JPH0838077A - 低蛋白質米、その製造方法及びその加工方法 - Google Patents

低蛋白質米、その製造方法及びその加工方法

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JPH0838077A
JPH0838077A JP6183696A JP18369694A JPH0838077A JP H0838077 A JPH0838077 A JP H0838077A JP 6183696 A JP6183696 A JP 6183696A JP 18369694 A JP18369694 A JP 18369694A JP H0838077 A JPH0838077 A JP H0838077A
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潤 高原
Hiranori Nakajiyou
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原料米中の蛋白質のみならずリン及びカリウ
ムが低減しており、かつその品質の均一な低蛋白質米、
およびその製造方法を提供する。 【構成】 原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した
溶液と共に前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で発酵
処理する。 【効果】 原料米中の蛋白質のみならずリン及びカリウ
ムも低減させることができる。また、蛋白質、リン及び
カリウムの低減量のばらつきが少なく、品質がほぼ均一
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低蛋白質米、その製造方
法及びその加工方法に関し、特に原料米中の蛋白質のみ
ならずリン及びカリウムを低減した低蛋白質米、その製
造方法及びその加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】腎臓病などの腎臓疾患により1日あたり
の蛋白質の摂取量を制限される患者に対する食事は、一
般患者とは全く異なるものであり、各種医療機関におい
て調理施設・調理人員等が余分に必要となることからそ
の提供に多大な経費がかかり問題となっている。また在
宅患者に対しては食事指導がなされるが、一般家庭で健
康人とは別に蛋白質の摂取量を制限した食事を提供する
のは極めて困難である。さらにこのような患者は、蛋白
質の摂取量を制限されることから、食事の量そのものも
少なくせざるをえず、特に各種ビタミン、脂質等を米飯
以外の他の食品から摂取する必要上、主食である米飯に
ついては、その摂取量を極めて少なくせざるをえないた
め、満足できるだけの食感を得ることができないという
問題点がある。
【0003】そこでこれらの対策として蛋白質の含有量
を低減させたいわゆる低蛋白質米を使用して、調理を容
易にするとともに食感の向上を図ることが考えられる
が、従来の低蛋白質米は澱粉を糊化した後、米粒状に成
形し乾燥を行う等の工程で得た人造米か、この人造米に
米粉を添加して米の香り付与したものか、酒造用高精白
米を代用したものであるので、炊飯特性が悪く良好な米
飯が得にくく、また処理工程が繁雑で製造効率が悪いた
め高価であるという問題点がある。
【0004】またアレルギー体質の改善やアトピーの治
癒のために低アレルゲン化を目的とした低蛋白質米が種
々提案されている。
【0005】特公平6−9472号公報には、米に蛋白
質分解酵素を作用させ、該米中の塩溶性蛋白質の10%三
塩化酢酸可溶率が80%以上となるまで米中の蛋白質を加
水分解し、可溶成分を除去することによってアレルゲン
を低減させた低蛋白質米が開示されている。
【0006】特開平5−236889号公報には、グル
テリン及び/又はプロミラン含量の低い米を塩水溶液で
処理することにより、前記米中に含まれる分子量12,000
〜30,000、30,000〜40,000及び50,000〜60,000の蛋白質
を実質的に除去して得られる低蛋白質米が開示されてい
る。
【0007】特開平5−292904号公報には、粉質
米を塩水溶液で処理することにより、前記粉質米中に含
まれる分子量12,000〜30,000、30,000〜40,000及び50,0
00〜60,000の蛋白質を実質的に除去して得られる低蛋白
質米が開示されている。
【0008】さらに特開平5−292906号公報に
は、グロブリン含量粉質米を塩水溶液で処理することに
より、前記粉質米中に含まれる分子量12,000〜30,000の
蛋白質を実質的に除去して得られる低蛋白質米が開示さ
れている。
【0009】
【発明が解決しようとする問題点】特公平6−9472
号公報に記載された低蛋白質米は、その製造工程が特殊
であるため非常に高価であり、腎臓疾患の患者等が毎日
の主食として利用するには適しないという問題点があ
る。また、腎臓疾患はリン、カリウムの摂取量にも制限
が課せられるため、原料米中のリン、カリウムについて
も低減させる必要があるが、この低蛋白質米はリン、カ
