JP2017042166A - 乳飲料 - Google Patents

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Nobuyoshi Mochihara
延吉 持原
裕司 林
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裕司 林
山崎 有亮
Yusuke Yamazaki
有亮 山崎
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Abstract

【課題】容器詰めされた乳飲料において、乳成分の風味を維持しつつ、容器内への付着が抑制された乳飲料の提供。また、飲食後に、コクが強い、芳醇な風味を有する乳飲料の提供。【解決手段】乳由来の成分を0.5質量%以上と、セルロースを0.05質量%以上含み、攪拌直後の貯蔵弾性率(G‘a)と、5℃にて静置5時間後の貯蔵弾性率(G‘b)の比(G‘b/G‘a)が0.85以上である乳飲料。好ましくは、乳由来の成分を0.5質量%以上、セルロースを0.05質量%以上及び二価の塩を0.15mmol/L以上含む乳飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、容器詰めされた乳飲料において、乳成分の風味を維持しつつ、容器内への付着が抑制された乳飲料に関する。また、飲用後にもコクが強く、芳醇な風味を有する乳飲料にも関する。
乳飲料は、栄養成分のバランスがよく、風味が良好であるため、従来から広く飲食されてきた。また、乳飲料として、加工乳にココア、コーヒー、紅茶等の嗜好成分を加えた嗜好性の乳飲料が好まれている。加えて、近年の健康志向の高まりにより、呈味、栄養成分に加え、カルシウム、鉄分、油脂、ビタミン等の機能性素材が強化された乳飲料の需要も増えている。
乳飲料は、日常的に、高い頻度で、飲用されるため、容器には、携帯性、廃棄性、リサイクル性が求められる。これらの要求を満たすものとして、ペットボトル様の樹脂製容器、ブリックパックやゲーブルトップパック等の紙製容器(内部を樹脂コートされたものを含む)に充填された乳飲料が好まれている。
従来、嗜好性の乳飲料に関して、種々の検討がなされてきた。特許文献1には、カカオ分を1.5〜3.5質量%配合し、乳成分としてクリームを1.0質量%、結晶セルロースを0.5質量%添加した乳飲料が開示されている。
特許文献2には、牛乳、ココア末、結晶セルロース複合体及びキサンタンガムを含有する、密閉容器詰めされた飲料が開示されている。
特開平9−313145号公報 特開2008−11760号公報
特許文献1によると、乳成分に結晶セルロースを加えることで、確かに、カカオ分の沈殿、乳脂の分離が抑制されている。しかし、該文献は、金属性の缶容器を想定したもの(実施例)であり、本発明の如く、軽質容器(樹脂製容器や紙製容器など)における特有の課題に着目したものではない。つまり、特許文献1では、乳飲料自体のレオロジー特性が制御されていないため、依然として軽質容器に充填した場合の容器内付着の問題があった。
また、特許文献2には、PETボトルに充填された乳飲料において、ココア末の沈殿がなく、加温しても成分が凝集しないことが開示されているものの、該文献も、ココア成分の沈殿・凝集に着目したものであり、本発明の付着防止、吸引性付与とは目的を異にするものである。しかして、特許文献2でも、飲料自体のレオロジー特性が制御されていないため、付着性と吸引性においてさらに改善すべき問題があった。
従って、本発明は、容器詰めされた乳飲料において、乳成分の風味を維持しつつ、容器内への付着が抑制された乳飲料を提供することを第1の課題とする。また、飲用時に、ストローで吸引する際に容易に吸引でき、飲み始めと飲み終わりの味の差が小さい乳飲料を提供することも本発明の追加の課題である。さらに望ましくは、飲用後にもコクが強く、芳醇な風味が残る乳飲料を提供することも、本発明において意図される。
本発明者らは、乳飲料に、特定の乳成分と、特定のセルロースを配合し、そのレオロジー特性を高度に制御することで、容器内への付着が低減し、ストロー等での吸引が容易になり、味の差が小さく、芳醇な風味が達成されることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)乳由来の成分を0.5質量%以上及びセルロースを0.05質量%以上含み、攪拌直後の貯蔵弾性率(G‘a)と、5℃にて静置5時間後の貯蔵弾性率(G‘b)の比(G‘b/G‘a)が0.85以上である乳飲料。
(2)乳由来の成分を0.5質量%以上、セルロースを0.05質量%以上及び二価の塩を0.15mmol/L以上含む乳飲料。
(3)前記乳飲料が、油脂を0.1質量%以上含む(1)または(2)に記載の乳飲料。
(4)前記乳飲料が、植物性油脂を0.1質量%以上含む(1)〜(3)のいずれかに記載の乳飲料。
(5)前記乳飲料が、カカオ由来の成分を0.1質量%以上含む(1)〜(4)のいずれかに記載の乳飲料。
(6)前記乳飲料が、120℃以上、60秒以内の加熱処理を施された後、容器に充填された乳飲料である、(1)〜(5)のいずれかに記載の乳飲料。
(7)接液部が樹脂又は紙である容器に充填された、(1)〜(6)のいずれかに記載の乳飲料。
本発明により、容器詰めされた乳飲料において、乳成分の風味を維持しつつ、容器内への付着を抑制することができる。
また、さらにより好ましい態様として、飲用後にもコクが強く、芳醇な風味を有する乳飲料を提供できる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の乳飲料は、乳成分と、セルロースを含み、貯蔵弾性率、損失正接等のレオロジー特性を制御されたものである。
<乳成分>
本発明の乳飲料は、乳由来の成分を0.5質量%以上含む必要がある。乳成分を含むことで、栄養成分が豊富で、味が優れたものが得られる。ここでいう配合量は、飲料全量に対する、乳由来の成分の乾燥質量の百分率のことである。乳由来の成分は、多いほど好ましく、0.8質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、特に好ましくは2質量%以上であり、最も好ましくは4質量%以上である。容器付着を抑制するには、上限は10質量%以下が好ましい。
ここでいう乳とは、動物性の乳に加え、豆乳、粥、アーモンドミルクやココナッツミルクなどの植物性のものも該当する。
動物性の乳の中でも、特に、牛乳、水牛乳、山羊乳、羊乳等の哺乳類由来の乳が栄養成分、味の点で好ましい。また、植物性の乳においては、大豆、アーモンド、ココナッツ等の種子由来の乳が、栄養の点で好ましい。これらの中でも、牛乳、大豆乳が、加工性の点でより好ましい。これらの乳由来成分は、生乳、加工のいずれも用いることができる。
加工乳とは、例えば濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリーム、ホエイ、たんぱく質濃縮ホエイ、バターミルク、加糖粉乳、調整粉乳、発酵乳等を挙げることができる。これらの加工乳は、粉末状、半固形状、液体状のいずれも使用できる。また、これらは、単独でも、二種以上を併用することも可能である。
上述の乳成分の中で、生乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリーム、ホエイを用いることが、栄養成分、加工性の点で好ましい。さらに、全粉乳、脱脂粉乳、ホエイを組み合わせて使用することが、より好ましい。
<生乳>
本発明で用いる生乳とは、動物性、植物性の乳を、元々の成分比を代えずに用いるものであり、従って、殺菌を経たものも、本発明の生乳といい得る。但し、水分は適宜調整してもよい。生乳のみを用いる場合には、生乳の固形分が、本発明で定義された乳由来の成分量に該当する。生乳に加え、粉乳等の加工乳を組み合わせた場合には、生乳と粉乳等の固形分の全量が本発明の乳由来の成分量に該当する。
<全粉乳>
全粉乳とは、乳を殺菌した後、固形分を濃縮し、乾燥して水分を5%以下にしたものをいう。乳由来の成分量とする際の考え方は、前述のとおりである。
<脱脂粉乳>
脱脂粉乳は、生乳の脂肪分と水分を除去し、粉末状にしたもののことである。脱粉、スキムミルク、ノンファットドライドミルクと呼ばれるものも、脱脂粉乳に該当する。本発明の乳飲料は、脱脂粉乳を0.1質量%以上含有することが好ましい。これを他の乳由来成分と併用する際には、脱脂粉乳と他の成分の合計が、本発明の乳由来成分の含有量となる。脱脂粉乳の含有量が多いほど、栄養成分が豊富になり、味が芳醇になるため好ましい。脱脂粉乳の含有量は、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、特に好ましくは2質量%以上であり、一層好ましくは3質量%以上であり、最も好ましくは4質量%以上である。上限は特に設定されないが、好ましい範囲としては10質量%以下である。
<ホエイ>
ホエイは、生乳から乳脂肪分やカゼインなどを除いた水溶液であり、それを必要に応じて濃縮、又は乾燥したものも含む。一般的に、乳清(にゅうせい)、乳漿(にゅうしょう)と言われる。本発明の乳飲料は、ホエイを0.1質量%以上含有することが好ましい。これを他の乳由来成分と併用する際には、ホエイと他の成分の合計が本発明の乳由来成分の含有量となる。ホエイが多いほど、栄養成分が豊富になり、味が芳醇になり、コクがでるため好ましい。ホエイの含有量は、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上、一層好ましくは3質量%以上、最も好ましくは4質量%以上である。上限は特に設定されないが、好ましい範囲としては10質量%以下である。
<クリーム>
クリームは、生乳から乳脂肪分以外が除去されたものであり、乳脂肪分を18質量%以上含むものである。クリームを加えると、乳飲料が芳醇になり、香りが優れたものになる。これを他の乳由来成分と併用する際には、クリームと他の成分の合計が本発明の乳由来成分の含有量となる。
<セルロース>
