JPWO2018016377A1 - クロロフォーメート化合物の製造法 - Google Patents

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Abstract

クロロフォーメート化合物を、安全且つ高収率で大量生産する方法を提供する。クロロフォーメート化合物は、トリホスゲンの溶液、アミン、アルコール化合物を、フロー式リアクター中で混合し、反応させることで製造される。或いはトリホスゲンの溶液と、アミン及びアルコール化合物の溶液を、フロー式リアクター中で混合し、反応させることで製造される。前記アミンがトリブチルアミンであるのが好ましく、前記アミンの使用量が前記アルコール化合物に対して0.8〜3当量であるのが好ましい。

Description

本発明はフロー式リアクターを用いたクロロフォーメート化合物の製造方法に関する。
クロロフォーメート化合物は、その反応性の高さから医薬品や農薬等の原料、中間体として非常に有用であり、高収率、低コストで、且つ安全に該化合物を合成できる製造法の開発が望まれている。クロロフォーメート化合物を製造する方法としては、バッチ式反応缶でホスゲンガス、若しくはジホスゲンやトリホスゲンから系中で発生させたホスゲンと、アルコール化合物を反応させる方法が一般的である。具体的には、バッチ式反応缶でテトラヒドロフランにホスゲンガスを溶解させた後、9−フルオレニルメタノールを加えることにより、対応するクロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を製造する方法(特許文献1)が知られている。若しくは、バッチ式反応缶でジクロロメタンにホスゲンガスを溶解させた後、トリブチルホスフィンと9−フルオレニルメタノールを添加して、対応するクロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を製造する方法(特許文献2)も知られている。また、バッチ式反応缶でトリホスゲンのジクロロメタン、又はクロロホルム溶液を調製し、ここにジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、又はピリジン等のアミンを添加することによって系内でホスゲンを発生させ、これと9−フルオレニルメタノールを反応させてクロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を製造する方法(特許文献3,4)が知られている。さらにはホスゲン又はトリホスゲンとアルコールとを先に混合し、余剰のホスゲンを窒素ガスで追い出した後、得られた混合液とアミンとを反応させることでクロロ蟻酸アルキルを製造することも知られている(特許文献5)。この特許文献5の方法の様にホスゲンとアルコールとを先に混合した後で余剰のホスゲンガスを追い出す方法は、ホスゲンの理論的使用量がアルコールと等モルとなる為、生じるアミン塩酸塩の理論量もアルコールと等モルにまで低減できる面では有益であるが、ホスゲンガスが系外に放出されて危険である。
特開平2−96551号公報 特開平2−129151号公報 中国特許第103408427号公報 中国特許第101245001号公報 特開2012−67030号公報 特開2011−6367号公報
しかしながら、これらの製法を工業的に実施する場合、極めて猛毒のホスゲンガスを反応缶内に大量に保持する必要があり、大変危険である。また系中でホスゲンを発生させる場合も、発生速度をコントロールする操作が煩雑であり、暴走させる危険もある。さらに余剰のホスゲンガスを追い出す事もまた危険である。したがって安全に製造を実施するためには、ホスゲン漏洩対策を十分に施した特殊設備が必要となり、設備コストが増加する。
ところでバッチ式とは異なる反応方式として、フロー(連続生産)方式が知られている。クロロフォーメート化合物をフロー(連続生産)方式で製造する例としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含む水溶液と1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの混合溶液と、ジクロロメタンにホスゲンガスを溶解させた溶液を、微細流路内で連続的に混合、反応させて、対応するビスクロロフォーメート化合物を製造する方法が知られている(特許文献6)。しかしながらこの方法でも、ホスゲンガスを事前に有機溶媒へ溶解させる作業が必要となるため、危険性に変わりはない。
