JPWO2018123207A1 - ナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

フッ素原子が導入されたナフトビスカルコゲナジアゾール化合物を製造するための中間体として利用可能なナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体を提供することを目的として、本発明のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体は、式(I):【化1】(式中、A1及びA2は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり;X1及びX2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸ジアミノナフタレンアミド基、ボロン酸N−メチルイミノ二酢酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基である)で表される。

Description

本発明は、フッ素原子を導入したナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体及びその製造方法に関する。
ナフトビスカルコゲナジアゾールを始めとする種々の電子受容性骨格は、有機半導体高分子材料のアクセプタユニット、及び低分子材料の基本骨格としての応用研究が進められている。このような半導体特性を示す有機材料を含む薄膜は、有機薄膜太陽電池、光センサ等の光電変換素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機薄膜トランジスタへの応用が期待されている。ナフトビスカルコゲナジアゾール化合物は、高い電子受容能を反映して、良好なn型有機電界効果トランジスタ特性を示すことが報告されている(特許文献1、非特許文献1)。また、ナフトビスカルコゲナジアゾール骨格をアクセプタ部として導入してなるドナー−アクセプタ型高分子は、極めて高い光電変換効率を示すことが報告されている(特許文献2,3、非特許文献2)。さらに、特許文献4には、ナフトビスチアジアゾール骨格の5位及び10位に塩素原子又はアルキル基が導入された反復単位から構成される有機半導体デバイス用高分子が記載されており、特許文献5には、フッ素原子が導入されたp型有機半導体材料が記載されている。
国際公開公報WO2014/178415 国際公開公報WO2013/015298 国際公開公報WO2015/029432 米国特許第8,735,536号公報 特開2014−53383号
Macromolecules, 48, 576 (2015) J. Am. Chem. Soc. 135, 8834 (2013)
ナフトビスカルコゲナジアゾール骨格の電子受容能をさらに向上させ、有機半導体材料の特性の向上や用途拡大を実現するには、ナフトビスカルコゲナジアゾール骨格の5位及び10位を強力な電子求引性の置換基であるフッ素原子で修飾することが有効であると考えられる。しかしながら、特許文献4には当該修飾がなされた化合物の開示は無い。また、特許文献5には当該修飾がなされた化合物の開示はあるものの、同じナフトビスカルコゲナジアゾール骨格を有する中間体を経て当該化合物が製造されていることを示す記載は一切無い。従って、現状では、電子受容性を高めた多様なナフトビスカルコゲナジアゾール化合物を系統的に探索合成することが困難な状況にある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、電子受容性を向上させる強力な電子求引性の置換基であるフッ素原子が導入されたナフトビスカルコゲナジアゾール化合物を製造するための、汎用性の高い製造用中間体として利用可能なナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体及びその製造方法を提供することにある。
即ち、本発明に係るナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体は、式(I):
Figure 2018123207
(式中、A及びAは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり;X及びXは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸ジアミノナフタレンアミド基、ボロン酸N−メチルイミノ二酢酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基である)
で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体に関する。
上記式(I)中のA及びAは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子であることが好ましい。また、上記式(I)中のA及びAは、共に、硫黄原子又はセレン原子であることが好ましい。さらに、上記式(I)中のA及びAが共に硫黄原子であるナフトビスチアジアゾール誘導体であることがさらに好ましい。
上記式(I)中のX及びXは、共に、ハロゲン原子であることが好ましい。上記式(I)中のX及びXで表されるハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましく、臭素原子又はヨウ素原子がより好ましい。
また、上記式(I)中のX及びXは、共に、ボロン酸エステル基であることが好ましい。上記式(I)中のX及びXで表されるボロン酸エステル基の具体例としては、ボロン酸ジメチルエステル基、ボロン酸ジエチルエステル基、ボロン酸ジプロピルエステル基、ボロン酸ジイソプロピルエステル基、ボロン酸ジブチルエステル基、ボロン酸ジヘキシルエステル基等のボロン酸ジアルキルエステル基;ボロン酸ジシクロヘキシルエステル基等のボロン酸ジシクロアルキルエステル基;ボロン酸ピナコールエステル基、ボロン酸ネオペンチルグリコールエステル基、ボロン酸ヘキシレングリコールエステル基、ボロン酸カテコールエステル基、ボロン酸エチレングリコールエステル基、ボロン酸プロピレングリコールエステル基、ボロン酸1,3−プロパンジオールエステル基、ボロン酸1,3−ブタンジオールエステル基等のボロン酸環状エステル基;等が挙げられるが、ボロン酸ジアルキルエステル基又はボロン酸環状エステル基であることが好ましい。
式(I)で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の具体例としては、例えば、下記構造式1〜60で示される化合物が挙げられる。下記構造式1〜60中のRは、アルキル基を表し、Meは、メチル基を表す。
Figure 2018123207
Figure 2018123207
Figure 2018123207
Figure 2018123207
Figure 2018123207
本明細書において、特に言及しない限り、アルキル基又はアルキル部分は、直鎖状又は分枝状の何れであってもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル等のC−C10アルキルが挙げられる。
また、本発明に係る製造方法は、上述のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法であって、テトラアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩と、硫黄化剤、セレン化剤又はテルル化剤とを反応させる工程を含む。
また、本発明に係る製造方法は、上述のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法であって、ジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を酸化し、次いで還元する工程を含む。
また、本発明に係る製造方法は、上述のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法であって、テトラアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩と硫黄化剤、セレン化剤又はテルル化剤とを反応させる工程と、次いで、得られたナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体とハロゲン化剤又はホウ素化剤とを反応させる工程と、を含む。
また、本発明に係る製造方法は、上述のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法であって、ジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を酸化し、次いで還元する工程と、得られたナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体とハロゲン化剤又はホウ素化剤とを反応させる工程と、を含む。
また、本発明に係る製造法では、ジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を還元して、テトラアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩を製造する工程を含むことが好ましい。
また、本発明に係る製造法では、ジアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩をニトロ化反応させて、ジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を製造する工程を含むことが好ましい。
また、本発明に係る製造法では、ジフルオロナフタレンをアミノ化反応させて、ジアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩を製造する工程を含むことが好ましい。
また、本発明に係る製造法では、ジアミノナフタレンをフッ素化反応させて、ジフルオロナフタレンを製造する工程を含むことが好ましい。
本発明によれば、電子受容性に優れた有機半導体材料の中間体として有用な、フッ素原子が導入されたナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明の好適な実施形態に関して詳細に説明する。
本発明に係るナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体には、ハロゲン原子やホウ素原子を有する化合物が包含されており、鈴木カップリング反応、Stilleカップリング反応、根岸カップリング反応、薗頭カップリング反応、又は酸化的カップリング反応等の有機金属触媒反応に適用可能である。このことから、本発明に係るナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体は、当該反応によって多様な拡張π電子系化合物への変換が可能である。例えば、アンゲバンテ ケミー インターナショナル エディション(Angewandte Chemie International Edition),第51巻,5062-5085頁(2012年)に記載されている方法を参考にして、本発明に係るナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体から、フッ素原子が導入された種々のナフトビスカルコゲナジアゾール化合物を合成することができる。
従って、本発明に係るナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体を基にして、種々の有機半導体材料等に有用な、フッ素原子が導入されたナフトビスカルコゲナジアゾール骨格を有する低分子化合物や高分子材料の研究、開発、実用化を図ることが可能となる。
上記式(I)で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体は、以下に示す製法[A]〜[U]に記載の方法に従い、出発物質(原料)に応じて、これら製法を適宜組み合わせて行うことによって合成することができる。
