JPWO2017037799A1 - 加工米飯の製造方法 - Google Patents

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Abstract

品質の良い加工米飯を製造することができる加工米飯の製造方法を提供する。加工米飯の製造方法は、精米中の蛋白質を単独または複数の蛋白質分解酵素を用いて分解処理して低蛋白質処理米を得る低蛋白処理工程と、低蛋白質処理米を水洗いする水洗工程と、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥して低蛋白質水切乾燥米を得る水切乾燥工程と、低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得て当該低蛋白質蒸米を加工して加工米飯を得る加工工程とを備える。水切乾燥工程では、低蛋白質水切乾燥米の水分量が33%〜38%になるように、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥する。

Description

本発明は、低蛋白質水切乾燥米を用いて加工米飯を製造する加工米飯の製造方法に関する。
従来、腎臓病等の腎臓疾患の患者に対しては、腎臓への負担を減らすために蛋白質の摂取量を抑えた食事療法が行われている。
例えば、主食である米飯については、低蛋白質処理米を用いて製造された加工米飯が提供されている。加工米飯とは、レトルト米飯、無菌包装米飯、冷凍米飯、チルド米飯、乾燥米飯、缶詰米飯などの様々な米飯の加工食品の総称である。低蛋白質処理米は、精米中の蛋白質を蛋白質分解酵素を用いて分解処理して得られるものであり(特許文献1参照)、精米に比べて蛋白質の含有量が少ない米である。
また低蛋白質処理米を用いて加工米飯を製造する際には、低蛋白質処理米を水洗して、その後に水切乾燥して低蛋白質水切乾燥米を得て、この低蛋白質水切乾燥米を用いて加工米飯を製造することが行われている。
低蛋白質水切乾燥米を用いた加工米飯の製造方法としては、低蛋白質水切乾燥米を100℃で20分間蒸して低蛋白質蒸米を得て、この低蛋白質蒸米を加工して(蒸らし、冷却、無菌包装等)加工米飯を製造する方法が知られている。
特許第3156902号公報
しかしながら、低蛋白質水切乾燥米の水分量が高すぎると、低蛋白質水切乾燥米を蒸す際に低蛋白質水切乾燥米より溶出したデンプンが糊状になるので、得られる低蛋白質蒸米が団子状または餅状になる。したがって、この低蛋白質蒸米を用いて製造される加工米飯の品質が良くないものとなる。
また、低蛋白質水切乾燥米の水分量が低すぎると、低蛋白質水切乾燥米を蒸す際に低蛋白質水切乾燥米全体に熱が伝わらず、得られる低蛋白質蒸米に蒸しムラが生じる。したがって、この低蛋白質蒸米を用いて製造される加工米飯の品質が良くないものとなる。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、品質の良い加工米飯を製造することができる加工米飯の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の加工米飯の製造方法は、精米中の蛋白質を単独または複数の蛋白質分解酵素を用いて分解処理して低蛋白質処理米を得る低蛋白処理工程と、前記低蛋白質処理米を水洗いする水洗工程と、水洗いをした前記低蛋白質処理米を水切乾燥して低蛋白質水切乾燥米を得る水切乾燥工程と、前記低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得て当該低蛋白質蒸米を加工して加工米飯を得る加工工程とを備え、前記水切乾燥工程では、前記低蛋白質水切乾燥米の水分量が33%〜38%になるように、水洗いをした前記低蛋白質処理米を水切乾燥することを特徴とする。
本発明の加工米飯の製造方法は、低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%〜38%に設定した。これにより、この低蛋白質水切乾燥米を蒸した際には、低蛋白質水切乾燥米より溶出したデンプンが糊状となるのが抑えられるので、得られる低蛋白質蒸米が団子状または餅状になるのが抑えられる。また、この低蛋白質水切乾燥米を蒸した際には低蛋白質水切乾燥米全体に熱が伝わるので、得られる低蛋白質蒸米は蒸しムラが抑えられる。したがって、本発明の加工米飯の製造方法は、従来よりも品質の良い低蛋白質蒸米を用いて加工米飯を製造することが可能になる。よって、本発明の加工米飯の製造方法は、品質の良い加工米飯を製造することができる。
本発明の第1の実施の形態の加工米飯の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態の加工米飯の製造方法を示すフローチャートである。 同実施の形態の水切乾燥工程を説明するための説明図である。 同実施の形態の蒸米工程を説明するための説明図である。 同実施の形態のほぐし工程を説明するための説明図である。 同実施の形態のほぐし工程で使用されるほぐし用部材で低蛋白質蒸米をほぐす方法を説明するための説明図である。 本発明の第3の実施の形態の加工米飯の製造方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の加工米飯の製造方法を示すフローチャートである。第1の実施の形態の加工米飯の製造方法では、低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%〜38%に設定して加工米飯を製造する。
第1の実施の形態の加工米飯の製造方法で製造される加工米飯は、冷蔵老化処理された低蛋白質炊飯米である。低蛋白質炊飯米とは、通常の炊飯米よりも蛋白質の含有量が少ない炊飯米である。冷蔵老化処理とは、蒸した米を冷蔵することによりデンプンを老化 (β化)させ、手で容易にほぐすことができる状態に加工する処理である。
第1の実施の形態の加工米飯の製造方法を簡単に説明すると、水分量が33%〜38%に設定された低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得て、この低蛋白質蒸米を24時間〜72時間冷蔵した後に乾燥させて低蛋白質乾燥米を得て、この低蛋白質乾燥米を加工して加工米飯を製造する。
第1の実施の形態の加工米飯の製造方法は、低蛋白処理工程、水洗工程、水切乾燥工程、蒸米工程、冷蔵工程、ほぐし工程、乾燥工程、放冷工程、単粒化工程、包装工程を備える。加工米飯は、精米を上記の工程順に加工して製造される。加工米飯の原料となる精米の種類は特に制限されず、例えばジャポニカ米やインディカ米が挙げられる。
精米は玄米を80%〜95%に精白したものが好ましく、特に玄米を85%〜90%に精白したものがより好ましい。また、精米は、糠が付いている有洗米、糠が付いていない無洗米のどちらでも良い。有洗米の場合は十分に水洗いをし、米粒の表面に付着している糠および雑菌を極力除去してから使用する。
次に、各工程の内容を説明する。
(低蛋白処理工程)
低蛋白処理工程では、精米中の蛋白質を蛋白質分解酵を用いて分解処理して、蛋白質が低減された低蛋白質処理米を得る。具体的には以下の順序で行う。
(1)pH調整剤を水または温水に溶かす。
(2)pH調整剤を溶解した溶液に精米を浸漬する。
(3)pH調整剤を溶解した溶液の一部を取り、その一部に蛋白質分解酵素を溶解させて蛋白質分解酵素溶液を得る。
(4)精米を浸漬した溶液に、蛋白質分解溶液を添加し、溶液全体の温度を蛋白質分解酵素の活性温度に設定して蛋白質の分解処理を行う。
pH調整剤としては有機酸が使用される。有機酸としては、クエン酸、乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルコノデルタラクトン(GDL)などが挙げられる。これらの有機酸の中では、低蛋白質水切乾燥米の食味の点でクエン酸、グルコン酸及びグルコノデルタラクトン(GDL)が好ましく、特にクエン酸が好ましい。なお、有機酸は1種類を単独で用いても良いし、複数種類を組み合わせて用いても良い。
さらに有機酸は、蛋白質分解酵素溶液のpHが2.5〜4.0の範囲内となるように添加するのが好ましい。pHが、この範囲外にあると、蛋白質分解酵素の活性が低下して蛋白質の分解処理効率が低下してしまうおそれがある。
蛋白質分解酵素としては、アスパルテックプロテアーゼに属する酵素が挙げられる。また、蛋白質分解酵素は1種類を単独で使用してもよいし、複数種類を併用して使用してもよい。
蛋白質分解酵素溶液の濃度は、目標とする蛋白質の低減量によって適時調整する。蛋白質の低減量は、任意の値で制御可能であり、蛋白質分解処理時間や蛋白質分解酵素溶液の濃度を操作することにより調整する。
蛋白質分解溶液の温度は前述したように蛋白質分解酵素の活性温度に設定する。この温度は40℃〜55℃が好ましく、特に45℃〜50℃がより好ましい。この温度が40℃未満あるいは55℃を超える場合は、蛋白質分解酵素の活性が低下して精米中の蛋白質を十分に分解することができない。
精米に対する蛋白質分解酵素溶液の割合は十分に精米が浸漬できる量であれば特段の制限はないが、浸漬を行うための容器が大型化し、生産効率を損ねるおそれがあるため、80%〜200%の範囲内で設定することが望ましい。
精米中の蛋白質の分解処理時間は12時間〜36時間が好ましく、特に16時間〜24時間がより好ましい。分解処理時間が12時間未満の場合は、精米中の蛋白質を十分に分解できない。分解処理時間が36時間を超える場合は、それ以上の蛋白質の除去効果が得られないばかりか、かえって製造効率が低減するおそれがある。
(水洗工程)
水洗工程では、低蛋白質処理米を水洗して、低蛋白質処理米に付着している蛋白質分解酵素やpH調整剤等を除去する。低蛋白質処理米の水洗時間は2時間〜6時間が好ましい。