従って本発明の目的は、医薬品や農薬等の原料、中間体として有用なクロロフォーメート化合物を、安全且つ高収率で大量生産する方法を提供する事にある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、毒性の低い化合物であるトリホスゲンを事前に溶解させれば、ホスゲンガスを溶解させる場合と異なって、ホスゲンの漏洩の心配なく安全に事前作業を行える事、及びこのようにして溶解したトリホスゲンを、これとは別に調製したアミン及びアルコール化合物を含む溶液とフロー式リアクター中で混合及び反応させると、トリホスゲンとアミンとが接触してホスゲンが発生した時、このホスゲンがアルコール化合物によって速やかに消費されることになり、毒性の高いホスゲンの反応液中での濃度上昇を安定的に防止しつつ(すなわちホスゲンの漏洩リスクを低く保ちつつ)反応を実施することができることを見い出し、本発明を完成した。また本発明の製造方法は、特殊なホスゲンガス発生装置が不要であり、更にスクラバーなどの排ガス処理設備も必要としない点、フロー式リアクターシステムは一般に省スペースなので、全体を覆うなどの安全対策も容易で、万一ホスゲンが漏洩しても被害を最小限に抑えることができ、作業者の安全性を大幅に向上させることができる点、加えて余剰ホスゲンの追い出しを必要としない点などにもメリットを有している。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]トリホスゲンの溶液と、アミン及びアルコール化合物の溶液を、フロー式リアクター中で混合し、反応させることを特徴とする、クロロフォーメート化合物の製造法。
[2]前記アミンがトリブチルアミンである、前記[1]に記載の製造法。
[3]前記アミンの使用量が前記アルコール化合物に対して0.8〜3当量である、前記[1]又は[2]に記載の製造法。
[4]前記溶液が芳香族炭化水素系溶媒又はエーテル系溶媒の溶液である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造法。
[5]前記溶液がトルエン又はテトラヒドロフランの溶液である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造法。
[6]前記トリホスゲンの使用量が前記アルコール化合物に対して0.3〜1当量である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造法。
[7]前記フロー式リアクターの流路の断面積が10mm2から30cm2である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造法。
[8]前記フロー式リアクターの流路内の反応温度が60℃以下である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造法。
[9]前記フロー式リアクターの流路内の滞留時間が10分以内である、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造法。
本発明によれば、医薬品や農薬等の原料、中間体として有用なクロロフォーメート化合物を、安全且つ高収率で大量生産できる。
本発明では、毒性の低い化合物であるトリホスゲンの溶液を、アミン(以下、アミン化合物ともいう)及びアルコール化合物を含む溶液とフロー式リアクター中で混合し、反応させることでクロロフォーメート化合物を製造する。トリホスゲンを第1の溶媒で溶液にすると、ホスゲンガスを溶解させる場合と異なり、安全に溶解作業を行うことができる。またトリホスゲンを、アミン化合物及びアルコール化合物を含む溶液とフロー式リアクター中で混合及び反応させているため、トリホスゲンとアミン化合物とが接触してホスゲンが発生した時、微小空間内で、このホスゲンがアルコール化合物によって速やかに消費され、ホスゲンの蓄積を防止して安全性を維持しつつ、目的物を製造できる。
前記トリホスゲンは、その1分子がホスゲン3分子に相当する。従って、その使用量は、アルコール化合物のアルコール性水酸基1モルに対して、例えば、0.3モル以上、好ましくは0.35モル以上であり、例えば、10モル以下、好ましくは5モル以下、より好ましくは2モル以下、さらに好ましくは1モル以下、特に好ましくは0.8モル以下である。また当量で表現すればトリホスゲンの使用量は、アルコール化合物に対して、例えば、0.3当量以上、好ましくは0.35当量以上であり、10当量以下、好ましくは5当量以下、より好ましくは2当量以下、さらに好ましくは1当量以下、特に好ましくは0.8当量以下である。
前記第1の溶媒としては、トリホスゲンを溶解しかつ反応に関与しない限り特に限定されず、例えば、n−へキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテロラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、4−メチルテトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒などを挙げることができる。尚、これらの溶媒は、単独で用いても2種以上併用しても良く、混合比率に特に制限は無い。より好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテロラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒であり、更に好ましくは、トルエン、又はテトラヒドロフラン(THF)である。
第1溶媒の量は、トリホスゲンを溶解可能であり、かつアミン化合物及びアルコール化合物と反応中に生成物が析出してこない範囲で適宜設定でき、トリホスゲン1質量部に対して、例えば、0.8質量部以上、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、例えば、200質量部以下、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下である。