リウムなどが十分に低減されていないという問題点があ
る。
【0010】また特開平5−236889号公報、特開
平5−292904号公報及び特開平5−292906
号公報に記載された低蛋白質米は、特定の分子量の蛋白
質を低減することを目的とするものであるので、原料米
中の蛋白質全体を基準とした場合必ずしも十分な蛋白質
の低減率を有しないという問題点がある。またこれらの
低蛋白質米もリン、カリウムなどが十分に低減されてい
ないという問題点がある。
【0011】そこで蛋白質のみならずリン、カリウムを
も低減させた低蛋白質米として、原料米を乳酸発酵させ
たものが提供されつつあるが、乳酸発酵による低蛋白質
米は、十分に蛋白質、リン及びカリウムの低減されたも
のとするためには乳酸発酵に要する日数が3〜6日と長
く、その上蛋白質、リン及びカリウムの低減率にバラツ
キが生じやすいという問題点がある。
【0012】本発明は上記問題点に基いて成されたもの
であり、原料米中の蛋白質のみならずリン及びカリウム
が低減しており、かつその品質の均一な低蛋白質米を提
供することを目的とする。また本発明は、前記低蛋白質
米を安価で効率良く、かつ前記各成分の低減量のばらつ
きなく製造する方法を提供することを目的とする。さら
に本発明はこのようにして得られた低蛋白質米を簡単に
かつ良好な食味をもって加工するための方法を提供する
ことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の低蛋
白質米は、原料米に塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した
溶液を前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で作用させ
ることにより前記原料米中の蛋白質、リン及びカリウム
を低減させたものである。
【0014】また本発明の請求項2の低蛋白質米の製造
方法は、原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した溶
液と共に前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で発酵処
理して前記原料米中の蛋白質、リン及びカリウムを低減
させるものである。
【0015】本発明の請求項3の低蛋白質米の加工方法
は、原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した溶液と
共に前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で発酵処理し
て得られる低蛋白質米を、蒸してから炊飯して米飯とす
る。
【0016】さらに請求項4の低蛋白質米の加工方法
は、原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した溶液と
共に前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で発酵処理し
て得られる低蛋白質米を、蒸してから乾燥する。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて蛋白質の低減の対象となる原料米としては特に制
限はなくジャポニカ米、インディカ米等いずれの米も用
いることができるが、日本人の食生活を考慮するとジャ
ポニカ米が好ましい。またこの原料米は、80〜95%、特
に85〜90%に精白したものを用いるのが好ましい。
【0018】蛋白質分解酵素としては、エンド型のアス
パルティックプロティナーゼ、セリンプロティナーゼ、
システインプロティナーゼ、又はエクソ型のロイシンア
ミノペプチターゼ、カルボキシペプチターゼ等の微生物
もしくは植物起源のものを用いることができる。これら
の蛋白質分解酵素は単独で使用しても、併用してもよ
い。前記蛋白質分解酵素の具体例としては、アスペルギ
ルス サイトイの産出する蛋白質分解酵素(モルシン:
盛進製薬(株)製)、放線菌の一種であるストレプトミ
セス グリセウスの産出する蛋白質分解酵素(アクチナ
ーゼ:科研化学(株)製)等を挙げることができる。ま
たペプシン、トリプシン、キモトリプシン、パンクレア
チン等の動物の消化器官から分泌される蛋白質分解酵素
も用いることができる。特に蛋白質のみならずリン、カ
リウムの低減率の点でエンド型のアスパルティックプロ
ティナーゼ(天野製薬(株)製、ナガセ生化学販売
(株)製など))が好ましい。
【0019】また、塩類としては食塩水(塩化ナトリウ
ム)が最も適当であるが、その他食品衛生上問題のない
各種無機塩類も使用することができる。リン酸塩やカリ
ウム塩などの使用はリン及びカリウムの低減に支障をき
たすため好ましくない。
【0020】このような原料米及び蛋白質分解酵素を用
いて以下のようにして低蛋白質米を製造する。まず精白
した原料米を十分に水洗いし、米粒表面の雑菌を極力除
去する。そして前記水洗米を塩類及び蛋白質分解酵素を
溶解した溶液に浸漬する。前記溶液の量は前記水洗米の
1〜1.5 倍量であるのが好ましい。また塩類の濃度は0.