水洗時間が2時間未満の場合は、低蛋白質処理米に蛋白質分解酵素やpH調整剤等が残留するおそれがある。水洗時間が6時間を超える場合は、低蛋白質処理米の形が崩れるおそれがある。
(水切乾燥工程)
水切乾燥工程では、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥する。この結果、低蛋白質水切乾燥米が得られる。水切乾燥工程の具体的な内容を説明すると、低蛋白質処理米に対して上方から温風をかけて下方から温風を吸引して水切乾燥を行う。つまり、低蛋白質処理米に対して上方から下方へ温風を流して水切乾燥を行う。
このときの低蛋白質処理米は、高さが3cm〜5cmの層に形成されているのが好ましい。低蛋白質処理米の高さが3cm未満の場合は、乾燥が過度に進み過ぎるおそれがある。低蛋白質処理米の高さが5cmを超える場合は、熱伝達にバラツキが生じ易くなるので蒸しムラが発生するおそれがある。
また、低蛋白質水切乾燥米の水分量が33%〜38%、望ましくは34%〜37%の範囲内になるように低蛋白質処理米を水切乾燥することが好ましい。低蛋白質水切乾燥米の水分量が33%未満の場合は、低蛋白質水切乾燥米を蒸す際に低蛋白質水切乾燥米全体に熱が伝わらず蒸しムラが生じてしまう。低蛋白質水切乾燥米の水分量が38%を超えると、低蛋白質水切乾燥米を蒸す際に低蛋白質水切乾燥米より溶出したデンプンが糊状になるので、得られる低蛋白質蒸米が団子状または餅状になってしまう。
また水切乾燥工程において低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%未満に設定すると、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥させるのに長時間を要する。つまり、水切り乾燥工程に要する時間が長くなり、生産効率が損なわれる。
(蒸米工程)
蒸米工程では、低蛋白質水切乾燥米を飽和蒸気を用いて10〜30分間蒸して低蛋白質蒸米を得る。
蒸米工程では、低蛋白質水切乾燥米をステンレス製の蒸篭に入れ、次に下方より飽和蒸気または過熱蒸気を低蛋白質水切乾燥米に当てて蒸して低蛋白質蒸米を得る。飽和蒸気を用いる場合には低蛋白質水切乾燥米を10〜30分間蒸し、過熱蒸気を用いる場合には105℃〜115℃で低蛋白質水切乾燥米を4〜10分間蒸す。
飽和蒸気を用いる場合に、蒸し時間が10分未満の場合は、低蛋白質水切乾燥米を十分に蒸すことができないため、低蛋白質蒸米に芯が残るおそれがある。蒸し時間が30分を超える場合は、過度の加熱により米粒の変色,物性の軟弱化などが生じるおそれがある。また、水分量に大きなバラツキが生じるおそれがある。なお、蒸し時間は、15〜30分間がより好ましい。
過熱蒸気を用いる場合には、蒸し時間を4分〜10分間とすることで、得られる低蛋白質蒸米の水分含量のバラツキが抑えられ、かつ、低蛋白質水切乾燥米全体を蒸しムラが無く蒸すことができるため、均質な低蛋白質蒸米を得ることができる。また、過熱蒸気の温度は、105℃〜110℃がより好ましい。
また、蒸米工程を行う際の低蛋白質水切乾燥米の層の高さは3cm〜5cmに設定することが好ましい。低蛋白質水切乾燥米の層の高さが3cm未満の場合には、一度に処理を行える量が少なくなり、生産性を損ねるおそれがある。低蛋白質水切乾燥米の層の高さが5cmを超える場合には、層の下部と上部に蒸しムラが生じるおそれがある。
(冷蔵工程)
冷蔵工程では、低蛋白質蒸米を冷蔵庫等を用いて冷蔵して低蛋白質蒸米中のデンプンを老化させて低蛋白質冷蔵老化米にする。冷蔵温度は0℃〜5℃が好ましい。冷蔵温度が5℃を超える場合は、冷蔵中に雑菌が繁殖し、衛生的面に問題が生じるおそれがある。冷蔵温度が0℃未満では低蛋白質蒸米中が凍結してしまい、品質を損なうおそれがある。
また冷蔵時間は24時間〜72時間が好ましく、24時間〜48時間がより好ましい。冷蔵時間が48時間を超えると、製造工程が長時間化するとともに、生産に必要な冷蔵設備が大型化し、生産性を損なうおそれがある。冷蔵時間が72時間を越えると低蛋白質蒸米の一部が過度に乾燥するため、後の乾燥工程にて水分量にバラツキが生じ、品質を損ねるおそれがある。また、冷蔵時間が24時間未満の場合には、低蛋白質蒸米中のデンプンが十分に老化しないおそれがある。
(ほぐし工程)
ほぐし工程では、低蛋白質冷蔵老化米を冷蔵庫より取り出し、手でほぐす。低蛋白質冷蔵老化米は、低蛋白質蒸米とは異なり、米粒同士の結着が弱まっており、その後の乾燥工程で乾燥ムラが生じない程度まで極めて容易にほぐすことができる。
(乾燥工程)
乾燥工程では、低蛋白質冷蔵老化米を温風等を用いて乾燥させ、低蛋白質乾燥米にする。乾燥に必要な時間等の条件は、乾燥機の温度や温風の風量、乾燥を行う環境の温度や湿度等によって適宜調整する必要があるが、低蛋白質乾燥米の水分量が15%〜30%、好ましくは15%〜26%になるように低蛋白質冷蔵老化米を乾燥させることが好ましい。一方で、低蛋白質乾燥米の水分量が30%を超えると、後述する包装工程において低蛋白質乾燥米を袋詰めして密封した後に包材内で結露が発生し、低蛋白質乾燥米の品質を損なうおそれがある。
(放冷工程)
放冷工程では、低蛋白質乾燥米を放冷する。放冷にはブロアー等の送風機を用いる。また低蛋白質乾燥米の品温は、送風機の送風風量、放冷工程を行う環境の温度や湿度等によって放冷時間を適宜調整する必要があるが、35℃以下にすることが好ましい。
(単粒化工程)
単粒化工程では、放冷した低蛋白質乾燥米をほぐして単粒化させる。具体的には、放冷した低蛋白質乾燥米を解砕機でほぐして単粒化させる。
(包装工程)
包装工程では、単粒化させた低蛋白質乾燥米に対して粒形の選別や色彩の選別を行い、粒形や色彩が揃った低蛋白質乾燥米を脱酸素剤と共に袋詰めして密封する。低蛋白質乾燥米の水分量を20%以上とした場合では、これにより常温で保存は可能であるが、開封後はカビ等の繁殖のおそれがあるので、冷蔵または冷凍して保存する必要がある。
また、低蛋白質乾燥米の水分量を20%以下とした場合では、開封後も常温で保存することができる。以上の工程を経て加工米飯が出来上がる。この加工米飯を食べるときには、袋から加工米飯を取り出して炊飯器等に入れて炊く。
次に、第1の実施の形態の加工米飯の効果を列挙して説明する。
(1)第1の実施の形態の加工米飯の製造方法は、精米中の蛋白質を単独または複数の蛋白質分解酵素を用いて分解処理して低蛋白質処理米を得る低蛋白処理工程と、低蛋白質処理米を水洗いする水洗工程と、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥して低蛋白質水切乾燥米を得る水切乾燥工程と、低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得て当該低蛋白質蒸米を加工して加工米飯を得る加工工程とを備える。さらに、水切乾燥工程では、低蛋白質水切乾燥米の水分量が33%〜38%になるように、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥するようにした。
これにより、この低蛋白質水切乾燥米を蒸した際には、低蛋白質水切乾燥米より溶出したデンプンが糊状となるのが抑えられるので、得られる低蛋白質蒸米が団子状または餅状になるのが抑えられる。また、この低蛋白質水切乾燥米を蒸した際には低蛋白質水切乾燥米全体に熱が伝わるので、得られる低蛋白質蒸米は蒸しムラが抑えられる。
したがって、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法は、従来よりも品質の良い低蛋白質蒸米を用いて加工米飯を製造することが可能になる。よって、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法は、品質の良い加工米飯を製造することができる。
また、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法において、低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%〜38%に設定する理由を以下に詳しく説明する。
低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得るときに低蛋白質水切乾燥米の水分量が38%を超えると、低蛋白質蒸米が十分に糊化されるため、餅または団子状の軟弱でべた付いた物性となる。この物性の変化は、その後の加工に悪影響を及ぼす。具体的には低蛋白質蒸米を、その後の冷蔵工程及びほぐし工程のいずれを用いても均一にほぐすことができず、その後の乾燥工程において水分量にバラツキが生じやすくなる。また、米粒同士の結着が強くなっており、単粒化工程にて容易に単粒化させることができないため、単粒化させる際に破砕米が多く発生し、歩留まりを落とす要因となる。またこのような低蛋白質蒸米を加工して得た加工米飯は必要以上の粘りが生じてしまい、加工米飯の品質が良くないものとなる。
低蛋白質水切乾燥米の水分量が33%未満の場合は、低蛋白質水切乾燥米を蒸した際に低蛋白質水切乾燥米全体に熱が伝わらないので蒸しムラが生じる。具体的には、米粒を芯部まで十分に蒸すことができず、生、又は半生状態の蒸米不良米粒が多数発生する。蒸米不良米粒が混入した加工米飯は、炊いたときに蒸米不良米粒が糊状に溶けてしまい、得られるごはんに過度な粘りが生じたりべたついたりしてしまう。
また水切乾燥工程において低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%未満に設定すると、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥させるのに長時間を要する。つまり、水切り乾燥工程に要する時間が長くなり、生産効率が損なわれる。
