JP6257340B2 - 9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機半導体や有機EL材料用モノマー等として有用な、フルオレン骨格を有するスピロ化合物の製造方法に関する。
スピロビフルオレン誘導体は、有機半導体や有機EL材料用モノマー等として期待されており、多くの化合物の研究開発が行われている。中でも9,9’−スピロビフルオレン類は鍵中間体となるが、その合成方法として下記に挙げる方法等が知られている。
一般的には、第1工程として2−ハロビフェニルと9−フルオレノン類をグリニャール反応させ、一旦中間体(9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコール類)を取り出し、その後、第2工程として前記中間体を酢酸等の酸を溶媒として用いた反応系で閉環反応を行うことで所望のスピロビフルオレン誘導体を得ている。(例えば特許文献1や非特許文献1)しかしこの製造方法では、1工程目のグリニャール反応において、中間体9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコール類の単離で2回、2工程目の製品9,9’−スピロビフルオレン類の単離で1回、計3回晶析濾過を要する。しかしながらこの方法では、ハンドリング作業が多いことに加え、第1工程、第2工程ともに酸性条件での濾過を含むため設備面での制約があるという問題点を有することから、工業的な製法とは言えない。更に、第二工程の閉環反応は、溶媒として大量の酸を使用すること、酸性条件下、高温(例えば酢酸の沸点)で反応を行う必要があり、そのため使用可能な設備が制限されるといった問題がある。更には、多量の酸の存在下での濾過による取出しを行う為、得られた9,9’−スピロビフルオレン類を工業的に使用可能な品質とする為には再結晶を繰り返す等の精製操作により酸分を除去する必要がある。
上記のような問題点を解決することを目的として、特許文献2では、2,2’−ビフェニルアルミニウム化合物とベンジル位に2個以上のフッ素原子を有する化合物とを反応させて、直接スピロ構造を形成する方法が提案されている。しかしここに開示される方法では、特異なフルオレン化合物を出発物質としており、また収率も不十分で、工業的に一般性のある有利な製法とは言えない。
特開平8−188641号公報 特開2010−138088号公報
J. Am. Chem. Soc., 1930, 52, 2881-2891.
本発明の目的は、上述した課題を解決し、9,9’−スピロビフルオレン類を工業的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、非水性溶媒存在下であれば多量の酸を溶媒として使用しなくとも、中間体(9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコール類)を閉環し9,9’−スピロビフルオレン類を工業的に得られること、また、中間体の製造において、2−ハロビフェニルと9−フルオレノン類のグリニャール反応により得られた中間体9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコール類を、既知方法である晶析濾過で単離する方法ではなく、非水溶性溶媒により反応混合液より抽出することにより、より容易に9,9’−スピロビフルオレン類が製造可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下を含む。
[1]
下記式(1)
Figure 0006257340
(式中、X〜Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、アミノ基又はニトロ基を示し、これらは同一もしくは異なっていても良い。)
で表される化合物を、非水溶性溶媒及び酸存在下で閉環させることを特徴とする、下記式(2)
Figure 0006257340
(式中、X〜Xの意味は上述の通りである。)
で表される9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法。
[2]
閉環させる際の温度が0〜25℃であることを特徴とする[2]記載の9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法。
[3]
酸の使用量が上記式(1)1モルに対し1〜5倍モルであることを特徴とする[1]または[2]記載の9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法。
[4]
上記式(1)で表される化合物が、下記式(3)
Figure 0006257340
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるグリニャール試薬と下記式(4)
Figure 0006257340
(式中、X〜Xの意味は上述の通りである。)
で表される9−フルオレノン類を反応させた後、非水溶性溶媒で抽出する工程を含む方法にて製造されたものであることを特徴とする[1]〜[3]いずれか一項記載の9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法。
[5]
上記式(1)で表される化合物を非水溶性溶媒で抽出した後、単離することなく閉環反応を行い、上記式(2)で表される9,9’−スピロビフルオレン類を製造することを特徴とする、[4]記載の9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法。
