JPWO2017057474A1 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
シェル層は、複数の第1ドメインと、少なくとも複数の第1ドメインの間に介在する第2ドメインとを有する。複数の第1ドメインはそれぞれ、実質的に第1熱可塑性樹脂から構成される。第2ドメインは、実質的に第2熱可塑性樹脂から構成される。第2熱可塑性樹脂は、第1熱可塑性樹脂よりも強い疎水性を有する。第1熱可塑性樹脂は、水酸基、アミノ基、及びアミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する繰返し単位(以下、特定繰返し単位と記載する)を1種以上含む。第1熱可塑性樹脂に含まれる全ての繰返し単位のうち、特定繰返し単位の割合は、0.5mol%以上50mol%以下である。
トナー粒子(特に、トナーコア又はシェル層)を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂を好適に使用できる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)も、トナー粒子を構成する熱可塑性樹脂として好適に使用できる。
トナーコアは、結着樹脂を含有する。また、トナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含有してもよい。
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価(測定方法:JIS(日本工業規格)K0070−1992)及び酸価(測定方法:JIS(日本工業規格)K0070−1992)がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがより好ましい。
トナーコアは、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナーコアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
本実施形態に係るトナーは、前述の基本構成を有する。シェル層は、第1ドメインを構成する第1熱可塑性樹脂と、第2ドメインを構成する第2熱可塑性樹脂とを含有する。第2熱可塑性樹脂としては、例えば、前述の「好適な熱可塑性樹脂」が好ましい。均質なシェル層を形成するためには、第1ドメインを構成する第1熱可塑性樹脂と、第2ドメインを構成する第2熱可塑性樹脂とがそれぞれ、アクリル酸系モノマーに由来する1種以上の繰返し単位を含むことが好ましい。ビニル基(CH2=CH−)、又はビニル基中の水素が置換された基を有する化合物は、通常、炭素二重結合「C=C」により付加重合することで、高分子(樹脂)中に繰返し単位として組み込まれる。
トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
以下、前述の基本構成を有するトナーを製造する方法の一例について説明する。まず、トナーコアを準備する。続けて、液中にトナーコアとシェル材料とを入れる。均質なシェル層を形成するためには、シェル材料を含む液を攪拌するなどして、シェル材料を液に溶解又は分散させることが好ましい。続けて、液中でシェル材料を反応させて、トナーコアの表面にシェル層(硬化した樹脂)を形成する。シェル層形成時におけるトナーコア成分(特に、結着樹脂及び離型剤)の溶解又は溶出を抑制するためには、水性媒体中でシェル層を形成することが好ましい。水性媒体は、水を主成分とする媒体(より具体的には、純水、又は水と極性媒体との混合液等)である。水性媒体は溶媒として機能してもよい。水性媒体中に溶質が溶けていてもよい。水性媒体は分散媒として機能してもよい。水性媒体中に分散質が分散していてもよい。水性媒体中の極性媒体としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール又はエタノール等)を使用できる。
好適なトナーコアを容易に得るためには、凝集法又は粉砕法によりトナーコアを製造することが好ましく、粉砕法によりトナーコアを製造することがより好ましい。
トナーコアとシェル材料とが入れられる上記水性媒体として、例えばイオン交換水を準備する。続けて、水性媒体のpHを所定のpH(例えば、約7)に調整する。続けて、pHが調整された水性媒体(例えば、中性のイオン交換水)に、トナーコアと、第1熱可塑性樹脂のサスペンション(例えば、水素結合による物理架橋構造を有する非水溶性熱可塑性樹脂粒子を複数含む液)と、第2熱可塑性樹脂のサスペンション(例えば、水素結合による物理架橋構造を有しない疎水性熱可塑性樹脂粒子を複数含む液)とを添加する。また、必要に応じて、熱硬化性樹脂を合成するための材料を、水性媒体中に添加してもよい。
示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて、試料(例えば、樹脂)の吸熱曲線を求めた。続けて、得られた吸熱曲線から試料のTg(ガラス転移点)を読み取った。得られた吸熱曲線中の比熱の変化点(ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点)の温度が、試料のTg(ガラス転移点)に相当する。
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)に試料(例えば、樹脂)をセットし、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて、試料のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を求めた。続けて、得られたS字カーブから試料のTm(軟化点)を読み取った。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度が、試料のTm(軟化点)に相当する。
(トナーコアの作製)
低粘度ポリエステル樹脂(Tg=38℃、Tm=65℃)750gと、中粘度ポリエステル樹脂(Tg=53℃、Tm=84℃)100gと、高粘度ポリエステル樹脂(Tg=71℃、Tm=120℃)150gと、カルナバワックス(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」)55gと、着色剤(DIC株式会社製「KET BLUE 111」、フタロシアニンブルー)40gとを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて回転速度2400rpmで混合した。