よって、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法では、低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%〜38%、望ましくは34%〜37%の範囲内になるように低蛋白質処理米を水切乾燥することが好ましい。
(2)また第1の実施の形態の加工米飯の製造方法は、加工工程が、低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得る蒸米工程と、低蛋白質蒸米を24時間〜72時間冷蔵して低蛋白質冷蔵老化米を得る冷蔵工程と、低蛋白質冷蔵老化米を乾燥させて低蛋白質乾燥米を得る乾燥工程と、低蛋白質乾燥米を加工して加工米飯を得る仕上げ工程(放冷工程、単粒化工程、包装工程)とを備える。
つまり、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法は、低蛋白質蒸米を24時間〜72時間冷蔵するようにした。これにより低蛋白質蒸米中のデンプンが老化して粘度が減少するので、容易に手でほぐすことが出来るようになる。これにより工程適性が向上し、後の乾燥工程において乾燥ムラの発生による製品品質のバラツキを防止することができる。よって、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法は、加工米飯の品質を上げることができる。
(3)また第1の実施の形態の加工米飯の製造方法は、乾燥工程において、低蛋白質乾燥米の水分量が15〜30%になるように低蛋白質冷蔵老化米を乾燥させるようにしたので、低蛋白質乾燥米の品質を高めることができる。よって、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法は、加工米飯の品質を上げることができる。
なお、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法では、原料米の品種によっては、低蛋白質乾燥米の水分量が15%〜20%になるように低蛋白質冷蔵老化米を乾燥させても高い品質を維持することができる。したがって、出来上がった加工米飯は、水分量が従来に比べて抑えられているので開封してもカビが生えてしまうことがなく常温で保存できる。よって第1の実施の形態の加工米飯の製造方法は、品質且つ保存性の良い加工米飯を製造することができる。
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態の加工米飯の製造方法を示すフローチャートである。第2の実施の形態の加工米飯の製造方法では、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法と同様に、低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%〜38%に設定して加工米飯を製造する。
第2の実施の形態の加工米飯の製造方法で製造される加工米飯は、過熱蒸気を用いて製造される低蛋白質炊飯米である。
第2の実施の形態の加工米飯の製造方法を簡単に説明すると、水分量が33%〜38%に設定された低蛋白質水切乾燥米を高温の過熱蒸気により蒸して低蛋白質蒸米を得て、この低蛋白質蒸米に各種の加工を施して加工米飯を製造する。
第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、低蛋白処理工程、水洗工程、水切乾燥工程、蒸米工程、ほぐし工程、乾燥工程、放冷工程、単粒化工程、包装工程を備える。加工米飯は、精米を上記の工程順に加工して製造される。水洗工程〜包装工程は生産ライン(ネットコンベア)で搬送されながら加工が行われる。加工米飯の原料となる精米の種類は、第1の実施の形態と同様に特に制限されない。
上記の各工程の中で、低蛋白処理工程、水洗工程、放冷工程、単粒化工程については、第1の実施の形態で説明した通りなので省略する。ここでは、水切乾燥工程〜乾燥工程、包装工程の各工程について説明する。
(水切乾燥工程)
水切乾燥工程では、第1の実施の形態で説明したように、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥して低蛋白質水切乾燥米を得る。この水切乾燥工程では、低蛋白質水切乾燥米の水分量が33%〜38%、望ましくは34%〜37%の範囲内になるように低蛋白質処理米を水切乾燥することが好ましい。
水切乾燥工程の具体的な内容を図3を用いて説明すると、ネットコンベア1の周囲を密閉した状態で、ネットコンベア1で搬送される低蛋白質処理米10に対して上方から温風Aをかけて下方から温風Aを吸引して水切乾燥を行う。つまり、低蛋白質処理米10に対して上方から下方へ温風Aを流して水切乾燥を行う。このときの低蛋白質処理米10は、第1の実施の形態で説明したように、高さ10hが3cm〜5cmの層に形成されているのが好ましい。
(蒸米工程)
蒸米工程では、低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得る。蒸米工程の内容を図4を用いて具体的に説明すると、ネットコンベア1は停止せずに開放した状態でネットコンベア1の下方から105℃〜115℃の過熱蒸気Bを低蛋白質水切乾燥米11に当てて4分〜10分間蒸す。過熱蒸気Bを用いて蒸すことで、低蛋白質蒸米の水分量が35%〜37%となり、飽和蒸気を用いる場合よりも蒸米中の水分の増加が抑えられ、その後のほぐし工程でほぐれやすい状態となる。
低蛋白質水切乾燥米11は、その高さ11hが3cm〜5cmの層に形成されているのが好ましい。低蛋白質水切乾燥米11の高さ11hが3cm未満の場合は、低蛋白質水切乾燥米11全体に熱が伝わらず蒸しムラが生じるおそれがある。低蛋白質水切乾燥米11の高さ11hが5cmを超える場合は、低蛋白質水切乾燥米11の層内の過熱蒸気Bの通り抜けが疎外され、低蛋白質水切乾燥米11の層の上部と下部とで蒸しムラが生じるおそれがある。
また、過熱蒸気Bの温度が105℃未満の場合は、低蛋白質蒸米に蒸しムラが生じる。過熱蒸気Bの温度が115℃を超える場合は、低蛋白質蒸米の部分毎に水分量のバラツキが生じる。例えば、低蛋白質蒸米の上部の水分量と下部の水分量とで大きなバラツキが生じる。したがって、低蛋白質蒸米の品質、つまり加工米飯の品質に大きな影響を与えるおそれがある。なお過熱蒸気Bの温度は、110〜115℃がより好ましい。
また、蒸し時間が1分未満の場合は、低蛋白質水切乾燥米11を十分に蒸すことができないため、低蛋白質蒸米に芯が残るおそれがある。蒸し時間が10分を超える場合は、過度の加熱や乾燥により、低蛋白質蒸米の米粒の変色,物性の硬化などが生じるおそれがある。また、低蛋白質蒸米の水分量に大きなバラツキが生じるおそれがある。なお蒸し時間は、4〜7分がより好ましい。
(ほぐし工程)
ほぐし工程では、低蛋白質蒸米をほぐして単粒化させる。ほぐし工程の内容を図5と図6を用いて具体的に説明すると、ネットコンベア1で搬送される低蛋白質蒸米12を、ほぐし用部材101を用いてほぐす。
このほぐし用部材101は、円筒状または円柱状に形成されている。さらに、このほぐし用部材101は、ネットコンベア1の上側において回転軸110がネットコンベア1の幅方向1aと平行になるように配置されている。図6に示すように、ほぐし用部材101の周面101aには多数の突起102が設けられている。
使用時には、ほぐし用部材101をネットコンベア1の搬送方向1bと同じ方向110bに回転させて、多数の突起102を低蛋白質蒸米12の層に入れて低蛋白質蒸米12をほぐす。
各突起102の高さ102hは、2mm〜5mmに設定することが好ましい。各突起102の高さが2mm未満の場合は低蛋白質蒸米12を十分にほぐすことができないおそれがある。各突起102の高さ102hが5mmを超える場合は、突起102,102間に低蛋白質蒸米12の粒12aが奥深く入って周面101aにはりつくおそれがある。
また、ほぐし用部材101で低蛋白質蒸米12をほぐす際には、低蛋白質蒸米12を乾燥および冷却させながらほぐすことが好ましい。
(乾燥工程)
乾燥工程では、単粒化された低蛋白質蒸米を乾燥器等を用いてムラなく乾燥させ、低蛋白質乾燥米にする。乾燥に必要な時間等の条件は、乾燥機の温度や温風の風量、乾燥を行う環境の温度や湿度等によって適宜調整する必要があるが、低蛋白質乾燥米の水分量を16%〜20%にすることが好ましい。
(包装工程)
包装工程では、単粒化させた低蛋白質乾燥米に対して粒形の選別や色彩の選別を行い、粒形や色彩が揃った低蛋白質乾燥米を脱酸素剤と共にプラスチックパウチに袋詰めし、密封する。以上の工程を経て低蛋白質炊飯米が出来上がる。この低蛋白質炊飯米を食べるときには、袋から低蛋白質炊飯米を取り出して炊飯器等に入れて炊く。
次に、第2の実施の形態の加工米飯の効果を列挙して説明する。
(1)第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法と同様に、低蛋白処理工程と、水洗工程と、水切乾燥工程と、加工工程とを備える。さらに、水切乾燥工程では、低蛋白質水切乾燥米の水分量が33%〜38%になるように、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥するようにした。
これにより、この低蛋白質水切乾燥米を蒸した際には、低蛋白質水切乾燥米より溶出したデンプンが糊状となるのが抑えられるので、得られる低蛋白質蒸米が団子状または餅状になるのが抑えられる。また、この低蛋白質水切乾燥米を蒸した際には低蛋白質水切乾燥米全体に熱が伝わるので、得られる低蛋白質蒸米は蒸しムラが抑えられる。