1 〜2W/V %であるのが好ましい。塩類の濃度が0.1 W/
V %未満では原料米からの蛋白質の溶出効果が十分でな
く、一方2W/V %を越えると、蛋白質分解酵素の活性が
低下するため好ましくない。さらに蛋白質分解酵素の添
加量(溶液中の濃度)は、0.01〜0.2 W/V %、特に約0.
1 W/V %であるのが好ましい。蛋白質分解酵素の添加量
が0.01W/V %未満では、十分な蛋白質の低減効果が得ら
れないばかりか、リン、カリウムの低減効果も十分でな
く、一方0.2 W/V %を越えてもそれ以上の効果の向上が
得られない。
【0021】さらに本発明においては前記溶液pHの調
整を目的として有機酸を添加する。前記有機酸として
は、クエン酸、乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルコノ
デルタラクトン(GDL)などが挙げられる。これらの
中では得られる低蛋白質米の食味の点でクエン酸、グル
コン酸及びグルコノデルタラクトン(GDL)が好まし
く、特にクエン酸が好ましい。前述したような有機酸
は、溶液のpHが2.5 〜4.0 の範囲内となるように添加
するのが好ましい。溶液のpHが前記範囲外では、蛋白
質分解酵素の活性が低下し、十分な蛋白質、リン及びカ
リウムの低減効果が得られないため好ましくない。
【0022】上述したような塩類及び蛋白質分解酵素を
溶解した溶液に原料米を投入し、前記蛋白質分解酵素の
活性温度範囲内で発酵処理する。前記発酵処理は、40〜
55℃、特に約50℃であるのが好ましい。発酵処理温度が
40℃未満あるいは55℃を越えると、蛋白質分解酵素の活
性が低下し、蛋白質、リン及びカリウムの低減効果が低
下するため好ましくない。また前記発酵処理時間は12〜
36時間、特に16〜24時間であるのが好ましい。処理時間
が12時間未満では、十分な蛋白質、リン及びカリウムの
低減効果が得られず、一方36時間を越えてもそれ以上の
蛋白質、リン及びカリウムの低減効果が得らないばかり
か、かえって製造効率が低下する。そしてこの処理米を
水洗し、食塩、有機酸、酵素を洗い流すことにより低蛋
白質米を得ることができる。
【0023】上述したようにして得られる本発明の低蛋
白質米は、原料米中に含まれる蛋白質、リン及びカリウ
ムが低減している。特に蛋白質分解酵素の添加量を約0.