本発明によれば、従来、工程が煩雑であった9,9’−スピロビフルオレン類を、簡便かつ高収率で製造することが可能となる。特に本発明においては、閉環反応で多量の酸を溶媒として使用しなくとも9,9’−スピロビフルオレン類が製造可能である。更には第1工程の反応混合物より中間体を非水性溶媒にて抽出し、単離することなく閉環反応が可能であることから、酸性条件下での濾過・取出しが不要となるので設備的制約をなくすことが可能であり、かつ工程全体としての濾過・取り出し回数を削減できるので、工業的優位に9,9’−スピロビフルオレン類が製造可能となる。
以下、本発明をその実施の形態とともに記載する。
本発明における9,9’−スピロビフルオレン類(以下「スピロビフルオレン類」ともいう)は以下式(2)で表される。
Figure 0006257340
(式中、X〜Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、保護されていてもよい水酸基又は保護されていてもよいアミノ基を示し、これらは同一もしくは異なっていても良い。)
上記式(2)中、X〜Xにおけるハロゲン原子としては、F、Cl、Br、Iが挙げられ、好ましくはBrである。アルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基を挙げることができ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。原料の入手性やコスト面から上記式(2)においてX〜Xは各々独立して水素原子またはBrであることが好ましく、特にそれが同一であることが好ましい。
本発明においては、下記式(1)
Figure 0006257340
(式中、X〜Xの意味は上述の通りである。)
で表される化合物である9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコール類(以下フルオレンアルコール類と称することもある)を、非水溶性溶媒及び酸存在下で閉環させ、上記式(2)で表される9,9’−スピロビフルオレン類を製造することを一つの特徴とする。以下、閉環反応について詳述する。
本発明で使用する上記式(1)で表されるフルオレンアルコール類はどのような製法で製造されたものを用いることができるが、製造方法の容易性や工業的優位性から、後述する方法で製造されたフルオレンアルコール類を用いることが好ましい。後述する方法で製造した場合、一般的に入手可能な原料からフルオレンアルコール類を製造し、フルオレンアルコール類を単離することなく閉環反応に用いることが可能となる。
本発明における非水溶性溶媒は、水と混和することのない有機溶媒のことを言い、水と混和しなければ閉環反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。水と混和しないとは、水と同量の溶媒を同じ容器に入れ、2層に分離するものを言い、2層に分離するのであれば、非水溶性溶媒中に第一工程のグリニャール反応で用いたテトラヒドロフラン(以下THFと称することもある。)など少量の水溶性溶媒を含んでいても良い。このような溶媒の例として、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素等が挙げられる。好ましくは芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素であり、特にトルエン、キシレンが好ましい。なお、水溶性溶媒を用いて閉環反応を行った場合、全く反応が進行しないか、反応が著しく遅延し工業的優位に9,9’−スピロビフルオレン類が製造できない為好ましくない。
非水溶性溶媒の使用量は、フルオレンアルコール類1重量倍に対して1〜10重量倍、好ましくは2〜5重量倍である。溶媒の使用量が2重量倍より少ないと、撹拌困難となり反応が進行しないか、反応が著しく遅延する場合がある。5重量倍より多いと、反応時間の遅延や容積効率が低下するなど、生産効率が悪化し経済的に不利である。
閉環反応に用いられる酸は特に限定されないが、強酸(pKaが1未満の酸)が好ましく、このような酸として濃硫酸、濃塩酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸が例示され、濃硫酸が好ましい。酸の使用量は特に限定されるものではないが、通常、フルオレンアルコール類1モルに対して通常0.1〜10モル、好ましくは0.5〜8モル、更に好ましくは1〜5モルである。酸の使用量が1モルより少ない場合反応が進行しない場合があり、5モルより多い場合、反応は進行するものの、反応後多量の酸を中和処理しなければならず、工業的優位に9,9’−スピロビフルオレン類が製造できない場合がある。
本発明において、閉環時の反応温度は特に限定されないが、通常0〜40℃、好ましくは0〜25℃である。反応温度が0℃より低いと、反応が有効に進行しない場合がある。40℃を超えると、不純物が増える場合がある。
反応後、得られた反応混合液は、適宜の後処理操作を施して、スピロビフルオレン化合物を結晶として単離することができる。上記の処理操作としては、例えば、スピロビフルオレン化合物の有機層(有機溶媒)への抽出、洗浄、晶析、濾過、乾燥等を挙げることができるが、これらの操作のうち1以上の操作を省略してもよいし、他の操作を付加してもよい。特に晶析においては、反応で用いた非水溶性溶媒よりそのまま晶析してもよいし、他の貧溶媒や水を加えて晶析してもよい。また、反応後濃縮し、反応で使用した溶媒と異なる溶媒を加え、晶析してもよい。また必要に応じて、単離された結晶を精製してもよい。精製方法としては、再晶析(再結晶)やリパルプ操作等を挙げることができる。これら反応で用いた非水溶性溶媒以外を晶析溶媒として用いる場合、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒、アセトニトリル等のニトリル溶媒、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒を用いることができ、好ましくは芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒であり、特にトルエン、キシレンが好ましい。晶析溶媒は単独または二種類以上の組み合わせで使用できる。