したがって、第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、従来よりも品質の良い低蛋白質蒸米を用いて加工米飯を製造することが可能になる。よって、第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、品質の良い加工米飯を製造することができる。
また、第2の実施の形態の加工米飯の製造方法において低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%〜38%に設定する理由については、第1の実施の形態で説明したので省略する。
(2)また第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、加工工程が、低蛋白質水切乾燥米を105℃〜115℃の過熱蒸気を用いて4分〜10分間蒸して低蛋白質蒸米を得る蒸米工程と、低蛋白質蒸米を加工して加工米飯を得る仕上げ工程(ほぐし工程、乾燥工程、放冷工程、単粒化工程、包装工程)とを備える。
第2の実施の形態の低蛋白質蒸米は、低蛋白質水切乾燥米を従来よりも高い温度且つ短い時間で処理して得られたものであるため、従来の低蛋白質蒸米よりも適度な粘りを有している。したがって、加工米飯を製造する際には、従来よりも適度な粘りを有した低蛋白質蒸米を用いることが可能になる。よって、第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、加工米飯の品質を上げることができる。
また第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、低蛋白質処理米を水切乾燥して得られる低蛋白質水切乾燥米を4分〜10分間蒸して低蛋白質蒸米を得るようにしたので、従来のように低蛋白質処理米を冷蔵して加工米を製造する場合に比べて低蛋白質処理米の加工時間を短縮できる。よって、本実施の形態の加工米飯の製造方法では、製造効率を上げて品質の良い加工米飯を製造することができる。
(3)また第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、仕上げ工程では、最初に、コンベアで搬送される低蛋白質蒸米を、円筒状または円柱状のほぐし用部材101を回転させながらほぐし用部材101の周面101aに設けられた多数の突起102を用いてほぐすほぐし工程を行い、各突起102は、高さ102hが2mm〜5mmに設定されたものを使用した。
つまり、ほぐし用部材101の各突起102の高さ102hを2mm〜5mmに設定することにより、低蛋白質蒸米12の粒12aが突起102,102間の奥に入り込むことがないので、低蛋白質蒸米12を十分にほぐして容易に単粒化させることが可能になる。これにより、次の乾燥工程では低蛋白質蒸米12の乾燥時間の短縮が可能になるとともに、乾燥のバラツキをなくすことができる。よって、第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、加工米飯の製造効率をさらに上げるとともに、加工米飯の品質を向上させることができる。
(4)また第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、ほぐし工程において、低蛋白質蒸米を乾燥および冷却させながらほぐすようにした。
これにより、ほぐし用部材101の周面101aに低蛋白質蒸米12がはりつくのを防ぐことができ、低蛋白質蒸米12のほぐし処理を効率良く行うことが可能になる。よって、本実施の形態の加工米飯の製造方法は、加工米飯の製造効率をさらに上げることができる。
(5)また第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、開封してもカビが生えてしまうことがないので常温で保存できる。よって、第2の実施の形態の加工米飯の製造方法は、品質且つ保存性の良い加工米飯を製造することができる。
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の第3の実施の形態の加工米飯の製造方法を示すフローチャートである。第3の実施の形態の加工米飯の製造方法では、第1の実施の形態や第2の実施の形態の加工米飯の製造方法と同様に、低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%〜38%に設定して加工米飯を製造する。
第3の実施の形態の加工米飯の製造方法で製造される加工米飯は、低蛋白質無菌包装米飯である。低蛋白質無菌包装米飯とは、無菌状態で包装され、通常の炊飯米よりも蛋白質の含有量が少ない炊飯米である。
第3の実施の形態の加工米飯の製造方法を簡単に説明すると、水分量が33%〜38%に設定された低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得て、この低蛋白質蒸米に各種の加工を施して低蛋白質無菌包装米飯を製造する。
第3の実施の形態の加工米飯の製造方法は、低蛋白処理工程、水洗工程、水切乾燥工程、計量・充填工程、蒸米工程、加温水工程、包装工程、蒸らし工程、冷却工程を備える。加工米飯は、精米を上記の工程順に加工して製造される。水洗工程〜冷却工程は生産ライン(コンベア)で搬送されながら処理が行われる。蒸米工程〜包装工程の間はクリーンルーム内で処理を行う。加工米飯の原料となる精米の種類は、第1の実施の形態や第2の実施の形態と同様に特に制限されない。
上記の各工程の中で、低蛋白処理工程、水洗工程については第1の実施の形態で説明した通りであり、水切乾燥工程については第2の実施の形態で説明した通りなので省略する。ここでは、計量・充填工程〜冷却工程の各工程について説明する。
(計量・充填工程)
計量・充填工程では、最初に、水切乾燥工程で得られた低蛋白質水切乾燥米を、ネットコンベアを用いて、自動計量・充填装置に設けられているストックタンクへ搬送する。次に、ストックタンクから自動計量・充填装置の計量部へ低蛋白質水切乾燥米を供給する。計量部では、低蛋白質水切乾燥米を所定量自動的に計量する。次に、自動計量・充填装置に耐熱容器が自動的に供給される。次に、供給された耐熱容器に計量部から所定量の低蛋白質水切乾燥米が自動的に充填される。最後に、自動計量・充填装置に設けられているウェイトチェッカーにより、低蛋白質水切乾燥米が充填された耐熱容器の重量の検品を行い、耐熱容器に低蛋白質水切乾燥米が所定量充填されていることを確認する。
(蒸米工程)
蒸米工程では、計量・充填工程で耐熱容器に所定量充填された低蛋白質水切乾燥米を、水を加えずに蒸気で蒸して低蛋白質蒸米を得る。
蒸米工程の内容を具体的に説明すると、低蛋白質水切乾燥米が所定量充填された耐熱容器を蒸米釜の中にいれて密閉し、蒸米釜の中の空気を抜いて真空状態にする。この真空状態下で蒸米釜の中に蒸気を入れ、蒸米釜の中の温度(蒸米温度)を瞬時に(10秒以内)130℃〜140℃に上昇させ、低蛋白質水切乾燥米を30秒〜2分間蒸す。
蒸米温度を瞬時に130℃〜140℃に上昇させることで、米粒からのデンプンの溶出を防ぎ、適度な粘りと弾力をもつ低蛋白質蒸米を得ることができる。ここで、低蛋白質蒸米の望ましい粘りと弾力は、魚沼産コシヒカリと同等の粘りと弾力である。
蒸米温度を緩慢に上昇させた場合では、米粒よりデンプンが溶出し、低蛋白質蒸米は餅状の物性となる。また、蒸米温度を130℃〜140℃に設定することにより、低蛋白質水切乾燥米を十分に殺菌して低蛋白質蒸米を得ることができる。また高い温度で短時間蒸すことで、低い温度で長時間蒸す(例えば100℃で20分)場合と比較して、低蛋白質水切乾燥米の品質を上げることができる。
蒸し時間が30秒未満の場合は低蛋白質水切乾燥米を十分に蒸すことができないため、低蛋白質蒸米に芯が残るおそれがある。蒸し時間が2分を超える場合は、低蛋白質蒸米の米粒の変色,物性の軟弱化などが起こり、低蛋白質蒸米の品質が低下するおそれがある。
(加温水工程〜包装工程)
加温水工程では、低蛋白質蒸米に90℃以上の温水を加える。包装工程では、低蛋白質蒸米に温水を加えた後に速やかに脱酸素剤を貼りつけた耐熱フィルムで耐熱容器に封をして低蛋白質蒸米を密封する。
加温水工程にて低蛋白質蒸米に加える温水の量によって、得られるごはんの硬軟を調整することが出来る。このため、低蛋白質蒸米に加える温水の量は、最終製品に求められる品質によって適時調整する。
(蒸らし工程)
蒸らし工程では、温水が加えられて密封された低蛋白質蒸米を蒸らす。蒸らし時間は5分〜10分間が好ましい。蒸らし時間が5分未満の場合は、低蛋白質蒸米中の水分の分布に偏りが生じ、低蛋白質蒸米の品質が低下するおそれがある。
(冷却工程)
冷却工程では、蒸らした低蛋白質蒸米を冷却する。冷却時間は冷却装置の冷却性能によって異なるが、20分〜30分で低蛋白質蒸米の品温を30℃〜35℃まで低下させるように調整する。冷却後の品温が30℃未満では耐熱性容器に結露が生じ、その結露を拭き取る作業が必要になるので、加工米飯の生産性が低下するおそれがある。冷却後の品温が35℃を超える場合は、長時間さらされると水分の偏りが発生し、品質を損なうおそれがある。また、冷却後はすぐに箱詰めに入るため、熱すぎる場合は作業効率が極めて悪くなる。
以上の工程を経て加工米飯が出来上がる。この加工米飯は無菌パックされた状態になっている。この加工米飯を食べるときには、耐熱容器を電子レンジや熱水に入れて加熱する。
次に、第3の実施の形態の加工米飯の効果を列挙して説明する。