本発明の乳飲料は、セルロースを0.05質量%以上含む必要がある。本発明では、セルロース含量が多いほど、乳飲料のレオロジー特性の制御が容易になる。その結果、容器内への付着が抑制され、飲用する際の吸引性が良好であり、飲み始めと飲み終わりの味の差が小さく、芳醇な乳飲料が得られるため好ましい。セルロースの配合量としては、0.1質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましく、0.3質量%以上が特に好ましく、0.4質量%以上が最も好ましい。上限は3質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
本発明のセルロースは結晶セルロースであることが好ましい。本発明でいう結晶セルロースとは、セルロース系物質の結晶部分を取り出し、精製したものである。なお、セルロース系物質とは、セルロースを含有する天然由来の水不溶性繊維質物質である。原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。原料として、これらのうち1種の天然セルロース系物質を使用しても、2種以上を混合したものを使用することも可能である。また、セルロース系物質は、木材パルプや精製リンター等として市販されてもいる。
本発明に用いるセルロースの平均重合度は、500以下が好ましい。平均重合度は、「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)のセルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定できる。平均重合度が500以下ならば、乳飲料において、セルロース系物質が攪拌、粉砕、摩砕等の物理処理を受けやすくなり、微粒化が促進されやすくなり、その結果、良好なレオロジー特性が得られる。より好ましくは平均重合度が300以下、さらに好ましくは平均重合度が250以下である。平均重合度は小さいほどレオロジー特性の制御が容易になるため、下限は特に制限されないが、好ましい範囲としては10以上である。
この平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースやリグニン等の不純物も取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。それにより、乳飲料を得る際の機械的せん断力を与える工程において、セルロースが機械処理を受けやすくなり、セルロースが微細化されやすくなる。その結果、セルロースの表面積が高くなり、乳成分との相互作用が生じやすくなり、レオロジー特性の制御が容易になる。
加水分解の方法は特に制限されないが、酸加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、セルロース系物質を水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌させながら加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度により異なるが、要は、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調節すればよい。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。
<セルロースの粒子形状(L/D)>
本発明で用いるセルロースは、微細な粒子状の形状であることが好ましい。セルロースの粒子形状は、本発明のセルロース(或いは後述のセルロース複合体中のセルロース成分)を1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を、0.1〜0.5質量%に純水で希釈し、マイカ上にキャストし風乾したものを、高分解能走査型顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測した際に得られる粒子像の長径(L)と短径(D)の比(L/D)で表され、100個〜150個の粒子のL/Dの平均値として算出される。
L/Dは、懸濁安定性の点で20未満が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましく、5未満が格別に好ましく、4以下が最も好ましい。
<セルロース複合体>
本発明で用いるセルロースとしては、セルロースの粒子表面に、多糖類等の物質が水素結合等で複合化されたセルロース複合体を使用することが好ましい。セルロース複合体を使用する際は、セルロース複合体の全量が、セルロース量を指すものとする。本発明のセルロース複合体は結晶セルロース複合体であることが好ましい。結晶セルロース複合体は上記セルロース成分が結晶セルロースからなるものである。
<セルロース複合体に用いる多糖類>
セルロース複合体に用いる多糖類は、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、グルコン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸等の糖類がα又はβ結合し、主鎖又は側鎖を構成する化合物を包含する。例えば、天然由来では、アーモンドガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、エレミ樹脂、カラヤガム、ガッティガム、ダンマル樹脂、トラガントガム、モモ樹脂等の樹脂由来の多糖類、アマシードガム、カシアガム、ローカストビーンガム、グアーガム、グアーガム酵素分解物、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム、セスバニアガム、タマリンド種子ガム、タラガム、トリアカンソスガム等の豆類由来の多糖類、アルギン酸、カラギーナン、フクロノリ抽出物、ファーセルラン等の海草由来の多糖類、アロエベラ抽出物、オクラ抽出物、キダチアロエ抽出物、トロロアオイ、ペクチン等の果実類、葉、地下茎由来の多糖類、アエロモナスガム、アウレオバシジウム培養液、アゾトバクター・ビネランジーガム、ウェランガム、エルウィニア・ミツエンシスガム、エンテロバクター・シマナスガム、エンテロバクターガム、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、スクレロガム、デキストラン、納豆菌ガム、プルラン、マクロホモプシスガム、ラムザンガム、レバン等の微生物の発酵産物由来の多糖類、セルロース由来の多糖類としては、セルロース、微小繊維状セルロース、発酵セルロース、およびメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、及びそのナトリウム、カルシウム等のセルロース誘導体等が挙げられ、その他としては、酵母細胞壁、キチン、キトサン、グルコサミン、オリゴグルコサミン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸等が挙げられる。
これらの多糖類は、単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
その中でも、本発明のセルロース複合体に用いるには、陰イオン性又は中性多糖類が、セルロースと複合化しやすいため、好ましい。さらに、陰イオン性多糖類はより複合化しやすいため、いっそう好ましい。
<陰イオン性多糖類>
水中で陽イオンが遊離し、それ自身が陰イオンとなるものを陰イオン性多糖類と呼ぶ。本発明において陰イオン性多糖類を用いることで、セルロースとの複合化がより促進されるため好ましい。陰イオン性多糖類としては、以下のものが好適である。
例えば、サイリウムシードガム、カラヤガム、カラギーナン、寒天、ファーセルラン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコール(PGA)、HMペクチン、LMペクチン、アゾトバクター・ビネランジーガム、キサンタンガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシエチルセルロースナトリウム、カルボキシエチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体が挙げられる。これらの陰イオン性多糖類は2種以上を組み合わせてもよい。
上述の中でも、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、HMペクチン、アルギン酸ナトリウム、PGA、ジェランガム、キサンタンガム又はそれらの混合物を用いることが好ましい。
<カルボキシメチルセルロースナトリウム>
上述の陰イオン性多糖類の中でも、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMC−Na)が、特に、セルロースと複合化しやすく、得られたセルロース複合体は、乳成分との相互作用が良好であり、乳飲料のレオロジー特性を制御しやすくなるため好ましい。
ここでいうCMC−Naとは、セルロースの水酸基がモノクロロ酢酸で置換されたものが一般的で、D−グルコースがβ−1,4結合した直鎖状の化学構造を持つものである。CMC−Naは、パルプ(セルロース)を水酸化ナトリウム溶液で溶かし、モノクロロ酸(或いはそのナトリウム塩)で置換して得られる。
特に、置換度と粘度が特定範囲に調製されたCMC−Naを用いることが、複合化の観点から好ましい。
CMC−Naの粘度は、1質量%の純水溶液とした際に、1000mPa・s以下が好ましい。ここでいう粘度は、以下の方法で測定される。まず、CMC−Naの粉末を、1質量%として、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散し、水溶液を調製する。次に、得られた水溶液ついて、分散3時間後(25℃保存)に、B形粘度計(ローター回転数60rpm)にセットして60秒静置後に、30秒間回転させて測定する。但し、ローターは、当該水溶液の粘度に応じて、測定のために最適なものを適宜選択可能である。CMC−Naの粘度が低いほど、セルロースと多糖類との複合化が促進されやすい。そのため、500mPa・s以下がより好ましく、200mPa・s以下がさらに好ましく、100mPa・s以下が特に好ましい。下限は特に設定されるものではないが、好ましい範囲としては10mPa・s以上である。
