JP6457254B2 - セルロース複合体含有アイスクリーム組成物 - Google Patents
セルロース複合体含有アイスクリーム組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6457254B2 JP6457254B2 JP2014248184A JP2014248184A JP6457254B2 JP 6457254 B2 JP6457254 B2 JP 6457254B2 JP 2014248184 A JP2014248184 A JP 2014248184A JP 2014248184 A JP2014248184 A JP 2014248184A JP 6457254 B2 JP6457254 B2 JP 6457254B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ice cream
- cellulose
- mass
- cellulose composite
- cream composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Confectionery (AREA)
Description
(1)結晶セルロースと親水性ガムから成るセルロース複合体を含むアイスクリーム組成物であって、該セルロース複合体は、
(B)該セルロース複合体を1質量%含む水分散体を68℃で30分間加熱した後に25℃に戻した際の粘度と、
(A)該水分散体を前記(B)の条件で加熱しないで25℃で測定した際の粘度
との比である(B)/(A)が、1.0以下であることを特徴とするアイスクリーム組成物。
(2)結晶セルロースと親水性ガムから成るセルロース複合体を含むアイスクリーム組成物であって、該セルロース複合体を1質量%含む水分散体の25℃における損失正接(Tanδ)が0.6以下であることを特徴とするアイスクリーム組成物。
(3)前記親水性ガムがカルボキシメチルセルロースナトリウムである、上記(1)又は(2)に記載のアイスクリーム組成物。
(4)アイスクリーム組成物がソフトクリームミックスである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアイスクリーム組成物。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアイスクリーム組成物と吸水性食材から成る冷菓。
<結晶セルロース>
本発明において、「結晶セルロース」とは、天然セルロース系物質を酸で部分的に解重合して精製したものをいう。天然セルロース系物質としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビートなどの植物から得られるセルロース、ホヤから得られるセルロース、酢酸菌などのバクテリアから得られるセルロース等が挙げられる。原料として、これらのうち1種の天然セルロース系物質を使用してもよいし、2種以上を混合したものを使用することも可能である。
本発明に用いる結晶セルロースは、平均重合度が500以下であることが好ましい。平均重合度は、「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)の結晶セルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定できる。平均重合度が500以下ならば、親水性ガムとの複合化の工程において、セルロース系物質が攪拌、粉砕、摩砕等の物理処理を受けやすくなり、複合化が促進されやすくなるため好ましい。より好ましくは、平均重合度は300以下、さらに好ましくは、平均重合度は250以下である。平均重合度は、小さいほど複合化の制御が容易になるため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては10以上である。
平均重合度を制御した結晶セルロースを製造する方法としては、天然セルロース系物質の加水分解処理が挙げられる。加水分解処理によって、天然セルロース系物質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースやリグニン等の不純物も取り除かれるため、該天然セルロース系物質内部が多孔質化した結晶セルロースが得られる。加水分解処理により、混練工程等で結晶セルロースと親水性ガムに機械的せん断力を与える工程において、結晶セルロースが機械処理を受けやすくなり、結晶セルロースが微細化されやすくなる。その結果、結晶セルロースの表面積が高くなり、親水性ガムとの複合化の制御が容易になる。