(1)第3の実施の形態の加工米飯の製造方法は、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法と同様に、低蛋白処理工程と、水洗工程と、水切乾燥工程と、低蛋白質水切乾燥米を蒸してその後に加工して加工米飯を得る加工工程とを備える。さらに、水切乾燥工程では、低蛋白質水切乾燥米の水分量が33%〜38%になるように、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥するようにした。
これにより、この低蛋白質水切乾燥米を蒸した際には、低蛋白質水切乾燥米より溶出したデンプンが糊状となるのが抑えられるので、得られる低蛋白質蒸米が団子状または餅状になるのが抑えられる。また、この低蛋白質水切乾燥米を蒸した際には低蛋白質水切乾燥米全体に熱が伝わるので、得られる低蛋白質蒸米は蒸しムラが抑えられる。
したがって、第3の実施の形態の加工米飯の製造方法は、従来よりも品質の良い低蛋白質蒸米を用いて加工米飯を製造することが可能になる。よって、第3の実施の形態の加工米飯の製造方法は、品質の良い加工米飯を製造することができる。
また、第3の実施の形態の加工米飯は、第1の実施の形態の加工米飯や第2の実施の形態の加工米飯である低蛋白質炊飯米と異なり、低蛋白質無菌包装米飯である。この低蛋白質無菌包装米飯の製造方法において、低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%〜38%に設定する理由を以下に詳しく説明する。
低蛋白質水切乾燥米を機械的に計量して耐熱容器に充填する場合、水分量が高すぎると低蛋白質水切乾燥米から水が滴るために、充填装置のストックタンク内にて低蛋白質水切乾燥米に水分のバラツキが生じて均一に充填することができない。低蛋白質処理米の水分量はおおよそ40%程度であるが、低蛋白質処理米に温風を流して水分量を38%以下に水切乾燥することでストックタンク内にて低蛋質水切乾燥米から水分が滴ることがなくなるため、水分のバラツキが抑えられ、充填バラツキを解消することができる。
水切乾燥工程において低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%未満に設定すると、水洗いをした低蛋白質処理米を水切乾燥させるのに長時間を要する。つまり、水切り乾燥工程に要する時間が長くなり、生産効率が損なわれる。加えて、後の蒸米工程において蒸しムラが生じるため、加工米飯の品質を損なうおそれがある。よって、低蛋白質水切乾燥米の水分量は33%〜38%、望ましくは34%〜37%の範囲内とすることが望ましい。
(2)また第3の実施の形態の加工米飯の製造方法は、加工工程が、低蛋白質水切乾燥米を真空状態下で温度を130℃〜140℃に瞬時に上昇させ、30秒〜2分間蒸して低蛋白質蒸米を得る蒸米工程と、低蛋白質蒸米を加工して加工米飯を得る仕上げ工程(加温水工程、包装工程、蒸らし工程、冷却工程)とを備える。
第3の実施の形態の低蛋白質蒸米は、低蛋白質水切乾燥米を従来よりも高い温度かつ短時間で処理して得られたものであるため、従来の低蛋白質蒸米よりも適度な粘りを有している。したがって、加工米飯を製造する際には、従来よりも適度な粘りを有した低蛋白質蒸米を用いることが可能になる。よって、第3の実施の形態の加工米飯の製造方法は、加工米飯の品質を上げることができる。
(3)また第3の実施の形態の加工米飯の製造方法は、低蛋白質水切乾燥米を真空状態下で温度を130℃〜140℃に瞬時に上昇させ、30秒〜2分間蒸して低蛋白質蒸米を得るようにしたので、低蛋白質水切乾燥米を100℃で10〜30分間蒸して低蛋白質蒸米を得る場合に比べて低蛋白質水切乾燥米の加工時間を短縮できる。よって、本実施の形態の加工米飯の製造方法は、製造効率を上げて品質の良い加工米飯を製造することができる。
(4)また第3の実施の形態の加工米飯の製造方法では、低蛋白質蒸米に90℃以上の温水を加え、直ちに密封した。これにより低蛋白質蒸米は水分を容易に吸収することが可能になるので、加工米飯に必要な水分を確実に確保できる。また、耐熱容器内に菌が落下しても、その菌を温水により死滅させることができる。よって、本実施の形態の加工米飯の製造方法は、加工米飯の品質を確実に上げることができる。
以上、本発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本発明の内容を限定するものではない。また、本発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
次に、実施例、比較例を示して各実施の形態を具体的に説明する。なお、ここで説明する実施例は単に例示であって、本発明を限定するものではない。
第1の実施の形態の加工米飯(冷蔵老化処理された低蛋白質炊飯米)の製造方法の実施例
実施例および比較例では、加工米飯の原料となる精米として、魚沼産のコシヒカリの無洗米を十分に水洗いしたものを同量使用した。
<実施例1>
実施例1では、上記の精米を、図1のフローチャートに示したように、低蛋白処理工程、水洗工程、水切乾燥工程、蒸米工程、冷蔵工程、ほぐし工程、乾燥工程、放冷工程、単粒化工程、包装工程の順に加工して加工米飯を製造した。
(低蛋白処理工程)
最初に、最終pHが3.5となる量のクエン酸を温水に溶かし、pH調整溶液を得た。次にpH調整溶液に精米を入れた。次に、pH調整溶液の一部を取り、蛋白質分解酵素(アスパルテックプロテアーゼ)をこれに溶かして添加し、50℃に設定して蛋白質の分解処理を行い低蛋白質処理米を得た。なお、蛋白質分解酵素溶液の濃度は0.1w/v%、精米に対する蛋白質分解酵素溶液の割合は100%、分解処理時間は24時間とした。
(水洗工程)
低蛋白質処理米を3時間水洗して、低蛋白質処理米に付着している蛋白質分解酵素やpH調整剤等を除去した。
(水切乾燥工程)
低蛋白質処理米に対して上方から温風をかけて下方から温風を吸引して水切乾燥を行い、低蛋白質水切乾燥米を得た。このときの低蛋白質処理米は、高さが3cmの層に形成されている。また得られた低蛋白質水切乾燥米の水分量は36%である。
(蒸米工程)
蒸米工程では、低蛋白質水切乾燥米を飽和蒸気を用いて20分間蒸して低蛋白質蒸米を得た。
(冷蔵工程)
冷蔵工程では、低蛋白質蒸米を5℃の冷蔵庫内にて24時間冷蔵して低蛋白質冷蔵老化米を得た。
(ほぐし工程)
ほぐし工程では、低蛋白質冷蔵老化米を冷蔵庫より取り出し、手でほぐした。
(乾燥工程)
乾燥工程では、水分量が24%になるように低蛋白質冷蔵老化米を50℃の温風で乾燥させて低蛋白質乾燥米を得た。
(放冷工程)
低蛋白質乾燥米をブロアーを用いて放冷し、品温を35℃以下にした。
(単粒化工程)
放冷した低蛋白質乾燥米を解砕機で解砕することにより単粒化させた。解砕機は、(株)徳寿工作所製ランデミルRN-1型を使用した。
(包装工程)
単粒化させた低蛋白質乾燥米に対して粒形の選別や色彩の選別を行い、粒形や色彩が揃った低蛋白質乾燥米を脱酸素剤と共に袋詰めした。以上の工程を経て加工米飯が出来上がった。
<実施例2>
実施例2では、実施例1の冷蔵工程において冷蔵時間を48時間として低蛋白質冷蔵老化米を得た以外は、実施例1と同様の手順を行って加工米飯を得た。
<実施例3>
実施例3では、実施例1の冷蔵工程において冷蔵時間を72時間として低蛋白質冷蔵老化米を得た以外は、実施例1と同様の手順を行って加工米飯を得た。
<実施例4>
実施例4では、原料米を、コシヒカリより硬めに炊き上がる国外産米とし、蒸し時間を30分、冷蔵時間を48時間、乾燥後の水分量を17%とした以外は、実施例1と同様の手順を行って加工米飯を得た。
<比較例1>
比較例1では、実施例1の冷蔵工程を行わなかった。また、乾燥工程では、低蛋白質乾燥米の水分量が16%になるように低蛋白質蒸米を50℃の温風で乾燥させて低蛋白質乾燥米を得た。それ以外は、実施例1と同様の手順を行って加工米飯を得た。
<比較例2>
比較例2では、実施例1の乾燥工程において低蛋白質乾燥米の水分量が16%になるように低蛋白質冷蔵老化米を乾燥させた以外は、実施例1と同様の手順を行って加工米飯を得た。
<加工米飯の官能評価>
実施例1〜4及び比較例1、2の加工米飯を家庭用電気炊飯器で炊いてご飯を得た。各ご飯について、パネラー5名により以下の項目の評価を行った。
・外観(視覚)
・色つや(視覚)
・風味(嗅覚)
・弾力(触覚)
・ふっくら感(視覚)
・総合評価
各項目の評価方法は以下の通りである。基準品は比較例1である。総合評価は、外観、色つや、風味、弾力、ふっくら感の各項目について評価したものを総合的に考慮した。
「5」基準品に比べてかなり優れる
「4」基準品に比べて少し優れる
「3」基準品と同等である
「2」基準品に比べて少し劣る
「1」基準品に比べてかなり劣る
下記の表1に、実施例1〜4及び比較例1、2の蒸米条件、冷蔵条件、乾燥後の水分量とご飯の官能評価を示す。また表1に、比較対象として魚沼産コシヒカリを家庭用電気炊飯器で炊いて得たご飯の官能評価を示す。なお、魚沼産コシヒカリは加工米飯ではないので、蒸米条件、冷蔵条件及び乾燥後の水分量は示していない。
Figure 2017037799
<実施例、比較例、魚沼産コシヒカリとの比較>
表1に示すように、実施例1〜3のご飯は、外観、風味、弾力、ふっくら感、総合評価において魚沼産コシヒカリのご飯に近い評価を得ている。実施例4のご飯は、風味、弾力、ふっくら感、総合評価において魚沼産コシヒカリのご飯に近い評価を得ている。
また実施例1〜3のご飯は、比較例1、2のご飯に比べると、外観、弾力、総合評価において優れている。実施例4のご飯は、比較例1、2のご飯に比べると、弾力、総合評価において優れている。したがって、実施例1〜4のご飯(加工米飯)は、比較例1、2のご飯(加工米飯)よりも品質が高いことがわかる。
実施例1〜4のご飯は、比較例1のご飯に比べて、ご飯がしっかりとしており、餅の様な食感が抑えられ、食感食味共に優れたご飯になった。
