JP6616244B2 - 新規なヒドロキシフェニルボロン酸エステルとその製造方法、およびヒドロキシビフェニル化合物の製造法 - Google Patents
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この鈴木カップリング反応において、ヒドロキシフェニルボロン酸エステル化合物をハロゲン化ベンゼンまたは擬ハロゲン化ベンゼンと反応させるとヒドロキシビフェニル化合物が得られる。ヒドロキシビフェニル化合物は医農薬および電子材料分野で利用される化合物の中間体として有用である。
ヒドロキシフェニルボロン酸エステルの製造法としては、ブロモフェノールとジボロン化合物とをパラジウム触媒存在下で反応させることにより合成できる(特許文献3)。しかし、ジボロン化合物は高価であり、パラジウムは通常生成物から触媒を取り除くことが困難であるという問題がある。また、p-ブロモフェノールのヒドロキシル基をtert-ブチルジメチルシリル基で保護した後、グリニヤール試薬を調製し、4−(4, 4, 5, 5−テトラメチル−1, 3, 2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノールを合成できることが知られている。しかし、脱保護の際の収率が31.8%と低く、保護に用いるtert-ブチルジメチルシリルクロライドは高価であり、工業的には価格的に採用しづらいという問題点がある(非特許文献2)。
また、当該化合物を利用することにより、医農薬および電子材料分野で利用される化合
物の中間体として有用なヒドロキシビフェニル化合物およびその化合物を効率よく得られる製造法を提供することも課題とする。
また、そのヒドロキシフェニルボロン酸エステルとハロゲン化ベンゼンまたは擬ハロゲン化ベンゼンを鈴木カップリング反応させることにより、医農薬および電子材料分野の中間体として有用なヒドロキシビフェニル化合物の製造法を提供することができる。
ピルブチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられる。
本発明のヒドロキシフェニルボロン酸エステルは、式(1)
式(1)で表されるヒドロキシフェニルボロン酸エステルとして特に好ましくは4−(4, 4, 6−トリメチル−1, 3, 2−ジオキサボリナン−2−イル)フェノールが挙げられる。
本発明の三級アルコキシフェニルボロン酸エステルは、式(2)
ーシャリーブチル基、n−Pen:ノルマルペンチル基、n−Hex:ノルマルヘキシル基、n−Dec:ノルマルデカニル基、H:水素原子、−:単結合
本発明の式(1)で表されるヒドロキシフェニルボロン酸エステルは、式(2)で表される三級アルコキシフェニルボロン酸エステルを酸で処理することにより製造できる。
酸の使用量は、前記式(2)で表される三級アルコキシフェニルボロン酸エステルに対して0.1〜10.0倍モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.1〜5.0倍モルの範囲である。
式(1)で表されるヒドロキシフェニルボロン酸エステルの製造の際の反応時間は、反応温度、反応基質、反応スケール等により一定しないが、通常1〜48時間の範囲である。
前記式(2)で表される三級アルコキシフェニルボロン酸エステルは、式(4)で表される三級アルコキシフェニルマグネシウムハライドと式(3)で表されるボロン酸エステルを反応させることにより製造できる。
られる。
なお、式(4)で表される三級アルコキシフェニルマグネシウムハライド、公知の方法もしくは市販品を使用することができる。
式(2)で表される三級アルコキシフェニルボロン酸エステルの製造の際の反応時間は、反応温度、反応基質、反応スケール等により一定しないが、通常1〜24時間の範囲である。
式(6)で表されるヒドロキシビフェニル化合物は、前記式(1)で表されるヒドロキシフェニルボロン酸エステルと式(5)で表されるハロゲン化ベンゼンまたは擬ハロゲン化ベンゼンを鈴木カップリング反応させることにより製造できる。
(式中、R5、R6、R7およびR8は同一または異なって、水素原子またはC1〜C10アルキル基を示す。Aはメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、または単結合を示す。X1は反応活性化基を示す。Arは置換されていてもよいフェニル基を示す。)
1l容量の4つ口フラスコに2−メチルペンタン−2, 4−ジオール(118.2g、1.0mol)を加え、還流下トリメチルボレート(135.5g、1.3mol)を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1.5時間撹拌した。反応終了後、ディーンスターク装置を用いてメタノールを留出させた。反応液を減圧濃縮し、無色油状の標記化合物(収量153.1g、収率96.1%)得た。
1HNMRスペクトル(CDCl3) σ:4.26−4.22(1H、m)、3.48(3H、s)、1.75−1.70(1H、m)、1.47−1.41(1H、m)、1.28−1.22(9H、m).
