JPH08119939A - 高純度エーテル型ビスマレイミドの製造方法 - Google Patents

高純度エーテル型ビスマレイミドの製造方法

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JPH08119939A
JPH08119939A JP6256856A JP25685694A JPH08119939A JP H08119939 A JPH08119939 A JP H08119939A JP 6256856 A JP6256856 A JP 6256856A JP 25685694 A JP25685694 A JP 25685694A JP H08119939 A JPH08119939 A JP H08119939A
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reaction
aprotic polar
polar solvent
compound
formula
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JP6256856A
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Takeshi Nakato
毅 中藤
Hiromi Chiba
裕美 千葉
Kaoru Kanayama
薫 金山
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ビスフェノール及びハロニトロベンゼンを非
プロトン性極性溶媒中反応させジニトロ化合物とし、非
プロトン性極性溶媒を留去後、置換ベンゼンを加え、置
換ベンゼン溶液としたジニトロ化合物を還元してジアミ
ン化合物を得、無水マレイン酸を付加させてビスマレア
ミド酸とし、これを脱水閉環してエーテル型ビスマレイ
ミドを製造する方法において、各中間体を反応液から単
離精製することなく、一連の工程として順次反応を行う
ことを特徴とするエーテル型ビスマレイミドの製造方法 【効果】 本発明により、入手容易な出発原料から一貫
した簡略な製造工程で、工業的に有利に、かつ収率よ
く、高純度で溶媒を内包することなくエーテル型ビスマ
レイミドを製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エーテル型ビスマレイ
ミドの製造方法に関する。本発明の方法で得られるエー
テル型ビスマレイミドは、積層材料、封止材料、電気絶
縁材料、導電性ペースト、接着剤及び構造材料として有
用なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリマレイミドの製造方法として
は、ポリアミンと無水マレイン酸とをアセトン等のケト
ン溶媒またはN,N−ジメチルホルムアミド等の極性溶
媒の存在下、無水酢酸等の脱水剤を用い、トリエチルア
ミン等の塩基及び金属化合物を加えて脱水閉環反応する
方法(特公昭59−52660号、特開昭63−661
64号公報等)が知られているが、この方法では閉環反
応が十分進行せず、製造されたポリマレイミドは未閉環
のポリマレアミド酸がかなり存在する。更に、無水酢酸
を脱水剤として用いる方法では、反応により副生する酢
酸を除去する煩雑な工程が必要である。
【0003】一方、脱水剤を用いない方法としては、ポ
リアミンと無水マレイン酸とを芳香族系溶媒と非プロト
ン性極性溶媒との混合溶媒中で反応させてポリマレアミ
ド酸を得た後、酸触媒を用いて脱水閉環反応させて高純
度のポリマレイミドを得る方法(特開昭60−2606
23、63−301226号公報等)が知られている。
しかし、これらの方法で、2,2−ビス[4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル]プロパンのような芳香族ジ
アミンからエーテル型ビスマレイミドを製造しようとす
る場合、生成ビスマレイミドを結晶析出させると結晶内
に該溶媒が内包される。
【0004】特開平1−211563号公報には、ベン
ゼン、トルエン、エチルベンゼン、クロルベンゼン等の
芳香族系溶媒と非プロトン性極性溶媒との混合溶媒中、
低温で付加反応させた後、閉環反応を行い、未反応のビ