実施例1〜4のご飯は、比較例2のご飯に比べてご飯がしっかりとしており、餅の様な食感が抑えられ、食感食味共に優れたご飯になった。
次に、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法において、低蛋白質水切乾燥米の水分量と加工米飯の品質との関係性について、実施例、比較例を示して具体的に説明する。
実施例および比較例では、加工米飯の原料となる精米として、魚沼産のコシヒカリの無洗米を十分に水洗いしたものを同量使用した。
<実施例1A>
実施例1Aでは、上記の精米を、図1のフローチャートに示す低蛋白処理工程、水洗工程、水切乾燥工程、蒸米工程、冷蔵工程、ほぐし工程、乾燥工程、放冷工程、単粒化工程の順に加工して加工米飯を製造した。
(低蛋白処理工程〜水切乾燥工程)
上記の精米を実施例1と同様の方法で加工して、水分量が37%の低蛋白質水切乾燥米を得た。
(蒸米工程)
低蛋白質水切乾燥米を過熱蒸気を用いて105℃で10分間蒸して低蛋白質蒸米を得た。
(冷蔵工程)
低蛋白質蒸米を5℃の冷蔵庫内に24時間冷蔵して低蛋白質冷蔵老化米を得た。
(ほぐし工程)
低蛋白質冷蔵老化米を実施例1と同様な方法でほぐした。
(乾燥工程)
水分量が16%になるように低蛋白質冷蔵老化米を50℃の温風で乾燥させて低蛋白質乾燥米を得た。
(単粒化工程)
低蛋白質乾燥米を実施例1と同様の方法で単粒化させた。その後に単粒化できなかった米粒塊を除去して加工米飯を得た。
<実施例1B>
実施例1Bでは、低蛋白質水切乾燥米の水分量を36%とした以外は、実施例1Aと同手順にて加工米飯を得た。
<実施例1C>
実施例1Cでは、低蛋白質水切乾燥米の水分量を34%とした以外は、実施例1Aと同手順にて加工米飯を得た。
<実施例1D>
実施例1Dでは、低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%とした以外は、実施例1Aと同手順にて加工米飯を得た。
<比較例1A>
比較例1Aでは、低蛋白質水切乾燥米の水分量を40%とした以外は、実施例1Aと同手順にて加工米飯を得た。
<比較例1B>
比較例1Bでは、低蛋白質水切乾燥米の水分量を27%とした以外は、実施例1Aと同手順にて加工米飯を得た。
<加工米飯の官能評価>
実施例1A〜1D、比較例1A、1B及び比較例1の加工米飯を家庭用電気炊飯器で炊いてご飯を得た。各ご飯について、パネラー5名により、上記で説明した項目(外観、色つや、風味、弾力、ふっくら感、総合評価)について評価を行った。各項目の評価方法(5段階評価)は上記で説明した通りである。また、基準品は比較例1である。
下記の表2に、実施例1A〜1D、比較例1A、1B及び比較例1の低蛋白質水切乾燥米の水分量、蒸米条件、冷蔵条件及びご飯の官能評価を示す。また表2に、比較対象として魚沼産コシヒカリを家庭用電気炊飯器で炊いて得たご飯の官能評価を示す。なお、魚沼産コシヒカリは加工米飯ではないので、低蛋白質水切乾燥米の水分量、蒸米条件、冷蔵条件は示していない。
Figure 2017037799
<実施例、比較例、魚沼産コシヒカリとの比較>
表2に示すように実施例1A〜1Cのご飯は、外観、風味、弾力、ふっくら感、総合評価において、魚沼産コシヒカリのご飯に近い評価を得ている。また実施例1Dのご飯は、外観、風味、弾力、総合評価において、魚沼産コシヒカリのご飯に近い評価を得ている。また実施例1A〜1Dのご飯は、比較例1のご飯に比べると餅の様な食感が抑えられ、外観、風味、弾力、総合評価において優れている。すなわち、実施例1A〜1Dのご飯(加工米飯)は、比較例1のご飯(加工米飯)よりも品質が高いことがわかる。
比較例1Aのご飯は、比較例1のご飯に比べて、やや餅の様な食感が抑えられているが、やや米粒表面のベタツキが強いご飯になった。
比較例1Bのご飯は、米粒の一部が糊状に溶け、歯にくっつきやすく、口内で団子状になりやすい炊飯不良状態のご飯になった。
次に、第1の実施の形態の加工米飯の製造方法において、低蛋白質水切乾燥米の水分量と歩留まりとの関係性について、実施例、比較例を示して具体的に説明する。ここでは、実施例1A〜1D及び比較例1A、1Bの歩留まりを以下の計算式により算出した。なお、以下の数値は、小数点以下を四捨五入したものである。
歩留まり(%)=(加工米飯の乾燥重量/低蛋白質水切乾燥米の乾燥重量)×100
低蛋白質水切乾燥米の乾燥重量(g)=B−(B×A/100)
A:低蛋白質水切乾燥米の水分量(%)
B:低蛋白質水切乾燥米の重量(g)
加工米飯の乾燥重量(g)=D−(D×C/100)
C:加工米飯の水分量(%)
D:加工米飯の重量(g)
(実施例1A)
A=37%、B=1500g
低蛋白質水切乾燥米の乾燥重量=1500−(1500×37/100)=945g
C=16%、D=1025g
加工米飯の乾燥重量=1025−(1025×16/100)=861g
歩留まり=(861/945)×100=91%
(実施例1B)
A=36%、B=1500g
低蛋白質水切乾燥米の乾燥重量=1500−(1500×36/100)=960g
C=17%、D=1057g
加工米飯の乾燥重量=1057−(1057×17/100)=877g
歩留まり=(877/960)×100=91%
(実施例1C)
A=34%、B=1500g
低蛋白質水切乾燥米の乾燥重量=1500−(1500×34/100)=990g
C=15%、D=1065g
加工米飯の乾燥重量=1065−(1065×15/100)=905g
歩留まり=(905/990)×100=91%
(実施例1D)
A=33%、B=1500g
低蛋白質水切乾燥米の乾燥重量=1500−(1500×33/100)=1005g
C=15%、D=1057g
加工米飯の乾燥重量=1057−(1057×15/100)=898g
歩留まり=(898/1005)×100=89%
(比較例1A)
A=40%、B=1500g
低蛋白質水切乾燥米の乾燥重量=1500−(1500×40/100)=900g
C=16%、D=909g
加工米飯の乾燥重量=909−(909×16/100)=764g
歩留まり=(764/900)×100=85%
(比較例1B)
A=27%、B=1500g
低蛋白質水切乾燥米の乾燥重量=1500−(1500×27/100)=1095g
C=15%、D=1013g
加工米飯の乾燥重量=1013−(1013×15/100)=861g
歩留まり=(861/1095)×100=79%
下記の表3に、実施例1A〜1D、比較例1A、1Bの低蛋白質水切乾燥米の水分量、蒸米条件、冷蔵条件及び歩留まりを示す。
Figure 2017037799
<実施例と比較例の比較>
実施例1A〜1Dは、比較例1A、1Bに比べて高い歩留まりを示した。すなわち、実施例1A〜1Dのご飯(加工米飯)は、比較例1A、1Bのご飯(加工米飯)よりも生産効率が高いことがわかる。
第2の実施の形態の加工米飯(過熱蒸気を用いて製造される低蛋白質炊飯米)の製造方法の実施例
実施例および比較例では、加工米飯の原料となる精米として、魚沼産のコシヒカリの無洗米を同量使用した。
<実施例21>
実施例21では、上記の精米を、図2のフローチャートに示したように低蛋白処理工程、水洗工程、水切乾燥工程、蒸米工程、ほぐし工程、乾燥工程、放冷工程、単粒化工程、包装工程の順に加工して加工米飯を製造した。水洗工程〜包装工程は生産ライン(ネットコンベア)で搬送して処理を行った。
上記の各工程の中で、低蛋白処理工程、水洗工程、放冷工程、単粒化工程については、実施例1で説明した通りなので省略する。ここでは、水切乾燥工程〜乾燥工程、包装工程の各工程について説明する。
(水切乾燥工程)
図3に示すように、ネットコンベア1の周囲を密閉した状態で、ネットコンベア1で搬送される低蛋白質処理米10に対して上方から温風Aをかけて下方から温風Aを吸引して水切乾燥を行い、低蛋白質水切乾燥米を得た。このときの低蛋白質処理米10は、高さ10hが3cmの層に形成されている。また得られた低蛋白質水切乾燥米の水分量は36%である。
(蒸米工程)
図4に示すようにネットコンベア1は停止せずに開放した状態でネットコンベア1の下方から105℃の過熱蒸気Bを低蛋白質水切乾燥米11に当てて5分間蒸して低蛋白質蒸米を得た。このときの低蛋白質水切乾燥米11の層の高さ11hは3cmに設定した。
(ほぐし工程)
図5と図6に示すように、ほぐし用部材101を、その周面101aを乾燥させながらネットコンベア1の搬送方向1bに同じ方向110bに回転させて、多数の突起102を低蛋白質蒸米12の層に入れて低蛋白質蒸米12をほぐした。また、このときに低蛋白質蒸米12を乾燥および冷却させながらほぐした。各突起102の高さ102hは2mmに設定した。
(乾燥工程)
ほぐし工程によりほぐされた低蛋白質蒸米を乾燥器によりムラなく乾燥させ、低蛋白質乾燥米にした。この低蛋白質乾燥米の水分量は16%である。
(包装工程)
包装工程では、単粒化させた低蛋白質乾燥米に対して粒形の選別や色彩の選別を行い、粒形や色彩が揃った低蛋白質乾燥米を脱酸素剤と共にプラスチックパウチに袋詰めし、密封した。以上の工程を経て加工米飯が出来上がった。
<実施例22>
実施例22では、実施例21の蒸米工程において過熱蒸気Bの温度を110℃として低蛋白質蒸米を得た以外は、実施例21と同様の手順を行って加工米飯を得た。
<実施例23>
実施例23では、実施例21の蒸米工程において過熱蒸気Bの蒸し時間を10分として低蛋白質蒸米を得た以外は、実施例21と同様の手順を行って加工米飯を得た。
<比較例21>
比較例21では、実施例21の蒸米工程を行う代わりに次のようにして低蛋白質蒸米を得た。それ以外は、実施例21と同様の手順を行って加工米飯を得た。比較例21の蒸米工程では、ネットコンベア1は停止せずに開放した状態でネットコンベア1の下方から飽和蒸気を低蛋白質水切乾燥米11に当てて20分間蒸して低蛋白質蒸米を得た。