本発明のセルロース複合体に用いるCMC−Naは、高置換度のものを用いることが好ましい。CMC−Naの置換度が高いほど、セルロースと複合化しやすく、セルロース複合体の貯蔵弾性率が高まり、高塩濃度の水溶液中(例えば10質量%の塩化ナトリウム水溶液)でも高い懸濁安定性を発揮できるため好ましい。また、高置換度のCMC−Naを用いることにより、乳成分等のタンパク質と過度の凝集が発生しにくいものが得られる。置換度とは、セルロース中の水酸基にカルボキシメチル基がエーテル結合した度合いのことであり、具体的には、置換度は0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましく、1.3以上が特に好ましい。上限は3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。
CMC−Naの置換度は、以下の方法で測定される。CMC−Naの試料(無水物)0.5gを精密にはかり、ろ紙に包んで磁性ルツボ中で灰化する。冷却した後、これを500mLビーカーに移し、水約250mLと、0.05M硫酸35mLを加えて30分間煮沸する。これを冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加えて、過剰の酸を0.1M水酸化カリウムで逆滴定して、次の式で算出する。
A=((af−bf1)/試料無水物(g))−アルカリ度(又は+酸度)
置換度=(162×A)/(10000−80A)
ここで、
A:試料1g中のアルカリに消費された0.05Mの硫酸の量(mL)
a:0.05M硫酸の使用量(mL)
f:0.05M硫酸の力価
b:0.1M水酸化カリウムの滴定量(mL)
f1:0.1M水酸化カリウムの力価
162:グルコースの分子量
80:CHCOONa−Hの分子量
アルカリ度(又は酸度)の測定法:試料(無水物)1gを300mLフラスコに精密に測りとり、水約200mLを加えて溶かす。これに0.05M硫酸5mLを加え、10分間煮沸した後、冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加え、0.1M水酸化カリウムで滴定する(SmL)。同時に空試験を行い(BmL)、次の式で算出する。
アルカリ度=((B−S)×f)/試料無水物(g)
ここで、f:0.1M水酸化カリウムの力価である。(B−S)×xfの値が(−)の時には、酸度とする。
<カラギーナン>
上述の陰イオン性多糖類の中でも、特に、カラギーナンは、セルロースと複合化しやすく、得られたセルロース複合体は、乳成分との相互作用が良好であり、乳飲料のレオロジー特性を制御しやすくなるため好ましい。ここでいうカラギーナンとは、直鎖含硫黄多糖類の一種で、D−ガラクトース(もしくは 3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース)と硫酸から構成される陰イオン性多糖類である。一般的に、カラギナン、カラゲナン、カラジーナン、カラゲニンとも呼ばれるものも、本発明で用いるカラギーナンに該当する。
カラギーナンには、次のタイプがあり、いずれもタイプも本発明に用いることができる。ミュー、カッパー、カッパー−2、ニュー、イオータ、ラムダ、テータ及びこれらの混合物を含むことができる。また、本発明で用いるカラギーナンは、アルカリなしで、または低レベルまたは高レベルのアルカリにより処理されたものの中で、いずれの形態のものも含まれる。また、本発明で用いるカラギーナンは、精製、半精製または未精製のもののいずれもが含まれ、さらに、これらの混合物も含むことができる。これらのなかで、カッパーカラギーナン、イオータカラギーナンが特に好ましい。最も好ましくは、イオータカラギーナンである。
<HMペクチン>
上述の陰イオン性多糖類の中でも、特に、HMペクチンは、セルロースと複合化しやすく、得られたセルロース複合体は、乳成分との相互作用が良好であり、乳飲料のレオロジー特性を制御しやすくなるため好ましい。ここでいうペクチンとは、植物の細胞壁や中葉に含まれる複合多糖類で、ガラクツロン酸が、α−1,4−結合したポリガラクツロン酸が主成分であり、ガラクツロン酸のカルボキシル基がメチルエステル化されたものである。その中で、HMペクチンは、ペクチンの構造中の全ガラクツロン酸のうち、メチル化ガラクツロン酸の占める割合が50%以上(モル比)のもののことを指す。
<アルギン酸ナトリウム>
上述の陰イオン性多糖類の中でも、特に、アルギン酸ナトリウムは、セルロースと複合化しやすく、得られたセルロース複合体は、乳成分との相互作用が良好であり、乳飲料のレオロジー特性を制御しやすくなるため好ましい。ここでいう、アルギン酸は、主に褐藻に含まれる多糖類の一種であり、α−L−グルロン酸、β−D−マンヌロン酸が、ピラノース型で1,4−グリコシド結合で結合した構造を持っている多糖類であり、アルギン酸ナトリウムは、それがナトリウム塩となったものである。
<アルギン酸プロピレングリコールエステル>
上述の陰イオン性多糖類の中でも、特に、アルギン酸プロピレングリコールエステルは、セルロースと複合化しやすく、得られたセルロース複合体は、乳成分との相互作用が良好であり、乳飲料のレオロジー特性を制御しやすくなるため好ましい。ここでいうアルギン酸プロピレングリコールエステルとは、上述のアルギン酸の構成糖であるウロン酸のカルボキシル基に、プロピレングリコールをエステル結合させた誘導体のことである。
<セルロースと多糖類の配合比率>
本発明のセルロース複合体は、好ましくは、セルロースを50〜99質量%、及び多糖類を1〜50質量%含むことが好ましい。複合化によって、多糖類がセルロース粒子の表面を水素結合等の化学結合により被覆することで、中性の水溶液に分散した際に、セルロース複合体がもつ懸濁安定性が向上する。また、セルロースと多糖類を上記の組成とすることで、複合化が促進され、乳成分との相互作用を生じやすくなり、乳飲料のレオロジー特性を制御しやすくなる。本発明のセルロース複合体は、セルロースを70〜99質量%、多糖類を1〜30質量%を含むことがより好ましく、セルロースを80〜99質量%、多糖類を1〜20質量%を含むことがさらに好ましく、セルロースを85〜99質量%、多糖類を1〜15質量%を含むことが特に好ましい。
<セルロース複合体の分散性(コロイド成分含量)>
本発明で用いるセルロース複合体は、水中で、低剪断力で容易に分散するものを用いることが好ましい。セルロース複合体が容易に分散することで、乳飲料のレオロジー特性を制御しやすくなる。ここでいう分散性は、以下の方法で測定されるコロイド成分含量で定量することができる。まず、セルロース複合体を1.0質量%の濃度で純水懸濁液とし、その500mLを1L容のガラス製ビーカー(胴内径:100mm、高さ:150mmの円筒形)に仕込み、プロペラ式攪拌機(HEIDON新東科学(株)製、商品名「スリーワンモーターBL600型」、攪拌翼:かい十字R型(翼径φ70mm)、処理条件:回転数500rpm×30分間、処理温度:25℃)で分散させた後、分散液を、遠心分離(久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」ロータータイプRA−400型、処理条件:遠心力5000G(Gは重力加速度)で10分間遠心した上澄みを採取し、さらに、この上澄みについて、12000G(Gは重力加速度)で45分間遠心処理する。)し、遠心後の上澄みに残存する固形分(セルロースと、多糖類を含む。また、本発明のセルロース複合体が水溶性ガムを含む場合は、さらに、水溶性ガムを含む)の質量百分率のことである。
このコロイド状成分の含有量が30質量%以上であると、乳飲料のレオロジー特性の制御が容易になり、飲料保存時の付着防止性、飲用時の吸引性が優れるため好ましい。より好ましくは35質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上であり、特に好ましくは45質量%以上であり、最も好ましくは50質量%以上である。コロイド成分含量が多いほど、上述の効果が高まるため、上限は特に制限されないが、好ましくは95質量%以下である。
<セルロース複合体の分散性(粗大成分含量)>
本発明で用いるセルロース複合体は、水中で、低剪断力で容易に分散するものを用いることが好ましい。セルロース複合体が容易に分散することで、乳飲料のレオロジー特性を制御しやすくなる。ここでいう分散性は、以下の方法で測定される粗大成分含量で定量することができる。まず、セルロース複合体を1.0質量%の濃度で純水懸濁液とし、その500mLを1L容のガラス製ビーカー(胴内径:100mm、高さ:150mmの円筒形)に仕込み、プロペラ式攪拌機(HEIDON新東科学(株)製、商品名「スリーワンモーターBL600型」、攪拌翼:かい十字R型(翼径φ70mm)、処理条件:回転数500rpm×30分間、処理温度:25℃)で分散させた後、分散液を、遠心分離(久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」ロータータイプRA−400型、処理条件:遠心力5000G(Gは重力加速度)で10分間遠心処理する。)し、遠心後の沈殿に残存する固形分(セルロースと、多糖類を含む。また、本発明のセルロース複合体が水溶性ガムを含む場合は、さらに、水溶性ガムを含む)の質量百分率のことである。
この粗大成分の含有量が60質量%以下であると、乳飲料のレオロジー特性の制御が容易になり、飲料保存時の付着防止性、飲用時の吸引性が優れるため好ましい。より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下であり、最も好ましくは10質量%以下である。粗大成分含量が少ないほど、上述の効果が高まるため、下限は特に制限されないが、好ましくは0.5質量%以上である。
<セルロース複合体の貯蔵弾性率>
本発明のセルロース複合体は、水中で、複合体粒子同士が経時的に、水素結合を形成し、結果として網目状のネットワークを形成するものである。このネットワークの強さは、セルロース複合体の水分散体の貯蔵弾性率(G‘)で測定される。この貯蔵弾性率(G‘)が高いほど、乳飲料のレオロジー特性の制御が容易になり、飲料保存時の付着防止性、飲用時の吸引性が優れるため好ましい。