以下に示す製法[A]〜[U]中の各化合物の塩としては、当該技術分野で許容されるあらゆる塩が含まれる。当該塩の具体例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;酒石酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機カルボン酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸との塩;等が挙げられる。
製法[A]
製法[A]は、下記式(II)、式(III)又は式(IV)の化合物から、式(I-I)又は式(I-II)のナフトビスオキサジアゾール誘導体を製造する方法であり、下記第1工程、第2工程及び第3工程からなる。
Figure 2018123207
製法[A]の第1工程では、式(II)、式(III)又は式(IV)の化合物と、酸化剤とを反応(酸化反応)させることにより、式(V)、式(VI)又は式(VII)の化合物を製造する。なお、式(II)〜(IV)の各化合物は塩であってもよい。
酸化剤としては、当該反応が進行する酸化剤であれば特に限定はなく、例えば、酸素ガス、オゾンガス、酸化クロム、過マンガン酸カリウム、過酸化水素、m−クロロ過安息香酸、四酸化ルテニウム等が挙げられる。酸化剤は、上記式(II)、式(III)又は式(IV)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[A]の第1工程の反応は、通常、塩基及び溶媒の存在下で行うことができ、必要に応じて、相間移動触媒の存在下で行うことができる。
塩基としては、当該反応が進行する塩基であれば特に限定はなく、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第3級ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン等の有機アミン類;等が挙げられる。塩基は、式(II)、式(III)又は式(IV)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の極性非プロトン性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;水;塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸等の有機酸;及びこれら溶媒の混合溶媒;等から1種又は2種以上(混合溶媒)を適宜選択することができる。また、これら溶媒に加えて、上記塩基の中で、有機アミン類を溶媒として使用することもできる。
相間移動触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド等の第4級アンモニウム塩;18−crown−6等のクラウンエーテル;アルキルトリブチルホスホニウムブロミド等のホスホニウム塩;等が挙げられる。
第1工程の反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[A]の第2工程では、式(V)、式(VI)又は式(VII)の化合物と還元剤とを反応(還元反応)させることにより、式(I-I)の化合物を製造する。なお、第1工程の酸化によって式(II)、式(III)又は式(IV)の化合物から直接、式(I-I)の化合物が得られる場合には、第2工程を省略することができる。
還元剤としては、当該反応が進行する還元剤であれば特に限定はなく、例えば、ヒドロキシルアミン塩酸塩、リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、トリフェニルホスフィン、硫黄、エチレングリコール等が挙げられる。還元剤は、式(V)、式(VI)又は式(VII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[A]の第2工程は、通常、塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基としては、当該反応が進行する塩基であれば特に限定はなく、例えば第1工程で用いる塩基と同様の塩基が挙げられる。塩基は、式(II)、式(III)又は式(IV)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
第2工程の反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[A]の第3工程では、式(I-I)の化合物と、ハロゲン化剤又はホウ素化剤とを反応(ハロゲン化反応又はホウ素化反応)させることにより、式(I-II)の化合物を製造する。
ハロゲン化剤としては、当該反応が進行するハロゲン化剤であれば特に限定はなく、例えば、N−クロロスクシンイミド、臭素、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等が挙げられる。ハロゲン化剤は、式(I-I)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
ホウ素化剤としては、当該反応が進行するホウ素化剤であれば特に限定はなく、例えば、ビス(ピナコラト)ジボロン、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、ビス(へキシレングリコラト)ジボロン、ビス(カテコラト)ジボロン等が挙げられる。ホウ素化剤は、式(I-I)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
ホウ素化においては、必要に応じて、有機金属触媒、有機配位子及び塩基の存在下で反応を行うことができる。
有機金属触媒としては、例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム等のパラジウム触媒;ビス(1,5−シクロオクタジエン)ジ−μ−メトキシジイリジウム等のイリジウム触媒;が挙げられる。有機金属触媒は、式(I-I)の化合物1当量に対して、0.001〜5当量、好ましくは0.01〜1当量の割合で使用することができる。
有機配位子としては、例えば、4,4’−ジ−tert−ブチル−2,2’−ジピリジル等が挙げられる。有機配位子は、式(I-I)の化合物1当量に対して、0.001〜5当量、好ましくは0.01〜1当量の割合で使用することができる。
塩基としては、当該反応が進行する塩基であれば特に限定はなく、例えば第1工程又は第2工程で用いる塩基と同様の塩基が挙げられる。塩基は、式(I-I)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
第3工程の反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[B]
製法[B]は、式(VIII)の化合物又はその塩から、式(I-III)又は式(I-IV)のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体を製造する方法であり、下記第1工程及び第2工程からなる。
Figure 2018123207
製法[B]の第1工程では、式(VIII)の化合物と、硫黄化剤、セレン化剤又はテルル化剤とを反応(硫黄化反応、セレン化反応又はテルル化反応)させることにより、式(I-III)の化合物を製造する。
硫黄化剤としては、当該反応が進行する硫黄化剤であれば特に限定はなく、例えば、硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄、塩化チオニル、塩化スルフリル、2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド等が挙げられる。硫黄化剤としては、上記式(VIII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
セレン化剤としては、当該反応が進行するセレン化剤であれば特に限定はなく、例えば、四塩化セレン、六塩化セレン、四臭化セレン、四ヨウ化セレン、亜セレン酸、二酸化セレン、オキシ塩化セレン等が挙げられる。セレン化剤は、式(VIII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
テルル化剤としては、当該反応が進行するテルル化剤であれば特に限定はなく、例えば、四塩化テルル、四臭化テルル、四ヨウ化テルル、一酸化テルル、二酸化テルル、三酸化テルル、亜テルル酸等が挙げられる。テルル化剤は、式(VIII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[B]の第1工程の反応は、通常、塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。
塩基としては、当該反応が進行する塩基であれば特に限定はなく、例えば製法[A]で用いる塩基と同様の塩基が挙げられる。塩基は、式(VIII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
第1工程の反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[B]の第2工程では、式(I-III)の化合物と、ハロゲン化剤又はホウ素化剤とを反応(ハロゲン化反応又はホウ素化反応)させることにより、式(I-IV)の化合物を製造する。
ハロゲン化剤又はホウ素化剤としては、当該反応が進行するハロゲン化剤又はホウ素化剤であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第3工程で用いるハロゲン化剤又はホウ素化剤と同様のハロゲン化剤又はホウ素化剤が挙げられる。ハロゲン化剤は、式(I-III)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
ホウ素化は、必要に応じて、有機金属触媒、有機配位子及び塩基の存在下で行うことができる。
有機金属触媒及び有機配位子としては、当該反応が進行する有機金属触媒及び有機配位子であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第3工程で用いる有機金属触媒及び有機配位子と同様の有機金属触媒及び有機配位子が挙げられる。有機金属触媒は、式(I-III)の化合物1当量に対して、0.001〜5当量、好ましくは0.01〜1当量の割合で使用することができる。有機配位子は、式(I-III)の化合物1当量に対して、0.001〜5当量、好ましくは0.01〜1当量の割合で使用することができる。
塩基としては、当該反応が進行する塩基であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる塩基と同様の塩基が挙げられる。塩基は、式(I-III)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第2工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
第2工程の反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[C]
製法[C]は、式(IX)の化合物から、式(II)、式(III)、式(IV)又は式(VIII)の化合物を製造する方法であり、下記工程からなる。
Figure 2018123207
(式(IX)中、U,V,W,X,Y,Zは、元々水素原子が結合している位置以外でナフタレン環に結合する6つの置換基を示し、これら置換基は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメタンスルホニル基(OTf)、B(OR)(OR)基、ボロン酸ジアミノナフタレンアミド基、ボロン酸N−メチルイミノ二酢酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基を表し、上記R及びRは、各々独立して、水素原子又はC−C10アルキル基であり、(OR)及び(OR)は一緒になって環を形成していてもよい;ナフタレン環における上記U,V,W,X,Y,Zの置換位置は特定されない)
即ち、式(IX)の化合物から、式(II)、式(III)、式(IV)又は式(VIII)の化合物を製造する工程は、ニトロ化、ハロゲン化、ハロゲン置換、ホウ素化、ヒドロキシル化、アミノ化、保護又は脱保護のうちの少なくとも1つの工程を含むが、特に限定されず、出発物質である式(IX)の化合物の構造に応じて、これら工程のうちから必要な工程を適宜選択して組み合わせて行うことによって構成される。必要な工程の選択および組み合わせ(選択した工程を行う順序)は、当業者であれば、出発物質である式(IX)の化合物の構造と、目的物質である式(II)、式(III)、式(IV)又は式(VIII)の化合物の構造とから、容易に理解することができる。