<比較例22>
比較例22では、実施例21の蒸米工程において過熱蒸気Bの温度を102℃として低蛋白質蒸米を得た以外は、実施例21と同様の手順を行って加工米飯を製造した。
<比較例23>
比較例23では、実施例21の蒸米工程において過熱蒸気Bの温度を120℃として低蛋白質蒸米を得た以外は、実施例21と同様の手順を行って加工米飯を製造した。
<比較例24>
比較例24では、実施例21の蒸米工程において過熱蒸気Bの蒸し時間を2分として低蛋白質蒸米を得た以外は、実施例21と同様の手順を行って加工米飯を製造した
<比較例25>
比較例25では、実施例21の蒸米工程において過熱蒸気Bの蒸し時間を20分として低蛋白質蒸米を得た以外は、実施例21と同様の手順を行って加工米飯を製造した。
<加工米飯の官能評価>
上記の実施例21〜23及び比較例21〜25の加工米飯を家庭用電気炊飯器で炊いてご飯を得た。各ご飯について、パネラー5名により上記で説明した項目(外観、色つや、風味、弾力、ふっくら感、総合評価)について評価を行った。各項目の評価方法(5段階評価)も上記で説明した通りである。また、基準品は比較例11である。
下記の表4に、実施例21〜23、比較例21〜25の蒸米条件とご飯の官能評価を示す。また表4に、比較対象として魚沼産コシヒカリを家庭用電気炊飯器で炊いて得たご飯の官能評価を示す。なお、魚沼産コシヒカリは加工米飯ではないので、蒸米条件は示していない。
Figure 2017037799
<実施例、比較例、魚沼産コシヒカリとの比較>
表4に示すように実施例21〜23のご飯は、外観では、魚沼産コシヒカリのご飯と同様の評価を得ている。さらに、実施例21〜23のご飯は、色つや、弾力、ふっくら感、総合評価において、魚沼産コシヒカリのご飯に近い評価を得ている。また、実施例21〜23のご飯は、比較例21〜25のご飯に比べると、比較例22のご飯と弾力が同等である以外は優れている。すなわち、実施例21〜23のご飯(加工米飯)は、比較例21〜25のご飯(加工米飯)よりも品質が高いことがわかる。
実施例21〜23のご飯は、比較例21のご飯に比べて米粒が立っており、餅の様な食感が弱く、つやがあり、ふっくらとしており、食感、食味共に良いご飯になった。
比較例21のご飯は、実施例21〜23のご飯に比べて、やや軟らかくて餅の様な食感が強いご飯になった。また表4には示さないが、比較例21のご飯は、蒸し時間が長くなるにつれてこのような傾向が強まった。
比較例22のご飯は、比較例21のご飯に比べてやや米粒が立っており、やや食味が良いが、実施例21〜23のご飯に比べるとやや軟らかくて餅の様な食感が強いご飯になった。
比較例23のご飯は、米粒の一部が糊状に解けており、ベタツキが強く、歯にくっつくような食感のご飯になった。
比較例24のご飯は、食感、食味共に悪い炊飯不良状態のご飯になった。
比較例25のご飯は、デンプンの溶出が多く、付着性が強く、歯にくっつくような食感のご飯になった。
次に、第2の実施の形態の加工米飯の製造方法において、低蛋白質水切乾燥米の水分量と加工米飯の品質との関係性について、実施例、比較例を示して具体的に説明する。
実施例および比較例では、加工米飯の原料となる精米として、魚沼産のコシヒカリの無洗米を十分に水洗いしたものを同量使用した。
<実施例2A>
実施例2Aでは、上記の精米を、図2のフローチャートに示す低蛋白処理工程、水洗工程、水切乾燥工程、蒸米工程、ほぐし工程、乾燥工程、放冷工程、単粒化工程の順に加工して加工米飯を製造した。
(低蛋白処理工程〜水切乾燥工程)
上記の精米を実施例21と同様の方法で加工して、水分量が36%の低蛋白質水切乾燥米を得た。
(蒸米工程)
低蛋白質水切乾燥米を過熱蒸気を用いて110℃で10分間蒸して低蛋白質蒸米を得た。
(ほぐし工程〜単粒化工程)
低蛋白質蒸米を実施例21と同様の方法で加工して単粒化させた。その後に単粒化できなかった米粒塊を除去して加工米飯を得た。
<実施例2B>
実施例2Bでは、低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%とした以外は、実施例2Aと同手順にて加工米飯を得た。
<比較例2A>
比較例2Aでは、低蛋白質水切乾燥米の水分量を30%とした以外は、実施例2Aと同手順にて加工米飯を得た。
<加工米飯の官能評価>
実施例2A、2B、比較例2A及び比較例1の加工米飯を家庭用電気炊飯器で炊いてご飯を得た。各ご飯について、パネラー5名により、上記で説明した項目(外観、色つや、風味、弾力、ふっくら感、総合評価)について評価を行った。各項目の評価方法(5段階評価)は上記で説明した通りである。また、基準品は比較例1である。
下記の表5に、実施例2A、2B、比較例2A、比較例1の低蛋白質水切乾燥米の水分量、蒸米条件及びご飯の官能評価を示す。また表5に、比較対象として魚沼産コシヒカリを家庭用電気炊飯器で炊いて得たご飯の官能評価を示す。なお、魚沼産コシヒカリは加工米飯ではないので、低蛋白質水切乾燥米の水分量及び蒸米条件は示していない。
Figure 2017037799
<実施例、比較例、魚沼産コシヒカリの比較>
表5に示すように実施例2A、2Bのご飯は、外観において魚沼産コシヒカリのご飯と同様の評価を得ており、色つや、弾力、ふっくら感、総合評価において、魚沼産コシヒカリのご飯に近い評価を得ている。また実施例2A、2Bのご飯は、比較例1のご飯に比べると、米粒が立っており、つやが良く、食感、食味共に良い。すなわち、実施例2A、2Bのご飯(加工米飯)は、比較例1のご飯(加工米飯)よりも品質が高いことがわかる。
比較例2Aのご飯は、米粒の一部が糊状に溶け、付着性が強く、歯にくっつくような食感で、口内で団子状になりやすい炊飯不良状態のご飯になった。
第3の実施の形態の加工米飯(低蛋白質無菌包装米飯)の製造方法の実施例
実施例および比較例では、加工米飯の原料となる精米として、魚沼産のコシヒカリの無洗米を十分に水洗いしたものを同量使用した。
<実施例31>
実施例31では、上記の精米を、図7のフローチャートに示したように低蛋白処理工程、水洗工程、水切乾燥工程、計量・充填工程、蒸米工程、加温水工程、包装工程、蒸らし工程、冷却工程の順に加工して加工米飯を製造した。
上記の各工程の中で、低蛋白処理工程と水洗工程については実施例1で説明し、水切乾燥工程については実施例21で説明した通りなので省略する。ここでは、計量・充填工程〜冷却工程の各工程について説明する。
(計量・充填工程)
耐熱性容器に、低蛋白質水切乾燥米を所定量計量して充填した。
(蒸米工程)
最初に、低蛋白質水切乾燥米が充填されている耐熱容器を蒸米釜の中にいれて密閉した。次に、蒸米釜内を脱気して真空状態とした後に温度を135℃に瞬時(10秒以内)に上昇させ、30秒間蒸して低蛋白質蒸米を得た。
(加温水工程〜包装工程)
蒸米釜から低蛋白質蒸米を取り出し、この低蛋白質蒸米に90℃以上の温水を低蛋白質蒸米の水分量が61%となるように加えた後に、直ちに脱酸素剤と共に密封した。
加工米飯の硬軟の調整は、低蛋白質蒸米への加水量を調整することで可能である。実施例31では、事前の検討により、最もごはんの硬軟と粘りのバランスが良かった水分量である61%に調整した。
(蒸らし工程)
密封された低蛋白質蒸米を5分間蒸らした。
(冷却工程)
蒸らした低蛋白質蒸米を20分間冷却して低蛋白質蒸米の品温を35℃まで下げた。以上の工程を経て加工米飯が出来上がった。
<実施例32>
実施例32では、実施例31の蒸米工程において蒸し時間を40秒として低蛋白質蒸米を得た以外は、実施例31と同様の手順を行って加工米飯を製造した。
<実施例33>
実施例33では、実施例31の蒸米工程において蒸し時間を50秒として低蛋白質蒸米を得た以外は、実施例31と同様の手順を行って加工米飯を製造した。
<実施例34>
実施例34では、実施例31の蒸米工程において蒸し時間を60秒として低蛋白質蒸米を得た以外は、実施例31と同様の手順を行って加工米飯を得た。
<比較例31>
比較例31では、実施例31の蒸米工程を行う代わりに次のようにして低蛋白質蒸米を得た。それ以外は、実施例31と同様の手順を行って加工米飯を製造した。比較例31の蒸米工程では、低蛋白質水切乾燥米が充填されている耐熱容器を開放した状態で、飽和蒸気(100℃)を用いて低蛋白質水切乾燥米を20分間蒸して低蛋白質蒸米を得た以外は実施例31と同様の手順を行って加工米飯を得た。
<比較例32>
比較例32では、実施例31の蒸米工程において蒸し時間を20秒として低蛋白質蒸米を得た以外は、実施例31と同様の手順を行って加工米飯を得た。
<加工米飯の官能評価>
実施例31〜34及び比較例31、32の加工米飯を家庭用電子レンジで加熱調理してご飯を得た。各ご飯について、パネラー5名により上記で説明した項目(外観、色つや、風味、弾力、ふっくら感、総合評価)について評価を行った。各項目の評価方法(5段階評価)も上記で説明した通りである。また、基準品は比較例31である。
下記の表6に、実施例31〜34及び比較例31、32の蒸米条件とご飯の官能評価を示す。また表6に、比較対象として魚沼産コシヒカリを家庭用電気炊飯器で炊いて得たご飯の官能評価を示す。なお、魚沼産コシヒカリは加工米飯ではないので、蒸米条件は示していない。
Figure 2017037799
<実施例、比較例、魚沼産コシヒカリの比較>
表6に示すように実施例31、32のご飯は、外観、弾力、ふっくら感、総合評価において、魚沼産コシヒカリのご飯と同様の評価を得ている。また、実施例31、32のご飯は、色つや、風味において、魚沼産コシヒカリのご飯に近い評価を得ている。
