍋に材料を入れて、鍋を火にかけた状態で80〜85℃の温度を5分間以上保つようにする。なお、パステライザ又は鍋を火にかけた状態での加熱温度は、85〜95℃としてもよい。高い温度の方が、デンプン質ゲル化剤が溶けやすい。
また、実験例17では、デンプン質ゲル化剤として本葛粉8質量部を用いた以外は実験例16の場合と同様にして氷菓としてのチョコレートアイスバーを得た。また、実験例18では、甘味料としてアガベシロップに換えて水あめを同量用いた以外は実験例16の場合と同様にして氷菓としてのチョコレートアイスバーを得た。また、実験例19では、ライスミルクに替えてココナッツウォーター及び/又はココナッツミルクを用いた以外は実験例17の場合と同様にして氷菓としてのチョコレートアイスバーを得た。さらに、実験例20では、ライスミルクに替えてココナッツウォーター及び/又はココナッツミルクを用いると共に、さらに風味素材としてチョコレートに加えて、適量のコーヒーパウダーを添加した以外は実験例17の場合と同様にして氷菓としてのチョコレートアイスバーを得た。このようにして製造された5種類のチョコレートアイスバーの食感及び食味を評価したところ、次のようになった。なお、以下の評価におけるグニュグニュ感とは、氷菓の状態での評価を示し、例えて言うならば、クリーム程ではないが滑らかさがあり、かつ、歯ごたえも感じられるような食感のことである。
すなわち、実験例16のチョコレートアイスバーの食感は、とろみ感が良好であり、ねっとり感とグニュグニュ感が出ており、モチモチ感は感じられるがサクサク感はあまり感じられず、また、常温で30分間以上放置しても液だれしなかった。それに対し、デンプン質ゲル化剤として本葛粉のみを用い、米粉を含有させなかった実験例17のチョコレートアイスバーの食感は、実験例16の場合よりもさっぱりしたサクサク感を有しており、とろみ感は良好であるが、もちもち感、ねっとり感及びグニュグニュ感は劣っていた。また、常温で30分程度放置すると液だれした。
さらに、甘味料としてアガベシロップに換えて水あめを用いた実験例18のチョコレートアイスバーの食感は、実験例16のものと同様に、とろみ感、ねっとり感及び、グニュグニュ感が良好であると共に、モチモチ感が感じられるが、サクサク感はあまり感じられなかった。ねっとり感とグニュグニュ感については、実験例16のものよりも強く感じられた。また、常温で30分間以上放置しても液だれしなかった。このことから、甘味料としての水あめは、米粉と同様にねっとり感及びグニュグニュ感付与作用を有していることが分かった。なお、実験例18では、甘味料として水あめのみを用いているが、本発明の甘味料はこれに特定されるものではなく、例えば、アガベシロップに加えて、水あめを用いることもできる。この場合、水あめの量によって、食感を調整することもできる。
実験例19及び実験例20のデンプン質ゲル化剤として本葛粉のみを用いたチョコレートアイスバーの食感は、いずれも実験例17の場合と同様で、実験例16の場合よりもさっぱりしたサクサク感を有しており、とろみ感は良好であるが、もちもち感、ねっとり感及びグニュグニュ感は劣っていた。また、常温で30分程度放置すると液だれした。また、ココナッツウォーター及び/又はココナッツミルクを添加することにより、濃厚なチョコレートの食味をまろやかにすることができる。
なお、実験例16〜20では、氷菓としてチョコレートアイスバー(30cc程度)を製造した例を示したが、手持ちバーがない直方体形状(立方体状、板状を含む)とすることもできる。また、もっと小型で半球型やキューブ型(立方体形ないし直方体形)のチョコレート菓子と同様の形状としても、食しやすい。また、ここでは風味素材として市販のオーガニックチョコレートのみを使用した例を示したが、チョコレートとの相性からしてアルコールを添加、例えばブランデー原酒ないしブランデーパウダーを例えばアルコール濃度1%未満となるように添加すると、大人向けのチョコレートアイスとなる。なお、アルコール濃度は適宜調整可能である。さらに、チョコレートとの相性からして、粒状カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、フランボワーズ、ブラックベリー、グランベリー、オレンジピューレ等の果肉も添加すると、特に食味が良好な氷菓が得られる。また、黒糖金平糖を適量加えることもできる。
さらに、チョコレートに加えて、穀物のピューレ、例えば、米ピューレを添加することもできる。米ピューレを加えると、よりドリップしにくく、食感がより柔らかくなると共に、食味としては、チョコレートの濃厚な味をまろやかにする。なお、穀物のピューレとしては、米ピューレの他に、玄米のピューレ等も適しているが、特に限定されるものではない。なお、実験例16〜20ではゲル化剤として本葛粉に蕨粉を単独で、あるいは、本葛粉に対して蓮根粉や米粉に加えて蕨粉を添加することも可能であり、この場合には、蓮根粉、米粉及び蕨粉の添加割合はそれぞれ本葛粉の含有割合よりも少なくすればよい。
[実験例21]
実験例16〜20のチョコレート氷菓は、濃厚なチョコレート風味を十分に味わえる。しかしながら、チョコレート風味が強く濃厚であるが故に、後味にさっぱりとしたフルーツ風味が欲しくなるという要請がある。そこで、実験例21では、先端部側の1/2〜2/3程度に実験例16のグニュグニュ食感を有するチョコレート風味の氷菓を有し、持ち手側の1/2〜1/3程度にサクサク食感を有するフルーツ風味の氷菓を有する、2種類の風味を味わえる氷菓を作成した。
グニュグニュ食感を有するチョコレート風味の氷菓は、実験例16と同様に製造するが、アイス型に流し込む工程では、アイス型の先端側の1/2〜2/3だけにパステライザにて調製されたチョコレート風味の氷菓材料を流し込み、冷凍機によってチョコレート氷菓の部分だけを先に冷凍する。次いで、後述の方法で調整されたフルーツ風味の氷菓材料(後述の第2水溶液)を、冷凍されたチョコレート氷菓が先端側に形成された状態のアイス型の残りの1/2〜1/3の部分に流し込み、冷凍機によって冷凍する。凍結後のものをアイス型から取りだすことにより実験例21の2種類の風味を有するアイスバーを得た。すなわち、先端側の1/2〜2/3がグニュグニュ食感を有するチョコレート風味の氷菓であり、持ち手側の1/2〜1/3がサクサク食感を有するフルーツ風味の氷菓であるアイスバーを得た。
この2種類の風味を有するアイスバーは、食味が異なるだけでなく、食感も異なる。食味は、先端側が濃厚なチョコレート風味であり、持ち手側はさっぱりとしたフルーツ風味、例えば、グレープフルーツ、みかん、イチゴ等の風味である。食感は、先端側のチョコレート風味の氷菓は、実験例16と同様に、とろみ感が良好であり、ねっとり感とグニュグニュ感が出ており、モチモチ感は感じられるがサクサク感はあまり感じられなかった。これに対して、持ち手側のフルーツ風味の氷菓の食感は、サクサク感を有していると共に、独特のとろみ感が良好であるが、もちもち感、ねっとり感及びグニュグニュ感は感じられなかった。そして、先端側のチョコレート風味の氷菓も、持ち手側のフルーツ風味の氷菓も、いずれの氷菓も、常温で30分間以上放置しても液だれしなかった。なお、先端側のチョコレート風味の氷菓として、実験例16のチョコレート氷菓と同じものを用いる例を説明したが、これに替えて実験例17〜20のいずれかのチョコレート氷菓と同じものとを用いることもできる。
次に、持ち手側のフルーツ風味の氷菓として、フレッシュな風味で、食感もよく、しかも、液だれのない氷菓を得るためのフルーツ風味の材料の調製の方法について説明する。
まず、グレープフルーツ、みかん、イチゴ等のフルーツのピューレないしペーストを得る。具体的には、
(1)食材に応じた既定の大きさ以上の場合には食材を所定の大きさに切断する工程と、
(2)所定温度の過熱水蒸気雰囲気において低酸素状態で所定時間にわたり加熱殺菌する工程と、
(3)食材の種類又はピューレないしペーストの仕上がり状態に応じて、自転公転式ミキサー、石臼式摩砕機、又は、回転刃式ミキサーのいずれかによって食材をピューレ状ないしペースト状に加工する工程と、
により、フルーツのピューレないしペーストを得る。食材の種類及び状態によって(3)の工程は異なるが、グレープフルーツ、みかん、イチゴ等のフルーツであれば、自転公転式ミキサーを用いることが望ましい。なお、風味素材としては、フルーツ以外にも例えば豆類、米等の穀物、ナッツ等の種実類(ナッツの中では例えばピスタチオ、ヘーゼルナッツ等)、野菜類を用いることができるが、豆類、米等の穀物、ナッツ等の種実類の場合には石臼式摩砕機を用いることが望ましく、また、野菜類とくに葉物野菜の場合には回転刃式ミキサーを用いることが望ましい。
第1水溶液調整工程では、水100重量部、本葛粉11重量部、及びアガベシロップ適量をパステライザに入れて例えば80℃〜85℃の温度で5分以上加熱殺菌して、第1水溶液を調製する。この第1水溶液の調製時、さらにジュースをパステライザに入れてもよいし、氷菓に添加すべき素材、例えば氷菓の風味を整えるための素材等がある場合には、この第1水溶液調整工程においてパステライザに入れる。水ではなく例えば15℃〜70℃程度のぬるま湯を用いてもより。また、パステライザに投入する前に予め水ないしぬるま湯に本葛粉を溶かしておいてもよい。