セルロース複合体中の結晶セルロースは、微細な粒子状の形状であることが好ましい。結晶セルロースの粒子形状は、セルロース複合体を1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を、0.1〜0.5質量%に純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾させたものを高分解能走査型顕微鏡(SEM)、又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測した際に得られる粒子像の長径(L)と短径(D)とした場合の比(L/D)で表され、100個〜150個の粒子の平均値として算出される。
結晶セルロースと複合化する親水性ガムとは、化学構造の一部に糖又は多糖を含む親水性高分子物質のことである。ここで親水性とは、常温の純水に一部が溶解する特性を有することである。定量的に親水性を定義すると、化学物質0.05gを、50mLの純水に攪拌下(スターラーチップ等)で平衡まで溶解させ、目開き1μmのメンブレンフィルターで処理した際に、通過する成分が、該化学物質中に1質量%以上含まれることである。親水性ガムとして多糖類を用いる場合には、以下のものが好適である。
上述の親水性ガムの中でも、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下CMC−Na)が、特にセルロースと複合化しやすいため好ましい。ここでいうCMC−Naとは、セルロースの水酸基の水素原子の一部または全部が−CH2COO基(カルボキシメチル基)に置換されたアニオンポリマーとNaカチオンからなるもので、D−グルコースがβー1,4結合した直鎖状の化学構造を持つものである。CMC−Naは、例えばパルプ(セルロース)を水酸化ナトリウム溶液で溶かし、モノクロロ酢酸(或いはそのナトリウム塩)でエーテル化する製法によって得られる。その粘度は特に制限されない。1種類以上のCMC−Naを用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
A=((af−bf1)/試料無水物(g))−アルカリ度(又は+酸度)
置換度=(162×A)/(10000−80A)
ここで、
A:試料1g中のアルカリに消費された0.05Mの硫酸の量(mL)
a:0.05M硫酸の使用量(mL)
f:0.05M硫酸の力価
b:0.1M水酸化カリウムの滴定量(mL)
f1:0.1M水酸化カリウムの力価
162:グルコースの分子量
80:CH2COONa−Hの分子量
アルカリ度(又は酸度)の測定法:試料(無水物)1gを300mLフラスコに精密に測りとり、水約200mLを加えて溶かす。これに0.05M硫酸5mLを加え、10分間煮沸した後、冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加え、0.1M水酸化カリウムで滴定する(SmL)。同時に空試験を行い(BmL)、次の式で算出する。
アルカリ度=((B−S)×f2)/試料無水物(g)
ここで、f2:0.1M水酸化カリウムの力価である。(B−S)×f2の値が、(−)の時には、酸度とする。
本発明の親水性ガムの別の好ましい例であるキサンタンガムとは、トウモロコシなどの澱粉を細菌 Xanthomonas campestrisにより発酵させて作られる親水性ガムであり、その主鎖はD−グルコースがβ−1,4結合した構造を有し、この主鎖のアンヒドログルコースにD−マンノース、D−グルクロン酸、D−マンノースからなる側鎖が結合したものである。主鎖と結合しているD−マンノースの6位はアセチル化され、側鎖末端のD−マンノースがピルビン酸とアセタール結合している枝分かれの多い構造である。粘度は特に制限されるものではなく、一般に市販されている、いずれのキサンタンガムを用いてもよい。
本発明におけるセルロース複合体とは、結晶セルロースの表面が水素結合等の化学結合により、親水性ガムで被覆された複合体のことである。
本発明に用いるセルロース複合体は、好ましくは、結晶セルロースを50〜99質量%、及び親水性ガムを1〜50質量%含む。複合化によって、親水性ガムが結晶セルロース粒子の表面を水素結合等の化学結合により被覆することで、アイスクリーム組成物中に分散した際に、ネットワークを作りやすくなり、高い乳化安定性を付与し、アイスクリームコーン等の吸水性食材への水分移行を抑制する。より好ましい配合比は、結晶セルロース/親水性ガム=60〜95質量%/5〜40質量%であり、さらに好ましくは結晶セルロース/親水性ガム=70〜90質量%/10〜30質量%であり、最も好ましくは結晶セルロース/親水性ガム=80〜90質量%/10〜20質量%である。
セルロース複合体は、分散液中では、体積平均粒子径が0.01〜200μmのセルロース複合体微粒子からなることが好ましい。セルロース複合体の体積平均粒子径は、20μm以下であることがより好ましい。ここで、該体積平均粒子径は、セルロース複合体を1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、レーザー回折法(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)により得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径のことである。