ここでいう貯蔵弾性率(G‘)は、以下の方法で測定される。まず、セルロース複合体を、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%の純水分散体を調製する。得られた水分散体を、25℃の水浴中で3日間静置し、粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、ARES100FRTN1型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、温度:25.0℃一定、角速度:20rad/秒、ひずみ:1→794%の範囲で掃引、水分散体は微細構造を壊さないようスポイトを使用して、ゆっくりと仕込み、5分間静置した後に、Dynamic Strainモードで測定を開始する)により測定する。本発明における貯蔵弾性率(G‘1)は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み20%の値として導かれる。
この貯蔵弾性率(G‘)は、0.4Pa以上が好ましく、0.5Pa以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましく、0.7Pa以上が特に好ましく、0.8Pa以上が最も好ましい。
<セルロース複合体のネットワークの形成速度>
本発明のセルロース複合体は、水中で、複合体粒子同士が経時的に水素結合を形成し、結果として網目状のネットワークを形成するものである。このネットワークの形成速度が速いほど、乳飲料のレオロジー特性の制御が容易になり、飲料保存時の付着防止性、飲用時の吸引性が優れるため好ましい。
ここでいうネットワークの形成速度は、セルロース複合体を1質量%含むpH6〜7の水分散体において、攪拌直後の貯蔵弾性率(G‘1)に対し、5時間静置後の貯蔵弾性率(G‘2)の比(G‘2/G‘1)で求められる。測定方法の例は、まず、セルロース複合体を高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%の純水分散体を調製する。得られた水分散体の一部を、粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、ARES100FRTN1型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、温度:25.0℃一定、角速度:20rad/秒、ひずみ:1→794%の範囲で掃引、水分散体は微細構造を壊さないようスポイトを使用して、ゆっくりと仕込み、5分間静置した後に、Dynamic Strainモードで測定を開始する)により測定する。本発明における貯蔵弾性率(G‘1)は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み20%の値として導かれる(単位はPa)。次に、上述の純水分散体の別の一部を、200mL容のガラス製ビーカー(直径5.5cm、高さ11.5cmの円筒容器)に200mL仕込み、25℃の水浴中で5時間静置する。この静置後の純水分散体を、上記と同様に粘弾性測定装置で測定した値を、貯蔵弾性率(G‘2)とする(歪み20%の値。単位はPa)。得られた各貯蔵弾性率から、式(G‘2/G‘1)に当てはめて求めた比が、ネットワークの形成速度を意味する。
この値は、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上がさらに好ましく、1.4以上が特に好ましく、1.5以上が最も好ましい。
<水溶性ガム>
本発明のセルロース複合体は、さらに多糖類以外の水溶性ガムを含むことが好ましい。水溶性ガムとしては、水膨潤性が高く、セルロースと複合化しやすいガムが好ましい。
例えば、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、キトサン、アラビアガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム等のアルギン酸塩、HMペクチン、LMペクチン等のペクチン、アゾトバクター・ビネランジーガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。これらの水溶性ガムは2種以上を組み合わせてもよい。
上述の水溶性ガムの中でも、セルロースとの複合化の点で、キサンタンガム、カラヤガム、ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩が好ましい。
<多糖類と水溶性ガムの質量比>
多糖類と上記の水溶性ガムとの質量比は、30/70〜99/1であることが好ましい。本発明のセルロース複合体において、多糖類と上記の水溶性ガムが前記の範囲にあることで、セルロース複合体が高い分散性、安定性を示す。これら多糖類と水溶性ガムとの配合量比として、より好ましくは、40/60〜90/10であり、さらに好ましくは40/60〜80/20である。
<親水性物質>
本発明のセルロース複合体に、水への分散性を高める目的で、多糖類及び水溶性ガム以外に、さらに親水性物質を加えてもよい。親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳糖、マルトース、ショ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン等のオリゴ糖類、ブドウ糖、果糖、ソルボース等の単糖類、マルチトール、ソルビット、エリスリトール等の糖アルコール類等が適している。これらの親水性物質は、2種類以上組み合わせてもよい。上述の中でも、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類が分散性の点で好ましい。
その他の成分の配合については、組成物の水中での分散及び安定性を阻害しない程度に配合することは自由である。
<セルロース複合体の製造方法>
次に、本発明のセルロース複合体の製造方法を説明する。本発明のセルロース複合体は、混練工程においてセルロースと多糖類に機械的せん断力を与え、セルロースを微細化させるとともに、セルロース表面に多糖類を複合化させることによって得られる。また、多糖類以外の水溶性ガムや親水性物質、及び、その他の添加剤などを添加しても良い。上述の処理を経たものは、必要に応じ、乾燥される。つまり、本発明のセルロース複合体としては、上述の機械的せん断を経て、未乾燥のもの及びその後乾燥されたもの等、いずれの形態でもよい。
機械的せん断力を与えるには、混練機等を用いて混練する方法を適用することができる。混練機は、ニーダー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機等を用いることができ、連続式でもバッチ式でもよい。混練時の温度は成り行きでもよいが、混練の際の複合化反応、摩擦等により発熱する場合にはこれを除熱しながら混練してもよい。これらの機種を単独で使用することも可能であるが、二種以上の機種を組み合わせて用いることも可能である。これらの機種は、種々の用途における粘性要求等により適宜選択すればよい。
また、混練温度は、低いほど、多糖類の劣化が抑制され、結果として得られるセルロース複合体の貯蔵弾性率(G‘)が高くなるため好ましい。混練温度は、80℃以下であることが好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましく、50℃以下がよりさらに好ましく、30℃以下が特に好ましく、20℃以下が最も好ましい。高エネルギー下で、上記の混練温度を維持するには、ジャケット冷却、放熱等の徐熱を工夫することも自由である。
混練時の固形分は、35質量%以上であることが好ましい。混練物の粘性が高い半固形状態で混練することで、混練物が緩い状態にならず、下記に述べる混練エネルギーが混練物に伝わりやすくなり、複合化が促進されるため好ましい。混練時の固形分は、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは55質量%以上である。上限は特に限定されないが、混練物が水分量の少ないパサパサな状態にならず、充分な混練効果と均一な混練状態が得られることを考慮して、現実的範囲は90質量%以下が好ましい。より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。また、固形分を上記範囲とするために加水するタイミングとしては、混練工程の前に必要量を加水してもよいし、混練工程の途中で加水してもよいし、両方実施しても良い。
ここで、混練エネルギーについて説明する。混練エネルギーとは混練物の単位質量当たりの電力量(Wh/kg)で定義するものである。混練エネルギーは、50Wh/kg以上とすることが好ましい。混練エネルギーが50Wh/kg以上であれば、混練物に与える磨砕性が高く、セルロースと多糖類、又は、セルロース、多糖類、及びその他水溶性ガム等との複合化が促進され、セルロース複合体の懸濁安定性は向上する。より好ましくは80Wh/kg以上であり、さらに好ましくは100Wh/kg以上であり、特に好ましくは200Wh/kg以上であり、一層好ましくは300Wh/kg以上であり、最も好ましくは400Wh/kg以上である。
混練エネルギーは高い方が複合化が促進されると考えられるが、混練エネルギーをあまり高くすると工業的に過大な設備となること、設備に過大な負荷がかかることから、混練エネルギーの上限は1000Wh/kg以下とするのが好ましい。
複合化の程度は、セルロースとその他の成分の水素結合の割合と考えられる。複合化が進むと、水素結合の割合が高くなり本発明の効果が向上する。
本発明のセルロース複合体を得るにあたって、前述の混練工程より得られた混練物を乾燥する場合は、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。混練物を乾燥工程に供する場合には、混練物に水を添加せず、混練工程の固形分濃度を維持して、乾燥工程に供することが好ましい。
乾燥後のセルロース複合体の含水率は1〜20質量%が好ましい。含水率を20%以下とすることで、べたつき、腐敗等の問題や運搬・輸送におけるコストの問題が生じにくくなる。より好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。また、1%以上とすることで、過剰乾燥のため分散性が悪化することもない。より好ましくは1.5%以上である。
