JP3443081B2 - 玄米加工食品 - Google Patents

玄米加工食品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発芽玄米を使用して
得られる包装米飯に関する。
【0002】
【従来の技術】玄米は、白米に比べ栄養価が高いことは
一般によく知られている。しかしながら、玄米は、糠層
があり、米の吸水率が悪く、食感も固いため、圧力釜な
どを利用し加圧下で炊飯して米飯とする必要があった。
【0003】玄米が発芽すると柔らかくなることを利用
し、炊飯性を向上させたのが発芽玄米である。発芽玄米
は、通常の玄米に比して消化吸収が良く、γ−アミノ酪
酸、フェルラ酸等の栄養成分を高含有していることか
ら、機能性食品として評価されている。玄米は、5〜5
0℃の温水に適当な時間浸漬することで発芽し、家庭用
炊飯で調理できる発芽玄米が得られることが知られてい
る。特開平11-266806公報では、炊飯もしくは蒸した発
芽玄米を白米と炊飯することでより柔らかい発芽玄米米
飯を得ることに成功している。
【0004】しかし、発芽玄米をレトルト食品や無菌包
装米飯に炊飯加工する場合、発芽処理のみを行った玄米
では、水分を多く含んでおり、白米(通常水分含有量1
1〜18%である)と混合し同時に加工すると、加工後
に白米と発芽玄米の物性が異なってしまい食感が悪くな
る。発芽処理のみを行った発芽玄米と白米を混合し炊飯
前に水に浸漬する場合、発芽玄米の方が軟化が早く、炊
き上がりも発芽玄米が柔らかくなりすぎる。これを調整
するために浸漬時間を短くすると白米が十分に水分を吸
収できないので、炊飯後に白米が固いものとなる。さら
に、特許第2107997号公報のように、加工食品の品質維
持のために玄米をpH4.0付近として炊飯加工する工程
においては、通常、有機酸等によりpHを調整した水に
浸漬させることにより実施するが、すでに水分を吸収し
ている発芽玄米においては、pHの安定に時間がかかる
という問題がある。また、白米を混ぜる場合に発芽玄米
の水分含有率が多いと流動性が悪く、均一な混合ができ
ない。さらに、混合後、微生物の増殖が起こりやすく、
直ちに次の工程に移行する必要がある等の規制が多くな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、食感
が優れ、かつ白米と混合して生産する場合のハンドリン
グ性が向上した発芽玄米の包装米飯を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、発芽処理を
行った玄米を乾燥することにより、白米と食感を同程度
にすることが可能となり、生産上のハンドリングも良く
なることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明
は、乾燥させた発芽玄米または乾燥させた発芽玄米と白
米を混合使用して得られることを特徴とする包装米飯で
ある。乾燥させた発芽玄米の含水率は13〜20%であ
ることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の発芽玄米を製造するに
は、例えば次のような方法による。玄米をそのまま、あ
るいは玄米の一部を精米機あるいは無洗米機等で搗精し
て剥離・裂傷させ、得られた玄米を通常2乃至4回程洗
米し、水切り後、発芽槽(発芽用タンク)に浸漬する。
洗米に供する水は、水道水、蒸留水、井戸水、酸性水、
電解食塩水、オゾンを溶存させた水等の食品用に使用で
きる水であれば、いずれも使用可能である。
【0008】発芽槽の浸漬条件は、通常20乃至50℃
の温水中に発芽するまで浸漬するか、あるいは例えば3
乃至5時間程浸漬し、その後水を抜き、所定時間発芽さ
せる方法がある。乾燥を防ぐ為に、間欠的に散水を行っ
て、高湿度の条件下を維持する方法もある。使用する温
水は、前記の洗米工程で例示した様な水が例示でき、食
品用に使用できる水であれば、いずれも使用可能であ
る。発芽の程度は、一般的には胚の部分から0.5mm
〜2.0mm程度の膨らみ、あるいは突起部が確認でき
る程度の状態が良い。
【0009】発芽玄米は熱水処理又は蒸気処理により殺
菌してもよく、好ましい態様である。熱水処理は、好ま