式(IX)の化合物としては、例えば、市販の化合物である下記構造式で示される化合物、又はこれら化合物の塩が挙げられる。
Figure 2018123207
Figure 2018123207
Figure 2018123207
Figure 2018123207
Figure 2018123207
Figure 2018123207
次に、式(II)、式(III)、式(IV)又は式(VIII)の化合物を製造する工程の一部である上記各工程の一例を、以下に製法[D]〜製法[S]として示す。
<ニトロ化の工程>
製法[D]
製法[D]では、式(IX-I)の化合物とニトロ化剤とを反応(ニトロ化反応)させることにより、式(X-I)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-I)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つは水素原子であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちで水素原子となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-I)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはニトロ基であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
従って、例えば、式(IX-I)中のY及びZが水素原子である場合には、式(IX-I)中の置換基の部分は「−(U)(V)(W)(X)(H)」で表され、また、U,V,W及びXが水素原子である場合には、置換基の部分は「−(Y)(Z)(H)」で表される。但し、ナフタレン環における上記U,V,W,X,Y,Zの置換位置は特定されないので、具体的には、式(IX-I)中のY及びZが水素原子である構造とは、元々結合している2つの水素原子を除いた、ナフタレン環に結合する6つの置換基のうち、2つが水素原子であり、4つが水素原子以外の置換基であることを表す。また、U,V,W及びXが水素原子である構造とは、元々結合している2つの水素原子を除いた、ナフタレン環に結合する6つの置換基のうち、4つが水素原子であり、2つが水素原子以外の置換基であることを表す。さらに、例えば、式(X-I)中のY及びZがニトロ基である構造とは、元々結合している2つの水素原子を除いた、ナフタレン環に結合する6つの置換基のうち、2つがニトロ基であり、4つがニトロ基以外の置換基(n’<nである場合はニトロ化されなかった水素原子も含まれる)であることを表す。
そして、式(II)、式(III)、式(IV)又は式(VIII)の化合物を製造する工程の一部である各工程において、反応させる対象となる置換基(例えば製法[D]では水素原子)以外の置換基は、副反応を生じないように、当該反応に関与しない置換基から選択される。また、選択される置換基は、反応の結果生じる置換基と異なる置換基であることが好ましい。
以下の説明では、特に断りの無い限り、U,V,W,X,Y,Zを含む、後述する他の式においても、「−(U)(V)(W)(X)(Y)(Z)(○○)」,「−(U)(V)(W)(X)(Y)(Z)(○○)n’」との記載は、同様の構造を表現していることとする。また、反応させる対象となる置換基以外の置換基は、当該反応に関与しない置換基から選択されることとする。
ニトロ化剤としては、当該反応が進行するニトロ化剤であれば特に限定はなく、例えば、硝酸カリウム/濃硝酸又は発煙硝酸/濃硫酸又は発煙硝酸/無水酢酸の組み合わせからなるニトロ化材等が挙げられる。ニトロ化剤は、式(IX-I)の化合物1当量に対して、1〜20当量となる量の割合で使用することができる。
製法[D]の反応は、必要に応じて、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、−30〜100℃、好ましくは0〜50℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[E]
製法[E]では、式(IX-II)の化合物と酸化剤とを反応(酸化反応)させることにより、式(X-II)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-II)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはアミノ基であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちでアミノ基となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-II)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはニトロ基であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
酸化剤としては、当該反応が進行する酸化剤であれば特に限定はなく、例えば、酸素ガス、オゾンガス、過酸化水素、m−クロロ過安息香酸、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、ジメチルジオキシラン等が挙げられる。酸化剤は、式(IX-II)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[E]の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
また、製法[E]の反応は、必要に応じて、触媒の存在下で行うことができる。触媒としては、当該反応が進行する触媒であれば特に限定はなく、例えば、メチルトリオキソレニウム、ジルコニウムtert−ブトキシド等が挙げられる。触媒は、式(IX-II)の化合物1当量に対して、0.0001〜5当量の割合で使用することができる。
反応温度は、通常、0〜120℃、好ましくは0〜50℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
<ハロゲン化及びハロゲン置換の工程>
製法[F]
製法[F]では、式(IX-III)の化合物とハロゲン化剤とを反応(ハロゲン化反応)させることにより、式(X-III)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-III)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つは水素原子であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちで水素原子となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-III)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはハロゲン原子(Hal)であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
ハロゲン化剤としては、当該反応が進行するハロゲン化剤であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第3工程で用いるハロゲン化剤と同様のハロゲン化剤が挙げられる。ハロゲン化剤は、式(IX-III)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[F]の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[G]
製法[G]では、式(IX-IV)の化合物と無機亜硝酸塩又は亜硝酸エステルとを反応(ジアゾ化反応)させてジアゾニウム化合物とした後、当該ジアゾニウム化合物とハロゲン化剤と反応(ハロゲン化反応)させることにより、式(X-IV)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-IV)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはアミノ基であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちでアミノ基となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-IV)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはハロゲン原子(Hal)であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
無機亜硝酸塩としては、当該反応が進行する無機亜硝酸塩であれば特に限定はなく、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等が挙げられる。亜硝酸エステルとしては、当該反応が進行する亜硝酸エステルであれば特に限定はなく、例えば、亜硝酸tert−ブチル、亜硝酸イソアミル等が挙げられる。無機亜硝酸塩又は亜硝酸エステルは、式(IX-IV)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
ハロゲン化剤としては、当該反応が進行するハロゲン化剤であれば特に限定はなく、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素;ヨウ化カリウム等のハロゲン化カリウム;フッ化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)等のハロゲン化銅(I)塩;フッ化銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)等のハロゲン化銅(II)塩;フッ化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等のハロゲン化水素酸;テトラフルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸銀;等が挙げられる。ハロゲン化剤は、式(IX-IV)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[G]の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
また、製法[G]のジアゾ化の反応は、必要に応じて、銅触媒、酸又は塩基の存在下で行うことができる。
銅触媒としては、当該反応が進行する銅触媒であれば特に限定はなく、例えば、上記ハロゲン化銅(I)塩、上記ハロゲン化銅(II)塩、酸化銅(I)、硫酸銅(II)五水和物等が挙げられる。銅触媒は、式(IX-IV)の化合物1当量に対して、0.01〜5当量の割合で使用することができる。
酸としては、当該反応が進行する酸であれば特に限定はなく、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸、メタンスルホン酸等の有機酸;が挙げられる。酸は、式(IX-IV)の化合物1当量に対して、1〜20当量となる量の割合で使用することができる。
塩基としては、当該反応が進行する塩基であれば特に限定はなく、例えば、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;等が挙げられる。塩基は、式(IX-IV)の化合物1当量に対して、1〜20当量の割合で使用することができる。
製法[G]の反応温度は、通常、−20〜200℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[H]
製法[H]では、式(IX-V)の化合物とハロゲン置換剤とを反応(ハロゲン置換反応)させることにより、式(X-V)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-V)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つは塩素原子であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちで塩素原子となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-IV)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはフッ素原子であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