スマレアミド酸がかなり残存する状態でビスマレイミド
の結晶を析出させ、得られた結晶をメタノール洗浄する
ことにより溶媒を内包しない高純度のエーテル型ビスマ
レイミドを得る例が挙げられている。
【0005】しかしながら、上記の方法で反応条件を最
適化してビスマレアミド酸等がほとんど、あるいは全く
存在しない反応液からエーテル型ビスマレイミドを得よ
うとする場合、結晶内に芳香族系溶媒が内包され、通常
の乾燥方法では析出した結晶から内包された溶媒を完全
に除くことができず、これをそのまま硬化反応に用いた
のでは発泡してしまうという問題を生じる。そのため、
溶媒を内包しない高純度品を得るには低沸点ハロゲン化
炭化水素溶媒で再結晶させる方法(特開平1−2385
68号公報参照)、あるいは、乾燥して得られたビスマ
レイミドをテトラヒドロフランやアセトンに溶解して水
で再沈させる方法(特開平3−145462号公報)を
とる必要があり、製造工程が煩雑となっている。
【0006】一方、2,2−ビス[4−(4−マレイミ
ドフェノキシ)フェニル]プロパンのようなエーテル型
ビスマレイミドを製造する方法は、入手容易なハロニト
ロベンゼン、ビスフェノール及びアルカリ金属化合物を
非プロトン性極性溶媒中で反応させてジニトロ化合物を
得、単離精製した後、これを再び溶液に調製して還元反
応を行いジアミン化合物とし、溶媒を留去した後、前述
の方法により無水マレイン酸と反応させてエーテル型ビ
スマレイミドを得るというのが一般的な方法である。
【0007】一連の工程で、ジニトロ化合物を得る方法
は非プロトン性極性溶媒中で行われ、還元反応において
は、反応に不活性なメタノール、エタノール、イソプロ
パノール、N,N−ジメチルホルムアミドなどが反応溶
媒として好ましく、さらにジアミン化合物と無水マレイ
ン酸との反応は芳香族系溶媒と非プロトン性極性溶媒と
の混合溶媒中で行われるため、各中間体を反応液から単
離精製することなく一連の工程として順次反応を行うこ
とは、各反応における最適な条件を選択して最終製品の
純度、収率をあげるという合目的的製法からすれば好ま
しくないと考えられていた。
【0008】中間体を反応液から単離精製することなく
反応を行いビスイミド化合物を得る方法として、ジニト
ロ化合物を脂肪酸エステル中で還元してジアミンとした
後、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物を反応させてビ
スアミド酸とし、引き続き脱水剤としてカルボン酸無水
物により脱水閉環してビスイミド化合物を得る方法が提
案されている(特開平6−116236号公報)。しか
し、エーテル型ビスマレイミドの製造に用いられるビス
フェノールのジニトロ誘導体は工業製品として汎用なも
のではなく、また、当該ジニトロ化合物を得るには副生
塩を除去するための煩雑な工程が必要であり、工業的に
有利にジニトロ化合物を得る反応も以降の一連の工程に
組み入れて製造工程の簡略化を行うことが望まれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、入手容易な
出発原料から一貫した簡略な製造工程で、工業的に有利
に、かつ収率よく、高純度で溶媒を内包することなくエ
ーテル型ビスマレイミドを製造することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は 〔第一工程〕一般式(I)
【0011】
【化7】
【0012】〔Xは、−C(CH32−、−C(C
32−、−CH2−、−S−、−SO2−、−O−から
選ばれる2価の基であり、Rはそれぞれ同じか、異なる
フッ素原子、塩素原子、臭素原子を表し、mは0〜4の
整数を表す〕で示されるビスフェノール及びハロニトロ
ベンゼンを非プロトン性極性溶媒中、アルカリ金属化合
物の存在下に反応させ、一般式(II)
【0013】
【化8】 〔式中、X、R、mは前記と同じ〕で示されるジニトロ
化合物とする工程、 〔第二工程〕得られた反応液から非プロトン性極性溶媒
を留去して反応液を濃縮した後、該濃縮液に一般式(II
I)
【0014】
【化9】 (式中、Y、Zはハロゲン原子、炭素数1〜2のアルキ
ル基を示し、nは1〜3の整数であり、n=1の場合、