続いて、上記式(1)で表されるフルオレンアルコール類の製造方法について詳述する。上記式(1)で表されるフルオレンアルコール類は、2−ハロビフェニルから合成される以下式(3)
Figure 0006257340
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるグリニャール試薬と、下記式(4)
Figure 0006257340
(式中、X〜Xの意味は上述の通りである。)
で表される9−フルオレノン類を反応させ、9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコール類を得ることができる。なお、上記式(4)で表されるフルオレノン類は上記式(2)のスピロビフルオレン化合物のフルオレン骨格に対応している。
上記式(4)中のX〜Xの意味は上述の通りであり、具体的にX〜Xにおけるハロゲン原子としては、F、Cl、Br、Iが挙げられ、好ましくはBrである。アルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基を挙げることができ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。上記式(4)で表される9−フルオレノン類の入手性やコスト面から上記式(4)においてX〜Xは各々独立して水素原子またはBrであることが好ましく、特にそれが同一であることが好ましい。
上記式(3)で表されるグリニャール試薬は、既知の方法である、マグネシウムと2−ハロビフェニルを有機溶媒中で還流下にて反応させることにより得られる。
本発明における上記式(3)で表されるグリニャール試薬と9−フルオレノン類の使用量は特に限定されるものではないが、9−フルオレン類1モルに対して、グリニャール試薬は0.8〜2モル、好ましくは1〜1.5モル、更に好ましくは1.05〜1.2モルである。グリニャール試薬の使用量が0.8モルより少ないと、9−フルオレノン類の残存が多くなり、収率や純度が低下する場合がある。グリニャール試薬の使用量が2モルより多い場合、過剰分のグリニャール試薬が多くなり経済的に不利である。
本発明において、上記式(4)で表される9−フルオレノン類と、上記式(3)で表されるグリニャールとの反応時に有機溶媒を共存させることが好ましい。この反応で用いられる有機溶媒とは、反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではなく、非プロトン性極性溶媒が用いられる。例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒を使用する場合、その使用量は、9−フルオレノン類に対して通常5〜30倍、好ましくは15〜20倍である。溶媒の使用量が5倍より少ないと、撹拌困難となり反応が進行しないか、反応が著しく遅延する場合がある。30倍より多いと、反応時間の遅延や容積効率が低下するなど、生産効率が悪化し経済的に不利である。
上記式(4)で表される9−フルオレノン類と、上記式(3)で表されるグリニャールとの反応を実施する方法は特に限定されるものではないが、例えば、無水条件下、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン等)雰囲気下で行うことができる。また、その反応温度も特に限定されないが、通常30〜80℃、好ましくは40〜70℃である。反応温度が80℃より高いと、グリニャール同志がカップリングし収率が低下する場合があり、反応温度が30℃より低いと、反応が有効に進行しない場合がある。
本発明においては、上記反応後、フルオレンアルコール類を含む反応混合液を希酸性液にクエンチし、マグネシウム塩を加水分解処理後、非水溶性溶媒にて得られたフルオレンアルコール類を抽出することを特徴とする。
フルオレンアルコール類の抽出で使用する非水溶性溶媒は、得られたフルオレンアルコール類の溶解度が高く、効率的に抽出できるのであればよい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素等が挙げられる。好ましくは芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素であり、特にトルエン、キシレンが好ましい。
フルオレンアルコール類を非水溶性溶媒で抽出後、非水溶性溶媒溶液中の無機分、不純物を除くために水洗を繰り返しても良く、非水溶性溶媒溶液を濃縮し、グリニャール反応で使用した反応溶媒、フルオレンアルコール類を抽出した非水溶性溶媒の一部を回収し、フルオレンアルコール類の高濃度溶液、もしくは、フルオレンアルコール類の一部が結晶化したスラリー液状態としても良い。更には、蒸留、晶析等の定法によりフルオレンアルコール類を単離しても良い。好ましくは、単離操作を行わずフルオレンアルコール類を含む溶液をそのまま閉環反応へと用いることにより、工業的優位に上記式(2)で表される9,9’−スピロビフルオレン類が製造可能となる。単離操作を行わず閉環反応へと用いる場合、フルオレンアルコール類を含む非水溶媒溶液には、未反応のフルオレン類、2−ハロビフェルから副生したビフェニルなど原料由来物を含んでいてもよい。
このように、本発明によれば、従来、工程が煩雑であった9,9’−スピロビフルオレン類を、簡便かつ高収率で製造することが可能となる。特に本発明においては、閉環反応で多量の酸を溶媒として使用しなくとも9,9’−スピロビフルオレン類が製造可能である。更には第1工程の反応混合物より中間体を非水性溶媒にて抽出し、単離することなく閉環反応が可能であることから、酸性条件下での濾過・取出しが不要となるので設備的制約をなくすことが可能であり、かつ工程全体としての濾過・取り出し回数を削減できるので、工業的優位に9,9’−スピロビフルオレン類を、高純度、高収率で製造可能となる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例中、特に限らない限り%は以下条件で分析したHPLCの分析結果において、溶媒に起因するピークを除去した補正後の面積百分率である。分析条件は以下の通りである。