ハロゲン置換剤としては、例えば、フッ化セシウム等が挙げられる。ハロゲン置換剤は、式(IX-V)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[H]の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[G]で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、−20〜200℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[I]
製法[I]では、式(IX-VI)の化合物とハロゲン化剤とを反応(ハロゲン化反応)させることにより、式(X-VI)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-VI)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちでヒドロキシ基となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-VI)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはフッ素原子であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
ハロゲン化剤としては、当該反応が進行するハロゲン化剤であれば特に限定はなく、例えば、フッ化セシウム等が挙げられる。また、市販のハロゲン化剤(SIGMA-ALDRICH社製;商品名:PhenoFluor)を用いることもできる。ハロゲン化剤は、式(IX-VI)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[I]の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[J]
製法[J]では、式(IX-VII)の化合物とハロゲン化剤とを反応(ハロゲン化反応)させることにより、式(X-VII)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-VII)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはトリフルオロメタンスルホニル基(OTf)であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちでトリフルオロメタンスルホニル基となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-VII)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはフッ素原子であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
ハロゲン化剤としては、当該反応が進行するハロゲン化剤であれば特に限定はなく、例えば、フッ化セシウム等が挙げられる。ハロゲン化剤は、式(IX-VII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[J]の反応は、通常、溶媒、金属触媒及び配位子の存在下で行うことができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
金属触媒としては、当該反応が進行する金属触媒であれば特に限定はなく、例えば、パラジウム(π−シンナミル)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム等のパラジウム触媒等が挙げられる。
配位子としては、例えば、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−3,6−ジメトキシ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル等が挙げられる。また,市販の配位子(SIGMA-ALDRICH社製;商品名:AdBrettPhos)を用いることもできる。
金属触媒及び配位子は、式(IX-VII)の化合物1当量に対して、各々0.01〜5当量、好ましくは0.05〜1当量の割合で使用することができる。
反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[K]
製法[K]では、式(IX-VIII)の化合物とハロゲン化剤とを反応(ハロゲン化反応)させることにより、式(X-VIII)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-VIII)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはB(OR)(OR)基であり、R及びRは、各々独立して、水素原子又はC−C10アルキル基であり、(OR)及び(OR)は一緒になって環を形成していてもよく、nは、U,V,W,X,Y,ZのうちでB(OR)(OR)基となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-VIII)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはフッ素原子であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
上記B(OR)(OR)基の具体例としては、ボロン酸基、ボロン酸ジメチルエステル基、ボロン酸ジエチルエステル基、ボロン酸ジプロピルエステル基、ボロン酸ジイソプロピルエステル基、ボロン酸ジブチルエステル基、ボロン酸ジヘキシルエステル基、ボロン酸ピナコールエステル基、ボロン酸ネオペンチルグリコールエステル基、ボロン酸ヘキシレングリコールエステル基、ボロン酸カテコールエステル基、ボロン酸エチレングリコールエステル基、ボロン酸プロピレングリコールエステル基、ボロン酸1,3−プロパンジオールエステル基、ボロン酸1,3−ブタンジオールエステル基等が挙げられる。
ハロゲン化剤としては、当該反応が進行するハロゲン化剤であれば特に限定はなく、例えば、1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4‐ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボラート)、N−フルオロベンゼンスルホンイミド、1−フルオロピリジニウムトリフラート、2,6−ジシクロ−1−フルオロピリジニウムトリフラート、1−フルオロ−2,4,6−トリメチルヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。ハロゲン化剤は、式(IX-VIII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[K]の反応は、通常、溶媒又は金属塩の存在下で行うことができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
金属塩としては、当該反応が進行する金属塩であれば特に限定はなく、例えば、フッ化銀(I)、銅(I)トリフラート、ビス(ピバロイルニトリル)銅(I)トリフラート等が挙げられる。金属塩は、式(IX-VIII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
<ホウ素化の工程>
製法[L]
製法[L]では、式(IX-IX)の化合物と有機リチウムとを反応(リチオ化反応)させてアリールリチウム化合物とした後、当該アリールリチウム化合物とホウ素化剤と反応(ホウ素化反応)させることにより、式(X-IX)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-IX)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つは水素原子であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちで水素原子となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-IX)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはB(OR)(OR)基であり、R及びRは、各々独立して、水素原子又はC−C10アルキル基であり、(OR)及び(OR)は一緒になって環を形成していてもよく、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
上記B(OR)(OR)基の具体例としては、製法[K]で例示した置換基が挙げられる。
有機リチウムとしては、当該反応が進行する有機リチウムであれば特に限定はなく、例えば、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等が挙げられる。有機リチウムは、式(IX-IX)の化合物1当量に対して、1〜20当量の割合で使用することができる。
ホウ素化剤としては、当該反応が進行するホウ素化剤であれば特に限定はなく、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリイソプロピル、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン等が挙げられる。ホウ素化剤は、式(IX-IX)の化合物1当量に対して、1〜20当量の割合で使用することができる。
製法[L]の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、−80〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[M]
製法[M]では、式(IX-X)の化合物とホウ素化剤とを反応(ホウ素化反応)させることにより、式(X-X)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-X)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つは水素原子であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちで水素原子となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-X)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはB(OR)(OR)基であり、R及びRは、各々独立して、水素原子又はC−C10アルキル基であり、(OR)及び(OR)は一緒になって環を形成していてもよく、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
上記B(OR)(OR)基の具体例としては、製法[K]で例示した置換基が挙げられる。
ホウ素化剤としては、当該反応が進行するホウ素化剤であれば特に限定はなく、例えば、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン等が挙げられる。ホウ素化剤は、式(IX-X)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[M]の反応は、通常、溶媒、有機金属触媒、有機配位子及び塩基の存在下で行うことができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
有機金属触媒としては、当該反応が進行する有機金属触媒であれば特に限定はなく、例えば製法[B]の第2工程で用いる有機金属触媒と同様の有機金属触媒が挙げられる。有機金属触媒は、式(IX-X)の化合物1当量に対して、0.001〜5当量、好ましくは0.01〜1当量の割合で使用することができる。