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内に30℃のイオン交換水815mLとカチオン界面活性剤(花王株式会社製「コータミン(登録商標)24P」、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド25質量%水溶液)75mLとを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を80℃に昇温させた後、その温度(80℃)に保った。続けて、80℃のフラスコ内容物に2種類の液(第1の液及び第2の液)をそれぞれ5時間かけて滴下した。第1の液は、スチレン68mLとアクリル酸ブチル12mLとの混合液であった。第2の液は、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶かした溶液であった。続けて、フラスコ内の温度を80℃にさらに2時間保って、フラスコ内容物を重合させた。その結果、固形分濃度8質量%の割合で樹脂微粒子(詳しくは、水素結合による物理架橋構造を有しない疎水性熱可塑性樹脂から実質的に構成される粒子)を含むサスペンション(以下、サスペンションA−1と記載する)が得られた。得られたサスペンションA−1に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均1次粒子径は31nmであり、Tgは71℃であった。
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内に30℃のイオン交換水790mLとカチオン界面活性剤(花王株式会社製「コータミン24P」、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド25質量%水溶液)30mLとを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を80℃に昇温させた後、その温度(80℃)に保った。続けて、80℃のフラスコ内容物に2種類の液(第3の液及び第4の液)をそれぞれ5時間かけて滴下した。第3の液は、メタクリル酸メチル120mLと、アクリル酸ブチル20mLと、アクリル酸4−ヒドロキシブチル10mLとの混合液であった。第4の液は、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶かした溶液であった。続けて、フラスコ内の温度を80℃にさらに2時間保って、フラスコ内容物を重合させた。その結果、固形分濃度15質量%の割合で樹脂微粒子(詳しくは、水素結合による物理架橋構造を有する非水溶性熱可塑性樹脂から実質的に構成される粒子)を含むサスペンション(以下、サスペンションB−1と記載する)が得られた。得られたサスペンションB−1に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均1次粒子径は50nmであり、Tgは96℃であった。サスペンションB−1に含まれる樹脂(樹脂微粒子)における特定繰返し単位(水酸基を有する繰返し単位)の割合は5mol%であった。
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内にイオン交換水300mLを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、水酸化ナトリウム又は希塩酸を用いて、フラスコ内容物のpHを7に調整した。続けて、フラスコ内に、シェル材料SA(前述の手順で調製したサスペンションA−1)20mLと、シェル材料SB(前述の手順で調製したサスペンションB−1)10mLとを添加し、フラスコ内容物を十分攪拌した。疎水性樹脂粒子及び非水溶性樹脂粒子をそれぞれ水性媒体中に分散させて、シェル材料の分散液を得た。
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。その後、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
続けて、得られたトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、トナー母粒子のスラリーが得られた。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。その結果、トナー母粒子の粉体が得られた。
続けて、得られたトナー母粒子を外添処理した。詳しくは、トナー母粒子100質量部と乾式シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「REA90」)1.0質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子)を付着させた。その後、得られたトナーを、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、多数のトナー粒子を含むトナーTA−1が得られた。
トナーTA−2の製造方法は、シェル材料SAとして、20mLのサスペンションA−1の代わりに20mLのサスペンションA−2を用いた以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
サスペンションA−2の調製方法は、カチオン界面活性剤(コータミン24P)の使用量を75mLから25mLに変更した以外は、サスペンションA−1の調製方法と同じであった。サスペンションA−2に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均1次粒子径は98nmであり、Tgは68℃であった。
トナーTA−3の製造方法は、シェル材料SAとして、20mLのサスペンションA−1の代わりに20mLのサスペンションA−3を用いた以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
サスペンションA−3の調製方法は、スチレンの使用量を68mLから80mLに変更し、アクリル酸ブチルを使用しなかった以外は、サスペンションA−1の調製方法と同じであった。サスペンションA−3に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均1次粒子径は27nmであり、Tgは104℃であった。