1 %以上とすることにより原料米中に含まれる蛋白質の
約50%以上、特に約50%〜60%、リンの約60%以上、特
に約60%〜70%、カリウムの約80%以上、特に約80%〜
90%を低減させることができる。また、本発明の低蛋白
質米は、蛋白質、リン及びカリウムの低減量のばらつき
が少なく、ほぼ均質な低蛋白質米を得ることができる。
【0024】次に本発明の低蛋白質米の加工方法につい
て説明する。本発明の低蛋白質米を米飯にする場合に
は、一旦蒸してから炊飯するのが望ましい。これは、低
蛋白質米を直接炊飯すると米粒が柔らかくなりすぎて粘
りすぎるためである。また容器包装食品とする場合には
前記蒸米を温水に浸漬し、レトルトパウチやプラスチッ
ク成形容器などの容器に投入し、密封後殺菌すればよ
い。さらに蒸米後炊飯したものをそのまま無菌的に容器
に充填包装することも可能である。また低蛋白質米を一
旦蒸した後乾燥させれば、長期間保存が可能であるとと
もに通常の精白米と同様の取扱いが可能であり、該乾燥
低蛋白質米を所定量の水に浸漬して炊飯することができ
る。さらに前述した低蛋白質米を粥状に煮て、これにα
−アミラーゼを添加して液化し、該液化物に必要に応じ
て果汁、牛乳等を配合することにより、低蛋白質米から
なるドリンクを製造することができる。
【0025】さらに、上述したような本発明の低蛋白質
米は、その他通常の米類の使用される種々の食品に使用
することができ、例えば、ダンゴ、餅、ピラフ、麺類な
どに用いることができる。
【0026】以上本発明について詳述してきたが、本発
明は前述した説明に限らず本発明の思想を逸脱しないか
ぎり種々の応用が可能である。例えば蛋白質分解酵素の
濃度、塩類の濃度、処理時間などは所望の蛋白質、リン
及びカリウムの低減率に応じて適宜設定することができ
る。
【0027】
【作用】本発明の請求項1の低蛋白質は、原料米に塩類
及び蛋白質分解酵素を溶解した溶液を前記蛋白質分解酵
素の活性温度範囲内で作用させることにより得られるも
のであるので、前記原料米中の蛋白質、リン及びカリウ
ムを低減しており、また、蛋白質、リン及びカリウムの
低減量のばらつきが少なく、品質の均一なものである。
【0028】また本発明の請求項2の低蛋白質米の製造
方法においては、原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶
解した溶液と共に前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内
で発酵処理しているので、前記原料米中の蛋白質のみな
らずリン及びカリウムも低減させることができる。ま
た、本発明の方法では蛋白質、リン及びカリウムの低減
量のばらつきが少なく、ほぼ均質な低蛋白質米を提供す
ることができる。
【0029】このような効果が得られる理由については
必ずしも明らかではないが、比較的高温である蛋白質分
解酵素の活性温度範囲内で塩類と蛋白質分解酵素とを並
存させて原料米に作用させているので、塩類と蛋白質分
解酵素との相乗効果により、蛋白質が短時間で効率的に
除去されるとともに、これに伴いリン、カリウムも頻繁
に溶出するためであると考えられる。また蛋白質分解酵
素は乳酸菌よりも安定的に蛋白質に作用するので、蛋白
質、リン及びカリウムの低減量のばらつきを少なくする
ことができると考えられる。
【0030】また請求項3の低蛋白質米の加工方法は、
原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した溶液と共に
前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で発酵処理して得
られる低蛋白質米を、蒸してから炊飯して米飯とするも
のであるので、食味を通常の米飯に近似するものとする
ことができる。これは低蛋白質米は外郭組織が脆弱であ
るので通常の方法により炊飯すると糊状になったりして
食味が極めて低下するが、一旦蒸すことにより米粒形状
をある程度保持できるようにしていると考えられる。
【0031】さらに請求項4の低蛋白質米の加工方法で
は、原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した溶液と
共に前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で発酵処理し
て得られる低蛋白質米を、蒸してから乾燥しているの
で、通常の米穀と同様に長期間保存して、必要に応じて
水に浸漬して炊飯することができる。
【0032】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳
細に説明する。
【0033】実施例1 表1に示す濃度の食塩水に酵素(アスパルテックプロテ
ナーゼ)をそれぞれ0.1 %になるように溶解させ、GD
L及びクエン酸を加えてpH2.5 〜4.0 に調整して蛋白
質分解溶液を調整した。このようにして得られた蛋白質
分解溶液1.5 kgに、水洗いした精白米1kgを投
入し、約50℃で24時間放置し、発酵処理を行った。こ
のようにして得られた低蛋白質米の蛋白質の含有量の相
違を表1にあわせて示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1から明らかなとおり蛋白質の含有量は
食塩濃度1W/V %の場合が最も低いことがわかる。そし
て食塩濃度3W/V %ではかえって蛋白質の含有量が低下
しないことがわかる。
【0036】実施例2 水に表2に示す濃度の酵素(アスパルテックプロテナー
ゼ)と食塩1W/V %を溶解させ、さらにGDL及びクエ
ン酸を加えてpH2.5 〜4.0 に調整して蛋白質分解溶液
を調整した。このようにして得られた蛋白質分解溶液1.