有機配位子としては、当該反応が進行する有機配位子であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第3工程で用いる有機配位子と同様の有機配位子が挙げられる。有機配位子は、式(IX-X)の化合物1当量に対して、0.001〜5当量、好ましくは0.01〜1当量の割合で使用することができる。
塩基としては、当該反応が進行する塩基であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる塩基と同様の塩基が挙げられる。塩基は、式(IX-X)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
反応温度は、通常、0℃〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[N]
製法[N]では、式(IX-XI)の化合物とホウ素化剤とを反応(ホウ素化反応)させることにより、式(X-XI)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-XI)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはハロゲン原子(Hal)であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちでハロゲン原子となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-XI)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはB(OR)(OR)基であり、R及びRは、各々独立して、水素原子又はC−C10アルキル基であり、(OR)及び(OR)は一緒になって環を形成していてもよく、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
上記B(OR)(OR)基の具体例としては、製法[K]で例示した置換基が挙げられる。
ホウ素化剤は、当該反応が進行するホウ素化剤であれば特に限定はなく、例えば、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン等が挙げられる。ホウ素化剤は、式(IX-XI)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[N]の反応は、通常、溶媒、有機金属触媒、有機配位子及び塩基の存在下で行うことができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
有機金属触媒としては、当該反応が進行する有機金属触媒であれば特に限定はなく、例えば製法[B]の第2工程で用いる有機金属触媒と同様の有機金属触媒が挙げられる。有機金属触媒は、式(IX-XI)の化合物1当量に対して、0.001〜5当量、好ましくは0.01〜1当量の割合で使用することができる。
有機配位子としては、当該反応が進行する有機配位子であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第3工程で用いる有機配位子と同様の有機配位子が挙げられる。有機配位子は、式(IX-XI)の化合物1当量に対して、0.001〜5当量、好ましくは0.01〜1当量の割合で使用することができる。
塩基としては、当該反応が進行する塩基であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる塩基と同様の塩基が挙げられる。塩基は、式(IX-XI)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
反応温度は、通常、0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
<ヒドロキシル化の工程、並びに、保護及び脱保護の工程>
製法[O]
製法[O]では、式(IX-XII)の化合物とヒドロキシル化剤とを反応(ヒドロキシル化反応)させることにより、式(X-XII)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-XII)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはハロゲン原子(Hal)であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちでハロゲン原子(Hal)となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-XII)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
ヒドロキシル化剤は、当該反応が進行するヒドロキシル化剤であれば特に限定はなく、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等の金属水酸化物;水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムブロミド、水酸化テトラブチルアンモニウムヨージド;等が挙げられる。ヒドロキシル化剤は、式(IX-XII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[O]の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができ、必要に応じて、銅化合物、有機配位子及び相間移動触媒の存在下で行うことができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
銅化合物としては、当該反応が進行する銅化合物であれば特に限定はなく、例えば、フッ化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)等のハロゲン化銅(I)塩;フッ化銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)等のハロゲン化銅(II)塩;酸化銅(I)、酸化銅(II);硫酸銅(II)五水和物;等が挙げられる。銅化合物は、式(IX-XII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
有機配位子としては、当該反応が進行する有機配位子であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第3工程で用いる有機配位子と同様の有機配位子が挙げられる。有機配位子は、式(IX-XII)の化合物1当量に対して、0.001〜5当量、好ましくは0.01〜1当量の割合で使用することができる。
相間移動触媒としては、当該反応が進行する相間移動触媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる相間移動触媒と同様の相間移動触媒が挙げられる。相間移動触媒は、式(IX-XII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
導入したヒドロキシ基に対しては、必要に応じて、保護基の導入及び保護基の開裂(脱保護反応)を行うことができる。ヒドロキシ基の保護に適切な保護基及び当該保護基の導入方法、並びに、保護基の開裂方法は、当業者にとって周知である(例えば、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、2006年、ジョン ウィリイ アンド サンズ社(John Wiley & Sons, INC.)を参照)。
上記ヒドロキシ基の保護基には、通常のヒドロキシ基の保護基として使用することができる全ての基が含まれ、具体的には、例えば、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、2006年、ジョン ウィリイ アンド サンズ社(John Wiley & Sons, INC.)に記載されている基等が挙げられる。保護基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、C−Cアルコキシ基及びニトロ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいベンジル基(例えば、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基又はp−クロロベンジル基等が挙げられる);ハロゲン原子及びアリール基から選ばれる1個から3個の置換基で置換されていてもよいC−Cアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基等が挙げられる);アリル基;ジアルキルアミノアルキリデン基(例えば、N,N−ジメチルアミノメチレン基又はN,N−ジエチルアミノメチレン基等が挙げられる);ホルミル基;1個から3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC−Cアルカノイル基(例えば、アセチル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基又はピバロイル基等が挙げられる);ベンゾイル基;及び、C−Cアルキル基及びアリール基から選ばれる互いに同一又は異なる3個の置換基を有するシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基又はtert−ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる);等が挙げられる。
<アミノ化の工程、並びに、保護及び脱保護の工程>
製法[P]
製法[P]では、式(IX-XIII)の化合物とアミノ化剤とを反応(アミノ化反応)させることにより、式(X-XIII)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-XIII)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはハロゲン原子(Hal)であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちでハロゲン原子(Hal)となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-XIII)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはアミノ基であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
アミノ化剤としては、当該反応が進行するアミノ化剤であれば特に限定はなく、例えば、アンモニア、アンモニア水、水酸化アンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アミノ化剤は、式(IX-XIII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[P]の反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができ、必要に応じて、銅化合物、有機配位子及び相間移動触媒の存在下で行うことができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
銅化合物としては、当該反応が進行する銅化合物であれば特に限定はなく、例えば製法[O]で用いる銅化合物と同様の銅化合物が挙げられる。銅化合物は、式(IX-XIII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
相間移動触媒としては、当該反応が進行する相間移動触媒であれば特に限定はなく、例えば製法[O]で用いる相間移動触媒と同様の相間移動触媒が挙げられる。相間移動触媒は、式(IX-XIII)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
反応温度は、通常、0〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[Q]