YとZはパラ位の位置関係にある)で示される置換ベン
ゼン及び水を加えた後、二層分離させて油層を分液して
ジニトロ化合物の置換ベンゼン溶液を得る工程、 〔第三工程〕得られた溶液中のジニトロ化合物を接触還
元して一般式(IV)
【0015】
【化10】 〔式中、X、R、mは前記と同じ〕で示されるジアミン
化合物とする工程、 〔第四工程〕得られたジアミン化合物の置換ベンゼン溶
液に非プロトン性極性溶媒を添加し、無水マレイン酸を
加えて付加反応させ、一般式(V)
【0016】
【化11】 〔式中、X、R、mは前記と同じ〕で示されるビスマレ
アミド酸とする工程、 〔第五工程〕該反応溶液に酸触媒を加え、常圧、または
減圧下、反応溶液の還流温度にてビスマレアミド酸を脱
水閉環反応させ、副生する水を置換ベンゼンと共沸除去
して一般式(VI)
【0017】
【化12】 〔式中、X、R、mは前記と同じ〕で示されるエーテル
型ビスマレイミドとする工程、 〔第六工程〕得られた反応液を水洗した後、冷却してエ
ーテル型ビスマレイミドを析出分離する工程、上記6つ
の工程を一連の工程として順次行なうことを特徴とする
高純度エーテル型ビスマレイミドの製造方法を提供する
ものである。 (第一工程)本発明の第一工程は一般式(I)で示され
るビスフェノール及びハロニトロベンゼンを非プロトン
性極性溶媒中、アルカリ金属化合物の存在下にカップリ
ング反応させ、一般式(II)で示されるジニトロ化合物を
生成させる工程である。
【0018】ビスフェノール類としては、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル
等が挙げられるが、特に好ましくは2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパンである。
【0019】ハロニトロベンゼンとしては、パラクロロ
ニトロベンゼン、メタクロロニトロベンゼン、オルソク
ロロニトロベンゼン、パラブロモニトロベンゼン、メタ
ブロモニトロベンゼン、オルソブロモニトロベンゼン、
パラヨードニトロベンゼン、メタヨードニトロベンゼ
ン、オルソヨードニトロベンゼン、パラフルオロニトロ
ベンゼン、メタフルオロニトロベンゼン、オルソフルオ
ロニトロベンゼンが挙げられる。この中で特に好ましい
のは反応性、経済性の点からパラクロロニトロベンゼン
である。ハロニトロベンゼンの使用量はビスフェノール
の水酸基1当量に対して0.7〜2.0モル、好ましく
は1.0〜1.5モルの範囲である。
【0020】アルカリ金属化合物としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、
ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアル
カリ金属アルコラートが挙げられ、これらの中で好まし
いものは、水酸化物または炭酸塩である。アルカリ金属
アルコラートは非水系溶媒溶液として使用されるが、そ
の他のアルカリ金属化合物は、固体、または10〜70
重量%の水溶液で使用することができる。予めビスフェ
ノールとアルカリ金属化合物を反応させてフェノラート
を形成させた後、ハロニトロベンゼンと反応させること
も可能である。
【0021】アルカリ金属化合物の添加量はビスフェノ
ールの水酸基1モルに対して0.5〜2モル、好ましく
は1.0〜1.5モルの範囲である。非プロトン性極性
溶媒としては、フェノラートを溶解しやすい溶媒、例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−
ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチル尿素等
のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のイオウ系溶
媒、ヘキサメチルホスホロアミド等のリン系溶媒等が挙
げられ、アミド系溶媒が好ましく用いられる。
【0022】用いられる溶媒の量はビスフェノール1重
量部に対して1〜100重量部、好ましくは2〜50重
量部である。反応は、70℃〜250℃で行なわれ、反
応温度が70℃以下では反応が著しく遅くなるため好ま
しくなく、250℃以上になると着色が顕著となり好ま