セルロース複合体を市場に流通させる場合、その形状は、粉体の方が取り扱い易いので、乾燥により得られたセルロース複合体を粉砕処理して粉体状にすることが好ましい。但し、乾燥方法として噴霧乾燥を用いた場合は、乾燥と粉末化が同時にできるため、粉砕は必要ない。乾燥したセルロース複合体を粉砕する場合、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の方法を用いることができる。粉砕する程度は、粉砕処理したものが目開き1mmの篩いを全通する程度に粉砕する。より好ましくは、目開き425μmの篩いを全通し、かつ、平均粒度(重量平均粒子径)としては10〜250μmとなるように粉砕することが好ましい。これらの乾燥粉末は、セルロース複合体の微粒子が凝集し、二次凝集体を形成しているものである。この二次凝集体は、水中で攪拌すると崩壊し、上述のセルロース複合体微粒子に分散する。二次凝集体の見かけの重量平均粒子径は、ロータップ式篩振盪機(平工作所製シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより得られた粒度分布における累積重量50%粒径のことである。
<複合化の際に好ましい添加剤>
上述のセルロース複合体の製造方法において、混練工程によりセルロースと多糖類に機械的せん断力を与え、セルロース表面に多糖類を複合化させる際に、二価のイオンを共存させることが好ましい。好ましいイオン種としては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、バリウムイオンである。これらは、水溶液中で陽イオンとした状態で添加してもよく、無機塩、有機塩の状態で、固体状で添加してもよい。より好ましくは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオンであり、さらに好ましくは、カルシウムイオンである。
これらのイオンを塩として添加する場合は、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、乳酸塩等が好ましい。より好ましくは、塩化物である。
上記のイオンは、水酸化物の状態で、酸と同時に添加し、中和しつつ、塩を形成させてもよい。
塩化カルシウムを添加する場合は、セルロースと多糖類の総重量に対して0.1質量%以上添加することが好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上が特に好ましく、3質量%以上が最も好ましい。上限は、複合加工性の点で、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
セルロース及び多糖類をこれらの二価のイオンと供に複合化させることで、乳飲料のレオロジー特性の制御が容易になり、飲料保存時の付着防止性、飲用時の吸引性が優れるため好ましい。特に、乳成分、油脂との凝集が抑制されるため好ましい。
<好ましい乾燥方法>
上述のセルロースの製造方法において、混練複合化処理されたセルロースと多糖類を含む組成物は、80℃以下の品温にて乾燥、粉砕されることが好ましい。この温度を80℃以下とすることで、得られるセルロース複合体の分散性、及びネットワークの形成速度が速くなる。
より好ましい乾燥方法としては、噴霧乾燥が挙げられる。具体的には、複合化後のセルロースと多糖類の混合物(例えば固形分20〜80質量%)に水を加えスラリーとして(例えば固形分30質量%以下)として、一般的な噴霧乾燥機に導入し、アトマイザー又はノズルから液滴として噴霧する。この液滴に、熱風(例えば、110〜250℃)を吹き与え、乾燥、粉末化を行う。この際の品温を80℃以下とすることが好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下が特に好ましい。
<乳飲料の製造方法>
本発明の乳飲料は、少なくとも乳由来の成分を0.5質量%以上及びセルロースを0.05質量%以上含むものである。これらの成分は、まず、水中で攪拌混合(分散)され、必要に応じ、殺菌処理され、容器に充填される。
まず、乳飲料に、本発明の乳成分とセルロースを添加する方法としては次の方法が挙げられる。例えば、乳成分とセルロースを粉末状で混合した後に飲料に添加する方法、乳成分とセルロースを、一旦、水に分散させた後に飲料に添加する方法を用いることができる。別々に添加する場合は、添加順序は、乳成分が先でも、セルロースが先でもよい。
乳成分及びセルロース複合体が乾燥粉末の場合の水への分散方法としては、食品等の製造工程で通常使用される各種の分散機・乳化機・磨砕機等の混練機を使用する方法が挙げられる。混練機の具体例としては、プロペラ攪拌機、高速ミキサー、ホモミキサー、カッター等の各種ミキサー、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル、ライカイ機等のミル類、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー等の高圧ホモジナイザーに代表される分散機・乳化機、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクルトルーダー、タービュライザー等に代表される混練機等が使用できる。2種以上の混練機を組み合わせて使用してもかまわない。また、加温しながら行ったほうが分散は容易である。
上述の分散方法の中で、ミキサー分散と、高圧ホモジナイザーを組み合わせた方法が、各原料の均質化(レーザー回折式粒度分布計:堀場製作所製LA−910、屈折率1.20で測定した際に、10μm以上の粒子が10%以下のこと)を達成するために好ましく。高圧ホモジナイザーの処理圧力としては、10MPa以上が好ましく、15MPa以上がより好ましく、20MPa以上がさらに好ましい。乳成分の凝集を抑制する目的で、上限は30MPa以下が好ましい。(ホモバルブが二箇所以上設置されており、多段回で加圧する場合は、それぞれの圧力の合計が、上述の数値に該当する。)
次に、殺菌方法について説明する。本発明の乳飲料に適用できる殺菌方法は、低温保持殺菌(LTLT法:65〜68℃で30分間以上加熱殺菌する方法)、高温短時間殺菌(HTST法:72℃から78℃で15秒間以上殺菌する方法)、超高温瞬間殺菌(UHT法:摂氏120℃から145℃で1秒間以上殺菌する方法)、レトルト殺菌(120℃で30〜60分、又は105〜115℃で30分以上、又は130℃以上で10分以上殺菌する方法)、γ線滅菌、ガス滅菌等が挙げられる。本発明の乳飲料には、風味の観点で、LTLT法、HTST法、UHT法が好ましく、滅菌性と風味の観点で、より好ましくはUHT法であり、さらに好ましい条件は、120〜140℃で5〜60秒であり、特に好ましくは、120〜130℃で10秒以下であり、最も好ましくは、120〜130℃で5秒以下である。
<乳飲料の容器>
本発明の乳飲料を充填する容器としては、ガラス製容器包装、金属製容器包装(容器包装の開口部分に、密封のために金属以外の材質を用いたものを含む。)、合成樹脂製容器包装、合成樹脂加工紙製容器包装、合成樹脂加工アルミニウム箔製容器包装、組合せ容器包装(金属、合成樹脂、合成樹脂加工紙又は合成樹脂加工アルミニウム箔のうち二つ以上を用いる容器包装。)のいずれも使用することができる。
本発明の乳飲料は、容器内部への付着が発生しやすい合成樹脂製容器包装、合成樹脂加工紙製容器包装、合成樹脂加工アルミニウム箔製容器包装等の軽質容器に適したものである。ここで用いられる合成樹脂は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネートが挙げられ、これらを単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
より好ましい形態としては、合成樹脂加工紙製容器包装であり、ポリエチレン/紙/ポリエチレンからなる3層タイプと、ポリエチレン/アルミ箔/ポリエチレン/紙/ポリエチレンからなる5層タイプが挙げられる。特に、本発明の乳飲料は、上記の容器の接液部であるポリエチレンへの付着を抑制できる特長がある。
<その他の成分>
本発明の乳飲料には、上述の乳成分、セルロースに加え、油脂、カカオ由来の成分、二価の塩の1つ以上を添加することも好ましい。
<油脂>
本発明の乳飲料には、油脂を0.1質量%以上配合することが、芳醇な風味を得るうえで、好ましい。ここでいう油脂とは、脂肪酸とグリセリンとのエステル化合物で、トリグリセリド(トリ−O−アシルグリセリン)の形態を取るもののことである。一般に常温で液体のものが「脂肪油」、固体のものが「脂肪」と呼ばれ、脂肪油で酸化を受けて固まりやすい順に乾性油、半乾性油、不乾性油と分類されるが、本発明の油脂は、いずれの呼称のものも含まれる。
本発明で使用できる油脂としては、例えば、サラダ油、白絞油、コーン油、大豆油、ごま油、ナタネ油(キャノーラ油)、こめ油、糠油、椿油、サフラワー油(ベニバナ油)、ヤシ油(パーム核油)、綿実油、ひまわり油、荏油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、マスタードオイル、レタス油、魚油、鯨油、鮫油、肝油、ピーナッツバター、パーム油、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、鶏油、兎脂、羊脂、馬脂、シュマルツ、乳脂(バター、ギーなど)、硬化油(マーガリン、ショートニング)が挙げられ、これらは単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、味の点で、乳脂、硬化油等、サラダ油、コーン油、ナタネ油、サフラワー油が好ましく、さらに好ましくは、サラダ油、コーン油、ナタネ油、サフラワー油等の植物性の油脂が好ましい。油脂は、多いほど、芳醇な味わいになるため好ましく、より好ましくは、0.2質量%以上であり、0.4質量%以上がさらに好ましく、0.6質量%以上が特に好ましく、0.8質量%以上が一層好ましく、1質量%以上が最も好ましい。
<カカオ由来の成分>
本発明の乳飲料は、風味の点で、カカオ由来の成分を0.1質量%以上含有することが好ましい。ここでいうカカオ由来の成分とは、カカオ豆から工業的に得られるもののことであり、カカオマス、ココアバター、ココア等が該当する。
カカオマスとは、カカオ豆の胚乳を発酵、乾燥、焙煎、磨砕したものである。外皮と胚芽は工程中で除去され、液体のものがカカオリカー、冷却・固化したものがカカオマスと呼ばれる。本発明のカカオマスには、リカーも含まれる。典型的なカカオマスには、全固形分中50質量%以上のカカオ脂肪分(ココアバター)が含まれる。