製法[Q]では、式(IX-XIV)の化合物とイミノ化剤とを反応(イミノ化反応)させてイミンとした後、当該イミンを加水分解反応させることにより、式(X-XIV)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-XIV)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはハロゲン原子(Hal)であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちでハロゲン原子(Hal)となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-XIV)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはアミノ基であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
イミノ化剤としては、当該反応が進行するイミノ化剤であれば特に限定はなく、例えば、ベンゾフェノン等が挙げられる。イミノ化剤は、式(IX-XIV)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[Q]のイミノ化の反応は、通常、溶媒、塩基及び有機金属触媒の存在下で反応させることができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
塩基としては、当該反応が進行する塩基であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる塩基と同様の塩基が挙げられる。塩基は、式(IX-XIV)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
有機金属触媒としては、当該反応が進行する有機金属触媒であれば特に限定はなく、例えば製法[B]の第2工程で用いる有機金属触媒と同様の有機金属触媒が挙げられる。有機金属触媒は、式(IX-XIV)の化合物1当量に対して、0.001〜5当量、好ましくは0.01〜1当量の割合で使用することができる。
製法[Q]の加水分解反応は、通常、溶媒及び酸の存在下で行うことができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
酸としては、当該反応が進行する酸であれば特に限定はなく、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;が挙げられる。
反応温度は、通常、0℃〜200℃、好ましくは0〜120℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[R]
製法[R]では、式(IX-XV)の化合物と金属又は金属塩とを反応(還元反応)させることにより、式(X-XV)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-XV)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはニトロ基であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちでニトロ基となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-XV)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはアミノ基であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
金属としては、当該反応が進行する金属であれば特に限定はなく、例えば、鉄、亜鉛、スズ等が挙げられる。金属は、式(IX-XV)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
金属塩としては、当該反応が進行する金属塩であれば特に限定はなく、例えば、塩化スズ等が挙げられる。塩基は、式(IX-XV)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[R]の反応は、通常、酸の存在下で行うことができ、必要に応じて、溶媒の存在下で行うことができる。
酸としては、当該反応が進行する酸であれば特に限定はなく、例えば製法[Q]の加水分解反応で用いる酸と同様の酸が挙げられる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;水;等から1種又は2種以上(混合溶媒)を適宜選択することができる。
反応温度は、通常、−20℃〜200℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[S]
製法[S]では、式(IX-XVI)の化合物と水素ガス又はヒドラジンとを反応(接触還元反応)させることにより、式(X-XVI)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
(式(IX-XVI)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはニトロ基であり、nは、U,V,W,X,Y,Zのうちでニトロ基となっている置換基の個数を表し、1≦n≦6を満足する整数である;式(X-XVI)中、U,V,W,X,Y,Zは前述の通りであって、これら置換基のうちの少なくとも1つはアミノ基であり、n’は、1≦n’≦nを満足する整数である)
水素ガスを還元剤として用いる場合における当該水素ガスの圧力に特に制限はなく、必要に応じて加圧してもよい。水素ガスの圧力は、通常、0.1(常圧)〜1MPa、好ましくは0.1〜0.5MPaの範囲で適宜選択すればよい。
ヒドラジンを還元剤として用いる場合には、式(IX-XVI)の化合物1当量に対して、通常、1〜25当量の割合で使用することができる。
製法[S]の反応は、通常、金属触媒と溶媒との存在下で行うことができる。
金属触媒としては、当該反応が進行する金属触媒であれば特に限定はなく、例えば、パラジウムブラック、パラジウム担持炭素等のパラジウム触媒;白金担持炭素、酸化白金(IV)水和物等の白金触媒;ラネーニッケル等のニッケル触媒;ルテニウム担持炭素等のルテニウム触媒;ロジウム担持炭素等のロジウム触媒;オスミウム担持炭素等のオスミウム触媒;等が挙げられる。金属触媒は、式(IX-XVI)の化合物1当量に対して、通常、0.0001〜5当量の割合で使用することができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、20〜100℃、好ましくは40〜80℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
導入したアミノ基に対しては、必要に応じて、保護基の導入及び保護基の開裂(脱保護反応)を行うことができる。アミノ基の保護に適切な保護基及び当該保護基の導入方法、並びに、保護基の開裂方法は、当業者にとって周知である(例えば、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、2006年、ジョン ウィリイ アンド サンズ社(John Wiley & Sons, INC.)を参照)。
上記アミノ基の保護基には、通常のアミノ基の保護基として使用することができる全ての基が含まれ、具体的には、例えば、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、2006年、ジョン ウィリイ アンド サンズ社(John Wiley & Sons, INC.)に記載されている基等が挙げられる。保護基の具体例としては、例えば製法[O]で用いる保護基と同様の保護基を使用することができる。
製法[C]に包含される前述の製法[D]〜製法[S]を適宜選択して組み合わせて行うことにより、出発物質である式(IX)の化合物から、目的物質である式(II)、式(III)、式(IV)又は式(VIII)の化合物を製造することができる。なお、式(VIII)の化合物は、式(V)、式(VI)、式(VII)又は式(I-I)の化合物と還元剤とを反応(還元反応)させることによっても製造することができる。還元剤としては、当該反応が進行する還元剤であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第2工程で用いる還元剤と同様の還元剤が挙げられる。還元剤は、式(V)、式(VI)、式(VII)又は式(I-I)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[T]
製法[T]では、式(V)、式(VI)、式(VII)又は式(I-I)の化合物と金属又は金属塩とを反応(還元反応)させることにより、式(VIII)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
金属としては、当該反応が進行する金属であれば特に限定はなく、例えば、製法[R]で用いる金属と同様の金属が挙げられる。金属は、式(V)、式(VI)、式(VII)又は式(I-I)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
金属塩としては、当該反応が進行する金属塩であれば特に限定はなく、例えば、塩化スズ等が挙げられる。金属塩は、式(V)、式(VI)、式(VII)又は式(I-I)の化合物1当量に対して、1〜20当量、好ましくは1〜5当量の割合で使用することができる。
製法[T]の反応は、通常、酸の存在下で行うことができ、必要に応じて、溶媒の存在下で行うことができる。
酸としては、当該反応が進行する酸であれば特に限定はなく、例えば製法[Q]の加水分解反応で用いる酸と同様の酸が挙げられる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[R]で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、−20〜200℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
製法[U]
製法[U]では、式(V)、式(VI)、式(VII)又は式(I-I)の化合物と水素ガス又はヒドラジンとを反応(接触還元反応)させることにより、式(VIII)の化合物を製造する。
Figure 2018123207
水素ガスを還元剤として用いる場合における当該水素ガスの圧力に特に制限はなく、必要に応じて加圧してもよい。水素ガスの圧力は、通常、0.1(常圧)〜1MPa、好ましくは0.1〜0.5MPaの範囲で適宜選択すればよい。
ヒドラジンを還元剤として用いる場合には、式(V)、式(VI)、式(VII)又は式(I-I)の化合物1当量に対して、通常、1〜25当量の割合で使用することができる。
製法[U]の反応は、通常、金属触媒と溶媒との存在下で行うことができる。
金属触媒としては、当該反応が進行する金属触媒であれば特に限定はなく、例えば製法[S]で用いる金属触媒と同様の金属触媒が挙げられる。金属触媒は、式(V)、式(VI)、式(VII)又は式(I-I)の化合物1当量に対して、通常、0.0001〜5当量の割合で使用することができる。
溶媒は、当該反応が進行する溶媒であれば特に限定はなく、例えば製法[A]の第1工程で用いる溶媒と同様の溶媒を使用することができる。
反応温度は、通常、20〜100℃である。反応時間は、通常、1〜48時間である。
[まとめ]
前述の製法[A]〜製法[U]を適宜選択して組み合わせて行うことにより、例えば式(IX)の化合物等の種々の出発物質(原料)から、最終の目的物質である式(I)で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体を製造することができる。具体的には、製法[C]に包含される製法[D]〜製法[S]を適宜選択して組み合わせて行うことにより、式(IX)の化合物等の種々の出発物質から、式(II)、式(III)、式(IV)又は式(VIII)の化合物を製造した後、製法[A],製法[B],製法[T],製法[U]を適宜選択して組み合わせて行うことにより、式(I)で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体を製造することができる。
具体的に次のステップを行って、ナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体を製造するのが好ましい。
(1)ジアミノナフタレンをフッ素化反応させて、ジフルオロナフタレンを製造する。