実験例21では、デンプン質ゲル化剤として本葛粉のみを用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば本葛粉に対して、蓮根粉、米粉及び蕨粉のいずれか1種以上を混ぜることもでき、この場合には、蓮根粉、米粉及び蕨粉の添加割合はそれぞれ本葛粉の含有割合よりも少なくすればよい。甘味料としては、アガベシロップを用いる例を説明したが、本発明はこれに特定されるものではなく、例えば、和三盆、黒砂糖、メープルシロップ、水あめ、ココナッツシュガー等の精製されていない甘味料を用いることができる。
第2水溶液調整工程では、第1水溶液調整工程で調製した第1水溶液に破砕工程で加工した食材のピューレないしペーストを加えて第2水溶液を調製する。食材のピューレないしペーストは繊維を含んでおり、また、第1の水溶液はとろみがある場合もあるため、第1水溶液に対して食材のピューレないしペーストを加えた後には、よく攪拌して第1水溶液に食材のピューレないしペーストがよく混じり合うようにする。この時、食材のピューレないしペーストは過熱水蒸気殺菌工程において既に加熱消毒されており、再度の加熱殺菌は必要としないため、食材の風味や色を損ねることなく、しかも、ドリップしにくい氷菓を得ることができる。なお、氷菓に添加すべき素材、例えば氷菓の風味を整えるための素材等がある場合には、前述の第1水溶液調整工程14においてパステライザに入れるものとして説明したが、これに替えて、第2水溶液調整工程にて添加することもできる。
そして、実験例21では、この第2水溶液を、冷凍されたチョコレート氷菓が先端側に形成された状態のアイス型の残りの1/2〜1/3の部分に流し込み、冷凍機によって冷凍する。凍結後のものをアイス型から取りだすことにより実験例19の2種類の風味を有するアイスバーを得た。
実験例21では、2種類の味の組み合わせとして、実験例16〜20で作成したチョコレート風味の氷菓とフルーツ風味の氷菓との組み合わせを説明したが、本発明はこれに特定されるものではない。例えば、チョコレート風味と抹茶又はほうじ茶風味との組み合わせ、チョコレート風味とコーヒー風味との組み合わせ、抹茶又はほうじ茶風味とフルーツ風味との組み合わせ、2種類のフルーツ風味の組み合わせ等の2種類の風味のアイスバーを作成することもできる。さらに、本発明の味の組み合わせは2種類に限定されるものではなく、例えば、3種類以上とすることもできる。例えば、アイスバーの先端から順に、チョコレート風味、フルーツ風味及び抹茶風味の組み合わせなども可能である。なお、フルーツ風味又は野菜風味のアイスバーは、1種類の風味のアイスバーとすることもできるし、他の風味素材のアイスバーを製造することもできる。
[実験例22]
実験例22では、実験例16〜21の氷菓を切削して削りアイスを製造した。氷菓の製造時にかき氷製造用と同様のサイズの円筒状のものとなるようにした外は、実験例16〜21の場合と同様にして、実験例22の円筒状の氷菓を製造した。この円筒状の実験例22の氷菓を業務用かき氷製造装置によって刃の荒さを調整した上で、スライス状に切削することにより、スライス状の氷菓を製造した。このスライス状の氷菓を口に含むと、風味素材の食味がするとともに、生チョコのようにねっとりしていて、とろみがあり、また、グニュグニュ感があり、通常のアイスキャンデーとは異なる独特の食感を有していた。これは、口の中で溶けた氷菓が液状にならず、ねっとり感ととろみ感に加えてグニュグニュ感を維持していることから生じたものと思われる。実験例20で製造した円柱形状の氷菓の斜視図を図2に、この氷菓を板状に切削した状態の斜視図を図3に示した。
なお、スライス状の冷凍餅様食品を容器に入れて常温で放置すると、解凍状態となったが溶けずにグニュグニュ感を維持しているスライス状の生チョコ様食品となった。スライス状の生チョコ様食品は、スプーンを用いることもできるので、食し易かった。また、ここでは、円筒状の氷菓とした例を示したが、直方体形状又は柱体等としてもよい。
切削される直方体形状ないし円柱形状の氷菓は、かき氷器に合った大きさとする。図2には、比較的大きいサイズの円柱形状の氷菓を用いる例を示しているが、本発明はこれに特定されるものではない。例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓を用いることもできるし、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いることもできる。細長い棒状の氷菓を割ることによってロック状ないしキューブ状の氷菓とすることもできる。この際には、細長い棒状の氷菓に切込みを入れておくと、この棒状の氷菓を切込みに沿って割ることにより、容易にロック状ないしキューブ状の氷菓とすることもできる。なお、この場合の氷菓には手持バーは不要であるが、手持バーがある場合でも、ロック状ないしキューブ状に割ることは可能である。また、切込みがなくとも、棒状の氷菓は例えばナイフやフォークやスプーンを用いて、あるいは、素手によっても簡単に複数に分割することが可能である。細長い棒状の氷菓やロック状ないしキューブ状の氷菓のサイズは比較的小さいため、コンパクトなかき氷器を用いることが可能である。コンパクトなかき氷器としては、例えば家庭用又は業務用に市販されている手動又は電動のかき氷器を用いることもできるし、手動又は電動のハンディータイプのかき氷器を用いることもできる。特に、ハンディータイプの電動かき氷器を用いると、家庭でも店舗でも手軽に削りアイスを製造することができ、例えばパンケーキやワッフル等の食品の上から、かき氷器で削った削りアイスを直接トッピングすることができる。
また、例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓や、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いた場合には、複数の種類の氷菓を同時に、かき氷器に投入して、ミックスした削りアイスを作ることができる。この場合、複数の種類の氷菓の味の組み合わせを自由に決めることができるため、様々な味の組み合わせを実現することができる。例えば、チョコレート味と、イチゴ味と、グレープフルーツ味との組み合わせ等、その組み合わせは自由である。さらに、ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いて削りアイスを作る際に、チョコレート味の氷菓とココナッツ味の氷菓を用いる場合、例えば、チョコレート味の氷菓を3個とココナッツ味の氷菓を1個とすることもできるし、チョコレート味の氷菓を2個とココナッツ味の氷菓を2個とすることもできるし、顧客の好みに応じて味を調整することができる。また、味の組み合わせと分量を工夫することで、調味が可能になるため、単体の1つの味の氷菓とは異なる様々な味を実現することができる。
さらに、手持バー付き氷菓を切削できる、専用のかき氷器を用いれば、手持バー付きの氷菓をそのまま専用のかき氷器に投入することにより、削りアイスを作ることができる。専用のかき氷器としては、例えばハンディータイプのカキ氷器の削り刃部分のアタッチメントを交換して、手持バーの部分が貫通できる孔を有するアタッチメントを用いることで、手持バー付きの氷菓をそのまま切削することが可能になる。なお、このような削り刃部分のアタッチメントの交換はハンディータイプのものに限らず、手動又は電動の様々なタイプのかき氷器にも適用できる。
なお、この実験例22のスライス状の冷凍餅様食品を低温冷凍機で再冷凍すると、口に入れた際に、
(1)パリパリとしたせんべいのような固い歯触りのある食感
(2)口に入れると柔らかくなる食感、
(3)口に入れて3秒程度で解けてなくなる際の独特のグニュグニュ感のある生チョコレートのような食感、
の3種類の食感を楽しむことができるようになる。
また、この削りアイスに対して、様々な風味の風味付加パウダーを振りかけることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせを自由に行うことができるため、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせによる相乗効果により、より風味豊かな味わいの氷菓とすることができる。
[実験例23]
実験例1〜22の氷菓の外側に最中を設けることにより、氷菓の外側に最中を有する氷菓を得ることができる。この氷菓は、例えば最中で氷菓をサンドしたもの、すなわち、一対の半円筒状の最中で、円筒状の氷菓の表面を覆ったものである。外側に最中を有する氷菓は、見た目にも和菓子のようで意匠性もよく、最中のパリッとした食感と、本葛粉を用いた独特のとろみ感のある氷菓とが相まって、食感の良い、美味な氷菓を得ることができる。また、食する時に、最初に最中が口に当たるので、氷菓の冷たさが直接口に伝わらないため、冷やした和菓子を食しているような、従来の氷菓にはない、独特の冷たさを感じることができる。