ココアバターとは、カカオマスに含まれる脂肪分を採取したものである。通常、プレス機でカカオリカーから圧搾され得られた液体が、本発明のココアバターに該当する。
ココアとは、上述のココアバターを得る圧搾工程で、残った固形分(ココアケーキ)をミルで粉砕して粉末状にしたものが該当する。本発明のココアパウダーは、全固形分中に、脂肪分を11質量%〜23質量%含むものである。
上述のカカオ由来の成分は、単独で使用しても、二種以上を併用してもよく、よい好ましい添加量は、0.5質量%以上であり、1質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上が特に好ましく、3質量%以上が最も好ましい。
<二価の塩>
本発明の乳飲料は、乳成分の凝集防止の点で、二価の塩を0.15mmol/L以上含むことが好ましい。好ましい塩類としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛イオン塩、バリウム塩であり、これらの塩化物、炭酸塩、硫酸塩、乳酸塩等が好ましい。これらは、水溶液中で、イオンとした状態で添加してもよく、無機塩、有機塩の状態で、固体状で添加してもよく、乳成分、セルロース等から持ち込んだ状態で添加してもよい。
この塩類は、陽イオン成分の元素分析で定量することができる。より好ましくは、0.3mmol/L以上であり、さらに好ましくは0.5mmol/Lであり、特に好ましくは1mmol/L以上であり、一層好ましくは、5mmol/L以上である。上限は大きければ大きいほど好ましいが、現実的には、100mmol/L以下である。
<乳飲料のレオロジー特性1>
本発明の乳飲料は、攪拌直後の貯蔵弾性率(G‘a)と、5℃にて静置5時間後の貯蔵弾性率(G‘b)の比(G‘b/G‘a)が0.85以上である。この特性を満たすことで、容器内への付着が抑制される。
この特性は、以下の方法で測定できる。まず、攪拌直後の貯蔵弾性率(G‘a)は、5℃に調温された乳飲料を、50mL容のポリプロピレン製遠沈管に30mL仕込み、その遠沈管をシェーカー(東京理化機器製、商品名「MMS−4010型」、スプリング万能振とう台)にセットし、往復振とうモードで、20rpmで1分間処理(この操作を、レオロジー特性測定の際の「攪拌」と呼ぶ。以下、同じ。)した後、粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、ARES100FRTN1型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、温度:5℃一定、角速度:20rad/秒、ひずみ:1→500%の範囲で掃引、乳飲料は微細構造を壊さないようスポイトを使用して、ゆっくりと仕込み、5分間静置した後に、Dynamic Strainモードで測定を開始する)により測定する。本発明における貯蔵弾性率(G‘a)は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み20%の値として導かれる(単位はPa)。一方、静置5時間後の貯蔵弾性率(G‘b)は、上述の方法で攪拌された乳飲料を5℃にて5時間静置し、上記と同様の条件で貯蔵弾性率を測定して、同じく歪み20%の値として導かれる(単位はPa)。貯蔵弾性率の比は、ここで導かれた各貯蔵弾性率から、式(G‘b/G‘a)により算出される。
ここで貯蔵弾性率の比(G‘b/G‘a)は、0.95以上が好ましく、1以上がより好ましく、1.1以上がさらに好ましく、1.2以上が特に好ましい。
<乳飲料のレオロジー特性2>
本発明の乳飲料は、攪拌後にガラス製容器に充填し、5℃で5時間静置した後、上層から採取した液体の貯蔵弾性率(G‘c)(単位はPa)と、下層から採取した液体の貯蔵弾性率(G‘d)(単位はPa)の比(G‘c/G‘d)が、0.7以上である。この特性を満たすことで、容器内への付着の抑制が達成される。
この特性は以下の方法で測定できる。上述(レオロジー特性1)と同様の操作で、乳飲料を攪拌する。攪拌後に、ガラス製容器(直径5.5cm、高さ11.5cmの円筒容器)に200mLを充填し、5℃で5時間静置した後、上層(液面から2cm下の容器中央部)から採取した液体の貯蔵弾性率(G‘c)と、下層(底面から2cm上の容器中央部)から採取した液体の貯蔵弾性率(G‘d)を、上述の粘弾性測定と同じ方法で測定する。貯蔵弾性率の比は、上記で得られた各貯蔵弾性率から、式(G‘c/G‘d)により算出される。
ここで貯蔵弾性率の比(G‘c/G‘d)は、0.8以上が好ましく、0.9以上がさらに好ましく、0.95以上が特に好ましい。上限としては、1.2以下が好ましく、1.1以下がより好ましい。
<乳飲料のレオロジー特性3>
本発明の乳飲料は、攪拌後に、ガラス製容器(直径5.5cm、高さ11.5cmの円筒容器)に200mLを充填し、5℃で5時間静置した後、上層(液面から2cm下の容器中央部)から採取した液体の損失正接(tanδa)と、下層(底面から2cm上の容器中央部)から採取した液体の損失正接(tanδb)の比(tanδa/tanδb)が、0.90以上である。この特性を満たすことで、飲用時に吸引しやすく、芳醇な風味が達成される。0.95以上が好ましく、0.98以上がより好ましい。上限は、1.1以下が好ましく、1.05以下がより好ましい。
この特性は、上述(レオロジー特性2)と同様の操作で粘弾性を測定しつつ、損失正接(tanδ)として、当該測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み400%の値を求めることで導かれる。
本発明を下記の実施例により説明する。ただし、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
<セルロースの平均重合度>
セルロースの平均重合度は、「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)のセルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定された。サンプルは、加水分解後のサンプルを使用し、複合体とする場合には、混練工程前(多糖類添加前)のもの、すなわち複合体化前のセルロースを測定に使用した。
<セルロースの粒子形状(L/D)>
セルロース又はセルロース複合体(多糖類添加前)を1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を、前記セルロース等の濃度が0.1質量%となるように純水で希釈し、スポイトを使用し、マイカ上に1滴キャストした。エアダスターにて余剰の水分を吹き飛ばし、風乾し、サンプルを調製した。原子間力顕微鏡(装置Digital Instruments社製 Nano ScopeIV MM、スキャナーEV、測定モードTapping、プローブNCH型シリコン単結晶プローブ)で計測された画像を基に、長径(L)が2μm以下の粒子の形状から、長径(L)と短径(D)のを求め、その比(L/D)をセルロース粒子の形状として、100〜150個の粒子の平均値として算出した。
<カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)の粘度>
(1)CMC−Naの粉末を、1質量%として、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散し、水溶液を調製した。
(2)得られたに水溶液ついて、分散3時間後(25℃保存)にB形粘度計(ローター回転数60rpm)にセットして、60秒静置後に30秒間回転させて測定した。但し、ローターは、粘度に応じて、その測定に最適なものに適宜変更してよい。
<CMC−Naの置換度>
(1)CMC−Na(無水物)0.5gを精密にはかり、ろ紙に包んで磁性ルツボ中で灰化した。これを冷却した後、その全量を500mLビーカーに移し、水約250mLと、0.05M硫酸35mLを加えて30分間煮沸した。これを冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加えて、過剰の酸を0.1M水酸化カリウムで逆滴定して、次の式で算出した。
A=((af−bf1)/試料無水物(g))−アルカリ度(又は+酸度)
置換度=(162xA)/(10000−80A)
ここで、
A:試料1g中のアルカリに消費された0.05Mの硫酸の量(mL)
a:0.05M硫酸の使用量(mL)
f:0.05M硫酸の力価
b:0.1M水酸化カリウムの滴定量(mL)
f1:0.1M水酸化カリウムの力価
162:グルコースの分子量
80:CHCOONa−Hの分子量
アルカリ度(又は酸度)の測定法:試料(無水物)1gを300mLフラスコに精密に測りとり、水約200mLを加えて溶した。これに0.05M硫酸5mLを加え、10分間煮沸した後、冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加え、0.1M水酸化カリウムで滴定した(SmL)。同時に空試験を行い(BmL)、次の式で算出した。
アルカリ度=((B−S)xf)/試料無水物(g)
ここで、
f:0.1M水酸化カリウムの力価、(B−S)xfの値が(−)の時には、酸度とした。
<セルロース複合体の分散性(コロイド成分含量)>
(1)セルロース複合体を、1.0質量%の濃度で純水懸濁液とし、その500mLを1L容のガラス製ビーカー(胴内径:100mm、高さ:150mmの円筒形)に仕込んだ。
(2)次に、プロペラ式攪拌機(HEIDON新東科学(株)製、商品名「スリーワンモーターBL600型」、攪拌翼:かい十字R型(翼径φ70mm)、処理条件:回転数500rpm×30分間、処理温度:25℃)で分散させた。
(3)分散液を、遠心分離(久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」ロータータイプRA−400型、処理条件:遠心力5000G(Gは重力加速度)で10分間遠心した上澄みを採取した。
(4)さらに、この上澄みについて、12000G(上記(3)と同じ遠心分離機を使用。Gは重力加速度)で45分間遠心処理し、遠心後の上澄みに残存する固形分を測定した。
(5)この固形分から、仕込んだセルロース複合体の総量に占める浮遊成分の割合を算出し、コロイド成分量(質量%)とした。
<セルロース複合体の分散性(粗大成分含量)>