(2)ジフルオロナフタレンをアミノ化反応させて、ジアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩を製造する。
(3)ジアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩をニトロ化反応させて、ジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を製造する。
(4)ジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を還元して、テトラアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩を製造する。
(5)テトラアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩と硫黄化剤、セレン化剤又はテルル化剤とを反応させて、式(I)で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体(X及びXは水素原子である)を製造する。
(6)(5)のステップで得られたナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体とハロゲン化剤又はホウ素化剤とを反応させて、式(I)で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体(X及びXは前述の通りであり、ただし水素原子を除く)を製造する。
また、別の方法として、具体的に次のステップを行って、式(I)で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体(A及びAは酸素原子である)を製造するのが好ましい。
(7)(3)のステップで得られたジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を酸化し、次いで還元して、式(I)で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体(X及びXは水素原子であり、A及びAは酸素原子である)を製造する。
(8)(7)のステップで得られたナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体とハロゲン化剤又はホウ素化剤とを反応させて、式(I)で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体(X及びXは前述の通りであり、ただし水素原子を除く、A及びAは酸素原子である)を製造する。
出発物質である例えば式(IX)の化合物として具体的にどのような構造の化合物を選択するか、選択した化合物にアミノ基、ニトロ基及びフルオロ基等を導入するのに必要な反応をどのように選択するか、選択した反応をどのように組み合わせて行うか(合成経路)等は、当業者であれば、本明細書の記載から、容易に考慮することができ、また理解することができる。それゆえ、前述の製法[A]〜製法[U]を適宜選択して組み合わせて行われる、式(I)で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法もまた、本発明の範囲内であることは明らかである。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるべきではない。なお、本発明において「室温」とは、25±15℃を指す。
<物性の測定条件等>
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL(日本電子株式会社)製の商品名「JMM−ECS400」、JEOL(日本電子株式会社)製の商品名「JNM−ECA600」、JEOL(日本電子株式会社)製の商品名「ECX(500MHz)」、又はブルカー・バイオスピン株式会社製の商品名「AVANCEIII700」を用いて測定した。ケミカルシフトは、百万分率(ppm)で表す。内部標準(0ppm)には、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。結合定数(J)は、ヘルツで表され、略号s、d、t、q、m及びbrは、各々、一重線(singlet)、二重線(doublet)、三重線(triplet)、四重線(quartet)、多重線(multiplet)、及び広幅線(broad)を表す。
質量分析(MS)は、株式会社島津製作所製の商品名「GCMS−QP5050A」を用い、直接試料導入(DI)法によって測定した。
実施例で用いた全ての化学物質及びカラムクロマトグラフィー分離におけるシリカゲルは、試薬級であり、和光純薬工業株式会社、東京化成工業株式会社、関東化学株式会社、ナカライテスク株式会社、又はシグマアルドリッチジャパン株式会社より購入した。
〔実施例1〕
5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾールの合成
下記反応式に示すように、ニトロ化、ハロゲン化、ホウ素化、ヒドロキシル化又はアミノ化等の前述の製法を適宜選択して組み合わせて行うことにより、市販のナフタレンから式(IX)の化合物を製造した後、前述の製法[A]〜製法[U]を適宜選択して組み合わせて行うことにより、式(IX)の化合物から式(VIII)で表される化合物である1,2,5,6−テトラアミノ−4,8−ジフルオロナフタレンを得た。
Figure 2018123207
次に、100mLナス型フラスコに、得られた1,2,5,6−テトラアミノ−4,8−ジフルオロナフタレン(174mg)、ピリジン(18mL)、及び塩化チオニル(1.12g)を入れ、90℃で2時間撹拌した。その後、反応液を減圧下で乾燥して固体を得た。得られた固体にメチルアルコールを加えて濾取した後、濾取した固体をメチルアルコールで洗浄した。洗浄後の固体を乾燥して、褐色で固体の目的物(130mg,99%)を得た。反応式を以下に示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.08−8.03(m,2H)。19F−NMR(565MHz,CDCl):δ=−107.71。
上記測定結果から、目的物が5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾールであることを確認した。
〔実施例2〕
5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾールの合成
(1,5−ジフルオロナフタレンの合成)
500mLナス型フラスコに、1,5−ジアミノナフタレン(7.5g)、及び水(200mL)を入れ、0℃に冷却後濃硫酸(12.6mL)を入れた。その後、0℃で亜硝酸(8.21g)の水溶液(20mL)を滴下し、滴下終了後0℃で1時間撹拌した。その後、室温で1時間撹拌した。その後、0℃に冷却しHBF(38mL)を滴下し、滴下終了後0℃で1時間撹拌した。析出物を濾取し、水及びメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥して固体を得た。500mLナス型フラスコに、得られた固体(17.6g)、及びクロロベンゼン150mLを入れ、3時間加熱還流した。その後、0℃に冷却し反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後溶媒を減圧下で留去した。得られた反応混合物を、ヘキサンを移動層とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、1,5−ジフルオロナフタレンを白色固体で得た(3.048g,収率39%)。反応式を以下に示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=7.88(d,J=8.4Hz,1H),7.49−7.44(m,1H),7.21(dd,J=7.8Hz,11Hz,1H)。
(1,5−ジブロモ−4,8−ジフルオロナフタレンの合成)
200mLナス型フラスコに、1,5−ジフルオロナフタレン(3.048g)、及びトリフルオロ酢酸(25mL)を入れた後、N−ブロモスクシンイミド(7.939g)を加え70℃で16時間撹拌した。その後、0℃に冷却し反応液に水を加え、得られた析出物を濾取し、水及びメタノールで洗浄した。その後減圧下で乾燥し、1,5−ジブロモ−4,8−ジフルオロナフタレンを淡褐色固体で得た(5.321g,収率89%)。反応式を以下に示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=7.88(dd,J=4.2Hz,8.6Hz,2H),7.12(dd,J=8.6Hz,12.6Hz,2H)。
(1,5−ジアミノ−4,8−ジフルオロナフタレン塩酸塩の合成)
300mLナス型フラスコに、1,5−ジブロモ−4,8−ジフルオロナフタレン(5.00g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(802mg)、rac−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)1,1’−ビナフチル(483mg)、ナトリウムtert−ブトキシド(5.96g)、ベンゾフェノンイミン(802mg)、及びトルエン(80mL)を入れてフラスコ内を窒素置換し、110℃で16時間撹拌した。析出物をセライト濾過で取り除き、酢酸エチルで洗浄し、濾液を減圧下で留去した。得られた反応混合物を、ヘキサン:酢酸エチル(1:1)溶媒を移動層とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製した。300mLナス型フラスコに得られた反応生成物とTHF(115mL)を入れて、0℃で2規定の塩酸(23.5mL)を加えて、0℃で1時間撹拌した。析出物を濾取し、テトラヒドロフランで洗浄した。その後減圧下で乾燥し、1,5−ジアミノ−4,8−ジフルオロナフタレン塩酸塩を淡褐色固体で得た(2.00g,収率48%)。反応式を以下に示す。式中、nは0〜4の任意の数字を示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=7.30−7.25(m,4H)。
(N,N’−(4,8−ジフルオロナフタレン−1,5−ジイル)ビス(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)の合成)
300mLナス型フラスコに、1,5−ジアミノ−4,8−ジフルオロナフタレン塩酸塩(1.95g)、及びジクロロメタン(85mL)を入れ、0℃に冷却した。0℃でトリエチルアミン(2.95g)、無水トリフルオロ酢酸(7.67g)を加え、室温で終夜撹拌した。得られた反応混合物を減圧下で乾燥した。析出物にメタノールを加え濾取し、メタノールで洗浄した。その後減圧下で乾燥し、N,N’−(4,8−ジフルオロナフタレン−1,5−ジイル)ビス(2,2,2−トリフルオロアセトアミドを白色固体で得た(2.410g,収率86%)。反応式を以下に示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,Acetone−d):δ=10.43(br, 2H),7.84−7.79(m, 2H),7.50(dd,J=8.4Hz,13.6Hz,2H)。
(N,N’−(4,8−ジフルオロ−2,6−ジニトロナフタレン−1,5−ジイル)ビス(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)の合成)
50mLナス型フラスコに、N,N’−(4,8−ジフルオロナフタレン−1,5−ジイル)ビス(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)(500mg)、及び濃硫酸(10mL)を入れ、−45℃に冷却した。その後、硝酸(2.5mL)を加え、−45℃で5分間撹拌した。氷水に得られた反応混合物を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後溶媒を減圧下で留去した。析出した固体にジエチルエーテルを加え濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した。その後減圧下で乾燥し、N,N’−(4,8−ジフルオロ−2,6−ジニトロナフタレン−1,5−ジイル)ビス(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)を淡褐色固体で得た(313mg,収率51%)。反応式を以下に示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,Acetone−d):δ=11.00(br,2H),8.31(d,J=12.8Hz,2H)。