前記アミン化合物は、3級アミンが好ましく、具体的には例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、2,6−ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、キノリン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール等が挙げられる。尚、これらのアミンは、単独で用いても2種以上併用しても良く、混合する場合は、その混合比率に制限は無い。好ましくは、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン、N−メチルイミダゾールなどの3級アミンであり、より好ましくはトリアルキルアミンである。反応性に優れ、かつアミン塩酸塩が析出しにくい点では、3級アミン(特に非環状のトリアルキルアミン)が好ましい。
トリホスゲンとアミン化合物から系中でホスゲンを発生させ、生じたホスゲンをアルコール化合物と反応させてクロロフォーメートを製造する方法は、反応の進行と同時にアミン塩酸塩が副生することが避けられない。このアミンの塩酸塩は一般に有機溶媒への溶解性が低く、溶液から析出して、反応液はしばしばスラリーとなる。フロー式リアクターの最大の欠点は、反応液がスラリーの場合、ラインが閉塞して液を流せなくなる場合があることである。本反応をフロー式リアクターに適用するためには、反応液中から固形分を析出させないことが望ましい。前記アミンと溶媒を適切に組み合わせれば、このライン閉塞も防止することができ、好ましい。またいくつかのアミンと溶媒の組み合わせは、アミン塩酸塩が反応液から析出することを抑制できると共に、クロロフォーメート化収率の向上にも貢献し、さらに好ましい。
アミン塩酸塩の析出し難さに着目すると、炭素数が9〜40のトリアルキルアミンが特に好ましい。トリアルキルアミンの炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは24以下である。好ましいトリアルキルアミンは、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、又はトリオクチルアミンであり、最も好ましくはトリブチルアミンである。
アミン化合物の使用量は、アルコール化合物のアルコール性水酸基1モルに対して、例えば、0.1モル以上、好ましくは0.5モル以上、より好ましくは0.8モル以上、さらに好ましくは1.3モル以上であり、例えば、10モル以下、好ましくは5モル以下、より好ましくは3モル以下、さらに好ましくは2モル以下である。当量表現で規定すると、アミン化合物の使用量は、アルコール化合物に対して、0.1当量以上、好ましくは0.5当量以上、より好ましくは0.8当量以上、さらに好ましくは1.3当量以上であり、例えば、10当量以下、好ましくは5当量以下、より好ましくは3当量以下、さらに好ましくは2当量以下である。
またアミン化合物の使用量は、トリホスゲン1モルに対して、0.1モル以上、好ましくは1モル以上、より好ましくは1.5モル以上であり、さらには3モル以上であってもよく、例えば、10モル以下、より好ましくは6モル以下、より好ましくは4モル以下である。アミン化合物の量が多すぎると、アミン塩酸塩の生成量が多くなって析出がおきる可能性が高くなり、また後処理の点で好ましくない。アミン化合物の量が少なすぎると、ホスゲンの発生が遅くなって反応の進行面で好ましくない。
前記アルコール化合物は、炭素原子に水酸基が結合した構造を有する限り特に限定されず、例えば、非芳香族性炭化水素基に水酸基が結合した化合物であっても、フェノール性水酸基を有する化合物であってもよい。また1級アルコール類、2級アルコール類、3級アルコール類、フェノール類等の分子内に水酸基を1つ有する化合物;ジオール類、カテコール類等の分子内に水酸基を2つ有する化合物;トリオール類、ベンゼントリオール類等の分子内に水酸基を3つ有する化合物;糖類や核酸類等の分子内に水酸基を4つ以上有する化合物が挙げられる。さらにアルコール化合物は、光学活性体であってもよい。
前記アルコール化合物として、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、n−オクタノール、n−ドデカノール、n−オクタデカノール、9−フルオレニルメタノール、L−メントール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロプロピルメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、4,4,4−トリフルオロブタノール、2−メトキシエタノール、2−フェネチルアルコール、アリルアルコール、5−ヘキセノール、アダマンタン−1−オール、アダマンタン−2−オール、ベンジルアルコール、1−フェネチルアルコール、ヒドロキシ酢酸メチル、L−乳酸メチル、L−リンゴ酸ジメチル、