(1)セルロース複合体を、1.0質量%の濃度で純水懸濁液とし、その500mLを1L容のガラス製ビーカー(胴内径:100mm、高さ:150mmの円筒形)に仕込んだ。
(2)プロペラ式攪拌機(HEIDON新東科学(株)製、商品名「スリーワンモーターBL600型」、攪拌翼:かい十字R型(翼径φ70mm)、処理条件:回転数500rpm×30分間、処理温度:25℃)で分散させた。
(3)この分散液を、遠心分離(久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」ロータータイプRA−400型、処理条件:遠心力5000G(Gは重力加速度)で10分間遠心処理した。
(4)遠心後の沈殿に残存する固形分から、仕込んだセルロース複合体の総量に占める沈降成分の割合を算出し、粗大成分含量(質量%)とした。
<セルロース複合体の貯蔵弾性率>
(1)セルロース複合体を、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%の純水分散体を調製した。
(2)得られた水分散体を、25℃の水浴中で3日間静置した後、粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、ARES100FRTN1型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、温度:25.0℃一定、角速度:20rad/秒、ひずみ:1→794%の範囲で掃引、水分散体は微細構造を壊さないようスポイトを使用して、ゆっくりと仕込み、5分間静置した後に、Dynamic Strainモードで測定を開始する)により測定した。ここで貯蔵弾性率(G‘1)は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み20%の値として導いた。
<セルロース複合体のネットワークの形成速度>
(1)セルロース複合体を、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)を用いて純水中に分散させ、1.0質量%の純水分散体を調製した。
(2)得られた水分散体の一部について、粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、ARES100FRTN1型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、温度:25.0℃一定、角速度:20rad/秒、ひずみ:1→794%の範囲で掃引、水分散体は微細構造を壊さないようスポイトを使用して、ゆっくりと仕込み、5分間静置した後に、Dynamic Strainモードで測定を開始する)により測定した。ここで貯蔵弾性率(G‘1)は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み20%の値として導いた。
(3)次に、上述の純水分散体の別の一部につき、200mL容のガラス製ビーカー(直径5.5cm、高さ11.5cmの円筒容器)に200mL仕込み、25℃の水浴中で5時間静置した。この静置後の純水分散体を、上記と同様に粘弾性測定装置で測定した値(前記の、歪み20%の値)を貯蔵弾性率(G‘2)とした。得られた各貯蔵弾性率から、式(G‘2/G‘1)に当てはめて求めた比を、ネットワークの形成速度とした。
<乳飲料のレオロジー特性1>
(1)5℃に調温した乳飲料を、50mL容のポリプロピレン製遠沈管に30mL仕込み、その遠沈管を、シェーカー(東京理化機器製、商品名「MMS−4010型」、スプリング万能振とう台)にセットし、往復振とうモードで、20rpmで1分間処理(この操作を、レオロジー特性測定についての「攪拌」と呼ぶ。以下、同じ。)した。
(2)攪拌後の乳飲料を粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、ARES100FRTN1型、ジオメトリー:Double Wall Couette型、温度:5℃一定、角速度:20rad/秒、ひずみ:1→500%の範囲で掃引、乳飲料は微細構造を壊さないようスポイトを使用して、ゆっくりと仕込み、5分間静置した後に、Dynamic Strainモードで測定を開始する)により測定した。本発明における貯蔵弾性率(G‘a)は、上述の測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み20%の値として測定された(単位はPa)。
(3)次に、静置5時間後の貯蔵弾性率(G‘b)は、上述の方法で攪拌した乳飲料を5℃にて5時間静置し、上記と同様の条件で貯蔵弾性率を測定した(上記と同じく、歪み20%の値。単位はPa)。貯蔵弾性率の比は、ここで導かれた各貯蔵弾性率から、式(G‘b/G‘a)により算出された。
<乳飲料のレオロジー特性2>
(1)上述(レオロジー特性1)と同様の操作で、乳飲料を攪拌した。攪拌後に、ガラス製容器(直径5.5cm、高さ11.5cmの円筒容器)に200mLを充填し、5℃で5時間静置した後、上層(液面から2cm下の容器中央部)から採取した液体の貯蔵弾性率(G‘c)(上記と同じく、歪み20%の値。単位はPa)と、下層(底面から2cm上の容器中央部)から採取した液体の貯蔵弾性率(G‘d)(上記同じく、歪み20%の値。単位はPa)を、上述の粘弾性測定と同じ方法で測定して導いた。貯蔵弾性率の比は、ここで導かれた各貯蔵弾性率から、式(G‘c/G‘d)により算出した。
<乳飲料のレオロジー特性3>
(1)上述(レオロジー特性2)と同様の操作により上層と下層から採取した各液体の粘弾性を測定しつつ、その液体の損失正接(tanδ)としては、当該測定で得られた歪み−応力曲線上の、歪み400%の値を求めることで導いた。損失正接の比は、ここで得られた各液体の損失正接から、式(tanδa/tanδb)により算出した。
(実施例1)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状のセルロース(結晶セルロースとして)を作製した(平均重合度は220、平均L/Dは1.6であった)。
次に、ウェットケーキ状の結晶セルロース(以下MCC)と、A成分として市販CMC−Na(1%溶解液の粘度500mPa・s、置換度0.7〜0.8)、B成分として市販CMC−Na(1%溶解液の粘度10mPa・s、置換度0.7〜0.8)を用意し、MCC及びCMC−Na以外に、水溶性ガムとしてキサンタンガムを、また親水性物質としてデキストリンを配合し、MCC/CMC−Na(A成分+B成分)/キサンタンガム/デキストリンの質量比が70/5(CMC−Naの構成:A成分/B成分=50/50)/5/20となるように投入し、固形分45質量%となるように加水し、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)中で混練した。混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は、80Wh/kgであった。混練温度の制御は、ジャケット冷却の調整で行われ、熱伝対を用いて混練物の温度が直接測定された。当該温度は、混練を通して20〜65℃であった。
次に、この混練物に純水を加え、プロペラ攪拌機で充分混合し、固形分6%のスラリーを調製した。このスラリーを、ピストン型ホモジナイザーを用いた均質化処理(APV社製、商品名「マントンゴーリンホモジナイザー」)で17MPaにて分散し、スプレードライヤー(東京理科製 商品名SD−1000型)を使用し、フィード速度5〜10g/分で、入口温度160〜200℃、出口温度50〜70℃の範囲で乾燥させた。得られた乾燥物を、目開き500μmの篩を通過させ、本発明のセルロース複合体を結晶セルロース複合体Aとして得た。結晶セルロース複合体Aの基礎物性を、表1に記した。
(実施例2)
実施例1と同様の操作で得られたウェットケーキ状のMCC(平均重合度220、平均粒子L/D1.6)と、A成分は加えずに、B成分として市販CMC−Na(1%溶解液の粘度10mPa・s、置換度0.7〜0.8)を用意し、MCC/CMC−Na(B成分)の質量比が90/10(CMC−Naの構成:A成分/B成分=0/100)となるように投入し、固形分45質量%となるように加水し、実施例1と同様に混練した。
混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は200Wh/kgであった。混練温度は、ジャケット冷却で調節し、熱伝対を用いて、混練エネルギーが30Wh/kgまでは50℃以下に制御され、その後はジャケット冷却により混練物が冷却された。冷却時の混練物の温度は、混練を通して15℃以下であった。
次に、この混練物に純水を加え、プロペラ攪拌機で充分混合し、固形分6%のスラリーを調製した。このスラリーをピストン型ホモジナイザーを用いて均質化処理(APV社製、商品名「マントンゴーリンホモジナイザー」)で17MPaにて分散し、スプレードライヤー(東京理科製 商品名SD−1000型)を使用し、フィード速度5〜10g/分で、入口温度160〜200℃、出口温度50〜70℃の範囲で乾燥させた。得られた乾燥物を、目開き500μmの篩を通過させ、本発明のセルロース複合体を結晶セルロース複合体Bとして得た。結晶セルロース複合体Bの基礎物性を、表1に記した。
(実施例3)
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状の結晶セルロースを作製した(平均重合度は220、平均L/Dは1.6であった)。
次に、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)に、上記のウェットケーキ状の結晶セルロース(MCC)、市販CMC−Na粉末(1%溶解液の粘度620mPa・s、置換度1.3)及び30質量%濃度の塩化カルシウム水溶液を、MCC/CMC−Na/塩化カルシウムの質量比が80/20/5となるように投入し、さらに純水を加えて固形分50質量%となるように調整した。
