JP2008127311A - インデン誘導体のディールスアルダー反応組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、前記従来技術に鑑み、環状オレフィンコポリマー(COC)などの熱可塑性樹脂用モノマーの合成中間体や、医薬品や化粧品などの合成中間体として有用なベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物類及びその工業的に有利な製造方法を提供することにある。
【解決手段】
分子量312の成分含量が10ppm乃至20,000ppmである下記一般式(1)で表される5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物。
【選択図】なし
本発明は、前記従来技術に鑑み、環状オレフィンコポリマー(COC)などの熱可塑性樹脂用モノマーの合成中間体や、医薬品や化粧品などの合成中間体として有用なベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物類及びその工業的に有利な製造方法を提供することにある。
【解決手段】
分子量312の成分含量が10ppm乃至20,000ppmである下記一般式(1)で表される5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物。
【選択図】なし
Description
本発明はインデン誘導体と無水マレイン酸誘導体との反応により得られる5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物に関するものである。
5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物類は、インデン誘導体の熱異性化によって発生するイソインデン誘導体と無水マレイン酸とのディールスアルダー反応によって製造することができる。しかしながら、非特許文献1乃至非特許文献3の従来技術においては、5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物類を工業的に有利に製造するという観点からは、充分満足のいく方法が提供されているとは言い難い。
前記非特許文献1においては、インデンを原料として、5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が得られるが、収率が約30%と非常に低く、多量の重合物が生成する。また非特許文献2においてもインデンを原料として、さらにヒドロキノンを重合禁止剤として用いているが、無水マレイン酸に対して5.5mol%量を用いても目的物の収率は36%に過ぎない。ハイドロキノンの使用量を無水マレイン酸に対して22mol%量に増やすことにより収率は65%にまで向上するが、使用量の増加に応じてコストがかかる上、得られる5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物は純度が低いため、生成物の分離精製が煩雑になるという問題を有しており、満足し得るものではない。前記非特許文献3においてはインデン誘導体に3,4−ジメトキシインデンを用い、大過剰の無水マレイン酸の存在下に反応を行なっているが、収率は42%とやはり低い。
J.Org.Chem.,32,1126(1967) Ber.Dtsch.Chem.Ges.,75,1501(1942) Eur.J.Org.Chem.,1405(2004)
前記非特許文献1においては、インデンを原料として、5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が得られるが、収率が約30%と非常に低く、多量の重合物が生成する。また非特許文献2においてもインデンを原料として、さらにヒドロキノンを重合禁止剤として用いているが、無水マレイン酸に対して5.5mol%量を用いても目的物の収率は36%に過ぎない。ハイドロキノンの使用量を無水マレイン酸に対して22mol%量に増やすことにより収率は65%にまで向上するが、使用量の増加に応じてコストがかかる上、得られる5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物は純度が低いため、生成物の分離精製が煩雑になるという問題を有しており、満足し得るものではない。前記非特許文献3においてはインデン誘導体に3,4−ジメトキシインデンを用い、大過剰の無水マレイン酸の存在下に反応を行なっているが、収率は42%とやはり低い。
J.Org.Chem.,32,1126(1967) Ber.Dtsch.Chem.Ges.,75,1501(1942) Eur.J.Org.Chem.,1405(2004)
本発明は、前記従来技術に鑑み、環状オレフィンコポリマー(COC)などの熱可塑性樹脂用モノマーの合成中間体や、医薬品や化粧品などの合成中間体として有用なベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物類、及びその工業的に有利な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の従来技術に鑑み鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
分子量312の成分含量が10ppm乃至20,000ppmである下記一般式(1)で表される5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物、
分子量312の成分含量が10ppm乃至20,000ppmである下記一般式(1)で表される5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物、
(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,およびR7は水素原子またはヘテロ原子を有することのある置換基を表す。)