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニノール、N−(ベンジルオキシカルボニル)−L−フェニルアラニノール、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−セリンメチルエステル、(S)−マンデル酸エチル、2−ヒドロキシプロピオニトリル、N−ベンジル−3−ピロリジノール、N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−ピペリジノール、5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オン−4−メタノール、L−アラニノール、グリシドール、(R)−3−キヌクリジノール、(S)−3−ヒドロキシブタン酸メチル、(S)−2−メチル−3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、トランス−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシ−L−プロリンメチルエステル、エチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1.2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、L−酒石酸ジメチル、1,1−ビス−(4−ヒドロキシジフェニル)シクロヘキサン、1,3,5−シクロヘキサントリオール、フェノール、1−ナフトール、1,2−カテコール、グリセリン、1,3,5−ベンゼントリオール、ポリエチレングリコール、グルコース、フルクトース、トレハロース、キシリトール、アスコルビン酸、セルロース、チミン、ウラシル等が挙げられる。好ましくは、9−フルオレニルメタノール、L−メントール、又はフェノールであり、更に好ましくは、9−フルオレニルメタノール、又はL−メントールである。
前記アミン化合物及びアルコール化合物は、第2の溶媒に溶解するなどして溶液にしてフロー式リアクター中、トリホスゲンの溶液と混合するのが望ましい。第2の溶媒としては、前記第1の溶媒と同様の範囲のものが使用できる。第2の溶媒の好ましい例も、前記第1の溶媒と同様である。第1の溶媒と第2の溶媒とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
第2の溶媒の量は、アミン化合物及びアルコール化合物の両方を溶解可能な範囲で設定でき、具体的には、アルコール化合物100重量部に対して、例えば、10重量部以上、好ましくは50重量部以上、より好ましくは100重量部以上であり、例えば、1000重量部以下、好ましくは500重量部以下、より好ましくは200重量部以下である。
第1の溶媒及び第2の溶媒の合計量は、アミン塩酸塩やクロロフォーメート化合物を溶解可能な範囲で適宜設定できる。特にアミン塩酸塩が析出しやすいため、この塩の生成量の目安となるアミン化合物と第1及び第2の溶媒の合計量との関係を規定するのが実際的である。アミン化合物と第1及び第2の溶媒の合計量との重量比(前者/後者)は、例えば、1/100以上、好ましくは2/100以上、より好ましくは2.5/100以上であり、例えば、100/100以下、好ましくは60/100以下、より好ましくは40/100以下である。
なお本発明では、必要に応じて、前記第1及び第2の溶媒で例示した溶媒以外の溶媒(第3の溶媒)を共存させてもよい。全溶媒中の第3の溶媒の濃度は、例えば、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
本発明では、上記反応をフロー式リアクターで実施する。フロー式リアクターとは、2以上の原料供給口と、供給された原料を混合する混合部と、混合液を流通するリアクター部(チューブ反応部分、滞留ラインなどと称する場合もある)を有する装置である。前記リアクター部は微小な流通管がコイル構造をしていたり、プレート状の板に微小な流路が刻まれた構造をしていたり、これらのプレート板が積層状に重なった構造をしていたりするなど様々な形状があり、リアクター部を混合液が流通する間に反応が進行する。尚、マイクロリアクター、サイクロン型反応器、積層型のマイクロ流体チップのいずれもが本発明のフロー式リアクターに含まれる。ここで、前記原料としては液体(溶液を含む)の形態で供給され、送液は、通常、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプ、プランジャーポンプなどのポンプを用いて行われる。また原料供給口、混合部、及びリアクター部は、液密に接続している。
上記トリホスゲンを含む溶液、アミン化合物(その含有溶液であってもよい)、及びアルコール化合物(その含有溶液であってもよい)は、いずれも液体として前記原料供給口から混合部に向けて供給される。トリホスゲンを含む溶液、アミン化合物、及びアルコール化合物は、いずれも別々の供給口から供給してもよい。また、アミン化合物とアルコール化合物と溶媒を含む混合溶液を予め調製し、この混合液と、トリホスゲンを含む溶液とを別々の供給口から供給してもよい。これらの供給手順によれば、トリホスゲンとアミン化合物を含む混合液を予め調製したり、トリホスゲンとアルコール化合物を含む混合液を予め調製したりする場合に比べて、ホスゲン濃度上昇を抑制でき、安全である。