<HPLC測定条件>
装置:島津 LC2010A
カラム:ODS(5μm、4.6φ×150mm)
移動相:水/アセトニトリル(アセトニトリル50%→80%)
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
検出波長:254nm
以下各実施例、参考例、比較例において、9−フルオレンアルコール類を製造する工程において、モル比(M.R.)、重量倍の基準は9−フルオレノン類基準であり、9,9’−スピロビフルオレン類の製造工程においてモル比(M.R.)、重量倍の基準は9−フルオレンアルコール類基準である。
(実施例1 9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールトルエン溶液の製造)
攪拌器、冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、マグネシウム2.8g(0.116mol、1.16M.R.)、2−ブロモビフェニル24.5g(0.105mol、1.05M.R.)および脱水THF180gを仕込み、窒素気流下、還流まで昇温し、還流下にて2時間撹拌した。反応溶液中に、9−フルオレノン18.0g(0.100mol)をTHF90gに溶解した液を滴下し、50℃にて3時間反応した。この反応混合液は室温に戻し、反応混合液を氷冷した15%硫酸水溶液180g中に注ぎ、1時間撹拌した。室温に戻し、この反応混合液にトルエン54gを加え抽出した後、反応混合液を含む有機層を洗浄水が中性となるまで水洗を行った。水洗後、有機層を適当なところまで濃縮した所、9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールのトルエン溶液130gが得られた。得られたトルエン溶液をHPLCにより分析し、絶対検量線法にて9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールの含量を測定した所、24.4%であった。9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールの得量31.7g、収率95%)
(実施例2 9−フルオレンアルコールトルエン溶液を用いた9,9’−スピロビフルオレンの製造)
実施例1で得られた9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールのトルエン溶液130gに、濃硫酸9.5g(0.095mol、1.00M.R.)を仕込み、室温にて2時間反応した。得られた反応混合液を苛性水で洗浄した後、反応混合液を含む有機層を洗浄水が中性となるまで水洗を行った。水洗後、有機層を適当なところまで濃縮した後、メタノール255gを加えて晶析し、濾過、乾燥することにより、9,9’−スピロビフルオレンの白色結晶24.0g(収率84%、実施例1からの通算収率80%、純度98%)を得た。
(実施例3 9−(2−ビフェニル)−2,7−ジブロモ−9−フルオレンアルコールトルエン溶液の製造)
攪拌器、冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、マグネシウム3.2g(0.132mol、1.32M.R.)、2−ブロモビフェニル28.0g(0.120mol、1.20M.R.)および脱水THF180gを仕込み、窒素気流下、還流まで昇温し、還流下にて2時間撹拌した。反応溶液中に、2,7−ジブロモ−9−フルオレノン33.8g(0.100mol)をTHF496gに溶解した液を滴下し、還流下にて3時間反応した。この反応混合液は室温に戻し、反応混合液を氷冷した15%硫酸水溶液338g中に注ぎ、1時間撹拌した。室温に戻し、この反応混合液にトルエン169gを加え抽出した後、反応混合液を含む有機層を洗浄水が中性となるまで水洗を行った。水洗後、有機層を適当なところまで濃縮した所、9−(2−ビフェニル)−2,7−ジブロモ−9−フルオレンアルコールのトルエン溶液180gが得られた。得られたトルエン溶液をHPLCにより分析し、絶対検量線法にて9−(2−ビフェニル)−2,7−ジブロモ−9−フルオレンアルコールの含量を測定した所、24.6%であった。(9−(2−ビフェニル)−2,7−ジブロモ−9−フルオレンアルコールの得量44.3g、収率90%)
(実施例4 9−(2−ビフェニル)−2,7−ジブロモ−9−フルオレンアルコールトルエン溶液を用いた2,7−ジブロモ−9,9’−スピロビフルオレンの製造)
実施例3で得られた9−(2−ビフェニル)−2,7−ジブロモ−9−フルオレンアルコールのトルエン溶液180gに、濃硫酸18.0g(0.180mol、2.00M.R.)を仕込み、室温にて2時間反応した。得られた反応混合液に苛性水を加えて中和した後、トルエンを加えて晶析し、濾過、乾燥することにより、2,7−ジブロモ−9,9’−スピロビフルオレンの白色結晶35.9g(収率80%、実施例3からの通算収率72%、純度95%)を得た。
(参考例1 9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールの製造)