しくない。反応時間は5〜20時間であり、高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)でビスフェノールが検出
されなくなった時点で終点とする。
【0023】(第二工程)得られた反応液は常圧〜5ヘ
クトパスカルの圧力下、少なくとも非プロトン性極性溶
媒の残存率が15%以下、好ましくは10%以下、より
好ましくは5%以下になるように留去し濃縮される。回
収された非プロトン性極性溶媒は第四工程で添加する溶
媒として再使用することが可能である。濃縮後、前記一
般式(III)で示される置換ベンゼンが系内に添加され
る。置換ベンゼンの量としては第一工程で仕込まれた原
料のビスフェノールを基準とし、ビスフェノール1重量
部に対して1〜100重量部、好ましくは2〜50重量
部である。
【0024】前記一般式(III)で示される置換ベンゼン
はベンゼン環に置換基を2〜4個有し、2個の場合には
p−置換体であり、具体的には、p−キシレン、p−ジ
エチルベンゼン、p−クロロトルエン、メシチレン等が
挙げられる。これらのなかで、p−キシレンが適度な沸
点及びビスマレイミドに対する溶解性を有する点で特に
好ましい。
【0025】次に、溶媒置換されたジニトロ化合物の置
換ベンゼン溶液は、第一工程で用いたアルカリ金属化合
物より生成した塩を取り除くため、水洗後油水分離を行
い洗浄される。洗浄は、上記置換ベンゼン1重量部に対
して0.1〜5重量部、好ましくは0.4〜2重量部の
水を加え、攪拌後静置して二層分離させ、分液して油層
を得る。攪拌は、回転数30〜300rpmで3〜30
分間攪拌することにより行われる。洗浄は、20〜95
℃の温度範囲で、1〜5回、好ましくは2回以上行う。
分液後、ジニトロ化合物の置換ベンゼン溶液が得られ
る。
【0026】(第三工程)得られたジニトロ化合物は、
触媒存在下、耐圧反応器中で接触還元される。耐圧反応
器中の水素圧は0.1〜15MPa、好ましくは0.5
〜5MPaであり、水素圧が0.1MPa以下では反応
が著しく遅くなり、15MPa以上では装置上の制約が
多くなり経済的ではない。反応温度は50〜150℃の
範囲で行なうが、実質的に本反応は80℃前後で開始す
る為、80〜120℃の範囲で実施するのが好ましい。
150℃以上になると急激に反応が進行し、好ましくな
い不純物が副生する。水素が吸収されなくなった時点を
終点とするが、更に少なくとも30分間反応を継続する
ことが純度の点から好ましい。
【0027】還元触媒としては一般的な還元触媒を用い
ることが出来、例えばニッケル、白金、パラジウム等の
金属触媒やそのラネー触媒、担持触媒などが挙げられ
る。触媒量はジニトロ化合物に対して金属基準で0.0
1〜10重量%使用される。反応終了後の反応液は、反
応時に生成した水を共沸あるいは、無水硫酸ナトリウ
ム、無水硫酸マグネシウム、ゼオライトなどの固体乾燥
剤により取り除いた後、還元触媒をろ過し、ジアミン化
合物の置換ベンゼン溶液を得る。
【0028】(第四工程)得られたジアミン化合物の置
換ベンゼン溶液に非プロトン性極性溶媒を添加して無水
マレイン酸と付加反応させることによりビスマレアミド
酸を生成する。添加される非プロトン性極性溶媒は第一
工程で用いられる非プロトン性極性溶媒と同一であって
もまた、異ってもさしつかえないが、付加反応で生成す
るビスマレアミド酸を溶解しやすい溶媒、例えば、N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトア
ミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル
−2−イミダゾリジノン、テトラメチル尿素酸等のアミ
ド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のイオウ系溶媒、ヘ
キサメチルホスホロアミド等のリン系溶媒等が挙げられ
る。非プロトン性極性溶媒は、沸点150℃以上で、水
と共沸しにくいものが好ましく、前記の中でもアミド系
溶媒が好ましく用いられる。全溶媒中の非プロトン性極
性溶媒の量は、ビスマレイミドの析出、分離の点で少な
いほうが好ましく、通常、0.1〜30重量%、好まし
くは1〜20重量%である。
【0029】反応は、前記置換ベンゼンと非プロトン性
