JP2006335685A - 5−置換オキサゾール化合物の精製方法及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記の式(I)で表される化合物の15℃における溶解度が4.0重量%未満であり、かつ水と相分離する有機溶媒を晶析溶媒として用いることを特徴とする前記式(I)で表される化合物の精製方法、及びこの精製方法を精製工程として含む前記式(I)で表される化合物の製造方法。
(式中、R1は水素原子又はC1−5アルキル基を表し、R2は、ハロゲン原子、C1−5アルキル基又はC1−5アルコキシ基を表し、nは0、1又は2を示す。)
【選択図】 なし
Description
従来、この5−置換オキサゾール化合物の製造方法としては、アルデヒドとp−トリルスルホニルメチルイソシアニド(以下、「TosMIC」と略記する。)とを反応させる方法が知られている(特許文献1等)。また、この方法においては、反応混合物から、メタノール−水の混合溶媒を晶析溶媒として用いて、目的とする5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾールを単離している。
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法には、得られた5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾールを、水素化触媒の存在下に該化合物のニトロ基を水素還元して、5−(2’−メトキシ−4’−アミノフェニル)オキサゾールを得る反応を行う場合に、目的物が効率よく得られない場合があるという問題があった。
(1)式(I)
(2)式(I)
(3)前記式(I)で表される化合物が、式(I−1)
(4)前記有機溶媒として、メチルイソブチルケトン、アニソール、酢酸n−ブチル、シクロヘキサノン、及びモノクロロベンゼンからなる群から選ばれる一種を用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の精製方法。
(5)前記有機溶媒として、メチルイソブチルケトンを用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の精製方法。
(6)前記式(I)で表される化合物が、式(I−2)
(8)式(I)
(9)前記有機溶媒として、メチルイソブチルケトンを用いることを特徴とする(8)に記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、前記式(I)で表されるオキサゾール化合物を、高純度で、かつ効率よく製造することができる。
本発明の精製方法および製造方法により得られる前記式(I)で表されるオキサゾール化合物を用いることにより、最終目的物である農薬・医薬・機能材料等を効率よく得ることができる。
本発明の精製方法は、前記式(I)で表される化合物の精製方法であって、前記式(I)で表される化合物の15℃における溶解度が4.0重量%未満であり、かつ水と相分離する有機溶媒を晶析溶媒として用いることを特徴とする。
本発明は、前記式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」ということがある。)を精製する方法である。
前記式(I)中、R1は、水素原子又はC1−5アルキル基を表す。
C1−5アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。 C1−5アルキル基としては、前記R1のC1−5アルキル基として列挙したものと同様のものが挙げられる。
C1−5アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
nは、0、1又は2を示す。nが2のとき、R2は同一であっても、相異なっていてもよい。
前記式(I−1)中、R2及びnは、前記と同じ意味を表わす。
本発明の晶析方法は、晶析溶媒として、化合物(I)の15℃における溶解度が4.0重量%未満、好ましくは1.5重量%〜4.0重量%であり、かつ水と相分離する有機溶媒を用いる。
ここで、化合物(I)の15℃における溶解度とは、化合物(I)が15℃の有機溶媒に溶解する最大量をいい、4.0重量%とは、化合物(I)の有機溶媒溶液全体に対する含有量が4.0重量%であることを意味する。
また、水と相分離する有機溶媒とは、水と混合した場合に均一とはならず、2相に分離する有機溶媒をいう。
これらの中でも、化合物(I)が前記式(I−1)で表される化合物である場合には、メチルイソブチルケトン、アニソール、酢酸n−ブチル、シクロヘキサノン、及びモノクロロベンゼンからなる群から選ばれる一種が好ましく、メチルイソブチルケトンがより好ましい。
化合物(II)の具体例としては、4−ニトロベンズアルデヒド、2−メトキシ−4−ニトロベンズアルデヒド、2−エトキシ−4−ニトロベンズアルデヒド、3−メトキシ−4−ニトロベンズアルデヒド、2−クロロ−4−ニトロベンズアルデヒド、2−メチル−4−ニトロベンズアルデヒド、3−ニトロベンズアルデヒド、4−メチル−3−ニトロベンズアルデヒド、4−クロロ−3−ニトロベンズアルデヒド、4−メトキシ−3−ニトロベンズアルデヒド、4−メトキシ−2−ニトロベンズアルデヒド、4−メチル−2−ニトロベンズアルデヒド、5−メトキシ−2−ニトロベンズアルデヒド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(III)中、R1は前記と同じ意味を表す。
本発明においては、化合物(III)の中でも、R1が水素原子である化合物(TosMIC)の使用が、入手が容易であることや、化合物(I)を収率よく得られることなどの理由から特に好ましい。
用いる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に制限されない。例えば、水;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ベンゾニトリル、ベンゾトリフルオライド、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;などが挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
反応終了後は、必要に応じて反応液を冷却し、通常の後処理操作により目的物を得ることができる。
用いる相間移動触媒としては、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等のオニウム塩類;クラウン化合物;有機塩基などが挙げられる。
クラウン化合物としては、15−クラウン−5,18−クラウン−6等のクラウンエーテル類;クリプタンド類;等が挙げられる。
無機塩基の使用量は、特に制限されないが、化合物(II)1モルに対して、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは1.0〜3モルである。