本発明におけるセルロース複合体の損失正接(Tanδ)について説明する。本発明に使用するセルロース複合体は、セルロース複合体を1質量%含む水分散体の25℃における損失正接(Tanδ)が0.6以下であることが好ましい。損失正接(Tanδ)が0.6以下であることによって、油脂類の凝集を抑制し、高い乳化安定性を付与することが出来るからである。ここでいう損失正接とは、セルロース複合体の水分散体に歪みを与えた際の、水分散体の内部に蓄えられた応力を保持する弾性成分(貯蔵弾性率:G’)と粘性成分(損失弾性率:G’’)の比率のことであり、以下の式で算出される値のことである。
式:Tanδ=G’’/G’。
次に、本発明におけるセルロース複合体の貯蔵弾性率(G’)について説明する。本発明に使用するセルロース複合体は、セルロース複合体を1質量%含む水分散体の貯蔵弾性率(G’)が0.50Pa以上であることが好ましい。貯蔵弾性率とは、水分散体のレオロジー的な弾性を表現するものであり、セルロースと親水性ガムとの複合化の程度を表すものである。貯蔵弾性率が高いほど、セルロースと親水性ガムとの複合化が促進され、セルロース複合体の水分散体におけるネットワーク構造が剛直であることを意味する。ネットワーク構造が剛直なほど、セルロース複合体の分散安定性、懸濁安定性に優れる。
次に、本発明に使用することのできるセルロース複合体の粘度について説明する。セルロース複合体を1質量%の純水溶液で測定した際の粘度が50mPa・s以上であることが好ましい。ここで、粘度とは、純水中に1質量%に調製した水溶液を200mlビーカーに充填し、25℃に温調して3時間静置した後、粘度計(東機産業(株)製、TVB−10形粘度計)を用いて、ローターを分散液に差し込んだ後、30秒間静置した後、60rpmで30秒間回転させた後の測定値を指す(但し、ローターは、粘度によって適宜変更できる。使用するローターは以下の通りである。1〜20mPa・s:BL型、21〜100mPa・s:No1、101〜300mPa・s:No2、301mPa・s:No3。以下の粘度の測定法でも同じである。)。より好ましくは100mPa・s以上であり、さらに好ましくは200mPa・s以上であり、最も好ましくは250mPa・s以上である。その上限値は、特に設定されるものではないが、500mPa・s以下である。
本発明における粘度変化について説明する。セルロース複合体を高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%の純水分散体を調製し、2つのガラス製ビーカーに分注する。得られた水分散体の一方を室温25℃で3時間静置する。静置後、粘度計(東機産業(株)製、TVB−10形粘度計)を用いて、ローターを分散液に差し込んだ後、30秒間静置した後、60rpmで30秒間回転させた後の測定値を粘度値(A)とする。もう一方の水分散体を68℃に恒温したオイルバス(ADVANTEC製、OC−271)中に静置し、68℃に達温後、さらに30分間静置する。静置後、25℃に調温した後、25℃で3時間静置する。静置後、粘度計(東機産業(株)製、TVB−10形粘度計)を用いて、ローターを分散液に差し込んだ後、30秒間静置した後、60rpmで30秒間回転させた後の測定値を粘度値(B)とする。本発明における、粘度変化とは「粘度値(B)/粘度値(A)」で求められる数値のことであり、1.0以下である必要がある。粘度変化が1.0以下であることにより、アイスクリーム組成物(ミックス)の殺菌処理による増粘がなく、セルロース複合体を含んだアイスクリームミックス中の油脂成分や乳成分が凝集し、最終的に油分の分離が生じてしまうことを防ぐことができる。粘度変化の値の好ましい範囲は0.5〜1.0であり、より好ましくは0.7〜1.0であり、さらに好ましくは0.8〜1.0であり、最も好ましくは0.9〜1.0である。
セルロース複合体に、水への分散性を高める目的で、親水性ガム以外に、さらに親水性物質を加えてもよい。親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳糖、マルトース、ショ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン等のオリゴ糖類、ブドウ糖、果糖、ソルボース等の単糖類、マルチトール、ソルビット、エリスリトール等の糖アルコール類等が適している。これらの親水性物質は、2種類以上組み合わせてもよい。上述の中でも、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類が分散性の点で好ましい。セルロース複合体中の、親水性物質の配合比率は60質量%以下が好ましい。より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下であり、最も好ましくは20質量%以下である。