極性溶媒との混合溶媒に溶解したジアミン化合物の溶液
を、所定の反応温度まで加熱した置換ベンゼン、あるい
は、非プロトン性極性溶媒との混合溶媒に溶解した無水
マレイン酸溶液中に滴下する。ジアミン化合物に対する
無水マレイン酸の割合は、ジアミン化合物のアミノ基1
当量に対し無水マレイン酸を0.9〜5モル、好ましく
は、1.0〜1.3モルを用いる。混合溶媒はジアミン
化合物1重量部に対し、1〜50重量部、好ましくは2
〜20重量部の割合で使用される。反応温度は70〜1
50℃で行われ、付加反応温度が70℃未満であると反
応が十分進行しないため、また、150℃を超えると重
合物が多くなるため、エーテル型ビスマレイミドの純度
が低下する。滴下時間は、0.5〜5時間で、滴下終了
後、更に0.1〜5時間加熱して反応を継続する。ジア
ミン化合物が無くなったことを確認し、ビスマレアミド
酸のスラリー液を得る。
【0030】(第五工程)ビスマレアミド酸の脱水閉環
反応は、酸触媒の添加後、常圧、または減圧下、生成水
を反応溶媒と共沸留去しながら行われる。生成水と共沸
した溶媒は、冷却、相分離後、反応系に戻される。反応
は、ビスマレアミド酸がなくなった点、具体的には、不
均一系から均一系に変化した点を終点とする。脱水閉環
温度は80〜200℃、好ましくは、80〜150℃
で、80℃未満では、脱水反応が進行しにくく、また、
200℃を超えると重合物が多く生成する。また、圧力
は1013〜10hPaの範囲が好ましい。
【0031】脱水閉環反応に使用される酸触媒として
は、硫酸、無水硫酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン
酸、縮合リン酸等の無機酸触媒、及び、p−トルエンス
ルホン酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフ
ルオロメタンスルホン酸等の有機酸触媒が挙げられ、有
機酸触媒が好ましく用いられる。これらの酸触媒の使用
量は、第三工程で得られたジアミン化合物の収量を基準
にしてアミノ基1当量に対して0.0001〜1モル、
好ましくは0.001〜0.5モルの範囲である。
【0032】(第六工程)上記工程により得られたエー
テル型ビスマレイミドの混合溶媒溶液は水洗後油水分離
を行い洗浄される。洗浄は、反応液中に含まれる、生成
したビスマレイミド1重量部に対し、0.1〜20重量
部、好ましくは0.3〜10重量部の水を加えて、攪拌
後、静置する。攪拌は、回転数30〜300rpmで3
〜30分間攪拌することにより行われる。洗浄は、20
〜95℃の温度範囲で、1〜5回、好ましくは2回以上
行う。洗浄後の反応液は、そのまま晶析させるか、ある
いは、濃縮し冷却してエーテル型ビスマレイミドを析出
させる。晶析は、60℃以下、特に好ましくは50℃以
下で、攪拌下で行われ、最初の結晶析出後30分以上、
好ましくは1時間以上攪拌を続けるのがよい。析出した
エーテル型ビスマレイミドは、濾別後、乾燥させて目的
物を得る。乾燥は、50℃から融点以下の温度で1〜1
00時間、好ましくは、3〜50時間の範囲で行う。こ
のような方法により得られるビスマレイミドは、液体ク
ロマトグラフ(示差屈折率検出器)の面積百分率で測定
したオリゴマー及びポリマー成分5%以下、ガスクロマ
トグラフ(FID)の絶対検量線法で測定した残存溶媒
量1重量%以下、N/10KOHエタノール溶液で滴定
した酸価が2.5(mg・KOH/g)以下の高純度品
である。
【0033】
【発明の効果】高純度で溶媒を内包しないエーテル型ビ
スマレイミドを得るためには、第四工程の無水マレイン
酸の付加反応と第五工程の脱水閉環反応において、非プ
ロトン性極性溶媒を添加した前記一般式(III)で示され
る置換ベンゼンの混合溶媒中で反応を行う必要がある。
第三工程の還元反応に一般式(III)で示される置換ベン
ゼンを溶媒として用いても反応に何ら影響を与えないと
いう知見のもとに、第三工程終了時の反応液に非プロト
ン性極性溶媒を添加するという簡単な操作だけで中間生
成物を単離することなく第四工程、第五工程の反応を連
続的に行うことが可能となった。
【0034】さらに第一工程において非プロトン性極性
溶媒中、カップリング反応で得られたジニトロ化合物は