(1,5−ジアミノ−4,8−ジフルオロ−2,6−ジニトロナフタレン塩酸塩の合成)
300mLナス型フラスコに、N,N’−(4,8−ジフルオロ−2,6−ジニトロナフタレン−1,5−ジイル)ビス(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)(1.340g)、メタノール(110mL)、及び濃塩酸(55mL)を入れ、90℃で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。析出した固体を濾取し、濃塩酸とジクロロメタンで洗浄した。その後減圧下で乾燥し、1,5−ジアミノ−4,8−ジフルオロ−2,6−ジニトロナフタレン塩酸塩を暗褐色固体で得た(679mg,収率68%)。反応式を以下に示す。式中、nは0〜4の任意の数字を示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=8.15(br,4H),7.92(d,J=16.4Hz,2H)。
(1,2,5,6−テトラアミノ−4,8−ジフルオロナフタレン塩酸塩の合成)
300mLナス型フラスコに、1,5−ジアミノ−4,8−ジフルオロ−2,6−ジニトロナフタレン塩酸塩(797mg)、濃塩酸(80mL)、及び塩化スズ(II)(8.46g)を入れ、70℃で1時間撹拌した。析出した固体を濾取し、濃塩酸とジクロロメタンで洗浄した。その後、減圧下で乾燥し、1,2,5,6−テトラアミノ−4,8−ジフルオロナフタレン塩酸塩を褐色固体で得た(718mg,収率87%)。反応式を以下に示す。式中、m及びnは、それぞれ独立に、0〜4の任意の数字を示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=6.94(d,J=16.8Hz,2H)。
(5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾールの合成)
100mLナス型フラスコに、得られた1,2,5,6−テトラアミノ−4,8−ジフルオロナフタレン塩酸塩(174mg)、ピリジン(18mL)、及び塩化チオニル(1.12g)を入れ、90℃で2時間撹拌した。その後、反応液を減圧下で乾燥して固体を得た。得られた固体にメチルアルコールを加えて濾取した後、濾取した固体をメチルアルコールで洗浄した。洗浄後の固体を乾燥して、淡褐色で5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール(130mg,99%)を得た。反応式を以下に示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=8.08−8.03(m,2H)。19F−NMR(565MHz,CDCl):δ=−107.71。
上記測定結果から、目的物が5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾールであることを確認した。
〔実施例3〕
5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]セレナジアゾールの合成
実施例1と同様にして、1,2,5,6−テトラアミノ−4,8−ジフルオロナフタレンを得た。
次に、50mLナス型フラスコに、得られた1,2,5,6−テトラアミノ−4,8−ジフルオロナフタレン塩酸塩(90mg)、ピリジン(9mL)、及びオキシ塩化セレン(806mg)を入れ、90℃で2時間撹拌した。その後、反応液を減圧下で乾燥して固体を得た。得られた固体にメチルアルコールを加えて濾取した後、濾取した固体をメチルアルコールで洗浄した。洗浄後の固体を乾燥して、褐色で固体の目的物(110mg,99%)を得た。反応式を以下に示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CFCOD):δ=8.08(d,J=12.0Hz,2H)。MS(DI)m/z=376。
上記測定結果から、目的物が5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]セレナジアゾールであることを確認した。
〔実施例4〕
4,9−ジブロモ−5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾールの合成
20mLナス型フラスコに、実施例1で得られた5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール(30mg)、濃硫酸(3.2g)、及びN−ブロモスクシンイミド(77mg)を入れ、60℃で2時間撹拌した後、さらにN−ブロモスクシンイミド(77mg)を入れ、60℃で2時間撹拌した。その後、反応液を氷水に空けてクエンチし、クロロホルムで抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、当該抽出液を減圧下で濃縮した。得られた固体にメチルアルコールを加えて濾取した後、濾取した固体をメチルアルコールで洗浄した。洗浄後の固体を乾燥して、黄色で固体の目的物(24mg,51%)を得た。反応式を以下に示す。
Figure 2018123207
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
19F−NMR(470MHz,CDCl):δ=−99.9(s)。融点(m.p.)=270〜272℃。
〔実施例5〕
4,9−ジブロモ−5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾールの合成
実施例1で得られた5,10−ジフルオロナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール(90mg,0.32mmol)、トリフルオロ酢酸(20mL)、及びN−ブロモスクシンイミド(77mg)を反応容器に入れ、70℃で20時間撹拌した。その後、反応溶液に水を加え、析出してきた黄色固体を濾過し、メタノールで洗浄し乾燥して目的物を得た(100mg,72%)。
得られた目的物の物性を測定した。測定結果を以下に示す。
19F−NMR(470MHz,CDCl):δ=−99.9(s)。融点(m.p.)=270〜272℃。
本発明によれば、電子受容性に優れた有機半導体材料の中間体として有用な、フッ素原子が導入されたナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体を提供することができる。ナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体は、電子受容性を向上させる強力な電子求引性の置換基であるフッ素原子が導入されたナフトビスカルコゲナジアゾール化合物を製造するための、汎用性の高い製造用中間体として利用可能である。

Claims (15)

  1. 式(I):
    Figure 2018123207
    (式中、A及びAは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり;X及びXは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸ジアミノナフタレンアミド基、ボロン酸N−メチルイミノ二酢酸エステル基、トリフルオロボレート塩基又はトリオールボレート塩基である)
    で表されるナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体。
  2. 及びAが、各々独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子である請求項1に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体。
  3. 及びAが、共に、硫黄原子又はセレン原子である請求項1に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体。
  4. 及びXが、共に、ハロゲン原子である請求項1〜3の何れか一項に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体。
  5. ハロゲン原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である請求項4に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体。
  6. 及びXが、共に、ボロン酸エステル基である請求項1〜3の何れか一項に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体。
  7. ボロン酸エステル基が、ボロン酸ジアルキルエステル基又はボロン酸環状エステル基である請求項6に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体。
  8. テトラアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩と、硫黄化剤、セレン化剤又はテルル化剤とを反応させる工程を含む、請求項1に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法。
  9. ジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を酸化し、次いで還元する工程を含む、請求項1に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法。
  10. テトラアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩と硫黄化剤、セレン化剤又はテルル化剤とを反応させる工程と、次いで、得られたナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体とハロゲン化剤又はホウ素化剤とを反応させる工程と、を含む、請求項1に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法。
  11. ジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を酸化し、次いで還元する工程と、得られたナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体とハロゲン化剤又はホウ素化剤とを反応させる工程と、を含む、請求項1に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法。
  12. ジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を還元して、テトラアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩を製造する工程を含む、請求項8又は10に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法。
  13. ジアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩をニトロ化反応させて、ジアミノ−ジフルオロ−ジニトロナフタレン又はその塩酸塩を製造する工程を含む、請求項9、11又は12に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法。
  14. ジフルオロナフタレンをアミノ化反応させて、ジアミノ−ジフルオロナフタレン又はその塩酸塩を製造する工程を含む、請求項13に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法。
  15. ジアミノナフタレンをフッ素化反応させて、ジフルオロナフタレンを製造する工程を含む、請求項14に記載のナフトビスカルコゲナジアゾール誘導体の製造方法。
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