混合部には、公知の混合器が使用でき、流入系統が2つであり、流出路が1つである混合器としては、例えば、T字型ミキサー(T字管を含む)、Y字型ミキサー(Y字管を含む)を使用でき、また混合部(混合器)としては、流入系統が3つ以上あるものも使用できる。これら混合部(混合器)はスタティック型ミキサーやヘリックス型ミキサーであってもよい。
混合部(混合器)の数は、1つの混合部が有する流入路系統数と原料供給口の数に応じて、適宜設定される。例えば、原料供給口が3つ存在し、トリホスゲンを含む溶液、アミン化合物(その含有溶液であってもよい)、及びアルコール化合物(その含有溶液であってもよい)を別々に給液する場合、混合部を2つ用意し、初めの混合部でアミン化合物とアルコール化合物とを混合し、次の混合部でアミン・アルコール混合液とトリホスゲンを含む溶液とを混合してもよい(第1法)。また原料供給口が2つ存在し、流入系統が2つの混合器を1つ使用する場合には、前記アミン・アルコール混合液を先に予備調製しておき、この予備調製液とトリホスゲンを含む溶液を別々に原料供給口から取り入れて混合部で混合してもよい(第2法)。第1法及び第2法によれば、トリホスゲンとアミン化合物とが接触してホスゲンが生じる時に、アルコール化合物が共存しているため、ホスゲンは直ちにアルコール化合物と反応することでその蓄積が防止され、微小空間内で安全に反応を進行させることができる。
前記混合部で調製された混合液は、リアクター部に供給され、このリアクター部を流通する間に反応が進行する。リアクター部を混合液が流通する間に反応が進行する。混合部及びリアクター部の流路の断面積は、例えば、10μm2以上、好ましくは1mm2以上、より好ましくは10mm2以上であり、例えば、300cm2以下、好ましくは70cm2以下、より好ましくは30cm2以下である。
本反応では、リアクター部(滞留ライン)の長さと流速によって反応時間がコントロールされる。リアクター部の長さは、例えば、1cm以上、好ましくは10cm以上、さらに好ましくは1m以上であり、例えば、500m以下、好ましくは300m以下、さらに好ましくは100m以下である。流速は、例えば、0.01mL/分以上、好ましくは0.1mL/分以上、さらに好ましくは0.5mL/分以上であり、例えば、30L/分以下、好ましくは20L/分以下、更に好ましくは10L/分以下である。また線速度は、例えば、0.005m/分以上、好ましくは0.05m/分以上、さらに好ましくは0.5m/分以上であり、例えば、180m/分以下、好ましくは120m/分以下、さらに好ましくは60m/分以下である。反応時間(滞留時間)は、例えば、30分以内、好ましくは20分以内、さらに好ましくは15分以内、最も好ましくは10分以内であり、例えば、5分以上、好ましくは3分以上、さらに好ましくは1分以上である。
反応温度は溶媒の沸点以下、凝固点以上の範囲で設定でき、例えば、100℃以下、好ましくは60℃以下、さらに好ましくは40℃以下であり、例えば、−50℃以上、好ましくは−30℃以上、さらに好ましくは−10℃以上であり、20℃以上であってもよい。当該クロロフォーメート化反応をバッチ式で行う場合、通常、ホスゲン発生時の反応温度は、安全上の観点からホスゲンの沸点(8℃)以下で実施する必要があるが、フロー式リアクターを用いた場合、閉鎖された微小空間で反応を実施できることから、20〜60℃(特に20〜40℃)付近でも安全に反応を実施でき、省エネルギーに寄与できる。なお混合部及びそれよりも上流側の温度も適宜設定してもよく、例えば、反応温度と同等の温度にしてもよい。また徐熱効率を向上させるべく、反応温度よりも低くしてもよい。
混合部及びリアクター部の材質は特に制限されず、耐溶剤性、耐圧性、耐熱性等の要望に応じて適宜選択すればよい。例えば、ステンレス鋼、ハステロイ、チタン、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属、ガラス、セラミックス、PEEK樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂を使用できる。
リアクター部から流出する反応液は、必要に応じて適切に後処理される。例えば、反応液を、フッ化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの酸を含む水溶液でクエンチした後、必要に応じて酢酸エチルやトルエン等の有機溶媒を添加して目的物を抽出してもよい。クエンチに使用する酸性水溶液の使用量は特に制限されないが、通常、前記アルコール化合物1重量部に対して、下限は0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、上限は100重量部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。尚、必要に応じて酢酸エチルやトルエン等の有機溶剤を加えて、水―有機溶剤の2層系でクエンチを実施してもよい。抽出液は更に必要に応じて、酸性水、無機塩水、又は水によって洗浄することもできる。得られた抽出液から減圧加熱等の操作により、反応溶媒及び抽出溶媒を留去すると目的物が得られる。