トナーTA−4の製造方法は、シェル材料SAとして、20mLのサスペンションA−1の代わりに10mLのポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液C−1(東ソー株式会社製「ポリナス(登録商標)PS−50」、固形分濃度20質量%)を用いた以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
トナーTB−1の製造方法は、シェル材料SBとして、10mLのサスペンションB−1の代わりに10mLのサスペンションB−2を用いた以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
サスペンションB−2の調製方法は、第3の液として、メタクリル酸メチル120mLと、アクリル酸ブチル20mLと、アクリル酸4−ヒドロキシブチル10mLとの混合液の代わりに、メタクリル酸メチル90mLと、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル60mLとの混合液を用いた以外は、サスペンションB−1の調製方法と同じであった。サスペンションB−2に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均1次粒子径は35nmであり、Tgは77℃であった。サスペンションB−2に含まれる樹脂(樹脂微粒子)における特定繰返し単位(アミノ基を有する繰返し単位)の割合は30mol%であった。
トナーTB−2の製造方法は、シェル材料SBとして、10mLのサスペンションB−1の代わりに10mLのサスペンションB−3を用いた以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
サスペンションB−3の調製方法は、第3の液として、メタクリル酸メチル120mLと、アクリル酸ブチル20mLと、アクリル酸4−ヒドロキシブチル10mLとの混合液の代わりに、メタクリル酸メチル125mLと、アクリル酸ブチル23mLと、N,N−ジメチルアクリルアミド2mLとの混合液を用いた以外は、サスペンションB−1の調製方法と同じであった。サスペンションB−3に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均1次粒子径は58nmであり、Tgは105℃であった。サスペンションB−3に含まれる樹脂(樹脂微粒子)における特定繰返し単位(アミド基を有する繰返し単位)の割合は1.5mol%であった。
トナーTB−3の製造方法は、シェル材料SBとして、10mLのサスペンションB−1の代わりに10mLのサスペンションB−4を用いた以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
サスペンションB−4の調製方法は、第3の液として、メタクリル酸メチル120mLと、アクリル酸ブチル20mLと、アクリル酸4−ヒドロキシブチル10mLとの混合液の代わりに、メタクリル酸メチル125mLと、アクリル酸ブチル25mLと、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.1mLとの混合液を用いた以外は、サスペンションB−1の調製方法と同じであった。サスペンションB−4に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均1次粒子径は65nmであり、Tgは97℃であった。サスペンションB−4に含まれる樹脂(樹脂微粒子)における特定繰返し単位(水酸基を有する繰返し単位)の割合は0.1mol%であった。
トナーTB−4の製造方法は、シェル材料SBとして、10mLのサスペンションB−1の代わりに10mLのサスペンションB−5を用いた以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
サスペンションB−5の調製方法は、第3の液として、メタクリル酸メチル120mLと、アクリル酸ブチル20mLと、アクリル酸4−ヒドロキシブチル10mLとの混合液の代わりに、メタクリル酸メチル129mLと、アクリル酸ブチル20mLと、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.8mLとの混合液を用いた以外は、サスペンションB−1の調製方法と同じであった。サスペンションB−5に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均1次粒子径は61nmであり、Tgは102℃であった。サスペンションB−5に含まれる樹脂(樹脂微粒子)における特定繰返し単位(水酸基を有する繰返し単位)の割合は0.5mol%であった。
トナーTB−5の製造方法は、シェル材料SBとして、10mLのサスペンションB−1の代わりに10mLのサスペンションB−6を用いた以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
サスペンションB−6の調製方法は、第3の液として、メタクリル酸メチル120mLと、アクリル酸ブチル20mLと、アクリル酸4−ヒドロキシブチル10mLとの混合液の代わりに、メタクリル酸メチル75mLと、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル75mLとの混合液を用いた以外は、サスペンションB−1の調製方法と同じであった。サスペンションB−6に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均1次粒子径は26nmであり、Tgは71℃であった。サスペンションB−6に含まれる樹脂(樹脂微粒子)における特定繰返し単位(水酸基を有する繰返し単位)の割合は50mol%であった。
トナーTB−6の製造方法は、シェル材料SBとして、10mLのサスペンションB−1の代わりに10mLのサスペンションA−2を用いた以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
トナーTB−7の製造方法は、シェル材料SBとして、10mLのサスペンションB−1の代わりに10mLのアクリル酸系樹脂水溶液C−2を用いた以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