しくは発芽処理した玄米を60〜100℃の熱水中に5
秒〜50分間、さらに好ましくは10秒〜30分浸漬す
る。蒸気処理は、発芽処理した玄米を0.1〜7.0k
g/cm2、好ましくは0.1〜2.0kg/cm2の条
件で、3秒〜40分間、好ましくは10秒から30分間
処理する。熱水処理または、蒸気処理は、発芽した玄米
に蒸気又は熱水を直接接触させる方法、包装後に包剤の
上から蒸気又は熱水を間接的に接触させる方法のいずれ
かの方法または、併用する方法でもかまわない。
【0010】発芽玄米は所望の手段により乾燥させる。
乾燥条件を適宜選択することにより発芽玄米を所望の水
分量に調整可能である。乾燥は、流動方式、棚式、真空
式、マイクロウェーブ式等の各方法で行うことが可能で
あるが、発芽玄米の胴割れ防止のため、米粒の内部と外
層の乾燥ムラが生じないように、緩やかに乾燥させるこ
とが、良好な炊き上がりの食味を維持する上で重要であ
る。また、乾燥前または乾燥後に発芽玄米の表皮の一部
を搗精して剥離・裂傷することで、表皮の固さや異臭を
より低減させることもできる。乾燥させた発芽玄米の含
水率は好ましくは13〜20質量%、より好ましくは1
4〜18質量%である。13質量%未満であると浸漬時
に胴割れを発生し食味が悪くなり、20質量%を超える
と水分活性が高くなり微生物の増殖が起りやすくなって
しまう。
【0011】本発明の包装米飯は、電子レンジで数分、
又は、熱湯で十数分加熱して直ちに食べることの可能な
米飯である。好ましくは、長期の常温保存が可能な無菌
包装された米飯である。本発明における無菌とは、商業
的無菌を意味し、食中毒菌や病原菌が存在せず常温流通
下において腐敗や経済的損失をもたらすような微生物が
実質的に存在しないことである。
【0012】無菌包装米飯を製造するには、例えば次の
方法がある。乾燥発芽玄米または白米と乾燥発芽玄米を
混合し、水又は酸性に調整した水に浸漬した後、発芽玄
米または発芽玄米と白米に水または酸性に調整した水を
加え炊飯し、直ちに又は蒸らした後に、包装容器に分配
し、密封する。または、炊飯時の熱に耐えられる容器に
予め浸漬しておいた発芽玄米を分配し、水または酸性に
調整した水を加え炊飯後、容器を密封する方法がある。
さらに、浸漬から炊飯までを最終容器で行い、容器を密
封することも可能である。特公平07−89879号公報のよ
うな浸漬水または、炊き水にグルコノデルタラクトン、
食用有機酸または、それらの塩類、あるいはこれらの混
合物を含有させて、炊飯後の米飯のpHが4〜4.8と
なるようにして容器に密封する方法、特公平05−63132
号公報のように水に浸漬した米を蒸煮後に有機酸でpH
調整された水溶液に浸漬して包装容器内に充填、加圧加
熱殺菌後における米自体のpHが5.8〜6.2となる
ように調整する方法などの製造法もある。分配、密封は
クリーンルームで行うのが好ましい。これらの方法にお
いて、包装後に加熱殺菌あるいは加圧加熱殺菌をしても
よい。
【0013】発芽玄米と白米の比率は、質量比で5〜8
0:95〜20が好ましく、更に好ましくは5〜60:
95〜40である。通常は発芽玄米と白米のみを用いる
が、必要に応じて他の添加物、例えば野菜類、栗等の木
の実、山菜類等の炊き込みご飯等に用いるものを添加し
てもよい。
【0014】本発明の包装の形態に特に制限はなく、例
えばトレー、袋体等が例示できる。その材質としては、
例えば、合成樹脂、耐熱性合成樹脂、金属箔と合成樹脂
のラミネート材、及びこれらの組み合わせ等が例示でき
る。また、ガスバリヤー性の材質からなる包装を使用
し、脱酸素剤や特開平07−67559号公報のような制菌ガ
スとして炭酸ガス、窒素ガスあるいはこれらの混合ガス
を添加してもかまわない。
【0015】
【実施例】以下に本発明を製造例、実施例で説明する。
水分含有率は、常圧加熱乾燥法(135℃、3時間)にて測
定を行った。
【0016】製造例1 原料玄米(香川県産コシヒカリ)を洗米機にて洗浄し、
30℃の恒温水中で24時間浸漬させ発芽させた。その
後、60℃で流動層乾燥を行い、水分含水率20%の発芽
玄米を得た。
【0017】製造例2 原料玄米(香川県産コシヒカリ)を洗米機にて洗浄し、
30℃の恒温水中で24時間浸漬させ発芽させた。その