このようにして得られた目的物は、後続工程に使用できる十分な純度を有しているが、純度を更に高める目的で、晶析、分別蒸留、カラムクロマトグラフィー等の一般的な精製手法により、更に純度を高めてもよい。
本願は、2016年7月21日に出願された日本国特許出願第2016−143647号に基づく優先権の利益を主張するものである。2016年7月21日に出願された日本国特許出願第2016−143647号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含する。
参考例1
下記表1に示す種々のアミン1gを下記表1に示す各溶媒10mLに加え、濃度10%(重量/容量)溶液を調整した。この溶液に、塩酸のn−プロパノール溶液(塩酸濃度34重量%)を1.1当量(=塩化水素のモル量/アミンのモル量)となるまで添加し、室温で1時間攪拌した。攪拌後、固体の析出の有無を目視で確認した。表中、○は固体が析出していなかった事を意味し、×は固体が析出していた事を意味する。
Figure 2018016377
※1:使用アミン
トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリプロピルアミン(TPA)、トリブチルアミン(TBA)、トリオクチルアミン(TOA)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)、2,6−ルチジン(LTD)
※2:使用溶媒
テトラヒドロフラン(THF)、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、酢酸イソプロピル(IPRA)、アセトン(ACE)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(AN)、トルエン(Tol)、塩化メチレン(DCM)
(1)クロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)の製造
Figure 2018016377

以下の実施例1〜5、比較例1〜2及び参考例2では、9−フルオレニルメタノールとトリホスゲンからクロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を製造し、HPLC法によって生成物を定量し、収率を算出した。HPLC条件は以下の通りである。
カラム:ダイセルCHIRALPAC IA(250×4.6mm)
移動相:ヘキサン/エタノール=85/15(体積比)
流速:1.0ml/分
検出波長:UV254nm
カラム温度:30℃
保持時間:クロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル);4.4分、9−フルオレニルメタノール;5.8分
実施例1
トリホスゲン0.61gにトルエン25.49gを入れて均一溶液とし、A液とした。また、トリブチルアミン1.42gと9−フルオレニルメタノール1.00gにトルエン22.81gを入れて均一溶液とし、B液とした。T字ミキサー(内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン(チューブ内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を0℃の恒温バスに入れた後、A液及びB液をそれぞれ2ml/分の速度(線速度127cm/分)にてダイアフラムポンプ(KNF社製)で送液してT字ミキサーで混合し、滞留ライン内で1分間通流して反応させた。反応液はフラスコに入った13%リン酸水34.85g中に撹拌下クエンチし、分液後、クロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を1.19g含有する有機層を66.24g取得した(収率90%)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
実施例2
トリホスゲン0.61gにトルエン25.49gを入れて均一溶液とし、A液とした。また、トリブチルアミン1.42gと9−フルオレニルメタノール1.00gにトルエン22.81gを入れて均一溶液とし、B液とした。T字ミキサー(内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン(チューブ内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を0℃の恒温バスに入れた後、A液及びB液をそれぞれ2ml/分の速度(線速度127cm/分)にてダイアフラムポンプ(KNF社製)で送液してT字ミキサーで混合し、滞留ライン内で4分間通流して反応させた。反応液はフラスコに入った13%リン酸水34.85g中に撹拌下クエンチし、分液後、クロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を1.29g含有する有機層を71.85g取得した(収率98%)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