窒素置換した500ml容量の4つ口フラスコに削り状の金属マグネシウム24g(1mol)と無水テトラヒドロフラン30mlを加え、さらに臭化エチル約2mlを加えて撹拌し、発泡による反応を確認した。次いでp-tert-ブトキシクロロベンゼン73.8g(0.4mol)を、170mlの無水テトラヒドロフランおよびトルエン80mlに溶解し、これを還流温度79℃で5.5時間を要して滴下した。さらに2時間同温度で撹拌を続けて、p-tert-ブトキシフェニルマグシウムクロライドの溶液(0.4mol)を調製した。
融点:70−72℃
1HNMRスペクトル(CDCl3) δ:7.73−7.69(2H、m)、6.97−
6.93(2H、m)、4.34−4.29(1H、m)、1.86−1.81(1H、m)、1.59−1.52(1H、m)、1.35−1.31(18H、m).
300ml容量の4つ口フラスコに2−(4−tert−ブトキシフェニル)−4, 4, 6−トリメチル−1, 3, 2−ジオキサボリナン(63.7g、0.23mol)と無水テトラヒドロフラン65mlを加え、5℃に冷却し、濃塩酸48gを滴下した。滴下終了後、室温で24時間撹拌した。水50ml、トルエン50mlを加えて一回抽出した。有機層を水50mlで4回洗浄したのち、減圧濃縮した。析出した結晶をヘプタンを用いて洗浄し、結晶を分取し、白色結晶の標記化合物(収量41.5g、収率82%)を得た。
融点:104−107℃
1HNMRスペクトル(CDCl3) σ:7.71−7.68(2H、m)、6.79−6.76(2H、m)、4.78(1H、s)、4.33−4.28(1H、m)、1.86−1.81(1H、m)、1.59−1.52(1H、m)、1.35−1.30(9H、m).
窒素置換した500ml容量の4つ口フラスコに削り状の金属マグネシウム24g(1mol)と無水テトラヒドロフラン30mlを加え、さらに臭化エチル約2mlを加えて撹拌し、発泡による反応を確認した。次いでp-tert-アミロキシクロロベンゼン79.4g(0.4mol)を、170mlの無水テトラヒドロフランおよびトルエン80mlに溶解し、これを還流温度79℃で6.5時間を要して滴下した。さらに1時間同温度で撹拌を続けて、p-tert-アミロキシフェニルマグシウムクロライドの溶液(0.4mol)を調製した。
1HNMRスペクトル(CDCl3) σ:7.72−7.69(2H、m)、6.95−6.92(2H、m)、4.36−4.26(1H、m)、1.86−1.81(1H、m)、1.70−1.64(2H、m)、1.59−1.56(1H、m)、1.35−1.31(9H、m)、1.25(6H、s)、1.01−0.97(3H、m).
200ml容量の4つ口フラスコに2−(4−tert−アミロキシフェニル)−4, 4, 6−トリメチル−1, 3, 2−ジオキサボリナン(5.8g、0.02mol)と無水テトラヒドロフラン5mlを加え、5℃に冷却し、濃塩酸4、17gを滴下した。滴下終了後、室温で3.5時間撹拌した。水50ml、トルエン50mlを加えて一回抽出した。有機層を水40mlで4回洗浄したのち、減圧濃縮した。析出した結晶をヘキサン、トルエンを用いて洗浄し、結晶を分取し、白色結晶の標記化合物(収量2.46g、収率55.9%)を得た。
不活性ガス雰囲気下、4−(4, 4, 6−トリメチル−1, 3, 2−ジオキサボリナン−2−イル)フェノール(1.1g、 5mmol)、4−ブロモニトロベンゼン(1.01g、5mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.29g、0.25mmol)、2規定の炭酸ナトリウム水溶液4ml、トルエン4mlおよびTHF2mlを80℃にて5時間撹拌した。反応終了後、水、トルエンを用いてセライトろ過し、ろ液を水40mlにて3回洗浄した。有機層を減圧濃縮した。析出した結晶をヘキサン、トルエンにて洗浄し、黄褐色結晶を0.71g得た。GC分析の結果、標記化合物の純度は95.4%であった。(収率62.7%)
1HNMRスペクトル(アセトンd6) σ:8.26−8.23(2H、m)、7.86−7.84(2H、m)、7.64−7.62(2H、m)、6.97−6.95(2H、m).