5 kgに、水洗いした精白米1kgを投入し、約50℃で30
時間放置し、発酵処理を行った。このようにして得られ
た低蛋白質米の蛋白質の含有量の経時変化を表2にあわ
せて示す。
【0037】
【表2】
【0038】表2から明らかなとおり蛋白質の含有量は
酵素量が増すにつれて、処理時間が長くなるにつれて低
下するのがわかる。そして蛋白質分解酵素の添加量0.1
W/V%では、処理時間24時間で蛋白質含量が原料米であ
る精白米の約40%に低減しているのが分かる。
【0039】実施例3 水に酵素(アスパルテックプロテナーゼ)0.1 W/V %と
食塩1W/V %を溶解させ、さらにGDL及びクエン酸を
加えてpH2.5 〜4.0 に調整して蛋白質分解溶液を調整
した。このようにして得られた蛋白質分解溶液各1.5 kg
に、水洗いした精白米1kgをそれぞれ投入し3個のサン
プル(試料1〜3)とした。これらの各サンプルをそれ
ぞれ約50℃で24時間放置し、発酵処理を行った。この
ようにして得られた低蛋白質米の蛋白質、リン、カリウ
ムの含有量を原料米の蛋白質、リン(P)、カリウム
(K)の含有量とともに表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】表3から明らかなとおり本発明の方法によ
れば各試料間で蛋白質、リンカリウムの含有量のばらつ
きがほとんどなく、蛋白質が約40%、リンが約40%、カ
リウムが約15%に低減しているのがわかる。
【0042】実施例4及び比較例1 水に酵素(アスパルテックプロテナーゼ)0.1 W/V %と
食塩1W/V %を溶解させ、これに乳酸を加えてpH2.5
〜4.0 に調整して蛋白質分解溶液を調整した。このよう
にして得られた蛋白質分解溶液1.5 kgに、水洗いした精
白米1kgを投入し、それぞれ約50℃で24時間放置し、
発酵処理を行った。このようにして得られた低蛋白質米
の蛋白質、リン、カリウムの含有量を原料米の蛋白質、
リン、カリウムの含有量とともに表4に示す。また、水
1.5 kgに乳酸菌(ラクトバシラスガゼイ)1.0 ×10
8〜9 /mlのものを1.5 mlとサッカロース3W/V %とを
溶解させて蛋白質分解溶液を調整した。このようにして
得られた蛋白質分解溶液1.5 kgに、水洗いした精白米1
kgを投入し、それぞれ約40℃で144時間放置し、発酵
処理を行った。このようにして得られた低蛋白質米の経
時に伴う蛋白質、リン、カリウムの含有量を表4にあわ
せて示す。
【0043】
【表4】
【0044】表4から明らかなとおり本発明の方法によ
れば乳酸菌を用いた従来の方法よりも1/6の時間で同
等の蛋白質、リン及びカリウムの低減率を得ることがで
きるのがわかる。
【0045】実施例5 水に酵素(アスパルテックプロテナーゼ)0.1 W/V %と
食塩1W/V %を溶解させた溶液を6kg調整し、この溶液
を4等分して、これらにそれぞれ乳酸、クエン酸、フマ
ル酸、GDLを加えてpH2.5 〜4.0 に調整して蛋白質
分解溶液を調整した。このようにして得られた各蛋白質
分解溶液に、水洗いした精白米1kgを投入し、このサン
プル(試料4〜7)をそれぞれ約50℃で24時間放置
し、発酵処理を行った。このようにして得られた低蛋白
質米の蛋白質、リン、カリウムの含有量を原料米の蛋白
質、リン、カリウムの含有量とともに表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】表5から明らかなとおり、いずれの酸を使
用しても各試料間で蛋白質、リン、カリウムの含有量は
大きく低減しているのがわかる。
【0048】実施例6 実施例3で得られた各低蛋白質米を通常の方法で炊飯し
たところ米粒が柔らかく粘りすぎるものであった。そこ
で蒸籠で10〜15分間蒸した後75〜85℃の温水中で1〜5
分間浸漬吸水させた。この蒸米をほぐし、200 gずつレ
トルトパウチに充填し、密封後殺菌した。このように調
整した米飯は米粒もしっかりしたものであった。また食
味はクエン酸、GDL、乳酸、フマル酸の順でクエン酸
が最も良好であった。
【0049】実施例7 実施例3で得られた各低蛋白質米を乾燥機で水分23%に
調整し、乾燥米粒を得た。これをパウチに100 gずつ脱
酸素剤とともに充填し、密封した後35℃で保存試験を行
った。結果を表5に示す。
【0050】
【表6】
【0051】表6から明らかなとおり35℃で20日間保存