反応時間は反応させる化合物、条件によって異なるが、通常数分から48時間である。 反応終了後は、必要に応じて反応液を冷却し、通常の後処理操作により目的物を得ることができる。
この方法に用いる有機塩基としては、pKaが12以上のものが好ましく、具体的には、1・8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、トリエチレンジアミン、4−ジメチルアミノピリジン(AP)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等を例示することができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、DBUまたはAPの使用が好ましい。
従って、例えば、化合物(I)をパラジウム−炭素(Pd−C)触媒の存在下に接触水素還元を行う場合であっても、水素還元反応を短時間で完全に進行させることができる。
本発明の製造方法は、前記式(I)で表される化合物の製造方法であって、化合物(II)と化合物(III)とを反応させる工程と、反応混合物から、前記式(I)で表される化合物の15℃における溶解度が4.0重量%未満であり、かつ水と相分離する有機溶媒と水との混合溶媒を使用して、前記式(I)で表される化合物を晶析させる工程とを有する。
また、得られた反応混合物から、前記式(I)で表される化合物の15℃における溶解度が4.0重量%未満であり、かつ水と相分離する有機溶媒と水との混合溶媒を使用して、前記式(I)で表される化合物を晶析させる工程も、前記本発明の精製方法で説明したのと同様にして行うことができる。
本発明の精製方法および製造方法により得られる化合物(I)を用いることにより、最終目的物である農薬・医薬・機能材料等を効率よく得ることができる。
水酸化カリウム14.0gを含むエチレングリコール100mlに、2−メトキシ−4−ニトロベンズアルデヒド19.5gを室温にて加えた。この混合物にTosMIC20.5gを含む塩化メチレン溶液342.5gを滴下した。全容を室温で攪拌し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で原料が消失するまで反応を続けた。反応終了後、反応液を水洗した後、有機層を分取して、5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾール20.6gを含む塩化メチレン溶液420gを得た。
(晶析工程)
5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾール20.6gを含む塩化メチレン溶液420g中に水100mlを添加した後、全容を加熱して塩化メチレンを完全に留去した。残留物にメチルイソブチルケトン100mlを添加して、80℃まで加熱することにより、5−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)オキサゾールをメチルイソブチルケトンに溶解させた。その後、冷却を行い結晶を析出させ、ろ過、乾燥を行い目的物19.2g(回収率93%)を得た。
上記で得た5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾール2.0gを酢酸イソプロピルエステル20mlに溶解し、ガラス耐圧容器に仕込んだ。ここに5%Pd−C 120mgを仕込んだ後、40psiまで水素を吹き込み、全容を室温で4時間攪拌した。反応液からセライトろ過によりPd−Cを除去し、このろ液のHPLC分析を行い原料が消失し、目的物のみが得られたことを確認した。
実施例1と同様にして、第1表に示す溶媒を晶析工程に用いて晶析を行った。
晶析溶媒の種類、晶析溶媒に用いた有機溶媒に対する、5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾールの15℃における溶解度(重量%、表中、「溶解度」)、晶析工程における5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾールの回収率(%)、及び還元工程における還元率(%)を、第1表にまとめた。
実施例1と同様にして、第1表に示す溶媒を晶析工程に用いて晶析を行った。
晶析溶媒の種類、晶析溶媒に用いた有機溶媒に対する、5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾールの15℃における溶解度(重量%、表中、「溶解度」)、晶析工程における5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾールの回収率(%)、及び還元工程における還元率(%)を、第1表にまとめた。
また、晶析溶媒として水のみを用した場合(比較例3)においては、晶析工程での回収率は高いものの、還元工程は進行せず、晶析により、不純物を含む5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾールが得られたことが示唆される。
5−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)オキサゾールの塩化メチレン溶液を濃縮、乾燥して得られた結晶を、実施例1に示す還元評価をしたところ、還元はほとんど進行していなかった。
Claims (9)
- 前記有機溶媒として、メチルイソブチルケトン、アニソール、酢酸n−ブチル、シクロヘキサノン、及びモノクロロベンゼンからなる群から選ばれる一種を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の精製方法。
- 前記有機溶媒として、メチルイソブチルケトンを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の精製方法。
- 式(I)
反応混合物から、前記式(I)で表される化合物の15℃における溶解度が4.0重量%未満であり、かつ水と相分離する有機溶媒と水との混合溶媒を使用して、前記式(I)で表される化合物を晶析させる工程と
を有することを特徴とする前記式(I)で表される化合物の製造方法。 - 前記有機溶媒として、メチルイソブチルケトンを用いることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
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浅原 照三, 溶剤ハンドブック, JPN6011026738, 1985, pages 47 - 51, ISSN: 0001926605 * |
社団法人 日本化学会, 第4版 実験化学講座 基本操作I, JPN6011026736, 1990, pages 184 - 186, ISSN: 0001926604 * |
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