その後、126rpmで、数時間混練し、結晶セルロース複合体の混練物を得た。混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は300Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。次に、この混練物に純水を加え、プロペラ攪拌機で充分混合し、固形分6%のスラリーを調製した。このスラリーを、ピストン型ホモジナイザーを用いて均質化処理(APV社製、商品名「マントンゴーリンホモジナイザー」)で17MPaにて分散し、スプレードライヤー(東京理科製 商品名SD−1000型)を使用し、フィード速度5〜10g/分で、入口温度160〜200℃、出口温度50〜70℃の範囲で乾燥させた。得られた乾燥物を、目開き500μmの篩を通過させ、本発明のセルロース複合体を結晶セルロース複合体Cとして得た。結晶セルロース複合体Cの基礎物性を、表1に記した。
(実施例4)
プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)に、実施例1で調製したウェットケーキ状の結晶セルロース(MCC)、市販イオータカラギーナン粉末及び30質量%濃度の塩化カルシウム水溶液を、MCC/イオータカラギーナン/塩化カルシウムの質量比が90/10/4となるように投入し、さらに純水を加えて固形分42質量%となるように調整した。
その後、126rpmで、数時間混練し、結晶セルロース複合体の混練物を得た。混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は270Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
次に、この混練物に純水を加え、72℃で、プロペラ攪拌機で充分混合し、固形分6%のスラリーを調製した。このスラリーを、ピストン型ホモジナイザーを用いて均質化処理(APV社製、商品名「マントンゴーリンホモジナイザー」)で17MPaにて分散し、スプレードライヤー(東京理科製 商品名SD−1000型)を使用し、フィード速度5〜10g/分で、入口温度160〜200℃、出口温度85〜95℃の範囲で乾燥させた。得られた乾燥物を、目開き500μmの篩を通過させ、本発明のセルロース複合体を結晶セルロース複合体Dとして得た。結晶セルロース複合体Dの基礎物性を、表1に記した。
(実施例5)
プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)に、実施例1で調製したウェットケーキ状の結晶セルロース(MCC)、市販カッパーカラギーナン粉末及び30質量%濃度の塩化カルシウム水溶液を、MCC/カッパーカラギーナン/塩化カルシウムの質量比が82/18/3となるように投入し、さらに純水を加えて固形分42質量%となるように調整した。
その後、126rpmで、数時間混練し、結晶セルロース複合体の混練物を得た。混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は230Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
次に、この混練物に純水を加え、72℃で、プロペラ攪拌機で充分混合し、固形分6%のスラリーを調製した。このスラリーに炭酸カリウムを適量加え、pHを8.0−8.5に調整し、ピストン型ホモジナイザーを用いて均質化処理(APV社製、商品名「マントンゴーリンホモジナイザー」)で17MPaにて分散し、スプレードライヤー(東京理科製 商品名SD−1000型)を使用し、フィード速度5〜10g/分で、入口温度160〜200℃、出口温度85〜95℃の範囲で乾燥させた。得られた乾燥物を、目開き500μmの篩を通過させ、本発明のセルロース複合体を結晶セルロース複合体Eとして得た。結晶セルロース複合体Eの基礎物性を、表1に記した。
(実施例6)
プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)に、実施例1で調製したウェットケーキ状の結晶セルロース(MCC)、市販HMペクチン粉末及び30質量%濃度の塩化カルシウム水溶液を、MCC/HMペクチン/塩化カルシウムの質量比が60/40/2となるように投入し、さらに純水を加えて固形分54質量%となるように調整した。
その後、126rpmで、数時間混練し、結晶セルロース複合体の混練物を得た。混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は390Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜40℃であった。
次に、この混練物に純水を加え、常温で、プロペラ攪拌機で充分混合し、固形分6%のスラリーを調製した。このスラリーに炭酸カリウムを適量加え、pHを8.0−8.5に調整し、ピストン型ホモジナイザーを用いて均質化処理(APV社製、商品名「マントンゴーリンホモジナイザー」)で17MPaにて分散し、スプレードライヤー(東京理科製 商品名SD−1000型)を使用し、フィード速度5〜10g/分で、入口温度200〜220℃、出口温度100〜120℃の範囲で乾燥させた。得られた乾燥物を、目開き500μmの篩を通過させ、本発明のセルロース複合体を結晶セルロース複合体Fとして得た。結晶セルロース複合体Fの基礎物性を、表1に記した。
(比較例1)
旭化成ケミカルズ株式会社製、結晶セルロース複合体、商品名「セオラスSC−900」(MCC/CMC−Na/キサンタンガム/デキストリン/ナタネ油=73/5/2.8/19/0.2(質量比)、平均重合度200、平均粒子L/D 1.7)を、結晶セルロース複合体Gとした。結晶セルロース複合体Gの基礎物性を、表1に記した。
(比較例2)
旭化成ケミカルズ株式会社製、結晶セルロース複合体、商品名「セオラスDX−2」(MCC/カラヤガム/デキストリン=36/4.5/59.5(質量比)平均重合度190、平均粒子L/D1.6)を結晶セルロース複合体Hとした。結晶セルロース複合体Hの基礎物性を、表1に記した。
(実施例、比較例:乳飲料1)
上記の実施例、比較例により得られたセルロース複合体A〜Hを使用し、以下の操作により乳飲料を作製し、評価を行った。全粉乳(南日本酪農協同社製、製品名「業務用全粉乳」)10g、脱脂粉乳(雪印乳業社製、製品名「業務用脱脂粉乳」)10g、ホエイ(フォンテラジャパン社製、製品名「WPC392」)10g、油脂(パーム油:不二製油社製、製品名「精製パーム油」)6g、ココア粉末20g(油分を10質量%含む:片岡物産社製、製品名「バンホーテン純ココア」)、砂糖50g、食塩0.5g及び乳化剤(モノグリセライド製剤:花王社製 製品名「S−95])1gの粉体原料を予め混合したものに前記の各セルロース複合体3.5gを加え、さらに80℃に温めたイオン交換水を加え1000gにした。その後、プロペラで攪拌(500rpm、10分間)し、ピストン型ホモジナイザーにて均質化処理(15MPa)行い、その一部は前記のレオロジー特性1〜3の測定に付した。また、残り乳飲料についてUHT殺菌(130℃、5秒)を行い、無菌室にて、500mL容の角底紙パック(PE内装、日本製紙製)に、400mLを充填し、PEフィルムで熱シール密閉し、軽量容器入り乳飲料を得た。本飲料のレオロジー特性の評価結果を表1に記した。
これを水道水で1時間冷却した後、容器を上下に10回軽く振盪した後、5℃の雰囲気にて2週間静置保存し、目視にて付着物及び外観を観察するとともに官能評価を行った。評価方法は以下の通りであり、得られた結果は表1に示した。
<容器内部への付着>
各種飲料(製造法は、以下の実施例、比較例を参照)において、5℃で、2週間、密封静置保存した後に、開封し、内容物を10秒以内で廃棄し、液滴を切った後、内部の付着状態を確認した。付着物は、液層中央から底部に掛けて多く発生。ベージュ色であり、乳成分と、カカオ成分、油脂が凝集したものであった。
◎:付着なし
○:極僅かに付着あり。
△:全体的に薄く付着あり。
×:全体的に濃く付着あり。
<芳醇な風味>
上記の付着性の評価と別途仕込んだ各種飲料(製造法は、以下の実施例、比較例を参照)を5℃で2週間静置後に、30〜55歳のパネラー16名で、内径2mm、長さ15cmのプラスチック製ストローを用い、200mLを飲用して官能評価を行った。風味の芳醇さについて、製造直後のココアと比較して風味が同等であったものを3点、若干劣るものを2点、明らかに劣るものを1点として、平均点を算出した。
◎:2.5点以上
○:2.0点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2.0点未満
×:1.0点以上、1.5点未満
<飲料の凝集(上部から)>
上記の付着性の評価と別途仕込んだ各種飲料(製造法は、以下の実施例、比較例を参照)において、5℃で、2週間、密封静置保存した後に、震盪を加えず静置状態を維持したまま開封し、上面より凝集状態を目視で確認した。判定基準は以下の通り。
◎:凝集なし
○:極僅かに凝集あり。
△:全体的に薄く凝集あり。
×:全体的に濃く凝集あり。
Figure 2017042166
本発明は、容器詰めされた乳飲料の製造において有用であるので、食品製造業に好適に利用できる。

Claims (7)

  1. 乳由来の成分を0.5質量%以上及びセルロースを0.05質量%以上含み、攪拌直後の貯蔵弾性率(G‘a)と、5℃にて静置5時間後の貯蔵弾性率(G‘b)の比(G‘b/G‘a)が0.85以上である乳飲料。
  2. 乳由来の成分を0.5質量%以上、セルロースを0.05質量%以上及び二価の塩を0.15mmol/L以上含む乳飲料。
  3. 前記乳飲料が、油脂を0.1質量%以上含む請求項1または2に記載の乳飲料。
  4. 前記乳飲料が、植物性油脂を0.1質量%以上含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の乳飲料。
  5. 前記乳飲料が、カカオ由来の成分を0.1質量%以上含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳飲料。
  6. 前記乳飲料が、120℃以上、60秒以内の加熱処理を施された後、容器に充填された乳飲料である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の乳飲料。
  7. 接液部が樹脂又は紙である容器に充填された、請求項1〜6のいずれか一項に記載の乳飲料。
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