及び、下記一般式(2)で表されるインデン誘導体と無水マレイン酸のディールスアルダー反応において、反応器内を気相部の割合が10%以下で反応させることを特徴とする上記一般式(1)の5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物の製造方法に関するものである。
(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,およびR7は水素原子またはヘテロ原子を有することのある置換基を表す。)
本発明の5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物類は環状オレフィンコポリマー(COC)などの熱可塑性樹脂用モノマーの合成中間体や、医薬品や化粧品などの合成中間体として提供することができる。
以下、本発明について具体例を挙げつつ詳細に説明する。
本発明における式(1)で表される5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類は、インデン誘導体と無水マレイン酸のディールスアルダー反応型の熱付加反応を行うことによって合成することができる。得られる反応混合物には、目的の5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類以外に未反応のインデンやインデンと無水マレイン酸が1対1以上に付加したオリゴマーが含まれている。特に、分子量312のオリゴマーが多く含有していることがわかった。
本発明の5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物の分子量312の成分含量は、10ppm乃至20,000ppm、好ましくは、10ppm乃至10,000ppmの範囲である。この範囲の上限を超えてオリゴマーが含有される場合は、選択率が低下するばかりでなく、環状オレフィンコポリマーの原料として用いる場合はその反応などに影響を与えることもあり好ましくない。
本発明において原料として使用するインデン誘導体は一般式(2)で表される。R1,R2,R3,R4,R5,R6,およびR7は、それぞれ独立に水素原子またはヘテロ原子を有することのある置換基を表すが、反応に不活性な置換基であれば特に制限はなく、例えばハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アシル基、カルバモイル基、ホルミル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、アルキルチオ基、スルフィニル基、スルホニル基、シリル基などが挙げられる。また、これらの置換基のうち、隣接する置換基が架橋されて、その結合炭素原子を含む環を形成しても良い。また本発明で使用するインデン誘導体は市販のものが使用でき、インデン誘導体の純度は90%以上が好ましい。
本発明において原料として使用するインデン誘導体は一般式(2)で表される。R1,R2,R3,R4,R5,R6,およびR7は、それぞれ独立に水素原子またはヘテロ原子を有することのある置換基を表すが、反応に不活性な置換基であれば特に制限はなく、例えばハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アシル基、カルバモイル基、ホルミル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、アルキルチオ基、スルフィニル基、スルホニル基、シリル基などが挙げられる。また、これらの置換基のうち、隣接する置換基が架橋されて、その結合炭素原子を含む環を形成しても良い。また本発明で使用するインデン誘導体は市販のものが使用でき、インデン誘導体の純度は90%以上が好ましい。
本発明で使用する無水マレイン酸は市販のものを使用することができる。無水マレイン酸の純度は90%以上が好ましい。
本発明においてインデンの重合による副反応を抑制する手段のひとつとして重合禁止剤を加えることが好ましい。重合禁止剤としては特に限定されるものではないが、カテコールなどのフェノール系化合物、N,N−ジメチルヒドロキシルアミンなどのアミン化合物などが使用できる。中でもフェノチアジン誘導体が好ましく、例えば、フェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−アシルフェノチアジン、2−プロピオニルフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−トリフルオロメチルフェノチアジン、2−シアノフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−メチルスルフィニルフェノチアジン、2−クロロ−7−メトキシフェノチアジン、2−ニトロ−7−トリフルオロメチルフェノチアジンなどが挙げられるが、安価で入手が比較的容易なフェノチアジンが特に好ましい。重合禁止剤の使用量は、一般的には原料であるインデン誘導体と無水マレイン酸の1モルあたり0.1〜5モル%であり、好ましくは0.5〜2モル%である。
本発明においてインデンの重合による副反応を抑制する手段のひとつとして重合禁止剤を加えることが好ましい。重合禁止剤としては特に限定されるものではないが、カテコールなどのフェノール系化合物、N,N−ジメチルヒドロキシルアミンなどのアミン化合物などが使用できる。中でもフェノチアジン誘導体が好ましく、例えば、フェノチアジン、2−クロロフェノチアジン、2−アシルフェノチアジン、2−プロピオニルフェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、2−トリフルオロメチルフェノチアジン、2−シアノフェノチアジン、2−メチルチオフェノチアジン、2−メチルスルフィニルフェノチアジン、2−クロロ−7−メトキシフェノチアジン、2−ニトロ−7−トリフルオロメチルフェノチアジンなどが挙げられるが、安価で入手が比較的容易なフェノチアジンが特に好ましい。重合禁止剤の使用量は、一般的には原料であるインデン誘導体と無水マレイン酸の1モルあたり0.1〜5モル%であり、好ましくは0.5〜2モル%である。