氷菓の形状は円筒状に限らず角柱状であってもよく、最中の形状も氷菓の形状に対応させることができる。例えば直方体状の氷菓とすることもできる。なお、最中は氷菓を覆うことができればよいので、例えば円柱状の氷菓に対して、直方体状の最中を用いることも可能である。最中の大きさは一人前のアイスの大きさとすることができる。最中の形状は、円形状、楕円状、多角形状、御椀状、平面状等、任意の形状とすることができる。手持バーを有しても、有しなくともよい。手持バーが無い場合には、和菓子の最中と同様の意匠性を有する。手持バーが無い場合は氷菓をアイス型から取り出す時のために、冷凍する前に例えば針金状の部材を加熱・混合された水溶液(実験例1のゲル状体や実験例21の第2水溶液等)に挿入しておくと、冷凍された氷菓をアイス型から取り出しやすい。最中の色としては、薄茶色のものだけでなく、例えば、白色のものや、赤色のもの等、例えば自然食材により着色したものを用いることができ、また、最中に竹炭を添加することにより黒色のものを用いることができるため、形状や色彩等の意匠性に優れた最中アイス状の氷菓を提供することが可能である。
実験例12又は実験例22の削り氷菓を最中で包むこともできる。また、最中で完全に包むのではなく、最中を器のようにして提供することもできる。削り氷菓を最中に包んで提供することにより、意匠的にも優れ、かつ、食しやすく、食感や食味をより楽しめる氷菓を提供することができる。また、最中を器のようにして提供する場合には、削り氷菓のみをスプーン等で食することができると共に、最中と氷菓とを一緒に食することもでき、多様な食し方を提供することができ、食感と食味のバリエーションを増やすことができる。
[実施形態2]
実施形態1で示した実験例1〜23では、様々な氷菓のレシピの一例を示したが、本発明の氷菓のレシピはこれに限定されるものではなく、適宜、調整可能である。実施形態2では、実施形態1で示した各実験例のレシピのアレンジについて例示する。
実験例1〜4において示したデンプン質ゲル化材の割合を増加させることも、減少させることも可能である。デンプン質ゲル化材の割合を増加すれば、ゲル化の度合いが高まり、より氷菓の型崩れや液垂れを抑制することができるが、食感の観点からはデンプン質ゲル化材の割合が多すぎると歯触りの固さを感じる原因となる。他方、デンプン質ゲル化材の割合を減少させると、ゲル化の度合いは弱まり、食感の観点からは歯触りが軽くなるが、型崩れや液垂れの抑制効果が弱まる傾向がある。本葛粉は高価であり、その分量を減らすことができるとコスト面では有利である。
実験例4では、水100質量部に対して、本葛粉11質量部を加えたが、例えば水100質量部に、本葛粉0.3質量部とすることも可能である。この場合にも、本葛粉による、独特のとろみ感を有し、かつ、型崩れや液垂れの抑制効果もある程度は有する氷菓を提供することができる。水100質量部に対する、デンプン質ゲル化材の分量は、例えば0.2質量部〜20質量部とすることができる、デンプン質ゲル化材の分量が多い方(例えば2質量部〜20質量部)が、型崩れや液垂れの抑制効果が高まる傾向がある。
実験例5〜10においては、ジュース等を加える際には、適宜水の量を調整することを説明した。水分量が多いジュースやピューレないしペーストを添加する場合には、水の量を少量にすることができる。具体的にはデンプン質ゲル化材を添加するためには、デンプン質ゲル化材を水に溶かす必要があるため、例えばデンプン質ゲル化材と同量程度の水は必要となるが、水分量が多いジュースやピューレないしペーストの割合が多い場合には、水の量は少なくすることができる。
実験例2〜4では、デンプン質ゲル化材として、本葛粉を主成分とする例を説明したが、食感や、型崩れや液垂れの抑制効果の面が問題とならない場合には、例えば、実験例1の本葛粉よりも蓮根粉の方が多いレシピも想定できる。この他にも、例えば、水100質量部に対して、本葛粉3質量部、米粉8質量部を添加するようなレシピも想定される。
実験例21では、アイスキャンディー状の氷菓の先端側にチョコレート氷菓を形成し、持ち手側にフルーツ風味の氷菓を形成する例を説明したが、氷菓全体をフルーツ風味の氷菓で形成することも可能である。このフルーツ風味の氷菓の製造方法は、実験例21におけるピューレないしペーストを用いた氷菓の製造方法と同様とすることができる。
[実施形態3]
実験例1で説明した冷凍機10は、冷却媒体としてアルコールを用いるものであったが、冷凍機の態様はこれに限定されるものではない。実施形態3では、氷菓の冷却工程において、氷菓に空気を含有させるような冷凍機を用いる例を説明する。実施形態3においては、冷凍機による冷却工程が実施形態1〜2と異なるが、その他の製造工程は実施形態1〜2と共通している。
加熱・混合された水溶液(実験例1のゲル状体や実験例21の第2水溶液)を、公知のジェラートないしソフトクリーム用のフリーザー(アイスクリーム、ジェラート、シャーベット、ソフトクリーム等の製造用のフリーザーを利用できる。)によって、攪拌しながら冷却することによって、氷菓に空気を含有させる。氷菓に混入された空気の量のことをオーバーランという。水溶液1リットルに対して、空気が1リットル含まれていると、オーバーランは100%となる。一般的なアイスクリームのオーバーランは60〜100%程度である。
オーバーランは水溶液をジェラートないしソフトクリーム用のフリーザーで撹拌・冷却する際の、冷却温度、撹拌速度及び撹拌時間等によって調整可能であるが、使用する水溶液によっても変化する。例えば、本葛粉を主成分とするデンプン質ゲル化材とフルールのピューレないしペーストを含んだ水溶液の場合には、オーバーランを例えば0〜200%の間で調整可能である。独特なふわふわな食感とするためには、オーバーランは例えば60%〜200%とすることができる。氷菓に付加される独特なふわふわな食感とは、例えば、シャーベトとアイスクリームとの間ぐらいの良好な食感であり、また、例えばソフトクリームとジェラートとの間ぐらいの良好な食感であり、オーバーランの程度によっても調整することができる。オーバーランの上限は、特に特定されるものではないが、例えば300%程度である。オーバーランが低いと本葛粉を主成分とするデンプン質ゲル化材により独特のねっとり感が強く、食味にも重みがあるのに対し、オーバーランが高い程、食感はよりふわふわ感が増し、食味は軽い味になる。
デンプン質ゲル化材として本葛粉を主成分とすることにより、独特なふわふわな食感に加え、本葛粉による独特なとろみ感が付与され、より食感が良好となり、乳成分を添加することなく、ソフトクリーム状の食感を有する氷菓を提供することができる。また、デンプン質ゲル化材として本葛粉を主成分とすることにより、オーバーランを容易に高めることができる。また、実験例21のフルーツのピューレないしペーストを用いることは、オーバーランを高めることに寄与し、独特なふわふわの食感を良好とすることができると共に、デンプン質ゲル化材として本葛粉を主成分とすることと相まって、独特なふわふわの食感やとろみ感を有する食感を向上することができる。
ゲル化材が本葛粉のみからなる場合には、独特なふわふわの食感に加え、独特のとろみ感を付与することができる。また、ゲル化材として、例えば本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されることも可能であり、この場合には、独特なふわふわの食感と独特のとろみ感に加え、蓮根粉によるモチモチ感ないし米粉によるねっとり感が付与された食感を感じることができる。また、蕨粉を加えるとジェラート様の食感を増すことができる。なお、蓮根粉、米粉及び蕨粉は、アレルゲン性がないため、この成分の添加により、本葛粉の有するアレルゲン性を有しないという特性が損なわれることはない。乳成分を添加しなくとも、ソフトクリーム状のふわふわの食感の氷菓を提供することができる。
実験例11の場合と同様に、冷却時に一対の電極により高周波電界を印加すると、ゲル状体を構成する分子に振動が与えられ、その味が変化し、風味が増すと共に角が取れて、まろやかな味の氷菓が得られる。なお、高周波電界としては、150kHz以下の長波領域のものにすると、冷凍時のゲル状体の高周波の吸収量が多くなり、ゲル状体を構成する分子が良好に微小振動するため、よりまろやかな味の氷菓となる。
水溶液をジェラートないしソフトクリーム用のフリーザーで撹拌・冷却して得られた氷菓は、ソフトクリーム状、アイスキャンディー状、カップアイス状、最中アイス状、又は、削りアイス状の形態の中から、好みの形態で提供可能である。したがって、提供の仕方を変更することにより、同じレシピで同じ製法によって製造した氷菓を、様々な異なる形態の氷菓として提供することが可能となる。オーバーランが60%以上であるため、ソフトクリーム状の氷菓を提供することができる。また、型に入れて冷却することにより、アイスキャンディー状の氷菓を提供することもできる。また、容器に入れて冷凍保存しておくことにより、カップアイス状の氷菓を提供することもできる。また、氷菓を最中に挟むことにより、最中アイス状の氷菓を提供することもできる。さらに、冷凍した氷菓をかき氷器で切削することにより、削りアイス状の氷菓を提供することもできる。したがって、同じレシピで同じ製法によって製造した氷菓を、様々な異なる形態の氷菓として提供することが可能となる。