実施例33のご飯は、外観において、魚沼産コシヒカリのご飯と同様の評価を得ている。また、実施例33のご飯は、色つや、風味、弾力、ふっくら感、総合評価において、魚沼産コシヒカリのご飯に近い評価を得ている。
実施例34のご飯は、外観において、魚沼産コシヒカリのご飯と同様の評価を得ている。また、実施例34のご飯は、色つや、風味、弾力、総合評価において、魚沼産コシヒカリのご飯に近い評価を得ている。
実施例31〜34のご飯は、比較例31、32のご飯に比べると、外観、風味、弾力、総合評価において優れている。すなわち、実施例31〜34のご飯(加工米飯)は、比較例31、32のご飯(加工米飯)よりも品質が高いことがわかる。
実施例31〜34のご飯は、比較例31のご飯に比べて米粒が立っており、つやが良く、適度な粘りを感じ、食感、食味共に優れたご飯になった。
比較例31のご飯は、実施例31〜34のご飯に比べて、やや軟らかくて餅の様な食感が強いご飯になった。
比較例32のご飯は、比較例31のご飯に比べてつやが良いが、やや食感が硬いご飯になった。
次に、第3の実施の形態の加工米飯の製造方法において、低蛋白質水切乾燥米の水分量と加工米飯の品質との関係性について、実施例、比較例を示して具体的に説明する。なお、ここで説明する実施例は単に例示であって、本発明を限定するものではない。
実施例および比較例では、加工米飯の原料となる精米として、魚沼産のコシヒカリの無洗米を十分に水洗いしたものを同量使用した。
<実施例3A>
実施例3Aでは、上記の精米を、図7のフローチャートで示した低蛋白処理工程、水洗工程、水切乾燥工程、計量・充填工程、蒸米工程、加温水工程、包装工程、蒸らし工程、冷却工程の順で加工米飯を製造した。
(低蛋白処理工程〜水切乾燥工程)
上記の精米を実施例31と同様の方法で加工して、水分量が38%の低蛋白質水切乾燥米を得た。
(計量・充填工程)
実施例31と同様に低蛋白質水切乾燥米を耐熱容器に所定量計量した。
(蒸米工程)
実施例31と同様に、蒸米釜内の温度を真空下で135℃に瞬時に上昇させ、低蛋白質水切乾燥米を30秒間蒸して低蛋白質蒸米を得た。
(加温水工程〜冷却工程)
実施例31と同様に行って加工米飯を得た。
<実施例3B>
実施例3Bでは、低蛋白質水切乾燥米の水分量を34%とした以外は、実施例3Aと同手順にて加工米飯を得た。
<比較例3A>
比較例3Aでは、低蛋白質水切乾燥米の水分量を40%とした以外は、実施例3Aと同手順にて加工米飯を得た。
<比較例3B>
比較例3Bでは、低蛋白質水切乾燥米の水分量を29%とした以外は、実施例3Aと同手順にて加工米飯を得た。
<加工米飯の官能評価>
実施例3A、3B、比較例3A、3B及び比較例1の加工米飯を家庭用電気炊飯器で炊いてご飯を得た。各ご飯について、パネラー5名により、上記で説明した項目(外観、色つや、風味、弾力、ふっくら感、総合評価)について評価を行った。各項目の評価方法(5段階評価)は上記で説明した通りである。また、基準品は比較例1である。
下記の表7に、実施例3A、3B、比較例3A、3B、比較例1の低蛋白質水切乾燥米の水分量、蒸米条件及びご飯の官能評価を示す。また表7に、比較対象として魚沼産コシヒカリを家庭用電気炊飯器で炊いて得たご飯の官能評価を示す。なお、魚沼産コシヒカリは加工米飯ではないので、低蛋白質水切乾燥米の水分量及び蒸米条件は示していない。
Figure 2017037799
<実施例、比較例、魚沼産コシヒカリの比較>
表7に示すように実施例3A、3Bのご飯は、外観、弾力、ふっくら感、総合評価において魚沼産コシヒカリのご飯と同様の評価を得ており、色つや、風味において魚沼産コシヒカリのご飯に近い評価を得ている。
また実施例3A、3Bのご飯は、比較例1のご飯に比べると、米粒が立っており、適度な粘りを感じ、食感、食味共に優れる。すなわち、実施例3A、3Bのご飯(加工米飯)は、比較例1のご飯(加工米飯)よりも品質が高いことがわかる。
比較例3Aのご飯は、比較例1のご飯に比べて、ご飯の上層と下層に水分のバラツキがあり、下層のごはんが糊状に溶けている。
比較例3Bのご飯は、十分に蒸すことができず、加工米飯中に生米が残留していた。
1 ネットコンベア(コンベア)
10 低蛋白質処理米
11 低蛋白質水切乾燥米
12 低蛋白質蒸米
101 ほぐし用部材
101a ほぐし用部材の周面
102 突起
102h 突起の高さ
B 過熱蒸気
【0002】
乾燥米を蒸す際に低蛋白質水切乾燥米より溶出したデンプンが糊状になるので、得られる低蛋白質蒸米が団子状または餅状になる。したがって、この低蛋白質蒸米を用いて製造される加工米飯の品質が良くないものとなる。
[0008]
また、低蛋白質水切乾燥米の水分量が低すぎると、低蛋白質水切乾燥米を蒸す際に低蛋白質水切乾燥米全体に熱が伝わらず、得られる低蛋白質蒸米に蒸しムラが生じる。したがって、この低蛋白質蒸米を用いて製造される加工米飯の品質が良くないものとなる。
[0009]
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、品質の良い加工米飯を製造することができる加工米飯の製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0010]
本発明の加工米飯の製造方法は、精米中の蛋白質を単独または複数の蛋白質分解酵素を用いて分解処理して低蛋白質処理米を得る低蛋白処理工程と、前記低蛋白質処理米を水洗いする水洗工程と、水洗いをした前記低蛋白質処理米を、水分量が33%〜38%になるように水切乾燥して低蛋白質水切乾燥米を得る水切乾燥工程と、前記低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得て当該低蛋白質蒸米を加工して加工米飯を得る加工工程とを備え、前記加工工程は、前記低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得る蒸米工程と、前記低蛋白質蒸米を24時間〜72時間冷蔵して低蛋白質冷蔵老化米を得る冷蔵工程と、前記低蛋白質冷蔵老化米を乾燥させて低蛋白質乾燥米を得る乾燥工程と、前記低蛋白質乾燥米を加工して前記加工米飯を得る仕上げ工程とを備えることを特徴とする。
発明の効果
[0011]
本発明の加工米飯の製造方法は、低蛋白質水切乾燥米の水分量を33%〜38%に設定した。これにより、この低蛋白質水切乾燥米を蒸した際には、低蛋白質水切乾燥米より溶出したデンプンが糊状となるのが抑えられるので、得られる低蛋白質蒸米が団子状または餅状になるのが抑えられる。また、この低蛋白質水切乾燥米を蒸した際には低蛋白質水切乾燥米全体に熱が伝わるので、得られる低蛋白質蒸米は蒸しムラが抑えられる。したがって、本発明の加工米飯の製造方法は、従来よりも品質の良い低蛋白質蒸米を用いて加工米飯を製造することが可能になる。よって、本発明の加工米飯の製造方法

Claims (7)

  1. 精米中の蛋白質を単独または複数の蛋白質分解酵素を用いて分解処理して低蛋白質処理米を得る低蛋白処理工程と、
    前記低蛋白質処理米を水洗いする水洗工程と、
    水洗いをした前記低蛋白質処理米を水切乾燥して低蛋白質水切乾燥米を得る水切乾燥工程と、
    前記低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得て当該低蛋白質蒸米を加工して加工米飯を得る加工工程とを備え、
    前記水切乾燥工程では、前記低蛋白質水切乾燥米の水分量が33%〜38%になるように、水洗いをした前記低蛋白質処理米を水切乾燥することを特徴とする加工米飯の製造方法。
  2. 請求項1に記載の加工米飯の製造方法において、
    前記加工工程は、
    前記低蛋白質水切乾燥米を蒸して低蛋白質蒸米を得る蒸米工程と、
    前記低蛋白質蒸米を24時間〜72時間冷蔵して低蛋白質冷蔵老化米を得る冷蔵工程と、
    前記低蛋白質冷蔵老化米を乾燥させて低蛋白質乾燥米を得る乾燥工程と、
    前記低蛋白質乾燥米を加工して前記加工米飯を得る仕上げ工程と
    を備えることを特徴とする加工米飯の製造方法。
  3. 請求項2に記載の加工米飯の製造方法において、
    前記乾燥工程では、前記低蛋白質乾燥米の水分量が15〜30%になるように前記低蛋白質冷蔵老化米を乾燥させることを特徴とする加工米飯の製造方法。
  4. 請求項1に記載の加工米飯の製造方法において、
    前記加工工程は、
    前記低蛋白質水切乾燥米を105℃〜115℃の過熱蒸気を用いて4分〜10分間蒸して低蛋白質蒸米を得る蒸米工程と、
    前記低蛋白質蒸米を加工して前記加工米飯を得る仕上げ工程と
    を備えることを特徴とする加工米飯の製造方法。
  5. 請求項4に記載の加工米飯の製造方法において、
    前記仕上げ工程では、最初に、コンベアで搬送される前記低蛋白質蒸米を、円筒状または円柱状のほぐし用部材を回転させながら当該ほぐし用部材の周面に設けられた多数の突起を用いてほぐすほぐし工程を行い、各突起は、高さが2mm〜5mmに設定されたものを使用することを特徴とする加工米飯の製造方法。
  6. 請求項5に記載の加工米飯の製造方法において、
    前記ほぐし工程では、前記低蛋白質蒸米を乾燥および冷却させながらほぐすことを特徴とする加工米飯の製造方法。
  7. 請求項1に記載の加工米飯の製造方法において、
    前記加工工程は、
    前記低蛋白質水切乾燥米を真空状態下で温度を130℃〜140℃に瞬時に上昇させ、30秒〜2分間蒸して低蛋白質蒸米を得る蒸米工程と、
    前記低蛋白質蒸米を加工して前記加工米飯を得る仕上げ工程と
    を備えることを特徴とする加工米飯の製造方法。
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