攪拌器、冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、マグネシウム2.8g(0.116mol、1.16M.R.)、2−ブロモビフェニル24.5g(0.105mol、1.05M.R.)および脱水THF180gを仕込み、窒素気流下、還流まで昇温し、還流下にて2時間撹拌した。反応溶液中に、9−フルオレノン18.0g(0.100mol)をTHF90gに溶解した液を滴下し、50℃にて3時間反応した。反応後、反応混合液を室温まで冷却した後、生成した結晶を濾別し粗結晶を得た。得られた粗結晶を希塩酸中で加水分解し、濾過、乾燥することにより、9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールの白色結晶28.2g(収率80%、純度95%)を得た。
(実施例5 9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールの結晶を用いた9,9’−スピロビフルオレンの製造)
参考例1で得られた9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコール28.2g、硫酸8.0gおよびトルエン80gを仕込み、室温にて2時間反応した。得られた反応混合液に苛性水を加えて中和した後、濾過、乾燥することにより、9,9’−スピロビフルオレンの白色結晶22.0g(収率85%、参考例1からの通算収率68%、純度98%)を得た。
(参考例2 9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールの製造)
攪拌器、冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、マグネシウム2.8g(0.116mol、1.10M.R.)、2−ブロモビフェニル24.5g(0.105mol)および脱水THF48gを仕込み、窒素気流下、還流まで昇温し、還流下にて2時間撹拌した。反応溶液中に、9−フルオレノン19.1g(0.106mol、1.00M.R.)をTHF22gに懸濁した液を滴下し、還流下にて3時間反応した。反応後、反応混合液を室温まで冷却した後、生成した結晶を濾別し粗結晶を得た。得られた粗結晶を希塩酸中で加水分解し、濾過、乾燥することにより、9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールの白色結晶31.3g(収率84%、純度95%)を得た。
(比較例1)
参考例2で得られた9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコール31.3g、35%塩酸数滴および酢酸96g(1.60mol、18.0M.R.)を仕込み、反応系が還流するまで昇温し、還流下(約120℃)にて1時間撹拌した。この反応混合液を室温まで冷却し、濾過、乾燥することにより、9,9’−スピロビフルオレンの白色結晶19.2g(収率67%、純度98%、参考例2からの通算収率56%)を得た。
(参考例3 9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールの製造)
参考例1と同様の仕込み量、反応条件にて反応を実施し、9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールの白色結晶29.2g(収率82%、純度94%)を得た。
(比較例2)
実施例5において、溶媒をトルエンからTHFへと変更し、9−(2−ビフェニル)−9−フルオレンアルコールを参考例3で得られたものを使用する以外は実施例5と同様に反応を行い、室温で2時間反応後、反応マスをHPLCで分析したところ、9,9’−スピロビフルオレンは全く生成していなかった。

Claims (5)

  1. 下記式(1)
    Figure 0006257340
    (式中、X〜Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、アミノ基又はニトロ基を示し、これらは同一もしくは異なっていても良い。)
    で表される化合物を、非水溶性溶媒及び酸存在下で閉環させることを特徴とする、下記式(2)
    Figure 0006257340
    (式中、X〜Xの意味は上述の通りである。)
    で表される9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法。
  2. 閉環させる際の温度が0〜25℃であることを特徴とする請求項1記載の9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法。
  3. 酸の使用量が上記式(1)1モルに対し1〜5倍モルであることを特徴とする請求項1または2記載の9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法。
  4. 上記式(1)で表される化合物が、下記式(3)
    Figure 0006257340
    (式中、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表されるグリニャール試薬と下記式(4)
    Figure 0006257340
    (式中、X〜Xの意味は上述の通りである。)
    で表される9−フルオレノン類を反応させた後、反応混合液と希酸性液とを混合させる工程、及び非水溶性溶媒で抽出する工程を含む方法にて製造されたものであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項記載の9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法。
  5. 上記式(1)で表される化合物を非水溶性溶媒で抽出した後、単離することなく閉環反応を行い、上記式(2)で表される9,9’−スピロビフルオレン類を製造することを特徴とする、請求項4記載の9,9’−スピロビフルオレン類の製造方法。
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