ソフトクリーム状の氷菓について説明する。ジェラートないしソフトクリーム用のフリーザーから取り出されたばかりの氷菓は、例えば、オーバーランが60%以上であるため、ソフトクリーム状(オーバーランの度合いによっても、状態が調整可能であるが、アイスクリーム状やソフトクリーム状やジェラート状やシャーペット状等であり、例えば、シャーベトとアイスクリームとの間ぐらいの良好な食感であり、また、例えばソフトクリームとジェラートとの間ぐらいの良好な食感を有する状態)であり、コーンカップや容器に盛り付けることにより、ソフトクリームのような態様で氷菓を提供することができる。
アイスキャンディー状の氷菓について説明する。ジェラートないしソフトクリーム用のフリーザーから取り出された氷菓を、アイス型に注入して、例えば冷媒としてアルコールを用いた冷凍機により冷却することによって、アイスキャンディー状の氷菓を提供することができる。
カップアイス状の氷菓について説明する。ジェラートないしソフトクリーム用のフリーザーから取り出された氷菓を、適宜の大きさの容器に入れて、冷凍庫内で、冷凍保存することができる。大容量の容器(例えば2リットル、4リットル等)を用いれば、業務用氷菓として提供することができる。店舗において、大容量の容器からアイスディッシャー等で小型の容器に取り分けることによりカップアイス状の氷菓として提供することができる。また、ジェラートないしソフトクリーム用のフリーザーから取り出された氷菓を収容するための容器として、一人用の紙製又は樹脂製等のカップを用いれば、容器ごとカップ状アイスとして提供することができる。
最中アイス状の氷菓について説明する。ジェラートないしソフトクリーム用のフリーザーから取り出された氷菓、あるいは、冷凍保存された氷菓、あるいは、アイス型に入れて例えば冷媒としてアルコールを用いた冷凍機により冷却することによって固めた氷菓を、適宜の大きさと形状の最中で挟むことにより、最中アイス状の氷菓として提供することができる。氷菓の形状は円筒状に限らず角柱状であってもよく、最中の形状も氷菓の形状に対応させることができる。例えば直方体状の氷菓とすることもできる。なお、最中は氷菓を覆うことができればよいので、例えば円柱状の氷菓に対して、直方体状の最中を用いることも可能である。フリーザーから取り出されたままの氷菓の場合には適量を最中に挟み、あるいは、冷凍保存された氷菓は例えばアイスディッシャー等で取り分けて最中に挟むこともできる。
最中の大きさは一人前のアイスの大きさとすることができる。最中の形状は、円形状、楕円状、多角形状、御椀状、平面状等、任意の形状とすることができる。手持バーを有しても、有しなくともよい。手持バーが無い場合には、和菓子の最中と同様の意匠性を有する。手持バーが無い場合は氷菓をアイス型から取り出す時のために、冷凍する前に例えば針金状の部材を加熱・混合された水溶液(実験例1のゲル状体や実験例21の第2水溶液等)に挿入しておくと、冷凍された氷菓をアイス型から取り出しやすい。最中の色としては、薄茶色のものだけでなく、例えば、白色のものや、赤色のもの等、例えば自然食材により着色したものを用いることができ、また、最中に竹炭を添加することにより黒色のものを用いることができるため、形状や色彩等の意匠性に優れた最中アイス状の氷菓を提供することが可能である。
削りアイス状の氷菓について説明する。ジェラートないしソフトクリーム用のフリーザーから取り出された氷菓は柔らかいので、適宜の容器に入れて、例えば冷媒としてアルコールを用いた冷凍機により冷却することによって固まった状態の氷菓とする。容器の大きさは業務用のかき氷器で使えるサイズとすることもできるし、または、アイスキャンディー程度の大きさとすることもできるし、例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)や、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状とすることもできる。実験例12や実験例22と同様にかき氷器によって切削することにより、削りアイス状の氷菓を提供することができる。さらに、実験例12や実験例22と同様に、切削された氷菓をさらに再冷凍することにより、異なる食感の氷菓とすることも可能である。
以上、第1実施形態の実施例実験例1〜23、第2実施形態、及び、第3実施形態について説明したが、各実験例、各実施形態を適宜組み合わせて実施することも可能である。また、本葛粉等のデンプン質ゲル化材を溶かす際に水で溶かすことを説明したが、本発明はこれに特定されるものではなく、例えば水の替わりに、ライスミルク、ココナッツウォーター、ココナッツミルク等で本葛粉等のデンプン質ゲル化材を溶かすことも可能である。また、本葛粉を主成分とするものとして説明した実験例においては、デンプン質ゲル化材として食感の観点から本葛粉を主成分とする例として説明したが、食感が変わっても構わない場合には、デンプン質ゲル化材として、本葛粉が主成分でないものとすることもできる。また、食感だけでなく、アレルゲン性がないという観点から、デンプン質ゲル化材として本葛粉、蓮根粉、米粉、及び、蕨粉を使用する例を説明したが、食感及びアレルゲン性等の観点が問題にならない場合には、ゲル化材として例えば寒天又はゼラチン等の他のものを用いることもできる。さらに、以上の実験例では甘味料として、精製されていない甘味料を使用したが、GI値、ミネラル成分、食感等の観点が問題にならない場合には、この他の甘味料、例えば精製された甘味料や合成甘味料等を用いることもできる。
10…冷凍機
11…容器
12…熱交換器
13…冷媒
14…導管
15…液化窒素
16…出口端
17…導管
18…導管
19…循環ポンプ
20…導管
21…入り口端
25…アイス型
26…ゲル状体
27…持ち手バー
本発明の第1の態様の氷菓は、ゲル化材及び甘味料を含有する食品であって、
前記ゲル化材は、本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まず、
前記甘味料は、少なくとも精製されていないものを含むが、精製された砂糖、ブドウ糖及び合成甘味料を含まず、
前記ゲル化剤は、前記本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものであり、
(1−1)前記ゲル化材及び前記甘味料を水に分散させた水溶液を得る工程、
(1−2)前記水溶液を撹拌しながら80℃以上まで加熱する工程、
(1−3)前記(1−2)の工程で得られた水溶液を所定の形状の型内に注入する工程、及び、
(1−4)前記型の周囲に冷媒を循環させて、前記型内注入されたゲル状体を冷凍時間が略5分以内で、あるいは、冷凍温度が−27.5℃以下で、冷凍して凍結させる工程により製造されたことを特徴とする。
本発明における「本葛粉」とは、葛の根から製造されたもののみからなる(葛粉含有割合100%)ものを意味し、たとえ、本葛粉の名称を有するものであっても、葛の根から製造されたもの以外の他のデンプンが混合されているものは、これに含まれない。そして、本発明における「本葛粉が主成分であり」とは、ゲル化材の成分の中で本葛粉が最も多いことを意味するものである。これにより、第1の態様の餅様食品は、なめらかで口当たりが良く、特に、ういろうに類似した食感を有する餅様食品が得られ、そのまま甘みを有する美味な食品として食することができる。本葛粉以外のゲル化材、例えば他のデンプンが混合された葛粉等では実現できない、独特な食感を有する食品を提供することができる。しかも、第1の態様の氷菓においては、甘味料として健康に悪影響を与える可能性があり、GI値が高いことでも知られているグラニュー糖、上白糖、氷砂糖、粉砂糖及び三温糖等の精製された砂糖成分及びブドウ糖を含んでいないため、食後の急速な血糖値上昇を避けることができるだけでなく、合成甘味料も含んでいないため、健康志向に適した甘味を有する餅様食品となる。なお、第1の態様の氷菓においては、例えば、和三盆、アガベシロップ、黒砂糖、メープルシロップ、水あめやココナッツシュガー等の精製されていない甘味料のうちの少なくとも1種類以上含まれてもよい。このうち、食味の点からは、例えば和風の風味素材に対しては和三盆が好ましい。和三盆は、精製された砂糖よりもGI値が低く、しかも、ミネラル成分を含んでいるため、和風の餅様食品の甘味料として使用すると、良好な甘味感を有する餅様食品が得られる。また、例えばフルーツ系の風味素材に対しては、アガベシロップが好ましいが、甘味料の種類は限定されるものではない。また、第1の態様の氷菓において、ゲル化材は、本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン及び小麦デンプンを含んでいない。ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン及び小麦デンプンは、それぞれアレルゲン性を有しているが、本葛粉は、アレルゲン性を有していない。そのため、第1の態様の氷菓は、安全性が高い。さらに、本葛粉を主成分とするゲル化材を用いて製造された氷菓は、冷凍させる際に、デンプンの老化が生じ難いことによるものと思われるが、冷凍させて氷菓としても固くなりすぎることがなく、食し易く、美味な氷菓となる。しかも、この氷菓は、独特なとろみ感を有し、そのままでも食し易く、歯触りがよいものとなる。なお、ゲル化材として周知の寒天は、餅様の食感が得られず、しかも、デンプン質ではない。ゼラチンも寒天と同様、デンプン質ではなく、しかも、アレルゲン性がある。第1の態様の氷菓によれば、そのまま美味な氷菓として食することができ、口の中で温度が上がると実質的に凍らせる前の餅様食品に依存した食感が加わり、独特のとろみ感が付与される。さらに、この氷菓を常温下に放置しても、型崩れ及び液垂れがせず、凍らせる前と実質的に同様の餅様食品として食することができるようになる。本葛粉を主成分とすることによって、本葛粉以外のゲル化材、例えば他のデンプンが混合された葛粉等では実現できない、独特な食感を有し、しかも、型崩れや液垂れを良好に抑えた氷菓を提供することができる。