単離精製することなく、簡単な溶媒置換操作により第三
工程以降の反応溶媒として用いられる一般式(III)で示
される置換ベンゼンの溶液に調製される。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。 実施例1 攪拌装置、冷却器、温度計の付いた1000mlの四つ
口フラスコにパラクロロニトロベンゼン132.3g
(0.84モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン91.2g(0.4モル)、炭酸ナトリ
ウム112g(0.8モル)、N,N′−ジメチルホル
ムアミド460gを仕込み、攪拌しながら還流温度(1
52℃)まで昇温した。還流を保持しながら反応を13
時間継続し、赤褐色スラリー状のジニトロ溶液を得た
〔第一工程〕。
【0036】冷却器を蒸留器に替えて引き続き加熱を行
ないN,N−ジメチルホルムアミド440g(回収率9
6%)を常圧で留去した後p−キシレン700gを加
え、蒸留水300ml×4回水洗し、副生塩を除去し
た。得られたジニトロ溶液は22.1%濃度の赤褐色透
明液体であり、収量は843.0gであった〔第二工
程〕。
【0037】このジニトロ溶液500g、5%パラジウ
ムカーボン1.1g(0.1wt%)を温度計、圧力
計、水素導入管及び水素パージ口を備えた1リットルの
オートクレーブに仕込み、系内を水素で3回パージした
後、攪拌しながら温度100℃、水素圧3MPaにして
反応を行った。3時間後水素吸収が停止し、更に1時
間、攪拌を続けて反応を完結させた。反応終了後、無水
硫酸ナトリウム40gを添加して脱水した後、100℃
に加熱した加圧濾過器を用いて触媒とともに除去し、2
2.0%濃度の淡黄色透明のジアミン溶液498gを得
た〔第三工程〕。
【0038】冷却器、温度計、攪拌器および水分離器を
備えた300mlの四つ口フラスコ内に、無水マレイン
酸15.4gおよびp−キシレン41.6gを仕込み、
内温を100℃に調整した。次に、得られたジアミン溶
液を内温100℃に調整しながら1時間かけて滴下し、
終了後、さらに同温で1時間攪拌し、付加反応させた
〔第四工程〕。
【0039】続いて、パラトルエンスルホン酸1.6g
を添加後昇温し、減圧下、p−キシレンの還流下(11
0℃)に7.5時間保ち閉環反応を遂行した。この間に
生成した水は、p−キシレンとともに系外へ留去せしめ
た〔第五工程〕。反応終了後、純水40g、温度90〜
95℃で4回洗浄した。水洗後、反応液を温度70〜8
0℃、減圧下(200〜10hPa)でp−キシレン
6.5g(p−キシレンに対する留去率5.8%、残存
p−キシレン106g)を留去し、攪拌しながら冷却し
てエーテル型ビスマレイミドを析出させた。析出物を濾
別し、減圧下60℃で26時間乾燥して、淡黄色のエー
テル型ビスマレイミドの粉末25.4gを得た〔第六工
程〕(エーテル型ビスマレイミドの第一工程からの理論
量に対する収率89.2%)。
【0040】このエーテル型ビスマレイミドのキャピラ
リー法による融点は、140〜144℃、液体クロマト
グラフ(示差屈折率検出器)の面積百分率で測定した純
度は、98.5%、ガスクロマトグラフ(FID)の絶
対検量線法で測定した残存溶媒量は、0.8重量%、N
/10KOHエタノール溶液で滴定した酸価は、0.6
5(mg・KOH/g)であった。 比較例1 実施例1において芳香族系溶媒をトルエンに変えた以外
は、実施例1と同様にして淡黄色のエーテル型ビスマレ
イミド27.5g(見かけの収率96.6%)を得た。
【0041】このエーテル型ビスマレイミドは、トルエ
ン13.1重量%を含み(トルエンを除外した純度は、
98.2%)、融点120〜122℃、酸価2.48
(mg・KOH/g)であった。 実施例2〜6 ビスフェノール、ハロニトロベンゼン、置換ベンゼン、
第五工程の反応条件を表1のように変えた以外は、第一
〜第四工程及び第六工程の反応条件等は、実施例1と同
様に行いエーテル型ビスマレイミドを得た。結果を表1
に示す。
【0042】
【表1】

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】〔第一工程〕 一般式(I) 【化1】 〔Xは、−C(CH32−、−C(CF32−、−CH