原料のインデン誘導体と無水マレイン酸の供給比率は無水マレイン酸に対するインデン誘導体のモル比で1乃至100、好ましくは1乃至20、更に好ましくは1乃至5である。この範囲の下限よりもインデンが少ないと無水マレイン酸が反応生成物中に残留してしまい分離することが困難になるばかりでなく、着色の原因となることも考えられる。またこの範囲を上に超えてインデンが多い場合は過剰のインデンが重合などの副反応を引き起こすことや、反応生成物中に残留し分離することが困難になるばかりでなく、着色の原因となることも考えられる。
反応温度は高いほうが反応速度の点では有利であるが、高すぎると重合などの好ましくない副反応を引き起こして選択率の低下を招く恐れがある。また低すぎてもインデン誘導体からイソインデン誘導体への異性化が起こらないため、反応が進行しない。したがって通常160乃至300℃、特に180乃至250℃で反応を行うのが好ましい。
反応に際しては、原料自身が溶媒の役割を担うことができる場合、それ以外に溶媒を用いることなく反応を行ってもよいが、必要に応じて新たに溶媒を用いても差し支えない。その際、原料及び目的化合物に対して不活性な溶媒であれば、任意のものを使用することができるが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等のエーテル類、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。溶媒の使用量は特に限定されないが、目的化合物の良好な生産性を保持するという点から、通常、反応混合物中の10乃至90重量%であるが、好ましくは30乃至60重量%である。
反応圧力は反応流体及び/または不活性溶媒の反応温度における蒸気圧力以上が好ましく、本発明の反応温度160℃乃至300℃においては、0.1MPaG乃至10MPaGが好ましい。
反応温度は高いほうが反応速度の点では有利であるが、高すぎると重合などの好ましくない副反応を引き起こして選択率の低下を招く恐れがある。また低すぎてもインデン誘導体からイソインデン誘導体への異性化が起こらないため、反応が進行しない。したがって通常160乃至300℃、特に180乃至250℃で反応を行うのが好ましい。
反応に際しては、原料自身が溶媒の役割を担うことができる場合、それ以外に溶媒を用いることなく反応を行ってもよいが、必要に応じて新たに溶媒を用いても差し支えない。その際、原料及び目的化合物に対して不活性な溶媒であれば、任意のものを使用することができるが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等のエーテル類、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。溶媒の使用量は特に限定されないが、目的化合物の良好な生産性を保持するという点から、通常、反応混合物中の10乃至90重量%であるが、好ましくは30乃至60重量%である。
反応圧力は反応流体及び/または不活性溶媒の反応温度における蒸気圧力以上が好ましく、本発明の反応温度160℃乃至300℃においては、0.1MPaG乃至10MPaGが好ましい。
反応時間は、0.1乃至24時間が好ましく、更に好ましくは0.3乃至8時間である。また流通式の反応器で行う場合は、液空間速度(LHSV)が0.05時間−1乃至10時間−1が好ましく、更に好ましくは0.12時間−1乃至3時間−1である。
製造方法は回分式、半流通式、流通式何れによっても製造することができるが、流通式で行うことが好ましい。反応器の気相部の割合は10%以下である。気相部が10%以上あると気相部の壁面で重合などの副反応が起こり選択率が低下するばかりでなく、重合物が付着し異物混入の原因にもなるため好ましくない。また、反応器内は、密度100kg/m3以上、好ましくは500kg/m3以上の流体で満たすとより効果的である。反応器は完全混合型、管型、ループリアクターなどを使用することができる。流通式で行う場合は原料を反応器下方から連続的に流入させ、反応器上方から反応物を連続的に抜きだすことが好ましい。上方へ抜き出すことで気相が無い条件で反応することができる。反応は一段又は二段以上の多段で行うことができ、反応器を直列あるいは並列につないで使用することもできる。
半流通式の場合は、予め反応器に入れた原料にインデン誘導体及び/または無水マレイン酸を追加で連続的に供給し抜き出しは回分式で行うことができる。原料は予め混合しておいても別々に供給することもできる。また、半流通式では原料のインデン誘導体と無水マレイン酸の比率を反応時間とともに変化させて供給することもできる。
流通式では原料のインデン誘導体と無水マレイン酸を別々に、あるいは予め混合して供給することができる。
本発明において、反応工程の前段階に予熱工程を設置することができる。予熱工程は二重管式熱交換器、プレート式熱交換器、多管円筒型熱交換器などの熱交換器に加えて、ジャケット付ドラムなどを用いることもできる。
続いて反応器から抜き出した目的とする5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物誘導体は、一般的には、反応溶液からの晶析、濾過等により分離した後、適当な有機溶剤で洗浄することによって高純度のものを得ることができるが、必要に応じてカラムクロマトグラフィーなどにより精製してもよい。
続いて反応器から抜き出した目的とする5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物誘導体は、一般的には、反応溶液からの晶析、濾過等により分離した後、適当な有機溶剤で洗浄することによって高純度のものを得ることができるが、必要に応じてカラムクロマトグラフィーなどにより精製してもよい。