pH調整剤、防腐剤、油脂類、アミノ酸類、塩類、各種リン酸塩類、乳化剤、酸味料、香料、保存料、色素などのその他の成分の配合については、セルロース複合体の水中での分散及び安定性を阻害しない程度に配合することは自由である。
本発明におけるアイスクリーム組成物とは、食品衛生法にもとづく「乳及び乳製品の成分規格に関する省令」と「食品、添加物等の規格基準」の2つによって定められる、アイスクリーム(乳固形分15.0wt%以上、乳脂肪分8.0wt%以上)、アイスミルク(乳固形分10.0wt%以上、乳脂肪分3.0wt%以上)、ラクトアイス(乳固形分3.0wt%以上)、氷菓(乳固形分3.0wt%以下)のことであり、典型的には乳製品に水、油脂類、甘味料、乳化剤、着色料、香料、安定剤等を加えて攪拌凍結させた食品のことである。また、撹拌凍結する前のミックス液状態のものも含むものとする。
乳製品とは、動物の乳、とくに牛乳を加工してつくられる製品の総称のことである。乳製品は大きく分けて、乳脂肪源となるもの、無脂乳固形分と呼ばれる脂肪以外の乳固形分源となるもの、両方を含むものに分類される。乳脂肪源となるものとしては、例えば生クリームやバター等が挙げられる。乳固形分源となるものとしては、脱脂粉乳や脱脂練乳等が挙げられる。両方を含むものとしては乳や濃縮乳、全脂粉乳や全脂練乳等が挙げられる。乳脂肪分と無脂乳固形分の量比はそれぞれ出来上がったアイスクリームの性質に大きな影響を及ぼす。乳脂肪分が多いと舌触りが滑らかになるが、多すぎると空気を含みにくくなるので硬くなる。無脂乳固形分は乳タンパク質や乳糖、ミネラル等から成る。味にコクを与え、空気を含みやすくするが、多すぎると乳糖が結晶化してザラザラした食感になる。
アイスクリーム組成物の脂肪分を補う目的で使用される。主に、植物性油脂が使用される。植物性油脂は乳脂肪分と同じように室温付近で固体となり、体温程度の温度では液体となる性質の油脂が使用され、主にヤシ硬化油やパーム油、綿実油などが用いられる。上記以外の油脂類以外でも、例えばサラダ油、白絞油、コーン油、大豆油、ごま油、菜種油(キャノーラ油)、こめ油、糠油、椿油、サフラワー油 (ベニバナ油)、ヤシ油(パーム核油)、綿実油、ひまわり油、エゴマ油(荏油)、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、マスタードオイル、レタス油、魚油 、カカオバター、ピーナッツバター、パーム油、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、鶏油、兎脂、羊脂、馬脂、シュマルツ、及び各油脂の硬化油等が挙げられ、これらの油脂類は2種類以上組み合わせて使用しても良い。
アイスクリーム組成物に乳化安定性、または食感改良目的で使用される。使用される乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、サポニン、カゼインナトリウムなどが挙げられる。これらの乳化剤は2種類以上組み合わせて使用しても良い。
アイスクリーム組成物に甘みをつけるために使用される。天然甘味料、人工甘味料またはその両方を用いる場合がある。天然甘味料としては、例えばブドウ糖、果糖、麦芽糖、ショ糖、オリゴ糖、和三盆、黒糖、三温糖、蜂蜜、メープルシロップ、アガベシロップ、パームシュガー、モラセス(糖蜜)、水飴、ブドウ糖果糖液糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、甘草、ステビア、羅漢果、ソーマチン 、グリセリン、クルクリン 、モネリン 、モナチン等が挙げられる。人工甘味料としては、例えばアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン(サッカリンナトリウム)、ズルチン、チクロ、ネオテーム等が挙げられる。これらの甘味料は2種類以上組み合わせて使用しても良い。
アイスクリーム組成物に色を付与するために使用される。本発明においては、食品衛生法において食用色素として認可されている着色料(カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、アナトー色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、アルラレッドAC(赤色40号)、ニューコクシン(赤色102号)、フロキシン(赤色104号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットイエローFCF(黄色5号)、ファストグリーンFCF(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号))が使用され得る。また、食品を利用して着色しても良い。これらの着色料は2種類以上組み合させて使用しても良い。