実施例3
トリホスゲン0.91gにトルエン14.00gを入れて均一溶液とし、A液とした。また、トリブチルアミン2.12gと9−フルオレニルメタノール1.50gにTHF11.50gを入れて均一溶液とし、B液とした。T字ミキサー(内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン(チューブ内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を30℃の恒温バスに入れた後、A液及びB液をそれぞれ2ml/分の速度(線速度127cm/分)にてダイアフラムポンプ(KNF社製)で送液してT字ミキサーで混合し、滞留ライン内で2分間通流して反応させた。反応液はフラスコに入った13%リン酸水52.28g中に撹拌下クエンチし、分液後、クロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を1.77g含有する有機層を35.48g取得した(収率90%)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
実施例4
トリホスゲン1.36gにトルエン14.00gを入れて均一溶液とし、A液とした。また、トリブチルアミン2.12gと9−フルオレニルメタノール1.50gにTHF11.50gを入れて均一溶液とし、B液とした。T字ミキサー(内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン(チューブ内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を30℃の恒温バスに入れた後、A液及びB液をそれぞれ2ml/分の速度(線速度127cm/分)にてダイアフラムポンプ(KNF社製)で送液してT字ミキサーで混合し、滞留ライン内で2分間通流して反応させた。反応液はフラスコに入った13%リン酸水52.28g中に撹拌下クエンチし、分液後、クロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を1.89g含有する有機層を36.21g取得した(収率96%)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
実施例5
トリホスゲン0.61gにトルエン24.81gを入れて均一溶液とし、A液とした。また、トリブチルアミン1.42gと9−フルオレニルメタノール1.00gにトルエン22.81gを入れて均一溶液とし、B液とした。T字ミキサー(内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン(チューブ内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を40℃の恒温バスに入れた後、A液及びB液をそれぞれ2ml/分の速度(線速度127cm/分)にてダイアフラムポンプ(KNF社製)で送液・混合し、滞留ライン内で2分間通流して反応させた。反応液はフラスコに入った13%リン酸水34.85g中に撹拌下クエンチし、分液後、クロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を1.24g含有する有機層を59.40g取得した(収率94%)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
比較例1
トリブチルアミン4.26gとトルエン35.03gを4つ口フラスコに入れた後、−5℃へ冷却した。次に、トリホスゲン1.83gをトルエン5.50gに溶解させた溶液を調製し、該トリホスゲン溶液を撹拌下、内温−5℃を保つ速度で4つ口フラスコ内に添加し、3時間撹拌した。その後、9−フルオレニルメタノール3.00gをトルエン105gに溶解させた溶液を調製し、当該溶液を撹拌下、内温−5℃を保つ速度で4つ口フラスコ内に添加し、1時間撹拌した。撹拌後、13%のリン酸水104.55g中に上記反応液を送液し、クエンチ後に分液を行い、クロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を2.36g含有する有機層を154.33g取得した(収率60%)。
比較例2
トリブチルアミン4.26gと9−フルオレニルメタノール3.00gとトルエン140.01gを4つ口フラスコに入れて溶解させた後、−5℃へ冷却した。次に、トリホスゲン1.83gをトルエン5.50gに溶解させた溶液を調製し、該トリホスゲン溶液を撹拌下、内温−5℃を保つ速度で4つ口フラスコ内に添加し、3時間撹拌した。撹拌後、13%のリン酸水104.55g中に上記反応液を送液し、クエンチ後に分液を行い、クロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)を3.06g含有する有機層を156.04g取得した(収率77%)。
参考例2
フラスコにトリホスゲン0.91gを入れ、ここにトルエン15gを加えて溶解させた。この溶液中に9−フルオレニルメタノール1.50gを添加し、20℃下、2日間撹拌した。2日間撹拌後の反応液を定量した結果、クロロ蟻酸(9−フルオレニルメチル)0.49g含有する反応液を得た(収率25%)。反応物が生じていることより、トリホスゲンが分解して系中でホスゲンが生じていることが分かる。