後、60℃で流動層乾燥を行い、水分含水率15%の発芽
玄米を得た。
【0018】製造例3 原料玄米(香川県産コシヒカリ)を洗米機にて洗浄し、
30℃の恒温水中で24時間浸漬させ発芽させた。その
後、1.05kg/cm2で20分間蒸煮後、60℃で流動層乾燥を
行い、水分含水率18%の発芽玄米を得た。
【0019】比較製造例1 原料玄米(香川県産コシヒカリ)を洗米機にて洗浄し、
30℃の恒温水中で24時間浸漬させ発芽させ、その
後、水を切り水分含水率33.3%の発芽玄米を得た。
【0020】比較製造例2 原料玄米(香川県産コシヒカリ)を洗米機にて洗浄し、
30℃の恒温水中で24時間浸漬させ発芽させた。その
後、1.05kg/cm2で20分間蒸煮し、水分含有率32%の発芽
玄米を得た。
【0021】実施例1 製造例、比較製造例の発芽玄米をそれぞれ白米(新潟県
産コシヒカリ)と1対1で混合し、米重量の5倍量の水に
60分間浸漬し、水を切り、浸漬米重量の0.82倍の水を
加え電気炊飯器で炊飯した。炊飯した米飯200gを米
飯容器に密封し、2週間後電子レンジ500Wで150秒温
め食味を調べた。パネラー9名(20代〜50代)を対
象に、食感について確認し、良好を○、やや固い又は柔
らかいを△、固い又は柔らかいを×とした。また、玄米
の形状を観察した。結果を表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】表1から明らかなように乾燥を行ってい
ない発芽玄米を使用した場合、白米と発芽玄米の柔らか
さに差がでており、全体的な食感も柔らかくなりすぎて
いた。これに対して、乾燥した発芽玄米を用いた製造例
1〜3のものはいずれも食感、形状とも良好であった。
このように、本発明の発芽玄米の包装米飯は食感に優れ
るばかりでなく、発芽玄米に菌が繁殖することほとんど
ないので、発芽玄米を製造後直ちに包装米飯に炊飯加工
する必要がなく、またpH調整して炊飯する場合も比較
的短時間で調整可能で、製造工程における自由度が増大
し、生産性が向上する。
フロントページの続き (72)発明者 喜瀬 光男 神奈川県横浜市戸塚区上品濃12番13号 株式会社ファンケル中央研究所内 (72)発明者 土屋 敬子 神奈川県横浜市戸塚区上品濃12番13号 株式会社ファンケル中央研究所内 (72)発明者 石渡 健一 神奈川県横浜市戸塚区上品濃12番13号 株式会社ファンケル中央研究所内 (56)参考文献 特開 平9−163941(JP,A) 特開 昭60−234561(JP,A) 特開 昭60−160853(JP,A) 特開2000−116318(JP,A) 特開 平6−237718(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 玄米を水に浸漬し、発芽後0.1〜2.
    0kg/cm2の条件で3秒〜40分間蒸気処理して乾
    燥させた発芽玄米を炊飯することを特徴とする包装米飯
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 玄米を水に浸漬し、発芽後0.1〜2.
    0kg/cm2の条件で3秒〜40分間蒸気処理して乾
    燥させた発芽玄米と白米を混合し、炊飯することを特徴
    とする包装米飯の製造方法。
  3. 【請求項3】 発芽玄米と白米の混合比率が質量比5〜
    80:95〜20である請求項2に記載の包装米飯の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 包装米飯が発芽玄米と白米を混合後炊飯
    して得られる米飯を包装したものである請求項2又は3
    記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 包装米飯が玄米と白米を混合後水ととも
    に密封包装後、加熱して炊飯したものである請求項2〜
    4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製
    造方法により得られる包装米飯。
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