アイスクリーム組成物に香りを付与するために使用される。本発明においては、天然香料、合成香料のいずれを使用しても良い。天然香料は厚生労働省が定める天然香料基原物質リストに収載されているものが挙げられる。合成香料は、食品添加物公定書により定められるものが挙げられる。これらの香料は2種類上組み合わせて使用しても良い。
アイスクリーム組成物の氷晶結晶成長の抑制、乳化安定性の付与を目的に使用される。主に、増粘多糖類が安定剤として使用され、例えばキサンタンガム、アラビノキシラン、ジェランガム、サイリウムシードガム、ローカストビーンガム、グアガム、タラガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、キトサン、アラビアガム、ガッティガム、グルコマンナン、トラガントガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、HMペクチン、LMペクチン、アゾトバクター・ビネランジーガム、カードラン、プルラン、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、各種加工澱粉が好適な例として挙げられるが、これに限定されない。またこれらの安定剤は2種類以上組み合わせて使用しても良い。
本発明におけるアイスクリーム組成物は一般に公知の方法で製造される。すなわち、各原料を秤量配合し、加温・溶解・混合、均質化、殺菌、冷却(5℃以下)、熟成(エージング)、フリージング、容器充填、包装、硬化(−20〜−40℃)、という工程をとる。加温・溶解・混合工程の後にろ過工程、均質化工程の後に着色料・香料を加える工程をとる場合もある。ソフトクリームミックス等の場合は、熟成(エージング)工程終了後に液状のまま容器充填し、流通される。セルロース複合体は、加温・溶解・混合工程において、その他の粉末原料と共に投入する、あらかじめ水にセルロース複合体を分散させた分散液を投入する、または水分を含む原料と共に投入する、均質化工程において投入する、のうちいずれの方法で添加してもよい。特に加温・溶解・混合工程で投入することにより、結晶セルロースの分散が促進されるため好ましい。
アイスクリーム組成物の質量を100質量%として、配合するセルロース複合体の含有量としては、0.1質量%以上が好ましい。セルロースの含有量を0.1質量%以上とすることで、アイスクリーム組成物に乳化安定効果を付与し、アイスクリームコーンや最中やクッキー等への水分移行を抑制する効果が得られる。より好ましくは0.3質量%以上であり、最も好ましくは0.5質量%以上である。上限は、アイスクリーム組成物の食感を勘案すると5.0質量%以下が好ましい。
本発明における吸水性食材とは、上記のアイスクリーム組成物と接触した冷菓として販売される、アイスクリーム組成物とは別の食材のことであり、当該冷菓の製造、保存、流通、販売、喫食のいずれか又は全ての段階で、アイスクリーム組成物から水分を吸収し得る食材を意味する。例えば、アイスクリームコーン、最中の皮、クッキーのような焼成菓子類が挙げられるが、これに限定されない。したがって、本発明の冷菓は、このような吸水性食材と本発明のアイスクリーム組成物を組合せて製造、保存、流通、販売及び喫食される食品である。例えば、本発明のアイスクリーム組成物を、販売の直前にアイスクリームコーンに投入して販売されるソフトクリームや、本発明のアイスクリーム組成物を最中の皮に収容した形態で製造される最中様冷菓、本発明のアイスクリーム組成物をクッキー等に挟んで製造される冷菓は、本発明の冷菓の好適な態様である。
1)脱脂粉乳、グラニュー糖、乳化剤、セルロース複合体をポリ袋に投入し粉混合した。
2)容器に70℃に加熱した水と1)で粉混合した混合粉体を投入し、高速攪拌機(TOKUSHU KIKA KOGYO製 商品名:TKホモミキサーMARKII)を用いて攪拌して、ミックス液とした。(8000rpm×5分)。
3)2)を高圧ホモジナイザー(APV(株)圧力式ホモジナイザー)を用いて均質化した(1段目を10MPaとし、2段目を5MPaとした。)。
4)3)を金属製の容器に入れ、殺菌(68℃に恒温したオイルバス中に静置し、ソフトクリームミックスの温度が68℃に達した後30分間静置)した。
5)4)を容器ごと氷水中に静置し5℃まで冷却した。
6)5)を容器ごと5℃に設定した冷蔵庫中に24時間静置し、熟成した。
7)6)を容器ごと塩を添加した氷水中に入れて冷却し、プロペラ式攪拌機(新東科学(株)製、スリーワンモーターBL600)を用いて300rpm×10分間撹拌してソフトクリームとした。