以下、実施例により本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定を受けるものではない。なお、実施例中において特に断らない限り「部」は「重量部」を示す。
本実施例において分析はガスクロマトグラフィー/質量分析計によって行った。
(装置)ガスクロマトグラフィー:アジレント製 HP5890、質量分析計:日本電子製 JMS−AX505HA
(条件)カラム IC−5MS 内径 0.32mm、長さ30m
反応器内の流体密度はASPEN PULS Ver. 12.1(アスペンテック社製)を用いて計算した。
(条件)カラム IC−5MS 内径 0.32mm、長さ30m
反応器内の流体密度はASPEN PULS Ver. 12.1(アスペンテック社製)を用いて計算した。
[実施例1〜3]
インデン(純度96.0重量%)5,840部、無水マレイン酸(純度98.0%)3,980部(インデン/無水マレイン酸モル比=1.1)に重合禁止剤としてフェノチアジン80.0部を10Lガラス製容器に入れ80℃に加熱することで均一に溶解した。
インデン(純度96.0重量%)5,840部、無水マレイン酸(純度98.0%)3,980部(インデン/無水マレイン酸モル比=1.1)に重合禁止剤としてフェノチアジン80.0部を10Lガラス製容器に入れ80℃に加熱することで均一に溶解した。
反応器として内径6mm、外形8mmのSUS製配管の長さ8.3mをコイル状に巻きシリコンオイルバスに浸積して加熱した。反応管には熱電対を挿入して内温が測定できるようにした。原料供給は前記溶解した原料を供給ポンプで反応管に連続的に供給した。反応管出口には背圧弁を設置して系内圧力を原料類の蒸気圧以上を保てるように調整した。反応管は下方から上方へ流体が流れるように配置した。反応管は反応液で満たされて気相部は実質的に存在しない条件で反応させた。供給速度及び反応温度は表1に示すように行った。
[比較例1]
SUS316製1500mlオートクレーブにインデン767.4部、無水マレイン酸571.1部、フェノチアジン11.5部を仕込み、気相部を窒素で置換した後0.1MPaGに昇圧した。230℃で2.2時間反応を行った。このとき反応器内の流体の密度は883kg/m3であり、気相部の割合は20.5容量%であった。
その後反応液を室温まで冷却し析出した固形物を吸引濾過により分別した後、乾燥した。
反応物中の分子量312の2つのピークの合計濃度は35,900ppmであった。
得られた生成物の無水マレイン酸基準の選択率は73.0%と低いものであった。オートクレーブの天面には重合物と見られる固形物が付着し、次の運転をする前にふき取る操作が必要があった。
SUS316製1500mlオートクレーブにインデン767.4部、無水マレイン酸571.1部、フェノチアジン11.5部を仕込み、気相部を窒素で置換した後0.1MPaGに昇圧した。230℃で2.2時間反応を行った。このとき反応器内の流体の密度は883kg/m3であり、気相部の割合は20.5容量%であった。
その後反応液を室温まで冷却し析出した固形物を吸引濾過により分別した後、乾燥した。
反応物中の分子量312の2つのピークの合計濃度は35,900ppmであった。
得られた生成物の無水マレイン酸基準の選択率は73.0%と低いものであった。オートクレーブの天面には重合物と見られる固形物が付着し、次の運転をする前にふき取る操作が必要があった。
本発明によれば、インデン誘導体と無水マレイン酸との反応により、環状オレフィンコポリマー(COC)などの熱可塑性樹脂用モノマーの合成中間体や、医薬品や化粧品などの合成中間体として有用な5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物類を提供することができる。
Claims (4)
- 分子量312の成分含量が10ppm乃至20,000ppmである下記一般式(1)で表される5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物。
(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,およびR7は水素原子またはヘテロ原子を有することのある置換基を表す。) - 下記一般式(2)で表されるインデン誘導体と無水マレイン酸のディールスアルダー反応において、反応器内を気相部の割合が10%以下で反応させることを特徴とする請求項1に記載の5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物の製造方法。
(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,およびR7は水素原子またはヘテロ原子を有することのある置換基を表す。)
- 上記一般式(2)で表されるインデン誘導体と無水マレイン酸のディールスアルダー反応において、原料を反応器下方から連続的に流入させ、反応器上方から反応物を連続的に抜き出すことを特徴とする請求項2に記載の5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物の製造方法。
- 反応器が管型反応器であることを特徴とする請求項3に記載の5,6−ベンゾノルボルネン−2,3−ジカルボン酸類組成物の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001048852A (ja) * | 1999-08-04 | 2001-02-20 | Mitsui Chemicals Inc | 共役ジオレフィンとアクリロニトリルとのディールス・アルダー付加体の製造方法 |
JP2006056944A (ja) * | 2004-08-18 | 2006-03-02 | Chisso Corp | テトラカルボン酸二無水物、それを原料とする重合体、これらを用いたワニス、配向膜および液晶表示素子 |
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