ゲル化材が本葛粉のみからなる場合には、そのまま美味な氷菓として食することができ、多少のサクサク感を伴い、口の中で温度が上がると、実質的に凍らせる前の餅様食品に依存した食感が加わり、独特のとろみ感が付与される。さらに、この氷菓を常温下に放置しても、型崩れ及び液垂れがせず、実質的に凍らせる前と同様の餅様食品として食することができるようになる。
また、蓮根粉及び米粉の両方を添加する場合、その添加割合は、それぞれ本葛粉の含有割合よりも少なくすればよい。蓮根粉の含有割合は、多くなればなるほど、それに比例して柔らかくなる。さらに、ねっとり感を付与する観点も考慮し、蓮根粉及び米粉の添加割合を適宜調整すればよい。なお、米粉としては、うるち米を生のまま粉砕した微細なものが好ましい。米粉は、微細な粉体とされることにより、他の原料と均一に混ざるようになるため、ゲル化しやすい。なお、甘味料として水あめを用いる場合は、水あめ自体が米粉の場合と同様にねっとり感を与える成分であるので、米粉の添加量の一部又は全部を減らして、水あめを加えた場合でも、同様のねっとり感が得られる。また、米粉の添加量をそのままで、さらに水あめを加えることもでき、これによりねっとり感を調節することもできる。なお、ゲル化剤として本葛粉に蕨粉を単独で、あるいは、本葛粉に対して蓮根粉や米粉に加えて蕨粉を添加する場合には、蓮根粉、米粉及び蕨粉の添加割合はそれぞれ本葛粉の含有割合よりも少なくすればよい。ゲル化剤としてさらに蕨粉を加えると、プルンプルン感を付加することができる。なお、蕨粉には、アレルゲン性がない。
また、本発明の第2の態様の氷菓は、ゲル化材及び甘味料を含有する氷菓であって、
前記ゲル化材は、本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まず、
前記甘味料は、少なくとも精製されていないものを含むが、精製された砂糖、ブドウ糖及び合成甘味料を含まず、
前記ゲル化剤は、前記本葛粉のみからなるか、又は、前記本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものであり、
(2−1)前記ゲル化材及び前記甘味料を水に分散させた水溶液を得る工程、
(2−2)前記水溶液を撹拌しながら80℃以上まで加熱する工程、及び、
(2−3)冷凍機内で前記(2−2)の工程で得られた水溶液に空気を含有させながら冷却する工程により製造されたことを特徴とする。
第2の態様の氷菓によれば、本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まないゲル化材を用いることにより、冷凍機内で(2−2)の工程で得られた水溶液に空気を含有させながら冷却することにより、乳成分を含まなくとも、ソフトクリーム状の独特のふわふわの食感と独特のとろみ感を有する氷菓を提供することができる。本葛粉を主成分とすることによって、本葛粉以外のゲル化材、例えば他のデンプンが混合された葛粉等では実現できない、独特なふわふわ感と、独特のとろみ感を有する氷菓を提供することができる。
また、本発明の第3の態様の氷菓は、第2の態様の氷菓において、オーバーランが60%以上であることを特徴とする。
第3の態様の氷菓によれば、オーバーランが60%以上であるため、乳成分を含んでいなくともソフトクリームのようなふわふわの食感のある氷菓を提供することができる。また、この氷菓を冷凍保存した後にも、アイスディッシャー等で容易に氷菓を容易にすくい取ることができると共に、ふわふわの食感の氷菓を提供することができる。
また、本発明の第4の態様の氷菓は、第2又は第3の態様の氷菓において、ソフトクリーム状、アイスキャンディー状、カップアイス状、最中アイス状、又は、削りアイス状から選択される少なくとも1つの形態で提供可能であることを特徴とする。
第4の態様の氷菓によれば、ソフトクリーム状、アイスキャンディー状、カップアイス状、最中アイス状、又は、削りアイス状の形態の中から、同じ氷菓を好みの形態で提供可能である。オーバーランが60%以上であるため、ソフトクリーム状の氷菓を提供することができる。また、型に入れて冷却することにより、アイスキャンディー状の氷菓を提供することもできる。また、容器に入れて冷凍保存しておくことにより、カップアイス状の氷菓を提供することもできる。また、氷菓を最中に挟むことにより、最中アイス状の氷菓を提供することもできる。さらに、冷凍した氷菓をかき氷器で切削することにより、削りアイス状の氷菓を提供することもできる。したがって、同じレシピで同じ製法によって製造した氷菓を、様々な異なる形態の氷菓として提供することが可能となる。
また、本発明の第5の態様の氷菓は、第1〜第4のいずれかの態様の氷菓において、さらに少なくとも茶類、ニッキ、シナモン、果物ないし野菜のジュース、果物ないし野菜のピューレないしペースト、穀物のピューレないしペースト、ナッツ、チョコレート、コーヒー、ライスミルク、ココナッツウォーター、ココナッツミルク、ココナッツシュガー、蜂蜜、洋酒、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上を含む風味素材が添加されており、前記風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができることを特徴とする。
第5態様の氷菓によれば、それぞれ各種お茶の味、八つ橋味(ニッキ味)、シナモン味、各種果物味や野菜味、ナッツ味、チョコレート味、コーヒー味、米味、ココナッツ味、ココナッツシュガー味、蜂蜜味、洋酒味、日本酒味又は甘酒味を有する氷菓が得られる。また、風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができるため、他の甘味料を使用しないこと、又は、他の甘味料を減量することができる。
また、本発明の第6の態様の氷菓は、第5の態様の氷菓において、前記風味素材は、チョコレートに加え、ライスミルクとココナッツウォーターとココナッツミルクとココナッツシュガーとの中のいずれか少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする。
本発明の第6の態様の氷菓によれば、チョコレート氷菓において、ライスミルクを含めると味に深みを出すことができ、また、ココナッツウォーター又はココナッツミルクを含めるとココナッツの独特の風味を出すことができ、美味なチョコレート氷菓を提供することができる。ここで、ココナッツウォーターとは、ココナッツの果汁のことを意味する。また、ココナッツミルクとは、ココナッツの果汁に、ココナッツの果肉を加えてミキサー等で攪拌したものを意味する。ココナッツシュガーを用いるとココナッツシュガーの風味を付与することができる。ココナッツシュガーとは、ココヤシの花や花のつぼみから集めた花の蜜からとれる甘味料を意味する。ココナッツシュガーは低GIであり、かつ、様々な栄養素を豊富に含んでいる。
また、本発明の第7の態様の氷菓は、第1〜第6のいずれかの態様の氷菓の中から食味又は食感が異なる2種類以上の氷菓を組み合わせたことを特徴とする。
第7の態様の氷菓によれば、2種類以上の異なる風味又は食感を、1つの氷菓によって味わうことができ、食味の変化や食感の変化があり、食べあきることが無い氷菓を提供することができる。例えば、風味素材としてチョコレートを含む氷菓を先端側に有し、風味素材として果物を含む氷菓を手持バー側に有することもできる。すわなち、先端部側に濃厚なチョコレート風味の氷菓を有し、持ち手側にサクサク食感を有するフルーツ風味の氷菓を有する、2種類の風味を味わえる氷菓を得ることができる。これにより、濃厚なチョコレート風味であっても最後まで食べあきることなく、しかも、持ち手側がフルーツ味であるため、先端から食べた時に、最後にフルーツ味の氷菓を食することにより、後味がさっぱりとした氷菓を提供することができる。
また、本発明の第8の態様の氷菓は、第1〜第7のいずれかの態様の氷菓において、さらに風味付加パウダーが添加されていることを特徴とする。
第8態様の氷菓によれば、風味素材が添加されている氷菓に対し、さらに風味付加パウダーを付けて食べることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせを自由に行うことができるため、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせによる相乗効果により、より風味豊かな味わいの氷菓とすることができる。なお、風味付加パウダーは、冷凍前の材料調製段階で添加することもできる。また、風味素材が添加されておらず、甘味料により味付けされた氷菓に対し、様々な風味の風味付加パウダーを添加することにより、多様な食味の氷菓とすることができる。また、販売店において、客からの注文を受けてから、その客の好みに応じた風味のパウダーを甘味を有する氷菓に添加することにより、その場で、客の注文どおりの氷菓を簡単に提供することができるようになる。なお、氷菓に対し、容器に入れられた風味付加パウダーを付けて食べるようにすることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、氷菓及び容器入り風味付加パウダーのセットは、移動式店舗によって提供することが可能である。
また、本発明の第9の態様の氷菓は、第1〜第8のいずれかの態様の氷菓において、切削されたものからなることを特徴とする。
第9の態様の氷菓によれば、削りアイス独特の食感を味わうことができる。すなわち、口に入れると、解け際に独特の食感が残り、本葛粉を主成分としているため独特のとろみ感を感じることができる。直方体形状ないし円柱形状の氷菓の製造装置及びこの氷菓を切削するかき氷器は、広く市販されているので、安価に直方体形状又は円柱形状の氷菓を製造することができるようになるとともに、削りアイスを安価に製造することができるようになる。なお、削る厚さによって、食感に変化を加えることができる。
また、本発明の第10の態様の氷菓は、第9の態様の氷菓において、異なる風味素材が添加されている氷菓が複数種類混合されていることを特徴とする。
第10の態様の氷菓によれば、例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓や、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いることにより、複数の種類の氷菓を同時に、かき氷器に投入して、ミックスした削りアイスを作ることができる。この場合、複数の種類の氷菓の味の組み合わせを自由に決めることができるため、様々な味の組み合わせを実現することができる。例えば、チョコレート味と、抹茶味と、イチゴ味との組み合わせ等、その組み合わせは自由である。さらに、チョコレート味とのブロックまた、味の組み合わせを工夫することで、調味が可能になるため、単体の1つの味の氷菓とは異なる様々な味を実現することができる。
また、本発明の第11の態様の氷菓は、第9又は第10の態様の氷菓において、さらに冷凍機で追加冷却されたものであることを特徴とする。
第11の態様の氷菓によれば、口の中で複数の異なる食感を有する削りアイスとなる。すなわち、
(1)パリパリとしたせんべいのような固い歯触りの有る食感、
(2)口に入れると柔らかくなる食感、及び、
(3)口に入れて3秒程度で解けてなくなる際の独特のとろみ感のある食感
を感じることができる。
また、本発明の第12の態様の氷菓は、第9〜第11のいずれかの態様の氷菓において、切削された氷菓に風味付加パウダーが添加されていることを特徴とする。
第12の態様の氷菓によれば、削りアイスに対して、様々な風味の風味付加パウダーを振りかけることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせを自由に行うことができるため、風味素材と風味付加パウダーとの組み合わせによる相乗効果により、より風味豊かな味わいの氷菓とすることができる。
また、本発明の第13の態様の氷菓は、第1〜第8のいずれかの態様の氷菓において、青竹からなる手持ちバーを有することを特徴とする。
第13の態様の氷菓によれば、手持バーが挿入されているため、食しやすいアイスバーとすることができる。また、手持ちバーが青竹であるから、青竹の鮮やかな色が映えるので、氷菓(アイスバー)の美観が良好となる。なお、青竹は、採取後に常温保存すると、酸化して白色化してしまうが、青竹を手持ちバーとして使用すると、青竹がアイスバーと共に冷凍保存されているため、青竹を鮮やかな緑色のままに維持できる。したがって、青竹が鮮やかな緑色であるのか否かは、アイスバーが一度も常温状態にならなかったことの証となる。
また、本発明の第14の態様の氷菓は、第1〜第13のいずれかの態様の氷菓において、前記氷菓の外側に最中を有することを特徴とする。
第14の態様の氷菓によれば、氷菓の外側に最中を有することにより、見た目にも和菓子のようで意匠性もよく、最中のパリッとした食感と、本葛粉を用いた独特のとろみ感のある氷菓とが相まって、食感の良い、美味な氷菓を得ることができる。また、食する時に、最初に最中が口に当たるので、氷菓の冷たさが直接口に伝わらないため、冷やした和菓子を食しているような、従来の氷菓にはない、独特の冷たさを感じることができる。
また、本発明の第15の態様の氷菓製造セットは、第1〜第14のいずれかの態様の氷菓を製造する材料及び器具からなる氷菓製造セットであって、少なくとも、前記本葛粉を主成分とするゲル化材及び前記甘味料と、アイス型と、を含むことを特徴とする。
第15の態様の氷菓によれば、家庭で簡単に本葛粉氷菓を製造することができる。このような製造セットはお土産としても好適である。
さらに、本発明の第16の態様の氷菓の製造方法は、以下の(16−1)〜(16−4)の工程を備えることを特徴とする。
(16−1)本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まず、かつ、前記本葛粉のみを用いるか、又は、前記本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものを用いたゲル化材と、少なくとも精製されていないものを含むが、精製された砂糖、ブドウ糖及び合成甘味料を含まない甘味料と、を水に分散させた水溶液を得る工程、
(16−2)前記水溶液を撹拌しながら80℃以上まで加熱する工程、
(16−3)前記(16−2)の工程で得られた水溶液を所定の形状の型内に注入する工程、
(16−4)前記型の周囲に冷媒を循環させて、前記型内注入されたゲル状体を冷凍時間が略5分以内で、あるいは、冷凍温度が−27.5℃以下で、冷凍して凍結させる工程。
また、本発明の第17の態様の氷菓の製造方法は、第16の態様の氷菓の製造方法において、前記(16−2)の工程では、前記水溶液をゲル化させることを特徴とする。
第16及び第17の態様の氷菓の製造方法によれば、本発明の第1の態様の効果を奏する氷菓を製造することができる。なお、ゲル化材としてのデンプンは、冷凍される時に、5〜0℃の温度域を通過する際に老化して固くなるが、例えば型内のゲル状体の冷凍を超低温である液体窒素によって冷却されたアルコールを用いると、冷却効率がよく、5〜0℃の温度域を短時間で通過することができる。そのため、デンプンの老化が進行せず、氷菓として最適な温度に維持した場合には、独特なとろみ感を有し、そのままでも食し易く、歯触りもよい氷菓を製造することができるようになる。ゲル化材の割合によっては、第17の態様の氷菓の製造方法のように、(16−2)の工程において水溶液をゲル化させることができ、これによって、この氷菓を常温下に放置しても、型崩れ及び液垂れがせず、実質的に凍らせる前と同様の餅様食品として食することができるようになる。また、本葛粉を主成分とすることによって、本葛粉以外のゲル化材、例えば他のデンプンが混合された葛粉等では実現できない、独特な食感を有し、しかも、型崩れや液垂れを良好に抑えた氷菓を提供することができる。
また、本発明の第18の態様の氷菓の製造方法は、第16又は第17の態様の氷菓の製造方法において、 前記(16−4)の工程を、前記型内の水溶液に高周波電界を印加しながら行うことを特徴とする。
第18態様の氷菓の製造方法によれば、冷凍時に高周波電界を印加しているため、ゲル状体を構成する分子に振動が与えられ、その味が変化し、風味が増すと共に角が取れて、まろやかな味の氷菓が得られる。なお、高周波電界としては、150kHz以下の長波領域のものにすると、冷凍時のゲル状体の高周波の吸収量が多くなり、ゲル状体を構成する分子が良好に微小振動するため、よりまろやかな味の氷菓となる。
また、本発明の第19の態様の氷菓の製造方法は、第16〜第18のいずれか態様の氷菓の製造方法において、前記(16−2)の工程の前記水溶液に、少なくとも茶類、ニッキ、シナモン、果物ないし野菜のジュース、果物ないし野菜のピューレないしペースト、穀物のピューレないしペースト、ナッツ、チョコレート、コーヒー、ライスミルク、ココナッツウォーター、ココナッツミルク、ココナッツシュガー、蜂蜜、洋酒、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上を含む風味素材を混入させる工程をさらに有しており、前記風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができること特徴とする。