4−(4, 4, 6−トリメチル−1, 3, 2−ジオキサボリナン−2−イル)フェノールの代わりに、4−(4, 4, 5, 5−テトラメチル−1, 3, 2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノール(CASNo.269409−70−3)を用いる以外は実施例5と同条件にて反応を行った結果、結晶を0.6g得た。GC分析の結果、標記化合物の純度は88.0%であった。(収率48.8%)
4−(4, 4, 6−トリメチル−1, 3, 2−ジオキサボリナン−2−イル)フェノールの代わりに、4−(1, 3, 2−ジオキサボリナン−2−イル)フェノール(CASNo.1640035−73−9)を用いる以外は実施例5と同条件にて反応を行った結果、結晶を0.93g得た。GC分析の結果、標記化合物の純度は9.6%であった。(収率8.3%)
このように、実施例5における本発明化合物を利用した製造方法は比較例1および2に比べ、高収率かつ高純度でヒドロキシビフェニル化合物を得ることができる。
不活性ガス雰囲気下、4−(4, 4, 6−トリメチル−1, 3, 2−ジオキサボリナン−2−イル)フェノール(1.65g、 7.5mmol)、2−クロロベンゾトリフルオリド(0.9g、5mmol)、ビス[4−(N, N−ジメチルアミノ)フェニル]ジ−tert-ブチルホスフィンパラジウムジクロリド(3.5mg、0.005mmol)、炭酸ナトリウム(1.06g、10mmol)、1, 2−ジメトキシエタン6mlおよび水2mlを100℃にて4時間撹拌した。得られた反応混合物のLC分析の結果、目的とする4−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]フェノールを収率96.7%で得た。
1HNMRスペクトル(CDCl3) σ:7.73−7.71(1H、m)、7.53−7.50(1H、m)、7.45−7.40(1H、m)、7.32−7.29(1H、m)、7.21−7.18(2H、m)、6.87−6.83(2H、m)、4.85(1H、s).
不活性ガス雰囲気下、4−(4, 4, 6−トリメチル−1, 3, 2−ジオキサボリナン−2−イル)フェノール(1.65g、 7.5mmol)、2−クロロ−m−キシレン(0.7g、5mmol)、ビス[4−(N, N−ジメチルアミノ)フェニル]ジ−tert-ブチルホスフィンパラジウムジクロリド(3.5mg、0.005mmol)、炭酸ナトリウム(1.06g、10mmol)、1, 2−ジメトキシエタン6mlおよび水2mlを100℃にて5時間撹拌した。得られた反応混合物のGC分析の結果、目的とする4−(2, 6−ジメチルフェニル)フェノールを収率95.0%で得た。
このように、実施例6および7における本発明化合物を利用した製造方法は高い収率でヒドロキシビフェニル化合物を合成することができる。
不活性ガス雰囲気下、4−(4, 4, 6−トリメチル−1, 3, 2−ジオキサボリナン−2−イル)フェノール(1.65g、 7.5mmol)、p-tert-ブトキシクロロベンゼン(0.92g、5mmol)、ビス[4−(N, N−ジメチルアミノ)フェニル]ジ−tert-ブチルホスフィンパラジウムジクロリド(18mg、0.025mmol)、炭酸ナトリウム(1.06g、10mmol)、1, 2−ジメトキシエタン6mlおよび水2mlを100℃にて5時間撹拌した。LC分析の結果、目的とする白色結晶である4−(4−tert−ブトキシフェニル)フェノールを収率97.5%で得た。
融点:115−118℃
1HNMRスペクトル(CDCl3) σ:7.45−7.40(4H、m)、7.03−6.90(2H、m)、6.89−6.83(2H、m)、4.76(1H、s)、1.36(9H、s).
このように、実施例8における本発明化合物を利用した製造方法は高い収率で非対称な4−ヒドロキシ−4’−アルコキシビフェニル化合物を合成することができる。
Claims (5)
- 式(1)
で表されるヒドロキシフェニルボロン酸エステル。 - 4−(4, 4, 6−トリメチル−1, 3, 2−ジオキサボリナン−2−イル)フェノールである、請求項1に記載のヒドロキシフェニルボロン酸エステル。
- 式(2)
- 下記式(1)
下記式(5)
活性基を示す。)で表されるアリールハロゲン化物または擬ハロゲン化物を鈴木カップリング反応させることを特徴とする、下記式(6)
- 前記ヒドロキシビフェニル化合物が、
式(7)
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