    2−、−S−、−SO2−、−O−から選ばれる2価の基
    であり、Rはそれぞれ同じか、異なるフッ素原子、塩素
    原子、臭素原子を表し、mは0〜4の整数を表す〕で示
    されるビスフェノール及びハロニトロベンゼンを非プロ
    トン性極性溶媒中、アルカリ金属化合物の存在下に反応
    させ、一般式(II) 【化2】 〔式中、X、R、mは前記と同じ〕で示されるジニトロ
    化合物とする工程、 〔第二工程〕得られた反応液から非プロトン性極性溶媒
    を留去して反応液を濃縮した後、該濃縮液に一般式(II
    I) 【化3】 (式中、Y、Zはハロゲン原子、炭素数1〜2のアルキ
    ル基を示し、nは1〜3の整数であり、n=1の場合、
    YとZはパラ位の位置関係にある)で示される置換ベン
    ゼンを加えてジニトロ化合物の置換ベンゼン溶液を得る
    工程、 〔第三工程〕得られた溶液中のジニトロ化合物を接触還
    元して一般式(IV) 【化4】 〔式中、X、R、mは前記と同じ〕で示されるジアミン
    化合物とする工程、 〔第四工程〕得られたジアミン化合物の置換ベンゼン溶
    液に非プロトン性極性溶媒を添加し、無水マレイン酸を
    加えて付加反応させ、一般式(V) 【化5】 〔式中、X、R、mは前記と同じ〕で示されるビスマレ
    アミド酸とする工程、 〔第五工程〕該反応溶液に酸触媒を加え、常圧、または
    減圧下、反応溶液の還流温度にてビスマレアミド酸を脱
    水閉環反応させ、副生する水を置換ベンゼンと共沸除去
    して一般式(VI) 【化6】 〔式中、X、R、mは前記と同じ〕で示されるエーテル
    型ビスマレイミドとする工程、 〔第六工程〕得られた反応液を水洗した後、冷却してエ
    ーテル型ビスマレイミドを析出分離する工程、 上記6つの工程を一連の工程として順次行なうことを特
    徴とする高純度エーテル型ビスマレイミドの製造方法。
  2. 【請求項2】第一工程で使用されるビスフェノールが
    2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンであ
    る請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】第一工程で使用されるハロニトロベンゼン
    がパラクロロニトロベンゼンである請求項1記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】第一工程で使用されるアルカリ金属化合物
    が炭酸ナトリウムである請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】第一工程で使用される非プロトン性極性溶
    媒がN,N−ジメチルホルムアミドである請求項1記載
    の製造方法。
  6. 【請求項6】第二工程で非プロトン性極性溶媒を60%
    以上留去することを特徴とする請求項1記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】第二工程で加える置換ベンゼンが、p−キ
    シレン、p−ジエチルベンゼン、p−クロロトルエン、
    メシチレンよりなる群の中から選ばれる請求項1記載の
    製造方法。
  8. 【請求項8】第三工程の接触還元反応において水素圧が
    0.1〜15MPaである請求項1記載の製造方法。
  9. 【請求項9】第四工程で添加する非プロトン性極性溶媒
    が第一工程で使用される非プロトン性極性溶媒と同一で
    ある請求項1記載の製造方法。
  10. 【請求項10】第四工程で添加する非プロトン性極性溶
    媒の割合が全溶媒中の0.1〜30重量%である請求項
    1記載の製造方法。
  11. 【請求項11】第五工程で加える酸触媒がp−トルエン
    スルホン酸である請求項1記載の製造方法。
  12. 【請求項12】第五工程において脱水閉環反応温度が8
    0〜200℃である請求項1記載の製造方法。
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