アクリル酸系樹脂水溶液C−2の調製方法は、第3の液として、メタクリル酸メチル120mLと、アクリル酸ブチル20mLと、アクリル酸4−ヒドロキシブチル10mLとの混合液の代わりに、メタクリル酸メチル60mLと、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル90mLとの混合液を用いた以外は、サスペンションB−1の調製方法と同じであった。アクリル酸系樹脂水溶液C−2に含まれる樹脂のTgは94℃であった。アクリル酸系樹脂水溶液C−2に含まれる樹脂における特定繰返し単位(水酸基を有する繰返し単位)の割合は60mol%であった。
トナーTC−1〜TC−4の各々の製造方法は、シェル層形成工程において、シェル材料SA(サスペンションA−1)及びシェル材料SB(サスペンションB−1)の各々の添加量を、表1に示すように変更した以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
トナーTD−1の製造方法は、シェル材料SB(サスペンションB−1)を使用しなかった以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
トナーTD−2の製造方法は、シェル材料SA(サスペンションA−1)を使用しなかった以外は、トナーTA−1の製造方法と同じであった。
各試料(トナーTA−1〜TD−2)の評価方法は、以下の通りである。
試料(トナー)2gを容量20mLのポリエチレン製容器に入れて、その容器を、60℃に設定された恒温器内に3時間静置した。その後、恒温器から取り出したトナーを冷却して、評価用トナーを得た。
凝集率=100×篩別後のトナーの質量/篩別前のトナーの質量
現像剤用キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「TASKalfa5550ci」用キャリア)100質量部と、試料(トナー)10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。
トナーTA−1〜TD−2の各々についての評価結果(耐熱保存性:凝集率、低温定着性:最低定着温度)を、表3に示す。
Claims (10)
- コアと、前記コアの表面に形成されたシェル層とを備えるトナー粒子を、複数含む静電潜像現像用トナーであって、
前記シェル層は、複数の第1ドメインと、少なくとも前記複数の第1ドメインの間に介在する第2ドメインとを有し、
前記複数の第1ドメインはそれぞれ、第1熱可塑性樹脂から実質的に構成され、
前記第2ドメインは、前記第1熱可塑性樹脂よりも強い疎水性を有する第2熱可塑性樹脂から実質的に構成され、
前記第1熱可塑性樹脂は、水酸基、アミノ基、及びアミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する特定繰返し単位を1種以上含み、
前記第1熱可塑性樹脂に含まれる全ての繰返し単位のうち、前記特定繰返し単位の割合は、0.5mol%以上50mol%以下である、静電潜像現像用トナー。 - 前記シェル層は、前記複数の第1ドメインが島状に分布し、前記第2ドメインが海状に分布する海島構造を有し、
前記複数の第1ドメインはそれぞれ、前記第1熱可塑性樹脂から実質的に構成される粒子であり、
前記第2ドメインは、前記第2熱可塑性樹脂から実質的に構成される膜である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記複数の第1ドメインの個数平均1次粒子径は20nm以上70nm以下であり、前記第2ドメインの厚さは10nm以上60nm以下である、請求項2に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記第1熱可塑性樹脂のガラス転移点は、前記第2熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高く、かつ、前記第1熱可塑性樹脂のガラス転移点は75℃以上120℃以下である、請求項3に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記シェル層を構成する全ての樹脂のうち、ホルムアルデヒド又はイソシアネートに基づく重合反応によって生成される熱硬化性樹脂の割合が、5質量%以下である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記第1熱可塑性樹脂は、前記特定繰返し単位として、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルに由来する繰返し単位と、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステルに由来する繰返し単位と、アルキルアクリルアミドに由来する繰返し単位とからなる群より選択される1種以上の繰返し単位を含む、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記第1熱可塑性樹脂及び前記第2熱可塑性樹脂はそれぞれ、アクリル酸系モノマーに由来する1種以上の繰返し単位を含む、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記第1熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステルと、アルキルアクリルアミドとからなる群より選択される1種以上のアクリル酸系モノマーを含む2種以上のアクリル酸系モノマーの重合体である、請求項7に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記第2熱可塑性樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である、請求項7に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記第1熱可塑性樹脂は、水素結合による物理架橋構造を有する非水溶性熱可塑性樹脂であり、
前記第2熱可塑性樹脂は、水素結合による物理架橋構造を有しない疎水性熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
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