上記方法の6)終了後の状態(流動性が高い状態)のソフトクリームミックスを、ガラス製の容器に200ml投入し、60℃に恒温した恒温槽中に14日間静置した。静置後のミックス液の乳化状態を以下の基準で評価した。
乳化層がミックス液全体の高さの95%以上:○
乳化層がミックス液全体の高さの95%以下:×
あらかじめ24時間デシケーター内に静置し水分量を揃え、重量を測定した市販の最中の皮((有)丸井商店、製品名:アイス最中皮(大)、直径67mm)を用意した。該最中の皮の内部に、上記方法で作製したソフトクリームを20g入れ、0℃に設定した冷凍庫中に24時間静置した。静置後、最中の皮の内部のソフトクリームをスパチュラで取り出し、最中の皮の重量を測定し、「水分移行防止性=ソフトクリームを取り出した後の最中の皮の重量/ソフトクリームを入れる前の最中の皮の重量」に従って水分移行防止性を評価した。なお、上記計算値の値が1.0に近いほど水分移行防止性は高い。
上述のソフトクリームの作製方法において、全量仕込み量3000gに対して、無塩バターを5質量%、グラニュー糖を15質量%、脱脂粉乳を10質量%、ヤシ油を3質量%、乳化剤(花王(株)製、「エキセルS−95」、HLB:3.8)を0.15質量%、セルロース複合体としてMCG−811F(JRS製)を0.3質量%、残りを水として仕込みソフトクリームを試作した。MCG−811Fの組成は表1に記載した。MCG−811Fを水に1質量%分散させた時の貯蔵弾性率は2.3Paだった。また、MCG−811Fを水に1質量%分散させた時の粘度は315.0mPa・sであり、体積平均粒子径は7.7μmであり、粘度変化は1.0であり、Tanδは0.4であった。
実施例1のソフトクリームの作製方法において、MCG−811Fの配合量を0.5質量%にした以外は、同様にソフトクリームを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
市販DPパルプを裁断したものを、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロース(結晶セルロースとして)を作製した(平均重合度は220、平均L/Dは1.6であった)。
実施例3と同様の操作で得られたウェットケーキ状のMCC(平均重合度220、平均粒子L/D1.6)と、親水性ガムとして低置換度のCMC−Na(ダイセルファインケム(株)製、製品名「1140」)と高置換度のCMC−Na(ダイセルファインケム(株)製、製品名「1350」)を質量比で50/50になるように配合した。MCC/CMC−Naの質量比が75/25となるように投入し、固形分45質量%となるように加水し、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)中で混練した。
実施例3と同様の操作で得られたウェットケーキ状のMCC(平均重合度220、平均粒子L/D1.6)と、親水性ガムとして低置換度のCMC−Na(ダイセルファインケム(株)製、製品名「1140」)と高置換度のCMC−Na(ダイセルファインケム(株)製、製品名「1350」)を質量比で50/50になるように配合した。MCC/CMC−Naの質量比が65/35となるように投入し、固形分45質量%となるように加水し、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)中で混練した。
実施例1のソフトクリームの作製方法において、MCG−811Fを無配合にした以外は、同様にソフトクリームを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例3と同様の操作で得られたウェットケーキ状のMCC(平均重合度220、平均粒子L/D1.6)と、親水性ガムとしてカラヤガムを配合し、また親水性物質としてデキストリン(以下Dex)を配合し、MCC/カラヤガム/Dexの質量比が80/10/10となるように投入し固形分45質量%となるように加水し、実施例4と同様に混練した。
比較例2と同様の操作でセルロース複合体Dを得た。
実施例1のソフトクリームの作製方法において、MCG−811FをRC−N81(旭化成ケミカルズ(株)製、貯蔵弾性率:0.1Pa(1質量%分散時)、粘度:14.2mPa・s(1質量%分散時)であり、体積平均粒子径:8.2μm、粘度変化:1.2、Tanδ:1.3)に変更し、配合量を0.8質量%に変更し、さらに安定剤としてκ―カラギーナンを0.01質量%、ワキシースターチを0.6質量%配合した以外は、同様にソフトクリームを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1のソフトクリームの作製方法において、MCG−811FをRC−N30(旭化成ケミカルズ(株)製、貯蔵弾性率:1.0Pa(1質量%分散時)、粘度:46.2mPa・s(1質量%分散時)であり、体積平均粒子径:8.1μm、粘度変化:1.1、Tanδ:0.8)に変更し、配合量を0.7質量%に変更し、さらに安定剤としてゼラチン(新田ゼラチン(株)製、「GBL−200微粉」)を1.3質量%配合した以外は、同様にソフトクリームを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