(2)クロロ蟻酸L−メンチルの製造
Figure 2018016377

以下の実施例6では、L−メントールとトリホスゲンからクロロ蟻酸メンチルを製造し、HPLC法によって生成物を定量し、収率を算出した。HPLC条件は以下の通りである。
カラム:ナカライCOSMOSIL 5C18−AR−II(250×4.6mm)
移動相A:0.1%リン酸水
移動相B:アセトニトリル
流速:1.0ml/分
検出波長:UV210nm
カラム温度:40℃
保持時間:クロロ蟻酸メンチル;28.1分
グラジエント条件
時間(分) A液(%) B液(%)
0 90 10
10 40 60
22 20 80
27 20 80
30 10 90
30.1 10 90
実施例6
トリホスゲン2.28gにトルエン20.26gを入れて均一溶液とし、A液とした。また、トリブチルアミン5.34gとL−メントール3.00gにトルエン12.00gを入れて均一溶液とし、B液とした。T字ミキサー(内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン(チューブ内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を30℃の恒温バスに入れた後、A液及びB液をそれぞれ2ml/分の速度(線速度127cm/分)にてダイアフラムポンプ(KNF社製)で送液しT字ミキサーで混合した後、滞留ライン内で1分間通流して反応させた。反応液はフラスコに入った13%リン酸水75.00g中に撹拌下クエンチし、分液後、クロロ蟻酸メンチルを4.15g含有する有機層を58.32g取得した(収率99%)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
(3)クロロ蟻酸フェニルの製造
Figure 2018016377

以下の実施例7では、フェノールとトリホスゲンからクロロ蟻酸フェニルを製造し、HPLC法によって生成物を定量し、収率を算出した。HPLC条件は以下の通りである。
カラム:ダイセルCHIRALPAC IA(250×4.6mm)
移動相:ヘキサン/イソプロパノール=97/3(体積比)
流速:1.0ml/分
検出波長:UV254nm
カラム温度:30℃
保持時間:クロロ蟻酸フェニル;4.0分、フェノール;9.5分
実施例7
トリホスゲン3.78gにトルエン21.70gを入れて均一溶液とし、A液とした。また、トリブチルアミン8.86gとフェノール3.00gにトルエン12.00gを入れて均一溶液とし、B液とした。T字ミキサー(内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン(チューブ内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を20℃の恒温バスに入れた後、A液及びB液をそれぞれ2ml/分(線速度127cm/分)の速度にてダイアフラムポンプ(KNF社製)で送液しT字ミキサーで混合した後、滞留ライン内で1分間通流して反応させた。反応液はフラスコに入った13%リン酸水83.63g中に撹拌下クエンチし、分液後、クロロ蟻酸フェニルを2.89g含有する有機層を60.36g取得した(収率58%)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。

Claims (9)

  1. トリホスゲンの溶液と、アミン及びアルコール化合物の溶液を、フロー式リアクター中で混合し、反応させることを特徴とする、クロロフォーメート化合物の製造法。
  2. 前記アミンがトリブチルアミンである、請求項1に記載の製造法。
  3. 前記アミンの使用量が前記アルコール化合物に対して0.8〜3当量である、請求項1又は2に記載の製造法。
  4. 前記溶液が芳香族炭化水素系溶媒又はエーテル系溶媒の溶液である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
  5. 前記溶液がトルエン又はテトラヒドロフランの溶液である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
  6. 前記トリホスゲンの使用量が前記アルコール化合物に対して0.3〜1当量である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造法。
  7. 前記フロー式リアクターの流路の断面積が10mm2から30cm2である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
  8. 前記フロー式リアクターの流路内の反応温度が60℃以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の製造法。
  9. 前記フロー式リアクターの流路内の滞留時間が10分以内である、請求項1〜8のいずれかに記載の製造法。
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