第19の態様の氷菓の製造方法によれば、各種お茶の味、八つ橋味(ニッキ味)、シナモン味、各種果物味や野菜味、ナッツ味、チョコレート味、コーヒー味、米味、ココナッツ味、ココナッツシュガー味、蜂蜜味、洋酒味、日本酒味又は甘酒味の氷菓を製造することができる。また、風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができるため、他の甘味料を使用しないこと、又は、他の甘味料を減量することができる。
また、本発明の第20の態様の氷菓の製造方法は、第19の態様の氷菓の製造方法において、前記風味素材は、チョコレートに加え、ライスミルクとココナッツウォーターとココナッツミルクとココナッツシュガーとの中のいずれか少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする。
第20の態様の氷菓の製造方法によれば、チョコレート氷菓において、ライスミルクを含めると味に深みを出すことができ、また、ココナッツウォーター又はココナッツミルクを含めるとココナッツの独特の風味を出すことができ、美味なチョコレート氷菓を製造することができる。また、ココナッツシュガーを用いるとココナッツシュガーの風味を付与することができる。
また、本発明の第21の態様の氷菓の製造方法は、第16〜第20のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、 食味又は食感が異なる2種類以上の氷菓を組み合わせた氷菓の製造方法であって、前記(16−3)及び(16−4)の工程を、組み合わせた氷菓の種類の回数だけ、複数回に分けて順に行うことを特徴とする。
第21の態様の氷菓によれば、2種類以上の異なる風味又は食感を、1つの氷菓によって味わうことができ、食味の変化や食感の変化があり、食べあきることが無い氷菓を製造することができる。
また、本発明の第22の態様の氷菓の製造方法は、第16〜第21のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、風味素材としてチョコレートを含む氷菓を先端側に有し、風味素材として果物を含む氷菓を手持バー側に有する氷菓の製造方法であって、まず、風味素材としてチョコレートを含むゲル状体について前記(16−3)及び(16−4)の工程を行い、次に、風味素材として果物を含むゲル状体について前記(16−3)及び(16−4)の工程を行うことを特徴とする。
第22の態様の氷菓の製造方法によれば、風味素材としてチョコレートを含む氷菓を先端側に有し、風味素材として果物を含む氷菓を手持バー側に有する氷菓を製造することができる。このような氷菓は、先端部側に濃厚なチョコレート風味の氷菓を有し、持ち手側にサクサク食感を有するフルーツ風味の氷菓を有する、2種類の風味を味わえる氷菓を得ることができる。これにより、濃厚なチョコレート風味であっても最後まで食べあきることなく、しかも、持ち手側がフルーツ味であるため、先端から食べた時に、最後にフルーツ味の氷菓を食することにより、後味がさっぱりとした氷菓を提供することができる。
また、本発明の第23の態様の氷菓の製造方法は、第16〜第22のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(16−3)の工程の後に、前記型内に注入された水溶液内に青竹からなる手持ちバーを挿入する工程を有することを特徴とする。
本発明の第23の態様の氷菓の製造方法によれば、手持バーが挿入されているため、食しやすいアイスバーを製造することができる。また、手持ちバーが青竹であるから、青竹の鮮やかな色が映えるので、氷菓(アイスバー)の美観が良好となる。なお、青竹は、採取後に常温保存すると、酸化して白色化してしまうが、青竹を手持ちバーとして使用すると、青竹がアイスバーと共に冷凍保存されているため、青竹を鮮やかな緑色のままに維持できる。したがって、青竹が鮮やかな緑色であるのか否かは、アイスバーが一度も常温状態にならなかったことの証となる。
また、本発明の第24の態様の氷菓の製造方法は、第16〜第23のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、さらに、(16−5)前記(16−4)の工程で得られた氷菓を切削する工程、を有することを特徴とする。
第24の態様の氷菓の製造方法によれば、独特の食感を有する削りアイスを製造することができる。直方体形状又は円柱形状の氷菓の製造装置及びこの氷菓を切削するかき氷器は、広く市販されているので、安価に直方体形状又は円柱形状の氷菓を製造することができるようになるとともに、かき氷を安価に製造することができるようになる。なお、削る厚さによって、食感に変化を加えることができる。
また、本発明の第25の態様の氷菓の製造方法は、第24の態様の氷菓の製造方法において、切削される氷菓は、
(a)手持バーを有しない細長い略円柱状又は略角柱状の氷菓、
(b)手持バーを有する細長い略円柱状又は略角柱状の氷菓、
(c)ロック状ないしキューブ状の氷菓、又は、
(d)前記(a)又は(b)の氷菓を割ってロック状ないしキューブ状とした氷菓、
の中の少なくとも何れか1つであることを特徴とする。
第25の態様の氷菓の製造方法によれば、例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓を用いることもできるし、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いることもできる。細長い棒状の氷菓を割ることによってロック状ないしキューブ状の氷菓とすることもできる。なお、この場合の氷菓には手持バーは不要であるが、手持バーがある場合でも、ロック状ないしキューブ状に割ることは可能である。
また、本発明の第26の態様の氷菓の製造方法は、第25の態様の氷菓の製造方法において、前記(d)において、(a)又は(b)の細長い略円柱状又は略角柱状の氷菓には、切込みが設けられており、この切込みに沿って氷菓をロック状ないしキューブ状に割ることを特徴とする。
第26の態様の氷菓の製造方法によれば、細長い棒状の氷菓に切込みを入れておくと、この棒状の氷菓を切込みに沿って割ることにより、容易にロック状ないしキューブ状の氷菓とすることもできる。
また、本発明の第27の態様の氷菓の製造方法は、第24〜第26のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、氷菓の切削には手動又は電動のかき氷器、あるいは、手動又は電動のハンディータイプのかき氷器を使用することを特徴とする。
第27の態様の氷菓の製造方法によれば、細長い棒状の氷菓やロック状ないしキューブ状の氷菓のサイズは比較的小さいため、コンパクトなかき氷器を用いることが可能である。コンパクトなかき氷器としては、例えば家庭用又は業務用に市販されている手動又は電動のかき氷器を用いることもできるし、手動又は電動のハンディータイプのかき氷器を用いることもできる。特に、ハンディータイプの電動かき氷器を用いると、家庭でも店舗でも手軽に削りアイスを製造することができ、例えばパンケーキやワッフル等の食品の上から、かき氷器で削った削りアイスを直接トッピングすることができる。
また、本発明の第28の態様の氷菓の製造方法は、第27の態様の氷菓の製造方法において、前記かき氷器に、異なる風味素材が添加されている氷菓を複数種類投入することにより、複数種類の風味を組み合わせた氷菓を製造することを特徴とする。
第28の態様の氷菓の製造方法によれば、例えば、細長い棒状(円柱状や角柱状)の氷菓や、小さい(一口大の)ロック状ないしキューブ状の氷菓を用いた場合には、複数の種類の氷菓を同時に、かき氷器に投入して、ミックスした削りアイスを作ることができる。この場合、複数の種類の氷菓の味の組み合わせを自由に決めることができるため、様々な味の組み合わせを実現することができる。例えば、チョコレート味と、抹茶味と、イチゴ味との組み合わせ等、その組み合わせは自由である。また、味の組み合わせを工夫することで、調味が可能になるため、単体の1つの味の氷菓とは異なる様々な味を実現することができる。
また、本発明の第29の態様の氷菓の製造方法は、第24〜第28のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、さらに、(16−6)前記(16−5)の工程で得られた氷菓を冷凍機で追加冷却する工程、を有することを特徴とする。
第29の態様の氷菓の製造方法によれば、口の中で複数の異なる食感を有する削りアイスを製造することができる。すなわち、
(1)パリパリとしたせんべいのような固い歯触りの有る食感、
(2)口に入れると柔らかくなる食感、及び、
(3)口に入れて3秒程度で解けてなくなる際の独特のとろみ感のある食感
を感じすることができる。
また、本発明の第30の態様の氷菓の製造方法は、以下の(30−1)〜(30−3)の工程を備えることを特徴とする。
(30−1)本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まず、かつ、前記本葛粉のみを用いるか、又は、前記本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものを用いたゲル化材と、少なくとも精製されていないものを含むが、精製された砂糖、ブドウ糖及び合成甘味料を含まない甘味料と、を水に分散させた水溶液を得る工程、
(30−2)前記水溶液を撹拌しながら80℃以上まで加熱する工程、
(30−3)冷凍機内で前記(30−2)の工程で得られた水溶液に空気を含有させながら冷却する工程。
第30の態様の氷菓の製造方法によれば、本葛粉が主成分であり、かつ、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ及び小麦デンプンを含まないゲル化材を用いることにより、冷凍機内で(30−2)の工程で得られた水溶液に空気を含有させながら冷却することにより、乳成分を含まなくとも、ソフトクリーム状の独特のふわふわの食感と独特のとろみ感を有する氷菓を提供することができる。本葛粉を主成分とすることによって、本葛粉以外のゲル化材、例えば他のデンプンが混合された葛粉等では実現できない、独特なふわふわ感と、独特のとろみ感を有する氷菓を提供することができる。
また、この氷菓の製造方法によれば、ゲル化材が本葛粉のみからなる場合には、独特なふわふわの食感に加え、独特のとろみ感を付与することができる。また、ゲル化材として、本葛粉に蓮根粉、米粉及び蕨粉から選択された少なくとも一種が混合されたものである場合には、独特なふわふわの食感と独特のとろみ感に加え、蓮根粉によるモチモチ感ないし米粉によるねっとり感が付与された食感を感じることができる。また、蕨粉を加えるとジェラート様の食感を増すことができる。なお、蓮根粉、米粉及び蕨粉は、アレルゲン性がないため、この成分の添加により、本葛粉の有するアレルゲン性を有しないという特性が損なわれることはない。乳成分を添加しなくとも、ソフトクリーム状のふわふわの食感の氷菓を提供することができる。
また、本発明の第31の態様の氷菓の製造方法は、第30の態様の氷菓の製造方法において、前記(30−2)の工程では、前記水溶液をゲル化させることを特徴とする。
第31の態様の氷菓の製造方法によれば、前記(30−2)の工程で水溶液をゲル化させることにより、このゲル化の度合いに応じて、独特のふわふわの食感と独特なとろみ感を調整することが可能である。
また、本発明の第32の態様の氷菓の製造方法は、第30又は第31の態様の氷菓の製造方法において、前記(30−3)の工程を、前記型内の水溶液に高周波電界を印加しながら行うことを特徴とする。
第32の態様の氷菓の製造方法によれば、冷凍時に高周波電界を印加しているため、ゲル状体を構成する分子に振動が与えられ、その味が変化し、風味が増すと共に角が取れて、まろやかな味の氷菓が得られる。なお、高周波電界としては、150kHz以下の長波領域のものにすると、冷凍時のゲル状体の高周波の吸収量が多くなり、ゲル状体を構成する分子が良好に微小振動するため、よりまろやかな味の氷菓となる。
また、本発明の第33の態様の氷菓の製造方法は、第30〜第32のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(30−2)の工程の水溶液に、少なくとも茶類、ニッキ、シナモン、果物ないし野菜のジュース、果物ないし野菜のピューレないしペースト、穀物のピューレないしペースト、ナッツ、チョコレート、コーヒー、ライスミルク、ココナッツウォーター、ココナッツミルク、ココナッツシュガー、蜂蜜、洋酒、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上を含む風味素材を混入させる工程をさらに有しており、前記風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができること特徴とする。
第33の態様の氷菓の製造方法によれば、各種お茶の味、八つ橋味(ニッキ味)、シナモン味、各種果物味や野菜味、ナッツ味、チョコレート味、コーヒー味、米味、ココナッツ味、ココナッツシュガー味、蜂蜜味、洋酒味、日本酒味又は甘酒味の氷菓を製造することができる。また、風味素材の中、ココナッツシュガー、蜂蜜、日本酒又は甘酒のいずれか1つ以上が甘味料としても用いることができるため、他の甘味料を使用しないこと、又は、他の甘味料を減量することができる。
また、本発明の第34の態様の氷菓の製造方法は、第33の態様の氷菓の製造方法において、前記風味素材は、チョコレートに加え、ライスミルクとココナッツウォーターとココナッツミルクとココナッツシュガーとの中のいずれか少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする。
第34の態様の氷菓の製造方法によれば、チョコレート氷菓において、ライスミルクを含めると味に深みを出すことができ、また、ココナッツウォーター又はココナッツミルクを含めるとココナッツの独特の風味を出すことができ、美味なチョコレート氷菓を製造することができる。また、ココナッツシュガーを用いるとココナッツシュガーの風味を付与することができる。
また、本発明の第35の態様の氷菓の製造方法は、第30〜第34のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(3)の工程では、オーバーランを60%以上とすることを特徴とする。
第35の態様の氷菓の製造方法によれば、オーバーランが60%以上であるため、乳成分を含んでいなくともソフトクリームのようなふわふわの食感のある氷菓を提供することができる。また、この氷菓を冷凍保存した後にも、アイスディッシャー等で容易に氷菓を容易にすくい取ることができると共に、ふわふわの食感の氷菓を提供することができる。
また、本発明の第36の態様の氷菓の製造方法は、第30〜第35のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記(30−3)の工程で得られた氷菓を、ソフトクリーム状、アイスキャンディー状、カップアイス状、最中アイス状、又は、削りアイス状から選択される少なくとも1つの形態で提供することを特徴とする。
第36の態様の氷菓の製造方法によれば、ソフトクリーム状、アイスキャンディー状、カップアイス状、最中アイス状、又は、削りアイス状の形態の中から、同じ氷菓を好みの形態で提供可能である。オーバーランが60%以上であるため、ソフトクリーム状の氷菓を提供することができる。また、型に入れて冷却することにより、アイスキャンディー状の氷菓を提供することもできる。また、容器に入れて冷凍保存しておくことにより、カップアイス状の氷菓を提供することもできる。また、氷菓を最中に挟むことにより、最中アイス状の氷菓を提供することもできる。さらに、冷凍した氷菓をかき氷器で切削することにより、削りアイス状の氷菓を提供することもできる。したがって、同じレシピで同じ製法によって製造した氷菓を、様々な異なる形態の氷菓として提供することが可能となる。
また、本発明の第37の態様の氷菓の製造方法は、第16〜第36のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、複数種類の中から選択される少なくとも一種の風味付加パウダーがさらに添加されていることを特徴とする。
第37の態様の氷菓の製造方法によれば、風味素材が添加されている氷菓に対し、さらに風味付加パウダーを付けて食べることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、風味素材と風味付加パウダーとの味の組み合わせを自由に行うことができるため、味の組み合わせによる相乗効果により、より風味豊かな味わいの氷菓とすることができる。なお、風味付加パウダーは、冷凍前の材料調製段階で添加することもできる。また、風味素材が添加されていない氷菓に対して、様々な風味の風味付加パウダーを後から添加することにより、多様な食味の氷菓とすることができる。なお、氷菓に対し、容器に入れられた風味付加パウダーを付けて食べることにより、より風味豊かな食味を感じることができる。また、氷菓及び容器入り風味付加パウダーのセットは、移動式店舗によって提供することが可能である。また、販売店において、客からの注文を受けてから、その客の好みに応じた風味のパウダーを甘味を有する氷菓に後から添加することにより、その場で客の注文どおりの氷菓を簡単に製造することができる。
また、本発明の第38の態様の氷菓の製造方法は、第16〜第37のいずれかの態様の氷菓の製造方法において、前記氷菓の外側に最中を設けることを特徴とする。
第38の態様の氷菓の製造方法によれば、氷菓の外側に最中を設けることにより、見た目にも和菓子のようで意匠性もよく、最中のパリッとした食感と、本葛粉を用いた独特のとろみ感のある氷菓とが相まって、食感の良い、美味な氷菓を製造することができる。また、食する時に、最初に最中が口に当たるので、氷菓の冷たさが直接口に伝わらないため、冷やした和菓子を食しているような、従来の氷菓にはない、独特の冷たさを感じることができる。