脱脂粉乳500gを1500gの水に、高速攪拌機(TOKUSHU KIKA KOGYO製 商品名:TKホモミキサーMARKII)を用いて60℃で加温溶解させた。(8000rpm×10分)。その後、5℃に冷却したものを超音波洗浄槽内に15分間静置し、脱脂粉乳処理液を得た。実施例1のソフトクリームの作製方法において、脱脂粉乳を除き、上記脱脂粉乳処理液を40質量%配合し、MCG−811FをRC−N30(旭化成ケミカルズ(株)製)に変更し、配合量を1.5質量%とした以外は同様にソフトクリームを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例3と同様の操作で得られたウェットケーキ状のMCC(平均重合度220、平均粒子L/D1.6)と、親水性ガムとしてXan、ローカストビーンガム(以下LBG)を配合し、また親水性物質としてDexを配合し、MCC/Xan/LBG/Dexの質量比が70/1/5/24となるように投入し固形分45質量%となるように加水し、実施例3と同様に混練した。
(比較例8)
Claims (4)
- 平均重合度が300以下の結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムから成るセルロース複合体を含むアイスクリーム組成物であって、該セルロース複合体は、(B)該セルロース複合体を1質量%含む水分散体を68℃で30分間加熱した後に25℃に戻した際の粘度と、(A)該水分散体を前記(B)の条件で加熱しないで25℃で測定した際の粘度との比である(B)/(A)が、1.0以下であることを特徴とするアイスクリーム組成物。
- 平均重合度が300以下の結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムから成るセルロース複合体を含むアイスクリーム組成物であって、該セルロース複合体を1質量%含む水分散体の25℃における損失正接(Tanδ)が0.6以下であることを特徴とするアイスクリーム組成物。
- アイスクリーム組成物がソフトクリームミックスである、請求項1又は2に記載のアイスクリーム組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアイスクリーム組成物と吸水性食材から成る冷菓。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014248184A JP6457254B2 (ja) | 2014-12-08 | 2014-12-08 | セルロース複合体含有アイスクリーム組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014248184A JP6457254B2 (ja) | 2014-12-08 | 2014-12-08 | セルロース複合体含有アイスクリーム組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016106587A JP2016106587A (ja) | 2016-06-20 |
JP6457254B2 true JP6457254B2 (ja) | 2019-01-23 |
Family
ID=56121374
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014248184A Active JP6457254B2 (ja) | 2014-12-08 | 2014-12-08 | セルロース複合体含有アイスクリーム組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6457254B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6243492B1 (ja) * | 2016-08-19 | 2017-12-06 | 森永製菓株式会社 | 複合冷凍食品 |
JPWO2019004410A1 (ja) * | 2017-06-29 | 2019-06-27 | 株式会社マッシュアップ | 本葛粉を主成分とする餅様食品、氷菓及び氷菓の製造方法 |
KR102044310B1 (ko) * | 2017-10-31 | 2019-11-13 | 롯데푸드 주식회사 | 유화 안정성이 향상된 아이스크림 및 그 제조 방법 |