後も細菌、カビなどの増殖は認められず、本発明の加工
方法により低蛋白質米を長期間保存することができるこ
とが確認された。
【0052】実施例8 実施例3で得られた米1,000 gを水1,230 gに加え加熱
して粥状とし、マスコロイダーにて磨砕した。この磨砕
物を75℃に加温してα−アミラーゼ0.01W/V %を加え1
時間作用させた。続いて98℃に加熱し、酵素を失活させ
た。冷却後、果汁250 gを加えてホモゲナイズし、145
℃で4秒間殺菌した後190 g缶に充填して巻き締めし
た。このようにして得られた米ドリンク190 gを摂取す
ることにより御飯1膳分を食したのと同等の炭水化物等
を摂取することができる。
【0053】
【発明の効果】本発明の請求項1の低蛋白質米は、原料
米に塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した溶液を前記蛋白
質分解酵素の活性温度範囲内で作用させることにより得
られるものであるので、前記原料米中の蛋白質、リン及
びカリウムを低減しており、また、蛋白質、リン及びカ
リウムの低減量のばらつきが少なく、品質がほぼ均一な
ものである。
【0054】また請求項2の低蛋白質米の製造方法は、
原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した溶液と共に
前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で発酵処理してい
るので、前記原料米中の蛋白質のみならずリン及びカリ
ウムも低減させることができる。また、蛋白質、リン及
びカリウムの低減量のばらつきが少なく、ほぼ均質な低
蛋白質米を提供することができる。
【0055】請求項3の低蛋白質米の加工方法は、原料
米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した溶液と共に前記
蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で発酵処理して得られ
る低蛋白質米を、蒸してから炊飯して米飯とするもので
あるので、食味を通常の米飯に近似するものとすること
ができる。
【0056】さらに請求項4の低蛋白質米の加工方法
は、原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解した溶液と
共に前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で発酵処理し
て得られる低蛋白質米を、蒸してから乾燥しているの
で、通常の米穀と同様に長期間保存可能であり、必要に
応じて水に浸漬して炊飯することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料米に塩類及び蛋白質分解酵素を溶解
    した溶液を前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で作用
    させることにより前記原料米中の蛋白質、リン及びカリ
    ウムを低減させたことを特徴とする低蛋白質米。
  2. 【請求項2】 原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解
    した溶液と共に前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で
    発酵処理して、前記原料米中の蛋白質、リン及びカリウ
    ムを低減させることを特徴とする低蛋白質米の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解
    した溶液と共に前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で
    発酵処理して得られる低蛋白質米を、蒸してから炊飯し
    て米飯とすることを特徴とする低蛋白質米の加工方法。
  4. 【請求項4】 原料米を塩類及び蛋白質分解酵素を溶解
    した溶液と共に前記蛋白質分解酵素の活性温度範囲内で
    発酵処理して得られる低蛋白質米を、蒸してから乾燥す
    ることを特徴とする低蛋白質米の加工方法。
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