DE102020120483A1 (de) * | 2020-08-04 | 2022-02-10 | Herbstreith & Fox Gmbh & Co. Kg Pektin-Fabriken | Pektinhaltige Pflanzenfaserzusammensetzung für Speiseeis auf pflanzlicher Basis |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5605712A (en) * | 1995-09-29 | 1997-02-25 | Fmc Corporation | Stabilizer compositions, frozen desserts containing the same and stabilizing method |
JP2006008857A (ja) * | 2004-06-25 | 2006-01-12 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 高分散性セルロース組成物 |
-
2014
- 2014-12-08 JP JP2014248184A patent/JP6457254B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016106587A (ja) | 2016-06-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5978418B2 (ja) | セルロース組成物 | |
JP5953024B2 (ja) | 果実及び/又は野菜を含有する液状食品 | |
KR100361183B1 (ko) | 식품 제형물 내에서 건조 형태의 셀룰로스 미세피브릴의 용도 | |
TWI604006B (zh) | 纖維素複合體 | |
JP6457254B2 (ja) | セルロース複合体含有アイスクリーム組成物 | |
JP2020048461A (ja) | 高濃度タンパク飲料 | |
JP6434777B2 (ja) | セルロース複合体 | |
WO2002096213A1 (fr) | Composite contenant de la cellulose fine | |
JP4681692B2 (ja) | 酸性水中油型乳化状調味料 | |
WO2016166798A1 (ja) | セルロース複合体 | |
JP6457171B2 (ja) | セルロース複合体 | |
JP5855386B2 (ja) | セルロース複合体 | |
JP6150513B2 (ja) | セルロースを含む乳飲料 | |
JP2018059126A (ja) | セルロース複合体 | |
JP6588755B2 (ja) | ピックル液 | |
JP6457195B2 (ja) | 複合食品 | |
JP6150512B2 (ja) | 乳飲料 | |
JP6101433B2 (ja) | ベーカリー製品 | |
JP2016214229A (ja) | 揚げ菓子 | |
JP4932091B2 (ja) | アイスクリーム用添加剤およびそれを含むアイスクリーム類製品 | |
JP4035390B2 (ja) | 液状食品素材及びその製造方法 | |
JP3903452B2 (ja) | 酸性乳飲料およびその製造方法 | |
JP6132457B2 (ja) | コラーゲンを含有する飲料 | |
JP2017042166A (ja) | 乳飲料 | |
TWI540142B (zh) | 纖維素複合體 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20160401 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160516 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170828 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180724 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20180913 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20181025 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20181204 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20181220 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6457254 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |